エレン「おう、ベルトルト」(19)
ベルトルト「お、おはよう(名前を…ちゃんと呼んでくれた?)」
ミカサ「おはよう、ベルトルト」
アルミン「あっ、ベルトルトおはよう!」
ベルトルト「お、おはよう二人とも…」
ジャン「ようベルトルト。早いな」
コニー「おっ、ベルトルト!相変わらずでけーなぁ!」
サシャ「あっ、ベルトルトおはようございます!」
クリスタ「ベルトルトおはよー」
ベルトルト「お、おはよう!(みんなが僕の名前を…やっと、やっと憶えてくれたんだ…!)」ジワ
ライナー「ん、どうしたベルトルト。何で涙目になってる?」
ベルトルト「だって…みんなが、僕の名前を憶えてくれたから…」ウッウッ
ライナー「大袈裟な奴だな…まあ、良かったな。ずっと悩んでたもんな」ポンポン
ベルトルト「うん…!」
エレン「おっ、ライダーじゃん」
ライダー「…ん?」
エレン「どうしたんだよライダー。お前を呼んだんだぞ?」
ライダー「…ちょっと待てエレン。お前今俺のこと、なんて呼んだ?」
エレン「は?ライダーだよ。ライダー・ブラウン。それがお前の名前だろうが」
アルミン「ちょっとエレン!人の名前を間違えちゃだめだよ!」
ライナー「ああそうだ。急にどうしたんだエレン。昨日まではちゃんと…」
アルミン「彼はライガー・クラウンじゃないか!」
ライガー「…は?」
エレン「いや違ぇよ、ライダーだって」
ライダー「いや待てお前ら、俺の名前は…」
ミカサ「二人とも、いくら相手が彼でも、名前を間違えるのは失礼」
ライナー「ミカサ…!」
ミカサ「彼の名前はレイヤー・グラウンド」
レイヤー「いいや待て!余計に遠ざかってる!」
エレン「そうだぞミカサ、だからこいつの名前はライダー・ブラウンだって」
ライダー「いや確かにそれが一番違いが!」
アルミン「そ、そんな!僕は一度覚えたことは絶対に忘れないはず!君の名前はライガーだろ!」
ライガー「ミカサよりは近いがな!俺の名前は…!」
ジャン「何を騒いでやがんだ」
ライナー「こいつらがふざけて俺の名前を間違えやがるんだ!」
ジャン「おいおいエレン、お前は15にもなって人を名前でイジってんのか?ガキだな」
エレン「んだと!」
ジャン「こいつの名前はバイナー・セキランウンだろ」
バイナー「おい…」
アルミン「母音を抜き出すとアイアー・ウアウンだったはずだ。そうだよね、ライガー」
ライガー「だからな…もう思い出せとは言わんから俺の話を聞いてくれ。今から自己紹介する」
ミカサ「マルコ。このがっしりした彼の名前はレイヤー・グラウンド。違わない?」
レイヤー「言った傍からお前は…!」
マルコ「違うよ。ミカサ、確かに彼は普段からひどい扱いを受けているけど、名前を間違えるのは…」
ライナー「待てマルコ何も言うな!俺が――」
マルコ「彼の名前はゲイナー・ホモウン。入団式でみんな笑いをこらえたじゃないか」
一同「あー!」
ゲイナー「おいお前ら!こんなしょうもない結論で納得すんのか!」
エレン「いや、しっくりくるじゃんゲイナー。まんまだし」
ゲイナー「まんま…」
ミカサ「ゲイナー、あまりエレンに近づかないでほしい」
ゲイナー「おい…待てよ…待てよ…」
アルミン「やれやれ…僕も慢心したね。母音とか持ち出したけど、微妙に違ってるじゃないか」
ゲイナー「いいやアルミン!お前の記憶は間違っていない!ライガーじゃないが、母音は合っていた!」
ゲイナー「おい!ベルトルト!お前はわかっているよな!?俺の本当の名前を…!」
ベルトルト「…」
ゲイナー「何とか言えよ!ベルトルト!お前だけが…!」
ベルトルト「…ごめん、知らない」
ゲイナー「」
~解散式の夜~
キース「二位!ゲイナー・ホモウン!」
ゲイナー「…」
キース「私は貴様との出会いの日を!実に鮮明に思い出すことができる!」
キース「あの時はホモみてえな名前とか言って悪かった!貴様は今日!次席の成績で訓練性を卒業する!」
ゲイナー(…そんな記憶は俺にないんだが)
キース「これから先も!貴様はその名前のために辛い現実と戦うことになるだろう!」
キース「だが!私は三年の間貴様を見てきた師として!その奮闘に期待している!」
キース「三位!ベルトルト・フーバー!」
ベルトルト「はっ!」ツヤツヤ
ゲイナー(俺は壊した。すべての現実を。特に理由のない暴言に襲われる日々から逃れるために)
ゲイナー(やはり違ったんだ。壁の中の人類は悪魔だった)
ゲイナー(ライナー・ブラウンの名を覚えているものは、身内にももういない)
ゲイナー(俺は本当の自分を取り戻すためにも、身内の骸を手に故郷に戻る…)
ゲイナー(たとえ、一人でも)
~おわり~
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