エレン「グングニル」(58)

そいつは酷い。

アルミン「グスッ・・・。グスッ・・・。」

エレン「お前、どうしたんだよ。やり返さねえからそうなるんだろうよ?」

アルミン「僕は、弱くないんか無いよ・・・。ただ・・・」

エレン「ただ?」

アルミン「あいつらは、知らないだけなんだ・・・。」

エレン「ふーん。俺、お前みたく頭が良くないから知らねえよ。」

アルミンは祖父から貰った地図を持っている。それを、胡散臭えと言っている連中に貶されたからである。

そいつは酷い。
どこまでも胡散臭くて安っぽい宝の地図だな。と、やはり彼も言った。

アルミン「胡散臭くないよ・・・。」

エレン「俺は頭が悪い。お前は俺と違って頭がいい。だが、この胡散臭い地図をお前は賞賛している。そうだろ?」

アルミン「うん・・・。言われて見れば確かに・・・。」

エレン「でも。」

アルミン「でも?」

エレン「お前にとっちゃそれ自体が宝物なんだろ?」

アルミン「!? そ、そんなこたあ無いよ!」アセアセ

エレン「分かった。俺がお前の友達になってやる。友達になった以上、あいつらにやられたらやり返せよ。」

アルミン「多分、無駄だと思うよ。」

エレン「なんでそうやって決めつけるんだよ?」

アルミン「君は自分の事を頭が悪いって言っているけど、僕からしたら、正直な人間にしか見えない。」

エレン「じゃあ、何だって言うんだよ?」

アルミン「君はそんなに頭は悪くなさそうなんだけどな・・・。君より頭の悪い奴はいっぱいいるよ。さっきの奴らとかね。」

エレン「へえ。お前、名前は?」

アルミン「僕はアルミン。君は?」

エレン「エレン・イェーガー。エレンでいい。」

アルミン「エレンって呼べばいいのね?じゃあ、僕はアルミンでいいから。」

エレン「よろしく。アルミン。」

エレンは手を差し出す。アルミンはその手を握る。

アルミン「よろしくね・・・。」

アルミンはエレンに一つの本を見せた。

エレン「なんだよー!これ!すげえじゃねえか!」

アルミン「昔、爺ちゃんが隠し持っていたんだ。」

エレン「調味料?財宝の在り方?すげえ。こんなのあるのかよ。」

アルミン「でしょ?僕、大きくなったら一回旅に出て見たいと思うんだよね。」

エレン「なんで?」

アルミン「外の方では、僕らが知らない何かがいっぱいあるんだって。僕、それを確かめて見たいんだ。」

エレン「そいつは凄いんだな!財宝の在り処じゃねえか!」

そうやって、最初は同じように貶していたが、信じ切った彼もとうとうその心理を確かめる旅に出るとした。

だが、しかし。

悪ガキモブ「よー!アルミンじゃねえか!またくだらない胡散臭い地図持ってんのかよ!」

アルミン「今日は持ってなんかない!」

エレン「おい!」

悪ガキモブ「げ!エレンだ!医者の息子のエレンだよ!」

悪ガキモブ2「やっちまおうぜ!」

エレン「なーんか知らねえけどよ、あっちで、モブが野球やってるって言ってたぞ?人数少ねえらしいから行ってこいよ!」

悪ガキモブ「え?そうなの?エレン!ありがとよ!」

悪ガキ共は走り出す。

エレン「大丈夫か?」

アルミン「へえ。エレンは凄いね。」

エレン「ああ。あれは本当の事言ってやるんだよ。」

アルミン「そうなんだ。」

誰もが口々に彼を罵った。
「デタラメの地図に目が眩んでいる!」と彼らを罵った。

アルミン「容易く・・・。酷いよ。人一人を値踏みしやがって。」

エレン「そうだ!アルミン!俺らででっかい武器を作ってやろうぜ!」

アルミン「僕は、いつか旅に出たいと思っている。そのために、僕は何が出来るんだろう?」

アルミンは自信なさげに笑う。

エレン「そんなこたあねえよ。」

エレン「容易く人一人を値踏みしやがる奴が悪いんだ。」

エレン「世界の神でも俺らを笑う権利なんて持たないだろ?」

アルミン「確かに、ね。」

容易く人一人を値踏みしやがって。
世界の神ですら彼を笑う権利なんて持たないのに。

あれから、5年が過ぎた。少年達は立派な大人になっていた。

エレン「なあ。アルミン。」

アルミン「何?エレン?」

エレン「お前はあの時の約束を覚えてるか?」

アルミン「あの時の約束?」

エレン「そうだ。」

アルミン「僕ら2人で旅に出るって約束の事?」

エレン「ああ。」

アルミン「エレンが言ってくれるまで、僕はすっかり忘れていたよ。ありがとう。エレン。」

エレン「俺が偉いって訳じゃないのにな。」

アルミン「まずは、計画を立てなきゃね。」

エレン「そうだな。」

エレン「そうだ!俺ら2人で大きな船を作らないか!?」

アルミン「船?」

エレン「ああ。そうだ。2人分乗っても壊れないような船をだよ!」

アルミン「でも、船って作るの難しいよ?」

エレン「設計図を作ってからだよ。」

アルミン「それもそうだけど・・・。」

エレン「じゃあ、俺はハンネスさんに頼んで船の作り方教えてもらってくる!」

アルミン「ええー?エレンー?!」

エレンの姿は見えなくなった。

時は847年、ある1人の兵士の登場により、外の世界を調べる調査兵団に大きな転位が訪れた 。それは、その兵士の活躍により人類は巨人に打ち勝つ力を手に入れたのだった。





エレン「そうだ。アルミン。俺、訓練兵団に入るよ。」

アルミン「ええっ!?船、作るんじゃないの?!」

エレン「その兵士の下に俺は居たいんだ。船は、俺ら2人でこつこつ地道に作り上げ行こうぜ。」

アルミン「じゃあ、僕と約束してよ。」

エレン「何がだよ?」

アルミン「僕らは絶対に旅に出るって事を。」

エレン「分かった!」

アルミン「約束だよ!」

エレン「分かった!」

2人は、訓練兵団に入団した。日々の辛い集団生活の中では時間を見つけ、こつこつ地道に溜めた道具を使い、ある武器を作り出していた。



エレン「なあ。アルミン。」

アルミン「どしたの?」

エレン「この船、いつになったら完成するんだろうな。」

アルミン「まだ分かんないよ。僕ら、いつ死んでもおかしくないんだから。」

アルミンは寂しそうに笑う。

エレン「うーん。だけどさ、アルミンは頭がいいんだから、駐屯兵団行けよ。」

アルミン「そうかな?」

エレン「ああ。」

アルミン「エレンは調査兵団でしょ?」

エレン「今のところはな。」

アルミン「じゃあ、続けようか。」

2人は作業に取り掛かる。

エレン「この船が出来たらよ、どこに行こうか?」

アルミン「僕は海に行きたいな。」

エレン「そうか。じゃあ、海だな。」

2人は笑う。

他の同期達は格闘術の訓練に励んでいる。いつもは熱心なエレンだが、その日はアルミンとばかり組んでいた。

エレン「アルミン。」

アルミン「何?エレン?」

エレン「俺らの力で、巨人達に力を見せつけてやろうぜ。」

アルミン「出来るといいね。」ニコ

エレン「ああ。」ニコ

2人は笑う。

アルミン「(なんか、余計にアニに睨まれている気がするなあ・・・。)」

エレン「アルミン、どうした?」

アルミン「ううん!何でも!」

アルミンは船の設計図を開く。その時、1人の坊主頭の少年が話しかけてきた。
名前はコニー。コニー・スプリンガー。

コニー「なにそれ?」

アルミン「ああ。船の設計図だよ。僕は、小さい頃、大きくなったらエレンと旅に出るって約束したんだ。」

コニー「へえ。どこに?」

アルミン「どこか遠い場所。そうだよね。エレン?」

エレン「ああ。」

コニー「それって、外の世界か?」

アルミン「わかりやすく言えば、そうなるかな。」

コニー「俺も行きてえよ!」

エレン「じゃあ、コニーも一緒に行こうよ。仲間が多い方がいいしな。」

アルミン「そうだね。」

仲間がぞろぞろと集まってくる。

サシャ「なんですか?それ?」

髪を後ろで一つ縛りにした背の高い少女が近寄ってくる。

コニー「おい!サシャ!聞けよ!外の世界ってのはな、俺らの知らないものがいっぱいあるんだってよ!」

サシャ「なんですか?!それ!じゃあ、お肉もいっぱいあるって事なんですね!私も行きたいです!」

サシャは目を輝かしている。

ライナー「なんだ?なにそれ?」

サシャ「外の世界の話らしいです!」

ジャン「へえ。」

エレン「外の世界ってのはな、俺らが知らないような事がいっぱいあんだよ。」

エレン「で、俺は約束した。小さい頃、アルミンと一緒に旅に出るって。でも、それが増えて、コニーとサシャも行くことになった。」

ジャン「へえ。」

ライナー「でも、俺らはいつ死ぬかわからないんだぞ?」

ジャン「悪いが、ライナーの言う通りだ。」

クリスタ「ねえ!なにそれ!」

エレン「船の設計図。」

クリスタ「船を作って何をするの?」

エレン「俺らはいつか、外の世界に行く。これで、約束したんだ。船を作ろうって。」

クリスタ「へー!いいな!私も行きたい!」

ライナー「じ、じゃあ、俺も!」

ジャン「(クリスタ目当てじゃねえかよ。)」

アルミン「じゃあ、もっと大きいものを作らないとね。」

コニー「その船どこにあるんだよ!」

アルミン「えーっと、誰も使ってない元倉庫に。」

コニー「じゃあ早く行こうぜ!」

クリスタ「私も行く!」

皆が一斉に走り出す。

コニー「すげえ!」

アルミン「まだ、組み立てたばっかだけどね。」

コニー「すげえ!すげえよ!俺もこんなの作ってみたいよ!」

エレンは道具を取って見せる。

サシャ「凄いじゃないですか!私のお父さんも大工仕事はやっていましたけど・・・。」

アルミン「僕の爺ちゃんもだよ?」

サシャ「そうなんですか。」

エレンとアルミンは作業に取り組む。

コニー「じゃあ、俺も手伝うよ。」

エレン「ありがとな。」

コニー「あ、鐘だ。」

アルミン「ほんとだ。早く戻らないと。」

4人は道具を片付ける。




コニー「で、外の世界で何を探すの?」

アルミン「爺ちゃんが言うには、炎の大地とかいろいろあるんだって。」

エレン「すげえな。」

マルコ「何話してるの?」

エレンはその本を見せる。

マルコ「外の、世界?」

エレン「ああ。」

マルコ「だから、船を作っているの?」

エレン「ああ。」

マルコ「僕も、行ってみたいなあ・・・。」

エレン「じゃあ、マルコも一緒に行こうぜ。」

それから数日が過ぎた。

エレン「大分、形が仕上がってきたな。」

アルミン「んね。」

ライナー「お前らまだここにいたのか。」

エレン「悪いかよ。」

ベルトルト「何で君たちは外の世界に行きたいの?」

エレン「俺は、外の世界に行って俺の知らない物をたくさん知りたいんだ。」

ベルトルト「へえ。頑張ってね。」

ライナーとベルトルトは去って行く。

アルミン「ねえ。エレン。」

エレン「何だ、アルミン?」

アルミン「卒業までもうすぐだね。」

エレン「ああ。」

だが、そんな彼らに転機が訪れた。

わー・・・。わー!

エレン「なにが始まるんだ?」

アルミン「わからない。」

エレン「なあ。ここのバカップル。」

ハンナ「なに?エレン?」

エレン「今から何が?」

ハンナ「えーっと、今から調査兵団の演説が始まるみたい。」

エレンは目を輝かせている。

エルヴィン「これより、調査兵団の調査報告を開始します。」

エルヴィン「一昨日行われた壁外調査ですが、巨人は一匹も確認されませんでした。」

エルヴィン「なお、壁外に近い町の確認も行いましたが、そこでもやはり確認されませんでした。」

エルヴィン「この結果から、巨人は絶滅したのではないかという報告をさせていただきます。」

コニー「本当かよ!おい!」

アルミン「多分、本当らしい。」

コニー「じゃあ、旅に出れるな!」

エレン「そうだ!」

3人のテンションが上がる。

サシャ「聞きました?!」

コニー「モチノロンだぜ!」

アルミン「施設に戻ろう!」

エレン「そうだ!」

時は850年、調査兵団の報告調査によって巨人は絶滅し、人類の活動範囲が広がった。

そいつは酷い。
出来映えだがこつこつ地道に作り上げた自前の船。
彼にとっちゃ記念すべき最初の武器だ。



アルミン「もうすぐだね。」

エレン「ああ。」

アルミン「いつ行こうか。」

エレン「今のところ行くのは俺とアルミンとサシャとコニーだよな。」

アルミン「多分。」

どこから物音がする。

マルコ「ねえ!大変なんだよ!」

マルコは黒いスーツを着ている。

エレン「どうしたんだ?マルコ!」

マルコ「僕らの中に、レイスの跡取りが居たって・・・。」

エレン「え?!」

アルミン「それ、噂で聞いたことある。」

マルコ「ま、どうでもいい話なんだけどね。」

アルミン「マルコはどこで働いているの?」

マルコ「新聞社で働いてるよ。」

アルミン「大変?」

マルコ「まあ、大変だけどね。」

アルミン「だよね。僕も塾で働いてるけどさ、逆に自分の学力が試されるんだよね。」

マルコ「なるほど。」

エレン「アルミン。やろうぜ。」

マルコ「僕も手伝うよ。」

アルミン「ありがと。」

アルミン「マルコはさ、外の世界に興味ある?」

マルコ「うん・・・。でも、仕事が忙しいからな・・・。」

アルミン「そうだよね・・・。」

マルコ「あ、僕もうそろ戻らなきゃ。」

エレン「じゃあな。」

マルコ「またね。」

マルコは去って行く。

アルミン「船の方に戻らないとね。」

エレン「ああ。」

エレンは釘を打ち付ける。アルミンは罫書きを掛ける。

エレン「俺、ハンネスさんに工具借りてくるわ。」

アルミン「頼む。エレン。」

エレンは走り出す。

【ウォール駐屯建築会社】

エレン「ここだ!」

エレンはスイングドアを開ける。

エレン「すいません。」

アンカ「はい。何かご用でしょうか?」

エレン「ここにハンネスさんって居ますでしょうか?」

アンカ「はい。ハンネスさんなら裏の工場にいますよ。」

エレン「ありがとうございます。」

エレンは裏の工場に向かう。

エレン「ハンネスさーん!」

ハンネス「よお!エレン!元気か!?」

エレン「ああ。元気だよ。」

ハンネス「アルミンとミカサに宜しく言っといてな。」

エレン「そうそう。ここにさ、いらない廃材ある?」

ハンネス「ああ。これ全部持っていけ。」

エレン「いいの?!こんなにたくさん!?」

ハンネス「ああ。持っていくの手伝うよ。どこまで?」

エレン「アルミンの家のガレージ。」

ハンネス「乗ってけ。」

エレン「何を?」

ハンネス「これだ。」

ハンネスの前にあったのは自転車のような乗り物だった。

エレン「何それ?」

ハンネス「原付ってもんだ。元駐屯兵団の技術班が立体機動装置のガスを自転車に付けたら便利になるだろうって作ったもんなんだ。」

エレン「へえ。すげえ。」

ハンネス「ほら、乗ってけ。しっかり掴まれよ。ほれ、ヘルメット。」

エレン「ありがと。」

エレンはヘルメットを受け取る。

エレン「アルミーン!」

アルミン「エレン?!ハンネスさんも?ってか、この乗り物は?!」

エレン「この乗り物はな、原付って言うらしいんだ。」

ハンネス「ああ。お前ら、船でも作ってんのか?」

アルミン「うん。」

ハンネス「かなりでかいのを作るのか?」

エレン「ああ。」

ハンネス「分かった。分からないことがあったら俺に聞けよ。」

エレアル「はい!師匠!」

ハンネス「じゃあな。俺は仕事に戻るから。」

ハンネスは戻っていく。

エレン「じゃあ、やるか。」

アルミン「そうだね。」

エレン「大分荷台が出来上がってきたな。」

アルミン「そうだね。」

アルミン「(果たして、この船はいつになったら出来上がるのだろうか・・・。)」

アルミンはため息をつく。エレンは黙々と作業に取り掛かっている。

アルミン「これはこうで・・・。」







それから、しばらくの月日が経った。ようやく船は完成したのだった。

アルミン「小さい頃から作り続けて8年が経ったのか・・・。」

エレン「船は8年かけてやっと完成したな。」

アルミン「ああ。」

エレン「出発日を決めないとな。」

アルミン「忘れていた。そうだね。」

エレン「じゃあ俺、皆に声掛けるわ。」

アルミン「ああ。宜しく。エレン。」





船が完成したのは851年の2月の終わり頃だった。これから、どんな旅になるのだろうか。幸運を願う。アルミンはそういう事ばかりを考えていた。

エレン「電話かけて来た。」

アルミン「どうだって?」

エレン「サシャとコニーはいつでもって言ってた。でも、その2人の連絡先しか持ってないから、後の奴はわからない。」

アルミン「分かった。じゃあ僕、電話かけてみる。」

アルミンは家の中へ消えていく。

エレン「どこへまずは行くのかな・・・。」








アルミンが戻ってくる。

エレン「アルミン!どうだった!?」

アルミン「えーっと、掛けたんだけど、ライナーとしか電話が繋がなかったんだ。」

エレン「どうだって?」

アルミン「ライナーも行きたいって言ってたよ。」

エレン「そうか。他は誰に電話を掛けたんだ?」

アルミン「えーっと、ジャンとマルコとベルトルトとクリスタに掛けてみたんだけど、クリスタ以外は留守電で・・・。」

エレン「クリスタは?」

アルミン「おかけになった電話番号は使われていませんだって。」

エレン「そっか。」

その時だった。どこかで原付の音がした。

コニー「ここに居たのか!」

サシャ「聞きました!」

2人はヘルメットを被っている。

コニー「船が出来たんだってな!」

エレン「ああ。」

サシャ「すごい!」

サシャ「出発日はいつですか!?」

アルミン「それがまだ決めてないんだ。」

コニー「へえ。」

誰かの足音が聞こえてくる。

アニ「へえ。出来たんだ。」

エレン「アニ!?」

アニ「来ちゃ行けないのかい?」

エレン「べ、別に。」

アニ「あっそ。」

アルミン「アニは今何やってんの?」

アニ「ああ。本屋の品出しだよ。」

コニー「しっかしよー。本当に大きい船だなー。」

アニ「それ。あんたらは船を作って何したいの?」

エレン「外の世界に行くんだ。」

エレン「外の世界には知らない物がいっぱいあるらしいんだ。俺はそれを確かめたい。」

コニー「俺も一緒だぜ!」

サシャ「私も!」

アニ「で、出発は?」

アルミン「一応、僕は来月には行けたらって思ってんだけど・・・。」

エレン「アニも一緒に行かないか?」

アルミン「そうだよ!アニも行こうよ!」

サシャ「是非!」

アニ「えっ」

誰かの足音がする。

アルミン「えーっと、行くのは、僕とエレン、コニー、サシャ、ライナー、アニの今のところ6人だね。」

エレン「6人でもういいだろ。この船の為にも。」

アルミン「ははあ・・・。」

アルミンは苦笑いだ。

エレン「俺、ハンネスさんに電話掛けて来る!」

エレンは船の移動をお願いしに行くのだ。
その時だった。

エレン「うわぁ?!」

エレンは誰かとぶつかる。

ミカサ「こんな所で何してるの?」

アルミン「ゔっ・・・。(頼むから、僕の胃に関わる事だけはやめてくれよおおおお!!!!!)」

エレン「お前仕事忙しいんじゃねえの?」

ミカサ「問題ない。今日は久々の休暇だったから。」

エレン「へえ。じゃあ、俺はハンネスさんの所行ってくる。」

ミカサ「何をしに?」

エレン「(チッ・・・ばれたか。)あ、ああ、父さんの事で話があるんだよ。」

アルミン「(バレてるって・・・。)」

ミカサ「お父さんの話って絶対嘘。エレンは嘘が下手だから顔を見ればよく分かる。」

エレン「あー!そうですか!じゃあ、勝手にしろよ!」

アルミン「うわあ・・・。泥沼になりそうた

>>35
アルミンのセリフ。

アルミン「うわあ・・・。泥沼になりそうだ・・・。」

エレン「アルミン!」

アルミン「はい?」

エレン「俺は今からハンネスさんの所行ってくる!あいつのせいで日がくれたじゃねえかよ!」

アルミン「えぇ・・・。(そもそも君のせいだろ。)」

エレンは走り出す。

アルミン「ちょっ?!エレン!」

また、誰かとぶつかったみたいだ。

エレン「痛えー!誰だよ!?」

エレン「またお前かよ!」

ミカサ「街をサシャとコニーが原付で走り回ってきたんであの事聞いた。」

エレン「お前!まさか?!」

ミカサ「小さい頃から船を作っていたんでしょ?」

アルミン「(やっぱりねー。)」

ミカサ「何でそれを黙っていたの?」

エレン「それは・・・。」

ミカサ「それは?」

エレン「小さい頃にアルミンと約束したんだよ!船を作って一緒に旅に出ようって!」

ミカサ「何でそれを私に今まで黙っていたの!?」

エレン「約束した時、お前はまだいなかったんだよ!」

ミカサ「私も小さい頃からずっと一緒にいるでしょ?」

エレン「あー!もう!勝手にしろよ!着いて来るなら着いてくる!ついて来ないならついて来ない!」

エレンはそそくさと駆け出して行く。

ミカサ「エレン!1人で行くのは危ない!」

エレン「だー!俺はお前の弟でも子供じゃあないんだぞ!お前はいつまで俺の保護者気取りかよ!」

ミカサ「待って!」

アルミン「あー!もう!勝手にしろー!」

ジャン「おい!ミカサも行くのか?!」

アルミン「ア、ァァ・・・・。タブン・・・。」

ジャン「じゃあ俺も!」

アルミン「ワカッタ・・・。ダイジョブ・・・。」

ジャン「お前、 ロボットみたいな声になってんぞ?」

アルミン「は!?」

アルミン「ありがと!ジャン!」

そして、出発の日を迎えた。

ハンネス「お前ら、頑張れよ。」

アルミン「はい!」

エレン「ハンネスさんもアル中に気を付けろよ!」

ハンネス「分かってるって。俺は昔から体の丈夫な男だからな。」

ハンネスは笑う。

サシャ「準備出来ました!」

コニー「ああ!いつでも進行してくれ!船長!」





荷物を積み、別れを告げ朝焼けの海に帆を張った堪え切れず掲げた拳。
響き渡る閧の声。

エレン「じゃあ、行ってきます!」

ハンネス「おう!元気でな!」

ハンネスはいつまででも手を振っていた。

アルミン「ハンネスさんもー!」

ミカサ「お元気でー!」

3人はずっと手を振っている。

ライナー「あの、」

ベルトルト「船、舵を回さなくて大丈夫?」

アルミン「ああ!」

アルミン「そうだった!」

アルミン「頼んだ!ライナー!」

ライナー「ぇぇ・・・。」

サシャ「これが海ですかー。」

コニー「綺麗だなー。」

コニー「うーみーはーひろーいなおおきいーなー♪」

サシャ「私も!」

サシャコニ「♪~」

アニ「楽しそうだね・・・。」

エレン「アニー!」

アニ「何?」

エレン「ちょっと来てくれよ!」

アニ「あんたはいったい何をするんだ・・・。」

エレン「アニの目がさ・・・。」

アニ「私の目がどうかしたの?」

エレン「海みたいに綺麗だったからさ、これやるよ。」

エレンがアニに渡したのはサファイヤのネックレスだった。

アニ「これをどうすればいいのさ。」

エレン「試しに付けてくれないか?」

アニはそのネックレスを首から下げる。

エレン「ああ・・・。すごく似合ってる・・・。」

アニ「そうかい・・・。」





ベルトルト「((((;゚Д゚)))))))」

ベルトルト「くそお!くそお!エレンめ!何でアニの心を掴んだのさ!」

ベルトルト「ウワワワアアアァァァァン!!!!!」

アルミン「海はこんなにも広いんだ・・・。」

ジャン「ああ・・・。来れて良かったよ・・・。」

ライナー「ベルトルト。ほら泣くなって。」

ベルトルト「ゔん・・・。」グスッ

アルミン「どうかしたの?」

ライナー「ちょっとショックな出来事があったらしいんだ・・・。」

アルミン「(多分アニの事だよねー。)」

ジャン「(ああ・・・。これでミカサと・・・。)」

コニー「あ!なんか見える!」

ジャン「え?」

ミカサ「本当だ。」

アニ「街?島?」

サシャ「島っぽいですねー。」

アルミン「島に着いたら一回船を止めようか。」

サシャ「お腹空きましたー!」

エレン「今何時?」

ベルトルトは懐中時計を開く。

ベルトルト「11時だね。」

サシャ「ちょうどいい時間です!」

そいつは酷い。
どこまでも胡散臭くて安っぽい宝の地図。

サシャ「おーひぃれーす♪」モグモグ

コニー「お前食べ過ぎなんだよ!」

アルミン「まず、海は見つけたね。」

アルミンは記しをつける。

エレン「いいって!自分で剥いて食べるから!」

アルミン「(微笑ましいなぁ・・・。)」

エレン「また見てるのかよ?」

アルミン「悪い?」




そいつは酷い。
どこまでも胡散臭くて安っぽい宝の地図。
でも誰にだってそれ自体が宝物。

コニー「なあ!あっち行こーぜ!」

ベルトルト「コニー!勝手に走り回るなって!」

エレン「俺も行く!」

サシャ「楽しそうなんで私も!」

一斉に駆け出して行く。

コニー「あ!あそこに洞窟がある!」

ジャン「本当だ!」

サシャ「行ってきます!」

また、全員一斉に駆け出して行く。

アルミン「ええっと、洞窟っと。」

アルミンはまた紙に印を付ける。

ライナー「まだやってるのか?」

アルミン「ああ。いろいろ知りたくてさ。」

ジャン「広いな。」

サシャ「ですねー。」

ベルトルト「綺麗ー。」

エレン「それ。」

ミカサ「(ここで、エレンと一緒に見られるだけで)」

エレン「アルミン。」

アルミン「はい?」

エレン「ここ、どこだ?」

アルミン「多分、クリスタルがあるんだね。」

エレン「クリスタル?」

アルミン「ああ。クリスタルは1年に1ミリ程度しか伸びないんだ。」

エレン「じゃあ、このクリスタルは俺らが生まれるもっともっと前からずっとここにあったって訳か?」

アルミン「そうなるね。」

ホントにでかい。誰もが耳疑うような夢物語でも信じ切った人によっちゃ自伝に成り得るだろう。




アルミン「でも、クリスタルはあんなにでかいから、きっと、何億年前からずっとここに眠っていたんじゃないのかな・・・。」

ジャン「結局はこんだけしかない小ちゃい島かよ。」

ライナー「船に戻るか。」

ジャン「そうだな。」

この2人が船に戻っていくのを見て、大抵の人間が船に戻っていく。

アルミン「行こうか。」

エレン「ああ。」

2人も船に戻る。

アルミン「結局、見つけたのはクリスタルだけか。」

アルミンは印を付ける。

エレン「なあ。アルミン」

アルミン「何?」

エレン「これ、何だ?」

エレンが見つけたのは一つの紙袋だった。

アルミン「中に何か入ってるみたいだね。」

アルミンは手を入れる。

アルミン「これは?何かの調味料だと思うけど・・・。」

エレンはそれを舐めてみる。

エレン「うーん?何かしょっぱいな・・・。」

アルミンも舐めてみる。

アルミン「これ、爺ちゃんが持ってた本にあった!胡椒ってやつだ!」

エレン「そうなのか!?」

アルミン「ああ!当たっていればの話しだけど・・・。」

エレン「胡椒ってどうやって使うんだ?」

アルミン「肉にかけて食べると美味しいらしいよ。」

エレン「そうだな!」






ライナー「大変だー!」

アルミン「どうしたの?」

ライナー「お、おい!」

ベルトルト「さっき拾ったんだけど・・・。」

ベルトルトが見つけたのは一つの粒の小さな宝石だった。

アルミン「うわあ。綺麗だな。」

アルミンは本をめくる。

アルミン「あ、あった!」

ライナー「何だ?」

アルミン「これは、真珠だね。」

ベルトルト「真珠?」

アルミン「ああ。これは、集めるとネックレスになるらしいよ。」

ベルトルト「本当!?」

ベルトルトは目を輝かせている。

アルミン「ああ!アコヤガイにもなると値段は高くなるらしいんだ。」

ベルトルト「そうなんだ。」

アルミン「うん。」

ライナー「お前、やけに嬉しそうだな・・・。」







ベルトルト「(やったあ!やったよ!これ、全部集めれば、アニにネックレスとしてプレゼントできる!)」

ジャン「どうしたんだよ・・・。ベルトルト・・・。」

ジャンはため息をつく。

サシャ「あの島で取れたフルーツは美味しいですねー。」

アニ「あんたは食べ過ぎなんだよ。」

コニー「人の考えろよ!」

ミカサ「はい。口直しのパン。」

サシャ「ありがとうございます!」

モグモグ・・・。

アニ「このパンどこで売ってたんだい?」

ミカサ「シガンシナ区の商店街にあるパン屋さん。」

コニー「超うめえ!」

アニ「ひきがあって美味しいね。」

コニー「もっとある!?」

ミカサ「ええ。」ドッサリ

エレン「なんかすげえいい匂いがする!」

アルベル「マジ?!」

コニー「おい!ミカサが凄え美味しいパン買ってきたんだ!」

エレン「マジ?」

コニー「ああ!」

ライナー「美味い!」

ベルトルト「本当だ!」

エレン「まだある?」

ミカサ「ええ。もっと食べて。」

サシャ「モグモグガツガツ!」

コニー「おい!聞いてんのか!サシャ!お前人のこと考えろって!」

ベルトルト「ねえ!」

ジャン「何だよベルトルト。」

ベルトルト「空が荒れてる!」

アニ「本当だ。」

ミカサ「エレンとアルミンはどこ。」

アニ「さっきあっちで何か話していたよ。」

バッシャーン!




ライナー「おい!どうするんだよ!あの2人は?!」

ジャン「知るかよ!」

2人は舵を回す。

バタン!


ミカサ「エレン!アルミン!」

エレン「何だよ。」

ミカサ「雷が鳴ってる!」

アルミン「嘘!」



バッシャーン!



アニ「ダメだ!波が荒くなってる!」

コニー「じゃあ、どうすりゃいいんだよ!」

ライナー「知らないよ!」

アルミン「今どんな感じ?!」

アニ「さっき雷が鳴った!」

アルミン「マジか・・・。」

アルミン「うわあ!」

ミカサ「大丈夫!?」

ライナー「酷くなってるー!」

ベルトルト「ええー。」

ジャン「あそこに島があるぞ!」

アニ「上陸したほうが早いよ!」

エレン「そうだ!なあ、アルミン!」

アルミン「あ、うん!」

このSSまとめへのコメント

1 :  杉田(福島県)   2016年11月03日 (木) 12:43:32   ID: Yk0mup9J

え!?これで終わりなの?

2 :  本宮(福島県)   2016年11月03日 (木) 13:20:05   ID: Yk0mup9J

外の世界に行ける日が来ますように)^o^(

3 :  50:50   2020年03月15日 (日) 05:34:45   ID: AERDE_2w

グングニル
って書いてあるから
ダンボール戦機とのコラボ
かと思った。

まあまあ作品としては良いと思います!

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