希「にこっちの役回りも大変やね～」

にこ「絵里の妄言に巻き込まれてるのに、なんでそんな暢気でいられるのよ……」
にこ「ほら、お得意のわしわしで絵里を黙らせてよ」

希「それは出来ん」

にこ「何言ってんの、希のわしわしなら簡単でしょ？」

希「……にこっち、アレ見て」ｽｯ

にこ「ん？」

ﾁﾗｯ

絵里「あーわしわしされちゃうわー」ﾁﾗｯ
絵里「こんなこと言ったら希にお仕置きされちゃうわー」ﾁﾗｯﾁﾗｯ
絵里「わしわしだけじゃなくチブアイブまでされちゃうわー」ﾁﾗｯﾁﾗｯﾁﾗｯﾁﾗｯ

希「……ね？」

にこ「あのポンコツ、バイカル湖に沈めない？」

凛「とりあえず絵里ちゃんは諦めた方が良いと思うな」

花陽「このままじゃ一向に話が進まないもんね」

にこ「はぁ、それもそうね」
にこ「……それじゃ、絵里抜きでやりましょうか」

絵里（絵里ヌキって……私をズリネタにするなんて）
絵里（にこも年頃の女の子、やっぱり溜まってるのね）
絵里（…………よしっ！）

絵里「ねぇ、にこ」

にこ「……何？邪魔しないでよ」

絵里「とりあえず服を脱げば良いかしら？」

にこ「邪魔しないでよ！」

絵里「にこの為に一肌脱ごうと思ったのだけど……」ﾇｷﾞ

にこ「ならまず脱ぐのを止めて」

絵里「ふむ、着エロをご所望なのね」

海未「なかなか良い趣向をお持ちですね、にこ」

ことり「全裸なんて邪道だよ♪」

にこ「何この変態ジェットストリームアタック」

真姫「私を踏み台にして！」ｸﾜｯ

にこ「お願いだから目を覚まして真姫ちゃん」

穂乃果「みんな盛り上がってるねー」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

花陽「そうだねー」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

凛「二人とも、そんなに食べたらまたダイエットに逆戻りだよ？」

穂乃果「最近はライブとか多かったしきっと平気だよ～」

花陽「そうだよ凛ちゃん。花陽もご飯をいつもの3杯から2杯にして抑えてるんだよ」

希「へ～」ｽｯ

ﾑﾆｯ

穂乃果「はうっ！」ﾋﾞｸｯ

ﾑﾆﾑﾆ

花陽「はわわ！」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

希「……口ではそう言ってるけど体は正直だね」ﾆｺ

凛「希ちゃんの笑顔が眩しいにゃ～」

穂乃果「そ、そんなことって……！」ｶﾞｸｯ

花陽「なんで神様は私達を愛してくれないの……！？」ｶﾞｯｸﾘ

希「でも、今のままでいるのはいけないって二人とも分かってるよね」

穂乃果「そう、だね！」ｸﾞｯ
穂乃果「……花陽ちゃん！」

花陽「は、はい！」ﾋﾟｼｯ

穂乃果「きっとこの先に待ち受けているのは、冷酷で残虐なデスパレードマーチ……」
穂乃果「でも！私達二人一緒なら乗り越えられる！」
穂乃果「だから……行こう！花陽ちゃん！」

花陽「うん！私も腹をくくりました！」

ｶﾞﾗﾗｯ

ﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯ

凛「比較的まともな二人が離脱しちゃった……」

にこ「どうすんのよ！アンタ達がしょうもないこと言ってる間に穂乃果と花陽が居なくなってるじゃない！」

海未「あっ……ああ！穂乃果ぁぁぁ……」ﾊﾞﾀｯ

ことり「う、海未ちゃん！しっかりして！」ﾕｻﾕｻ

希（海未ちゃんはえりちと違ってメンタルが豆腐だからなぁ……）

絵里「……海未、一体何を落ち込んでいるの」

ことり「海未ちゃんにとって穂乃果ちゃんは絶対的な心の拠り所……」
ことり「その穂乃果ちゃんが居なくなったら落ち込むのは当たり前だよ」

絵里「あら、そんなこと？」

ことり「そんなことって！」

絵里「海未、これはチャンスなのよ？」

海未「チャ…………ン……ス……？」ｾﾞｰﾊｰｾﾞｰﾊｰ

絵里「そう。よく考えてもみて」
絵里「今穂乃果は必死になって汗を流しているわ」
絵里「そして……その状態でここに戻ってくる」

ことり「…………ﾊｯ! そうか、そういうことなんだね！」

絵里「流石ことり、話の要点を啄むのが上手いわね」

真姫「……どういうこと？」

絵里「真姫、汗をかいた後……貴女ならどうする？」

真姫「どうするって、汗をタオルで…………あっ！」ﾋﾟｺｰﾝ!

絵里「そう……海未、穂乃果が戻ってきたらすかさず自分のタオルを差し出すのよ」

海未「…………っ！」ﾋﾟｸ

絵里「穂乃果は躊躇せず、海未のタオルで汗を拭う」
絵里「…………『ありがとう海未ちゃん！』って満面の笑顔を向けながら、ね」

海未「いやぁぁぁっほぉぉぉぉぉぉう！！！」ｶﾞﾊﾞｯ

ことり「あ！海未ちゃんが！」

絵里「ふふ、どうやら立ち直ったようね」

海未「……私はなんと浅はかだったのでしょう」
海未「穂乃果の側にいることこそが真の幸福だと信じて疑わなかった」

ことり「海未ちゃん……」

海未「でも……そうじゃなかったんです」
海未「それに気付かせてくれたのは、貴女です……絵里」
海未「本当に、ありがとう」

絵里「礼には及ばないわ」
絵里「目の前で挫けそうになってる仲間を助ける……当然のことでしょ」

海未「ことりも、貴女自身辛かった筈なのに私の心配をしてくれて……」

ことり「ううん、気にしないで」
ことり「困ったときはお互い様だよ♪」

にこ（なんでちょっといい話っぽい雰囲気にしてんのよ……）

希「……さて、それじゃあ海未ちゃんも復帰したところで本題に移ろっか」

にこ（ようやく話を進められる……）
にこ「μ'sのキャッチコピーを考えるのよね」

真姫「キャッチコピー？」

凛「かよちんが、『そのグループを端的に表すフレーズがあると印象に残る』って言ってたよ」

海未「成る程。だからキャッチコピーを……」

ことり「でも、穂乃果ちゃんと花陽ちゃんがいないのに決めちゃって良いのかな？」

絵里「走りこみならそこまで時間も掛からないし、私達が話し合ってる間に戻ってくると思うわ」

にこ「そうね、それじゃあ……誰か案はある？」

凛「せっけんじゃない」

にこ「穂乃果みたいなこと言わないでよ」

絵里「ソープじゃない」

にこ「わざわざ英語に言い直してんじゃないわよ！」

真姫「にこちゃんで120分コース」

にこ「ソープじゃないって言ってるでしょ！」

ことり「なかなか難しいね～」

にこ「アンタ達マジメに考える気無いでしょ！？」

海未「絵里の『ソープじゃない』は的を射ていると思うのですが」

にこ「……どう考えても的外れじゃない」

海未「ですが、そのフレーズが無いと私達キャストがソープ嬢だと誤解されてしまいます」

にこ「キャスト言うな」
にこ「それに、ラブライブに出場するアイドルとソープを間違える奴なんていないわよ」

真姫「そんな……にこちゃんにたわし洗いしてもらいたかった」ｼｭﾝ

にこ（物凄く落ち込んでるのに慰める気になれない……）

絵里「真姫、無理を言ってはいけないわ」

にこ「元はといえばアンタがいけないんだけど？」

絵里「だって、にこには……生えてないもの」

にこ「何の話してんのよ！」

ことり「絵里ちゃんはにこちゃんの下半身事情に精通してるんだね♪」

絵里「にこはまだ精通していないけどね」

にこ「するわけないでしょ！」
にこ「って言うか、何で知ってるのよ！」

絵里「……あら？本当に生えてないのね」ｷｮﾄﾝ

にこ「な……！？ア、アンタ鎌かけたわね！」ｶｧｧｧ

希「にこっち迂闊やったなぁ」

凛「だ、大丈夫だよにこちゃん……」ｱﾜｱﾜ
凛「凛も精通してないから」

にこ「フォローする部分はそこじゃない」

ことり「にこちゃんが精通してたら面白かったのにね」

にこ「え、この話題まだ続けるの？」

海未「そうですね」
海未「『実は男だった！』という展開にハッテンしますし」

絵里「生えてない、けど生えてる……哲学ね」

にこ「俗学にすら値しないわよ」

ことり「にこちゃんのニコチン見たかったな～」

にこ「焼き鳥にするわよ、このアホウドリ」

海未「つまり、にこに夢中な真姫はニコチン中毒者ということですね」

絵里「咥えるのはタバコじゃないけどね」

ことり「一体ナニを咥えるんだろうね♪」

にこ「こういう時のアンタ達ってほんっとイキイキしてるわね……」

真姫「…………にこちゃん」ｽﾞｲｯ

にこ「な、何？」

真姫「ニコチン、欲しいんだけど……」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

にこ「ガムでも噛んでれば？」

にこ「話が脱線しまくってるじゃない！」

ことり「にこちゃんがいらついてる……」

絵里「きっと重い日なのよ」

にこ「ええ、すっごく気が重いわ！」
にこ「……アンタ達もう少しアイドルとしての自覚を持ちなさいよね！」

海未「……確かに。にこの言うことにも一理あります」
海未「ですが、私達はアイドルであると同時に普通の女子高校生でもあるのです」

凛（普通の……？）

海未「そこで、その二面性をアピールする方向性で考えてみました」

にこ「……一応聞いてあげる」

海未「アイドルという皮を被り表舞台を華やかに」
海未「しかし、その実態は一介の女子高生達」
海未「その名も…………仮性包系アイドルμ's！」

ことり「つかみの挨拶は『みんなの声援で一皮剥けて、こんなに立派になりました！』だね♪」

絵里「ハラショー！」

にこ「却下っ！！！」

海未「……駄目ですか？」

にこ「当たり前よ！いい加減下ネタから離れなさいよね！」
にこ「しかも、アイドルと学生ってどのスクールアイドルも一緒じゃない！」

希「そうやね。μ's独自の特徴を押し出してるわけでもないし……」

海未「そうですね……少し思慮に欠けていました」ｼｭﾝ

ことり「海未ちゃん落ち込まないで」

真姫「初めての意見が却下されたくらいで気にすることないじゃない」

絵里「そうね」
絵里「童貞が初体験で上手く出来ないのと同じで、誰もがぶつかる壁ですもの」

希「その壁はウチらには無縁だと思うけど……」

絵里「大事なのはその経験を生かすこと」
絵里「失敗を恐れてはいけないわ、海未」

にこ「そのまま挫折してくれた方が嬉しいんだけど」

凛「――――結局全然まとまらなかったね」

希「そうやね。まあ、仕方ない部分もあるんだけど――」

凛「うん……」

希「」ﾁﾗｯ

凛「」ﾁﾗｯ

にこ「アンタ達とはつくづくソリが合わないわ」ﾌﾝｯ

絵里「粗チンとガバマンみたいなものね」

海未「絵里、それはソリが合わないというより」

ことり「カリが合わないって感じじゃないかな♪」

にこ「……もうやだこいつら」




おわり