ワカメ「お兄ちゃん!私妊娠したの!」(124)

カツオ「何だって!?それは本当かい!?」

ワカメ「うん」

妹からの電話は妊娠の報告だったカツオはあまりの出来事に言葉が上手く出ない

カツオ「あ、相手は誰なんだ…?」

これくらいしか聞けなかった

ワカメ「今度お腹の子供の父親とお父さん達に挨拶しに行くからそれまでのお楽しみだよ!じゃあまたね!」ガチャ

上機嫌に話すワカメの声を聞いて少し安心するカツオ

だがこれがカツオが最後に聞いたワカメの声であった…

それから数日後ある盗難車が山中で発見された

警察からの発表によると盗難車の中には女性の遺体が放置されていた

所持品から身元が判明した

遺体の身元は磯野ワカメであった…

司法解剖が終わりワカメの葬儀が行われる雨の音だけが静寂に響いていた…

サザエ「うぅっ…ワカメェ…」

マスオ「ワカメちゃん…くっ…」

フネ「うう…」

波平「何で…こんな事に…」

皆がワカメの死に涙を流した…たった一人を除いて兄のカツオだった

カツオの心は妹を失った悲しみより憎しみの炎で満たされていた

カツオは偶然警察の話を盗み聞きしワカメの死に方を知っていた

ワカメの死因は首を絞められたことによる窒息死そして全身には痣が残る程の暴力を受けた痕跡さらには性的に暴行された形跡もあったという

僕の妹は人間としての尊厳を踏みにじられた末無残に殺されたのだとカツオは思っていた

カツオ(ワカメ…誓うよお前を虫けらのように殺した奴を必ず見つけ出して地獄に叩き落としてやる…どんな手を使ってでも…)

今ここに一匹の復讐の鬼が生まれた…

それから3年後…

子供「あっ!僕のボールぅ!」

子供がボールを取るために道路に出たその時大型バイクが子供の前に現れた

三郎「ひゃっはー!邪魔だぁ!俺の道の前に立つ奴はガキだろうとミンチにしてやるぜぇ!!」

子供「うっ!うわぁーっ!!」

ガッッシャアアアアンッ

子供「……あれ?」

???「大丈夫かい坊や?」

三郎「あひぇっ…あひぇぇぇ…」

子供が見た光景は三郎ごと大型バイクを片腕で持ち上げている筋骨隆々の男の姿だった…

子供の母「あっ!ありがとうございます!息子を助けて頂いて!何てお礼をすれば…!!」

???「ははっ!お礼なんていりませんよ!人助けをする事は当然ですから!」

子供の母「せめて…名前だけでも…」

カツオ「僕の名前は磯野カツオです。僕急いでいますんでこの辺で!」

あれから3年…カツオは逞しく成長していた…

命を削るような苦しい鍛錬をワカメの葬儀から一日も欠かさずに積み…

その結果カツオは逞しい青年に育っていた…

カツオの肉体は体脂肪率7%、身長195cm、体重100kg

大型バイクくらいなら片手で軽々と持ち上げられるほどの筋力を手に入れたのも成長期という事もあり急激に成長したのだ

中島「お前を逮捕する!」ガシャ!

凶悪犯に手錠をかけているのはカツオの親友、中島だった

彼は親友の妹の死をきっかけに刑事になったのであった

中島(磯野…あの時の悲しい顔をしていたお前の顔を見て俺はワカメちゃんの墓でワカメちゃんを殺した奴をこの手で捕まえて死刑台に送ると誓い、ついに刑事になった…)

ここにも一匹の復讐の鬼が生まれていた…

駅前

ノリスケ「ハイ、イササカ先生の原稿は貰って来たので今から戻ります。ハイ、それでは」ピッ

カツオ「ノリスケおじさん」

ノリスケ「やぁカツオくんじゃないか!三年振りかな?大きくなったねぇ!どうだい?再会を祝してこの後一杯!」

カツオ「ごめん、僕はまだ未成年だから飲めないよそれよりノリスケおじさん『仕事』の件で話があるんだ」

ノリスケ「『仕事』…かいいよカツオくん。こんな所じゃあれだどこか座れる所に行こうか…」

とあるファミレス

ノリスケ「僕はハンバーグセット一つ彼にはグラタンセット一つであとウーロン茶を二つね」

カツオ「それでノリスケおじさん…手がかりは掴めたの?ワカメを殺した奴についての情報…」

ノリスケ「そうだったね僕の知り合いに口では言えないような繋がりを持ってる奴が何人かいてね…

そいつらに聞きまわったらいい情報が手に入ったよ」

カツオ「いい情報?」

ノリスケ「どうも二年前だったかなある風俗である客が嬢に高らかと自慢していたらしいんだ

『俺は去年自分のガキを身ごもった女を一人ヤッた』ってね…」

カツオ「そいつがワカメを…でそいつの特徴は聞いたの?」

ノリスケ「ああ…何でもそいつの右肩には小さな髑髏みたいな痣があったらしい…
随分と特徴的だったから二年経った今でも覚えてたらしい」

カツオ「右肩に髑髏の痣を持つ男…」

ノリスケ「それでカツオくん…今の所ワカメちゃんの仇の検討はついてるのかい?」

カツオ「ううん…でもとりあえず当時のワカメと交友関係のあった男3人をしらみつぶしにあたってみるよ」

ノリスケ「3人?」

カツオ「ワカメのクラスメイトの堀川君に隣の甚六さん、そしてよく家を直しに来てくれた大工のジミーの3人さ」

ノリスケと別れた後カツオはまず堀川がよく通っているバーへ向かった

堀川の行きつけのバー『ジェイル・オブ・チェイン』…

ここでは夜な夜なドラッグパーティーであったり違法風俗まがいの業務、

さらには店内での客同士の乱交など叩けば埃が出るような店であった

バー店内

女「あひいいいいっ!堀川様のチンポ最高なのおおおおおおっ!!」

堀川「何よがってんだこの便女めっ!俺様の種を喜んで受け止めろっ!!」ドッピュウウウッ

女「はぁ…はぁ…今日も最高だったわぁ堀川くぅん…それでね堀川君…」

堀川「何だい?またシて欲しいのかい?お前は本当にどうしようもない肉便器だぜ…」

女「違うの私…堀川君の子供…妊娠したの…もう二か月だって…」

堀川「何…?子供…だと?」

堀川は吸っていた煙草を床に落とす

堀川「てめぇぇぇぇぇぇっ!!誰の許可を得て孕みやがったぁぁ!?
肉便器の分際で高貴な俺様の子供を孕むんじゃあねぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

突如、堀川が鬼の形相に変わった

女「えっ…だって堀川君いつも避妊しないから…」

堀川「俺様はしなくてもてめぇはピル飲んでろって言ったよなああああああああ!?」

女「ご、ごめんなさい…でも…いや…だからね…私と…結婚してくれない?」

堀川「誰がてめぇみたいな便女と結婚するかよおおおおおおおおおお!!
てめぇみてぇな売女にはこいつをくれてやるぜえええええええええええっ!!」

堀川が拳を突き上げた

ボッゴォ…ッッ!!

堀川は女の腹にめがけて全力でパンチ、

彼のパンチ力はプロボクサー並みであった

女「まっ…ぴぃっ…」

堀川「ぎゃはははははははははははっwww必殺流産パーンチwww
無許可で俺様の子供を孕んだ女にはこいつをいつもくれてやってるぜwww」

女「うう…酷いよ…」

堀川「何だと…?まだ口答えするのかぁーっ!?
もっかい流産パンチを食らえっ!!」ヒュッ

ボッゴォッ…!!

堀川「…何だ…てめぇは…?」

カツオ「外道に名乗る名前は…ない!」

堀川の拳を受け止めたのは黒いバラクラバを被り黒のライダースーツを着たカツオであった

そして次の瞬間、カツオの拳が2,3発堀川の顔面に降り注いだ

堀川「うげぇっ…!!」

カツオの拳を一発受け鼻の骨と全ての前歯は粉々に砕け、

二発目の拳を受けた瞬間に頭蓋骨全体にヒビが入り、

そして三発目には頭蓋骨は粉々に砕け散った

これがカツオが三年もの鍛錬の果てに身に付けた力であった…

そして地面に倒れた堀川の服をカツオは力任せに引きちぎった

カツオ「右肩に髑髏の痣は…ないか…こいつじゃない」

堀川の右肩にはノリスケの言っていた髑髏の痣はなかった…

犯人は堀川ではなかった

カツオ「また振り出しか…」

中島「動くな!お前らは完全に包囲されているっ!!」

この店を摘発するために中島と数人もの警官隊が突入してきたのは

カツオが堀川が犯人ではないと分かり落胆したのと同じ瞬間であった

カツオ「あれは…中島…?」

中島「この店で違法薬物の取引など数々の違法行為が行われていると情報が入った!
よっていまからこの店を捜索させてもらう!全員ここを動くな!!」

カツオ(まずい…このままじゃ捕まる…こんな所で捕まるわけにはいかないんだ…
ワカメを殺した男をこの手で殺すまでは…)

警官「おい!そこの覆面被った怪しいお前!そこで何を…!!何だこれはっ…!!」

次の瞬間堀川の死体を目撃した警官が5メートル吹き飛ばされた

中島「っ!?」

中島が目にしたのは覆面の男が窓から逃げようとする瞬間であった

中島「おい!何をしている!!動くなと言っただろうが!!」

カツオ(すまん!中島っ!!)ヒュオッ!

カツオは中島の腹部をほんの力で殴った

その衝撃で中島は胃の中身を口からぶちまけながら地面に倒れ込んだ

中島「うぶふぅっ!!」

警官「おい!待て!!くそっ…逃げられたか…中島警部補!無事ですか!?」

中島「ああ…くそ…あの覆面の男は一体誰なんだ…」

堀川を殴り殺し、親友である中島に危害を加えてしまったカツオは深夜の繁華街の路地裏で泣いていた…

カツオ(初めて…初めて人をこの手で殺した…復讐のためだからそれも仕方ないと思っていたのに…
実際にやってみたら命を奪う事が…怖い…)

この手で一人の人間の命を終わらせた感触がカツオの右拳にヘドロのようにまとわりついていた…

雨が降っているがカツオのそれを洗い流してはくれなかった…

都内の警察病院

中島「いてて…あの覆面の男め…今度会ったら必ず捕まえてやる…」

カオリ「大丈夫?中島君?」

中島「ああ…カオリか…来てくれたんだね」

中島の婚約者であるカオリが中島が負傷したという知らせを聞き飛んで駆けつけて来てくれたのだ

カオリ「当たり前よ…式まであと一か月なのに…あなたに死なれたら私…
生きていけないわ…」

中島「大丈夫だよカオリ…僕は死なない…いや死ねないと言った方がいいのかな…
約束したからな…」

カオリ「約束って…磯野君の事?」

中島「ああ…今でも夢に出てきてうなされるんだ…磯野がワカメちゃんの亡骸を見た時の哀しそうな顔が…
親友の幸せを奪っていった奴が許せなくて…ワカメちゃんを殺した奴をこの手で捕まえるまでは絶対に死ぬわけにはいかないんだ…」

カオリ「約束もいいけど…弘君…私を置いてどこかに行かないでね…?」

中島「あ…ああ…もちろんだよ!世界で一番君を愛しているからね!」

次の日の朝カツオにとって人生で二番目に寝覚めの悪い朝だった…

一番はワカメが殺されたと知った次の日の朝だ

カツオ(堀川が犯人じゃなかった…次は甚六さんをあたろう…今日は甚六さんを尾行して…それから…)

また殺すのだろうかこの手でという思考がよぎろうとしていたがカツオは必死でそれを止めた

甚六「いってきまーす」


カツオ(甚六さんは未だに浪人で予備校に通っている…予備校にでも行くのか…?)

甚六「」キョロキョロ

カツオ(やけに周囲を気にしているな…何をしているんだ?)

甚六が懐から取り出したのはボールペンそれを甚六の前にいる女児のスカートの下に持って行った

カツオ(ボールペン?何だ何をしている?)

そそくさと女児から離れる甚六が路地裏に隠れるそれを尾行するカツオ

甚六「へへ…今日もよく撮れてるな…」

カツオ(撮れてる?まさか…)

そう、甚六は長年もの浪人生活で精神を蝕み、

女児のスカートを週8回は盗撮しそれをネットで販売するという異常な趣味を持つようになったのだ

甚六「大体父さんも母さんもウキエもうっざいんだよ…
ウキエが大学に合格してから両親からの風当たりも強くなって…
俺だってやれば東大だって受かるんだよ…受からないのは俺が本気出してないだけなのに…
それをあいつらは怠け者だと…ふざけやがって…」

カツオ(歪んでるな…犯人は甚六さんじゃないか…)

突如鳴る着信音、それは甚六の携帯電話からだった

甚六「はいもしもし?ああ、あんたか毎度どうも…何?あの写真は消したのかって?
ぶわぁ~っか!誰が消すかよあんな金の成る木をよぉ!」

カツオ(甚六さん盗撮だけじゃなく脅迫まで…完全に終わってるな…)

甚六「あんただってあの写真を世間にばらまかれたら人生終了だもんな!
なんせあんたとワカメちゃんが仲良くラブホテルに入って行く決定的瞬間を収めた写真だもんな!
ばらまかれたら間違いなく警察はあんたを三年前の事件の犯人だとすぐ見抜くねっ!」

カツオ(何!?)

甚六「じゃあなっ!ばらまかれたくなかったら今週中に俺の口座に30万振り込んどいてよ!」ピッ!

上機嫌に歩いてゆく甚六の背中を見てカツオの心の内には黒い炎が燃え盛っていた…

カツオ(甚六さんがその写真を警察に持って行ってくれれば…犯人はすぐ捕まったはずなのに…
自分の欲望のためだけに真実を闇に葬るなんて…)

ユルセナイ…

カツオの内なる復讐の鬼は甚六の所業を許せなかった…

カツオ「次は…あいつを殺そう…」

警視庁の資料室…中島は毎日ここに通っている…
三年前の事件のヒントがないかを見つけ出すために…

中島「三年前の事件の手がかり…昨日俺の携帯に送られてきたメール…これは一体誰が…」

中島の携帯に送られてきたメールにはこう書かれていた

『三年前の磯野ワカメを殺した犯人の特徴―右肩に髑髏の痣を持つ男』

送り主は調べてみたが分からなかったメールの発信元は三日前に盗難届が出されていた携帯から送られて来たらしい

中島(でもあのメールが本当なら大きな一歩だ…
でもメールの最後に書かれていた一文…あれは一体どういう意味なんだ…?)

メールの最後にはこう書かれていた

『磯野カツオには気をつけろ』

予備校をサボって甚六はネットカフェで勉学ではなく自慰に励んでいた

甚六「へへ…この見つかるか見つからねぇかのドキドキがやめらんねぇぜ…」

ガチャ・・・

甚六「!?おい!誰だ勝手に開けっ…!!」

帽子とマスクで顔を隠したカツオが甚六を一瞬で羽交い絞めにした

カツオ「お前が今現在脅迫している人間がいるなそいつについての情報を喋ってもらおうか」

甚六「カッ…はぁっ…!な、何の事だ…俺にはどういう意味か…」

ギリリッ…!

甚六の首を絞める力が強まる

甚六「ガッ…!!わ、分かった…!!言う!言うからぁっ…!!」

カツオ「よし…」

カツオが力を緩めた瞬間、甚六はカツオの腹に全力で肘鉄を喰らわせた

カツオ「ぐっ!!」

甚六「はっ!!誰がてめぇみてぇな奴に言うかよ!!せっかくの金づるを手放すもんか!!」

甚六の全力の逃走、カツオは甚六の追跡を止め、急いで店を出る。

これ以上ここにいて痕跡を残すのはまずいからだ

甚六「ハァハァ…撒いたか…?何だったんださっきの奴…どこかで聞いた声だったような…」

ジャリッ・・・

甚六の前にある人物が現れる

甚六「ん?ああ…あんたか…急に呼び出して何だよ…ひょっとしてさっきの変な奴もお前の差し金か…」

???「……」

甚六の意識はここで途絶えた

中島「これは酷いな…」

次の日の朝とある港の倉庫で中島はある惨殺死体を前にそう呟いた

中島の前に広がっていた光景は全身の皮を剥がされ倉庫の壁に杭で磔にされている変わり果てた甚六の姿であった…

倉庫の小さな窓から射す光が甚六の死体を照らしていた…


その一方でテレビのニュースで甚六が殺されたというニュースを見てカツオは驚いていた

カツオ(何で甚六さんが…消されたのか…髑髏の痣を持つ男に…ワカメを殺した奴に…)

中島「エグイ殺し方だな…ここは本当に日本かよ…」

中島の携帯がメール着信音を鳴らす

メールの差出人は例の髑髏の痣の情報を教えてくれた謎の人物からだった

中島「またか…これは…」

『おはよう中島警部補今日は伊佐坂甚六を殺した犯人の手掛かりについて教えよう
あさひヶ丘駅前のネットカフェの昨日の防犯カメラの映像を見に行け』

駅前のネットカフェ、そこは昨日甚六とカツオが一悶着あった店だった

中島は甚六を追いかけようとする怪しい人物をすぐに発見した

中島「こいつが…犯人か…?」

監視カメラに捉えられた黒い帽子とマスクで顔を隠すカツオの姿が…

中島「こいつが甚六さんを殺した犯人なのか…?こいつ…どこかで見た事が…」

ジミー「チョリィーッスwww爺さぁーん家の修理しに来ましたよーっとwww」

裏のお爺ちゃん「お、お前か…この家には壊れてる所なんてないぞ…」

ジミー「え~何言っちゃってんスかぁ?あるじゃないですかぁ~こ・こ・にwww」ボゴォッ!!

ジミーは持っていたトンカチで玄関の壁を破壊した

裏のお爺ちゃん「なっ!何をするんじゃぁっ!!」

ジミー「うっせぇジジイ!!」バキィッ!

裏のお爺ちゃん「ひぎぃっ!!」

ジミー「俺様が50万という格安の値段で直してやるんだぁおとなしくしてろよwww
あ、払わずに警察にチクったらこの家次の日の夜に放火されるかもよ?」

裏のお爺ちゃん「」ゾクッ・・・

大工のジミー、彼は現在いちゃもんをつけては法外な金額を請求する悪徳大工となっていた…

カツオ(あいつが髑髏の痣を持つ男なのか…?)

???「あらもしかして磯野君?」

カツオ「!?」

慌てて後ろを振り向くとそこにいたのはかつての友人花沢花子であった

カツオ「ひょっとして花沢さん?」

花沢「そうよ~!3年振りかしら?今までどこに行ってたのよぉ~?」

カツオ「そ…それは…」

妹の復讐のために3年間人を殺すための修行をしていたなんて口が裂けても言えなかった

花沢「久しぶりに話さない?」

カツオ「え…?いいけど…」

久々に再会した二人は募る想いもあり寂れたラブホテルで雄と雌の本能をぶつけ合っていた

花沢「ああっ!いいわぁ~!もっと激しくしてぇ~!!」

カツオ「はぁっ!はぁっ!!どうっ?気持ちいいっ!?」パンッパンッ

花沢「いいっ!いいわぁっ!!もっとっ!早くっ!激しくっ!私に白いの一杯出してぇ―っ!!」

カツオ「ううっ!!」ドピュッ!

花沢の蜜壺の中にはカツオの情愛で満たされた…

カツオは初めて女と交わった…

花沢「はぁ…はぁ…最高だったわ磯野君…」

カツオ「僕もだよ…花沢さん…」

二人はベッドの上で熱いキスを交わした…

窓からのネオンの光が二人の裸体を艶やかに照らしていた…

二人は朝まで互いの肉体を貪り合った……

中島「前科者リストにも髑髏の痣を持つ奴はいないか…」

今日も中島はワカメを殺した男の手がかりを探していたが収穫はなかった

中島「くそ…痕跡すら見つからないなんて…」

そして中島の携帯に例の謎の人物からのメールが届く

中島「またか…今度は何だ…」

中島はメールに添付されていた画像を見て言葉を失った

添付されていた写真、そこに写っていたのは猿轡をされ

両手両足を椅子に縛り付けられた自分の婚約者の姿だった…

朝、カツオはホテルのベッドの上で目覚めたベッドの傍には花沢の書置きが

『仕事があるから早めに出るわね愛してるわ磯野君今度どこかに遊びに行きましょう』

カツオ「はは…相変わらずだったな花沢さん…」

久々の平穏も束の間、カツオの携帯が小刻みに震えた

カツオ「ん?メール?誰から……」

カツオの携帯にもカオリが縛られている写真が添付されたメールが送られていた

文面にはこう書かれていた

『磯野カツオ、この女を助けて欲しければ5丁目の廃工場まで一人で来い 髑髏の痣の男』

カツオ「髑髏の痣の男…だと?」

カツオ「はぁっ…はぁっ…!何で無関係のカオリちゃんまでっ…!!」

カツオは廃工場まで全速力で駆けていた

廃工場に到着しカオリを探すカツオ

カツオ「カオリちゃーん!!どこにいるんだぁーっ!?」

カツオはすぐに工場の奥に椅子に縛り付けられたカオリの姿を見つけた

カツオ「カオリちゃっ…!」

カオリ「い、磯野君!?」

???「ふん…」ジャキ・・・

パァーンッ!

渇いた発砲音が工場内に響いた

カオリ「あ…あぁ…」ドロォ・・・

カオリの額には1センチ程の穴が突如空きそこからゆるゆると赤い液体が流れる

カツオ「そ、そんな…」

カツオの背後にいる謎の人影が持っていた拳銃でカツオの頭を殴りつけた

???「ふんっ!」ゴッ!!

カツオ「がっ…!!はぁっ…!」ガクッ・・・

???「カツオ君…君は少し邪魔過ぎた…ここで消えてもらうよ…」

中島「はぁ…はぁ…カオリ…どこにいるんだ…」

また送られてきたメール、そこにはこう書かれていた

『5丁目の廃工場に一人で来いさもなければお前の婚約者を殺す』

中島「くそ…下衆野郎め…」

廃工場に急いで到着する中島が見た光景は信じられないものだった

中島「あ…ああ…そんな…」ガク・・・

そこにあったのは額を撃ち抜かれて死んでいる婚約者と拳銃を握って倒れているかつての親友の姿だった…

カツオ「う…クソ…殴られて気を失ってたか…ん?」

カツオが見たのはこちらに銃口を向けて涙を流す親友中島だった…

中島「磯野…どうしてお前が…絶対に許すものか…殺してやる…殺してやる…」

カツオ「ま、待て中島!これは違う!俺はハメられたんだ!!」

中島「よく言えたもんだなこの悪魔め…」

カツオ「ど、どういう事だ?」

中島が携帯の画面を見せる

そこに映っていたのは堀川を殴り殺すカツオの姿が収められていた写真だった

カツオ(なっ…いつの間に…?)

中島「これだけじゃない…こんな事までするなんて…」スッ・・・

次に見せられた写真は甚六の死体の皮を剥がすカツオの姿が捉えられていた…

だがカツオは甚六を殺してはいないし甚六の死体から皮を剥がした覚えもない…

つまり二枚目の写真は合成写真であった

カツオ「お、俺はそんな事してない!信じてくれ中島!」

中島「畜生め…ワカメちゃんにあの世で詫びろ…」ジャキ・・・

???「ヒヒ…そうだ…憎め…潰し合え…このままあの二人が同士討ちしてくれれば…キヒヒ…」

二人を影から見つめる怪しい男

そいつの右肩には髑髏の痣があった

中島「死ね…磯野…」ジャキ・・・

カツオ「どうしても僕を殺すのか中島…だったらお前とは絶交だ…中島お前を殺す…」ジャキ

ズキュゥゥゥゥンッ!!

二つの銃声が重なり合う

カツオの左肩からは勢いよく血を噴き出し中島の頬からはどくどくと血が流れ始めた

中島「磯野おおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

カツオ「中島ああああああああああああああっ!!」

二人はがむしゃらに銃を撃ち合った

弾が無くなれば拳で殴りつけた

見る見るうちに二人の体はボロボロになっていく…

カツオ「あああああああああああああああああああああっ!!」

中島「ああああああああああああああああああああああっ!!」

グシャァッ・・・

クロスカウンター、二人は同時に互いの拳を顔面に受けた…

二人は血まみれで地面に倒れ込んだ

???「ふん…死んだか…あっけなかったな…」ザッ・・・

カツオ「…ん…こ、ここは…」

マスオ「ここは病院だよカツオ君」

カツオ「マ…マスオ兄さん…どうして…」

マスオ「突然病院から電話があってねカツオくんと中島君が血まみれで倒れていたってね…」

カツオ「な…中島は中島は無事なの?」

マスオ「大丈夫中島君ならそこに」

カツオ「あ…」

カツオの隣のベッドにはまだ意識の戻らない中島がいた

カツオ「中島……」

髑髏の痣の男は中島の婚約者であるカオリすらも手に掛けた…

それはカツオの中の憎しみの炎をさらに燃え上がらせた

カツオ(絶対カオリちゃんの仇も討つよ…だからゆっくり眠れ中島…)

カツオが目覚める少し前とある居酒屋で悪は蠢いていた

ジミー「えっ?こんなにもらっていいんですかぁ?」

???「ああ…さっき言った通りにしてくれればもう100万出そうじゃないか」

ジミー「ひひっ…wwwまぁこんな簡単な仕事で200万手に入るならラッキーかな!
じゃあ手筈通りにやっておきますよwww」

???「キヒヒ…よろしく頼むよ」ニヤッ

右肩に髑髏の痣を持つ男は大工のジミーを仲間に引き入れ次の計画を実行しようとしていた…

二日後病室

中島「…く…ここは…病室か…?」

ついに中島が目を覚ましただがそこにはカツオの姿はなかった

カツオは二日前髑髏の痣の男を探しに病院を脱走した

中島「くそっ!磯野の奴…何で無関係なカオリまで殺したんだ…!!」

花沢「磯野君はそんな事しないわ」

中島「花沢さん…なのかい?」

花沢「お見舞いに来たわよ中島君」

中島「俺が現場に行った時確かにこの目で見た磯野が拳銃を持っていたのを…
その傍にカオリの遺体があった事も…」

花沢「でもそれは本当に磯野君の仕業なの?ひょっとしたら何者かが磯野君を犯人に仕立て上げたのかもよ?」

中島「どういう事だよそれって?」

花沢「これは私の仮説だけどね…その何者かが磯野君を一連の事件の真犯人にでっち上げてあなたと潰し合わせるためにカオリちゃんを殺したんじゃないかって思うの」

中島「はっ!一体そんな事して得する奴なんているのかい!?……まさか…」

中島は直感した。一人だけいる

自分とカツオが死ねば得をする人間を中島は一人知っている

中島「髑髏の痣の男か…」

花沢「髑髏の痣の男?」

中島「ああ、ワカメちゃんを殺した犯人さ。僕はそいつを追っていた。多分磯野もそいつを追っていたんだろう…
髑髏の痣の男はそれを危険視して俺と磯野を一気に潰す策として一連の事件を起こし、カオリまで殺した…
とんでもない外道だよ…」

彼らの推測は合っていた

だが髑髏の次の魔の手はすぐそこにまで近づいていた…

中島が目を覚ました日の深夜

草木も眠る丑三つ時…ジミーは髑髏の痣の男の指示通りに動いていた…

ジミー「へへっ…!悪いけどあんた達には死んでもらうぜ…」ボォォ・・・

ジミーは民家にガソリンをまき、放火した家はみるみるうちに真っ赤に燃え盛った…

ジミー「もーえろよもえろーよー♪炎よほーえーろー♪」

ジミーは完全に狂っていた

今まさに燃えているのは磯野家であった…

タラオ「熱いですー!!ママー!!」

波平「うっ!うわああああああああああっ!!」

ゴオオオオオオオオオオオオオ・・・

磯野家の人間はジミーの放った炎に飲みこまれた…

出張に行ったマスオとカツオを除いて…

???「キヒヒ…いい眺めだ…燃えるゴミは焼却処分…ってね」

ジミー「やりましたよ俺!さぁ早く金!100万くれよぉ!!」

???「ふん…お前の役目はもう終わった…いいだろう褒美をやろう」スッ

ジミー「へっへっ…また何かあったら金さえくれれば何でもやるぜ…」

グサッ!

ジミー「……え?」

???「お前の最後の仕事だ…お前は俺に殺される…シンプルだろ?」

ジミーの左胸にはサバイバルナイフが突き立てられていた

刃は心臓にまで達していた

マスオ「ああ…何ていう事だ…」

警察からの知らせを聞き急いで帰ってきたマスオが見た光景は自分が住んでいた家が原型を留めておらず全焼している姿だった

そして警察がシートでくるんだ『何か』を担架に運んでいく

大きさからしてその炭の塊はタラオだったものだった

マスオ「うっ…うわああああああああああああああああああああああああああっ!!」

家族を失った悲しみと喪失感からマスオは魂の底から泣き叫んだ

しかしその叫びは愛する妻や息子には届く事はなかった…

一方そのマスオを遠くから見つめる男がいた

ノリスケ「……」ニヤリ・・・

カツオ「さぁ…髑髏の痣の男について知っている事を全部教えてよ…」

アナゴ「しっ!知らないッ!僕は何の事だか分からないよぉカツオくぅん!!」

ある高層ビルの屋上、片手でアナゴを宙づりにしているカツオが立っていた

カツオ「教えないと高さ200メートルの命綱なしのバンジージャンプをしてもらうよ?」

アナゴ「わっ!分かった言うよ!!言うから助けてくれぇっ!!」

アナゴが口を割った

カツオ「嘘をついても落とすからなお前の嘘を見抜くくらいのスキルは持っている…」

アナゴ「さっ!三年前!僕の携帯にメールが来たんだ!!
僕がスナックのママとホテルに入る写真が添付された写真さ!!
それを嫁にばらされたくなかったら車を盗んで来いってね!!」

カツオ「車…?」

アナゴ「ああ…車を盗んでメールで指定された場所に行ったらデカい包みがあって…
それを車ごと山の中に捨てろって言われて…それでワカメちゃんが殺されたってニュースを聞いて…
まさかあの包みがワカメちゃんだったなんて思わなかったんだぁ!!」

カツオ(つまりアナゴさんにワカメの遺体を捨てさせた誰か…髑髏の痣の男か)

アナゴ「カ…カツオくぅん…そろそろ放してくれないかなぁ?このままじゃ死んじゃうよ…」

カツオ「あ、ゴメンよアナゴさん…」

カツオの背後に再び謎の影が迫っていた

???「アナゴめ…喋るなとあれ程言ったのに…」

謎の影はカツオのアナゴを掴んでいる手を狙撃した

カツオ「がっ!!」

手を撃たれた痛みによりカツオはアナゴを離してしまう

その瞬間アナゴは重力に則って高さ200メートルから落下した

アナゴ「うっ!うわああああああああああああああああああああっ!!」

カツオ「アッ!アナゴさーん!!」

グチャァッ!!

カツオが見たのは200メートルの高さの落下の末に砕け散ったアナゴの肉塊であった

カツオ「そ…そんな…」

???「キヒヒ…いい音だ…人が潰れる音は…」

家族を失ったマスオはふらふらと街を彷徨っていた

彼の顔には生気がほとんど感じられなかった

マスオ「ああ…どうしてみんな…」

ノリスケ「マスオさーん!」

マスオ「ノリスケ君…」

ノリスケ「大変な事になりましたね…みんな焼け死んだんですって?」

マスオ「あ、ああ…」

ノリスケ「でもマスオさんにとってはラッキーだったんじゃないですか?みんなが死んで」

マスオ「どういう意味だい?」

ノリスケ「またまた~!僕知ってるんですよ~マスオさんの秘密」

マスオ「…僕の秘密だって?」

ノリスケ「はい!その秘密をばらされたくなかったら…僕の言いなりになってくれません?」

中島「髑髏の痣を持つ男…一体どこに…」

中島は退院した後髑髏の痣の男についての手がかりを探していた

中島「磯野…あいつも今髑髏の痣の男を探しているに違いない…
こうしていればいつか磯野に会える…その時は磯野に謝ろう…」

中島はカツオがカオリを殺した犯人だという誤解が解け、カツオを殺そうとした過ちを謝ろうと誓っていた…

それはカツオも同じだった…

カツオ「中島…次に会った時は…ちゃんと仲直りしよう…」

二人の間には決して揺るがない絆が確かに存在していた

マスオ「の、ノリスケ君…本当にこうすれば『あの事』を言いふらさないんだね?」

ノリスケ「ハイっ!そうすればバラしませんよ!
マスオさんがサザエさんに内緒で風俗嬢と浮気しててその子に貢ぐために会社の金を横領していた事は決してバラしませんよ!」

マスオ「そ、そうか…」

マスオとノリスケ以外に別の人間がいた

それは両手両足を縛られているタイコとイクラだった

タイコ「あ、あなた…どうしてこんな事を!?」

イクラ「バーブ―!!」

ノリスケ「どうしてだって?よくもそんな口が利けるなビッチめっ!!
知っているんだぜっ!!お前が俺以外の男を家に上げて体を売っているっていう事はなぁっ!!」

タイコ「そっ!そんなっ!!じゃあ何でイクラまで…イクラはあなたの息子なのよ!?」

ノリスケ「はっ!!俺以外の種で生まれたガキの事なんざ一時も息子だなんて思った事はないねっ!!
知ってるんだぜ!イクラがお前の浮気相手との間に生まれたガキだって事はなぁっ!!」

タイコ「そ、そんな事まで…」

ノリスケ「ノリスケ裁判長が貴様に判決を下すっ!!判決は死刑だ!!死刑!!
処刑方法は硫酸ぶっかけの刑だぜっ!!おらっ!!マスオ執行官!!
この痴女とクソガキに硫酸を思いっきりかけてやりなっ!!」

マスオ「で、でもノリスケ君…さすがにこれはやり過ぎ…」

ノリスケ「いいのかなぁっ!?お前が拒めばお前の汚点を世間にぶちまけてやるぜっ!!」

マスオ「わ、分かった…」

マスオはタイコとイクラの頭から硫酸をかけ始めた

その瞬間に二人の顔面がぐじゅぐじゅに崩れ始めた

タイコ「ATYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYっ!!」

イクラ「BABOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOっ!!」

ノリスケ「キヒヒヒヒヒッヒヒヒヒヒッ!!良い匂いだぁ~っ!!人間が焼ける香りってのはよぉ~っ!!」ムククッ!

ノリスケは硫酸で焼かれる二人を見て勃起し、興奮して服を全て脱ぎ捨てた

ノリスケは異常性癖者であった

狂気に悦び、震えているノリスケの右肩に怪しく浮かぶ髑髏の痣

カツオ「何だ…今の悲鳴は…」

偶然、カツオはノリスケ達のいる場所の近くにいた

カツオ「っ!!これは…っ!!」

カツオが目にしたのは全身を硫酸で焼かれ、絶命したタイコとイクラの変わり果てた姿だった

ノリスケ「やぁカツオ君久しぶりだね」

そこには全裸のノリスケが肉棒を直立させて立っていた

カツオ「の、ノリスケおじさんがやったの…?」

ノリスケ「ん~?そうさそうだよカツオ君僕がやったのさぁ」

カツオ「何て酷い事を…っ!!」

カツオが自分の目で見たのはノリスケの右肩にある髑髏の痣であった

カツオ「髑髏の…まさかノリスケおじさんが…!?」

ノリスケ「ん?ああ、これはタトゥーさ!痣なんかじゃあない!」

カツオ「ノリスケおじさんがワカメをっ…!!」

ノリスケ「もしそうだったら…どうする?」

その瞬間、カツオの中の復讐の鬼が顔を出した

カツオ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

カツオの拳がノリスケの顔面を撃ち抜く。ノリスケの前歯は全て砕け散った

ノリスケ「ぶっ…ぶひゅうぅ…っ」

カツオ「今の一発は…ワカメの分だ…そして次もワカメの分だ…今からお前を殴るのは全てワカメの分だと思え!!」

ノリスケ「まっ…まっひぇ…たひゅけて…」

カツオ「このゲス野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!命乞いはあの世で閻魔様にしてろド外道がぁーっ!!
そしてワカメにあの世で詫びろぉぉぉぉぉぉぉっ!!」ゴォッ!

カツオのラッシュがノリスケの全身を打ち砕く

カツオ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

ノリスケ「うっ!うぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!」

ノリスケの全身の骨は砕け、内臓は潰れ、神経もズタズタになった

カツオ「ワカメ…やったぞ…お前の仇をついに…!!」

マスオ「か、カツオ君…」

カツオ「マスオ兄さん!?どうしてここに!?」

マスオ「ノリスケ君に脅されてタイコさんとイクラちゃんを殺せって…
僕は…何て酷い事をっ…!!」

カツオ「マスオ兄さんは悪くないよ!悪いのはマスオ兄さんの弱みにつけ込んだノリスケさっ!!」

マスオ「カツオ君…君って奴は何て優しい奴なんだ…」

カツオ「そしてついに!ついに妹の!ワカメの仇を討つ事が出来た!!これ以上幸せな事はないよっ!!
だからマスオ兄さん…二人で強く生きよう!死んだ皆の分までっ!!」

マスオ「カツオ君…そうだね…」

中島「ど、どういう事だこれは……」

中島は三年前のワカメの遺体から採取された犯人のものと思われるDNAとワカメの身近な人物である『ある人物』のDNAを照合していた

そして検査の結果は完全に一致であった

中島「そんな…つまりこれって…磯野が…危ない!」







マスオ「あの世でみんなと幸せに暮らそうかカツオ君…」

グサァッ!!

カツオの脇腹に突き立てられるサバイバルナイフ、それは赤く錆びついていた。その錆の正体は甚六の血だったものだ

カツオ「…え…?」

マスオ「カツオ君…三年間お疲れ様。後はあの世でみんなと仲良く過ごしな」

カツオ「そんな…どうして…マスオさん…」

マスオ「これを見れば分かるかなぁ?」サッ!

マスオは上着を脱ぎ上半身を露わにした。そして右肩には髑髏の痣……

カツオ「ま…まさか…マスオ兄さんが…髑髏の痣の男…」

マスオ「ぴぃ~んぷぉ~ん!正解だよカツオ君そうさ!僕がワカメちゃんを殺した張本人さっ!!」

カツオ「ど、どうしてワカメを殺したんだ…」

マスオ「どうしてだとっ!?あの女俺とのガキを孕みやがってあのハゲに全部話そうと言いやがった!!
ふざけんなっ!!あんなパンツ丸出しの痴女との間にガキができたなんて考えるだけで吐き気がするぜっ!!」

カツオ「だから殺したのか…」

マスオ「ああ!そうさ!!最高だったぜ!!殺す前の最後の思い出としてヤッてやったけど…
首を絞めながらセックスすると締りがよくなるんだぜ知ってたか!?キヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!!!!」

カツオ「何て下衆野郎だ……」

マスオ「ワカメを殺して俺の生活は安泰かと思ったけど…お前が復讐のために鍛えてるとは思わなかったぜ…
そしてあのノリスケ…ふざけやがって!クソ虫の分際で俺様を脅しやがってよぉ!!」

カツオ「何て野郎だ…」

マスオ「後はカツオぉ…お前をここで殺せば俺は晴れて順風満帆な人生を送れるって訳だ…お分かり?」

刺された所が悪かったかカツオは身動きが取れない

マスオ「さぁさぁカツオくぅ~ん!あの世でワカメちゃんに聞いておきなよ…
僕にどんな風に弄ばれたのかをさぁ~!!きひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

カツオ「くっ!くっそおおおおおおおおおおおおっ!!」

バキィッ!!

マスオのナイフを持つ手にぶつけられたのは野球の球

カツオ「えっ…?」

マスオ「ぐっ…うぅ…誰だっ!?」

中島「よぉ磯野…助けに来たぜ」

カツオ「なっ!中島ぁ!!」

マスオ「ああ…忘れていたよまだ目障りな奴がいた事を…
ちょうどいい!君も一緒に消して今度こそ僕の順風満帆な暮らしを手に入れてみせるっ!!」

カツオ「ああ…中島…一緒にワカメの…みんなの仇を討とう!!」

中島「ああ!」

カツオ「うおおおおおおおおっ!!」

中島「でやぁっ!!」

マスオ「ふんっ!!返り討ちにしてくれるっ!!」

マスオはカツオの拳を受け流し、同時に中島の背後からの攻撃もかわした

カツオ「何っ!!」

中島「何て動きだ!!」

マスオ「僕はね、実は空手黒帯なんだ!!戦闘力はスティーブンセガール3人分さっ!!」

カツオ「それなら僕はアーノルドシュワルツネガー4人分の戦闘力さっ!!」

中島「舐めるなよ鬼畜眼鏡!俺の戦闘力はジャッキーチェン2人分だっ!!」

マスオ「ふんっ!!戦闘能力が戦闘を決めるわけじゃあないぜっ!!」

マスオはナイフを一本天に向けて投げた

次の瞬間上から大量の鉄骨が降って来た

カツオ「ぐっ…わあああああああああああああっ!!」

中島「ぐはぁっ!!」

マスオ「きひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!あらかじめ罠をしかけておいたのさっ!!」

カツオ「クソ…」

マスオ「そうだぁ…いい事教えてやろうかぁ…衝撃の真実って奴をよぉ~!!」

中島「何?」

マスオ「磯野家に放火しろとジミーに命令のしたのは俺だぁ~!!」ドジャァ~ン!

マスオ「最高だったぜ!自分の家族が黒焦げになる様をジミーに撮影させたんだけど…
興奮が止まらなかったぜっ!!」

中島「何て奴だ…」

マスオ「帰ってきた時に警察がタラオの死体を運んでいくのを見てこう思ったぜ」

~回想~
マスオ「ああ…何ていう事だ…」


マスオ(嫁と息子みーんな黒焦げwwwクッソワロタwwwwwww)

カツオ「……」

マスオ「そしてそして~www三年前ワカメの葬式なんて終始笑いを堪えるのが大変だったっぜぇ~!」

~回想三年前のワカメの葬儀~

サザエ「うぅっ…ワカメェ…」

マスオ「ワカメちゃん…くっ…」

フネ「うう…」

波平「何で…こんな事に…」

マスオ(くくくっ!くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!みんなあんなクソ女のために泣きすぎwww)

マスオ「いっやー!傑作だったぜ!!人の苦しむ様を見るのはよぉ~!!」

中島「カオリを殺したのも…お前か…?」

マスオ「カオリィ?ああ、お前の婚約者か殺しちゃった事はもったいない事しちゃったなーって後悔してるよ!
殺す前に一回犯しておけばよかったと後悔してるよ!あんないい女中々いないもんなぁぁぁぁぁ~っ!!」

中島「…きっさまあああああああああああああああああっ!!」ゴォッ!!

カツオ「…言いたい事はそれだけかマスオ…」

マスオ「…?」

カツオ「言いたい事はそれだけか…と聞いているんだ…マスオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」ゴォォォゥッ!!

マスオ「」ビクゥッ!

マスオは一瞬、自らの生命の危機を感じた。自分より弱いはずのカツオに真の恐怖を抱いたのだ

カツオ「マスオ…お前だけは…お前だけは生かしてはおけないっ!!」

カツオ「生まれてきた事を後悔させてから地獄に叩き落としてやるっ!!」

マスオ「はっ!やれるもんならやってみろぉっ!!」

マスオの攻撃。だがカツオはその攻撃を全てかわす

マスオ「何っ!?さっきと動きが全然違う!?この力は一体!?」

カツオ「ただの憎しみさ…ただただお前を殺したいと思う俺自身の本能が俺を強くするんだっ!!」

カツオのパンチがマスオの左腕に直撃する

その瞬間にマスオの左腕が吹き飛んだ

マスオ「ぎゃあああああああああああああああああっ!!」ブシャアアアアッ!!

中島「俺も…マスオ…お前を許せない!!お前を捕まえて法の下に裁きを与えようと思ったが…
俺と磯野が…お前を裁くっ!!」

中島は拾った鉄パイプを思い切り振りかぶった

その衝撃波がマスオの右腕を切り裂いた

マスオ「ぎひいいいいいいいいいいいいいっ!!」ブシャアアアアアアッ!!

マスオ「ヒュー・・・ヒュー・・・た、助けてくれぇ…」

カツオ「断る」

中島「俺達がお前に判決を下す…」

カツオ・中島「「判決は…」」

「「死刑だ…」」

中島「このまま死刑執行タイムだぜマスオ…」

マスオ「頼む…頼む…助けてくれぇ…僕はただ…幸せに暮らしたいだけなんだぁ…」

中島「他人を虫けらのように扱った末に殺してきた外道に幸せになる権利はない…」

マスオ「頼む!謝る!謝るから命だけは助けてくれっ!!」

中島「駄目だね…男は口にした事は絶対に果たさなきゃいけねぇ…だからお前を殺す…
おい磯野…」

カツオ「何だ中島?」

中島「……野球…しようぜ…」

カツオ「ああ…中島…お前がピッチャーな…」カラン・・・

カツオは傍に落ちていた鉄パイプを拾った

中島「ああ…」ヒュッ!

中島はマスオをカツオに向けて投げた

マスオ「うひゃああああ…」フラフラ・・・

カツオ「もらったぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ボグシャアアアアアアアアアッ・・・

カツオがフルスイングした鉄パイプがマスオの腹部を思い切り叩いた

その瞬間にマスオの内臓はほとんど潰れた。マスオは口から潰れた臓物を吐き出した

マスオ「…ぐ…へぇ…」

ビチャビチャビチャッ・・・

床は一瞬でマスオの臓物で赤く染められた

カツオ「どうした中島ぁ!こんな球じゃ小学生でも打てるぜ!?甲子園優勝の腕前は鈍ったかぁ?」

中島「何ぃ?お前のバッティングだって鈍ってるんじゃあないのかぁ?」

カツオ「じゃあ今度は中島が打ってみろよ!ほらっ!」ヒュッ!

今度はカツオがマスオを投げた。そしてそれを鉄パイプで殴打する中島

中島「よっしゃあぁ!!ホームランっ!!」バキィッ!!

マスオ「ぴょっ…ぎゅぅぅっ…!!」メキメキ・・・

マスオの全身の骨が砕ける音が響いた

それから2時間…カツオと中島はマスオをボールに野球をしていた…

もはやマスオの全身はグチャグチャになっており、原型を留めていなかった

マスオ「た…たひゅけて…」

中島「さすがに疲れたな…次はどうする?磯野?」

カツオ「そういえばマスオ…お前首を絞めながらワカメを犯したらしいな…よく締まるんだって?」

マスオ「な…何をしゅるひだぁ…?」

カツオ「何ってそれが本当か実践するのさ」ドスッ!

カツオはマスオの首を絞めながら先が折れて尖った鉄パイプをマスオのアナルにぶち込んだ

マスオのアナルからは赤黒い血が噴き出す

マスオ「ギャッ…ギャアアアアアアアアアアアアアっ!!」

中島「じゃあ俺はマスオの汚い皮で財布でも作ろうかなー?」

中島はナイフでマスオの皮を剥がし始めた。ナイフが一瞬で血に染まる

マスオ「――――――――――――――――っ!!!!!」

マスオは声にならない悲鳴を上げた

全身の内臓と骨を破壊され、皮まで剥がされたマスオだがまだ生きていた

マスオ「も…殺して…痛い…痛いよぉ…早く…殺…して…」

中島「なんて事言ってるぜ磯野。どうする?」

カツオ「そうだね、早く殺してこいつには地獄でみんなに詫びてもらわないとね」

ついに全ての復讐が終わる時…

マスオの全身に何か液体のようなものをかけた。それはガソリンと硫酸だった

マスオ「ガッ…はぁぁぁっ…!!」

喉を潰されたため悲鳴すら上げる事が出来ない

カツオ「お前は生きたまま火葬だ…お前が父さんや母さん、姉さんやタラちゃんにやったのと同じ事さ」

中島「磯野、準備できたぜ」

二人はマスオを一台の車に乗せるとその車にもガソリンをかけた

カツオ「さぁ…ワカメ…もうすぐで終わるからな…」シュボッ!

カツオはライターに火を灯した

ライターを投げ捨てるとそれがガソリンに引火した火の手はマスオが乗せられた車に迫る

マスオは迫りくる死の恐怖の中、自分がこれまでに行ってきた残酷な所業を悔いていたが全てはもはや遅かった

マスオ「――――――――――――――――っ!!!」

ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!!

鼓膜を大きく揺さぶる爆音とともにマスオの車は爆発四散し、その爆発により周りの車も誘爆した

そしてその爆炎は上から見るとまるで笑っている髑髏のように見えた……

カツオ「ああ…ワカメ…終わったよ…全て…」

中島「磯野…行くのか…」

カツオ「ああ…俺にはもう何もない…何も残ってない…だから中島…やってくれ…」

中島「磯野…向こうでカオリに会ったら伝えてくれ…『守れなくてゴメン』って…」ジャキ・・・

カツオ「…分かった。絶対に伝えるよ」

中島「ありがとう…頼んだ…じゃあ…」カチャ・・・

中島がカツオに拳銃を向ける

中島「さようなら親友」

カツオ「ありがとうな親友」

パァァァァァンッ・・・

渇いた銃声が全ての決着を伝えるかのように鳴り響いた……

あの事件から数日後、車10数台が爆破された事件で唯一死んだ身元不明の死体

辛うじて見つかったその死体の一部から採取したDNAを調べた結果、フグ田マスオのものであると警察は発表した

そしてその現場の近くには波野ノリスケ、波野タイコ、波野イクラの一家三人の惨殺死体も発見された

現場に残された凶器と思われるものから磯野カツオの指紋が採取され、警察は彼を全国指名手配にした・・・・・

だが磯野カツオの行方はそれから5年経った今でも不明である…

刑事「中島警視…その事件資料は…」

中島「ああ…これは五年前のフグ田マスオとその他三名の惨殺事件の資料さ…」

中島は五年の間に警視になり、管理官として凶悪事件の捜査の指揮を行なっている

刑事「しかし五年経っても容疑者である磯野カツオの目撃証言が一つもないとは一体…」

中島「そいつは一生捕まえる事は出来ないさ…一生ね…」

刑事「そ、それはどういう意味でしょうか…?」

中島「何…ただの戯言さ…」

子供「ママー!今日の晩御飯は何ー?」

花沢「あらあら花太郎…今日はハンバーグだよ」

子供「わーい!僕ハンバーグ大好きー!」

カツオにどこか面影が似ているこの少年花太郎は五年前カツオとの間に出来た子供だった

花沢(磯野君…あれから行方が分からなくなって…あなたは今一体どこにいるの?)

スーパーで晩御飯の材料を買い家に帰る花沢親子

花沢の数メートル前のベンチに見覚えのある男が座っていた

花沢「磯野…君…?」

ベンチに座っていた男は磯野カツオの姿をしていた

花沢「磯野君…会いたかったのよ…五年も一体どこにいたのよ…ほら…この子…あなたとの間に生まれた…」

カツオ「あの…どこかでお会いしましたか?」

花沢「…え?」

カツオ「あの…誰かと勘違いしてませんか…僕は磯野ではなくて伊佐野克男って言います…」

花沢「磯野君じゃ…ない…?」

花太郎「ママー誰その人知り合い?」

花沢「いえ…人違いだったみたい…私が好きな人に似てたから…」

克男「そうでしたか…お詫びとは言えませんが今から三人で食事に行きません?突然で本当に申し訳ないんですが…」

花沢「え?」

克男「僕…さっき振られちゃってここで凹んでたらあなた達に会って…それに僕あなたの旦那さんに似てるって…
何でか分からないんですけど…何かの運命なのかもなって思って…駄目でしょうか?」

花沢「え…?いや…駄目ではありませんが…」

克男「そうですかありがとうございます!僕この辺においしいレストラン知ってるんです」

花太郎「そこってハンバーグあるぅ?」

克男「うん!もちろんだよ!」

花沢(磯野君……)

『絶対…絶対幸せに生きてくれ花沢さん…』

花沢「!?」

カツオの声のした方へ振り向いたがそこには誰もいなかった

克男「どうかしましたか?」

花沢「…いえ…何もないわ…行きましょうか」

夕焼けの町を歩く三人はまるで本物の家族のように見えた…


カツオがあの後どうなったのかは誰も分からない…

だが彼は自分自身の選んだ運命をきっと後悔していないだろう…


~完~

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年12月03日 (水) 13:28:37   ID: CP9aNt8n

これよく設定ねられてるよね。スレタイからは予想外の展開がよかった。

2 :  SS好きの774さん   2015年10月02日 (金) 00:51:54   ID: opbbQk7W

最早もうこれサザエさんじゃない(良い意味で)

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom