女「いや!ゴキブリ!」ゴキブリ「おっと失敬」 (38)

ゴキブリ「驚かせてすまないマドモワゼル」

女「」

ゴキブリ「おっと私としたことが、紳士たる者自己紹介を欠かしてしまうとは、あまりの失礼さに閉口されてしまうのも納得だ」

ゴキブリ「私、ゴキブリ申します。御宅に住まわせてもらってます。以後お見知り置きを」

女「よし動くなよ、今ゴ○ジェット持ってくるから」

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ゴキブリ「まあ落ち着きたまえ、マドモワゼル。いきなり殺そうとするなんて淑女の振舞いではないな」

女「淑女であるつもりはないし、私はマドモワゼルじゃなくて女っていう名前があるの」

女「じゃなくて!」

女「なんでゴキブリが平然と喋ってるのよ!」

ゴキブリ「?紳士だからに決まっているだろ?」

女「やっぱりゴキ○ェット持ってこようかしら」

ゴキブリ「はっはっはっ!中々冗談が御上手だ!えっと、女さんお呼びすれば良いかな?」

女「ゴキブリにさん付けで呼ばれる日が来るなんて想像すらしたことなかったわ。まあそれでいいわよ」

ゴキブリ「では女さん、先程は紳士ジョークだ。中々良い反応をしてくれたのは冥利に尽きるよ」

女「ゴキブリにツッコミを褒められる日が来るとも想像してなかったわ」

女「はぁ……落ち着いたわ。とりあえずアンタを[ピーーー]事は保留にしてあげる」

ゴキブリ「流石女さん、私が見込んだ淑女だ。私の事は気軽にGと呼んでくれても構わないよ」

女「はいはいGね。で、Gはなんで喋ってるの?」

ゴキブリ「わからない」

女「はあ?」

寝る
SS深夜に書くつもりがこっちに書いてしまった

ゴキブリ「それが分からないのだよ。いつものように残飯物色の為に流しに

女「はいストップストーップ」

ゴキブリ「なんだい?質問があればどうぞ」

女「聞き捨てならない事を聞いてしまったんだけど」

ゴキブリ「というと?」

女「流しに物色とかなんとか」

ゴキブリ「ああそれかい?我々ゴキブリの中では『家主の寝静まった流しは餌が多い」は半ば常識だったからそのまま流してしまったよ。これは失礼。詳しく説明させてもらうと

女「詳しい説明はいらないよ全然所望してないよ」

ゴキブリ「えっと、なんで流しの話になったんだっけか。ああそうだ、なんで喋れるのかという話だったね。失敬失敬」

女「流し周りは常に綺麗にしてホイホイ設置しようそうしよう」

ゴキブリ「そんはことしたら仲間が飢えてしまうではないか!」

女「個人的にはそっちの方が非常に嬉しいのだか」

ゴキブリ「まったく……まあ我々の仲間はその程度では死滅しないがな」

女「他にどこか餌場があるの?」

ゴキブリ「おっとその手には乗らないぞ。そうやって我々の補給線を断とうという作戦なのは見え見えだぞ」

女「チッ」

ゴキブリ「さて、話を戻そうじゃないか。私は残飯を物色すべく流しに行ったというところまで話したかな?」

女「釈然としないまま流されたけど。まあいいや、そこまで話したよ」

ゴキブリ「そうしたら喋れるようになっていたよ」

女「はいストップ」

ゴキブリ「はい何かな女さん」

女「結局なにも分からないんだけど」

ゴキブリ「だから分からないと言ったではないか」

女「いや、色々と省き過ぎじゃない?ほら何か食べたとか、浴びたとか」

ゴキブリ「もし食材ならば、女さんも食していたことになるが?」

女「うーん……そうだよね……あ、その前に聞きたいことがあるんだけど」

ゴキブリ「なにかな?」

女「Gには奥さんとかいるの?」

ゴキブリ「交配をした異性という認識で良いならいる。沢山の我が子もいるぞ」

女「聞いてはいけない質問だった」

ゴキブリ「今も我が子は我々の糞や仲間の死骸を食べて大きくなっているぞ」

女「ヤバい。鳥肌がMAX」

ゴキブリ「子がかわいいのは多くの生き物に共通の感覚だと思うのだが、人間は違うのか」

女「いや確かにかわいいなとは思うよ。でもゴキブリの子どもが好きな人間はそう多くないと思うなぁ」

ゴキブリ「そうか……あんなにかわいいのに……残念だ」

寝る

ゴキブリ「それはそうと、紳士たるもの優雅にお茶でも飲みながら話をしたいが、私は紳士だ。家主にお茶をせびるつもりはない。代わりにと言っては何だが、水をくれないだろうか」

女「(!)ええ、いいわよ。ちょっと待ってね」

女「はい、水を持って来たわ。あーおっとうっかり水をこぼしてしまったー(棒)」

ゴキブリ「うわっ!何を!」

女「あーしまったーついうっかり水がー」

ゴキブリ「あーあー何という事を。カーペットが水浸しじゃないか」

女「(あれ?)あんた水平気なの?」

ゴキブリ「この程度の水なんて紳士たる私には清涼剤にしかならないぞ」

女「なんということだ」

ゴキブリ「我々の体は常にコーティングされているから、ちょっとした汚れ程度なら体に付きもしないぞ」

ゴキブリ「水程度なら弾いておしまいだ。むしろ水を頂けて感謝している」

女「流石のGも水なしは厳しいのか」

ゴキブリ「生きとし生けるものの多くは水がないと生きていけないだろう?」

女「ゴキブリに正論を言われる日が来るとは」

ゴキブリ「んく、んく……ぷはぁ美味いな。いい水だ」

ゴキブリ「ああ、我々を目の敵にするならば、カーペットに染み付いた水を早々に拭き取ることをオススメするよ」

女「まさか……」

ゴキブリ「どのまさかか分からないが、どれだけ家を綺麗にしようとも、水さえあればしばらくは生きていけるのが我々だ」

女「ちょっと雑巾持ってくる」

女「……ふぅ、少し湿ってるけどこんなもんかな」

女「でもなんでGは仲間の不利になるようなことを?」

ゴキブリ「水なんて風呂場に洗面所、トイレとどこにだってあるからね。この程度の水ならあってもなくても変わらないよ」

女「ちくしょう」

女「大分話が逸れたけど、結局いつから喋られるようになったの?」

ゴキブリ「おお!そうだったな!」

女「ごめん力むのはいいけどそれ以上は生理的に無理だから近付かないで」

寝る

ゴキブリ「おっと失敬失敬。つい興奮してしまってな」

ゴキブリ「まず女さんの声が理解できるようになったのは一月ほど前だったか」

女「結構前なのね」

ゴキブリ「まあそうなるね。たた理解出来ても喋れはしなかったが。ただ今まで食べて子供を作る位しか脳のなかった私にはそれだけでも大きな進歩だった」

女「ふぅん」

ゴキブリ「人間の雌雄の区別もその辺りから付くようになった。我々の生殖器と比較しながらだったが」

女「ちょっと待ってどうやってその知識を」

ゴキブリ「ああ……そこを突っ込むかい?紳士たる私はあまり言いたくはないのだが」

女「ま、まさかとは思うけど……」

ゴキブリ「何を想像しているか私には理解出来ないが、大変失礼だと思いながら女さんの行為を観察させてもらった。アレは自慰というらしいな」

女「」

女「ゴキブリに[田島「チ○コ破裂するっ!」]見られた……死にたい」

ゴキブリ「それについては誠心誠意謝罪させてもらう。申し訳ない」

ゴキブリ「ただおかげで性の比較する事ができた」

ゴキブリ「ああ、いくら人間の言葉が理解できたとしても、人間の性行為に及ぼうなどとは考えてないから安心して欲しい」

ゴキブリ「俗に『蟲姦』というのだったか」

女「だからどこからその知識を」

ゴキブリ「それはおいておこう。とにかく私は様々な媒体を用いて知識を得た」

ゴキブリ「そして私は考えた。これはもしかすると今まで誰もなし得なかった『ゴキブリと人の共存』が可能になるのではないかと!」

女「それは無理」

ゴキブリ「何故だ!」

女「G、あなたはゴキ○ェットと共存しろと言われて共存できる?」

ゴキブリ「ぐ」

女「無理だよね?普通なら無理だよ」

ゴキブリ「ぐぬぬ」

女「私にとって、ゴキブリがいるだけでそれは生活することを脅かされてるの。それはあなたにとっての○キジェットと同じ」

ゴキブリ「ま、待ってくれ!我々は君達人間の命を脅かすことは殆どしていないはず!それとこれとは論点が違う!」

女「そこに気付いてしまったか」

女「正直に言おうか。私はゴキブリが嫌い。生理的に無理」

ゴキブリ「だ、だが!」

女「あなたにだって嫌いなものだってあるでしょ?」

ゴキブリ「我々にとって不利な情報の開示は黙秘させてもらおう」

女「何々?100%精油のアロマオイル?」

ゴキブリ「文明の利器は時に残酷である」

寝る

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