モバP「楓さんの誕生日......」 (38)

モバP 「楓さんのすきなうたって何ですか?」 楓「えっ」の続き?みたいなものです。
短い話になります。

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「どうしようかな......」

深夜に自分の部屋で呟く。

その声は、小さな部屋で反射し、俺の耳に届く。

「はぁ~」

溜息が無意識にこぼしてしまう。

俺は悩んでいる。何についてかというと楓さんの誕生日に何をするかについてだ。

俺は楓さんと付き合っている。

詳しい話は長くなるのだが、簡単に言うと、俺が告って、フラれて、告白され付き合うことになった。

そんなこともあったせいか、俺と楓さんのお付き合いは順調......だ。一度、別れたが。

話を戻そう。

何故、悩んでいるのか。それは、去年の誕生日に失敗したからだ。いや、失敗じゃない。思ったようにいかなかったのだ。

俺は去年、楓さんに日本酒をプレゼントした。二人で飲むために。

日本酒自体はよかったのだ。むしろ、好評だった。

悪かったのは場所だ。

俺は仕事終わりに事務所でわたした。すると、楓さんはここで飲みたいと言ったのだ。

事務所に人はいなかったし、元々ここで飲むために贈ったから、良いですよと返事してしまった。

それがいけなかった。

事務所にクール三重士及び合法ロリの婦警と野球狂が来やがったのだ。

酒の匂いに反応した野球狂は分かるとして、なんなのだろうこの人達は。

俺と楓さんのお付き合いは社長が認めてくれているというのに。

まあ、結果的に楓さんが喜んでいたので良かったのだが......

俺は楓さんを独り占めしたかった。

二人だけでいたかった。

なので、今年こそはと思っているのだが、良い考えが思いつかない。

雰囲気のいい店は楓さんが好きな日本酒はないし、逆に居酒屋じゃあ雰囲気が......

というわけで悩んでいる。

「......とりあえず風呂に入るか」

誰が聞いてる訳でもないのに俺は声に出す。

「はあ~。 風呂洗うの面倒くさいな~」

「......ん?風呂?」

風呂......楓さん......あ!

「......そうだ!」

深夜なのに大声を出してしまう。

「温泉に行こう!」

俺は温泉に行くと決めてからすぐに行動した。

宿の手配はもちろん、楓さんのスケジュール管理などなど。

そして、土曜日。

「来ました! 温泉街!」

「......はぁ?」

楓さんは驚きの声をあげる。

なぜなら、

「え、温泉街でロケなんじゃないんですか?」

「あ、それは嘘です」

驚かせるため、そしてあの人達に察されないために何も言わずにここに来たからだ。

嘘は得意だからばれなかった。

「......」

唖然。 楓さんは唖然としてる。

「え......わ、私、何も聞いてないんですけど!」

楓さんはあたふたしている。とても可愛い。 

「ま、細かいことはいいじゃないですか!」

「プロデュサー、テンション高いですね......」

「うれしいんですよ」

「こうやって楓さんと一緒にいられることが」

「二人だけでいることが」

「......よく、そんな恥ずかしいこといえますね」

「好きですから」

「子供ですか......」

あんたに言われたくないよ、25歳児。

楓さんは呆れた顔をしている。

しかし、すぐに笑顔になった。

なんだかんだ言って楓さんはうれしいようだった。

そして、

「こうなったら楽しまないと負けですね!」

「そうですよ! 楽しまなきゃ!」

「プロデューサーまずはどこに行くんですか?」

「まずはここに......」

俺と楓さんは温泉街にくりだした。

まず、ホテルにチェックインした。

そこで、渡された浴衣に着替え、下駄を履いた。

楓さんの浴衣姿は温泉の仕事で見たことはあったが、それでも、その姿は綺麗だった。

そして、俺と楓さんは温泉街でしていたイベントに参加した。

決められた温泉をすべて巡ると景品がもらえるというものだ。

「最初はここですね」

楓さんが言う。

「どれくらいしたら温泉から出ましょうか?」

「そうですね......明日も回りますから、好きなだけいていいですよ」

「じゃあ、お言葉に甘えて」

「男湯はこっちなので」

「ここ、鍵かけておけば混浴が......」

「駄目です」

「この童―」

「うるさい」

「楓さんだって処―」

「うるさいです」

「ほら、文句言ってないで入りますよ」

「はーい」

温泉はとても気持ち良かった。 楓さんの趣味になるのも頷ける。

俺は5分程で温泉から出た。 これ以上入っていたらのぼせてしまうと思ったからだ。

しかし、

「出てこない......」

暇だから食べていた温泉卵(50円)を三個食べて、温泉卵の和訳がsoft boiled eggなのに違和感を持って20分。

楓さんは出てこない。

確かに好きだけいていいと言ったが、あまりにも長すぎる。

そう思いながら、また温泉卵を頬張る。

「この後も温泉巡りするのに......大丈夫か?」

「大丈夫です!!」

「ゴフッ!! 楓さんいつの間に!?」

温泉卵が少し口から飛び出る。

いつの間にか楓さんは俺の後ろに立っていた。

「今ですけど......」

確かに楓さんは湯気が出ていて、頬が赤く染まっていた。

その姿もまた綺麗だった。

「さ、早く次に行きましょう!」

「......俺がもたない気がする」

訂正 >>11

×まず、ホテルにチェックインした。

○まず、宿にチェックインした。

そこから射的、温泉まんじゅう、卓球などなどたくさんの場所を回った。

さすが、25歳児。 遊ぶ姿は子供そのものだった。

小さい場所ではあるが、店が密集しているのでなかなか進めなかった。

温泉を半分回って宿に戻った。

楓さんは温泉に計2時間ほど入ったのにピンピンしていた。

俺はヘトヘトだった。

宿に戻ったら、夕食を食べた。

正直、頭がクラクラして味はよく分からなかったが、楓さんがおいしそうに食べていたのでおいしいのだろう。

そして、お酒を飲まされて意識は朦朧になってしまった。

夕食を食べ時刻は14日を過ぎ15日になってしまった。

「プロデューサ~生きてますか?」

「うぅ......生きて......」

「プロデューサー!! 本当に大丈夫ですか!?」

駄目だ。 ここで死ぬわけには......

「楓さんを......シンデレラガールに......するまでは」

「プロデューサー......」

そこで俺の意識は途切れた。

目を覚ましたのは15日の朝。

体がだるかった。

「うっ......楓さん......」

楓さんを探すためにあたり見回す。

「はい......なんですか?」

すぐ横にいた。

楓さんの目はたくさん泣いたのか赤くなっていた。

「プロデューサー大丈夫ですか?」

「大丈夫......です」

「ごめんなさい......私、はしゃぎすぎて」

「そんな顔しないでください」

「俺の体力がないのがいけないいんですから」

「いや、私が―」

「俺です」

楓さんの言葉に重ねる。

「ほら、今日も温泉行きますよ」

「......はい」

今日はすぐに回り終わった。

なぜなら、楓さんが長く温泉に入らなかったからだ。

俺としては楓さんにはもっと楽しんで欲しかった。

そして、午前中に帰ることになってしまった。

「もう帰りですね......」

「あっという間でしたね、楓さん」

「ええ......」

楓さんの声は力が無かった。

......俺はまた失敗してしまったのか?

そんなのはいやだ。

だから、

「楓さん」

「何ですかプロデューサー?」

「俺の家に来てください。 わたしたいものがあります」

俺の家には17時に着いた。

「なんですかわたしたいものって?」

「ちょっとここで待っていてください」

そう言って俺は家を出た。

俺はあるものを用意していた。

しかし、予定よりも早く東京に着いてしまったので、それを取りに行く。

19時に家に戻った。

二時間もかかったのはこいつが重くて、繊細なものだからだ。

「遅かったですね。プロデューサー」

いつもなら、遅いって言って頬を子供のように膨らませるのに、今は大人しかった。

「すみません。でも、これをわたしたくて」

俺はそれを机の上に置く。

「箱? 何ですかこれ?」

「いいから開けてみてください。 ビックリしますよ!」

楓さんは不思議そうな顔で箱を開ける。

「ケーキ!! しかも、こんなに大きいの!」

楓さんは目を輝かせている。子供がおもちゃを貰った時の喜びの表情をしている。

良かった。 いつもの楓さんに戻った。

子供のように無邪気な、それでいて大人な楓さんに。

「あと、これ」

「これって......」

「はい。 今年も懲りずに日本酒です」

去年、わたしたものと同じものだ。

やっぱり、二人だけで飲みたかったから。

「楓さん」

「一日遅れですけど」

「誕生日、おめでとうございます!」

楓さんは少ししてから口を開いた。

「大きなケーキにプレゼント。それにプロデューサーのお祝いの言葉…これでもかという程の甘いものづくしですね。ふふふっ」

楓さんが笑う。

そう、これが見たかったのだ。

この最高の笑顔が。

「プロデューサーのプロデュースは、いつも私に教えてくれます。 アイドルであるまえに、人として大切なことを…」

俺が教えられていますよ、楓さん。

愛を、幸せを、あなたからたくさん、たくさん教えてもらってます。

「さ、せっかくのケーキですしいただきましょうか。しかしプロデュサー、こんな大きなケーキ、景気がいいんですね。 ふふっ」

「今日は100点をあげますよ」

「本当ですか!」

そんなに喜ぶことだろか。 もしかすると、さっきよりも喜んでいるのでは?

まあ、いいか。楓さんが喜ぶなら。

一日遅れの誕生日祝い。

どうやら、うまくいったようだ。

To the final story?

以上です!
一日、遅れてしまった orz
沈黙とかは……が正しい表記らしいですが、気にしないでください。
楓さん誕生日おめでとう!
ノベマスも作っている(これもまだ途中)のでもし楓さんのノベマスを見かけたら見てください。
それでは!

書き忘れてましたが、この温泉街は信州渋温泉です。
実際に行きました。
楓の湯って温泉があってそれでこの話を思いつきました。

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