男「うっわ、マジかよ雨降ってきた…」 (38)

ザーーーー

男「あー!やばい!クッソ!!とりあえずこのアパートで雨宿りしよう…」

男「はぁ…」

ザーーーー

男「…止まないな」

ガチャッ

女「…」

男「あっ…」

女「人の部屋の前で何してるの?」

男「いや、あの…雨宿り…その、雨降ってきたんで…」

男「すみません!止んだら帰りますんで…」

女「クスッ、天気予報見た?」

男「え?あ、えと…スマホスマホっと…」

―深夜まで全国的な大雨

男「…あ、あの、すぐ帰ります!」

女「待って、風邪引いちゃうよ?」

女「君、びしょ濡れ」

女「あがって?」

男「あ、いや、あの…」

―――

男「あの、服…ありがとうございます」

女「良かった、身長一緒くらいだからぴったりみたいだね」

女「制服、すぐ乾かしてあげるね」

男「ありがとう、ございます…」

女「あ、この校章」

男「そこの高校の…」

女「うん、知ってる」

男「え?」

女「私もあそこ通ってたんだ~」

男「そうなんですか?ってことは、先輩なんですね」

女「ふふ、コーヒー飲める?」

男「あ、はい!」

女「なんか緊張してる?」

男「あ、あの、女の人の部屋とか…その、入ったことなくて…」

女「クスッ、そっか」

女「お砂糖とミルク入れる?」

男「い、いえ!ブラックで!」

女「へぇー、大人だね」

男「あ…(やばい勢いで言ってしまった)」

女「はい」コトッ

男「…ズズッ」

男「うっ…」

女「あ、カッコつけたでしょ君」

女「ほら、砂糖、ミルクもあるよ?」

男「す、すみません…」

女「君、面白いね」

男「え?」

女「あ、悪い意味じゃないよ、話してて楽しいな~って」

男「は、はぁ…」

女「一年生?」

男「あ、はい!」

女「そっか、部活やってる?」

男「いえ、バイトしてるんで部活は…」

女「そうなんだ、何のバイトしてるの?」

男「えと、ファミレスの厨房です」

女「じゃあ、料理できるんだ?」

男「一応…うち、母さんいないから家でもご飯は俺が作ってて」

女「そっか~」

男「あ、あの、お姉さんは…その、働いてるんですか?」

女「ううん、大学生だよ」

男「大学生…」

女「そ、4年生」

男「じゃ、就活生なんですか?」

女「まあね、はぁ…色々大変でさ」

男「お姉さんなら大丈夫ですよ」

女「大丈夫って、何で?」

男「優しい、から」

女「え?」

女「ぷっ、なにそれ、あはは」

男「う…」

女「ありがと、頑張るね」

男「は、はい!」

男「あの、俺そろそろ帰ります!」

女「あ、待ってね」



女「うん、除湿かけたからもう乾いたよ」

男「ありがとうございました」

男「あ、あの…」

女「ん?」

男「お、おじゃましました」

女「うん、バイバイ」

―――

男「ただいまー」

父「おかえり、遅かったな」

男「うん、友達の家で雨宿りさせてもらってたんだ」

父「そうか、それなら構わんが」

男「飯は?」

父「食ってきた、メール送ったんだぞ」

男「え?あ、ほんとだごめん」

父「全く」

―――男の部屋

男「…綺麗な、人だったな」

男「…大学生、か」

男「彼氏とかいるのかなやっぱ」

男「はぁ…風呂入って寝よ」

―――翌日、放課後

ザーーーー

男「またかよ!!クソっ!!」タッタッタッ

男「…あっ、お姉さんのアパート」

男「ストーカーかよ俺は、今日は雨宿りしないで帰ろ」タッタッタッ

ドンッ

?「きゃっ」

男「あっ、すみません!あ、あの…って、あ…」

女「いたた、ごめんなさいこっちこそ…って、君」

―――

男「すみません、2日も連続で…知らない人なのに」

女「ね、傘」

男「え?」

女「昨日貸してあげたでしょ?」

男「あっ…」

女「すっかり忘れてた?てか、今日持ってなかったもんね」

男「ご、ごめんなさい、俺すっかり…」

女「ふふ、良いよコンビニのビニール傘だし」

男「あ、明日持ってきます!」

女「そう?本当に気にしなくていいからね」

男「…」

女「コーヒー飲む?」

男「ご、ごちそうになります…」

女「もっと肩の力を抜きなよ、疲れない?」クスッ

男「…う」

女「砂糖とミルクは?」

男「い、いります」

女「あはは」

男「あ、でも、今日はバイトあるから行かないと」

女「何時から?」

男「7時からです」

女「そっかー、ここからどのくらい?」

男「歩いて15分くらいです」

女「ちょっとあるね、送ってあげるよ」

男「えっ!?い、い、いいですよそんなの!」

女「雨ひどいし、傘貸してあげてもズボン濡れちゃいそうだよ」

男「…それは、まあ、しょうがないというか」

女「遠慮しないの」

男「う…はい」

―――男のバイト先

男「あの、ありがとうございました」

女「はい、傘貸してあげるね」

女「あ、でもこれ良い奴だからこれは返しに来てほしいな」

男「昨日貸してもらった傘と一緒にお返しします!!」

女「堅苦しいなぁ」クスクス

男「すみません…」

女「あ、もう7時なっちゃうよ」

女「バイト、頑張ってね」

男「は、はい!送ってくれてありがとうございました!」

―――翌日

ピンポーン

眼鏡の男性「はい」

男「えっ?」

眼鏡の男性「ん?君は…」

男「あ、あの…この部屋って女さんの」

眼鏡の男性「ああ、君か女が言ってたのは」

男「…(彼氏、いたんだ)」

眼鏡の男性「傘を返しに来るかもしれないって聞いていたからね」

眼鏡の男性「おーい、男君きたぞ」

女「あ、やっぱ今日返しに来てくれたんだ」

女「君って律儀な感じするもんね」

男「あ、あの、ありがとう…ございました」

男「それじゃ、俺はこれで」タッタッタッ

女「え?あ、ちょっと…」

女「どうしたんだろ?」

眼鏡の男性「さあ…」

眼鏡の男性「じゃ、俺もそろそろ帰るよ」

女「うん、ありがとね」

眼鏡の男性「いいって、可愛い妹の頼みだ」

女「それってすごいシスコンっぽいよ」クスッ

眼鏡の男性「バカ言ってないで、さっさと就職先決めろ」

女「…」

眼鏡の男性「じゃあな、たまには家帰って来いよ、お前帰ってくるの夏休みとかそんくらいだしさ」

女「うん、またね」

眼鏡の男性「おう」

バタン

女「…さっきの男君、なんか変だったな」

女「なんかあったのかな…」

女「…」

女「バイト先、行ってみようかな?」

女「…ストーカーか私は」

―――男のバイト先

女「そういえば、何時に終わるのかわかんないや…」

女「うーん」



女「…帰ろっかな、てか今日ってバイトなのかな?」



女「…結局5時間も待っちゃった」

女「なにやってんだろうなぁ…」

女「あっ…」

女「おーい」プップー

男「え?」

男「えっ…」

女「乗りなよー」

男「あっ、あの…何で」

男「彼氏さんは…?」

女「彼氏?いないよ私」

男「え、でも今日お昼に…」

女「あっ、お兄さんのこと?」

男「え?お兄さん?」

女「うん、お兄さん」

男「あ…そうだったんですか…」

女「そういえばさ、何かあったの?」

男「え?」

女「今日ちょっと、様子変だったから」

男「その、それは…」

女「…?」

男「俺…」

女「うん?」

男「すみません。やっぱ、帰ります!」

女「待って!」

男「…っ」

女「私が原因?」

男「…」

女「そうなの?」

男「…」

女「なんか、悪いことしちゃったのかな?」

男「俺…」

女「うん?」

男「まだ、全然お姉さんと会った回数少ないのに」

男「ずっとお姉さんのことばかり考えてて」

女「あ…」

男「その…」

男「夢中になってて…」

女「…」

男「お姉さんから見たら俺は子供なんでしょうけど」

男「でも、きっと俺はお姉さんが…好きです」

女「…」カァァ

女「私…その」

男「あ、いいんです…ただ、俺が言いたかっただけだから」

女「いや、違うの」

女「私も多分、君のこと好き…なのかな」

男「なのかな…って?」

女「色々あってね、恋愛感情とか、よくわからないんだ」

男「…」

女「ごめんね、でも、君と話したりしてると凄く楽しい」

女「だから、今は返事は出せないけど」

女「これからも君と、会ったりはしたいな」

男「あ…」

女「そういえば、連絡先も交換してなかったよね」

男「お、教えてくれるんですか?」

女「食い付くね~」クスッ

男「あ…いや…」

女「じゃ、電話番号、交換しよっか」

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