ペトラ「前進せよ!」(12)
胸糞注意。すぐに終わります。
〈立ち上がる。歩き出す〉
──ウォール・ローゼ南方十数キロ。夜──
「兵…長ぉ………」ムクッ
巨人A「?」
巨人A「……」
巨人B「?」
巨人B「……」
(エルヴィン「前進せよ!」)
(リヴァイ「俺に力を与える!」)
(エルド「これが最善策だ!」)
(エレン「やります! 俺が!」)
(オルオ「必要な手順をこなしてないぜ」)
「兵…長ぉぉぉ………」
(「前進せよ!」)
〈乗り越える〉
──ウォール・ローゼ正面──
「か……べ……」
(「前進せよ!」)
「兵…長ぉ……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
農民A「おい、ありゃ何だ?」
農民B「兵士だよな? 調査兵団の制服着てるが」
農民A「きっと怪我で本隊に遅れたから、ああやってこの辺うろついてるんだろう」
農民B「うろついてるだけならいいが……」
農民A「おお怖!」
「兵…長ぉぉ……」
(「前進せよ!」)
〈リヴァイ班隠れ家・LOCK ON〉
「兵…長ぉぉ……」
(「前進せよ!」)
リヴァイ「全員読んだか? エルヴィンの指示だ。信じるバカは来い」
──リヴァイ自室・出発準備中──
リヴァイ「きょうはやけに虫の音がうるせえな」
(「前進せよ!」)
リヴァイ「虫の音が聞こえなくなると…… じきに冬だ。ぐずぐずしてられねえ」
「兵…長……」
リヴァイ「?」
「兵…長ぉぉ…… 私の任務は、何なのでしょうか…… 命令を、……伺ってないのですが……」
リヴァイ「とりあえずお前のやることはない。ゆっくり寝てろ」
「いいんで…… しょうか……」
リヴァイ「俺がいいって言ったらいいんだ」
「了解…… です」
リヴァイ「ご苦労」
「言い忘れました…… 作戦の ご成功を……」
リヴァイ「帰るのか?」
「いえ…… この近くで、……いつでも出動できるよう 待機しています……」
リヴァイ「そうか。落し物しねえようにな」
「お心遣い…… 感謝します……」
リヴァイ「……」
──別室──
リヴァイ「エレンはいるか」
エレン「はい!」
リヴァイ「ちょっと来い」
──隠れ家の外──
リヴァイ「見ろ」
エレン「あれは!」
リヴァイ「しっ! でけえ声を出すな。いいか…… 何気なく近付いていって、極力陽気に振る舞うんだ」
エレン「そんな…… どうやったらいいんです?」
リヴァイ「俺は今までに何度もこういう連中の相手をしたことがある。俺とお前で、あいつを楽にしてやるんだ。いいな?」
〈燔祭〉
エレン「やあ…… お久し振りです」
「エレン…… 元気そうね」
エレン「そうでもないですよ。気苦労ばかりです。新しい班の連中は掃除ってものの真髄を分かってないし」
「今ではあなたが……古参の班員。時の経つのは…… 早いもの……」
エレン「何しろ皆さんに比べたらみんなガキですからね! はは!」
リヴァイ(物陰)(バカ野郎…… もう少し自然に笑えねえのか)
「古城のお掃除…… ああ…… 懐かしい……」
エレン「6人もいて狭いボロ屋一つ満足に掃除できないんですからね! 兵長もあきれてますよ!」
「あなたが先輩として…… しっかりしなければ…… ご苦労さんね……」
エレン「ありがとうございます。ところで、もう夜も遅いです。……眠くはありませんか?」
「いいえ…… なんだか目が冴えて…… こうしてエレンと話をしていると、ほんとに…… 時の経つのを忘れて…… しまう……」
エレン「実は兵長から…… 俺がお世話をするよう命令されたんです。おやすみになる場所を用意しました。こちらへ」
「まぁ…… 寝心地のよさそうな寝台……」
エレン「うぐっ…… 失礼しました、ご遠慮なさらずにどうぞ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あぁ…… いい気持ち…… 少し疲れたから、すぐに眠ってしまいそう……」
エレン「!! 俺が布団をお掛けして差し上げます!」
ボワッ
「あぁ…… ほんとに暖かい…… エレン」
エレン「はいっ!」
「兵長に…… 伝えて…… 命令あり次第、直ちに、駆け付けます、って……」
エレン「了解しました!!」
ゴォォォォ……
エレン「うぐぐぐぅっ……(号泣)」
リヴァイ「いいんだこれで。あいつは人間同士で殺し合う地獄を見なくて済んだ。それがせめてもの……幸運だ」
「ああ…… 何なんだろうこの気持ちよさは…… 私の汚れた部分がすべて…… すべて浄化されていくかのよう…… こんなに安らかな気持ちになれるなんて…… なぜ今まで気が付かなかったのだろう……」
(「前進せよ!」)
終
以上です
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