ピット「せーはいせんそー? だいよじ?」 (90)

ピット「なんですか、それ?」

パルテナ「うーん……。願いを叶えるために、魔術師達が聖杯を巡って戦争する行事……なんですが」

ピット「全然わかりません!」

パルテナ「そうですよね……。でも大丈夫! 5秒後にはわかっていますよ」

ピット「? どういう意

     ピシュゥン

パルテナ「いってらっしゃい、ピット!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406414068


   シュウウウゥゥゥ……

ピット「え、えーっと、君が僕のマスター?」

アイリ「!? あなたは……」

切嗣「君が……アーサー王……?」


パルテナ「いいえ。違いますよ」

ピット「パルテナ様! もー、いきなりおどかさないでくださいよー」

切嗣「何だ、この声は!?」

パルテナ「光の女神パルテナと申します。以後お見知り置きを」

切嗣(アーサー王ではない……? いや、とにかくこのサーヴァントの能力を知るべきだ)

切嗣「装備を見る限り、君はセイバー……だね?」

ピット「装備? あ」

■ガイナスの撃剣
 価値:299 射撃☆☆☆☆☆☆ 打撃★★★★★★

 ・射撃防御+4     魔王ガイナスの鎧を使った
 ・麻痺属性+1     禍々しい神器。
 ・走行速度+4     今回はダッシュ打撃で
 ・回避+4       ファイターを一撃で
 ・ダッシュ打撃+4   葬るよう調整。
 ・ダッシュ連射?2

ピット「アロンをダッシュ打撃で撃破! をやってたからなぁ」

切嗣「その剣の鞘がアヴァロンというわけか」

パルテナ「あ、それ偽物ですよ」

アイリ「え?」

パルテナ「神器の神・ディントスに作ってもらった精巧な鞘ですから、気づかなくてもしょうがないですね」

切嗣「じゃあ、アヴァロンの特殊効果は!?」

パルテナ「当然ありません」

アイリ「そんな……」

切嗣「じゃあ君の宝具は何なんだ!?」

ピット「えーっと……何だっけ?」

パルテナ「こらこら、一番大事なところですよ?」

■宝具 【慈愛の女神の支援】(キセキ)

 RANK : EX++  種類 : 結界宝具 
対象 : 1?3

  ───光の女神・パルテナから受ける様々な支援

ピット「そう、奇跡! ……て、いつもと一緒じゃないですか」

パルテナ「あら? そんなこと言う天使は指輪にしちゃいますよ?」

ピット「い、いやけなしている訳ではなく……」

切嗣(EX++!? ……使える宝具なのか?)

ピット「エレカも『パルテナの支援、侮れないわ』って言ってましたしね」

パルテナ「奇跡によってステータスも若干変動します。一度確認してみてはいかがでしょう」

          【ステータス】

 真名 : Pit
クラス : セイバー(場合による)
 性別 : 男(?)
 身長・体重 : 13歳程度
 属性 : 秩序・善
 特技 : 潜入・正面突破
 好き : パルテナ・人類
 苦手 : 冥府軍全般
 天敵 : ミミッ子

筋力:A+  魔翌力:E  耐久:A  幸運:D  敏捷:B+  宝具:EX++

■クラススキル

 対魔翌力:EX+
……この世のありとあらゆる魔術を無効果。掛かった場合も自然と解ける。ナスにも強い。

 騎乗:A+
……獣であれば幻想種すら乗りこなせる。どんなGにも負けない。

■保有スキル

 神性:EX
……神霊適正の高さ。冥府の王を倒した天使にふさわしいランク。

 心眼(真):A
……ストーリー・天使の降臨で養われた戦闘を有利に進めるための洞察力。

 星の守護者:EX
……生きるもの全てを救った者にのみ現れる特殊スキル。あらゆる難行が「不可能なまま実現可能」になる。

アイリ(ナス……?)

パルテナ「クラススキルやステータスは、私の力で若干補正しています。どうやらピットは知名度による上昇補正を受けられないようなので……」

切嗣「だろうね。英霊に関しての知識はそれなりに持っているつもりだが、『ピット』なんて英霊聞いたことがない」

ピット「そんなぁ……。結構人類のために戦ってるのに」

切嗣「……何?」

パルテナ「ピットには我が軍の幹部として、人類を守る手伝いをしてもらってるんですよ」

切嗣「こんな子供にか?」

ピット「実年齢はもっと上だよ。それに、僕がパルテナ様の意見に賛同してやってることなんだ」

切嗣「……『光の女神』とか言ったな」

切嗣「僕は神など信じていない。何をしていようと、結果的に人類から争いは消えていないのだから」

ピット「パ、パルテナ様を悪く言うな!」

パルテナ「いえ、一理ありますね。人類が争わなくなる位には、豊穣を約束できれば良いのですが……」

切嗣「フッ……本心なのかどうだか」 コツッコツッ

ピット「どこへ行くんだ?」

切嗣「会議室さ。どこぞの女神のせいで作戦を練り直さなきゃならなくなったんでね」

切嗣(……相性の悪い騎士王でなかったのは、幸か不幸か……)

切嗣(いや。例えどんなサーヴァントであっても変わらない)

切嗣(僕は僕のやり方で、この聖杯戦争を勝ち抜く……!)







         - 43932:55:34

sagaと酉を付けることを提案する

期待

■オマケ

アイリ「師匠と!」

タイガ「弟子の!」

アイリ「お願い・アインツベルン相談室ー!」
タイガ「お願い・アインツベルン相談室ー!」


タイガ「ついにssにも進出ですね、師匠!」

アイリ「ふふっ、楽しみね。そんな記念すべき今日は、特別ゲスト・パルテナさんをお呼びしているわ!」

パルテナ「みなさん、おまたせ! パルテナの鏡のヒロインこと、パルテナです!」

アイリ「パルテナさんの豊富な知識があれば、相談も円滑に進むこと間違いなしよ!」

タイガ「おおー! 期待の新人というわけですね!」

パルテナ「いえいえ。fate の知識に関してはお二人の方がずっと上ですよ」

タイガ「そんなご謙遜を! 照れちゃうじゃないですかー」 エヘヘ


パルテナ「乗せられやすくてかわいいですね、この子」

アイリ「あげないわよ?」

パルテナ「ピットで我慢しますよ」

パルテナ「というわけで」

アイリ「このコーナーでは疑問や相談に、ネタバレしない範囲で答えていくわ」

タイガ「些細な質問でもドンと来い! です!」

パルテナ「どしどし応募、待ってますよ」




アイリ「『そんなことしている暇があればss書け!』と思った方!」

パルテナ「このssには書き溜めがありました。……そう、ありました」

タイガ「あろうことか、この残念な『ケイネス大好きっ子』は、それを全部消しちゃったんです。半分くらいまで書いてたのに」

アイリ「まあ立ち直るまでのちょっとした時間稼ぎよ。少々ペースが遅くても、目を瞑ってね」

パルテナ「第2話が始まるまでちょっと時間が空きますから、このスレは記憶の片隅にでも置いておいてください」

タイガ「では、第2話であいましょう! さようなら!」

>>10
ありがとう
こっちでもできたんだね

            ~間桐邸~

 ズアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァ

雁夜「ぐっ……ゴホッ」ゲホァ

臓硯「ほお……こやつが……」


???「───クックッ……」

???「ハッハッハッ……!」

???「アッハッハッハッハッハッハッ!!!」


雁夜「……臓硯……こいつは一体……なんだ……」ハァハァ

臓硯「こやつか。人類の味方であり敵でもあるイレギュラー───かつて神々の大戦で大罪を犯した異端児じゃ。御三家の中でもこやつを知るのは儂くらいじゃろうて」


雁夜「……こいつなら……時臣を……」

臓硯「儂らに聖杯をもたらすのじゃぞ───魔王よ」

         ~アインツベルン城~

イリヤ「イリヤもいっこ、みーつけた!」

切嗣「父さんも二個目をみつけたぞ」

イリヤ「えー!」

     キャッキャッ


ピット「……」

アイリ「ふふっ。意外だった?」

ピット「うーん、正直もっと冷たい人かと思ってた」

アイリ「まあそれは無理もないわね」

ピット「僕達と一緒にいるときはもっと機嫌が悪かったし……」

アイリ「多分、怒っているのよ」

ピット「何に?」

アイリ「あなたに戦闘をさせている者に。小さな男の子を戦場に縛り付ける者に」

パルテナ「私の事ですね」

アイリ(! いつの間に……)

ピット「パルテナ様は悪くありません!」

アイリ「ふふっ。セイバーはパルテナさんが大好きなのね。」

アイリ「そうね、パルテナさんだけではないわ。戦争が起こってしまう環境も、戦争という概念そのものも、切嗣にとっては腹立たしいのよ」

パルテナ「だからこそ『恒久的な平和の追及』……ですか」

ピット「結構いい人ですよね」

パルテナ「うーん……願いは良いのですが……」

ピット「何ですか?」

パルテナ「今回私がピットを送ったのは、この聖杯戦争で毎回かなりの死傷者が出るからなんですよね。切嗣があまりに極端な行動を取るなら、制限しなくてはなりません」

アイリ「そうね。あの人は時々そうやって自分を追い詰めてしまうわ……。パルテナさん、切嗣をよろしくお願いします」

パルテナ「ええ。もちろん。こういう時こそ女同士で協力しあわなくてはね」

切嗣「……くそっ」

パルテナ「お困りのようですね」

切嗣(! いつの間に───)

パルテナ「大方、『アイリとセイバーを共に陽動として行動させ、自分が敵のマスターを始末する。仮にアイリが傷ついてもアヴァロンで回復させる』という作戦が崩れてしまって、焦っているのでしょう?」

切嗣(こいつ心すら読むのか!?)

パルテナ「その作戦で大丈夫ですよ。私の奇跡には回復させるものもあります。アヴァロンのように『即時回復』とはいきませんがね」

切嗣「……要求は何だ」

パルテナ「あら、察しが良いことですね」

切嗣「宝具を発動させる・させないの主導権は君が握っているようだし、何より一人でここに来たんだ。アイリもセイバーも連れずに。聞かれたくないような要求があるんだろう?」

パルテナ「話が早くて助かります。では早速───」

ピットに勝てるやついるのか…

パルテナ「まず、敵のマスターの扱いについてです。敵のマスターは殺さないようにしてください」

切嗣「……それでは陽動の意味がない」

パルテナ「殺さなくても倒す手段はいくらでもありますよ。『マスターを拘束し無理矢理サーヴァントを自害させる』とか『麻酔でマスターを人質にし、サーヴァントに自害させる』とか」

切嗣「……」

パルテナ「どうかしましたか?」

切嗣「いや……女神と言う割には暴力的だと思ってね」

パルテナ「女神も時には残酷に、ですよ」

パルテナ「それに、死ななければ私の奇跡で癒すこともできますからね。多少傷がついてもかまいません」

切嗣(案外やり手だな……)


パルテナ「次に聖杯の扱いについてです」

パルテナ「正直うさんくさいんですよね、あれ」

切嗣「胡散臭い?」

パルテナ「奇跡といえど、やはり限界はあるものです。『何でも叶う』というのは何か裏があってもおかしくはないのですよ」

切嗣「……で、具体的にはどうしろと?」

パルテナ「我々が聖杯を手にしたとき、少し調査をさせて頂きたいのですよ。果たしてあれがどういうモノなのか」

切嗣(……表面上こう言ってはいるが、聖杯を奪う可能性もある。危険か?)

切嗣(いや。最後は令呪を使ってセイバーを自害させるだけだ。何もできない女神をよそに僕が願いを叶えれば良い。納得した振りをしておくべきだ)

切嗣「……分かったが、まだあるのか?」

パルテナ「ええ。最後が一番重要です」

パルテナ「ピットを信じてあげてください。彼は優秀な天使です」

切嗣「……それは、兵士としてか?」

パルテナ「いいえ。肉体的にも精神的にも、ですよ」

パルテナ「彼はどんなことがあろうとも諦めず、私の力となり人類を救ってきました。頼りがいのある天使ですよ」

切嗣「フッ。操り人形としては最高だな」

パルテナ「……あなたもいずれ分かりますよ。彼が根っからの『正義の味方』だということが」

切嗣(正義の味方───か。ふん。)



切嗣「それで、もし僕がその約束を守らなかった場合どうなるんだ?」

パルテナ「ピットは宝具を使えず、聖杯戦争から敗退するでしょう。まあそれに、あなたは約束を破れない」

切嗣「……?」

パルテナ「私がサーヴァントではないことは既にお気づきでしょう。あくまで、聖杯戦争の外部からピットを支援しているに過ぎません」

切嗣(英霊化していない神から支援を受ける、か……。ますますイレギュラーだな)

パルテナ「つまり、あなたの令呪は効かない。いつでも聖杯───アイリを殺す事ができます」

切嗣「!? なぜそれを……」

パルテナ「ピットのマスターであるあなたが私の声を聞くことができるのはまだ分かります。ですが、アイリに私の声が聞こえたのはいささか疑問でした。普通の人間には聞こえないはずですから」

パルテナ「調べてみたらまあ……。そりゃあ聞こえますよね、聖杯そのものなんですから」

切嗣「……人質って訳か。どうやら君とは仲良くできそうだ」

パルテナ「私もそう思いますよ。あなたが極端な行動に走らなければね」


パルテナ「話は以上です。では、お互いの目的のために最善を尽くしましょう」 スゥ



切嗣(……どうやら、僕はとんでもないサーヴァントを引いたのかもしれないな)



          - 43916:35:17

■オマケ

アイリ「じゃあ早速。舞弥さんお願いね」

舞弥「>>23 『ピットに勝てるやついるのか…』」

タイガ「あの……これ質問じゃないのでは?」

アイリ「細かいことはいいのよ」

パルテナ「これに関しては補足しておきたいことがあったので、採用しちゃいました。>>23 、ごめんなさいね」


アイリ「聖杯に召喚されたもの、その戦闘能力はどれくらいなのか、ゼッちゃん覚えてるかしら?」

タイガ「えっと、確か『戦闘機一機分』くらいでしたっけ?」

アイリ「ええ。その通りよ。まあ正確には『莫大な補給が必要』なものを例として挙げただけだから、あまりアテにはならないけれど」

タイガ「実際、アーチャーとかは絶対に戦闘機より強いですよね。宝具のせいもあるのでしょうか」

パルテナ「それでも、サーヴァントと原作のピットを比べるには可哀想なくらい実力差がありますね……」

タイガ「ピット君ってそんなに強いんですか?」

パルテナ「人類を滅ぼす冥府軍の拠点を単騎で崩壊させたり、大陸を削り取る地球外生命体をこれまた単騎で追い払ったり、1日で地上の半分を焼き尽くす力を持つ冥府の神を言うまでもなく単騎で討伐した、と言えばわかりますか?」

タイガ(チート過ぎます……)

アイリ「まあ安心して。今回は知名度による補正で弱体化しているから、ちゃんと他のサーヴァントとの調整はできているわ」

パルテナ「それに、私の支援も聖杯に制限されています。グラインドレールを引いたり、三種の神器を授けたり、理不尽な奇跡が使えたりすることはありません」

タイガ「サーヴァント全員、勝つ可能性はあるんですね」

パルテナ「まあこの ss ピットのものですし、勝つのはピ【ピー】」

タイガ「ネ、ネタバレは無しって言ったじゃないですか!」

パルテナ「あ……すみません、つい……」

            ~空港~

アイリ「ここが切嗣の生まれた国───!」

アイリ「どう、セイバー? 空の旅の感想は?」

ピット「うん……すごいね……」

アイリ「英霊ともなれば空を飛ぶくらい驚くほどでもないかしら?」

ピット「……いや……ホントすごいよ……ハハッ」

アイリ(な、何か悪いこと言っちゃったかしら)

パルテナ(ピットは翔べない天使なんですよ。人間に先を越されて、きっと嫉妬しているのでしょう)

アイリ「で、でもセイバーも練習すれば飛行機くらいなら操縦できるかもー、なんて……」

ピット「あ、それは操縦できるよ」

アイリ「……え? 飛行機操縦できるの!?」

パルテナ「ピットの持つ『騎乗スキル』は、乗り物という概念全てに適用されて能力ですからね。それに加えてランクはA+。その気になれば幻獣や神獣すら操りますよ」

ピット「気合いがあれば何でも乗れる! ですよ」

            ~車内~

アイリ「すごい活気ね!」

ピット「切嗣ももうこっちに着いてるんだよね」

アイリ「ええ、半日早くね。でも向こうから見つけてくれるから大丈夫よ。当面は状況の変化を見極めながら柔軟に、臨機応変に……」

アイリ「せっかくの日本だもの。戦いが始まる前に満喫しておかないと!」

ピット「大丈夫かなぁ。切嗣に怒られそう……」

パルテナ「まあまあ。アイリの初めてを大切にしてあげましょう」

ピット「? どういうことですか?」

アイリ「……私、外の世界を出歩くのはこれが初めてなの」

ピット「えっ!? じゃあずっとあのお城で?」

アイリ「もちろん何も知らないわけじゃないのよ? 切嗣が映画とか写真とか、外の世界の景色や出来事をいっぱい教えてくれたもの。……でもこの目で本当に世界を見るのはこれが初めて。だから……」

アイリ「ごめんなさい。はしゃぎすぎちゃった」

ピット「うーん……あ、そうだ! 運転手さん止まってもらえる?」

    キキッ

ピット「僕も地上界は久しぶりなんだよね。ちょうどおいしいもの食べたかったんだ!」

アイリ「セイバー……」

ピット「ほら、行こうよ!」タッタッタッ


アイリ「……ありがとう、ピット」

ピット「チャーハン! マーボー!」ルンルン♪

パルテナ「多分半分は食べたいだけでしょうけどね……すみません、うちの天使が」

アイリ「ううん、ピットは良い子ね。息子になって欲しいわ」

パルテナ「あげませんよ?」

アイリ「ふふっ。ちょっとした冗談よ。でも……」

アイリ「切嗣とイリヤとピットと、そしてあなたと。平和に暮らせたら、どんなに良い事でしょうね」

パルテナ「……」

アイリ「……なーんて! 切嗣が勝ったらきっとそんな世界が実現するわ!」

パルテナ「……その世界にあなたはいないのに?」

アイリ「! ……気づいていたのね」

パルテナ「まあ、女神ですので」

アイリ「……仕方ないのよ。元々そのために生まれたんだから」

アイリ「セイバーにはこのことは知らせないでもらえるかしら」

パルテナ「……分かりました」

アイリ「理由を聞かないのね」

パルテナ「大体察しはつきます。それに───」

パルテナ「ピットは『正義の味方』ですから」

アイリ「?」

パルテナ「ふふっ。いずれ分かりますよ」

            ~ホテル~

舞弥「装備品一式、全て到着しております。マダム達も既に冬木に到着し、動き始めています。これで他のマスターたちはマダムをセイバーのマスターと思い込むかと」

切嗣「分かった」

舞弥「昨夜遠坂邸で動きがありました。記録した映像です」

アーチャー『【Gate of Babylone】』

アサシン『ぎゃああああ』

切嗣「……この展開、どう見る?」

舞弥「出来過ぎのように思います。アサシンの侵入から遠坂のサーバントの攻撃までのタイムラグが短すぎます。気配遮断スキルを持つアサシンを事前に察知できたとは思いませんし……侵入者があることを承知していたのではないかと」

切嗣「サーバント戦では英霊の正体を秘匿するのが鉄則だ。なぜ遠坂はみすみすサーバントを晒すような真似をした?」

舞弥「見せる意図があった──ということでしょうか?」

切嗣「……警戒は怠るな」

             ~海岸~

アイリ「セイバー、海は好き?」

ピット「うーん……タナトスの時は結構冥府軍いたからなぁ……あんまり好きじゃないかも」

アイリ「なんだか申し訳ないわ。私達が平和に暮らしている間も、ピットはずっと戦っていたのね」

パルテナ「アイリこそ、本当は我々ではなく切嗣と町を歩きたかったのではないですか?」

アイリ「……あの人はだめよ。辛い思いをさせてしまうわ」

ピット「えー? おいし……楽しいのに」

アイリ「あの人は幸福であることに苦痛を感じてしまう人だから……」

ピット「!」

アイリ「……敵のサーヴァント?」

ピット「たぶん。あっちの方からだ」

パルテナ「100mほど先の物陰から気配を漂わせています。……どうやら我々を誘っているようですね」

アイリ「律儀ね。戦う場所を選ぼうってわけ。お招きに与るとする?」

ピット「望むところ!」

           ~コンテナ群~

ランサー「よくぞ来た。今日1日この町を練り歩いて過ごしたものの、どいつもこいつも穴熊を決め込むばかり……。俺の誘いに応じた猛者はお前だけだ」

ランサー「その清澄な闘気、セイバーとお見受けしたがいかに?」

セイバー「いかにも! 光の女神パルテナが使い、ピット! ……で君は?」

ランサー「……ランサーだ。名乗りを交わすことのできぬ非礼をどうか許して欲しい」

アイリ「セイバー、気をつけて! 私もできる限りのサポートはするけど……」

ピット「大丈夫、任せて! アイリは隠れてて!」

パルテナ「ただ、相手のマスターが姿を見せないのは気がかりですね。警戒しておいてください」

アイリ「分かったわ。ピット、この私に勝利を!」

ピット「合点承知!」



         - 43890:38:25

あれか、アーチャー、ライダーあたりにも適正はあるけど今回はセイバーで呼ばれましたって奴か
ところでナチュレ様の登場予定はありますか?

   ウリャアアアアアァァァァ!   ハアアアアァァァァ!  キンッ

切嗣「始まっているな。……誰かが結界を張っている。恐らくは敵サーヴァントのマスターだろう」

      フン!   ブン   ナンノ!

舞弥「……あの上からなら戦場が隈なく隅々まで見渡せますが」

       ハァッ!   ズガッ   ウワッ!ケムタイ…

切嗣「確かに監視にはあそこが絶好だ。───誰が見たってそう思うだろう」

     チョ、エンマクキンシエンマクキンシ!   モンドウムヨウ!

切嗣「舞弥は東側の岸壁から回り込め。僕は西側から行く。セイバーたちの戦闘と、あのデリッククレーンの両方を見張れるにポイントにつくんだ」

      ワー!ヤメテー!       ノガスカッ!

舞弥「分かりました」  タッタッ…

      ウウ、マエガミエナイ…アロンミタイダ

切嗣「では、お手並み拝見───大丈夫なのかこれは」

アイリ「ピットは2本の槍を同時に警戒してるんだわ。ランサーの切り札はどちらの槍か分からないから……」

ピット(長い方なのか短い方なのか……。もう分かんない!)

パルテナ「せめて真名さえ分かればいいんですけどね」

     カッ     キンッ     ザザッ

ランサー「どうしたセイバー、攻めが甘いぞ?」

ピット「まだまだこれから!」 ズギュゥゥン!

ランサー「!」 サッ

ランサー(何とまた卦体な剣を……遠距離すらこなすか)

ランサー(しかしこうも我が槍の刃を打ち返すとは……この天使(?)手練の剣士だ)



切嗣「舞弥。セイバー達の北東方向───倉庫の屋根の上にランサーのマスターがいる。見えるか?」

舞弥『……いいえ、私の位置からは死角のようです』

切嗣「分かった。こちらで仕留める───?」

アサシン「……」

切嗣「アサシン……?」

             ~電話~

綺礼「未遠川河口の倉庫街で動きがありました。いよいよ最初の戦闘が始まったようです」

時臣「最初という言い分はあるまい。公式には『第2戦』だよ、綺礼』

綺礼「……戦っているのはどうやらセイバー、それにランサーのようです」

時臣「アサシンの目からでもサーヴァントステータスは読み取れるか?」

綺礼「問題な───!?」

時臣「? どうした?」

綺礼「……ステータスの読み取りを何者かに妨害されました」

時臣「……そうか。どうやらこの聖杯戦争、簡単には勝てないらしい」



パルテナ「ジャミングの奇跡!」 ジジジジジジジ…

ピット「どうかなさったんですか?」

パルテナ「いえね。戦いを盗み見る輩がいたもので」

ランサー(確かに奴の間合いは広い。だが……)

ランサー「速さではこちらに分がある!!」 シュッ

ピット「うわっ!」 パシュッ

ランサー「!?(消えた───いや、後ろ!!)」クルッ

ピット「あ、危なかった……」

パルテナ「張っといて良かったですね、空蝉」


???「いつまでセイバーと戯れているつもりだ? ランサー」

ピット「この声は……?」

アイリ「ランサーのマスター!?」


???「そこのセイバーは強敵だ。速やかに排除しろ」

???「宝具の開帳を許す」

ランサー「……了解した!」

     カラン
       クルクル
          パシッ!

ピット(! あの長い方がランサーの……)

ランサー「行くぞ、セイバー!」 ダッ

ピット「させるか!」 ポンッ

     ズバッ

ピット「! 弾を切った!?」

ランサー「そこっ!」 ブン

ピット「くっ! ここは空蝉で……」

     ズシャッ

ピット「痛っ!?」

アイリ「!? 斬った!?」

パルテナ「回復の奇跡!」 パアアアアァァァ…


ランサー「……やはり、そう易々とは勝ちを取らせてはくれんか」

ピット「あ、ありがとうございます、パルテナ様!」

パルテナ「ピット、気を付けなさい。どうやらあの槍、魔力を断つようです」

ランサー「先程の瞬間移動のような術……今貴様が纏っている魔力の衣の効果だろう?」

ピット(バレてる……)

ランサー「もしそれを頼りにしているなら諦めることだな。我が【破魔の紅薔薇】(ゲイ・ジャルグ)はその衣を簡単に切り裂く」

ピット「斬られちゃうなら脱ぎ捨てるまで!」 シュン

ピット(ホントはただの時間切れだけど)

ランサー「……なるほど、防御を捨てるか。まさに乾坤一擲、その姿勢は評価しよう」

ランサー「だがセイバー、それは失策だったぞ」

ピット「どうかな? 次で決着をつけてやる!」

ランサー「ああ───来い、セイバー!!」


ピット「でやああああぁぁぁ!!!」
ランサー「ハアアアアァァァ!!!」

ランサー(本当に……失策だったぞ、セイバー)

      ガッ
       ヒュンッ
         パシッ!

ピット「短い方!?」

パルテナ(宝具は決して単一とは限らない。───罠でしたか)

ピット「ぐっ……!」


      ズバッ


           ~橋上~

ライダー「うーむ……まずいな」

ウェイバー「こ、ここ以上に何がまずいってんだよー!」ブルブル

ライダー「ランサーのやつ、決めにかかりおった」

ウェイバー「相討ちしてくれるなら良いじゃないか!」

ライダー「何を言っとるバカ者」バチッ

ウェイバー「へぶしっ!」

            (略)

ライダー「行くぞ坊主! それともここで待っとるか?」

ウェイバー「いぎます……連れてけバカあ!」

ライダー「うむ! それでこそ我がマスターよ!」


           ~コンテナ群~

ランサー「……どうも勝ちは取らせてはくれんな。だがその左腕───頂いたぞ!」

ピット「くっ!(腱が……)」

???「何を言っている。仕留め損ねおって……」つ回復

ランサー「感謝します、我が主よ!」

ピット「パルテナ様、僕にも回復を!」

パルテナ「あれ? 効いてませんか?」


ランサー「衣を解いたのが致命的だったな。そうでなければこの【必滅の黄薔薇】(ゲイ・ボウ)は防げたものを」

パルテナ「……治癒不可能の呪いを与える槍。やはり彼は……」

パルテナ「ようやく分かりました、彼の正体が」

ピット「マジですか!」

パルテナ「ええ。……もっと早くに気づくべきでした」

パルテナ「魔力を断つ魔破の赤槍、そして不治の傷を与える呪いの黄槍……」

パルテナ「フィオナ騎士団騎士、『輝く顔のディルムッド』」

ピット「でぃるむっど……」

ランサー「……フッ。知られてしまったようだな」

ランサー「ようやく互いの名が知れたところで、再び始めようか、ピット。それとも、動かぬ左腕をで戦うのは不満かな?」

ピット「冗談! まだまだこれから!」

ランサー「そうこなくてはな!」

アイリ(ピット……ここは一度退かせるべきかも……)

       \  モー  モー  ズドドド…/

アイリ「……? あれは……!」


ライダー「ALALALALALALALALALAAAI!!」

       ズザアアァァ!

ピット「な、何だ!?」

ライダー「二人とも剣を収めよ! 王の前であるぞ?」

ランサー「お前は……?」

ライダー「我が名は征服王イスカンダル! 此度の聖杯戦争においてはライダーのクラスを得て現界した!」

ウェイバー「……う~~~、バカあああぁぁぁ!!!」


ランサー(……真名を明かすサーヴァントが二人もいようとはな)

ピット(左腕痛いなー)




          - 43890:00:00

■オマケ

舞弥「>>47『アーチャー、ライダーあたりにも適正はあるけど今回はセイバーで呼ばれましたって奴か。ところでナチュレ様の登場予定はありますか?』」

パルテナ「そうですね。今回はたまたまピットが撃剣を装備していたのでセイバーで呼ばれました」

パルテナ「まあ正直、神器によってだいぶ能力が変わりますから『セイバー』というのもあまりアテにしないでください」

タイガ「どういうことですか?」

アイリ「ピットの神器はそれ自体に能力が付加されてることが多いのよ。例えば、『見えない射爪』を装備すれば足音が消える。『気配遮断』と同じ効果が期待されるわ」

パルテナ「『射爪オレパンチ』を装備すれば敏捷は上がりますし、他のサーヴァントのようにクラス補正がきちんと掛かった状態にはならないのですよ」

アイリ「そこが強みでもあるのよ? 敵サーヴァントに対応した能力で戦うことができれば、勝率はグッと上がるわ」

タイガ「アルトリアと同様、『最優のサーヴァント』ということですね」

タイガ「このナチュレ様というのは……?」

パルテナ「新パルに出てくる神の一人、『破壊王ナチュレ』のことですね。今回は出番ありません」

ナチュレ「待て待て待て! 訂正箇所が多すぎるぞよ!」

パルテナ「あら、いたんですね」

ナチュレ「当然じゃ! ちゃんとわらわも出番あるからな!」

ナチュレ「あと破壊王じゃない。自然王じゃ『し・ぜ・ん・お・う』!」

アイリ「あら? ナチュレさん確か3レス分くらいしか登場しないんじゃ……?」

ナチュレ「3レスじゃろうと1レスじゃろうと出るもんは出るのじゃ」

パルテナ「まあ3レスじゃ可哀想ですし、しばらくオマケコーナーに居てもらいましょうか」

ナチュレ「哀れみかい……」

舞弥「賑やかになってきましたね」

ウェイバー「何を考えてやがりますかこの馬鹿は!!」

         ビシッ   < アウッ(´Д`)

ライダー「うぬらとは聖杯を求めて相争う巡り合せだが、まずは問うておくことがある」

ライダー「うぬら、ひとつ我が軍門に下り聖杯を余に譲る気はないか? さすれば余は貴様らを朋友として遇し、世界を征する快悦を共に分かち合う所存でおる!」

ランサー「その提案には承諾しかねる。俺を聖杯を捧げるのは今生にて誓いを交わした新たなる君主ただ一人だけ……断じて貴様ではないぞ、ライダー!」

ピット「僕もパルテナ様がいるしね」

ライダー「ふむ。……待遇は応相談だが?」

ランサー「くどい!」

ピット「僕はいつでもパルテナ様についていくんだ!」

パルテナ「あら? ナチュレの下にいたこと、ありませんでしたっけ?」

ピット「そ、それは背に腹ってヤツで……」

ライダー(パルテナ? どこかで聞いたような……)

切嗣「……あんな馬鹿に世界は一度征服されかかったのか?」

ウェイバー「大体お前は!───」

???「そうか。よりによって貴様か? ……一体何を血迷って私の聖遺物を盗み出したのかと思って見れば、まさか君自らが聖杯戦争に参加する腹だったとはねえ。ウェイバー・ベルベット君」

ウェイバー「ケ、ケイネス、先生……!」

ケイネス「君については私が特別に課外授業を受け持ってあげようではないか。魔術師同士が殺し合うという本当の意味……その恐怖と苦痛と余すところなく教えてあげるよ。光栄に思いたまえ!」

ウェイバー「ううっ……」ガチガチガチ

ライダー「おう、魔術師よ! 察するに貴様は、この坊主に成り代わって余のマスターとなる腹だったらしいな。だとしたら片腹痛いのう」

ウェイバー「ふぇ……」

ライダー「余のマスター足るべき男は! 余と共にに戦場を馳せる勇者でなければならん! 姿を晒す度胸さえない臆病者なぞ、役者不足も甚だしいぞ!」

?ウェイバー「ラ、ライダー……」

ライダー「他にもおるだろうが。闇に紛れて覗き見しておる連中は!」

ピット「どういうことだ?」

ライダー「セイバー、それにランサーよ。うぬらの真っ向切っての競い合い、誠に見事であった。あれほど清澄な剣戟を響かせては、惹かれて出てきた英霊がよもや余1人ということはあるまいて」

ライダー「聖杯に招かれし英霊は今ここに集うがいい! なおも顔見せを怖じるような臆病者は、征服王イスカンダルの侮蔑免れぬものと知れぃ!」



時臣「これは……」

綺礼「はい」

時臣「まずいな」

綺礼「まずいですね」



       サアアアアアアァァァァ……

アーチャー「───ふん」


ウェイバー「あいつは……!」

アイリ「アサシンを倒した、サーヴァント!」

アーチャー「我を差し置いて『王』を称する不埒者が湧くとはな」

ライダー「難癖つけられたところでなぁ。イスカンダルたる余は世に知れ渡る征服王に他ならんのだが」

アーチャー「戯け。真の王たる英雄は天上天下に我ただ1人。あとは有象無象の雑種に過ぎん」

ピット「誰ですか? あの金ピカ」

アーチャー「金ピ……!」

ライダー「言うのう」

パルテナ「うーん、見た目だけでは解りかねますね。名前言わないなんてケチな王様ですね」

アーチャー「……王たるこの我に向けて、我が拝謁の栄に浴してなお『金ピカ』などと申すか。そんな蒙昧、生かしておく価値すらない!!」

      【Gate of Babylone】
 シャララララララ……

ライダー「! なるほど、あれでアサシンをやったのか」

切嗣「あれが奴の宝具……」




雁夜「殺せ。バーサーカー!」


    ズアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァ……

???「アッハッハッハッハッ!!!!」


ランサー「何っ!?」

ライダー「お前は───!」


ピット「ガイナス!?」


ガイナス「久しぶりだな、ピット。だがお前と遊んでいる暇はない。用があるのはそこのアーチャーだ」


アーチャー「ほお……。狂犬の分際で我に楯突くというのか?」

ガイナス「履き違えるな。たかが人間が私と同等である道理はない」

アーチャー「───雑種が……! せめて散り様で我を興じさせよ!」

    シュシュシュシュッ!

ガイナス「……フン」


        ポポポポポポポポンッ!

ライダー「なんと!」

ウェイバー「全部撃ち落としやがった……」



ガイナス「それで終わりか?」


アーチャー「───戯け!!!」

    ズダダダダダダダダダダダダダダ……
    ポポポポポポポポポポポポポポポ……


ピット「相変わらず強いなあ。絶対2面のボスじゃないよ」

ランサー「なあ、征服王。あいつには誘いをかけんのか?」

ライダー「……奴とは確執があってな。まあ考えておこう。それより坊主よ、サーヴァントとしちゃどの程度のもんだ、ありゃ?」

ウェイバー「───────ケモノ」

ライダー「ん?」

ウェイバー「バケモンだ、あいつ」ガチガチガチ

          【ステータス】

クラス : バーサーカー
 属性 : 混沌・悪
 苦手 : 善
 天敵 : 天使

筋力:A  魔力:EX 耐久:A  幸運:E 敏捷:B 宝具:EX

■クラススキル

 狂化:A
……全てのパラメータをランクアップさせる。

■保有スキル

 怪力:A
……魔物、魔獣のみが持つとされる攻撃特性で、一時的に筋力を増幅させる。

 カリスマ:C
……軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる。

心眼(真/偽):A
……修行・鍛錬によって培った洞察力。に更に鎧の効果を組み込んだもの。

精神汚染:EX
……精神が錯乱しているため、他の精神干渉系魔術をシャットアウトできる。ただし、同ランクの精神汚染がされていない人物とは意思疎通ができない。

ピット「うわぁ……」

アイリ「ドン引きするほど高性能ね……」

ウェイバー「あんなやつ、勝てるわけない……」ガチガチガチ

ライダー「バカ者! 勝負はステータスだけでは決まらん! バーサーカーにはない『戦術』を使って勝ってこその征服だ!」

ピット「でも、あの鎧が宝具だったらそうも言ってられないかも……」

ランサー「何?」



アーチャー「何だ。口ほどにもないな」 ヒュッ

ガイナス「くっ……」

     ズガアアァァァン
        モクモクモク……

アーチャー「───! そこか」 ヒュッ

マント「ぎゃあああああああ!」

アーチャー「何っ!?」

ガイナス「そろそろ降りたらどうだ?」

      ズバッ!


ランサー「マントを陽動にして背後に回ったか……。奴め、本当にバーサーカーか?」

ライダー「狂化して理性をなくしているにしては、えらく芸達者な奴よのう」

パルテナ「あの鎧は冥府軍の特製。絶大な魔力と魔王としての使命を与えはしますが、理性は保たれたままですからね」

ピット「また鎧を壊せば邪気は抜けると思うけど……」



アーチャー「痴れ者が……! 天に仰ぎ見るべくこの我を同じ大地に立たせるか? その不敬は万死に値する! そこの雑種よ! もはや肉片1つも残さぬぞ!!」

  シャララララララララララララララララララ───

ピット「で、でかい!」

ランサー「まずいな……」

ライダー「本気ってわけか?」

ガイナス「面白い」

   ギュイン    ギュイン   ギュイン  ギュイン ギュイン

ピット「ちょ、ビームはヤバいって……!」


            ~電話~

綺礼「ギルガメッシュは本気です。更に【Gate of Babylone】を解き放つ気でいます」

時臣「必殺宝具を繰り返し衆目に晒すとは、なんと軽率な……」

綺礼「我が師よ、ご決断を」

時臣「……令呪を持って奉る。英雄王よ、怒りを鎮め撤退を」



           ~コンテナ群~

アーチャー「! 貴様ごときの諫言で王たる我に退けと? 大きく出たな、時臣」

アーチャー「命拾いしたな、狂犬。雑種ども! 次までに有象無象を間引いておけ! 我と見えるのは真の英雄のみでよい!」

    サアアアアアアァァァァ……
?
ピット「た、助かった……?」

パルテナ「いけない、ピット!」

ピット「え?」


         ギイィィイン!

ガイナス「ああ……ようやくだ……。会いたかったぞ、ピット!!」

ピット「僕は全然会いたくなかったけどね! なんで聖杯戦争に出てるんだ!?」

ガイナス「お前に復讐するためだ!!」

    ポポポポンッ

ピット「ぐっ!」 ズバッ  ズバッ


パルテナ「話は聞いてくれないみたいですね」

アイリ「ピットの知り合いなの? それに復讐って……」

パルテナ「彼は『魔王ガイナス』。とある傭兵だったのですが、冥府軍に捕らえられて無理矢理あの鎧を着せられた挙げ句、冥府軍の幹部に仕立てあげられた可哀想な人です」

パルテナ「一度ピットに倒されて正気に戻ったのですが…………バーサーカーの縛りでまた魔王と化したのかもしれません」


ガイナス「その程度か! ピット!!」

ピット「つ、強い……」


    ガッ!

ガイナス「!」

ランサー「悪ふざけはその程度にしてもらおうか? バーサーカー!」

ランサー「そこのセイバーにはこの俺と先約あってな。これ以上つまらん茶々を入れるつもりなら────俺とて黙ってはおらんぞ……!」 チャキ

ピット「ランサー……」

ガイナス「邪魔をするなら消し炭になってもらう」 スッ



ケイネス「何をしているランサー。セイバーを倒すなら今こそが好機であろう」

ランサー「セイバーは必ずやこのディルムッド・オディナが誇りに賭けて討ち果たします! なんとなれば、そこの狂犬めも先に仕留めてご覧に入れましょう。故にどうか! 我が主よ!」

ケイネス「令呪をもって命じる」

ランサー「主よ……!」



ケイネス「バーサーカーを援護して、セイバーを殺せ」


ピット「ラ、ランサー……?」

ランサー「ピット─────すまん」

    ヒュンッ    ガッ!

ピット「わーん! またこのパターンだよ!!」

ガイナス「とことん二対一に縁があるようだな」



アイリ「まずいわ! ピットを脱出させないと!」

パルテナ「やはりテレポートの奇跡は持ってくるべきでしたね……。どうしましょう?」

アイリ(切嗣……! なんとかこの場を───)



切嗣「今この場でランサーのマスターをやる。状況を打破できる手段は他にない。舞弥、僕のカウントに合わせてアサシンを攻撃しろ。制圧射撃だ」

舞弥『了解』


切嗣「6」
切嗣「5」
切嗣「4」
切嗣「3」
切嗣「2」
切嗣「1────」


     ドガ────────ン!!

切嗣「!?」

ガイナス「ぐあっ!!?」

     ゴロゴロゴロ……

ピット「ライダー!?」

ライダー「ほお……生きとるか! なかなかどうして根性のある奴」

ガイナス「───今夜はここまでだ。次に会うときは覚悟しておけ」

    スウッ

ライダー「とまあ、こんな具合に黒いのにはご退場願ったわけだが……」

ライダー「ランサーのマスターよ! どこから覗き見しておるか知らんが、下衆な手口で騎士の戦いを汚すでない。ランサーを退かせよ! なおこれ以上そいつに恥をかかすというのなら、余はセイバーに加勢する。2人がかりで貴様のサーヴァントを潰しにかかるが……どうするね?」

ケイネス「……チッ。撤退しろ、ランサー。今宵はここまでだ」

ランサー「……感謝する。征服王」

ライダー「なあに。ちっちゃいのは愛でるタチでな」

ピット「ちっちゃくないやい!」


    スウッ

ピット「ありがとうライダー! でも何でこんなことを?」

ライダー「フム? ……さてな。そういうことはあまり深く考えんのだ」


アイリ「ピット! 左腕は大丈夫!?」 タタッ

ピット「けっこう痛い」

ライダー「呪いか……。厄介だな」

パルテナ「えいっ」つ状態異常回復 


    パアアアアアアアァァァ……

ピット「あ、治った」

ライダー「!?」

アイリ「え!?」

ピット「もー、パルテナ様~。治せるんだったら先に治してくださいよ」

パルテナ「あまり敵に手の内は見せたくありませんからね」

ライダー「こいつは驚いた!」

アイリ「宝具の効果をこんなにあっさり……信じられないわ」

ライダー(益々面白い!)


ライダー「あー、すごいところ悪いのだが、この声の主は一体……?」

ピット「あ、そうか。今まで聞こえてなかったのか」

パルテナ「ピットの保護者のパルテナです。以後お見知りおきを」

ライダー「ほお! セイバーの!」

ピット「……ちょっと違うけど、まあいいや」


ライダー「しかし、見られたくない手の内を余に見せて構わんのか?」

パルテナ「んー……手の内を見せた代わりに、この場を見逃してもらうというのはどうでしょう?」

ピット「さすがパルテナ様、転んでもタダでは起きない……」

ライダー「ヌハハハ! 安心せい。今やり合う気はない」

アイリ「良かった……」 ホッ


ライダー「それにセイバーよ。まずはランサーとの因縁を清算しておけ。その上で貴様かランサーか、勝ち残ってきた方と相手をしてやる」


       \ サラバダー! /



アイリ「……ありがとうピット。あなたのおかげで生き残れたわ」

ピット「いやー、ちょっと危なかったけどね! アイリのおかげだよ」

アイリ「セイバー……」

パルテナ「とは言っても勝負はこれからです。今夜の局面はこれから始まる戦いの最初の一夜に過ぎません」

アイリ「そうね」

パルテナ「いずれも劣らぬ強敵ぞろいでした。ただ1人として尋常な敵はいません」

アイリ「これが聖杯戦争────」

ピット「頑張らなくっちゃ!」


           ~裏路地~

雁夜「───ハハッ、ハハハハッ! 俺のバーサーカーの前から尻尾を巻いて逃げやがった! あの高慢ちきな野郎の顔に泥を塗ってやったぞ! 時臣……貴様の吠え面を見たかったぜ……! うっ」 ビチャビチャ

雁夜「……バーサーカーめ、セイバーに向かって暴走しやがって……。これから先もこのザマじゃあ体が持たない」

雁夜「だが制御できればやれる! 待ってろよ、桜!」


           ~貯水槽~

龍之介「すっげー! マジにすげー! なあ青髭の旦那、あれ全部マジなんでしょ!? SFXでもなんでもない、ガチだったんだでしょ!!? たまんねえ!」

龍之介「で、聖杯戦争だったっけ? 旦那も今のあれに噛むんでしょ!? ……旦那?」

キャスター「───見つけた」

龍之介「見つけたって、えーと……?」

キャスター「見たまえ! 彼女こそ根源だ! あの麗々しいき面影、神神しき居住まい! あれこそ神の皮を被った悪魔だ!」

龍之介「知り合い?」

キャスター「間接的には。彼女を見捨て屈辱のうちに滅ぼした神が今! 目の前に存在する! これが、これほどの奇跡が我が復讐の成就でなくしてなんだというのか!! 悪魔よ! すぐにも駆せ参じてさしあげよう……!!」




         - 43890:00:00



             ~峠~

アイリ「ね? ね? 結構スピード出るもんでしょう、これ!」

ピット「じ、Gがかかる運転ですね!」

アイリ「でしょう! こう見えても猛特訓したのよ。切嗣が持ってきてくれたおもちゃの中でも、これが一番のお気に入りなの!」

ピット「お、おもちゃ……なの?」

アイリ「お城じゃ中庭をグルグル回るだけだったからもう最っ高!!」

パルテナ「専門の運転手を雇っても良かったのでは?」

アイリ「ダメよ! つまんな───じゃなくて危険ですもの。ここで敵に襲われたらどうするの?」

ピット「それはそうなんだけど……うっぷ」


パルテナ「! 噂をすればなんとやら、ですよ。サーヴァントの気配です」

アイリ「えっ!?」

ピット「マジですか!?」


キャスター「さあ神よ! いざ復讐の時!!」


ピット「まずいですよ! どうします!?」

パルテナ「うーん…………轢いちゃえば良いんじゃないですかね」

ピット「えっ?」

アイリ「OK! しっかり掴まっててね!!」

ピット「えっ!?」


     ギュイイイイイイイィィィィィン!!


ピット「うわああああああああ!!!」

アイリ「はあああああああ!!!」

パルテナ「お見事です、アイリ!」


     ゥゥゥウイウゥゥゥゥゥ……


キャスター「───無視、ですと?」


ピット「サ、サーヴァントはどうなったんですか……?」

パルテナ「うーん、霊体化して事なきを得たようですね。残念です」

ピット「倒す気だったんですか!?」

パルテナ「追いかけられても面倒ですし、全力でトンズラしてしまいましょう!」

アイリ「まかせて! 全速前進よ!」

パルテナ「さすがアイリですね!」

     ギュイウウウン───

ピット(この二人…………やっぱり似てる…………ダメなところで…………)




キャスター「キイーッ! 女神めえええええええ!!!!」  スッ



アサシン「セイバーのマスター追跡に思わぬ余録、よもやキャスターを捕捉できるとは……。無論追わぬ手はあるまいて」 サッ


            ~ホテル~

『この時間は番組の編成を変更して緊急ニュースをお伝えしています。冬木市湾岸地区の倉庫街で、原因不明の爆発───』 Pi

ケイネス「……今宵はなぜセイバーを仕留められなかった? 一度ならず二度までも、更にこの私の令呪を1つ削いだ上でもなおだ! セイバーとの競い合いはそんなにも楽しかったか?」

ランサー「そのようなことは。騎士の誇りに賭けて、必ずやあのセイバーの首はお約束致します」

ケイネス「改めて誓われるまでもない! 当然であろう? 貴様は私に聖杯をもたらすと契約したのだ。それを今更、たかだかセイバー1人について必勝を誓うだと? いったい何を履き違えている?」


ソラウ「履き違えているのはあなたではなくて? ロード・エルメロイ」

ケイネス「! ソラウ……」

ソラウ「ランサーはよくやったわ。間違いはあなたの状況判断じゃなくて」

ケイネス「セイバーはとりわけ強力なサーバントだ。あの場で着実に倒せる好機を逃すわけにはいかなかった」


ソラウ「治癒不可能の手傷を負わせたんだもの、捨て置いたところでいつでも倒せたでしょう(※負ってません)」

ソラウ「そこまでセイバーを危険視していたのなら、どうしてあなたセイバーのマスターを放っておいたの? ただ隠れて見てるだけで、情けないったらありゃしない」

ソラウ「ケイネス、あなたが他のマスターに対してどういうアドバンテージを持っているのか、理解してないわけじゃないでしょう?」

ソラウ「本来の契約システムに独自なアレンジを加えた、サーヴァントとマスターの変則契約───あなたが令呪を宿し私がもう1人のマスターとして魔力の供給をする───さすが降霊科随一の神童と謳われただけのことはあるわ」

ケイネス「だが序盤のうちは慎重に……」

ソラウ「あらそう? なのにランサーだけに結果を急がせるわけ?」

ランサー「そこまでにして頂きたい。それより先は我が主への侮辱だ。騎士として見過ごせぬ」

ソラウ「! いいえ、そうなつもりじゃ……。ごめんなさい。言い過ぎたわ」


ケイネス(許嫁の私より……そのサーヴァントの言葉の方が君にとって重いというのか……!?)


     ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリ

ソラウ「な、何? 何ごと?」

     Prrrrrrrrrr Prrrrrrrrr…… ガチャ

ケイネス「───下の階で火事だ。間違いなく放火だろうな」

ソラウ「放火? よりによって今夜?」

ケイネス「人払いの計らいだよ」

ソラウ「じゃあ襲撃?」

ケイネス「セイバーのマスターは可能な限り早急に槍の呪いを解消したいところだろうからな(※解消してます)。ランサー、下の階に降りて迎え撃て! 無碍に追い払ったりするなよ?」

ランサー「承知しました」

ケイネス「ご客人にはケイネス・メルメロイの魔術工房をとっくりと堪能してもらおうではないか? フロア1つ借り切っての完璧な工房だ」

ケイネス「結界24層、魔力炉3器、猟犬代わりの悪霊魍魎数十体……。無数のトラップに廊下の一部は異界化させている空間もある。お互い存分に秘術を尽くしての競い合いができようというものだ。私が情けないという指摘、すぐにでも撤回してもらうよ?」

ソラウ「ええ、期待してるわよ」


    ドガ──────────────ン!!!!

  \キャー ナニアレー/  \バクハツー?/  \マジカヨコエー/


切嗣「……死んでいると良いんだがな」

──────────────────────────

パルテナ『爆破ですか?』

切嗣『そうだ。奴はまだセイバーが手傷を負っていると勘違いしている。これを利用しない手はないが、今襲撃しておかないと不自然だ』

パルテナ『なるほど。ではどこを爆破するんですか?』

切嗣『奴等の拠点であるホテル───あの魔術工房は正直危険だ。ある程度の規模で爆発を起こしたい』

パルテナ『ならいっそ、ホテルごと爆発してしまいましょう』

切嗣『……いいのか? マスターが死ぬぞ?』

パルテナ『何を言っているんですか切嗣。この程度の爆発で魔術師が死ぬわけないじゃないですか』

──────────────────────────

切嗣(150mの高みからの自由落下───どんな魔術結界で防備を固めていても助かる術はないと思うが……。大丈夫かあの女神)


          ~爆破跡地~

綺礼(……それにしても建物もろとも爆発するとは、魔術師とは到底思えんな。いや、魔術師の裏をかくことに長けているということか?)

綺礼「! 誰だ?」

舞弥「……言峰綺礼」 スッ

            (略)

綺礼「逃げられた……か。まあいい。あの女を助ける存在がいるというだけで今夜のところは収穫だ」

アサシン「綺礼様!」

綺礼「……表ではみだりに姿を晒すなと言っておいたはずだが?」

アサシン「恐れながら早急にお耳に入れておかなければならぬ議がございました故。───ついにキャスターを捕捉致しました」

綺礼「!」



         - 43896:37:23

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