男「え?もうですか?」 幼馴染の父「おう」(206)

男「誘ってくれたのおじさんじゃないですか」

幼父「いかにも」

男「なら俺が来るまで待ってて下さいよ」

幼父「だって男、来るのが遅いんだモン」

男「モン…って」

幼父「あれ?何か変だったか?」

男「……何でも無いです」

男「6時に来いって言ってたじゃないですか」

幼父「今何時?」

男「6時丁度ですよ」

男「てか、どれだけ飲んでるんですか?」

幼父「んー、実は昼から飲んでるのじゃよ」

男「それはもう晩酌じゃないじゃないですか!」

幼父「そうとも言うかもしれんなー」

男「晩酌に付き合えって呼ばれたから来たのに…」

幼父「いやぁ…なんて言うの?アレだよアレ…」

男「アレ?」

幼父「……俺、今なんて言おうと思ったっけ?」

男「知りませんよ」

幼父「あー、まぁ取り敢えず立ち話もアレだから上がれ上がれ」

男「はい、お邪魔します」

居間

幼父「そんじゃまず何飲む?」

男「一応、お酒持参ではあるんですが…」

男「ビールありますか?」

幼父「あぁ、男はビールが好きなんだってな」

男「取り敢えず最初の一杯はビールが良いですね」

幼父「うむ、そこに座って待ってろ。グラスとつまみ取ってくるから」

幼父「ビールはそこの冷蔵庫に入ってるけど、まだ見るなよ」

男「他所の家の冷蔵庫を勝手に開けたりしないですよ」

幼父「ん、じゃあ待ってろ」
スタスタ

男「はい」

男「……昼から飲んでたかー」

男「こういう時、先に酔われたら負け…なんだよなぁ…」

男「でもまぁ、酔った勢いで言うのは卑怯だもんな」

男「よし!覚悟は出来てる!今日、言うぞ!」

幼父「んー?なーにーがー?」

男「!?」

幼父「ん?何?俺の顔が何か憑いてる?」

男「おじさん、言い間違い怖いですよ」

幼父「まぁまぁ、小さい事は気にするにゃ」

男「にゃって…」

幼父「ん?何か変だった?」

男「何でも無いです……今日、おばさんは?」

幼父「あー、ちょっと実家に帰ってる」

幼父「明日の昼には帰って来るけど…何だ?用事か?」

男「いえ、何でも無いです」

幼父「あ、そ?んじゃ取り敢えず乾杯しようぜ」

男「はい」

幼父「ほい、これ。あとこれも」

男「ありがとうございます…ってこれは?」

幼父「グラスがどうした?」

男「あ、いや、そっちじゃなくてこっちの…」

幼父「あぁ、つまみね!久しぶりに腕を振るっちゃったぜ」

幼父「俺の実家から大量のじゃがいもが送られてきてな」

男「そうなんですか」

幼父「だから今日はじゃがいも率高いぜー?」

男「大好物だから問題ないです」

幼父「そりゃあ良かった。色々作ったからな」

男「なんかすいません」

幼父「水くせぇ事言うなよ、俺とお前の仲だろ?」
ガチャガチャ

幼父「ほら、ビールだ」

男「あ、はい」

トクトクトク

幼父「さ、まずは乾杯だ!乾杯っ!」

男「はいっ!乾杯っ!」

キンッ

ごくっごくっ

男「ぷはー!…ってこれなんのビールですか?」

幼父「こりゃあ、アレだよ、地ビール?」

男「首かしげられても、俺は知りませんよ」

幼父「あー、そうそう、これ北海道の地ビールなんだよ」

男「へぇ…地ビールなんですか…美味しいですね」

幼父「ほら、つまみも食えよー」

男「美味しそうですね」

幼父「薄切りにしたじゃがいもを敷き詰めて」

幼父「その上に細切りにしたベーコンとスライスしたトマト」

幼父「更にチーズをパラパラしてフライパンで焼いた物だ」

幼父「取り敢えず食えよほらほら」

男「それじゃ頂きます」

ぱくっ
モグモグ

男「!?」

幼父「美味しいだろ?」

男「美味しいです!」

幼父「その上、このビールにも合うはずなんだぜ」

男「このビール…なんでしょか、フルーティーな感じが」

幼父「おう、これはフルーティーなのがウリのビールだ」

幼父「しかもほれ、原料にじゃがいもが使われてるんだぜー」

男「あ、思いっきり瓶に書かれてますね」

幼父「これと合わない訳が無い」

男「すごいですね」
モグモグモグ

幼父「おい、これフライパン1枚分しか作ってないんだから、ちょっとは遠慮しろよ」

男「あ、そうなんですか?すいませんバクバク食っちゃって」

幼父「あーいや。お客様をもてなすのは主催者の使命だから別に良いんだけど」

男「ふふっ、どっちなんですか」

幼父「えぇい!全部食え!」

男「それじゃ遠慮なく」
ヒョイぱくヒョイぱく

幼父「そうは言っても遠慮するのが、人ってもんだろ?」

男「いやぁ、あまりにも美味しかったんで」

幼父「……乾杯だ、乾杯!」

男「あ、はい」

キンッ

男「んっ…ぷはー。これは合いますね」

幼父「そうだろそうだろ」

幼父「へっへっへ、今日はもてなすぜー?」

男「や、そんなに気を遣わなくても…」

幼父「おい、ここは一体誰の家だ?」

男「おじさんの家ですね」

幼父「じゃあ、ここでは俺がルールブックだ!」

幼友「おとなしく、もてさなれ…もてららさせ……」

男「……おじさん、マジでどれくらい飲んでるんですか?」

幼父「そんなの数値で表せるもんじゃねーしなぁ」

男「数値は量で表せるんじゃあ…」

幼父「んー、日本酒を三合くらい…」

男「結構飲んでますね」

幼父「それとウイスキーを1杯と…」

男「えっ?」

幼父「泡盛を2杯…いや、3杯?」

幼父「ロックで飲んだなー」

男「どう考えても飲みすぎですよ!」

幼父「俺がルールブックなんだぜ?俺ん家で、俺が飲んで何が悪い?」

男「いやー、人を呼びつけておいて、泥酔ってどうですかね?」

幼父「飲まなきゃやってられねぇ日もあるんだよー」

男「そ、そうですか」

幼父「ほら、男っ!もっと飲め飲め!」
トクトクトク

男「はい」
ゴクッ

幼父「今日、このビール全部飲み終わるまで帰さねーぜ?」

男「何本あるんですか?」

幼父「あと23本だ」

男「無理ですよ!それに持参したお酒もありますし」

幼父「まぁ、余ったら幼ちゃんが飲むだろ」

男「…そうですね」

幼父「ところで酒って何を持ってきたんだ?」

男「はい、これあの、俺の誕生日に幼が…」
ガサガサ

男「おじさんの書斎から勝手に取っちゃったと思うんですけど」

男「ラフロイグと泡盛を持ってきました」

男「これすっごく貴重な泡盛って言ってましたけど」

幼父「あぁ、わざわざ持ってきたのかー」

男「おじさんと飲めば喜ぶって言ってたんで」

幼父「そうだなー。よくぞ持ってきたなー」

男「やっぱり大事なお酒だったんですね?」

幼父「勝手に持って行った訳じゃないけどよー」

幼父「確かに好きなの持っていけって言ったの俺だけどよー」

幼父「値段の高い順に持っていくんだもんなー」

幼父「特にそのラフロイグは入手困難な奴だからなー」

幼父「さすがに父、涙目よ?涙目」

男「あ、やっぱり貴重な物だったんですね」

幼父「娘やカミさんの前では泣けないじゃん?」

幼父「けど大人だって泣くんだぜ?」

男「知ってますよ。おじさん、結構涙もろいじゃないですか」

幼父「そうか?」

男「俺達の成人式の日にも、ワンワン泣いてたじゃないですか」

幼父「そんなの記憶にございませんなぁ」
ゴクゴク

男「泣いてましたよ」
ゴクゴク

幼父「ふぅ…なぁ、もうビールはいいだろ」

男「俺はまだ2本目なので、もう少し飲みたいですけど」

幼父「今日はお前のために色々用意してあるんだよ」

幼父「と、言う訳で次はワインだ!」

男「ワインですか…一回しか飲んだ事無いんですよね」

幼父「飲みやすいヤツだから安心しな」

男「あれですか?ボジョレーヌーボー?」

幼父「ばっか、お前、あれはだなぁ」

幼父「ボジョレー地方で作られた、その年のワインの出来栄えを知る為の物であって」

幼父「美味いかどうかはまた別の話なんだぜ?」

男「へぇ、そうなんですか?」

幼父「そうなんだよ」

男「解禁日には日本中で騒ぐじゃないですか。最近はそうでもないけど」

幼父「あんなもん、ありがたがって騒いでんの、日本人だけって話だぜ」

幼父「ま、俺も知り合いのソムリエから聞いた話だからよ」

幼父「深くつっこまれても知らんのだがな、ははは」

男「ははは」

男・幼父「……」

幼父「…大丈夫、ちゃんと解ってるって」

幼父「ちょっと待ってろよっと」
スタスタ


男「…ビールもうちょっと飲も」
ゴクッゴクッ



幼父「おう、待たせたなー」

男「そんなに待ってないですよ」

幼父「おい、ビール瓶が5本空になってるな」

男「まだまだ、たかが5本ですよ」

幼父「ま、そうだな、たかが5本だな」

男「地ビール美味しいです」

幼父「おら、ワイン持ってきたんだから、次はこっち飲めよ」

男「はい、頂きます」

トクトクトク

幼父「そんじゃ、乾杯!」

男「乾杯!」

キンッ

ゴクッ

男「あ、美味しい…てか飲みやすい」

幼父「そうだろそうだろ」

男「これ、なんてワインですか?」

幼父「ピノ・ノワールだ」

男「聞かない名前っすね」

幼父「これはカリフォルニアのワインでな」

幼父「ワイン初心者にオススメだ」

男「へぇ…お高いんですか?」

幼父「おいおい、野暮な事聞くなよ」

男「すいません」

幼父「余計な事考えねーで、飲めよ」

男「あ、ワイン飲む時の作法とか全然知らないんですけど…どうすれば?」

幼父「ここは俺の家だ。作法とか気にすんな。飲め飲め」

男「はい、頂きます」
ゴク

幼父「つまみも食えよ」

男「これはなんですか?」

幼父「パイユ作ってみた。揚げたてだぞ」

男「パイユですか?」

幼父「ほら、ワンピースでさ、サンジがさ、作ってただろ?」

男「んんー?」

幼父「作ってたんだよ!気になるなら帰ってからじゃがいものパイユでググれ」

男「あー、はい。そうします」

幼父「ちょっとさっきのと被るけど、これ美味いからよ」

幼父「あったかいウチに食えよ」

男「それじゃ頂きます」
ぱくっ
モグモグ

男「あ、美味しい」

男「カリカリのじゃがいもにチーズって合いますねぇ」
モグモグ

幼父「だろだろ?俺、最初に作ったやつ全部自分で食っちまってなー、へっへっへ」

男「これがワインに合うおつまみですか?」

男「ワインにはチーズのイメージですけど」
モグモグ

幼父「あのなぁ、男」

男「はい」

幼父「俺達は別にグルメリポーターじゃあねーんだ」

幼父「美味い酒に、美味いつまみ」

幼父「それだけで良いじゃねーか」

幼父「そりゃ、ビールにショートケーキ出されても困るけどよ」

男「そりゃ合わないでしょうねぇ」
モグモグ

幼父「美味いモンてのは、大概どう食べても美味いんだよ」

男「はい、美味しいです」
モグモグゴクゴク

幼父「そうだろ?それで良いじゃねーか」

男「全くその通りですね」
モグモグ

幼父「おっと、グラスが空じゃねーか」

トクトクトク

男「おっとっと、すみません」

男「……おじさんはあんまり飲まないんですね?」

幼父「俺は昼から飲んでるんだぜ?少し休んでるだけよ」

男「そうですか…それじゃ俺は遠慮無く」
ゴクッ

男「んー、これからはワインも飲んでみよう」

男「実は初めて飲んだワインが渋くて、かび臭くて、その上高くて…」

幼父「何だ?生意気にビンテージワインでも飲んだのか?」

男「えと、まぁ、はい」

幼父「あー、これも聞いた話しだけどな」

幼父「ビンテージワインなんてのは、一般人が飲む物じゃねーんだよ」

幼父「俺達が想像もつかないような、上流階級のステータスとして存在してるんだ」

幼父「だからお前は、あんま年代物には手ぇ出すなよ?」

男「出したくても出せませんよ」

幼父「それこそ桁違いだからな」

男「んっ…最後の一個頂きました」

幼父「お、完食したなー」

男「すいません、美味しかったんで」

幼父「それで良いんだよ」

幼父「作った料理を全部食べて貰えるって、嬉しいだろ?」

男「そうですね」
ゴクッ

幼父「お前も、幼ちゃんにそうしたんだろ?」

男「そ、そうですね」
ゴクッ

幼父「めちゃくちゃ喜んでたぜ、お前の手料理」

男「そうですか……はは、嬉しいですね」
ゴクッゴクッ

幼父「お、丁度ワインも無くなったし、次の準備してくらぁ」
スタスタ



男「…幼、この前の事、親に話したのか……これはマズイかも」

男「とりあえずビール飲もう…」
ゴクゴク



幼父「おう、おまたせ」

幼父「……お前、またビール飲んだな?」

男「すいません、間が持たなくて」

幼父「ま、良いんだけどな」

幼父「ほれ、今度は焼酎だ。飲めるか?」

男「飲んだ事無いですね」

幼父「じゃあ今飲め。ロックで飲め」
カランカラン
トクトクトク

男「頂きます」

幼父「おう、乾杯っ」

キンッ

コクッ
男「ん、甘い……サツマイモみたいな味がする」

幼父「お!良く解ったな」

男「はい?」

幼父「これ鹿児島の芋焼酎なんだよ。頂き物でなー」

男「おじさんの頂き物って凄そうですね」

幼父「んな事ねーよ……まぁ地道に昔ながらの酒作ってる蔵元からの頂き物だけどな」

男「やっぱり凄そうですね」

幼父「いやいや……んで、つまみはこれだ」

男「今度は焼き物じゃないんですね」

幼父「焼き物、揚げ物と続いたからな、これはサラダっぽい物だ」

男「タコ入ってますね」

幼父「取り敢えず食え食え」

男「それじゃ、頂きます」
ぱくっ
モグモグ

男「あ、和風な味付けなんですね……わさびの味がする」

幼父「茹でたじゃがいもとタコとアスパラをお手製の和風ドレッシングで和えた物だな」

男「んー、この和風ドレッシング自家製なんですか?凄いですね」

幼父「そうでもねえよ。案外簡単に出来るんだぜ」

男「んー、美味しい。嫌いな要素が見当たらないですね」

幼父「ほらほら、酒も飲めよ」

トクトクトク

男「ありがとうございますっ」
コクッ

幼父「おう」

男「美味しいですねぇ」
モグモグモグ
コクッ

幼父「……食わせ甲斐があるなぁ、お前は」

男「そうですか?そんな事、初めて言われましたけど」
モグモグ

幼父「……お前の結婚相手はさぞかし幸せだろうなぁ」

男「!?」

幼父「なぁ?」

男「そ、そうですね、が、頑張ります」
モグモグモグモグ

幼父「お、全部食ったな。これは残すかと思ったんだがなー」

男「……ご馳走様です!」

幼父「そんじゃ準備してくるからちょっと待ってろ」
スタスタ




男「おじさん、何か気付いてるっぽいんだが……」

男「……結構飲んでるけど、全然酔えないな」

男「ビール飲も」
ゴクゴク



幼父「……おいおい、お前無茶し過ぎだろ」

男「いえ、全然無茶じゃないです」

幼父「結局ビールが全部空になってるぞ?」

男「内容量が少ないからですよ」

幼父「まぁ良いけどよ……聞いてた通り、ザルだなーお前は」

男「全然問題ありません」

幼父「それでこの酒の味、ちゃんと解るのか?」

男「問題ありません。解ります!」

幼父「これ、マジでとっておきの酒だからよ」

男「あ、そう言えば俺が持ってきたお酒は…」

幼父「いいよいいよ、お前にやるよ。誕生プレゼントだ」

幼父「幼ちゃんがそう言わなかったか?」

男「そ、そうっすね」

幼父「ほら、つまみはこれだ」

男「あ、ゴーヤーチャンプルーじゃないですか」

幼父「へっへっへ、この料理がお前だけの物と思うなよ」

男「そんな事思ってませんよ」

幼父「さ、これがとっておきだ!飲めっ!」
トクトク

男「ありがとうございます」

男「それじゃ、おじさんも」
トクトク

幼父「おう、ありがとよ」

幼父「乾杯だ!少しずつ味わって飲めよ」

キンッ

男「…これはどこのお酒ですか?」

幼父「良いからとにかく飲んでみろよ」
チビッ

男「頂きます」
チビッ

幼父「どうよ?」

男「…これ、泡盛ですか?」

幼父「そうだ。すげーだろ?」

男「こっちの、貰ったやつも凄かったですけど…これは……」

幼父「酔いで酔いが吹っ飛ぶだろ?」

男「うーわー……凄いです、素人の俺でもはっきり解るくらい」

幼父「これはなー、実はカミさんにも内緒で買ったのだ」

男「そうなんですか…これも古酒(クース)ですよね?」

幼父「おう。でも、お前が幼ちゃんと一緒に飲んだ奴よりなー」

男「は、はい」

幼父「もっともーっと古い奴だ」

男「あれ、幼がアルコール度数40度あるとか言ってましたけど」

幼父「こっちはアルコール度数45度くらいかな」

男「あと、値段つけられないくらい高価だって言ってましたけど」

幼父「まぁそうなんだけどな」

幼父「あれ、実は今飲んでるコレを買ったついでに、オマケで貰った物なんだ」

男「あの味でオマケ……でもこの味なら納得ですね」

男「これだけ美味しいと、やっぱり進んじゃいますね」
チビッ

幼父「これよ、秘密なんだけどよ」

男「はい?」

幼父「一つの酒壺をよ、6人で金出し合って買ったんだ」

男「6人で、ですか?」

幼父「俺のへそくりで買ったんだけどよ」

幼父「一人当りの金額、知りたいか?ん?」

男「おじさん、言いたいんですよね?いくらなんですか?」

幼父「国産の普通乗用車が一台、新車で買えるくらいだ」

男「っ!?」

幼父「ビビったか?ビビっただろ!うぇっへっへー」

男「笑い事じゃ無いですよ…そんなに高いんですか……」

幼父「ちなみにお前んちにもあるはずだぜ、全部飲みきってなければな」

男「マジですか?ウチの親も関わってるんですか?」

幼父「これ、男同士の秘密な?絶対言うなよ?」

男「誰にも言いませんよ。てか、言えませんよ」

幼父「フフ、おら、もっと飲めよ」
トクトク

男「ありがとうございます」
チビッ

幼父「沖縄にはこれより美味い古酒もあるぜ」

男「マジですか!?」

幼父「古ければ古い程、美味くなって行くからな」

幼父「さすがにそっちは手が出なかったんだけどよ」

幼父「でもま、俺が持ってる酒の中ではとびっきりだ。美味いだろ?」

男「すげー美味しいです、前のよりもスーっと喉に入ってくる」

男「けどしっかりアルコールを感じるし、泡盛独特の風味もあるし」

幼父「お?なんだ?グルメリポーター気取りか?」

男「いや、正直な味の感想ですよ」
チビッ

幼父「チャンプルーも食えよ」

男「頂きます」

幼父「これは俺も食うぞ!流石に腹減って来た」
モグモグ
男「んー!これ、島豆腐ですね?」

幼父「気付いたか」

男「この島豆腐どうしたんですか?」

幼父「これ、幕張で買って来た」

男「幕張に島豆腐屋があるんですか?」

幼父「イオンの中に沖縄の県産品を売ってる店があるんだよ」

幼父「朝イチで行ってきたんだぜ、コレ作る為に」

男「へぇ…知らなかったです」

幼父「美味いだろ?」

男「美味しいですね。ウチはいつも木綿で作ってるんで」

男「でもやっぱりゴーヤーチャンプルーは堅めの島豆腐が合いますね」

男「スパムと卵も入ってるし、ちょっと甘めの味付けだし」

男「じいちゃんちで食べるのと同じ味ですよ。美味しい」

幼父「まぁ、今日の酒と料理はちょっとこだわってみた訳だ」

男「酒もつまみも最高に美味しいですね」

幼父「お前んちのこだわりには勝てねーけどな、はは」

男「あの2人はちょっとおかしいんですよ」

幼父「月の酒代すげーんだろうな」

男「2人揃って同じ趣味ですからね」

幼父「これからはお前も晩酌に付き合ったり出来るじゃねーか」

男「お酒は自分で稼げる様になってから、と」

幼父「ぷぷっ!男父が言いそうだなぁ」

男「実際言われたんですよ、オヤジに」

幼父「そうかそうか。それもそうだな」

幼父「学生が酒ばっか飲んでちゃいかんよなぁ」

男「まぁそうですね」

幼父「じゃあ大学で幼ちゃんが作った変なサークル、辞めさせてくれよー」

男「それは俺も散々言ったんですけどね」

幼父「娘が酔っ払って帰って来ると、不安になるんだよなー」

男「それは俺もですけどね」

男「サークル仲間と上手いことやってますよ」

幼父「知ってるけどよー…嫁入り前の娘が毎週末午前様はなー」

男「で、ですよねぇ」

男「でも言って聞く様なら、最初からあんな変なサークル作りませんよね」

幼父「何だっけ?『アルコール飲み比べ会』だっけ?」

男「いえ『酒類に含まれるアルコール度数と旨みを比較検討する会』ですね」

男「略して『酒会』です」

幼父「別にサークルなんざ作らなくてもなぁ」

男「サークルのメンバーでコンパもしてるみたいですよ」

幼父「おいおい、穏やかじゃねーな……大丈夫なのかよ?」

男「幼曰く、サポート役に徹しているから大丈夫だそうです」

幼父「お前、それを100%信じてんのか?」

男「もちろん信じてますよ。好きな人の事を疑いたくないです」

幼父「へぇ…言うじゃねーか」

男「いやいや…それに、コンパの日は自分が迎えに行ってるんで」

男(これ全部食べ終わったら…おじさんに言うぞ…言ってやる……)

幼父「何だ?上の空か?流石に酔ったか?」

男「全然問題ありませんです!」

幼父「そうか?箸が進んでねぇけど、もう腹いっぱいか?」

男「い、いえ!」
ガツガツモグモグモグモグ
男「ん!ご馳走様でした!」

幼父「お、取り敢えず全部食ったな?」

男「そうですね、美味しくてついつい……で、でs」

幼父「おかわりあるんだよ、もちろん食うよな?」

男「は、はい、頂きます」

幼父「んじゃ待ってろよ」
スタスタ



男「くっ…スカされた……いやでも…おかわり分食べたら!」

男「……取り敢えず泡盛飲もう」
チビッ



幼父「…まさかとは思うけど、泡盛全部飲んでねーだろうな?」

男「飲んでませんよ」

幼父「ほれ、今度はじゃがいもも入れてみた」

男「アレンジですか…でもじゃがいもは何にでも合いますもんね」

幼父「そうだな。全く偉大な野菜だよ」

男「…結構量ありますね」

幼父「あぁ、多めに作ったんだ。島豆腐使いきりたかったしな」

男「豆腐ですもんねぇ」
モグモグ

幼父「泡盛飲んで、チャンプルー食べて……沖縄みたいだな?」
モグモグ

男「まぁ、部屋は完全に洋風ですけどね」

幼父「三線でも弾くか?」

男「え?弾けるんですか?」

幼父「ちょっとかじったことあるんだぜ」

男「でもそれは次の機会にお願いします」

幼父「何だよ、聞きたくねーのかよ」

男「酔ってるからですよ。危ないですし」

幼父「それもそうだな……壊したらカミさんに叱られるし」

男「三線はあるんですね」

幼父「カミさんのな?」

男「なら尚更今弾いちゃダメですよ」

幼父「なぁ男」

男「はい?」

幼父「俺が今日、お前に出す料理は実はこのチャンプルーで最後だ」

男「そうなんですね」

幼父「お前が幼ちゃんに出した料理もチャンプルーが最後だったんだろ?」

男「そ、そうですね、最後はゴーヤーチャンプルーでしたね」

幼父「褒めてたぜ」
モグモグ

男「そ、そうですか」
モグモグ

男「あ、これで最後ですね」

幼父「最後のゴーヤー頂きっ!」
パクっ

幼父「フフフ、油断してっからだ。しっかりしろよ」

幼父「酒はもう少しあるけど…まだ何か食うか?食うなら軽く作るが」

男「い、いえ、結構食べましたし……」

幼父「それじゃ、ここからはえだまめを肴に酒をチビチビと飲むかね」

トクトク

男「はい」
チビッ



2時間後

幼父「へっへ……あの時のお前らの顔ったら傑作だったよなぁ」
チビッ

男「それ言われると恥ずかしいです」
チビッ

幼父「はっはっは、一丁前に照れやがって」
チビッ

男「そりゃ恥ずかしいですし照れもしますよ」
チビッ

男・幼父「……」
チビッ

幼父「……なぁ」
チビッ

男「はい?」
チビッ

幼父「これで今日のもてなしは全部だ」

幼父「俺が持ってる最高の酒も出した」

男「はい、ご馳走様でした。どれも美味しかったです」

幼父「で?俺、そろそろ限界なんだが?」

男「え、もうですか?」

幼父「おう」

幼父「俺ぁ、昼から飲んでるから、もうそろそろお眠の時間なんだよ」

男「そ、そうですか…」
チビッ

幼父「そろそろ良いだろ?」

男「え?」

幼父「俺に、言いたい事があるんじゃねぇか?」

男「は、はいっ」

幼父「さぁ、さっさと言えよ」

男「あの、おじさん…」

幼父「……」

男「いえ、お義父さん!お嬢さんを嫁にくださいっ!」
ガバッ

幼父「顔上げろよ、男」

男「……」

幼父「俺はなぁ…実は息子も欲しかったんだよなぁ」

男「はい?」

幼父「公園でキャッチボールとかよ」

幼父「公園でサッカーとかよ」

幼父「公園でフリスビーとかよ」

幼父「公園で50メートル走とかよ」

幼父「公園でピクニックとかよ」

幼父「…あと公園でキャッチボールとかよ」

男(キャッチボール2回言った)

幼父「まぁ、色々やりたかった訳だ」

男「…今言った事、全部幼とやってましたよね?」

幼父「うむ。幼ちゃんは活発な娘に育ってくれたからな!」

幼父「でもよ、あのじゃじゃ馬が成人して、週末は酒飲んで帰って来るんだぜ?」

幼父「俺も歳取る訳だわな」

男「そりゃそうでしょう。僕らももう二十歳ですし」

幼父「もちろんいつかこんな日が来ると解ってはいたんだぜ?」

幼父「そしてっ!この台詞を言う時を20年待ったぜっ!」

男「え?」

幼父「どこの馬の骨とも解らん奴に娘はやれん!!」

男「!?」

幼父「……なーんてな?」

男「…は、はい」

幼父「ところがどうだ?可愛い娘を嫁にくださいって言ってきた奴はさ」

幼父「俺がおしめを替えた事がある奴なんだぜ?」

男「……」

幼父「お前が生まれた時、お前の両親の次にお前を抱っこしたのは俺なんだぜ?」

幼父「そんなん、俺が言いたかった台詞、言えねーじゃん」

幼父「どこの馬だか知りすぎてるくらい知ってるからな」

男「なんか、すみません」

幼父「謝るなよー。俺が悪い事してるみたいだろ?」

男「でもちょっと、なんか、すみません」

幼父「他の誰が来ても取り敢えず娘はやれん!って言っただろうけどよ」

幼父「お前が相手じゃ、なんも言えねーよ」

男「じゃ、じゃあ!」

幼父「ただし条件がある」

男「な、なんでしょう?」

幼父「俺、今からすげーまともな事言うぜ?」

男「…それはフリじゃないですよね?」

幼父「フリじゃねーよ」

男「話の腰を折ってすいません」

幼父「お前を婿に~貰う前に~言っておきたい~事がある~」

男「……」

幼父「そんな目で見るなよ」

男「やっぱりおじさんと幼って親子ですよね」

幼父「条件!条件な!」

男「はい」

幼父「まず、お前らは成人したとは言え、大学生だ」

男「はい」

幼父「しかも、2人共、ちゃんとやりたい事があって入った大学だろ?」

男「はい」

幼父「だからな、その、ほら」

男「籍を入れるのはちゃんと就職して生活基盤が出来てから…ですか?」

幼父「いやいやいや……お前な?結婚ってのはな」

幼父「基本的に成人してりゃあ誰でも出来るだろ?制度的には親の許可はいらんだろ?」

幼父「もしそうしたいなら、明日にでも入籍しちまえよ」

男「えっ?」

幼父「お前と幼ちゃんが結婚するって事はだ」

幼父「お互いの両親の戸籍から抜けて、お前らだけの戸籍が出来るって事だ」

幼父「それが結婚って事だ」

男「いや、でもそれは…」

幼父「それは2人で話し合って決めろよ。俺らは何も言わねーよ」

男「おじさん、真面目な話しになってますね」

幼父「俺の理性が超頑張ってんだよ」

男「じゃあ、条件って何ですか?」

幼父「子作り厳禁!」

男「お、おぉう…」

幼父「ま、お前らの事だからどうせその……まだなんだろ?」

男「まだ…ですね」

幼父「……などと偉そうな事を言ったが、だ」

幼父「しかしちゃんと避妊するなら、しても良いと俺は思う!」

幼父「年頃の男女なんだからな!」

男「は、はぁ…」

幼父「そう言う事が全然無いと逆に不健全であるとも思うしな!」

男「……おじさん、言ってて恥ずかしくないですか?」

幼父「恥ずかしいから酔いでごまかしてんだよ!」

男「…でもまぁ、はい。それは守ります」

幼父「大学卒業して、就職して、ある程度落ち着いてから、子供は作れ!」

男「はいっ」

幼父「……絶対にだぞ?」

男「解ってます」

幼父「あとこの事、幼ちゃんには言うなよ」

男「絶対言いませんよ」

幼父「大人同士の約束だからな?」

男「はい!」

幼父「…孫の顔が早く見たいではあるんだけどな?」

男「はいっ!頑張りますっ!」

幼父「次に、家の事なんだがな」

男「はい?家ですか?」

幼父「お前ら、結婚したらアパート借りて2人で暮らすの?」

男「すぐにでは無いですけど、アパート借りようかって話しは出てますね」

男「少しずつですけどバイトして貯金もしてますし」

幼父「あのよ、これは条件って言うか、提案なんだけどよ」

男「はい」

幼父「ウチとお前んちの2階ってちょっとおかしい作りだと思わねぇ?」

男「はい?何の話ですか?」

幼父「まず、お前の部屋と幼ちゃんの部屋、近すぎねぇ?」

男「そうですね…わざわざ出窓にしてありますもんね」

幼父「そして俺んちは2階にも風呂がある」

男「あぁ、今は幼専用になってるって聞きましたけど」

幼父「お前んちの2階、ベランダが不自然に広すぎねぇ?」

男「それはまぁ…でも昔からですし」

幼父「実は俺と男父でな、20年前に計画した事があるんだよ」

男「なんですか?」

幼父「お前ら結婚したら、ウチと隣りの2階をくっつけて、そこに住めよ」

男「はぁぁぁ?」

幼父「リフォームして三世帯住宅にだな…」

男「ちょ、何ですかそれ!初めて聞きましたけど?」

幼父「初めて言ったからなー」

幼父「お前んちのベランダなー、あそこは最初からキッチンに改装しやすく作ってあるんだ」

男「マジですか…なんですかその変な計画」

幼父「大切に育てた娘を遠くにやりたくないって思うはずだと、20年前の俺は思った訳だ」

幼父「それ言ったら男父がこの計画を出してきやがったんだ」

男「オヤジが…」

幼父「お互いの子供同士が結婚したら、そんな住宅に改装出来る様にしようぜってな」

幼父「1週間で設計図書いて来たんだぜ?2軒とも大改造になるやつだけど」

男「変人ですいません」

幼父「まぁ、後々の事は解らんがな」

幼父「しばらくはそれでいいじゃん?」

男「いいじゃん?じゃないですよ…そんなリフォームするお金も無いですし」

幼父「お前、俺らの年収いくらだと思ってんの?」

男「知らないですけど……」

幼父「リフォーム代くらい、俺らが出すっつーの」

男「でもそれは……」

幼父「気になるよな、お前の性格じゃ」

男「ならない訳無いですよ」

幼父「そう言うだろうと思ってこんなの作っておいた」
サッ

男「借用書ですね」

幼父「金額はまぁ、ちゃんと業者に見積もり出してもらわないと書けないが」

幼父「俺らから借りて、お前がちゃんと返すって事で良いんじゃないか?」

男「……」

幼父「それともアパートでキャッキャウフフな生活を夢見てんのか?」

男「いや、そう言う訳じゃないですけど…」

幼父「大丈夫、お前らが住む2階にも玄関はちゃんと作るからな」

幼父「家の中の階段も撤去だなー」

男「……てかそこまで考えてるなら、もう断れないですよね、この話」

幼父「20年温めてた計画だからなー」

幼父「だがしかし!これはあくまでも提案だからな?」

男「解りました。幼とも相談してからちゃんと返事します」

幼父「お!即答しなかったのは偉いぞ。ほれ、最後の一杯をやろう」

トクトク

男「ありがとうございます」
グビッ

幼父「お前が幼ちゃんと結婚すればよー」

男「はい」

幼父「家族みんなで酒飲む事も増えるだろうなー」

男「そうですね、あの2人は理由つけてはお酒飲みたがりますから」

幼父「……でもこうしてな」

男「はい?」

幼父「たまにはサシで飲みてぇな」

男「…はい。次は俺がもてなしますよ」

幼父「おう、そうしてくれよ」

男「……おじさん、今日俺が結婚の事話すって解ってましたよね?」

男「だから今日、晩酌に付き合えって言ったんですよね?」

幼父「まぁそうだな」

男「何で解ったんですか?」

幼父「フフ…あんなの見せられたらなぁ」

男「あんなの?」

幼父「お前、幼ちゃんに指輪あげたろ?」

男「は、はい」

幼父「その指輪をよー、左手の薬指にはめてウットリしてんのよ、毎朝」

男「そ、そうなんですか?しばらくはめずに隠しておくって……」

幼父「朝飯食ってる時、必ずやるんだ。そりゃ俺らも気付くっての」

男「そうでしたか……俺が言うまで隠しててって言ったんですけどね」

幼父「幼ちゃんを責めるなよ?」

男「責めませんよ」

幼父「小さい頃からの夢が叶うんだ。そりゃあ嬉しいだろ、隠せないだろ」

男「…そうですね」

幼父「お前から言ってくるのを待とうかとも思ったんだがな」

幼父「待ちきれなかったから今日お前を呼んだんだわ、ははは」

男「おじさん我慢が苦手ですもんね」

幼父「まーな」

男「……必ず幸せにしますから」

幼父「フフ…くすぐってぇ台詞だねぇ…悪くねぇ心持ちだぜー」
ゴロン

幼父「今日はもうこれでカンバンだ!」

男「おじさん、ここで寝たら大変ですよ?俺が」

幼父「良いじゃねぇか、俺の家だぜ?」

男「寝室まで運ぶのが大変なんですよ!」

幼父「大事な事は全部話したし、全部聞いた」

幼父「もう今日はここで寝る!」

男「ダメですよ!ほら、肩貸しますからちゃんと立って下さいよ」
よろっ

幼父「うー!おぶれっ!」
ぎゅうっ

男「うげっ…おじさん、首っ…苦しっ…」

幼父「息子の背中ってのはこんな感じか…良いな…」
ぎゅーーー

男「げはっ!がはっ!」
ドサッバタン

ガチャガチャ
バタン

幼「ただいまぁ………あ!?」

男・幼父「……」

幼「実の父親にまさかの寝取られ!?」

男「変な事を口走らないでよ!ちょ…おじさん、起きて下さい!」

幼父「……父親ってのは自分の娘を寝取られる様なもんだよなぁ」

男「おじさんまで変な事言わないで下さいよ!」

幼「私が居ない間に…私の家でなんて!」

男「幼も酔ってる?酔ってるよね?」

幼「サークル活動だから仕方無いでしょ!」

男「おじさんを寝室に連れて行こうとしたら、首を絞められて倒れて…」

幼父「言い訳ぁ見苦しいぜぇ、男……しっかり…しろよ……」
ぐんにゃり

男「おじさん!ここで寝ないで!取り敢えず起き上がって…」

幼「男、どう言う事かちょっと説明して!」

男「おじさんに晩酌に付き合えって言われたから来たんだよ」

幼「そうなんだ…で、今まで飲んでたの?」

男「うん」

幼「ちょっとお父さん!男と飲むなら私も一緒にって言ったでしょ!」

幼父「んんー」

幼「お父さん?ちょっと…お父さん?」
ユサユサ

幼父「んー」
ゴロン

男「酔いつぶれちゃったね」

幼「男、悪いけど肩貸して貰える?」

男「もちろん」



幼「どっこい……しょーーーーっと」
ブンッ
ドサッ

幼父「んがっ……んん…」

男「幼、ちょっと乱暴だよ」

幼「お父さんが悪いと思うんだよね」

幼「男と家で飲む時は絶対一緒にって言ってあったのに」

男「まぁ、男同士の話があったから」

幼「そうなんだ……何の話?」

男「お嬢さんを嫁にくださいって言ったよ」

幼「マジで!?」

男「うん、ちゃんとお願いしたんだ」

幼「そ、それで…お父さんは何て?」

男「承知してくれたよ…て言うかおじさん最初から解ってたよ」

幼「え?解ってた?まさか超能力?」

男「違うよ……幼、指輪を毎朝指にはめて眺めてたんでしょ?」

幼「え?あー……まぁそのー」

男「別に責めてる訳じゃないよ。でもおじさん達、それで気付いたんだって」

幼「我慢出来なかったのです……すまぬ!」

男「だから責めてないって」

幼「でも…そっか、言ってくれたんだね」

幼「超嬉しいよ、男」
ぎゅうっ

男「うん…まぁ先制されて焦ったけどね」

幼「えへへ…ついに願いが叶う日が来るんだねー」

男「籍を入れるのは大学卒業して、就職してからにしようね」

幼「うん。しばらくはバタバタするだろうしね」
スリスリ

男「ま、まずは卒論があるからなぁ」

幼「うん、同時進行で就活もあるしねぇ」
スリスリ

男「幼、相当酔ってる?」

幼「えへへー。今日はコンパじゃなくて普通の酒会だったからねー」

幼「ガチで飲んで来ました!」

男「だろうね」

幼「でも良い感じの酔い具合だよー。ぐんにゃりしてないしー」
スリスリ

男「そっか」

幼「それに……今、すっごく気分良いし」
スリスリ

男「ほっぺたすりよせてくるのは良いんだけど…」

幼「……良いけど?」

男「……」

幼「良いでしょ?軽いやつなら」

男「酔った幼がキス魔になるなんてなぁ」

幼「男とだけだからね?」

男「解ってるよ」

幼「だから、ね?一回だけっ」

男「んー」
ぎゅうっ

幼「男…愛してるよ…」

男「……俺もだよ、幼」

幼「ん…」
スッ

ギシッ

男「…待った!」

幼「な、何?」

男「……おじさん、見てますよね?」

幼「え?」

男「…見てますよね?」

幼父「……んだよー、つまんねーやつだなー」

幼「あ、起きてたんだ、お父さん」

幼父「折角気を利かせて酔い潰れた振りしてやってんのに好意を無にすんなよな」

幼父「ちゅーぐらいしろっつーの」

幼父「無粋だよ無粋」

男「出歯亀の方が無粋だと思いますけど」

幼「そうだよ、お父さん。趣味悪いよ」

幼父「元々は放り投げられたから酔いが覚めたんだがなー?」

幼「う……」

幼父「おい男、解ってんだろうな?」

男「ちゃんと解ってますよ」

幼「何?」

男「こっちの話だよ」

幼「それって…」

幼父「おーし!そんじゃ3人で飲み直すか?」

男「え?今からですか?」

幼父「男が持ってきた泡盛もあるしな?」

幼「お!いいね~!古酒飲みたいー」

男「う~ん……でももう遅いですし」

男「それにつまみがもう無いんですよね?」

幼父「大丈夫!作り置きのポテトサラダがある」

幼父「あと、じゃがいもをスライスして揚げればポテチにもなるし」

幼父「だから良いだろ?男」

幼「台所の方の冷蔵庫にはエビス冷えてますよ!」

幼「だから良いでしょ?男」

男「んーーーーー」

幼父「な?」 幼「ね?」

男「……それじゃ、今夜はとことんお付き合いしますかね!」

幼・幼父「やー!」

こうして夜は更けていった……

翌日

幼馴染の母「な、何なのこれはっ!」

幼母「散らかった酒瓶、抱き合って雑魚寝する三人…」


幼母「あっ!!私の大切な三線の弦が……ぜ、全部切れてるっ!!!」

幼母「こんな……こんなにっ!!!」
ワナワナワナ

幼母「こらーーっ!三人とも起きろーーーーーーーっ!もう昼過ぎよっ!」


男・幼・幼父「ふがっ!?」


この後、幼母さんにめっちゃ怒られた


おわり

これで終わりです
読んでくれた人がいたら嬉しいです

このSSは
男「え?もう?」幼馴染「はーい」
男「え?もう?」幼馴染「はーい」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/internet/14562/storage/1342188272.html)
の続きというか、後日談というか、そういうやつです

スレが落ちる前に料理のレシピと写真をアップするつもりです

次スレは
男「僕の初恋」
ってタイトルで立てると思います
見かけたら読んでもらえると嬉しいです

では。


残業中に開いていいものじゃなかった

おつ
さいきん心なしか幼馴染の出番少ないのが多いな
なんとなく変化球が増えたというか直球を避けてるというか
なにか幼馴染関係で心境の変化でもあったのかと
地味に不安になってくる
みかん

だけどやっぱり>>1のSSの幼馴染は
いつも幸せになってくれて、いつも幼馴染を幸せにしてくれて
すごくすごく「ありがとう」と言いたい
きっと>>1には伝わる……はず!


(こういう話読むとき下戸は損だなとつくづく思ふ)


やっぱり面白いな

三味線を引く幼馴染母
沖縄
もしかしてラッキーのやつ関係あるのかな?

>>1がレシピ書くって言ってるのに早速まとめてるバカサイトをどうにかしてくれ

>>115
慌てる乞食は貰いが少ないってやつ

2年前のが続くとはなぁ
今回も下戸の俺には腹が減るSSだった乙

レスありがとうございます

>>112
そう言う時間を狙って投下したのは内緒です

>>113
あー、そう言う訳では無いんですがー
りんご
がんばりますんでこれからも読んで頂けたら嬉しいです
とまと

>>114
昔のも読んで、しかも覚えてもらってて超嬉しいです
でもラッキーのやつとは関係ないのです
あっちは沖縄が舞台で、こっちは千葉あたりが舞台の話です

>>115 >>116
レシピは早ければ来週末まとめてアップしますのでー

>>117
お酒飲めない方の為にもご飯美味しいやつにしたつもりです
腹が減るって言うのは最高の褒め言葉です

みなさん本当にレスありがとうございます!
レシピも見てもらえたらさらに嬉しいです!

では。

上げてしまって申し訳ない……

>>1です

レシピを載せると言いましたが

それほど大したレシピではない事が解りました

だってじゃがいもですよ?

どう食べても美味しいに決まってます


……でも宣言したので、レシピ投下します

1日1品づつ投下します


注意>>最後にグロ画像あり

『最初に幼父出したじゃがいものやーつ』

材料

じゃがいも 1個

玉ねぎ 半分

トマト 1個

ベーコン 適量

ピザ用チーズ 適量

オリーブオイル 適量

塩・こしょう 少々

作り方

じゃがいもと玉ねぎ薄い輪切りにする
どちらも水にはさらさない
トマトは少し厚めの輪切りにする


フライパンにオリーブオイルを弱火で熱する
十分温まったらじゃがいもを敷き詰める
じゃがいもが良い感じに重なる様に並べる
じゃがいも同士がくっつく様に木べらでぎゅうぎゅう押しながら焼く


じゃがいもが焼けてきたら、玉ねぎとトマトを敷き詰める
蓋して蒸し焼きにする


玉ねぎが食べられそうに見えてきたら(ちょっと煮えてきた様に見えたら)
塩とこしょうをふる


ベーコンとチーズをパラパラと巻いて
蓋して2分ほど蒸し焼き


チーズがトロっと溶けて、これたぶん食べられるなって感じたら皿に移す


冷めないうちに頂きます!

※じゃがいも以外は生でも食べられるので
 焼いたじゃがいもの上に半生の玉ねぎとトマト乗せて食べるのでも美味しいです

 玉ねぎ苦手な人は玉ねぎ抜きでも美味しいし

 トマト苦手な人はトマトペースト塗るのでも美味しいです
 (見た目は完全にパン生地のないピザです)

※グロ画像注意
http://s1.gazo.cc/up/94338.jpg

次回は『じゃがいものパイユ』です

ではまた!

※微グロ画像
http://s1.gazo.cc/up/94339.jpg

で、何時にどこの店に行けばいいんだ
先に行って飲んでるわ

レシピもSS形式で紹介するもんだと思ってたわ

じゃがいも、ベーコン、(冷蔵庫と相談してニンジン、カボチャ、チーズ、ツナ缶、etc)に
水溶きコンソメの素+ブラックペッパー(+パセリ)の味付けでほぼ同じのよく作ってるわ
つまみじゃなくて晩飯だがな
オリジナルのつもりだったんだがやっぱ似たようなの作る人いるんだな

あと玉ねぎも生じゃちょっときつくないか?
シャリシャリ感が芋のホクホク感を殺すし、何より生じゃ辛い

>>1です
皆様レスありがとうございます

>>132
簡単に出来るので、是非是非自作してみてください!
材料も特別な物は何も使いませんので!

>>133
確かに……玉ねぎは生だと辛いですね
自分は玉ねぎを生で食べられるタイプなのを忘れていました
じゃがいも+玉ねぎのみだと厳しいかもですね、すいません

個人的にはじゃがいもがトマトと玉ねぎの汁気で柔らかくなった物が好みです
トマトの酸味と玉ねぎの辛味が混ざった味が最高だと思ってます

では次のレシピ行きます

次のおつまみは

漫画「ワンピース」の34巻でサンジが作ってたやつです

詳しい作り方はクックパッドで見た方が確実です

どうやら人によって作り方が違うようです

作りやすい料理法で、簡単に作ると良いと思います

『じゃがいものパイユ』

材料

じゃがいも 1個

ピザ用チーズ 食べたい分

塩・こしょう 少々

オリーブオイル 適量


じゃがいもをスライスして千切りにして、チーズと混ぜ、塩とこしょうを振る
(じゃがいもは水にさらさない)


フライパンにオリーブオイルを入れて熱する


フライパン一面に敷き詰める感じでタネを落として、蓋をする


焼けてきたらひっくり返してもう片面も焼く


焼けたらまな板の上で食べやすい大きさに切る


冷めないうちに頂きます!

大きなフライパンがあるなら、一口大の大きさで小分けに焼いても良いですが

小さめのフライパンでお好み焼きの様に焼いたあとで

ざくざく切った方が早くて温かいうちに食べられます(経験談)

また、一口大の場合は水溶き片栗粉を混ぜないと焼きにくいかもです

グロ画像注意
http://s1.gazo.cc/up/94728.jpg

ピンボケですいません

更に注意
http://s1.gazo.cc/up/94729.jpg

大きく焼いてザクザク切り分けた方が温かくて
小分けにすると時間がかかるので、冷めます

食べられる直前
http://s1.gazo.cc/up/94730.jpg

切り分けた方です
焼けたチーズとじゃがいもの組み合わせ、不味い訳ないですよね?

カリカリサクサクに焼くと超美味しいです

油で揚げる作り方もあるみたいですが
油を切る時、サクサク感がなくなっちゃうと個人的には思います

こちらも特別な物は何も使わない、手軽に作れるおつまみなので
晩酌のお供にどうぞ

では。

>>1です

幼父が出した3品目の料理です

焼き物が続いたので、サラダ的なやつです

『じゃがいもとタコとアスパラの和風サラダ風』

材料
じゃがいも 1個

茹でタコ 100g

アスパラガス 2本

和風ドレッシング 適量

おまけの自家製和風ドレッシング

材料

オリーブオイル 大さじ2

お酢 大さじ1

しょうゆ 大さじ2

砂糖 ひとつまみ

ねりわさび お好みで


作り方

材料を全部まぜて終わり
わさびの代わりにからしでも美味しいです

作り方


じゃがいもは電子レンジで茹でるのが楽です

耐熱容器に入れて、4分くらい加熱

竹串が奥までちゃんと刺さったらOK

硬さを感じるならひっくり返して2分くらい加熱

皮を剥いたら4つ割りか8つ切りにする


タコは刺身用タコ→塩ゆで生食用タコ足→生のタコの順に安くなるけど手間がかかる

刺身用なら切る手間も省けて楽に出来るけど、ちょっとお高くなります


アスパラは適当に切って良い感じに茹でる


ボウルに材料を全部入れ、ドレッシングで和える


常温もしくは冷やして頂きます!

※タコの代わりに茹でたイカでも美味しいです

 ドレッシングはポン酢でも行けるのでお好みで

※触手系グロ画像注意

http://s2.gazo.cc/up/23996.jpg

>>133の言う通り、SS形式で書けば良かった……

茹でて皮を剥くのだけがちょっとした手間ですが

基本、材料を混ぜるだけなので、簡単です

我が家ではタコを多めに入れてます

あくまでおつまみであって、晩ご飯のおかずにはなりません


明日のゴーヤーチャンプルーで最後です
(少しだけおまけのおまけがあります)

では。

>>1です

最後のレシピとおまけ投下します

おまけは超短編のつもりが……

『ゴーヤーチャンプルー』

ゴーヤー 2本

スパム 1缶の半分位

島豆腐 半丁

卵 2個

削り節 少々

オリーブオイル 適量

塩 少々

本つゆ 適量

砂糖 適量


ゴーヤーを縦半分に切り、ワタをスプーンで抜き取って
出来るだけ薄く切る


ザルにあけて、ぱっぱと塩を振りかけたあと20回位振るう
その後5~6分置く



最初に島豆腐を炒める

表面に少し焦げ目が付く位炒めたら、一旦皿に取っておく



スパムは細切りにして、炒める

こちらも火が通ったなと感じたら、一旦皿に取っておく


空焼きした中華鍋に油を入れ、ゴーヤーを炒める

炒める時間は、好みの硬さによります

柔らかくしたい時は蓋をして蒸し煮にします



スパムを入れて混ぜながら少し炒める



溶き卵を入れて、少し混ぜたら蓋をして蒸し焼きにする


最後に島豆腐を鍋に戻して、混ぜながら炒めます



味付けは本つゆを鍋肌に回し入れます


10
混ぜて軽く炒め、味が回ったら出来上がり


11
器に盛り、削り節をかけて、温かいウチに頂きます!

※ゴーヤーの苦味が苦手な方は味付けに砂糖を加えます
 あと、塩を振った後、揉み込むと更に苦味がなくなります
 が!歯ごたえも無くなっちゃいますので、お好みで

 味付けは昔は醤油と塩で整えましたが、最近のつゆの万能さは凄いです
 本つゆ一本で何とかなります

これはおつまみと言うより、おかずですね
ご飯に合います

http://s2.gazo.cc/up/24029.jpg

http://s2.gazo.cc/up/24030.jpg

幼馴染「恋のキューピッド3分クッキング!」

男「あぁ…すまん!幼っ!」

幼「な、なんだい、藪から棒に?」

男「自分で勉強教えてくれって言っといてアレなんだけどさ」

幼「うん」

男「お腹空いた……」

幼「!?」ガタッ

男「ん?どうしたんだ?急に立ち上がって」

幼「そ、それじゃあ軽く作るよ」

男「あ、俺が作るつもりだったんだが……」

幼「いやいや!是非私に作らせて欲しい」

男「マジで?ありがたいぜ」

男「俺のレパートリー、もやし炒めだけだからさ」

幼「ふふっ、それは今度ご馳走になりたいな」

男「おうよ!」

幼「それじゃあ……キッチンに行こうか」

男「あ、でもあれだぞ」

幼「ん?」

男「本格的なコース料理とか、勘弁な?」

男「時間も時間だしさ」

幼「大丈夫だよ、問題ない」

幼「ささっと作って、さっと食べよう」

男「お、それ良いな」

幼「じゃ、じゃあ……」




幼友「へ?好きな人にアプローチする方法?」

幼「う、うん、そうなんだ」

幼友「何で?幼が一言、好きって言えばオッケーだよ、私は」

幼「??」

幼友「な、なーんちゃってー、へへへ」

幼「うん、びっくりしてしまったよ、ふふ」

幼友(本当はなーんちゃってじゃないけど!)

幼「それでその……普通はどういった行動を取る物なのかな?」

幼「私はその…恋愛事に疎くて、さっぱり解らないんだ」

幼友「美味しい手料理で、胃袋を鷲掴みとか、どう?」

幼友「名づけて『恋のキューピッド3分クッキング!』」

幼「う……手料理はその…一度試したのだけれども」

幼友「え?そうなの?どんな反応だったの?」

幼「美味しいと言ってくれたのだけれど……その後、何も進展が無い」

幼友「本当は美味しくなかった……って訳無いわよね。幼、料理上手だもんね」

幼「口に合わなかった…とは思いたくないのだけれど…」

幼「やっぱり駄目だったんだろうか……」

幼友「ちなみにどんな料理を出したの?」

幼「フランス料理を」

幼友「……」

幼「ん?何か変かな?」

幼友「さぞかし本格的なやつを出したんでしょうね」

幼「あぁ、丁度練習中だったのでね」

幼「ウチに材料も揃っていたし、一応コース料理を出したよ」

幼「美味しいと言ってくれたんだよ」

幼友「……次はさ」

幼「ん?」

幼友「もっとこう……キッチンにある普通の食材を使ってさ」

幼友「3分で出来る様な料理を作って食べさせてみれば?」

幼「う……3分か…本当に簡単な物しか作れないな」

幼友「余った食材をぱぱっと料理するのって、結構評価高いと思うよ?」

幼「そうか……そうなんだね、ありがとう幼友」

幼「次、機会があったらそうして見るよ!」
ニコッ

幼友「……ちなみに今日、幼の家にお邪魔しても良い?」

幼「申し訳ない。今日は先約があるんだ」

幼友「そっか……」

幼「埋め合わせは今度必ずするから」

幼友「う、うん!期待してるからね!」




幼(こ、こんなに早く機会が来るとはっ……)

男「幼んちのキッチンに入るの久しぶりだなー」

幼「そうだね」

男「さぁ、何が出てくるかなー」

幼「ふふっ、すぐ出来る物を作るからね」

幼(この機会、必ず活かす!)

幼(さて冷蔵庫に何があっただろうか)
ガサゴソ

幼「あ……そうか」

男「ん?」

幼「男はじゃがいも好きだったよね?」

男「おう、大好きだぜ」

幼「それじゃあ、今日の夜食は決定だ」

男「じゃがいもか!」

幼「簡単で美味しいじゃがいも料理だよ」

男「へぇー。作り方見てても良い?」

幼「えっ!?」

男「簡単で美味しいなら、俺も自分で作ってみたいぜ」

男「そしたらウチで勉強教えてもらった時、俺がご馳走出来るじゃん?」

幼「え、えへへ…そうか、そうだね」

幼「それじゃあ、こっちに来て、見ていてくれ」

幼(男がこんなにも近くで、私が料理する手を見てくれる……)

幼(幸せだ……)

男「幼?大丈夫か?」

幼「だっ!?大丈夫だよ、男」

幼(びっくりした……顔、近かった……)

幼「それじゃあ、料理して行くよ」

男「おう、ばっちり覚えるぞ」

幼「まず材料だけれど」

幼「先日北海道の叔父さんから、じゃがいもと手作りベーコンが送られて来たので」

幼「今日はこれを使おうと思う」

男「おー、それって無添加ベーコン?」

幼「いや、さすがに食品添加物入りだよ」

男「そっか。でもベーコンかー、美味いよな」

幼「そうだね」

男「え?材料それだけ?」

幼「あとはピザ用のチーズとこしょうくらいだよ」

男「おー、シンプルだなー」

幼「それでは……コイノキューピーイッド3分クッキングスタートだよ」

男「ん?今ちょっとゴニョゴニョ言った?」

幼「な、なんでもないよ、さぁ料理するよ!」

幼「と言っても特別な事は別に無いんだ」

男「ほう?」

幼「まずじゃがいも…今回は大きめのを1個使うよ」

男「1個?少なくないか?」

幼「夜食なのだから、少しで良い…よね?」

男「それもそうか。夜からガッツリ芋なんか食ったら太っちまうもんな」

幼「そうだね。太るのはちょっと困ってしまうかもね」

幼「私も困る……な」

男「ま、幼は全然太ってないけどな」

幼「と、とりあえずじゃがいもを耐熱容器に入れて、レンジで2分加熱するんだ」

男「たったの2分か?」

幼「あとでまた加熱するから、今はちょっと固めに蒸すんだ」

男「なるほど」

幼「その間にベーコンを切るよ」
ザクザク

男「ふむふむ、細かく切るんだな」

幼「あ、しまった。男は細切りの方が良かったかな?」

男「いや、こだわりはないぞ」

幼「そうか、良かった」
ザクザク

幼「これをオリーブオイルでちょっと炒めるんだ」

幼「オリーブオイルは少しで良いからね」

男「ベーコンから脂が出るから……か?」

幼「うん、美味しい脂分が出るからね」

幼「焦げない程度に軽く炒めて…っと」
ジュージュー

男「うぉぉ、もうそれだけで美味しそうだな」

幼「ふふっ、もうちょっと我慢してくれ」

男「おうよ」

ピロリロリロリロピロリロリー

幼「あぁ男、じゃがいもをレンジから取ってもらえるかな」

男「よしきた」
ガチャッ

幼「あ、熱いので注意しt」

男「あっちぃ!!」
ガタッ

幼「す、すまない!すぐ水で冷やして……」

男「別に火傷はしてないから大丈夫だよ」

幼「でも、冷やした方が良い」
ぎゅっ

ザーーーーーー
バシャバシャ

幼(手を……握ってしまった)

幼(いやでもこれは、火傷を心配しての行動で……)

幼(決してやましい気持ちがある訳ではっ……)

男「幼、本当にもう大丈夫だから…」

幼「そ、そうかい?うん、火傷も大丈夫そうだね、ハハ」

幼(……そう、やましい気持ちなんて)

男「心配してくれてありがとな」

幼「!?い、いや、事前に注意しなかった私が悪いんだ、男は気にしないで」

男「でも、ありがとな」
ニコッ

幼「~~~~~」

男「それで、このじゃがいもをどうするんだ?」

幼「あ、あぁ、キッチンタオルを使って、皮を剥くんだ」

男「へぇ、どうやって?」

幼「両手で包むようにして…こうチカラを入れると…」
ペリペリッ

男「おぉー!」

幼「そのまま処分出来るし、簡単だろう?」

男「ウチではピーラーで皮剥いてから茹でてたみたいだったが」

幼「やり易い方で良いと思うよ」

幼「なにせじゃがいもだからね」

男「ん?」

幼「皮付きでも美味しいだろう?」

男「言われてみればそうだな」

幼「取り敢えずこれでよしと」
パッパッ

男「見事な手さばきだなー。見惚れちまうぜ」

幼「そ、そうかい?えへへ」

幼「それでこのじゃがいもを一口大に切って…」
トントントン

男「ふんふん」

幼「フライパンのベーコンと混ぜてちょっと炒めるんだ」
ジュー

男「おぉぉぉぉ、ベーコンの脂がじゃがいもを包むんだな?」

幼「そう。これで塩味が軽く付くので、味付けはこしょうを軽く振るだけなんだ」

男「良い匂いだなぁ……もう完成か?」

幼「あと二工程」

男「十分に美味そうだけど、この上何をするんだ?」

幼「器に移して……上からピザ用チーズをパラパラと」
パラパラッ

男「ぐはっ!それもう美味いの確定じゃないか」

幼「そうだね、美味しいと思う……よ」

男「それを混ぜて終わり?」

幼「これをレンジで温めるんだ。チーズが溶けるまでね」

男「うぉお……チーズ溶かすか……」

幼「もうすぐだよ、男」
ピッピッ

男「3分過ぎちゃったぞ」

幼「ん?」

男「さっきキューピー3分クッキングって言ったろ?」

幼「あわわ……聞こえていたのか、意地の悪い」

男「ん?俺、意地悪だったか?」

幼「……いや、意地悪ではないよ」

男「幼の気分を害したなら謝るよ、すまん」

幼「あやまらないでくれよ、男」

幼「男は何も悪い事をしていないから」

男「でも…」

幼「本当に何でも無いんだ」

男「そうか?なら良いんだけど……変な気は遣うなよ?」

男「俺と幼の仲だろ?」

幼「そうだね」

幼(無自覚だから仕方無い、仕方無い……)

幼(焦らない…焦らない……)

男「ん?どうした、幼?おーい?」

幼「んっ!?な、何かな?」

男「レンジ、温め終わったみたいだけど」

幼「そ、そうか、じゃあ温かいうちに頂こうか」
ガチャ

男「うわーーーーー」

男「めっちゃ美味そうだな!あと良い匂いだぜー」

幼「はい、お箸」

男「ありがとう、頂きます!」

幼「召し上がれ」

パクッ
モグモグ
男「んめぇー」

幼「ふふふ、口に合ったようだね」

男「結局5分もかかってないし、凄いな、幼」

幼「私は凄くないよ、凄いのはじゃがいもとベーコンだよ」

男「そうか?いやいや、手際の良さ凄かったよ」

幼「ありがとう、ふふ」

男「……」
モグモグ

幼「……」

幼(あ、この雰囲気って……)

男「あのさ」

幼「ん?」

男「ほら、あーん」

幼「えっ!?えっ!?」

男「幼も食べなよ、俺が言うのもアレだけど、美味いぞ」

幼「あっ…あの…」

男「ほら、口開けて!さあさあ」

幼「じゃ、じゃあ……」

男「ん」

パクッ
モグモグ

男「な?美味しいだろ?」

幼「うん……うん、美味しいよ、自分で言うのも変だけどね、えへへ」

幼(これって間接……キス)

男「……あのさ」

幼「うん?」

男「こうしてると新婚の夫婦みたいだよな」

幼「しんっ!……こ、ん」

男「なんてな、すまん。変な事言っちまったな」

幼「そ、そんな事はないよ、男」

男「そうか?ほら、もう一口」

幼「あ、あぁ」
パクッ
モグモグ

幼「……変な事なんかじゃ、無いよ、男」

男「ん…?」

幼「私は…その……」

ガチャガチャ
バタン


幼馴染の母「ただいまー」

幼「なっ……母さん、今日は帰らないんじゃなかったの?」

幼母「それが取引先の都合で明日になっちゃってねー」

男「おばさん、お邪魔してます」

幼母「あら、男ちゃん、いらっしゃい。なんだか久しぶりねー」

幼「……」

幼母「あら?…………ひょっとしてお邪魔だったのは私?」

幼「べ、別にっ」

男「?」

幼母(何なら今からもう一度出ようか?小一時間位)

幼(余計な気を回さないでっ)

男「おーい幼、最後の一口、俺が食っちゃうぞ?」

幼「ど、どうぞどうぞ」

男「じゃあ遠慮なくっ」
パクッ
モグモグ


幼(今日もまた駄目か……)

幼(どうしてこんなに間が悪いのか……)

幼(でも次は……次こそは……!)




男「あぁ…こんな料理なら毎日食べたいなぁ」


幼・幼母「!?」


おわり

おまけレシピ

『どう転んでも美味しいじゃがいものやつ』

じゃがいも 食べたい量

ベーコン 食べたい量

ピザ用チーズ 食べたい量

こしょう 少々

作り方


じゃがいもはちょっと固めに茹でて
一口大に切る


ベーコンも一口大に切って炒める


そのまま同じフライパンにじゃがいもを入れて混ぜながら軽く炒める


器に移して、ピザ用チーズをパラパラした後、レンジで温める


チーズが溶けたらこしょうを振って出来上がり


温かいうちに頂きます!

とにかく簡単です

味付けはこしょうを少々だけで十分です

ベーコンの脂から出た塩味とじゃがいもが超合います

食べたい量作って、食べたいだけ食べる

最高だと思います

ぜひお試し下さい

これで全部おわりです

読んで頂けたら嬉しいです

作って食べて頂けたら更に嬉しいです

おまけが長くなって申し訳ない

では。

おつ
さいきんは夜でも空腹が減るぜ
なんもかんもこのスレが悪い!
なんでこう美味そうな写真ばっか貼るかなー
じゃがいもマジ万能カロリー爆弾食材
みかん

あとおまけの短編も良かった
リクエストみたいな形になったのは申し訳ない気持ち
がんばれ幼馴染! 男の胃袋握りつぶせ!
ところでジャガイモって冷蔵庫入れなくね?
ウンシュウミカン

※グロ注意
http://s2.gazo.cc/up/24034.jpg

※今日のお酒はスミノフアイス
http://s2.gazo.cc/up/24035.jpg

※ゴチ
http://s2.gazo.cc/up/24036.jpg

>>197
レスありがとうございます

じゃがいもは常温で保存ですね
幼馴染が冷蔵庫で見つけたのはベーコンって事でお願いしますすいません

じゃがいもマジ神様の食べ物
でもでぶっちょ製造食品でもありますね

ご利用は計画的に

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