青年「野獣先輩に会えるなら。一億の紙幣も糸のように」 (30)

2025年。下北沢にて。


青年「……えーっ、こほん! マイクOKですよ」

スタッフ「あ、はい」


パシャッ… パシャッ…


下北沢民「おい、何が始まるんだ?」

下北沢民2「恐らく何かの撮影だろ。ほれ、よくみろ」

下北沢民2「服装からして俺らとは違うぜ」


青年「……」


青年 (……思えば。ここまで長かった)


スタッフ「青年さん、そろそろ生放送始まりますぅ!」


────3


青年 (僕が出会ったその日から。どんなに待ちわびたろう、どれだけ眠れぬ夜を過ごしただろう)


────2


青年 (僕は、"それ"だけを目標に。財閥のトップに登り詰めた。総資産なんて数える気にもなれない)


スタッフ「準備してくださいねーーーー?」


青年 (そう、それは全て貴方に会うために)


────1



青年「……僕の始まり。救世主でありヒーローの────



    0    




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野獣先輩────!







 青年『こほんっ! 皆さん、こんばんは』

 青年『今回は少しお時間を頂きました。局の方には頭が上がりません』

 青年『そうまでして放送したかった理由……』

 青年『それは────』


ピッ


*「あ、おい! 何で消したんだ!」

*「何でってそれはですね。もうご飯が出来たからですよ」

*「大体先輩が夕方にテレビを見るなんて異常です」


*「はぁーあ。そこまで言うか?」




「遠野」

青年「────僕の目的はただ一つです!! ただ一つ!」


青年「『野獣先輩』と呼ばれた人物を……探して欲しいッ!」


ざわわ… ざわっ…


下北沢民「野獣先輩ィ? 何じゃそら」

*「……野獣先輩?」



青年「勿論ただでとは言わない!」



青年「見つけた人には『一億』支払います!!」


青年「紛れもない……『一億』をッ!」



下北沢民2「い、一億だァーーーーッ!?」

下北沢民「正気じゃあねえぜッ!」

*「……一億」

*「それじゃあ俺は貰ったも同然だゾ」

下北沢民「はぁ? おっさん何か知ってるんかい?」




青年「ですから、これを見た人には是非ッ! 協力してほしい!」


青年「これは僕の願望だ、見果てぬ夢だ、過去の青春だっ……!」



青年「だからッ!」

 青年『────宜しくお願いします!!』


わぁーーーーッ… わぁーーーーッ!


遠野「あれ。何かもう終わりかけですね」

*「よくもやったな遠野! 何か面白そうなことを言おうとしたところで切りやがって!」

*「頭に来ますよーーってんだ!」

遠野「それは……ごめんなさい」



*「はぁ。それで、MURとは連絡取れたのか?」

遠野「あ、それなら。すぐにこっちくるって言ってました」

*「やりますねェ!」

*「はっはっは!! となると、KMR以外の"連中"は揃ったなァ!」

遠野「そうですね」


*「いや、楽しみだよ……」





*「明日の『真夏の夜の淫夢同窓会』がな……!」

一旦切り上げるゾ。また夕方頼むゾー。

ちょっとした短編にしようと思ってるから、今日中には終わらせるつもりでいるんですがね……。

申し訳ないです。今日は色々あったんだよなぁ…。
夜に来ます。

青年「……ふぅ」

スタッフ「お疲れさまです。結構な人が聞いてたみたいですね」

青年「ああ。良かったよ、これで捗る……」

スタッフ「探している人……見つかるといいですね!」

青年「うん、ありがとう」



トントン…



スタッフ「おや? 誰か来たようですね」

青年「いい。自分で出る」


青年「はーい」


扉の向こう「野獣先輩……って呼ばれた男の居場所。知ってるゾ」

青年「えぇ!?」


ガチャッ




青年「貴方は一体……?」

MUR「俺はMUR。野獣と共演したこともあるゾ」

青年「み、MUR大先輩……!?」

MUR「そうだよ」


青年 (が、画面の向こうだった人に会えたとは……やっぱり思いきってよかった。よかった……)

青年「や、やっぱりホモ達には繋がりがあったんですね……」

MUR「そうだゾ。あ、そうだ」

MUR「野獣の居場所……教えるんだったか」

青年「はい」

MUR「すまん。家までは教えられない」


青年「えっ?」



MUR「奴にもプライバシーはある。そうホイホイと情報は売れないゾ」


青年「では……居場所というのは?」


MUR「誤りだゾ」



MUR「正確には"来る場所"といったところか」


青年「!」

青年「お願いします! 教えてください!」

MUR「……君は野獣に会いたいといっていたが、それはどうしてだゾ? 」

青年「……それは」


青年「そうですね。お話します……」




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