パタン
まどか(ふぅ…)
スルリスルリ
まどか(あ…… 外気がひんやりして気持ちいい……)
まどか(…ズッシリくる…… あんまり見たくないけど)チラッ
まどか(おおおおお~)
ベリベリ
まどか(今日もたっぷり出たなぁ……)
まどか(予備はまだあったよね?)ゴソゴソ
・
・
・
まどか「お待たせ」
杏子「遅いぞ~! なに? 生理?」
さやか「そういうこと言わないの!」
まどか「それなんだけどね… みんな、どうしてるの?」
さやか「どう、って? 何か気になることでもあるの?」
まどか「うん… 日本に戻ってきてから、ちょっと不便で……」
杏子「アメリカだって来るもんは来るでしょ」
まどか「うん… でもあんまり外で話すのもね」
ほむら「ならうちに来たらいいわ。もっと詳しく聞かせてもらえるかしら」
杏子「こういう時素早いよな」
 ̄ ̄ほむホーム ̄ ̄
ほむら「お茶が入ったわ」コトッ
まどか「……」
さやか「…お茶はいいとしてさ…… なにこれ」
杏子「レッドベルベッドケーキってやつだな。アメリカ南部の名物だよ」
ほむら「よく知ってるわね。見た目は真っ赤だけど、甘いのよ。食べてみて」
さやか「これをあんたが出すと、ねぇ…」
ほむら「そうね、まるで今のまどかの」
さやか「やめろ」
杏子「言われてみれば血っぽいよな」
まどか「杏子ちゃんもやめなさい」
杏子「それでさっきまどかが…」
さやか「やめろっつーの! せめて食べてからにしてよ!」
ほむら「このために用意したら期待通りの反応で嬉しいわ」
さやか「あんたマジな悪魔だな」
・
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・
ほむら「では食べ終わったところで本題に入りましょうか」
さやか「なんか不便って言ってたよね」
まどか「そうなの… むこうにいた頃は良かったんだけどね……」
杏子「困ってるなら言っちゃいなよ。ここにいるみんな、いつもあることなんだから」
まどか「アメリカにはMenstrul cupっていうのがあるの」
ほむさや(なにそれ……)
杏子「生理カップ?」
まどか「うん。シリコンでできてて、中に入れて使うの」
杏子「痛そうだな」
さやか「でもタンポンみたいなもんでしょ」
杏子「あれだって痛いじゃん」
ほむら「ちょっと抵抗あるわね…」
まどか「タンポンは奥の方に入れるよね。でも… 生理カップだっけ? あれは浅い所に入れるんだよ」
まどか「シリコンだから痛くないし、多めでも受けきれて助かるんだよね」
さやか「それ聞くと良さそうだけど、確かに聞いた事ないね」
杏子「売り出してもそんなの使う人少ないだろ」
ほむら「現にまどかが手に入れられなくて困ってるじゃない」
まどか「引っ越しの時、捨ててきちゃったんだよね。日本で買えばいいかなって」
さやか「それが意外にも売ってなかったのか」
まどか「いつも多めだから困るんだよね」
さやか「タンポン使ってみたら? あげるよ」
まどか「あんまり奥に入れるのはちょっと…」
ほむら「なら無いと困るわね」
 ̄ ̄それから一週間後のお昼休み ̄ ̄
ほむら「全員食べ終わったわね」
まどさや杏子「……」
マミ「ごちそうさまでした」
さやか「もしかして、あの話?」
ほむら「この間まどかの言っていた生理カップというのを探してみたわ」
マミ「どういうものなの?」
杏子「生理の時、中に入れるんだって。それで血が漏れないように溜めとくの」
まどか「見つかったの?」
ほむら「ネット通販であっさり見つかって、昨夜届いたわ」
ほむら「予備にいくつか注文しておいたから、わけてあげるわね」
まどか「ありがとう!」
マミ「それで、これがその生理カップというやつ?」
杏子「いやこんなの無理だろ」
ほむら「一つ問題があるのよ…」
杏子「サイズ的な?」
ほむら「説明書が英語だから、ちょっとよくわからないのよ」
まどか「簡単だよ」
さやか「ちょっと待った!」
ほむら「…なによ」
さやか「あんたまさか、まどかに教えてもらうって言うんじゃないでしょうね」
ほむら「当然じゃない」
まどか「最初はちょっと難しいかもしれないしね」
さやか「まぁ、確かに…… でもなぁ~ ほむらが言うと…」
まどか「さやかちゃん、疑いすぎだよ~ いくらほむらちゃんでも、そこまでじゃ…… ないよね?」
ほむら「ホントに使い方わからないのよ。でも使ってみたいじゃない」
マミ「そんなにいいものなの?」
ほむら「多めでも漏れない・いちいち捨てなくていい・お風呂に入れる」
ほむら「いいこと尽くめ… らしいわ」
マミ「それは良さそうね」
まどか「わたしなんて、これが無いと困っちゃうくらいですよ」
杏子(……心配だなぁ)
杏子(なにが心配かって?)
杏子(まどかが『見つからなくて困ってる』ものを、ほむらが探し当てるまで一週間もかかってる)
杏子(しかもネット通販であっさり見つかるようなものが)
杏子(このタイムラグが意味することは)
ほむら「でも私もちょうど一昨日終わったばっかりなの」
杏子(……絶対人にやらせる気だ)
ほむら「届くのが間に合ったら実演してもらおうと楽しみにしてたのに…」
マミ「確かに、最初は使ったことある人に教わった方が良さそうね」
まどか「じゃあ次に来た人から教えようか」
さやか「いいね。わたしも使ってみたいし」
マミ「私も一度くらい試してみたくなってきたわ」
杏子「あたしは… いいや」
まどか「どうして? 使えると便利だよ」
杏子「でもさ… 入れるのって何だかなぁ…… まぁいっか、さやかかマミかもしれないんだし」
まどか「じゃあ決まりだね」
・
・
・
杏子(まどかとほむらはこの間来たばっかり)
杏子(マミとさやかがいるから確率1/3かと思ってたけど)
杏子(二人とも、やけに『次に来た人に教える』案に乗り気だったよなぁ)
杏子(……前に来たのいつだ……? こんなの気にしてないから、よく覚えてないぞ……)
杏子(マミはこの間魔獣狩りをパスしてたような… あの時か? 何日だったっけ…)
杏子(さやかに至っては、時々来ない月もあるとか言ってなかったか…?)
杏子(それにあたしは……?)
杏子(忘れてるってことは、けっこう前…… もう一ヶ月くらいとか……?)
ガバッ
杏子「ハッ!! ……ゆ、夢か?」
杏子「ああもぅ…… 気になりすぎて変な夢見ちm」 ドロリ
杏子(あれ? なんかヌルッと来たぞ)
チラッ
杏子(おげぇえええええ!!!!!!)ガバッ!!
杏子(ふぅ、酷いことになってる… 危うく吐いて上書きするとこだった)
杏子(落ち着け、まずはこの布団をバレないように洗わないと)
杏子(って、どうすりゃいいんだよ!? 匂いもキツいし…)
マミ「佐倉さ~ん! 朝ご飯できてるわよ~」
杏子「お、おうちょっと待ってて!」
杏子(どうしよう… バレたら絶対あの変なゴム入れられる!)
杏子(とりあえず出て行かないと怪しまれるな。パジャマとパンツはビニール袋で密閉して)
杏子(布団は…… とりあえず窓開けて換気しとくか)カラカラ
ガチャッ
マミ「あら、着替えてから出てきたのね」
杏子「たまにはね」
マミ「そうした方が朝の支度がラクかもしれないわね」
杏子(よし、バレてない…… みたい)
 ̄ ̄ 放課後のマミ部屋  ̄ ̄
まどか「おじゃましま~す!」
さやか「おそいぞまどか~」
まどか「近頃、パパがベーコン作ってるの。包んでくるのに時間かかっちゃった」
ほむら「そうえば、この間から熱心ね」
まどか「マミさんの家で晩ご飯作るって言ったら、張り切っちゃって」
杏子「ウマそうじゃない。よくこんなの手作りするな」
マミ「ありがとう。じゃあ今夜は手作りベーコンを使ったお料理にしましょうか」
・
・
・
さやか「おじさん、ホントにこういうの凝ると極めるタイプだなぁ」
ほむら「あの家庭菜園も、遊びに行くたびに立派になってるわね」
まどか「内職でネットショップやるとか言い出して大変だよ……」
マミ「でもこれなら売り物になりそうじゃない?」
杏子「うん、おいしいよ。それにちょうどいい香りが…」
さやか「香りっていうか、匂い? さっきから何かの匂いがするよね?」
まどほむマミ「……」チラッ
杏子「せっかく作ってもらってそういうこと言うなよ」
マミ「ベーコンってスーパーで売ってるスライスした物しか使ったことなかったけど」
まどか「うまくお料理できたみたいでよかったですね」
さやか「あたし生焼けだとあんまり食べられないから、このくらいカリッカリのが好みなんだよね」
杏子「そう? レアっぽいのもあれはあれでおいしいじゃん」
まどか「ああ~…… 杏子ちゃんは生臭くても平気なんだ」
さやほむマミ「……」チラッ
杏子「ま、多少ならね。その辺も慣れれば味わいだよ」
ほむら「厨房覗いてて気付いたの。マミも鉄のフライパン派なのね」
マミ「ええ、最近買ったのよ」
まどか「あれ使うの大変じゃない? 重いし」
マミ「でもコーティング剤がない分気がラクなのよ」
ほむら「それに鉄分補給できる効果があるわ」
さやか「そうなんだ。鉄分が溶け出すの?」
ほむら「ええ、それで我が家は昔から鉄のフライパン派よ」
杏子「ほむら、いかにも鉄分不足してそうだしなぁ」
まどほむさやマミ「……」
杏子「な、なんだよさっきから…」
まどか「杏子ちゃんさぁ」
杏子「…お、おぅ?」
ほむら「ちゃんと持って来たわよ」スッ
まどか「もう諦めなよ」
杏子「やめろって! おい、引っ張るなよ!」
まどか「痛くないって言ってるでしょ」グイグイ
杏子「痛いとかじゃないだろ! そんなの入るわけないって!」
さやか「一応、市販しているものだからそれほど無理でもないんじゃないの?」
ほむら「とはいえいざとなるとちょっと踏ん切りが付かないのよ」
杏子「だからって人で実験すんな! まどかがもう使ってるからいいだろ!」
まどか「わたしはむしろ今までコレ使うのが当たり前すぎて…」
マミ「参考にならないわね」
杏子「お前らグルだったんだろ! 最初からあたしで実験するつもりだったんだな!?」
ほむら「そのために言い出す日調整しましたし」
マミ「一緒に住んでて、朝気がつかないフリするの大変でしたし」
杏子「……おまえらなぁ」
杏子『おぐぇあああああ!!!』
まどか『ほらほら、まだ入れてないよ~』
ズズッ
杏子『はい、入ってる! 入ってきてる!!』
まどか『あとちょっと!』クイッ
杏子『ぎゃああああ!!!!』
ほむら「トイレが賑やかね」
マミ「うちのトイレでこの大騒動は初めてだわ……」
・
・
・
まどか「ふぅ~… 終わったよ」
杏子「ほぉぁ……」カタカタカタ
マミほむさやか(ガニマタだ……)
まどか「脚閉じても平気だって」
杏子「でも、すごい抵抗があるんだよな…」プルプル
さやか「痛くないっていうし、ほむらそっち持って」
杏子「よせよ…」
ほむら「ほらグイッと」グイッ
杏子「あごぁああああ!!!!」
さやか「こら暴れるなって!」
杏子「そりゃ暴れもするわ!」
マミ「どうにか『ややガニマタ』くらいまで来たわね」
杏子「これ絶対明日筋肉痛になるよな… 座っていよう」
ほむら「……」
さやか「……」
まどか「……杏子ちゃん、そこまでそーっと腰降ろさなくていいんだよ」
杏子「だって中で動いちゃいそうだし」
マミ「タンポンだってあまり動かないわよ。そのためにヒモ付いてるくらいだもの」
杏子「そういやこのカップにも引っ張るところ付いてるな」
まどか「出す時はそれを引っ張って出してね」
杏子「今すぐ引っ張りたいわ」
 ̄ ̄まどかたちが帰った後 ̄ ̄
マミ「少しは慣れてきたようね」
杏子「とりあえず、歩けるようにはなったぞ」
マミ「じゃあ次はちょっと動いてみましょうか」
杏子「だんだんチャレンジしたくなってくるような、もう出しちゃいたいような……」
マミ「ここまで来たんだもの。練習しましょうよ」
杏子「いや、そろそろ出す時間だな。確か最初は三時間くらいで様子みてみようって、まどかが」
マミ「寝る前には石鹸で洗うんだったかしら」
杏子「じゃトイレで外してくる」
杏子「マミ! 見て見て!」
マミ「ちゃんと洗えた?」
杏子「まだ洗ってないよ。ほら」タプン
マミ「早く捨てちゃいなさいよ!」
杏子「それがさ、よく見てると不思議なんだよ」
杏子「意外ときれいな色してるんだ」
マミ「……言われてみればそうね」
杏子「それにしても思ったより少ないんだな。三時間でこんなもんか」
マミ「ナプキンだといつも頻繁に変えるから、もっと多く感じるのかもしれないわね」
杏子「しかも毎回捨てちゃうからなぁ。よく考えたらもったいないな」
マミ「佐倉さんもカップ派になれそう?」
杏子「この調子で行ったら明日中には平気になりそうだしね」
 ̄ ̄朝 ̄ ̄
まどか「おはよう、杏子ちゃん。あれからどう?」
杏子「見てよこのゲッソリした顔」
マミ「昨夜は遅くまで寝付けなかったのよ」
杏子「だいぶいい線いったんだけど、やっぱり寝る時はまだまだ外してないとダメだ」
さやか「今は?」
杏子「朝付けてきたよ。でももう平気かな」
まどか「カップの良さが伝わったみたいだね」
杏子「うん。ありがとな、いいもの教えてもらっちゃった」
杏子「……ほむらも」
ほむら「え、ええ…」
杏子「来月楽しみにしてろよ」
ほむら「楽しみでしかたないわ」
 ̄ ̄そして一ヶ月後 ̄ ̄
杏子「ほ~ら動くなって!」
ほむら「ひぃっ! やっぱりやめて! 入れないでぇ!」
杏子「うるさいな、お前が始めたんだろ! 覚悟を決めな!」
まどか「待って杏子ちゃん。ほむらちゃんも素に戻って頼んでるんだから」
ほむら「クスッ… かなめさん、助けてぇ」スリスリ
まどか「よ~しよ~し、甘えん坊さんめ」
ほむら「ごめんなさい… やっぱり無理だよぉ……」
まどか「あんな大きいの入れるんだもん、怖いよね」ナデナデ
まどか「かといって逃がさないけどね」クイッ
マミさや杏子(鬼畜生がいるわ……)
ほむら「いっ いやぁあああ!! 入れちゃダメぇ!!」
おわり
日本でもカップ派が増えますように
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