モバP「アイドルの髪と戯れる」 (55)
モバマスSSです。
書きためたものを投下していきます。
内容的にはアイドルといちゃつくだけですので、
それが苦手な方はお控えください。
それでもよろしい方はお読みください。
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モバP「ちひろさんの髪、毎日きれいですね」
ちひろ「もう、いきなりなんですか」
モバP「いやー、なんか気になっちゃいまして。キューティクルも整っているようですし。アイドルみんなにも見習ってほしいと思って」
ちひろ「それほどでもありませんよ。まあ、事務員でも髪くらいはしっかりしておこうと思ってるだけです」
モバP「……ちひろさん」
ちひろ「はい?」
モバP「触ってもいいですか?」
ちひろ「……いきなり何を言ってるんですか」
モバP「ダメですか」
ちひろ「いきなりすぎます。普通は他人に触らせようとしませんよ」
モバP「ええー、みんなはいつも触らせてくれるのに」
ちひろ「それがおかしいんですよ。――って、今みんなって言いました?」
モバP「ええ。それが何か?」
ちひろ「ア、アイドルの髪を触ってるんですか!?」
モバP「はい。みんな気軽に触らせてくれましたよ。それに中には俺がトリートメントシてあげる子もいますし」
ちひろ「は、はい!? 初耳なんですけど!」
モバP「あれ、言ってませんでしたっけ。まあ、例えばですね――」
~凛編~
凛「プロデューサー、お願い」
モバP「おう、仕事お疲れ。……って、今日もか」
凛「忙しかった?」
モバP「ちょっとだけ待っててくれ。キリの良いところまで終わらせるから。その間暇でも潰しててくれ」
凛「ん、じゃあ向こうで待ってる」
モバP「冷蔵庫にアイスあるから、食べてていいぞ―」
凛「プロデューサー、気が利くね」
凛「ん……♪」
モバP「今日も凛の髪はきれいだよな」
凛「そうかな。自分じゃ分からないけど」
モバP「男だからか長い髪に憧れみたいなものがあるんだよ」
凛「好みの話?」
モバP「だな。別に短いのが嫌いってわけじゃないぞ」
凛「ふぅん。ホントかな」
モバP「まあ、どちらかと言われたら長い方が好きだって答えるけどな」
凛「まあ、私はどっちだって良いけど」
モバP「おまえ、俺が短い方が好きだって言ったら次の日髪切って来るつもりだっただろ?」
凛「さあ?」
モバP「はぁ……もっと自分を持てよ」
凛「持ってるからなんだけどな……」
凛「~♪」
モバP「それにしても気持ちよさそうな表情だな」
凛「実際気持ちいいよ」
モバP「俺にはよく分からん」
凛「伸ばしてみれば?」
モバP「似合わんし仕事もあるっての」
凛「似合うかもよ?」
モバP「自分のことは自分が一番知ってるから」
凛「プロデューサーって本当に髪好きだよね」
モバP「触ってて気持ちいいからなぁ」
凛「そう言ってくれると毎日手入れしてる甲斐があるよ」
モバP「体の動きに合わせて揺れるところを見るのもいいけどな」
凛「一歩間違えば変態だよね。見過ぎ―って」
モバP「悪かったな」
凛「私も気持ちいいからいいんだけどね」
モバP「くんくん」
凛「うわ、臭い嗅いでる」
モバP「凛の髪は花の香りがするな……シャンプー変えた?」
凛「あー、昨日なんかお母さんが花風呂って言って湯船に余った花をカットして入れてたせいかな。シャンプーは変えてないよ」
モバP「なるほどー。……実家が花屋だからこそ、だな」
凛「どこの富豪だよって思ったけど、まああるものは使わないともったいなかったしね。プロデューサーはこの香り好きなの?」
モバP「好き」
凛「即答だね」
モバP「まあ、凛の元々の匂いが好きだから、こういうアクセントはたまにでいいな」
凛「そう、じゃあこのままのシャンプーでいくことにするよ」
~美穂編~
美穂「えっと、あの、Pさん?」
モバP「どうしたー?」
美穂「ど、どうして私はPさんに後ろから抱えられているんでしょうか」
モバP「美穂の髪を堪能したいから。……ダメか?」
美穂「み、耳元で囁かないでください。……ダメなわけないですから」
モバP「美穂のように短い髪もいいよな」
美穂「……でも、この前凛ちゃんの触ってるときは長い方がいいって言ってましたよね?」
モバP「うおっ、あれ聞いてたのか。ってか、見てたのか」
美穂「事務所だったんですから当たり前です。今だって誰に見られるか分からなくてドキドキしてるんですよ?」
モバP「別にやましいことをしているわけじゃないから見られても平気だろう」
美穂「恥ずかしいんですよぉ……」
モバP「凛のように長くしっとり手に絡んでくるのもいいけど、美穂のように切りそろえられた髪型もいいと思うぞ」
美穂「そ、そうでしょうか」
モバP「俺なんか伸びたら切る感じだけど、おまえたちは結構カットにも行ってるしなぁ」
美穂「気づいてたんですか」
モバP「担当アイドルのことくらいは把握してるつもりだぞ」
美穂「私ってこのままでもいいんでしょうか?」
モバP「ん、いきなりなんだ、このままって?」
美穂「周り見ているとみんな髪の長い子がきれいな人ばかりで……いえ、短い髪がダメってわけじゃないんですけど」
モバP「ああ、そんなこと気にしていたのか」
美穂「私にとってはそんなことじゃないんですよー」
モバP「美穂がどう考えているかは置いといて、俺は今のままの美穂が好きかな」
美穂「好っ……!?」
モバP「すっと手櫛すり抜けていくその短さも俺は好きだよ」
美穂「は、はい……」
モバP「それに……くんくん」
美穂「(か、嗅がれてる!?)」
モバP「なんて言うかな……美穂の髪ってなんか特別な香りがするんだよな」
美穂「特別、ですか?自分ではよく分からないですけど……」
モバP「んー……俺もうまく言えないけど、あえて言葉で表すなら」
美穂「……表すなら?」
モバP「お日様の匂い」
ちひろ「凛ちゃんと美穂ちゃんですか。まあ、あの二人は最初期からいますし……それくらいは犯罪にはなりませんよね(匂い嗅いでる時点で変態だと思いますけど)」
モバP「犯罪ってどういうことですか。俺はアイドルに手を出したことありませんよ」
ちひろ「それはわかってるんですけどね……」
モバP「しょうがありません。ならもっと聞いてもらって信頼に値するところをお聞かせしますよ」
ちひろ「えっ、さっきのでおしまいじゃないんですか?」
~輝子編~
モバP「おい、輝子。ちょっと出てこい」
輝子「今、トモダチの状態……確認してるとこ。フヒ」
モバP「あー、はいはい。トモダチも持ってきていいから、とりあえず出てこい」
輝子「う、うん。……な、何の用?」
モバP「なーんか最近髪の毛荒れてると思ってな」
輝子「フヒッ!? ……そ、そうかな? き、気のせいだと、思うよ」
モバP「……メイクさんに言われたケアとかやってるか?」
輝子「………」
モバP「………」
輝子「キノコーキノコーボッチノコー。……問題、ないよ。フヒヒッ」
モバP「オーケー、拘束」
輝子「ノオオオォォ!? マイフレエエェェンズッ!?」
モバP「まったく。おまえもアイドルになったんだから少しくらい自分のことに気を回せっての」
輝子「それより、トモダチ……元気なかったから」
モバP「あー、最近忙しかったからな。あまり世話できなかったか。って、話題逸らすな」
輝子「フヒッ!?」
モバP「よーし、ロック完了。逃げ出すなよー。逃げ出したらフェイフェイにトモダチを差し出すからな」
輝子「き、鬼畜……」
モバP「アイドルのためなら心を鬼にもするわい。さあ、覚悟を決めろ」
輝子「な、何する、気……?」
モバP「これだ」
輝子「フヒッ!? ……ブラシ?」
モバP「おう。というわけでブラッシングだ」
輝子「っ!?」
モバP「どうだー。気持ちいいか?」
輝子「よ、よく、わからない」
モバP「そっか」
輝子「で、でも――」
モバP「ん?」
輝子「悪い気は、しない。……フヒッ」
モバP「一応他の子の髪も触ってるからな。手入れの仕方は最低限心得ているぞ」
輝子「そうなんだ?」
モバP「人によってまちまちだが、おまえのはしっとりしてるよな」
輝子「トモダチと一緒に、じめじめしたところにいたから。……ダメ?」
モバP「ダメじゃないが、身だしなみはちゃんと整えろよ。ほら、髪に埃が付いちゃってる」
輝子「おおぅ……」
モバP「どうした?」
輝子「な、なんかマンガみたいなことが起きた」
モバP「漫画みたいに輝子につりあうような男ならよかったんだがなー。絵面がなぁ」
輝子「だ、大丈夫、だと思う」
モバP「ん?」
輝子「親友は十分に立派。私をアイドルにしちゃったんだから。合格、だと思う」
~卯月編~
モバP「普通だな」
卯月「触って一言目がそれですかっ!?」
モバP「美穂のようにさらさらすぎず、輝子のようにしっとりしてるわけでもない。美穂のように短かったり輝子のように長すぎるわけでもない。とはいえ、凛のように明確に引きつけるものがあるわけでもない。たとえば香りとか」
卯月「説明してくれてますけど、それって褒められている気がしません」
モバP「え、普通いいじゃん」
卯月「そうですか……?」
モバP「そんな懐疑的な視線を向けられてもな。ほら」
卯月「んー♪ って騙されませんよ!?」
モバP「特別なのってやっぱり触っていておおってなるけどさ、飽きる……とは言わないけど、何度か触れていると満足しちゃうんだよ」
卯月「他の子のに触れているプロデューサーを見ているととてもそうは思えないんですけど」
モバP「そう見えないだけだって。卯月のはどれだけ触れてもずっと触っていたいって思わせてくれるんだよ」
卯月「それって満足してないってことなんじゃないんですか?」
モバP「ないない。常に結構満足できてるんだぜ」
卯月「私は一気に満足してほしいんですけど……」
モバP「普通っぽくて俺はそれも卯月の魅力だと思うよ」
卯月「うーん……プロデューサーがそう言うなら。でも、それならちゃんといっぱい触って満足してくださいねっ」
モバP「はいはい。今度はこっちな」
卯月「はぁ~♪ プロデューサーの手櫛、やっぱり気持ちいいです」
ちひろ「あれ、思ったより普通ですね、この二人は」
モバP「だから言ったでしょう」
ちひろ「というか、卯月ちゃんのエピソードが少ないように感じられたんですが」
モバP「その辺りは語っても面白くないものですよ。普通に髪触って、ちょっと傷んでたから洗ってあげて、手入れの仕方を教えてあげて」
ちひろ「いやいや、十分それも語り得るものだと思うんですけど。(というより、洗ったって何言ってるんですかこの人。まさか一緒にお風呂……いや、それはないですよね)」
モバP「そうですかね? 途中で凛に未央も来て、最後は俺ぬきで楽しそうに歓談してましたよ」
ちひろ「あの三人は仲がいいですからねえ」
モバP「というわけで、あとはこの辺かな?」
ちひろ「まだあるんですか!? 一体どれだけのアイドルの髪を触ってるんですか……」
モバP「そこにアイドルがいる限り!」
ちひろ「かっこよくないですからね、それ」
~ありす編~
ありす「女性の髪を触りたいなんてプロデューサーは変態です」
モバP「でも触らせてくれるんだな」
ありす「それは……他の人にしたら間違いなく御用ですから。私は我慢できますので」
モバP「そっかー。でも強いるのはちょっとなー」
ありす「……別にイヤじゃありませんよ」
モバP「え、なんだって?」
ありす「なんでもありません」
モバP「撫でてほしいなら素直にそう言えばいいのに」
ありす「聞こえていて聞き直したんですか!? ……意地悪いです」
モバP「そうでもしないとみんなのプロデュースなんてやってられんわ。で、どうする? 他のアイドルには絶賛されている俺の手腕、試されたくないか?」
ありす「……乗ってしまうのはしゃくですけど、いつもやられているのでやってもらうしかありませんよね」
ありす「~♪」
モバP「(ありすマジちょろいん)」
ありす「手が止まってますよ」
モバP「はいはい。やっぱありすの髪は触っていて気持ちよくなれるなぁ」
ありす「そうですか」
モバP「おう。ありすはちゃんと手入れしてるか?」
ありす「当たり前です。いついかなる時に触られても平気なようにケアは怠っていませんよ」
モバP「さすがはありす。俺のために健気や……」
ありす「プ、プロデューサーのためじゃないですからっ」
モバP「で、いつ俺の名前読んでくれるの?」
ありす「こ、ここはプライベートな空間じゃないので呼びません! ……恥ずかしいじゃないですか」
ありす「そういえば最近流行ってるらしいケア方法があるらしいんですよ」
モバP「ふぅん。ありすは今のままでも十分だと思うけどな」
ありす「甘いですよ。アイドルはいつでも最先端を行くものです。アイドルたるもの、美容には気を使わないといけません」
モバP「ふむ。意識の高いそんなありすにご褒美だ」
ありす「はい?」
モバP「じゃん」(櫛を取り出し
ありす「――っ」(ぱぁっ
モバP「ありすの髪はさらさらだな。櫛を通しても髪が引っかからないし枝毛もない」
ありす「あ、あの、どうして私はプロデューサーの膝の上に座っているんでしょうか」
モバP「その方が梳きやすいだろ?」
ありす「好き!? ……あ、ああ、梳きでしたか」
モバP「あっはっは、ありすのことは好きだぞー」
ありす「人が勘違いしたのを拾わないでくださいっ」
モバP「ありすはかわいいなぁ」
ありす「な、名前で呼ばないでください! それに頭わしゃわしゃしないでください! これから仕事があるんですよ!?」
モバP「あー、そういやそうだったな」
ありす「そうです! なのでちゃんと髪を整えてくださいね! このままじゃ人前に出られませんっ!」(ふんす
モバP「あーはいはい」
ありす「なんですかその返事は」
モバP「いや、ありすも段々大人びて来たなぁとは思ってたけど、やっぱまだまだ子どもだったわと思ってな」
ありす「私はもう子どもじゃないですよっ。来年には中学生に――!」
モバP「ほーいほい、わしゃわしゃー」
ありす「また髪を―! もう、聞いてるんですか、プロデューサー!」
~桃華編~
桃華「はぁ……今日も大変な一日でしたわ」
モバP「お疲れさん。今日も見事なもんだったぞ」
桃華「当然ですわ。Pちゃまが見ていられたんですもの。下手は打ちませんわ」
モバP「評価も上々で次もぜひ桃華で頼むってさ」
桃華「そうして次を期待されるのは嬉しいですわね」
モバP「これからもまだまだがんばっていかないとな」
桃華「ええ。先輩方はもうライブなどやっていますし。わたくしも早く並び立ちたいですわ」
モバP「向上心があるのは良いことだ」
桃華「ただ、今日は少し疲れてしまいましたわ」
モバP「一日働きづめだったからな。急な仕事もあったし……本当に助かったよ」
桃華「他ならぬPちゃまのお頼みでしたもの。断る道理がありませんわ」
モバP「小学生に頭が上がらない大人って……」
桃華「あら。普段頼りにさせてもらっていますもの。たまには甘えてもらいたいものですわ」
モバP「今回は甘えちゃったからな……。よし、じゃあお返しにこれから甘えていいぞ!」
桃華「ふふっ、Pちゃまのその切り替えの早さ、嫌いじゃありませんわ」
モバP「というわけで何かしてほしいことはないか?」
桃華「そうですわね……では、一つ」
モバP「おう、どんとこい!」
桃華「……頭、撫でてくださいます?」
モバP「なんだ。そんなことか。んじゃついでに」
桃華「Pちゃま!? ど、どうして抱きつく必要がありますの!?」
モバP「いやー、撫でるだけなんて奥ゆかしいなぁと思ったからオプションを」
桃華「そ、そんなの望んでいませんわっ」
モバP「この前事務所で羨ましいって言ってたじゃん」
桃華「……聞いていたんですの」
モバP「アイドルの本音は知っておかないとな」
桃華「もう。盗み聞きとはいい趣味とは言えないですわよ」
モバP「じゃあやめるか?」
桃華「それは意地が悪いですわ」
モバP「すまんすまん。ほら、機嫌直してくれ」
桃華「損ねてなんていませんわ。ん……それでも最近はゆっくりお話もできませんでしたし、もう少しいいですわよね?」
モバP「ああ。いやー、桃華の髪はふわふわだなー」
桃華「でしょう? 毎日欠かさず手入れをしているんですのよ」
モバP「さすがお嬢様」
桃華「最近はメイドに相談してもっと自分に合うシャンプーも選んでますの」
モバP「おお。自分で選んでるのか。昔の自分ではやれなかった桃華が嘘のようだ」
桃華「もう。そんな昔のことを掘り返さないでいただきたいですわ」
モバP「いやぁ、成長してるなぁって感じられるのがいいんだよ。……お、これはバラの香りか?」
桃華「さすがPちゃま。香りにも敏感ですのね」
モバP「そりゃな。アイドルをプロデュースするとなると、香水とかそのあたりも必然的に知るようになるしな」
桃華「……Pちゃまはこの香り、好みなほうですの?」
モバP「バラなんて普段嗅いだことないからなぁ。普段の桃華もほんのりと香ってきていたよな」
桃華「庭に植えてありますもの。もしかしたらその香りが染み着いていたかもしれないですわ」
モバP「俺は桃華の自然な香りが好きだったかなぁ」
桃華「あら、それでしたら元に戻さないと」
モバP「桃華が今のが好きならそのままでも良いぞ。どうせ好みなんて引きずられるんだし」
モバP「んー」(ポフッ
桃華「……何してるんですの」
モバP「顔、埋めてる」
桃華「第三者から見たら、Pちゃまが変態的な行為をしているようにしか見えないと思いますわ」
モバP「誰も見てないからいいだろ。あー……髪の質感がふわふわでずっとこうしていたくなる」
桃華「あの……Pちゃま? できれば今は止めていただきたいのですけれど」
モバP「どうしてだ? いつも何も言わないのに」
桃華「いつもはちゃんと身だしなみを整えているからですわ。今日は仕事が終わった後でまだ汗も流していないんですのよ」
モバP「だがそこがいい」
桃華「わたくしとしては恥ずかしいのですけれど」
モバP「別に気にしないぞ」
桃華「わたくしが気にするのですわ」
モバP「まあ、そうだな。髪もちゃんと洗ってあげないと」
桃華「ええ。Pちゃまの好みの髪質を保つのは一朝一夕ではできないんですの」
モバP「髪は女の命とも言うしな。その心がけは今後ともしっかりな」
桃華「言われるまでもありませんわ」
モバP「ん、たしかにちょっと汗吸ってるな」
桃華「でしょう? 早くシャワーを浴びたいんですの。……そろそろ放してくださる?」
モバP「名残惜しいが……仕方ない」
桃華「そんなに名残惜しいのなら身近な香りにしてみるのも良いと思いますわ」
モバP「はっはっは、大人をからかうのは百年早いわ」
桃華「……そこはさらっと流してしまうんですのね。本気でしたのに」
ちひろ「子どもはアウトすぎやしませんか!? 抱きつくのはダメでしょう!?」
モバP「そうですか? そのほうがなでやすかったり梳かしやすかったりしますよ」
ちひろ「……行動基準はあくまで髪なんですね」
モバP「何を当たり前のことを言ってるんですか」
ちひろ「(もうダメだこの人)」
モバP「直近で言うとあとは……」
ちひろ「もういいですよ。十分わかりましたから」
モバP「いや、これはちひろさんも知っておいてください。中にはアイドルなのに輝子みたいに無頓着な子もいるんです。ちひろさんからも言ってやって欲しいんで!」
~文香編~
文香「………」(ペラッ
モバP「………」(サラサラ
文香「………」(ペラッ
モバP「………」(スッスッ
文香「………」(ペラペラッ
モバP「………」(くんくん
文香「あの、Pさん? どうして私の髪の匂いを嗅いでいるのでしょうか」
モバP「いや、文香がいつ気づくかなって」
文香「さすがに髪を触られていたら気づきます」
モバP「あれ、そうだったの?」
文香「はい。ですけど……Pさんならいいかな、と」
モバP「無防備だなー。俺がもしストーカーだったらどうするんだよ」
文香「プロデューサーでストーカーさんですか……」
モバP「おい、考え込むなよ」
文香「いえ、Pさんならストーカーにはならないでしょうから……」
モバP「おまえ、無条件に俺を信用しすぎ」
文香「ところで、Pさん。私の髪なんていじっていて楽しいですか?」
モバP「おう。おまえや凛のように長い黒髪は貴重だなと思ったりもするが」
文香「渋谷さんの髪はきれいですしね。シンデレラガールにもなりましたし、これからもますます磨きが掛かるんじゃないでしょうか」
モバP「他人事じゃないぞ。おまえだって総選挙上位なんだ。これから驚くほど忙しくなるぞ」
文香「今でも信じられませんけど……」(ペラッ
モバP「マイペースだなぁ……」(サラサラ
文香「正直、今後のアイドル活動には興味がありますが、今はこちらの方にそそられます」
モバP「どんな本なんだ?」
文香「そうですね……よくあるファンタジーもの、でしょうか」
モバP「文香もそういうの読むんだな」
文香「それなりには。まあ、率先して選んで読むことはありませんでしたが」
モバP「ちなみに内容は?」
文香「国もない土地での名前もない魔法使いと引きこもりの少女の話です」
モバP「………」
文香「何も言われないのは逆に辛いのですが」
モバP「いやぁ、文香にもそんな物語に思いを馳せる女の子っぽいところがあったんだなぁって感動してたところ」
文香「黙っていればよかったです」
モバP「すまんすまん。でも、そんなギャップはかわいいもんだぞ」
文香「……かわいいなんてことありません」
モバP「こんなに触っていて病みつきになる髪なのに?」
文香「髪は関係ありません」
モバP「あ、枝毛みっけ。切っていい?」
文香「別にいいですけど……何でハサミ携帯してるんですか」
モバP「プロデューサー御用達の品だしな」
文香「単にPさんの趣味だと思うんですけど……」
モバP「んー、ちょっと荒れてきてないか?」(チャキチャキ
文香「っ。そ、そうでしょうか」
モバP「……ちょい席外すわ」
文香「? はい……。今のうちに読み進めておきましょう」
モバP「文香」
文香「お帰りなさい。どちらに行ってたんですか?」
モバP「連行」
文香「ええっ!? ま、まだ読み終わってな……せ、せめて栞を!」
モバP「被告人、弁論はあるかな?」
文香「あの、いきなりお風呂場まで連れてこられて状況把握が追いついていないんですけど……」
モバP「俺の用意したシャンプーの量が前回確認したときより減ってないんだが?」
文香「……私、用事思い出しました」
モバP「待てい」(ガシッ
文香「あぅ……」
モバP「まったく、あまり口うるさくなりたくないけどさ、それくらいはちゃんとしろよ? 女の子なんだから」
文香「すみません。久しぶりの休みでたまった本を読んでたらいつの間にか……」
モバP「だと思ったよ。二日くらい?」
文香「……Pさんには分かってしまうんですね」
モバP「スケジュール管理してるの誰だと思ってるんだ」
モバP「ほら、さっさと脱げ」
文香「あの……話が見えないんですが」
モバP「どうせこのままだと今日も風呂入らずに読書に耽るだろうが。俺が洗うから」
文香「そんなことは……ないと思います、よ?」
モバP「なんで最後疑問系なんだよ。早くしないと俺が脱がすぞ?」
文香「わ、分かりました。脱ぎますから……でも、恥ずかしいんですけど」
モバP「タオルでも巻いておけ」
文香「……プロデューサーとは思えない発言ですね」
モバP「担当アイドルには手を出そうとは思わんからな。そこは安心してくれ」
文香「はぁ……分かりました。観念します」
文香「とはいえ、やっぱり恥ずかしいですね……」
モバP「ん、ちゃんと隠れてるから大丈夫だぞ」
文香「そういうものでもないんですが……早く終わらせてくださいね?」
モバP「はいはい。ったく、元はいいんだから、もっと自分で意識してほしいんだが」
文香「アイドルしてても……結局長年の習慣は抜けませんから」
モバP「んじゃ、洗うぞー」
文香「……痛くしないでくださいね?」
モバP「程度による」
文香「あぅ」
モバP「まあ、この長いのを洗うのは手間だよな」
文香「今更切るのもあれなので……」
モバP「いつの間にかこうなったと」
文香「はい」
モバP「今からイメチェンもないからなぁ。文香の容姿は固定化されつつあるし」
文香「別に私は髪に執着はしていませんけど」
モバP「俺がする」
文香「………」
モバP「その、うわぁって視線はやめなさい。これだけ長くてきれいな紙は貴重なんだからな? しかも黒髪」
文香「前々から思っていましたが、Pさんは髪に並ならない執着を持ってますよね」
モバP「んー、俺もいつの間にかって感じなんだけどな」
文香「キッカケはなかったんですか?」
モバP「……ノーコメント」
文香「(あるんですね)」
文香「……~♪」
モバP「ご機嫌だなぁ」
文香「……え?」
モバP「鼻歌出てたぞ」
文香「ほ、本当ですかっ?」
モバP「意識してなかったのか」
文香「はい。……髪を梳かしてもらいながら本を読むのは気持ちよくて」
モバP「それは何より。俺も長いこと触れられて満足できたしな」
文香「……そうですか」
モバP「うん、いつものようにきれいな髪に戻ったな。シャンプーの香りも文香に合っている」
文香「そうでしょうか。自分ではよく分かりませんが」
モバP「まあ、俺は普段の古書の香りが漂う文香も好きだけどな」
文香「……あなたはもう少し言葉を選ぶべきです」
モバP「ん?」
文香「ところ誰彼かまわず好きと言うのは感心しませんよ、というお話です」
モバP「そんな節操なしに言ってるわけじゃないさ。正直に言っているだけさ」
文香「それがダメだと言っているのですが……はぁ」
モバP「終わったぞ。今度はちゃんと風呂に入れよ?」
文香「ありがとうございます。今回は忘れてしまっただけです。こんなことは滅多にありませんので」
モバP「………」
文香「……なんですか。人の顔をのぞき込んで」
モバP「いや、前髪も長くなったなと思ってさ」
文香「そう、でしょうか……あまり違和感がありませんが」
モバP「初めて会ったときもそんな感じで目元隠れてたもんな」
文香「……そんな昔の話はいいじゃないですか」
モバP「昔の面影はやっぱ今でもあるもんだな」
文香「人はそうそう変わりませんよ」
モバP「いや、文香は成長してるけどな。……と、それより」
文香「あの、Pさん? さっきより距離が短くなっているような……」
モバP「うん、やっぱこうして目が見えている方がいいわ。かわいい」(前髪かきあげ
文香「っ!?」
モバP「どうだ。ちょっとカットしてみないか?」
文香「……イヤです」
モバP「えー」
文香「イヤです」
モバP「どうしても?」
文香「イヤです!」
~芳乃編~
芳乃「そなたはー、なぜみなさんの髪を触っておるのですかー?」
モバP「そりゃ好きだからに決まってるだろ」
芳乃「女性の髪はー、命とも言われているわけでしてー」
モバP「触れるときには細心の注意を払ってる」
芳乃「拒絶されなければー、こちらとしてもー、事を構えることはーしないのでしてー」
モバP「ちゃんと許可取ってますー」
芳乃「でしたらー、わたくしは何も言いませんー」
モバP「でだ。俺としては是非ともおまえの髪も触ってみたいんだが」
芳乃「アイドルという偶像に触れるのはー、ひいては神に触れると同義なのですよー?」
モバP「(神と髪をかけてるのか……?)」
???『ふふっ』
モバP「(いや、考えるのはよそう)」
芳乃「何かが今ーここに来たようなー」
モバP「なんでもない。なんでもないから」
芳乃「そうですかー?」
モバP「で、どうだ?」
芳乃「髪に触れる、ということですかー? わたくしはかまいませんよー」
モバP「おお、そうか。それじゃ失礼して」
芳乃「………」
モバP「おー、さすがにさらさらだな。長いのに全く抵抗がない。なんか特別なケアとかしているのか?」
芳乃「いえー、特にはー。ただ、身を清めるのはー、当たり前のことでしてー」
モバP「それを自堕落なあいつにも聞かせてやりたいよ……」
芳乃「彼女にもー思っていることはあるのでしてー」
モバP「あれ、もう会ってるのか?」
芳乃「一通りはー」
モバP「そっか。仲良くできているようで何よりだ。そういえば、普段は後ろで髪をまとめてるよな。理由はあるのか?」
芳乃「いえ、特にー。ですがー、気持ちの切り替えというのは大事でしてー」
モバP「そうか。こうしてまとめていると印象がざっと異なるよな」
芳乃「引き締める、ということではー、こうしてまとめているほうがいいですねー」
モバP「髪を下ろしてる時なんて一瞬別世界に紛れ込んだかと思ったしな」
芳乃「私も外で髪を下ろしたのは、久々のことでしてー」
モバP「どちらもいけるんだよな……ちなみにどっちのほうがいい?」
芳乃「わたくし的にはどちらでもー。ただ、普段しなれている方が違和感ありませんのでー、まとめているほうがー」
モバP「オッケー。いやー、将来有望な子が入ってきてくれて楽しみだよ」
芳乃「……こうして周りのみなさんは落とされていったんですねー」
モバP「なんの話だ?」
芳乃「いえいえー。今のそなたには関係のないことでしてー」
ちひろ「いやいや、アウトでしょ! 文香ちゃんはアウトでしょ、誰がどう聞いても!」
モバP「ちゃんと見えないようにタオル巻いてもらったので問題ありませんよ」
ちひろ「それにこの前スカウトした子まで……このスケコマシ」
モバP「失礼な。プロデュースしていく中で必要なことなのでしていたまでです」
ちひろ「(この人マジでそう思ってそうだから厄介ね……)」
モバP「とまあ、最近だとこんな感じですかね」
ちひろ「もはや誰彼構わずですね……」
モバP「自分でスカウトしてきたような子たちですから。その子たちの髪が嫌いなはずありません」
ちひろ「……せめて犯罪行為にだけは及ばないでくださいね?」
モバP「その辺は問題ありません。アイドルに異性として興味がわきませんから」
ちひろ「それはそれで、問題な気もしますが……まあ、いいでしょう。問題さえ起こさなければ」
モバP「で、ちひろさん」
ちひろ「うわっ、なんですか。って、いつの間に隣に来たんですか!?」
モバP「その髪――三つ編み、触らせてもらえませんか。――とっても綺麗です」
おしまい
これにておしまいです。
もっとフェチ的なものを望んでいた方には物足りない内容だったかと思いますが、
ここまでお読みいただいてありがとうございました。
ちなみに、アイドルの選定や文章の長さに特に意味はありません。
そして筆者は二の腕のぷにぷに感も捨てがたいと思っています。
次回書くなら、そのあたりのネタでやってみようかなと思います。
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