安部菜々「真(チェンジ!!)ロボマエカワ ウサミン最後の日」 (31)


塩見周子「結局プロダクションマッチフェスティバルSのSってなんだったんだろうね」

安部菜々「Sが付く、で思い出すのはセーラームーんっふぇっふっはァ! 何でもないです!」

周子「ソダネー」

ガチャ

木場真奈美「……菜々君、ここにいたか」

菜々「あ、真奈美さん! おはようござ――」

ガシッ

菜々「へ?」

真奈美「晶葉君の研究室を襲ったという疑いが君にかかっている。ちょっと来てくれないか?」

周子「……え?」


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菜々「そんな、急に何を……」

真奈美「証拠もある。この写真を見てくれ」

周子「この後姿は……」

菜々「こ、これは……!」

真奈美「付いて来てくれるか?」

菜々「ち、違います! 私じゃありません……私じゃないんですぅぅぅぅぅっ!」

周子「菜々さん……」


姫川友紀「……菜々ちゃんが木場さんに連れてかれてもう一週間だね」

周子「晶葉ちゃんも壊された発明品の修理にかかりっきりで事務所に顔出さないし……」

友紀「菜々ちゃんと周子ちゃんとあたしで組む予定だったユニット、今も二人でレッスンを続けてるけどどうなるんだろう……」

ガチャ

菜々「……」

友紀「菜々ちゃん!」

周子「よかった、菜々さんは無実やねんね?」

菜々「……」

周子「……菜々さん?」


菜々「……!」シュッ

周子「友紀ちゃん危ないっ!」

友紀「うぐっ!」ドスッ

周子「に、ニンジンが友紀ちゃんの肩に……!?」

友紀「菜々ちゃん、一体何が……!」

???「待ちなさい!」

菜々「!」バシイッ

ガシャァンッ

周子「みくちゃん!?」


前川みく?「いいえ、違います……」プシュゥ

周子「みくちゃんの顔が開いた!?」

友紀「みくちゃんの中に菜々ちゃんが!?」

菜々「ごめんなさい友紀ちゃん、私が駆けつけるのが一歩遅かったせいで……」

友紀「いや、いいけどこれは……」

真奈美「それは私が説明しよう」

周子「木場さん!」


真奈美「初めに言っておこう、晶葉君の研究室を襲った事に関して菜々君は無実だ」

周子「よかった……菜々さんがそんなことする人じゃないって事、あたし信じてたよ」

菜々「周子ちゃん、ありがとうございます……! いえ、今はそんなことを言ってる場合じゃないんです!」

真奈美「周子、私が菜々君を連れていった時の事を覚えているかい?」

周子「うん。木場さんが晶葉ちゃんの研究室を襲ってる菜々さんの写真を見せて……あれは菜々さんじゃないの?」

菜々「あれはナナじゃなくてウサミン星に伝わる守護神、ウサミンカイザーなんです。なぜか暴走してしまっていますけど……」

友紀「星の守護神ならカイザーじゃなくてダイザーじゃないの?」


真奈美「そして偶然のあが使っていて無事だったみく型パワードスーツ、ロボマエカワを晶葉君が一週間かけて対ウサミンカイザー用に改良したのが、今菜々君が着ているものだ」

菜々「晶葉ちゃんは『これはもはやロボマエカワではない。ロボマエカワを超えた存在、ロボマエカワGだ!』と言っていました」

友紀「ロボマエカワG……!」

周子「だったら、なんで菜々さんは一週間も姿を見せんかったん?」

菜々「カイザーに立ち向かうには、ナナがただロボマエカワGを着るだけじゃ足りなかったんです」

真奈美「だから私とマスタートレーナーが付きっ切りで菜々君を鍛えていたんだ」

菜々「まさに地獄の特訓というやつでした……」

真奈美「特訓に付き合ったおかげで恥ずかしい話だが、私は菜々君をここに送り届けるだけで体力が限界でね。戦いの邪魔にならないように晶葉君の研究室の片付けを手伝ってくるよ」ガチャ

友紀「だったらあたしたちもここに居ない方が……」

菜々「いえ、周子ちゃんと友紀ちゃんはここに居てください」


周子「あたし達が? 戦いの邪魔になるってば」

菜々「そんなことはありません。二人とも、ベテラントレーナーさんのレッスンはしっかり受けていましたよね?」

友紀「もちろん受けてるけど……」

菜々「なら問題ありませんよ。皆さんもこのロボマエカワGで戦う基礎は整っています!」

周子「菜々さん、それってどういう――」

ウサミンカイザー「……」ユラァ

菜々「! 話は後です! まずはナナがカイザーを消耗させます!」ダッ


ロボマエカワGを装着した菜々、マエカワウサミンが拳を固めウサミンカイザーに跳びかかる。

カイザーは難なくそれを回避し、脚をしならせウサミンの横腹に叩き込んだ。

「……ぐうっ!」

蹴り上げられたウサミンは天井を蹴ってターンし、床に着地しようと加速した。

着地地点で待ち構えていたカイザーは拳をドリルのように高速回転させ、ウサミンの胸に叩き込まんとする。

「菜々さん危ない!」

「大丈夫、ですっ!」

ウサミンは空中で回転し、カイザーの拳を躱す。


「ウサミックパンチ!」

回転するカイザーの拳がウサミンに向かって射出された。ウサミンはバランスを崩しながらも正確に一対の拳を叩き落す。

「でぇいっ!」

両拳のないカイザーをウサミンが蹴り飛ばす。事務所の壁に叩きつけられ、床に崩れ落ちたカイザーは幽鬼の如く立ち上がった。

「なにあれ……全然ビクともしてないよ!?」

「ウサミンミサイル!」

ニンジンの形をしたミサイルがカイザーの口から飛び出し、ウサミンに向かい飛来する。

「マズい……オープンキャット!」


ミサイルの爆炎を中心にしてロボは上半身、下半身、そして装着者である菜々の三つに分離し、それぞれ別の方向へ飛び去った。

菜々はカイザーの後方、上半身と下半身は物理法則を無視したような軌道で周子へ向かい、一直線に飛んでいく。

「え、何……なんであたしの所に!?」

「周子ちゃん、レッスンを思い出してください!」

菜々の呼びかけに周子は思い出す。この一週間、ベテラントレーナーから受けた過酷な特訓の内容を!

「……! チェンジシオミー、スイッチオン!」

掛け声と共に飛び上がった周子とロボのパーツが一つになる。

周子がロボマエカワGと一つになった姿、マエカワシオミーが事務所に降り立つ。その隙に両拳を拾ったカイザーは標的をシオミーに変更して向き直る。


「円の動きで追い込む!」

残像を生み出しながら駆けるシオミーはカイザーを中心に螺旋を描くようにしてじわじわと距離を詰めていく。カイザーの放つミサイルはシオミーのスピードに負け、事務所の壁に衝突し爆散していく。

「周子ちゃん駄目! 事務所がボロボロになっちゃう!」

友紀の言葉で気付く。そうだ、ここは事務所だ。この菜々さんみたいな奴を倒してもここがボロボロになっちゃ意味がない。

「そこへ集中砲火……ドリルダーツ!」

カイザーのウサミックパンチと同等、もしくはそれ以上の回転をかけたダーツがミサイルを撃ち落としていく。

「ダーツバーで鍛えた腕前、嘗めないでよね!」

一本、二本。少しずつダーツの本数がミサイルの発射される数を上回っていき、カイザーのボディを削っていく。


「ミサイルストーム!」

カイザーがそう叫ぶが早いか、シオミーの視界を埋め尽くすほどのミサイルがカイザーから放たれた。

「ッ! ミラージュダーツ!」

シオミーの前方に現れた多数のダーツがミサイルを迎撃していく。迎撃されたミサイルは爆散し、事務所内に靄をかけていく。

「煙で前が見え……っ!?」

煙を突っ切って現れたカイザーに虚を突かれ、シオミーは捕らえられてしまう。

「周子ちゃんっ!」

「ぐ、ぐぐぅ……! 駄目、パワーが!」

シオミーの全力の抵抗もむなしく少しずつ、だが確実にシオミーのボディは締め上げられていく。

「……周子ちゃん、あたしに代わって!」

「分かった……! オープンキャット!」


「チェンジネコッピイ、スイッチオン! ……中の人などいない!」

ロボマエカワに身を包んだ友紀、マエカワネコッピイがカイザーと組み合う。その力の差はまったくの互角。……いや!

「三番バッターってのはね、強打者じゃないといけないんだよ!」

シオミーの雪辱を晴らすかのようにネコッピイがカイザーを押し込めていく。

「……!」

このままでは不利と判断したのかカイザーが再び手を回転させる。だがネコッピイは地に足を付けたまま踏ん張った!

「回転なら負けないよ。笑美ちゃん直伝……六甲山おろしィ!」

ネコッピイがカイザーを振り回す。そしてそのままそのまま天井に投げ付けた。

「友紀ちゃん、代わってください!」

「友紀さん、あたしにも!」

「ええっ!? 一気に言われちゃ困る……うん、分かった! オープンキャッツ!」


床に向けて落下しているカイザーが見たのは拳を振りかざし向かってくるウサミン。カイザーも迎撃のために拳を構え、回転させた。

「甘いよ!」

下に意識が行っていたカイザーの背中を蹴り飛ばしたのはロボマエカワGの下半身を装着した周子! 追撃を躱すために半身をひねらせ、下への意識が薄れてしまったカイザーを上半身をロボに包んだ菜々が殴り飛ばした!

「……!!!」

「二人とも、こっちにロボを!」

友紀の元へロボが向かう。再びネコッピイとなった友紀は体勢を立て直そうとするカイザーを捕らえ、再び振り回した。

「六甲山おろし、二段返しィッ!」

その目にも留まらぬ高速回転が生んだ真空波がカイザーのボディを傷付け、窓からカイザーを外へ叩き出した!

「友紀ちゃん、代わってください!」

「オッケーキャプテン! オープンキャッツ!」


「マエカワバトルウィング!」

翼を展開し、ウサミンはカイザーを追う。

(ウサミン星の言い伝えが正しければ、あれは半径10キロ圏内を巻き込んで自爆する!)

「……さようなら、皆さん」

「菜々さん!?」

「ちょっと、何言ってるのさ菜々ちゃん!?」

不気味な機械音を放つカイザーを捕まえてウサミンは飛ぶ。ファンの住む町、そして仲間のいる事務所を守るために。

通い慣れた事務所のある町を見下ろしながらウサミンは飛ぶ。アイドルとしての人生を、そして己の命を投げ打って!

(……もう少しアイドル、やってたかったんですけどね……)

カイザーを上空に放り投げ、ウサミンは構える。内蔵されている最大の必殺技を放つために。

「ウサミンビィィィィィム!!!」

マエカワウサミンの頭部に生えている猫耳から、光線が発射された。


事務所に残された周子たちは遥か上空で起こった爆発を見上げていた。

「菜々さん……」

「そんな……そんなのってないよ、菜々ちゃぁん!」

友紀の叫びに返事はなく、ただ静かな時だけが事務所に流れていた。


友紀「……菜々ちゃんが居なくなってもう一週間だね……」

周子「晶葉ちゃんも壊された発明品の修理にかかりっきりで事務所に顔出さないし……」

プルルルルル...

周子「あ、電話。あたしが出るよ。……はい、こちら――プロダクションでございます」

真奈美『ああ、周子か。友紀もそこにいるかい?』

周子「いるよ?」

真奈美『じゃあ彼女にもこのやり取りが聞こえるようにしてくれ』

周子「うん、分かった」ポチッ


真奈美『千葉にあるウサミン星移民村の住民が近くでメイド服を着ている記憶喪失のウサミン星人を見た、という情報が入ってね』

周子「それってもしかして……!」

友紀「周子ちゃん、千葉に行こう!」

真奈美『待つんだ。君たちは今ライブの準備期間だろう、それは許されない』

周子「あ……」

真奈美『プロデューサー君や事務所の皆も彼女を探してくれている。君達は目の前のライブに専念するんだ』

友紀「……うん」

周子「……」


――――――――

――――

――


友紀「みんなー! 今日はあたしたち『ユキシュミン』のライブに来てくれてありがとーっ!」

ワアアアアアアアア!

友紀「今日はみんなに大切な告知が一つありまーす! 周子ちゃん!」

周子「あたしたち『ユキシュミン』は新メンバーを募集します!」

オオオオオオオオオ!

周子「新メンバーオーディションの応募条件は17歳のウサミン星人だよ。我こそはって人は五月十四日、――プロダクションの事務所まで!」


――――――――

――――

――


真奈美「『ユキシュミン』の新メンバーに17歳のウサミン星人を募集、か」

周子「『ユキシュミン』のユキは友紀ちゃん、シュはあたし」

友紀「そしてミンは……ウサミン星人のミンだから」

真奈美「……なるほどな。だがここまで大々的に募集をしてしまったからにはもう後戻りはできないぞ?」

周子「……」

真奈美「これで駄目なら――」

友紀「……うん、分かってる」

真奈美「そうか、それならいい。残り数時間、頑張ってくれ」


友紀「……もうすぐ十五日だね」

周子「……うん」

カチッ カチッ カチッ カチッ

友紀「……周子ちゃん、そろそろ帰る準備しよう?」

周子「……友紀ちゃんはそれでいいの?」

カチッ カチッ カチッ カチッ

周子「ねえ、友紀ちゃんってば――」

友紀「そんな訳ないじゃん!」

周子「っ!」

友紀「あたしだって……あたしだってっ!」


友紀「あたしだってまだ……!」

タッタッタッタッ...

ガチャッ

周子「……!」

友紀「……!」

???「『ユキシュミン』の新メンバーオーディション、まだ間に合いますかっ!?」

カチッ カチッ カチッ カチッ

周子「……ウサミン星人ですか?」


カチッ カチッ カチッ

カチッ

ゴーン ゴーン ゴーン...

???「アイドルになるためにウサミン星から地球にやってきた永遠の17歳ですっ! 『ユキシュミン』のメンバーになるために来ました!」

友紀「おかえり……ううん、いらっしゃい!」

周子「あたしたちはあなたを歓迎するよ!」

菜々「……よろしくおねがいしますっ!」

これにて終了です。Gと言いつつ真な感じのタイトルですが仕様です。多分あれ月光のGです

気付くと結構書いてたので過去に書いたシンデレラガールズのSSのタイトルを。

【モバマス】一目惚れしたおねえさんがアイドルになった
輿水幸子「ヒヒーン!」
市原仁奈「になななななな」
ヘレン「SEKAI NO LEVEL」
前川みく「マエカワ対ロボマエカワ」
池袋晶葉「私の仕業じゃない」
渋谷凛「夏の初めとシンデレラガール」
荒木比奈「アウトサイダー」
高峯のあ「跳ね馬のように乱暴だけど」
塩見周子「燃えろ友情番長」
南条光「トークバトル、その後見える景色」

ウサミンロボの人じゃないですねー
あのシリーズのほのぼのとシリアスの丁度いい混ざり具合が好きです

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