冬馬「ネトゲでもやってみようかな」 (33)
冬馬「961プロを辞めてからかなり暇ができたな」
冬馬「こういうときには暇つぶしにネトゲをやるか」
冬馬「このよく見る広告のゲーム、面白そうだからやってみるか」
冬馬「まずパッチをインストールして…」
『インストールが完了しました』
冬馬「よしできた、では早速始めてみるか」
『キャラクターの設定を行ってください』
冬馬「まずは性別か、ここは男だな」
冬馬「職業は…やっぱ王道の剣士だな」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405079108
冬馬「で、名前は…これにしよう」
『その名前は既に使用されています』
冬馬「は!? マジかよ?」
冬馬「仕方ない、別の名前にするか」
『その名前は既に使用されています』
冬馬「」
冬馬「じゃ、じゃあ…妥協して数字でも入れて…」
『その名前は既に使用されています』
冬馬「ああああああああああああ!!!」バンバン!
冬馬「結局【卍冬馬EX卍】でなんとかなったが…」
冬馬「始まる前にこんなにイラつくものなのか? ネトゲって」
冬馬「まあいいや、さっさと初めよ」
冬馬「チュートリアルも終わりレベルも順調に上げ」
冬馬「強い武器も手に入れ、これで普通に戦えるようになった」
冬馬「そろそろギルドに加入しようかな」
冬馬「ん? チャットに反応が…」
キリト『初めまして、よろしければギルドに入りませんか?』
冬馬「キリトwwwwwwSAOじゃあるまいしwwwwww」
冬馬「ていうかよくキリトって名前付けられたな、他にも同じ名前を見たが全員妥協して数字入りや卍入りだったぞ」
冬馬「まあいいや、仲間は多いほうがボス攻略しやすいからな」
冬馬「いいですよ…っと」カチッ
キリト『よろしくお願いします』
冬馬「ギルドの他のメンバーはどんなんだ?」
冬馬「えーと、アスナもいるのか しかも卍なしの純粋なアスナ」
冬馬「他にも結構いるな、しかもレベルが高い これ全員課金者なのか」
ZAZEL『すみません』
冬馬「ん? 突然なんだ? かわいいアバターだな」
ZAZEL『冬馬さん、かなり強いんですね^^ 憧れちゃいます//』
冬馬「え//」
ZAZEL『私、初心者なので強い武器とか持ってないんです なのでどうかアイテムをください』
冬馬「しょ、しょうがないな~ …はい」
冬馬「一体どんな子がやってるんだろう」
黒井「ありがとうございます、ところで早速ですがボスでも退治しに行きませんか…っと」
卍冬馬EX卍『喜んで! 二人で行けば心強いです!』
黒井「では一緒に行きましょう…っと ククク…」
黒井「やはり女のほうが得だな、これほどあっさりアイテムが手に入るとは…」
黒井「しかし忌々しい名前だ 冬馬ってあの冬馬か?」
黒井「別人だとしても腹立たしいからコイツで遊んでやるか」
冬馬「いきなりこのボスと戦うのか? とてもじゃないが勝てないぞ」
ZAZEL『実はこのボスを簡単に倒せるアイテムがあって、私そのアイテムを運よく持ってるんです』
ZAZEL『だから、それがあれば余裕で倒せます!』
冬馬「よし、それならいくか!」
ボス「シジョーーーーーーーン」
冬馬「こいつがボスか、とても勝てるレベルじゃないな」
冬馬「ZAZELさん、早くアイテムを使ってください」
『ZAZELさんがログアウトしました』
冬馬「はああああああああああああ!?」
冬馬「何してんだこのヤロー! なんでやめたんだよ!」
ボス「シジョーーーーーーーーーーーー!」
冬馬「おい、ちょっと待て やめろ、馬鹿、オイ! ああ、出口に間に合わない!」
『あなたはやられました 最後に来た町から復活します』
冬馬「ああ… せっかくためた経験値が…」
黒井「ざまあwwwwww」
冬馬「全くなんだったんだよチクショー… ん?」
『キリトさんとアスナさんが結婚しました』
冬馬「ちっ… ゲームの中で結婚とかむなしくないのかよ…」
冬馬「ああ、腹立たしい 舐めやがって…」
冬馬「しかもあいつら俺より立派な装備だな どうやって手に入れてるんだ?」
冬馬「攻略サイトでも見てみるか… えーと…」
冬馬「ふむふむなるほど、俺よりはるかに武器の能力が高いと思ったら」
冬馬「このポイントアイテムで能力の潜在オプションを上げていたからか」
冬馬「なら…」
冬馬「よし、これだけポイントアイテムを買ったら嫌でも武器に強いオプションがつくだろう」
冬馬「早速強化してっと…」
冬馬「糞がああああああああああ! 何だこの糞オプションは!」バンバン!
冬馬「命中率UPとかいらねえんだよ! ボスダメUPよこせよオイ!」
冬馬「こうなったらもう一度課金だ!」
冬馬「やっとまともな能力が追加されたか… まったく長かったぜ」
冬馬「服も一番高いやつにしたぜ、これで注目度アップだ!」
冬馬「そうと決まればレベル上げしてリベンジだ!」
ボス「シジョオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
冬馬「よっしゃあああああああああああああああ! ざまあみろ雑魚が!」
冬馬「この調子でさらに強い奴をぶっ潰してやるぜ!」
一ヶ月後
キリト『卍冬馬EX卍さん、最近レベルが物凄い勢いで上がってるね』
アスナ『まるで毎日のようにゲームしているような感じだね』
アスナ『始めてから一ヶ月経つのにもう廃人になったなんて…』
キリト『ちょっと思い当たる節があるから落ちるね』
アスナ『お疲れ』
翔太「彼が来てから冬馬君と全く連絡が取れない…」
翔太「そしてこの冬馬という名前… まさか…」
冬馬「ハハハハハ! 強え、強えぞ俺!」
冬馬「意外とたいしたことないんだな! この調子でぶっ潰してやるぜ!」
ピンポーン
冬馬「うっせーな… 今ボス倒してる途中だっつーの…」
冬馬「やっぱグルよりソロだな、経験値やアイテムを独り占めできるからな」
ボス「ぎゃおおおおおおおおん!」
冬馬「うおっしゃあああああああ! 金費やした甲斐があったぜ!」
ピンポーン
冬馬「あーもう、まだやってたのかよ」
ガチャ
冬馬「んだよ、なんだってんだよ!!」
翔太「冬馬君…」
冬馬「なんだ、翔太か… なんのようだよ…」
翔太「最近会ってないけど、何かあったの?」
冬馬「ああ? なんでもねぇよ…」
翔太「ならなんで僕たちに会わないの? なんで家に引きこもってるの?」
冬馬「何でもねぇって言ってるだろ! 迷惑なんだよ、俺にかまうな ぶっ飛ばすぞ!」
翔太「どうしてそんなに苛立ってるの? 何かあったの?」
冬馬「今俺は忙しいんだ、おととい来やがれ!」
バタン
翔太「………」
翔太「あの苛立ちよう、以前動画で何度も見たことがある」
翔太「間違いない、あの症状… ネトゲ依存症だ」
翔太「ああなってしまっては、もうまともな方法じゃとめることはできない」
翔太「こうなったら…」
冬馬「新しいボスがでてきたが… 俺の前では雑魚に等しいな」
冬馬「最大まで能力を上げたおかげでついに超激レアアイテムを手に入れたぞ!」
冬馬「しかも運よく二つ手に入ったな」
冬馬「だが俺は一つで十分だ、これをどうしようか…」
冬馬「ん?」
キリト『冬馬さん、ボス討伐おめでとうございます レアアイテムは手に入りましたか?』
冬馬「なんだ? アイテムが欲しいのか?」
キリト『もし手に入ったらそれをブログにアップして日本円で売ってみたらどうですか?』
キリト『超激レアアイテムなので一部のユーザーからはきっと高額で買ってくれると思います』
冬馬「おお! その手があったか!」
冬馬「サンクス…っと」
冬馬「早速ブログで売ってみるか!」
冬馬「想像以上の売り上げだ、まさかこんなに儲かるなんて」
冬馬「これで金をづぎ込んでスゲーアイテムを手に入れてやるぜ!」
冬馬「では早速ログインをしてっと……」
『不正な行為を行ったためアカウントを永久に停止することにしました』
冬馬「」
『不正な行為を行ったためアカウントを永久に停止することにしました』
冬馬「はあああああああああああああああああああああああああああ!」
冬馬「ふざけんなあああああああああああああああああああああああ!」バンバンバン!
冬馬「何でなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」バンバンバン!
冬馬「俺が何したんだよおおおおおおおお!」バンバンバン!
『ゲーム外での不正なアイテム売買を行ったため永久アカウント停止を決断しました』
冬馬「はあああああああ! そんなことでかよおおおおおおおお!」
翔太「少しは懲りたの?」
冬馬「翔太!? どうして…!」
翔太「大家さんから頼んで鍵を貰ったんだよ」
冬馬「ていうか懲りたってなんだよ、お前何か知ってんのか?」
翔太「うん、全て知ってるよ 冬馬君がネトゲにはまったこともアカウント停止になったことも」
冬馬「何でお前がそんなこと知ってるんだ! 誰にも話していないはずだ!」
翔太「キリト」
冬馬「!?」
翔太「あれ僕なんだ」
冬馬「何!? それじゃあ… お前が俺に売買を勧めたというのか…?」
冬馬「お前が俺を罠にはめたというのか!?」
翔太「…うん」
冬馬「なんで… なんでそんなことしたんだああああああああああああ!」
翔太「目を覚まさせるためだよ! 冬馬君はネトゲにはまりすぎている」
翔太「僕はただ、冬馬君を更正させたかっただけなんだ」
冬馬「んなのてめえには関係ねえだろ! ふざけんじゃねえええええええ!」
翔太「冬馬君…」
冬馬「貴様のせいで俺の時間や金やデータが消えたんだぞバカヤロウ!」
冬馬「責任とってくたばりやがれえええええええええええええええ!」
ガン!
冬馬「はぁ…はぁ…」
翔太「………」ドクドク
冬馬「はぁ…はぁ……… はっ!」
冬馬「お、俺は…なんてことを……」
冬馬「いくら逆上していたからって… 翔太を…」
冬馬「翔太、しっかりしろ!」
翔太「………」ドクドク
冬馬「ああ、そんな…」
冬馬「翔太…翔太……… ああ…」
冬馬「あああああああああああああああああああああああああ!」
翔太「目が…覚めたみたいだね…」
冬馬「翔太!?」
翔太「うっ…」ポタポタ
冬馬「翔太、無理するな! すまない! 俺のせいでこんなことに!」
翔太「やっとネトゲの地獄から…抜け出したようだね… 体を張った甲斐があったよ」ポタポタ
冬馬「待ってろ! 今救急車を…」
翔太「その必要はないよ… 冬馬君が思っているほど傷は深くない」ポタポタ
冬馬「だけど…」
翔太「大丈夫だって、それより反省はしたかい」ポタポタ
冬馬「あ、ああ… もう俺はネトゲに二度と手を出さない 約束する」
翔太「よかった… ところで救急箱持ってきてくれないかな… ちょっと痛くて」ポタポタ
冬馬「わ、わかった…」
冬馬「今日は迷惑かけてすまなかった」
翔太「これからどうするの?」
冬馬「自分をもう一度見つめなおすことにするよ 俺の気が晴れたらまた一緒にアイドルやろうぜ」
翔太「うん、いいよ」
冬馬「それじゃあまたな」
翔太「またね」
キリト『なんとかネトゲ依存から脱却させたよ』
アスナ『ホント怖いよね、ネトゲ依存症』
愛「一度はまったら抜け出せないところが怖いよね…っと」
舞「愛! いつまで部屋に引きこもってるの! 早く出てきなさい!」
愛「ほっといてよ! 今忙しいの!」
END
皆さんも自分そのものを狂わせないためにネトゲには気をつけましょう
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません