先生「今から君達には魔王を倒してもらいます」 (70)


 箒を剣、ちりとりは盾、両手にそれらを携えて魔王退治の旅に出よう。
 
 そんな話。


※注意※
 ①台本
 ②初SS

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1404812028


 キーンコーンカーンコーン(チャイム

 教室。


男「先生に放課後の居残りを命じられたぜ」

女「偶然ね! アタシもよ」

委員長「あら、男に女ちゃん。放課後の居残り?」

男「うん、そう。委員長は何でココに?」

委員長「私も居残りを命じられちゃったのよ」

 ドアバターン(開
 
先生「あらぁ。待たせたわねぇ」

女「先生、今日は何で私達残されたんですか?」

先生「あぁ~、ちょっと待ってて。皆集まってから、ね?」

 しばしの間。
 
先生「うん。全員着席したね。点呼を始めるー。まず、委員長」名簿ガバー

委員長「はい」

先生「幼馴染」カキカキ……

幼馴染「はい」

先生「男」カキカキ……

男「はいはい」

先生「はいは一回でいいから……で、次は巨乳ー」カキカキ……

巨乳「はーい」ブルルンッ

先生「次はー、田中ー」カキカキ……

田中「はい」

先生「最後は、ヤンキーね」カキカキ……

ヤンキー「あいょ」

女「先生、アタシアタシ」

先生「あ。ごめんごめん、女」カキカキ……

女「はい」

先生「ふんむ」カキ……
 

 名簿パタン

先生「んじゃ、早速だけど君達には用件をお願いしたい」

委員長「用件?」

女「げげっ、この後バイトなんだけど……」ヒソヒソ

男「校則で禁止だろ……?」ヒソヒソ

ヤンキー「だりぃー。先生ー、オレ帰って良いー?」

先生「ダメ。認めない」ニコー

委員長「一体何をお願いするのですか?」

先生「いやなにね……」ユビパッチン

 カーテンシャー、カーテンシャー、ドアバターン(それぞれ閉
 ドドドドドドドドドドドドドドド…………

男「なんだこの地響き……?」

 シィーン……
 
女「収まった?」

先生「頼みごとはシンプルだから」ツカツカ

 カーテンシャー(開
 
委員長「なっ!?」

巨乳「嘘ッ!?」ブルルンッ

ヤンキー「この教室の窓から見えるVIP町の殺風景なコンクリートジャングルの町並みをオレはすげぇー好きだったんだぜ!?」
ヤンキー「なのになんだよ、この山と緑に囲まれたのどかな風景はよぉーっ!」



先生「今から君達には魔王を倒してもらいます」角ニョキ、翼バサー

ヤンキー「げっ、先生までもサキュバス然とした格好をしているっ。年齢を考えてくれよっ」

先生「うるさい小童っ」

田中「うわぁああっ先生が化物だったなんてっ!」ダッ

男「田中待てっ何処に行く気だっ」

田中「これは夢だ夢なんだぁあー!」ドアバターン(開

男「追いかけなきゃ」ダッ

 教室を出るとそこは原っぱだった。

男「なにぃいーーっ! 廊下が無いっ!」

巨乳「まるで教室の一室だけくり貫かれて移動したみたいね」ブルルンッ

委員長「そうだな」

男「それより田中は……」

田中「うわぁあーーーっ!!」

男「田中の悲鳴だ! 急ごうっ」ダッ

ヤンキー「なんだぁ……? 田中の奴、青色したバランスボールみたいのを頭に被って遊んでるぞ」

巨乳「あれはスライムかしら?」ブルルンッ

男「もしかして襲われてるんじゃないだろうな? 田中っ」

田中「ゴボゴボゴボ……」ドシュゥウ

ヤンキー「田中の体が入浴剤のバブみたいに無くなっちまった……」

スライム「ピギー」バシュゥー(無数の触手が伸びる

男「早っ……!?」

先生「オイタはそこまで、水魔法っ」

 スライムボディーが霧散する。

先生「説明前に全滅するとか勘弁よ。さ、教室に戻って」

 教室。


先生「というわけで」
先生「今から君達には魔王を倒してもらいます」

男「魔王って何だよ……田中が死んだんだぞ!」

先生「遺影はある」遺影ゴトン

男「死ぬって分かっているから、そんなもの用意しているのかよ」

先生「君達の分だってある。しっかりと供養はしてあげます」

男「……っ!女「落ち着いて、男……」

巨乳「なぜ魔王を倒さなくてはならないのですか?」ブルルンッ

委員長「そうね。それは気になるところ」

先生「魔王は私達にとっての目の上のタンコブでね。だから倒してもらいたい」

巨乳「なぜ私達がやらなくてはならないのですか?」ブルルンッ

先生「君達のいずれかに救世主の素養があると神託が出た。それに魔王はいずれ君達の世界を侵略する予定でね」
先生「君達だってその防衛をするのは不思議じゃないと思うよ?」

巨乳「世界……?」ブルルンッ

委員長「聞き捨てなりませんね」

先生「ここはファンタジー世界。竜が空を飛び、魔法が行使される世界。概ねそれで通じるでしょう?」

ヤンキー「ドラクエか! ドラクエだな」

先生「それからもう一つの法則、君達、この写真に見覚えは?」遺影ゴトン

ヤンキー「えっ、それは……」



男「田中……田……っ? 誰の写真だ?」

男「遺影みたいにして趣味が悪いよ。先生」

委員長「娘さんd先生「あ?」いえ、なんでもありません」

先生「ま、そういうわけ。魔王さえ倒せれば君達も家に帰すことが出来るでしょう」

男「とんでもないことになっちまったな」

先生「まぁ、先生も鬼じゃない。とりあえずサバイバル用具一式と武器を一品添えたボストンバッグを各自に配布する」
先生「当面はそれでなんとかしてね。近くに村もあるから。じゃ、先生は用事があるから帰るからね」バサッバサッ

ヤンキー「マジかよぉー、先生ぇ……」

 夜の教室。
 
男「ファンタジー世界でサバイバルとか一般学生の身分じゃ無理あるよ」

女「殺し合いをしろって言われないだけマシかもね」

男「コンパスとかカッターでドラゴンに勝てるかね?」

女「せめて先生みたいに魔法が使えればなんとかなるのかな」

委員長「男に女ちゃんはこれがドッキリとか思わないのかな?」

女「思いたいけど、きっとそうじゃないって思う」

男「うん。寝て起きても変わらないと思う。とにかく支給された食料があるうちに村を目指すのがベターだろうね」

委員長「……そうだな」

 朝。


女「うーんっ。よく寝たぁ……」

ヤンキー「体が痛いぜ……」

巨乳「床の上で寝たからね」ブルルンッ

委員長「あぁ」


男「火の番してて眠れんかった」

巨乳「さて、そろそろ出発するわよ」ブルルンッ

男「眠い……」

女「辛いだろうけど我慢してね」

男「……うん」

委員長「じゃあ出発だな」

ヤンキー「どこを行っても原っぱだぜ。この道でいいのか?」

巨乳「轍もあるし人が通る形跡がある、たぶん平気かな」ブルルンッ

女「もう一時間は歩いたと思うけど全然人居ないよねぇ……」

委員長「そうだな、ん?」

 ゴブリンがあらわれた!
 
ヤンキー「小さいからだに尖った耳、そして性悪そうな顔、ゴブリンだっ! ナ、ナイフを持ってるぞ!」

ゴブリン「オォーーーーッ!!」

女「何コイツ、いきなり大声上げて……」

巨乳「まずい……皆逃げるよ」ブルルンッ

 ゴブリンのむれがあらわれた!
 
ヤンキー「増えたぞぉー! 一、二、三……とにかく沢山だっ」

巨乳「回り込まれてないから、逃げるわよ」ブルルンッ

女「早く逃げるよっ」ダッ

委員長「そうだよ」ダダッ

ヤンキー「うわぁあ足がもつれたぁ」スッテーン

ゴブリンA「イマダッヤッチマオウゼ!!」ブンッ

 ザシュッ

ゴブリンA「ゲッ、ナンダ、ニモツニササッチマッタ」グイグイ

男「おらぁっ!」キーック

ゴブリンA「グペッ!?」ドゲシッ

男「立てヤンキー、逃げるぞ」グイッ

ヤンキー「うああ、すまねぇえ」

男「バッグは捨てておけ」

ゴブリンB「ニガスカヨー」

ゴブリンC「ナニガバッグハステロダ、テメーノイノチヲステロヨー」

ヤンキー「ゴブリンいっぱい来るぞっ」

ゴブリンD「スキアリー」

 ……ュルルルルドカァアアアアアン


ゴブリンD「ギョヴェエエエエエ!!」

男「なんだ!?」

ヤンキー「あっち、逃げる先からどんどん光が飛んでくるっ」

巨乳「一斉砲火よ! 皆、散ってっ」ブルルンッ

男「ちくしょう! なんだよこれは!」

ゴブリンども「グェエエエ」

 ……。


男「皆バラバラになってしまった……」

ヤンキー「オレと男しかいないな」

 谷間の川原。

 
ヤンキー「あの光なんだったんだよ」

男「知らないよ。一斉砲火って聞こえたから、なんかの部隊が銃とか魔法とかで砲撃したんじゃないか?」

ヤンキー「怖かったなぁー。よく無事でいられたよ」

男「ヤンキーのバッグはなくなっちゃったけどな。他の皆も無事か分からないし……」

ヤンキー「何とか合流したいところだな」

男「あぁ。だけど、まずは集落を探そう。川沿いに歩いていけばそれらしいのが見つかるかも」

 ……

ヤンキー「どんどん山の方に入っているみたいだぜ」

男「そうだな。でも人通りが見えない」

ヤンキー「山の方だからな」

 ……

ヤンキー「食い物は何が残ってる?」

男「菓子パンが二つ、あとは空ッケツ」

ヤンキー「そっか……」

 ……

男「ん、よし出来た」

ヤンキー「何やってんだ?」

男「教鞭とか糸とかで、ほら。釣竿」ポチャン

ヤンキー「これで釣れんのかよ。魚はいるみたいだけどな」

男「お、ザリガニ」フィーッシュ

ヤンキー「食えるのかよ。変な虫持ってそうだぜ」

 ……

ヤンキー「腹壊した……」ギュルルルル

男「薬はあったから飲んどけ。あとは横になっとけ」ポンポン

ヤンキー「膝枕かよ……なんだか照れるぜ///」

男「気色悪いこと言ってんなよ。ほら」グイッ

ヤンキー「あっ、ちょ……で、でる」ムリムリ

男「」

ヤンキー「」

男「……着替えあるかな」

 ……

ヤンキー「治ったぜ」

男「良かったわ」

ヤンキー「……」

男「……」

ヤンキー「その、すまん」

男「いや、いいよ」

 夕方。
 山間の川原。


男「ふぅ……大分歩いたけど人居ないな」

ヤンキー「腹減った。足疲れた。本当にこっちに人いるのかよ」

男「……」

ヤンキー「完全に山の方だしな。人気の居ない方に歩いていってどうすんだよ。もうそろそろ火だって暮れるぜ!」

男「歩くしかないだろ。とにかく集落を探さないといけないんだから」

ヤンキー「だからっ、それでどうして人気の無い方に進んでんだよって、さぁ!?」

男「今更しょうがないだろ。それにヤンキーだって止めなかっただろ」

ヤンキー「ぬうぅ~」ドカッ(座り込み

男「座り込むなよ。まだ先に……」

ヤンキー「いやだ。これ以上は行かない」

男「……はぁ」
男「飯にでもすっか」

男「うーん」ガサガサ

ヤンキー「草むらで何やってんだよ」

男「食材調達だよ。パンだって大事にしないとな」ガサガサ

ヤンキー「何が取れんだよ」

男「この辺にもキノコとかあるだろ。それにほら、生物の教科書持ってきたんだ」

ヤンキー「へぇ。図鑑みてぇだな。やるじゃん男」ペラリ

男「へへっ、あったあった。ほらこれ」モギモギ

ヤンキー「お、あるもんだなぁ。よし、オレも負けねーぞ」

男「毒キノコもあるかもしんないからな。教科書でチェックしとけよ」

ヤンキー「オーケーオーケー♪」

 夜。

ヤンキー「ナベ代わりにバケツってなぁ」グツグツ

男「洗ったから平気だろ。それに火を通さなきゃまた腹壊すぞ」

ヤンキー「それは勘弁だぜ……」
ヤンキー「……」
ヤンキー「さっきはすまなかったな」
ヤンキー「当り散らしちまって」

男「こっちも同じさ。悪かった」ナデナデ

ヤンキー「な、なに撫でてんだよ。気色悪いだろ///」

男「そうだったな。悪い、癖だ」パッ

ヤンキー「癖って……女とかにそういうことしてんのかよ」

男「あぁ」

ヤンキー「はぁ。とんでもない奴だなぁー」

男「お。煮えたみたいだな。食おうぜ」

ヤンキー「だな。ん、結構いけんじゃん?」

男「おっそうだな」

 ……

ヤンキー「アババババババババババババババババ」

男「クカキケコカカキクケキキコクケキコキカカカカ」

ヤンキー「アツゥイアッツゥー、アツゥイ、アツゥイ、アッツクネェー」ヌギヌギ

男「タノシクナッテキタワー、フウー、トコロデヤンキー、スモウハスキカー?」スッポーン

ヤンキー「アァ、スキダゼ、スモウ、トクニドヒョウギワノカケヒキヲー」バッチーン

男「オッシャ、バッチコーイ」ウッチャリウッチャリー

 ……

男「……ん?」

「あら。目を覚まされましたか?」

男「ベッド? ここは?」

「ここは集落の私の家です。お二人とも近くの川原に裸で倒れてたんですよ」

ヤンキー「スースー」隣のベッド

男「え……、(長い耳、銀の長髪、綺麗な人、エルフみたい)あぁ。キノコとか食べてて……」

「素人目での判断は非常に危険ですよ。幸い命に関わるものを食べていないものの」

男「はぁ……。すいません」

「ところであなた方は何者ですか? 見たところとても珍しい衣装をお持ちのようで」耳ピクピク

男「脱ぎ捨ててあったものなら、あれは制服です。すいませんが、荷物ってありますか?」

「はい。ここに」

男「ありがとうございます、あった。学生証」
男「えっと、男と申します」

「見たことない字ですね……これは何というのですか?」ピクピク

男「良子(よしこ)です。私の名前は男花子(おのこよしこ)と言います」
男「こっちの寝てるのは……えっと、ヤンキー」

ヤンキー「んー?」モソッ

男「ヤンキーのフルネームなんだっけ?」

ヤンキー「レスリー・エドワード・ヤンクウェイだぜ」

男「私達はSSVIP女学園の生徒です」

「女性が学業をなさる? 富豪の方ですか?」ピクピク

ヤンキー「普通普通。オレ達は皆行くよ。お姉さんはどうなの?」

「淑女の教養ということで一部の富豪のみが行くものかと……」

男「そうなんだ。えっと……」

エルフ「私はエルフィーナ。エルフとでも呼んで下さい」

男「エ、ル、フ、エルフさん、よろしく」

エルフ「こちらこそ。男さん」

エルフ「そういえば、長老があなた達に話がしたいと言っていたの。お会い出来るかしら?」

男「私達が?」

エルフ「えぇ。可能かしら?」

男「駄目な理由も無いしな。行けるか? ヤンキー」

ヤンキー「着替えはあんのかなぁ? ポンチョみたいな服だけってのは」

エルフ「寝巻きですからね。あなた達の服は洗濯しておきましたから。今持ってきますね」パタパタ

男「あ、すいません」

ヤンキー「なぁ。男ぉ」

男「なんだ? ヤンキー」

ヤンキー「エルフってさぁ、その……一般的に……はいて、ない……って言う文献があってさぁ」

男「結構そういうの知ってるよな、君」

ヤンキー「いんだよ」

男「で、生えてないって何が?」

ヤンキー「はいてないっ! 履いてないってこと、下着だよ下着。ショーツ履いてないって言うんだよ」

男「いやいや、まさかだろ……」

ヤンキー「でも現に今、オレら履かされてないぜ。そういう文化無いんだよ」

男「そういえば、違和感があると思った……」

ヤンキー「あんな涼しい顔してノ、ノーパンだぜっ!?」

男「そりゃな。私もスースーするし」

ヤンキー「そうじゃなくってだな」

エルフ「お待たせしました。洗濯したものを一通り持ってきましたよ」パタパタ

男「ありがとう。エルフさん」

ヤンキー「あ、あんがとよっ……」

エルフ「では、準備が出来ましたら家の外までいらしてください」パタパタ

男「とりあえず着替えようか」

エルフ「あ。来ましたね、男さんにヤンキーさん」

ヤンキー「森の中に集落があるのか?」

男「その割には明るいな。木がぼんやりと光っているみたいだ」

エルフ「えぇ、陽光樹ですね。葉から取り込んだ光を幹全体から照射する性質がある樹です」

ヤンキー「へぇー、そう」

男「間接照明だぁ」

エルフ「あ。つきました。長老の家です」

ヤンキー「おっきい家だなぁー……でもなんで日本家屋みたいなデザインしてるんだ?」

男「たまたまだろ? あ、縁側に人がいる」

エルフ「あれが長老です」

長老「よく来た。君達は異世界人だね」ブルルンッ

ヤンキー「あわわわ……オレの説通りじゃん……」

男「むき出しのむき出しだぁ……」

長老「どうしたね? 股間を凝視して」ブルルンッ

ヤンキー「凝視って……そんな見たくて……みたいわけじゃないよぉお」ポロポロ

男「あぁ、いかん。なんか色々たまってたんだな」

ヤンキー「うわぁあん。もぅやだよぉお」ギュッ

男「おぉーよしよし」

長老「???」ブルルンッ

ヤンキー「ごめん男……」グズッ

男「いや、かまわんかまわん。セクハラした方が悪い」キッ

長老「話ええ?」ブルルンッ

男「腰巻まずは履いてください」

エルフ「ヤンキーさんは私の家で休ませていますね」

男「頼みます」

老「君達は異世界人だね?」

男「そうらしいです。なんでも救世主の素質があるとか」

長老「ふむ。どうやってこの世界に来たのかね?」

男「先生に連れられてきました。なんかいきなり角と翼が生えて」

長老「淫魔じゃな。あやつら種族も魔王に虐げられているそうじゃからな」

男「味方なの?」

長老「積極的に敵対はしていない関係じゃ。ただ、最終的な目標で利害関係が一致しないからの」

男「そうか。じゃあ、私達も味方じゃない?」

長老「ふむ……その、先生に会ったら何をしたい?」

男「はたきます。徹底的にぶちのめします」

長老「なら良い」

男「?」

長老「元より、魔王を倒すまでは同じ目的じゃからの……ついてきなさい」スクッ

男「??」

長老「宝物庫へ招待しよう」

男「なんで?」

 メキメキメキズドゥゥウウンッッ…………

長老「なんじゃ!?」

モブ「大変ですっ長老様っ!! 空より巨大な……家屋大のスライムがっ……!!」

長老「なんじゃとっ……!?」

モブ「早くお逃げください!!」

長老「ぬぅう、急ぐぞっ」ダッ

男「ちょっと何処に行くんだ!?」ダッ

長老「言ったろうっ宝物庫じゃ!」

 宝物庫
 ガラガラッ(開
 
長老「この村には代々言い伝えがある」ツカツカ

男「はい」スタスタ

長老「魔王が世を滅ぼさんとする時、世界の壁を越えしJKが救世主となるとな」ツカツカ

男「はい」スタスタ

長老「そこまでは淫魔も知っているくだりじゃが、ここから先がある」ガバッ

男「なんか仰々しい棚だな……」

長老「お主らはどう見てもただの小娘。魔王に勝てるわけがない」

男「スライムにも勝てません」

長老「それはそうじゃ。で、伝承の先じゃがな」ポイッ

男「何ですかこれ? 花瓶?」

長老「これこそが、救世主の武器『HDタンブラー』じゃ」

男「はぁ……」

長老「唱えよっ『タンブラーオープン』ッ」

男「タンブラーオープン」

長老「開けんかっ」

男「えー……タンブラーオープンっ」キュッキュッ

長老「続いて『インジェクト』ッ」

男「インジェクト?」タンブラー←パァーー
男(眩しい……)

長老「おぬしの身につけている物の名前を三つ上げィ」

男「え?」

長老「はよぅせいっ間に合わなくなっても知らんぞ」

男「身につけているもの……? ソックス、シューズ……」

-----------------
ヤンキー『はいてないっ! 履いてないってこと、下着だよ下着。ショーツ履いてないって言うんだよ』
----------------

男「ショーツ?」


 バババシュゥ!!
 
男「は?」

長老「お前はこれから異世界の戦士へと変身する」
長老「この世界でそれになるには自身の元居た世界のものを三つ、捧げることでそれは可能となるっ!」

男「え?」パァアアアアアア

長老「最後に叫ぶのだっ、名前をっ! 元居た世界の証ともなる、自身の名前をっ!!」


オノコヨシコ「変身っ、オノコヨシコォオオオーーーーーーーーーー!!」ジャッキーン

長老「完成じゃ!」

モブ「うわああーーーー!!」ドプッ

エルフ「モブさんっ!」

ヤンキー「モブさんって人が巨大なスライムに飲み込まれたぁーー!」

巨大なスライム「プゥゥゥゥウィイイイイイイグゥゥゥウイイイィイィイイイ」ズモモッ(触手を伸ばす音

エルフ「ダメっ!」


 ドゴォォオオンッッ

ヤンキー「なんだっ長老の家の屋根を突き抜けて……人かぁー!?」

オノコヨシコ「カッターソックスっ!」ズババッ

ヤンキー「脚からカマイタチみたいなのを出して、スライムの触手を切ったぜっ!?」

エルフ「あれは……異世界戦士の鎧っ」

オノコヨシコ「大丈夫!? ヤンキー、エルフさんっ」スタッ、トテテ……

ヤンキー「えぇえ……男なのか!? なんだその格好!」

オノコヨシコ「これならあいつをやっつけれるっ」(全身タイツに各部にアーマー、変身ヒロイン特有の格好)

ヤンキー「お、おう!」

オノコヨシコ「いくぜー!」タタタッ

巨大なスライム「グゥゥゥウゥイイイイイ」ズモッ

オノコヨシコ「とぁー!」ヒョイヒョイ

ヤンキー「すげぇ、飛んでくる触手を避けながら敵の本体に接近してるっ」

オノコヨシコ「こんなの当たるかー……っ!?」コケッ

ヤンキー「あぁ!? 躓いたっ」

オノコヨシコ「ヒールが邪魔だっ」
オノコヨシコ「ロケットシューズっ!」スポーンスポーン

ヤンキー「靴がふっとんでったっ!?」

巨大なスライム「グゥゥゥウゥイイイイプゥゥゥウウウウイイイ」ドゴオオオオオン

ヤンキー「やりやがった……」

オノコヨシコ「ふぅ……」

巨大なスライム「」プスプス……

オノコヨシコ「やっつけたかな?」ペタペタ

巨大なスライム「プゥウゥウイイイイイイイ!!」ズモッドプンッ

ヤンキー「あぁっ男がスライムに飲み込まれたっ」

巨大なスライム「ピギィー♪」

ヤンキー「野郎~ご満悦そうだ……!」

オノコヨシコ(生きていたか……)
オノコヨシコ(でもどちらでも関係ない)
オノコヨシコ(生きているのなら、相手に近づきたかっただけだ)
オノコヨシコ(私を取り込むのなら尚よし!)カッ

巨大なスライム「ピ?」

ヤンキー「なんだ!? スライム体内の男が光って……」

オノコヨシコ「ショーツインパクトォオオオオオオオ!!」ピカァーーーーッ

巨大なスライム「ピピィイイーーーーー」ボシュウウウウウッ!!

 もくもく……

ヤンキー「だ、大丈夫かっ男っ!」

 もくもく……

男「へへへっ」ザッ

ヤンキー「無茶しやがって、さっきのは何なんだ?」

男「それは後から説明するよ。まずは長老さんのところに……」

長老「おぉーいっ」タタタッ

エルフ「男さーん」タタタタッ

ヤンキー「なんか来たぜ?」

男「手間が省けるなぁ」

長老「さすがじゃ、男。お前こそがリョーコなのかもしれん」

エルフ「リョーコというのはこの村の言い伝えにある救世主の名前なんです」

男「んー、でも私はヨシコだから」

ヤンキー「良子だろ? リョウコとも読めるし、そういうもんじゃないのか?」

男「あ、そっか。じゃあ私もしかして救世主か」

長老「そうじゃろうそうじゃろうて」ウンウン



「あら。男良子(おのこよしこ)が救世主なの?」

エルフ「!?」

長老「!?」

ヤンキー「?」

男「……先生」

ヤンキー「どこ?」

男「ヤンキー、君の後ろに」

先生「動かないでね、ヤンキーちゃん」ギリギリ

ヤンキー「いててっ冗談はよして」

先生「冗談じゃないわぁ。ね、男。分かるでしょ? この状況」ギチッ

男「人質のつもりかっ」

先生「そうそう。いくら先生と長老派の目的がある程度一致しててもねぇ。やっぱ仲間じゃないのよ~。でも」
先生「男は仲間よねぇ~。共に勉学した仲間だものねぇ~」フワァ……

男「どこに行くつもりだっ」

先生「いやねぇ。ヤンキーちゃんの安全を確保できる場所に決まってるじゃないのぉ~」
先生「君が私の為に魔王を倒してくれる限りはねぇ~」バッサバッサ

ヤンキー「離せぇええ」ハナシタラ、アナタシヌワヨ

長老「なんてことじゃ……」

エルフ「男さん……」

男「タンブラーオープン」キュキュキュ
男「インジェクトっ」パァー

長老「男!?」

男「ブラウス、スカート、ブラジャー……変身」


オノコヨシコ「オノコヨシコっ!!!!!!」バッ

先生「あら、それが異世界戦士の鎧とかいうものなの?」ハナセー
先生「すごい跳躍力、垂直とび20mってところかしら……でもね」ハナセヨコラー

オノコヨシコ「くっ」ガクンッ

先生「さすがに私に届かないんじゃない?」ムキィーー

オノコヨシコ「スカートブースターっ!!」ドドドッギュイーーン

先生「げっ、加速したっ! それあり!? 炎魔法っ!」ボォオオ

オノコヨシコ「なんのっ、ブラウスアーマーっ」カッキィーーン
オノコヨシコ「ヤンキーを返せぇえええーーーーっっ!!」

 バシッ
 
ヤンキー「わあぁあーーーよしこぉーーーー!!」ギュウウウ

オノコヨシコ「わっ、暴れないでっ、軌道のコントロールがっ」ヒュルルルル……

 ドコーン
 
エルフ「わ、私の家に落下したっ?」

 パラパラ……

オノコヨシコ「いつつ……」ヤンキーを抱きかかえ落下の衝撃を防ぐように

ヤンキー「痛ぅー……ここはエルフさんの家か?」

オノコヨシコ「アーマーがまだ効いてて助かった……ふぅ」

ヤンキー「よしこっ」ギュウウウ

オノコヨシコ「や、やめろよ。気色悪いだろ」

ヤンキー「そんなことないぞっ、よしこは救世主で、オレのヒーローだからなっ///」スリスリ

オノコヨシコ「……フッ」ナデナデ
オノコヨシコ「助けるのは当たり前だ。ヤンキーは私のこの世界を旅する仲間で、私の大事な友達だからな」

ヤンキー「~~~~ッ、そ、そっか!」
ヤンキー「……オレはレスだ」

オノコヨシコ「は?」

ヤンキー「オレのファーストネームからの愛称だ。レスリー、だから、レス」

オノコヨシコ「うん?」

ヤンキー「友達なんだろ? だったら、名前で……その……レスって……」ゴニョゴニョ

オノコヨシコ「レス」

ヤンキー「あ」パァア
ヤンキー「よしこぉー!!」ギュウウ


先生「乳繰り合ってんじゃねぇーわよっ!!! 雷魔法っ!!!」ドゴォオオオン


オノコヨシコ「やばいっ」バリアー、パキィーン

先生「頼みのシールドも無くなったみたいね。次で決着をつけましょう……そして、その後には悪い子に補習決定ね」

オノコヨシコ「くぅう、なんかないのかな? 秘密兵器みたいなの?」

ヤンキー「よしこのバッグくらいしか……」

先生「殺しはしないから安心してね……ん? 男?」

オノコヨシコ「先生覚悟ぉーーーっ!!」ジャーンプ

先生「さっきのジェットも無くなったんでしょ? 私に届きはしないわよ」

オノコヨシコ「どうかなっ!」サッ

先生「ん? あれは私の教鞭?」

-----------------
長老「変身時に捧げた三つはお主の強力な必殺技となる。各自一発のみとなるから注意しろ」
長老「それと、変身後に技とまではいかんが追加武装として物を捧げることも出来る」
長老「その時の掛け声は……」
----------------

オノコヨシコ「アペンドっ、キョウベンロッド!」ギュイイイイン

先生「の、伸びッ……!? なっ、なんて……」

オノコヨシコ「いけぇえーーーーー!!」ブンッ

先生「ぎょぇええ~~~~~っっ!!」ガスッ

 ヒュルルルル、ドゴーン

先生「つぅう、油断した……あ?」プスプス

オノコヨシコ「ダブルブラナックルッッ!!!」メギャッ

オノコヨシコ「ふぅ……手加減したから死んでないと思うけど……」パァア……

先生「」ピクピクッ

男「さすがに知り合いを手にかけるのは後味が悪いからなぁ」

エルフ「男さーんっ」タタタッ

長老「男やぁー」タタタッ

男「あぁ。エルフさんに長老さん、なんとかやっつけましたよ」

エルフ「えぇ……えぇ?」

長老「おや、ストリーキング?」

男「え?」スッポンポーン

ヤンキー「よしこぉー、大丈夫かぁー?」タタタタッ
ヤンキー「あぁ!?」

男「あ、そうか。変身に捧げちゃって服が無くなったのか」スッポンポーン

ヤンキー「やめろぉー! セクハラ長耳族っ!! よしこを見るんじゃねぇーー!!」ダダダダッ

おのこ「…………いやん」サッ

寝る

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