イケメン「...お金がない」 (19)
イケメン「どうしよう...」
イケメン「折角特待生で高校に入ったはいいものの...食費がなければ生きていけない...」
イケメン「弁当だって今時日の丸弁当だから見られるのが恥ずかしくて毎日便所飯だ...」
イケメン(...梅干しがみにしみる)
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イケメン(飯も食い終わったしトイレから出よう)
イケメン(...残りの昼休みなにしてすごそう)
イケメン(とりあえず屋上に行こう)
女子生徒「ヤダなにあのイケメン...」ヒソヒソ
女子生徒2「A組のイケメンくんでしょ?ヤバイほどイケメンだよね」ヒソヒソ
イケメン(あぁ...女子がこっち見ながらヒソヒソ話してる...)
イケメン(悪口かな...)チラッ
女子生徒ズ(こっち見たー!!!)
イケメン(とりあえず屋上にきたけど)
イケメン(やっぱり誰もいなくて良かった...)
イケメン(...昼休み終わるまで寝るか)
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~二年前~
イケメン「じゃあまた明日な!友!」
友「おう!じゃあなー」
イケメン「ただいまー」ガチャ
イケメン「腹減ったしおやつでも食うか...ってん?」
イケメン「机の上に置き手紙...?」ペラッ
イケメンと妹へ
父さんが会社をクビになりました。
私はもうあなたたちを育てる自信がありません。
貯金の半分の50万を置いていくのであとは自分達でなんとかしてください。
母より
イケメン「...は?なんだよそれ...?」
イケメン「父さんがクビ?なんでいきなり...」
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キーンコーンカンコーン
イケメン(.....はっ!?)
イケメン(昼休み終わりか...)
イケメン(それにしても嫌なこと思い出しちまった...)
その日、親父は暗い顔をして帰ってきたけど俺も妹も何も親父には言わなかったし、親父も口を開かなかった。
その次の日の朝、親父は母さんが残した50万を持って、どこかへ消えた。
俺と妹は近所に住んでいた父方の祖父、祖母の家に助けを求めた。
祖父母は事情を話すと、俺達を引き取ってくれた。
なぜあの親父の親なのかわからないほど祖父母はいい人達でだった。
迷惑を少しでもかけないために必死に勉強し、特待生として今の学校に入り、高校入学と同時に祖父母の家を出た。
引き止めてくれたが、これ以上迷惑はかけられないので強引に出て行った。
妹も同じ気持ちのようで俺についてきた。
今は俺のバイト代でなんとか二人生活しているが妹の学費は祖父母が払ってくれている。いつか必ず返すつもりだ。
イケメン(...教室もどろ)
キーンコーンカンコーン
~放課後~
イケメン「さて、バイト前に俺の可愛い子供達を見に行きますか」
子供とは俺が学校の花壇を使って(無断で)ひっそりと作ってる野菜のことだ。
うちはオンボロアパートなので庭がないので野菜が作れず、しかたなく学校の花壇の使われてないところを勝手に拝借して育てている。
イケメン「さて、誰もいないな...?」
イケメン「おっ、少しずつ芽が出始めているな!」
毎日この野菜の様子を見に来るのが、薄い俺の人生においてほんの少しの楽しみだったりする。
イケメン「順調に育ってきてるなー」
???「あのー...」
イケメン(ヤバイ!?誰かに見られた!?)
???「あのー...そこの花壇の野菜の主さんですよね?」
イケメン「そ、そうですけど違うんです!これはその...」
部員「あの...わたし植物研究部の部員なんですけど...」
イケメン「あっ!ごめんなさい!やっぱ勝手に使ったらまずいですよね花壇!」
部員「いえ...そこは使ってないので使っていただいていいんですけど...」
イケメン「そ、そうなんですか!?いやー良かった良かった!」
部員「あの...もしよければうちの部長と会っていただけませんか?」
イケメン「えっ...?あっ、はいいいですけど...この花壇使っていいなら...」
部員「よかった...!多分くれば花壇の正式な使用許可が降りるとおもいますんで、明日の放課後旧校舎の一階にある化学室にきてくだい」
イケメン「は、はいわかりました」
部員「ありがとう、それでは」
イケメン(な、なんか花壇の正式な使用許可出るって...ラッキー?)
イケメン「あ、やべこんな時間だ」
イケメン「バイト行かないと」
~商店街~
イケメン「こんちわー」
店長「おっ、イケメンくん」
俺のバイトというのは祖父母の友人が経営している酒屋の手伝いだ。
俺が高校に上がって家を出て行く時に紹介してくれたバイトで、けっこう時給もいい。
まあ店長が半分娯楽と趣味でやってる店だから気軽に働けるし店長がいい人なので気に入ってる。
店長「イケメンくん、今日は三丁目の田中さんちにこれ五本運んでくれる?」
イケメン「了解っス」
俺の仕事は主に店番と足腰の悪い店長に変わってスクーターで酒を届けること。
うちは品揃えが良いらしいので近所の酒好きには評判がいいらしいのでちょくちょくこういった注文が入る。
イケメン「んじゃ行ってきまーす」
店長「はい行ってらっしゃい」
配達が終わると今日は仕事がないらしいのでバイトを終えて家に帰った。
~自宅~
イケメン「ただいまー」
妹「おかえりーご飯できてるよ」
妹はいつも俺に飯を作って待っててくれている。
妹はまだ中3だし祖父母の家にいても良かったんだが俺が大変だろうと思いついてきてくれたらしい。
泣ける。
イケメン「あぁ、今日も飯が美味い...」
妹「ごめんね、今日はおかず一品しか作れなくて」
イケメン「いいんだ、これだけで充分だよ」
妹「あとお兄ちゃん、お弁当毎日あんなのでほんとにいいの...?私ばっかり普通のお弁当食べて...」
イケメン「いいんだいいんだ、俺は男だけど年頃の女の子が日の丸弁当じゃ変だろ?お前は好きなもん食え!」
妹「ありがとねお兄ちゃん...」
イケメン「俺こそ毎日弁当に美味い飯、ありがとな」
妹「ううん、このくらい大丈夫」
イケメン「その代わり今年は受験なんだからしっかり勉強して、お前も特待生目指して頑張れよ!」
妹「うん、頑張るよわたし」
こうしてなんとか二人、祖父母の援助もありなんとか幸せにくらして行けている。
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