ほむら「作戦会議と称して杏子を家に誘ったは良いものの……」
「作戦会議にはこのパネルを使うわよね……」
「まどか画像を見られるわけにはいかない……魔女の資料に書き換えるのは勿論、杏子の操作でうっかり開いてしまうのも避けないと……」
……
ほむら「パス付きのzipに圧縮して、名前を……レントゲン写真にしておきましょう」
「これで、杏子が来ても安心ね」
ほむら(巴さんや美樹さんの前では唐突にまどかの名前を出して、空気を悪くしていたけど)
杏子「お邪魔するよ」
ほむら(杏子の前では何故かまどかのことを出してはいけない気がする)
杏子「うわっ、不気味な部屋だな」
ほむら(今までそうやって良好な関係を作り上げて来たのよ、絶対に隠し通さないと)
杏子「窓一つ無いのな」
ほむら「ままままま、まどか……しら?魔法で作った部屋だから窓は無いのよ」
「……というか挨拶くらいしなさい」
杏子「したけど」
ほむら(まどとまどかを聞き間違えて危うくボロを出すところだった……)
杏子「へえ、随分調べてあるんだな」
ほむら「図書館、インターネット、インキュベーターなんでも使ったわ」
杏子「最後のなんだよ、まぁ色々研究してる魔法少女は他にも居たけどさ」
ほむら(巴さんだ……)
杏子「ワルプルギスの夜に関してはここまで調べてなかったね」
ほむら「この街に来るとは思ってなかったんでしょうね」
杏子「まぁ半ば腕試し感覚で調べてたのかな」
ほむら「真剣にそれを考えられる魔法少女と組めたら幸いよ」
ほむら「これがワルプルギスの夜がこの街に現れた時の予測マップ、始点はここか、ここ」
杏子「ほむほむ」
ほむら「一旦この方向に進んだ後に、避難所に進み始めるわ」
杏子「ほむ」
ほむら「でも近接型の貴方が引きつければ、少しそれを遅らせることができる」
杏子「ほぉむ、ほむほむ」
ほむら「でも気を悪くしないで、囮というわけではないわ」
杏子「……ほむ」
ほむら「避難所が潰された場合、多くの人が死ぬ。そうなると奴は数多の魂を喰い手が付けられなくなるわ」
杏子「ほむ……」
ほむら「あの……その相槌、こそばゆいんだけれど」
杏子「いや、可愛いかなと思って。 あんたも昔やってたんじゃない?」
ほむら「……やってないわよ」
杏子「ほむぅ……」
ほむら「やめて頂戴」
杏子「やってよ」
ほむら「嫌よ、あざとい」
杏子「可愛いとは思ってるんだ」
ほむら「……」
杏子「ところでなんでこんな詳しくわかるのさ」
ほむら「統計よ」
杏子「統計?この街にワルプルギスの夜なんて来たこと無いのに、なんで統計なんて出来るのさ」
ほむら「それは秘密」
杏子「あのさぁ、お互い信用しろって言える立場でもないけどもうちょっと手の内を見せてくれてもいいんじゃない?」
ほむら「魔法よ」
杏子「んなもんわかるよ」
ほむら「でしょうね」
杏子「馬鹿にしてるの?」
ほむら「お返しよ」
杏子「ちくしょう」
杏子「こんだけ調べてるんだから、自分の魔法についてもなんかあるだろ」
ほむら「あるにはあるわよ」
杏子「見せてよ」
ほむら「嫌よ」
杏子「そのパソコンかしてよ」
ほむら「いいけど」
杏子「良いのかよ」
ほむら「パーツを抜いて私の機械操作魔法が無いと使えないようにしてるわ」
杏子「ちくしょう」
杏子「なー、教えてくれよー」
ほむら「嫌よ」
杏子「キュゥべえ来ないように結界張ったし良いだろ?」
ほむら「教えても私に得が無いわ」
杏子「あたしのことを教えるよ、等価交換だ」
「あたしの固有魔法は」
ほむら「契約当時は幻覚、今は鎖」
杏子「あたしは昔は」
ほむら「巴マミと組んでいた、というかさっきの魔法少女は巴マミのこと」
杏子「あたしの拠点は」
ほむら「ホテルのスイートルーム、通称幽霊部屋」
杏子「何でも知ってるのな!」
ほむら「知ってることだけよ」
ほむら「貴方から聞き出したい情報なんて一つよ」
「佐倉杏子が居ればワルプルギスの夜を倒せる」
杏子「はぁ……期待してくれるのは嬉しいけどさぁ……」
ほむら「どうしても教えて欲しいなら、私の魔法を一つ当ててみなさい、機械操作以外で」
杏子「むぅ……あんたの魔法なんて殆ど見たことないってのに……」
ほむら「ちなみに予知や速度低下では無いわ」
杏子「予知違うのかよ……」
ほむら「予知だったら統計ではないでしょう」
杏子「考えろ……見た魔法は……」
ほむら「まぁ正体を知られないことが大事な魔法だから当てられても困るんだけど……」
杏子「触れずに物を動かす魔法!」
ほむら「……」
杏子「あってんだろこれは」
ほむら「……ご名答よ」
杏子「反応薄いな」
ほむら「いや、地味な魔法だし」
杏子「少なくともあたしは使えないけど」
ほむら「さぁ、好きに見なさい。どうせそんな大したことは書いてないわよ」
杏子「どれどれ、うっわ……ドキュメントは魔女のことばっかだな」
ほむら「基本的に固有魔法を使わない場合の戦術を書いてるわ」
杏子「武器は爆弾か」
ほむら「それはあの二人も知ってるから別に知られても構わないわね」
杏子「ちっくしょうこれじゃわかんないじゃん……」
ほむら「諦めなさい」
杏子「じゃあ、お気に入りや履歴を漁ってやる」
ほむら「資料集めとかしかしてないけど」
杏子「ぐぬ……」
「じゃあピクチャだ」
ほむら「!……好きに見なさい」
杏子「へへっ、随分昔からあるじゃん」
ほむら「入院していたからこうやって形にしないとロクに思い出が無かったのよ」
杏子「へぇ、メガネかけて三つ編みにしてたのか」
ほむら「ベッドの上の生活だったから、髪の為に三つ編みにしてたのよ」
杏子「可愛いじゃん」
ほむら「ほむほむなんて相槌打たないわよ」
杏子「可愛いのは否定しな……ん?なんか今よりちょっと丸くない?」
ほむら「魔法少女の活動をしてるうちに痩せてしまっただけよ」
杏子「あたしもまぁなんか色々たくましくなっちゃったしな、マミはその上にいろいろあったからナイスバディだったけど」
ほむら「……頑張れば私達だって」
杏子「まぁあたしは骨格が恵まれてるから良いけど」
ほむら「羨ましい限りね」
杏子「せめてこれくらい欲しいな」
ほむら「微妙な心境ね」
杏子「全然今と違ってなんなのかさっぱりわからないな、こんなあざと可愛いのがどうやったらこんな鉄仮面になるのかね」
ほむら「魔法少女としての経験はそれだけのものだったってことよ」
杏子「願いじゃないんだな」
ほむら「そうね」
杏子「あざと可愛いのは自分の意思で手離したわけじゃないんだな」
ほむら「もう、そんなに褒めないで」
杏子「照れるならもう少し表情に出せよ」
杏子「なんか色々居るな、幸薄そうなお姉さんとか、じいさんとか」
ほむら「入院仲間ね、みんな循環器の病気の人よ」
杏子「……どんどん居なくなっては増えてくんだな」
ほむら「死んだり、退院したから……魔法少女になる前から人の死自体には慣れていた……かもしれないわ」
杏子「……そうか」
ほむら「これは……前の学校ね」
杏子「……ミッション系か」
ほむら「洗礼は受けたけれど、まともに通ったことは殆どないわ」
杏子「宗教なんて信じるもんじゃないよ、どうせ、助けちゃくれない」
ほむら「同感ね」
杏子「ん、今の制服か。これ一枚だけか?」
ほむら「魔法少女になってからは記念写真を撮らなくなったからね」
杏子「ふーん……」
ほむら(……まどかが写った写真は全部フォルダに突っ込んだからこれ以降は確か資料写真ばっかだったような)
「以降はつまらない写真しか無いわよ」
杏子「半分も見たのにここで辞めるか?それに最近になって撮りまくってるし気になるよ」
ほむら「資料ばっかりだと思うけど……」
杏子「……」
ほむら「……」
杏子「……」
ほむら「……」
杏子「……なぁ」
ほむら「何かしら」
杏子「魔女とかグリーフシードとかそれの場所に紛れてあたしの写真がしこたまあるのはなんでなんだ?」
ほむら(気にしてなかったからフォルダに入れてなかった……)
杏子「あんたストーカーか何かなの?」
ほむら「違うわ!……違う」
杏子「ふぅーん……」
杏子「まぁストーカーにしちゃ、近過ぎるのがあるよね。望遠レンズじゃあなさそうだし」
ほむら「……」
杏子「でも心当たりがないんだけど」
ほむら「……」
杏子「なんか危ういローアングルとか、挙句にはあんたと写ってるプリクラまで出たよ」
ほむら(詰んだ)
杏子「あざと可愛いあんたをあたしが揉みしだいてるし、このあたし羨ましいなオイ」
ほむら「……」
杏子「……あんたの魔法はタイムリープか何かか?」
ほむら「……」
杏子「機械操作魔法でデータを引き継いで」
ほむら「……」
杏子「なんとか言ったらどうなんだ」
ほむら「……そうよ」
杏子「それで統計か」
ほむら「……ええ」
杏子「何回目だ?」
ほむら「……もう、覚えていないわ」
杏子「……そうか」
ほむら(……無意識に杏子の写真を撮りまくっていたことを忘れていた)
杏子「……あんたマジなんだな」
ほむら(というか無意識って重症よね)
杏子「良いよ、ワルプルギスの夜もぶっ倒してあたし達の将来を切り拓いてやろうじゃん」
ほむら(もしかして私の本命は杏子なのでは……?)
杏子「なぁ、三つ編みにしてもいいか?」
ほむら(いやいや、私はまどかの為に戦ってるわけで……いや、まどかの為なんて押し付けがましい、まどかとの約束を守り抜くため、ひいては私の中にいるまどか、まどかの遺志の為に、つまり最終的には自分の為に……あら?)
杏子「あんたが見てきたあたしのこと、教えてよ」
それから私は過去のことを話した。
武器を盗むことを教えてくれたこと。
戦いを教えてくれたこと。
相棒であったこと。
ボロボロになるまで
杏子「……この際難しいことは抜きにして……絶対勝とう」
彼女は私のすべてを受け入れてくれた。
それは彼女の優しさなのか、彼女の心を埋める物なのかそれは一概に決めることは出来ないが、迷子になっていた私には十分な支えになってくれた。
「見滝原市 スーパーセル 死者 二名」
「ビルが破壊されるような大規模災害でここまで被害を少な」
さやか「……あたしを騙して二人で戦うだけならまだしもさ、それで死んじゃうなんてさ……バカじゃないの」
「世間じゃあんたらはただのバカなガキ扱い、笑わせないでよ」
「二人ともなんか丸くなっちゃってさ、あたしもいろいろ考え改めて、やっと分かり合えるって思ってたのにさ……」
「……喚いたって仕方ないけど、これだけは言える、あたし達だけはあんた達を……覚えてるから」
終わりですごめんなさい
なんか思いつくままに書きたかっただけです
適当でごめんなさい
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