貴音「本日はおやつに」 (50)
貴音「すあまを持って来ました」
響「すあま?」
貴音「すあまです」
響「食べたことないぞ」
貴音「なんと」
響「はい」
貴音「響はすあまを食べたことがない、と」
響「うん」
貴音「それはそれは」
響「なにさ」
貴音「見たことも聞いたこともありませんか」
響「今日が初めて」
貴音「ほぅ」
響「貴音?」
貴音「んふっ」
響「」
貴音「わたくし、すあまは詳しいですよ」
響「いいから食べようよ」
貴音「響が知らないすあまをわたくしは知っていました」ドヤァ
響「かしこいなー、貴音はかしこいなー」
貴音「……心がこもっていませんが」
響「えっ」
貴音「心からの敬意がなくては、このすあまは渡せませんね」
響「」
響「……貴音は本当に頭が良いぞ」
貴音「だめです」
響「なっ」
貴音「復唱してください」
貴音「あぁ、貴音様貴音様」
響「」
貴音「ほら響、言うのです」
貴音「あぁ、貴音様貴音様」
響「嫌だぞ」
貴音「なんと愚かな」
響「」
貴音「ではわたくし一人ですあまを楽しむとします」パク
響「どうしてお菓子一つでここまでしなきゃいけないんだ!!」
貴音「美味」
響「ぐぬぬ」
響「あむっ!!」パク
貴音「」
貴音「ああああ!!」
響「んぐんぐ」
貴音「出すのです!! 今すぐ出すのです!!」
響「んぐぐ!!」
貴音「いけません!!」ペシ
響「っ」ゴクン
貴音「」
貴音「はやー!!」ギュム
響「いひゃひゃひゃひゃ!!」
貴音「響」
響「で、でもね貴音」
貴音「食べ物の恨みは」
響「よく味が分かんなかったんだけど……」
貴音「恐ろし」
貴音「……はい?」
響「あ、あまりに早く食べちゃったから」
響「全然味が分かんなかったぞ」
響「だからね、貴音」
響「出来ればもう一つ欲しいかなー、って」
響「えへへ」キャピ
貴音「響、こ、こちらに」フルフル
響「うんっ!!」
貴音「どうして響はこんなにも」ダキッ
響「ふみゅ?」
貴音「……っ!? あぁ、あぁ!!」ナデナデ
響「ふわぁ……」
貴音「はやあああああ!!」ガブッ
響「うぎゃああああ!!」
響「ご、ごめんなはい!!」
響「ほっぺがぁ!! ほっぺがぁ!!」
響「ゆるしへ!! じぶんがわるわったからぁ!!」
響「いひゃああああ!!」
貴音「美味」
響「は、歯形が」
貴音「えへへ、うんっ、ふみゅ、ふわぁ」
響「ごめんなさい」
貴音「ふみゅ?」
響「本当にごめんなさい」
貴音「分かればよろしいのです」
貴音「まったく」
響「だからって噛むなんて」
貴音「響は食い意地が張っていますね」
響「……ちょっと待って」
貴音「はて」
響「食い意地担当は貴音だぞ!!」
貴音「な、なんというでたらめを!!」
響「デタラメなんかじゃない!!」
貴音「響、嘘つきは泥棒のはじま」
響「自分知ってるんだぞ」
貴音「……はい?」
響「貴音ってさ」
貴音「はい」
響「Do-Daiの英語のコーラス歌えてないよね」
貴音「」
貴音「」
貴音「そ、そんな、ひび」
響「バレてるぞ」ボソッ
貴音「」
響「ふははは」
オハヨウゴザイマァス
貴音「あっ」
響「……うん?」
貴音「うわーん、うわーん」
響「えっ」
あずさ「た、貴音ちゃん?」
響「」
貴音「あずさぁ!!」ダキッ
あずさ「どうしたの?」
貴音「響がいじめてくるのです……、ふみゅみゅぅ……」
響「」
あずさ「……響ちゃん」
あずさ「めっ」
響「」
貴音「……ふふっ」チラッ
響「っ!? 貴音に騙されちゃダメだぞ!!」
あずさ「だめよ、響ちゃん」
貴音「えーん、えーん」ギュ
響「ぐぬぬ」
あずさ「貴音ちゃん」
貴音「はいぃ」
あずさ「詳しいわけを聞かせてちょうだい?」
貴音「えっ」
響「ほぅ」
あずさ「いったいなにがあったのかしら?」ナデナデ
貴音「そ、それは」
響「あのね、ぐすっ、ふわあぁ」
貴音「」
響「貴音がね、ぐしゅ」
あずさ「うんうん」
貴音「ぽへぅ」
響「なっ!?」
貴音「ぱぅ」
響「たうー!!」
あずさ「落ち着きましょうね」ギュ ギュ
貴音「ふぁい」
響「ひゃい」
あずさ「貴音ちゃんが?」
貴音「い、いけません響!!」
響「Do-Daiの英語の」
貴音「いやあああああ」
貴音「うわあん、あうあうあう!!」ポロポロ
あずさ「よしよし」ナデ
響「……今度は本気だ」
貴音「びびぎ!! どうじでいっでじまうのでずが!!」
響「で、でも、あずささんも」
あずさ「えっ」
貴音「あ、あずざ……?」
あずさ「し、知らなかったわー」
貴音「」
あずさ「と、とってもびっくりしちゃったわー」
あずさ「まさかそんな秘密があったなんてー」
あずさ「貴音ちゃんはやっぱり天才ねー」
貴音「やめなさい!!」
あずさ「ひっ」
貴音「なんですかその棒読みは!!」
響「た、貴音落ち着いて」
貴音「あいせいあげいん!!」ベチン
響「うぎゃあああああ」
あずさ「」
貴音「他は歌えずとも……、あいせい(ryの部分だけは……」グスッ
あずさ「辛かったのね」ヒシッ
貴音「わたくしは……、そこだけは誰よりも大きな声で……」
あずさ「大丈夫よ、貴音ちゃんの頑張りはみんな分かってたもの」
貴音「あずさ……」
響「美希もそこの貴音の声量に」
美希『うるさっ!?』
響「ってビックリしてたぞ」
貴音「」
あずさ「ひ、響ちゃん!!」
貴音「うわあん、あうあうあう!!」
あずさ「意地悪しないの」
響「つ、つい」
貴音「うぅ」
あずさ「大丈夫よ、貴音ちゃん」
貴音「……わたくし、横文字は苦手で」
あずさ「誰にだって苦手な物はあるわ」
響「気にしちゃダメだぞ」
貴音「ですから最近は英語の勉強をしているのです」
あずさ「あら」
響「偉いぞ貴音」
貴音「ふっ」ドヤ
あずさ「どうやって勉強してるのかしら?」
貴音「まずは英単語を、と思いまして」
響「覚えたやつ教えてよ」
貴音「えぇ、よしなに」
あずさ「はい?」
貴音「い、いえ」
貴音「いんてんしょん」
貴音「意味は、意図、意向」
あずさ「む、難しい単語ね」
貴音「へぶんりぃかふぇ」
貴音「意味は、星座のお茶会」
響「……ん?」
貴音「はなび」
貴音「由実は、かわ」
響「こらあああああ!!」
貴音「あずさぁ」ダキッ
あずさ「た、貴音ちゃん?」
響「っ!?」
響「あずささんどいて!! そいつちぎれない!!」
あずさ「で、でも」
貴音「怖い……、怖由実……」ヒシッ
響「やめろォ!!」
あずさ「乱暴はダメよ、響ちゃん」ムッ
響「」
貴音「トェェェェイ」
響「くっ、ここは一旦……」ダッ
貴音「あずさ、わたくし達の勝利です」
あずさ「うふふ、よくわからないけどやったのね」
貴音「では、勝利のすあまを楽しむとしましょう」
あずさ「まあ」
貴音「あずさ、お口を」
あずさ「あーん」
響「待てぇ!!」
貴音「っ!?」サッ
あずさ「あっ」
響「ぴよ子、お願い」
貴音「こ、小鳥嬢?」
小鳥「……プリン」
貴音「ぷりん?」
小鳥「えぇ、プリンよ」
貴音「はて」
小鳥「……ねぇ、あずささん?」
あずさ「あ、あぁ……」ガクガク
貴音「あ、あずさ?」
貴音「あずさ、しっかりしてください!!」
あずさ「私は……、私はっ……!!」
小鳥「貴音ちゃん、あずささんはね……」
あずさ『音無さん、私は罪深い女です……』
小鳥『続けなさい』
あずさ『私は……、事務所の一人一つづつのプリンを……』
あずさ『全部一人で食べてしまいました……!!』ポロポロ
貴音「」
あずさ「いやあああああ」
あずさ「た、貴音ちゃん、これは」
貴音「……あずさ、わたくしは信じていましたのに」
あずさ「っ!? ち、違うの、違うのよ!!」
貴音「失望しました、三浦あずさ」
あずさ「」
あずさ「うわあん、あうあうあう!!」ポロポロ
響「……あずささん」
あずさ「びびぎちゃん……、わだじ……」
響「大丈夫」ダキッ
あずさ「私は……、どうすれば……」
響「戦おう、自分達と一緒に」
あずさ「……えっ」
あずさ「で、でも私は」
小鳥「私達は仲間、でしょう?」ポンッ
あずさ「音無さん……!!」
響「行くぞぉ!!」
響「どうだ貴音!! これで三対一だぞ!!」
小鳥「だぞー!!」
あずさ「ぞぉー!!」
貴音「」
響「降参するなら今のうちだからなー!!」
小鳥「そうよ、今のうちよー!!」
あずさ「よぉー!!」
貴音「ぐぬぬ」
貴音「あっ」
響「面妖にも程があるぞー!!」
小鳥「あるぞー!!」
あずさ「ぞぉー!!」
貴音「では、このすあまはわたくしが独り占めするとしますね」
響「えっ」
小鳥「」
あずさ「」
響「ねぇ、貴音ぇ、自分にも分けて欲しいかなー、って」
貴音「真、美味です」パク
小鳥「お肩をお揉みいたしましょう」
あずさ「あぁ、貴音様貴音様、お茶を淹れてきましたわ」
雪歩「な、何やってるのかな?」
春香「さぁ……」
千早「今日も平和ね」
終
貴音「で、でぃいすいず……、むぅ」
響「本当に苦手なんだな」
貴音「難しいですね」
貴音「うぇんまいだうん、どんびぃあふれいおぶまいでしじょん♪」
響「」
貴音「うぇいとぅごぉのん、えんとぅびぃまいうぇいとぅざはぴねぇす♪」
響「」
貴音「ふっ」ドヤ
響「貴音、いけませんよ」ギュム
貴音「……ふぁい」
今度こそ終
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