モバP「きらりんの館」 (42)
・モバマスSSです
・諸星きらりはアイドルではありません
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モバP「ふぅ~。今日の仕事もとりあえずひと段落かしら」
ちひろ「お疲れ様です。プロデューサーさん」
モバP「あ、ちひろさん。お疲れ様です」
ちひろ「あら…目に隈が出来てますよ。確かに最近忙しいですけど、食事とか睡眠とかしっかり摂られてるんですか」
モバP「まぁ、最優先はアイドルたちですからね。僕らはとにかくサポートしないと。アハハハハハッ」
ちひろ「も~、そんなこと言って。倒れても知りませんからね。私からはこれを」
モバP「あ、さりげなくドリンクありがたいです」グビー
ちひろ「……あ。それと、疲れてるならここに行ってみてください」
モバP「エッ何ですか、この怪しげな名刺。ここのアイドルたちを見てれば風俗なんて行かなくても十分なんですけど」
ちひろ「私が風俗なんて勧めるわけないでしょう。まぁ、そういう風なお店ではなく、たちまち癒されると評判らしいですよ。働きづめの方に」
モバP「はぁ。そりゃどうも」
ちひろ「では、私は失礼しますね。お疲れ様でした」
モバP「はい。お疲れ様です」バタン
ドタドタドタドタドタドタ
モバP「相変わらず足音がうるさいな。ちひろの野郎」
モバP「しかしあのちひろが店を紹介するなんて、なんか裏があるな」
モバP「きらりんの館か。やけにファンシーな名刺だけど、マニア向けスナックとかかな」
モバP「うーん、ちょっと興味湧くなぁ。調べてみよう」
カタカタカタカタッ……☆
モバP「えー、きらりんの館、と」
モバP「あら、全然ヒットしない。おかしいな。隠れ家的なお店なのかも」
モバP「…ますます気になってきた」
モバP「まぁ、なんか面白そうだし行ってみるか」バタン
ドタドタドタドタドタドタ
モバP「タクシー!」
運転手「どちらまで?」
モバP「えっと、きらりんの…」
運転手「きらりん?ああ、きらりんの館ですか。かしこまりました」
モバP「はい。あそこって有名なんですか?」
運転手「私は行ったことないんですがねぇ。何やらこの頃そこに行ってくれって人が多いんで、覚えちまったんですよ」
モバP「なるほど。どんなお店かとか、知ってますか」
運転手「さぁ。でもリラックスできるって話ですぜ。それもお客さんから聞いたんですが」
モバP「けっこう込み入った所にあるんですね」
運転手「ええ。おっ、見えてきましたよ。いつみても派手だなぁ」
モバP「あぁ…って、ほんとに派手だなぁ。なんか飾りがすごいカワイイ」
運転手「では、お楽しみくださいね」
モバP「どうも」
モバP「なんか可愛さのパワーを感じるな。テンション上がってきた。とりあえず入ろう」
店員「いらっしゃいませ。お客様」
モバP「あぁ、どうも。まだ空いてますか」
店員「当店はお客様がご希望されるならいつでも開店しております」
モバP「そ、そうですか。すみません。予約してなくて初めてなんですけれど」
店員「全く問題ありません。どうぞ奥の方へ」
モバP「奥?あの、ここのカウンターとかで飲んだりとかではなく?」
店員「ここは昼に営業しております。深夜はこちらの部屋で接客させていただくことになりますが」
モバP「(あ、やっぱりそういう店か)」
店員「お客様?」
モバP「あ、大丈夫です(とりあえず行くか)」
店員「うちのエースを呼んできますので、それまでどうぞごゆっくり」
モバP「どうも、うわぁ……またさらにファンシーなお部屋だなこりゃ」
モバP「可愛いものが多すぎて落ち着かないなぁ。このお菓子型のストラップとか、なんか可愛さの圧で殺されそうだな」
?「失礼しまぁ~す」
モバP「はーい。どなた、で、す」
きらり「おっすおっす~☆あなたが今日のお友達ぃ?にゃっほーい!きらりだよ☆」
モバP「(で、でかい……何cmあるんだこの子)」
きらり「にょわ?あれあれ、お仕事でお疲れなのかなぁ?きらりんが癒してあげゆ☆」
モバP「むぎゅ……(抱き締められた)」
きらり「ねえねえ☆あなたのお名前聞いてもいーい?もっと仲良くなりたいにぃ」
モバP「え……P、って言いますけど」
きらり「えへへ☆きゃわいいお名前!じゃ~、Pちゃんって呼ぶね☆」
モバP「う、うん」
きらり「よしよし☆今日はきらりんルームでゆっくり楽しんでいってねぇ☆」
モバP「(何故だろう。きらりんに抱き締められていると子供の頃を思い出した。まるで、母の胸で抱き締められているような……)」
モバP「(幸せな心地だ)」
モバP「……」
きらり「にょわ。Pちゃんたら寝ちゃった……☆」
きらり「えへへぇ。寝顔きゃわいい☆きらりんもいっしょにおねむしちゃおっ」
モバP「(……可愛い子だな。そういうことに及ばないってことはここは本当にいかがわしい店でなく、癒しだけをくれるんだろうか)」
モバP「(また来よう)」
そして
明くる日も
きらり「Pちゃん☆また来てくれたにぃ☆今日は何する~?」
モバP「うーん。きらりんにお歌唄ってもらいたいなぁ」
きらり「えへへ、いいよ。膝枕してあげようねぇ」
モバP「やったぁ」
明くる日も
モバP「きらりー」
きらり「Pちゃん☆」
モバP「やっぱり、きらりに抱かれると安心するな~」
きらり「ええ~☆照れるにぃ。よしよし☆」
明くる日も
きらり「んふふ。こうやってPちゃんのこと、きらりんがずうっとお世話してあげたいにぃ……☆」
モバP「それもいいかもなぁ」
きらり「はい☆お菓子あげゆから、お口あーんしてっ」
モバP「あ~~」モグモグ
きらり「よくできました~☆」
モバP「(引き寄せられるように二、三週間ごと…毎週…と通う回数は増えていった)」
モバP「(まるで童心に帰るようだった。それがとても心地よかった)」
ちひろ「プロデューサーさん?」
モバP「……え?」
ちひろ「プロデューサーさん!しっかりしてください。今日は打ち合わせじゃなかったんですか?アイドルたちも心配してましたよ」
モバP「なっ!」
ちひろ「なんですか」
モバP「……なんでもありません」
ちひろ「まさか、あの館に何回も通っているんじゃないでしょうね」
モバP「えっ、そうですよ。ちひろさんが紹介してくれたんじゃないですか~。めっちゃ楽しかったですよ」
ちひろ「……はぁ。ダメですね」
モバP「何がダメなんですか。あんな聖母みたいな子、どこにもいないですよ。まるで…昔に帰ったみたいで」
ちひろ「すみませんプロデューサーさん。私が伝えなかったのが悪いんですけど、あの館には中毒性があるんです」
モバP「中毒?」
ちひろ「何だか童心に帰ったような、母の胸で抱かれたような心地がしたでしょう」
モバP「まぁ、そうですね。何だかきらりにぎゅっとしてもらったりなでなでしてもらってると、にょわ~☆」
ちひろ「……」
モバP「ってなるんですよね。もう毎日通いたいくらいで。金が危ないんですけど、まぁキャバクラとかギャンブルとかで破産するよりは、きらりに使って死にたいというか」
ちひろ「もう!!」
モバP「にょわ!?」
ちひろ「それじゃ、そのままズルズルと生活していったらどうなるか分かってるんですか。甘えたままで、常に幼児のように相手をしてお世話してもらえる人がいるなら」
モバP「……幸せになる?」
ちひろ「それだけで済んだらいいんですよ」
モバP「はぁ」
ちひろ「あなたは、それでいいかもしれませんけど。周りの人に迷惑が掛かって、悲しむかもしれません」
モバP「……」
ちひろ「確かに母が恋しいのは分かります。人は誰しも甘えられる存在を欲していますから。でも、それも適度にしなければダメなんです」
モバP「……」
ちひろ「それに、あなたには大切にしなければならない人たちがいるでしょう」
モバP「……すみません。ちひろさん。確かに、甘え過ぎてはいけませんね」
ちひろ「ま、まぁ、そうですね。私ならたまには甘えてもいいですから」
モバP「あ、それはいいです」
ちひろ「……」
モバP「さぁ~て、今日も仕事頑張るかな」
モバP「(あの後…やっぱり恋しくなってきらりんの館に行ってみた)」
モバP「(しかし、まるで初めからなかったようにそこには空き地しかなく、建設予定の張り紙だけがあった)」
モバP「夢の中のまやかしだったのか……まさかな」
モバP「はぁ。頑張ろう」
?「きゃっ」
モバP「あぁ、すみません。ぼーっとしてて」
?「……にょわ」
モバP「えっ」
?「また会っちゃった、ね。もう無くなっちゃったんだぁ……あなたが求めなければ、もうあそこは必要ないから」
モバP「?」
モバP「(妙に大きな人影とすれ違ったが、気にしないことにする)」
モバP「(しかし、何故だか強烈な懐かしさを覚えて思わず振り返ってしまった)」
?「でも、もう離さない。きらりんは運命の人、見つけちゃったから」
プツン……
?「……にぃ☆」
おわり
元ネタはsf短編です
元ネタのラストが強烈でした。きらりに世話されたい
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