ハニー・ポッター「死の、秘宝……?」 (463)

ハニー「ロンが戻ってきて、数日が経ったわ」

ハニー「ロケットの分霊箱が破壊できた、けれど……やっと一つ、片付いただけ」

ハニー「先は長い、なんてものじゃないわ」

ハニー「残りの分霊箱がどこにあるのか、少しも検討がつかないんだもの」

ハニー「……」

ハニー「関係ないわね」


ハーマイオニー「ロン!見張りは一時間交代と言ったでしょう?もう過ぎていたのに……あなたまさか、寝ていたんじゃ!」

ロン「あぁ、いいよ。ほら、君は調べ物で忙しかったみたいだしね。僕に任せて」

ハーマイオニー「……ご機嫌とりをしようとしても、無駄よ!ふん!」

ロン「そりゃ残念。君ってばずーっとカリカリしっぱなしなんだもんなぁ。マーリンの髭!」


ハニー「二人がいれば。ふふっ。上手くいくに、決まってるわ」

ハニー「……」

ハニー「挙式はいつかしら」

ハーマイオニー「何のことを言ってるの、ハニー!!」

ロン「それってついに目覚めるのかどうなのかわからないあの寝ぼすけな一等星と君のことかいハニ、おっと!それでさ、君達と離れてる間に知ったことなんだけど……」

ハニー「……私の蹴りを避けるだなんて偉くなったじゃない、この豚」

ロン「何せ豚を超越したからね、僕ぁ!ヒンヒン!あ、これは染み付いてるけどねもちのロンで」

ハーマイオニー「ただでさえ厄介だったのがどう変化したのか今から頭が痛いわ……ねぇ、ハニー。これから先のことなんだけど……この印について、探ってみない?」

ハニー「それ……ビクトールが、グリンデルバルドの印って言ってた……?」

ハーマイオニー「えぇ、そしてゴドリックの谷の幾つもの墓にも刻まれていた、この印よ……行く先々で目の当たりにするこれに、何かヒントがあるとおもわない?」

ロン「冴えてる!ハーマイオニー、君って最高だよな、ハニーの次に」

ハーマイオニー「あなたの語彙の中でも特別な賛美をどうもありがとうはいはい。それに、ほら……ダンブルドアが私に残した本にもあるんだもの」

ハニー「そう、ね……タイトルの上に、描かれた、この記号」

ハニー「……」

ハニー「死の、秘宝……?」


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ハニー・ポッター「私が、魔法使い?」
ハニー・ポッター「賢者の石、ですって?」
ハニー・ポッター「賢者の石は、どうなったのかしら」

ハニー・ポッター「秘密の部屋?なぁに、それ」
ハニー・ポッター「スリザリンの継承者?なんなの、それ」

ハニー・ポッター「脱獄囚の、シリウス・ブラック?」
ハニー・ポッター「『エクスペクト・パトローナム!』」
ハニー・ポッター「『守護霊よ、来たれ!』」

ハニー・ポッター「勝つのは私、そうでしょ?」
ハニー・ポッター「何がこようと、受けて立つわ」
ハニー・ポッター「いつか必ず、来るものは来るのよ」
ハニー・ポッター「来るものは来る、来た時に受けてたてばいいのよ。勝つのは、私よ」

ハニー・ポッター「騎士団、いいえ。私の豚団ね、そうでしょ?」
ハニー・ポッター「『私は、嘘をついてはいけない』……?」
ハニー・ポッター「誰一人だって、欠けさせないわ」
ハニー・ポッター「進まなきゃ、前に。そうでしょ?」

ハニー・ポッター「プリンス、だなんて。なんなのかしら」
ハニー・ポッター「暴いてみせるわ、マルフォイの企み」
ハニー・ポッター「どうして、スネイプなんかを……」
ハニー・ポッター「アルバス・ダンブルドアと、わたし」

ハニー・ポッター「分霊箱を、探す旅」

のつづきやで

ロン「子供の頃から読んでるけどさ、聞こえが悪いよなこのタイトル」

ハーマイオニー「中身は教訓溢れているけどね……煩悩に溢れたあなたみたいに」

ロン「煩悩?ハニーに悩を殺された回数はそりゃはかりしれないけどさ、足りない足りない」

ハニー「えぇ、そうね。108?ハーマイオニーだって一晩で超えるじゃない?」

ハーマイオニー「明後日の方向に話を飛ばさないで……それで、ゼノフィリウス・ラブグッドに会いにいってはどうかと思うの」

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……えぇ、そんな眼をされるとは思っていたわ。でもね、私は正気よそこの赤毛のノッポよりは遥かに」

ロン「何言ってんのさ、僕ぁ正気も正気だぜ。ちょっと普通に座ってハニーの横にいるのが変な気がして今更緊張してるけど」

ハーマイオニー「年月って怖いわね」

ハニー「座られ心地はどうかしら、ロン?」

ロン「あぁ、やっぱりこれだよなあ!うん!もちのロンで最高さハニー!」

ハーマイオニー「結局こういう構図になるわけね……話を戻すわ。ラブグッドよ、ラブグッド」

ハニー「……私のお友達な、ルーナのお父様だけれど……あー」

ロン「頼りにできるかって言うと、ハッハ、ハ、だよな……『ザ・クィブラー』はずっと、ハニーを応援する記事を書き続けてたけどさ」

ハニー「そうなの……?」

ロン「うん、奴さん怖い者知らずだからさ。怖い者知らずって言えば……君達のそういう部分は引っ込んじまったみたいだね?いや、ハニーが怖がりなのは知ってるけd痛い!しまった!避けられない!本望だ!!!」

ハニー「誰が何ですって?」

ロン「いやほら、君達、『例のあの人』をヴォルなんとかって呼ぶの、やめたんだろう?」

ハーマイオニー「その呼び方の方がよっぽど怒らせる気がするわ……特に理由はないけど、どうしてそんなことがあなたに分かるの?何週間も私達と一緒にいなかったのに。何週間も」

ロン「その名前は『禁句』なんだ。それで呼ぶとたちまち保護呪文が破れて、連中に即座に居場所がバレっちまう。人さらいどもが言ってたよ」

ハニー「……趣味が悪いわ、本当に」

ロン「全くだよ。ハニーの名前を呼べば僕らの心に勇気と希望が溢れる現象とは雲泥の差さ、マーリンの髭」

ハーマイオニー「トテナム・コート通りで私達を見つけたのはそういう理屈ね……合理的だわ、悔しいけど」

ロン「あぁ。今のご時勢奴さんの名前を呼ぶのは反抗してる騎士団、あぁいや、豚団メンバーくらいのもんだもんな。キングズリーもそれで、危うく掴まるところだったって」

ハニー「キングズリーが……!?」

ロン「うん、そうビルが言ってた。連中に追い詰められたけど、戦って、逃げおおせたってさ」

ハーマイオニー「さすがね」

ロン「あぁ、倒した奴らの髪を根こそぎ抜いてやるとこまで完璧だったって」

ハーマイオニー「聞きたくなかったわ」

ロン「今じゃぼくらと同じ逃亡中の身だってさ……あ!あの牝鹿、もしかして……」

ハーマイオニー「キングズリーの守護霊はオオヤマネコよ。あの時見たでしょう?」

ロン「あ、そっか……じゃぁ……実は生きてたダンブルドアとか……」

ハニー「あの人は不死鳥ね……それに、あれだけわたしに、そう、悔し涙流させておいてシレっと出てきたら、ビンタしてあげるわ」

ロン「だろうね、うん。ほら、僕、あのロケットでイライラしてたときにさ」

ハーマイオニー「私はあなたのおかげ様でたまにイライラしてるけどね」

ロン「今後ともそうさせてもらうよ一生ね。それで、ダンブルドアがどこかで笑ってるんじゃないかって思ったんだ」

ハニー「……分かるわ。それか、わざわざ事を難しくして悦に入ってるような」

ロン「そうそう。でも、今は違うよ。ダンブルドアは正しかった。ほら、僕に灯消しライターをくれたのも……僕が馬鹿をするって、お見通しだったからだった」

ハニー「えぇ、とんでもない大バカな豚以下の行動をね」

ハーマイオニー「その後もね。むしろその後よね本当、ネビルたちがいたら屠殺だわよ」

ハニー「けれど、ダンブルドアはあなたがすぐに戻りたがる、それまで見越していたんだわ。違う?」

ロン「あぁ、本当、いい同胞だったよな。もちのロンで」

ロン「で、何が言いたかったかって言うと。そんなダンブルドアが残した本に、例の印があったなら、さ」

ハニー「えぇ」

ロン「何かあるに違いないし、それをルーナの親父さんに聞きにいくなんて、めっちゃくちゃ冴えてるぜハーマイオニー!さっすがー!」

ハーマイオニー「おべっかはやめなさい。それじゃ、次の目的地はラブグッド家ということでいい?」

ハニー「そうしてあげるわ。ロン、あなたのお家の近所なのよね?」

ロン「うん、不名誉なことに」

ハーマイオニー「案内を頼める?あなたが覚えていればだけど、期待してないわ」

ロン「大丈夫だよ、あぁ。あそこはさ、ほら。忘れようがないから。色んな意味で」

翌朝

オッタリー・セント・キャッチポール村のはずれ

バチンッ!

ドサッ

ハーマイオニー「っ、ハニ、だから、普通に、肩とかを掴んで、ったら……!」

ロン「付き添い姿くらましはやっぱりあんまり気分がいいもんじゃないけど着地の瞬間に二人の足元に滑り込みながら眺める光景は最高だね、つづけて?」

ハニー「そのうちロンもどうぞ?」

ハーマイオニー「両の手をもぐわよそんなもの」

ロン「何度僕の手なくなりゃいいんだろう……あぁ、あっちの果樹園の向こうが、僕ん家だ。こんなに近くに来たのに帰らないのは、なんだか変なかんじだなぁ」

ハーマイオニー「あーら、つい先日まで、それもクリスマスを過ごしたばかりじゃない!」

ロン「おいおい、まさか僕が家に戻って『ハニー達を放ってかえってきました』なんて言えると思うのか?」

ハーマイオニー「えっ?」

ロン「フレッドとジョージなんかは大歓迎だろうな。ジニーもさ。きっと僕、姿形が屋根裏おばけにそっくりに変えられてそのままぶち込まれるに違いないよ」

ハーマイオニー「それじゃぁロンは、どこにいたの……?」

ロン「ビルのとこさ。ビルはいつだって僕をきちんと扱ってくれた、頼りになる兄貴だよ。事情を話したら、あまり無茶するなって言われたけど……」

ハニー「……それじゃ、ビルとフラーの新居に?」

ロン「うん。『貝殻の家』に」

ハニー「……」

ロン「うん?」

ハニー「……結婚したばかりの、二人の、クリスマスの日にも……?」

ロン「うん、豪勢な料理を振舞ってくれたよ。いいのかなって思ったけどさ、すすめるもんだから――」

ハニー「ロン」

ロン「なんだい?」

ハニー「ハーマイオニーが、お話があるそうよ」

ロン「いってててて……何もあんな、耳をひっぱること……マーリンの髭!」

ハーマイオニー「二人にはことが済んだらしっかり謝っておくことね、本当に」

ハニー「この丘の向こうなの、ロン?ルーナのお家」

ロン「あぁ、確かそうだったと思うよ。場所はいまいちうろ覚えだけど、一目見りゃすぐに……ほーら、あれだ」

ハニー「……丘のてっぺんに、縦に長い建物がそびえてる、わね」

ハーマイオニー「……機密保持法ってなんだったかしら」

ロン「奴さんたちにとっちゃ鼻紙も同然なんだろうさ……まるで巨大な城だよな。塔の方が近いか」

ハニー「文字通り、ルーナのお家ね」

ロン「元豚だった僕ん家が豚小屋みたいなもんだったのと同じ理屈だね、うん」

ハニー「卑下するお友達は嫌いよ」

ロン「僕ん家最高!ちょっと帰省してくる!!!」

ハーマイオニー「ジニーにぶっとばされてくればいいわよ、もう」

ロン「『ザ・クィブラー編集長 X・ラブグッド』やっぱりな、知ってた」

ハニー「『ヤドリギは勝手に積んでください』 ナーグルだらけで困っているのかしら」

ハーマイオニー「『スモモ飛行船に近寄らないでください』……色々、何がなんだか不明な植物で門から玄関が覆われているわね」

ハニー「ルーナが私にくれた、赤いカブのイヤリングと同じものもたくさん」

ロン「ダグがここにいたら大もうけのチャンスって収穫しまくるだろうな……入ろうか。罠なんかがないといいけど」

ハーマイオニー「そしたらあなたを囮にして逃げおおせるわ、私達」

ロン「本望だけどさ」

ハニー「冗談でもやめて……ドアノッカーが、鷲の形だわ」

ロン「代々レイブンクローって感じなのかな。知識ある者、ねぇ……?」

ハーマイオニー「知識にも色々あるのよ、やめなさいそのあざ笑い顔」

ハニー「……えぇ、色々ね。ギルデロイも、あそこだったもの」

ロン「益々あざ笑いたくなったよそれ」

コンコンコンッ

ドタドタドタドタッ

ガチャッ!!!

ラブグッド「なんだ?何事だ?誰だ!!何しに…………Oh……」

ハニー「あー、ごきげんよう、ラブグッドさん……?」

ラブグッド「なんと、まぁ……衝撃だ。君、君は……スノーカックが目の前に降ってきたような感覚だよ」

ハニー「それは、あなた談では普通なのではないの?ラブグッドさん、あー、お時間はとらせないわ。教えてほしいことがあるの」

ラブグッド「そう、そうかもしれない、あぁ、それで、私は、見てのとおり……忙しいのだが」

ロン「パジャマ姿で何言ってんだか。忙しそうではあるけどさ、髪なんかも汚れ放題で……ほら!あんたが誌面で応援してくれてたハニーがいるんだぜ!もっと、歓迎を……」

ラブグッド「その話はするなっっ!!!!!!」

ハニー「っ!?」

ハーマイオニー「!」

ロン「髭!」

ラブグッド「フーッ、フーッ……いいだろう、入りなさい。あぁ、お茶でも淹れよう。そうだ、うん、歓迎しようじゃないか……」

ツカッツカッツカッツカッ

ハーマイオニー「変よ、ロン……『ザ・クィブラー』はハニー贔屓だったんでしょう?あの態度は……」

ロン「おっかしいな……最後に見た号でも、ばっちりハニーのブロマイド付きだったんだけど」

ハーマイオニー「なにそれどうして土産に持ってこないのよ……」

ハニー「ラブグッドさん……あの明るさ、それに……そういえば……ルーナは、どこにいったのかしら」


ラブグッド「…………」

とりあえず導入でここまで
10時には再開

ガッタンガッタンガッタン

ハニー「……上の階のこの音、ルーナが何かしているのかと思ったら、印刷機だったのね」

ロン「お、今じゃ唯一真実を伝える『ザ・クィブラー』の最新号。一冊もらえる?」

ラブグッド「いや、は、は……まだ刷り上っていない、悪いね。すぐにとめよう……話の邪魔だろう、これは無視していてくれ」

ロン「そうじゃなくても騒々しいものが山ほどだけどさ。何もかもが原色、目に優しいよまったく」

ハーマイオニー「騒音もだけど、心やすまらないものもあるわ……ら、ラブグッドさん、あれ……まさか」

ラブグッド「わかるかね、スノーカックの角で……」

ハーマイオニー「いいえ!あれ、あれは、エルンペルントの角だわ!危険よ!間違えた触れ方をすれば大爆発をしてしまうのに!家の中で、あんな、むき出しにしてるなんて!」

ラブグッド「スノーカックの角ですよ、あれは……二週間前、気前のいい魔法使いから買いましてね」

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ラブグッド「『げっへへ、だんな、しわしわ角のやろうに興味があるんだってなぁ。とっくべつだぜ?もってけどろぼー!』と」

ハニー「どこのマンダンガスかは聞かないわ」

ロン「やっぱりあの野郎あそこでとっちめておくべきだった。マーリンの髭!」

ラブグッド「ルーナにクリスマスの贈り物を、とね……まぁ……それも……」

ハニー「そう、ルーナよ。ラブグッドさん?彼女はどこに……」

ラブグッド「……その話はいい。さぁ、お嬢さんたち。一体全体、私になんのようですかな?」

ハニー「助けていただきたいの、ラブグッドさん」

ロン「『助けさせてあげる』じゃないあたりこれはかなりの進歩だぜ、なあハーマイオニー?」

ハーマイオニー「あなた誰にも文句を言えないくらいハニーのこと茶化してるわよね実際のところ」

ラブグッド「助ける、助ける、ですか、えぇ……それはまた……難しい」

ロン「ハニーを助けることは魔法界の義務だ、って、散々誌面で謳ってきたじゃないか?個人的には魔法界どころか世界あますところなくだけど」

ラブグッド「えぇ、あぁ、そう……これまで、そういう意見を表明してきた……しかし」

ハーマイオニー「……それは他の人がすることで、自分の番になると応えられないということ?」

ラブグッド「そういうことでは……うむ」

ハニー「……何も、難しいことではないわ。あなたが無理だというのなら……そうね、彼女に聞いてもいい。ルーナはどこ?ルーナの意見を聞かせて……」

ラブグッド「ルーナ、ルーナ……あぁ、ルーナは今、川に釣りに行っているよ。あー……川ピープルを釣りに……そう、君たちに会いたがるだろう……呼んでこよう。待っていなさい」

ハニー「それなら、私たち――」

ラブグッド「いいから!座っているんだ!!!待っていなさい!!いいな!!!」

ハニー「――そうしてあげるけれど」

ガチャッ

バタンッ

ロン「……なんだあの腰抜け。ルーナの方がよっぽど肝が据わってるぜ」

ハーマイオニー「本当、偽善もいいところだわ。みんなにはハニーの味方をしろと言っておいて、あんなのって!」

ハニー「……少なくとも、前に会った時はあんなふうでは、なかったわ……」

ハニー「考え方が変わってしまったのかしら……十分、理解できるけれど。今、私の味方をするのは……」

ロン「それは最高に賢い奴だ、ってことさ。だろ?」

ハーマイオニー「違いないわ。ハニー、あなたまで思いつめるようならそこの素敵な髪飾りを押し付けるわよ」

ハニー「……ありがとう。髪飾り?……このヘンテコな部屋にマッチしていて気づかなかったけれど、ずいぶんと大きい石像ね。厳格そうな顔の、女の人……その頭に……」

ロン「飛び出たラッパに、青い羽、極めつけにカブがたっくさん。ぐっとくるぜ。ルーナが結婚式にこれをつけてこなかったのが謎だね」

ハーマイオニー「自分のときのためにとっているんじゃないかしら……」

ガタガタッ

バタンッ

ラブグッド「……おや、私のお気に入りの発明を見つけたようだね。さぁ、お茶をどうぞ……長く、ゆっくりしていきなさい。少しでも長くね……」

ハニー「ありがとう……ルーナは?」

ラブグッド「今にくるさ、熱中していてね……その髪飾りは、史実に残るロウェナ・レイブンクローの髪飾りを忠実に再現した代物だ。『計り知れぬ英知こそ、われらが最大の宝なり』とね」

ロン「ふーん。天才と奇人は紙一重ってこのことだよな」

ハニー「……レイブンクローの……髪飾り」

ラブグッド「おほん。さぁ、ガーディルートティーを飲みなさい。リラックスできる、あぁ、どんどん飲みなさい……さぁ、ミス・ポッター……私に、何ができるのかね」

ハーマイオニー「……突然、協力的になりましたね、ラブグッドさん」

ラブグッド「あぁ、お嬢さん、あなたに言われて目が覚めたのさ、あぁ……私から率先せねば、と……さぁ?」

ハニー「えぇ……あなたがビルとフラーの結婚式のときに首からかけていた印のことを聞きたいの」

ラブグッド「『死の秘宝』の印のことかね?」

ハニー「……そう、そのお話と関係が」

ラブグッド「いやいや、いや。あの印は、『秘宝』そのものを表している……ビードルの物語はどこにあったかな……あぁ、今朝方食べてしまったか……しまった」

ロン「冗談きついぜ…………おいおい真顔はやめろよおっさん」

ハーマイオニー「かつてヤギってたあなたが言うの、それ」

ラブグッド「ふむ……これは、原本かな?」

ハーマイオニー「えぇ。ダンブルドアが遺してくださいました……『吟遊詩人ビードルの物語』」

ハニー「ハーマイオニーが持っていてよかったわ。ねぇ、ロン?ハーマイオニーって素敵ね」

ロン「ほんとほんと。よっ、歩く図書館!」

ハーマイオニー「まったくほめられた気分しないわ黙って」

ラブグッド「あの印は、この中に収められている物語に登場する『秘宝』を象ったものだ……同じくそれを探求し、信望している者にそれと伝えるように」

ハニー「……信じる?」

ロン「探求もなにも、それってお話に出てくる例の三つのあれのことだろう?信じるもなにも……あぁ、またそういう奴かぁ」

ハーマイオニー「ラブグッドさん、私たちはまじめに……」

ラブグッド「いつもそうやって理解はされない……どうしてわたしたちだって大真面目にそれを語っていると思えないのか……だからこそ我々は公には語らず、このシンボルを身に着けることで同士に仲間であることを示しているのだ」

ハニー「……物語、だけじゃない……?」

ラブグッド「そう。まずは、話を理解しなくては……お嬢さん、声に出して読んでくださるかな?」

ハーマイオニー「えっ、はい……オホン」

ロン「がんばれよハーマイオニー、グルフィンドールに得点のチャンスだぜ」

ラブグッド「あぁ……ゆっくりはっきり丁寧に、時間をものすごくかけてもらえれば……百点くらい加算しましょう、は、ハハ……」

ハーマイオニー「『昔むかし。三人の兄弟が曲がりくねった道を、夕暮れ時に旅していました――』」

ロン「夕暮れ時?真夜中だろ?ママが僕たちに話して聞かせるときはいつも――」

ハーマイオニー「……」

ロン「まぁ数時間経ちゃ同じことだよな続けて!ロナルド黙ってきいておくよ!」

ハーマイオニー「そうして頂戴――『やがて三人は、歩いて渡れないほど深く、泳げないほど流れが速い川にたどり着きました』」

ハニー「そういえば、ルーナは遅いわね……どこの川まで行っているの?」

ラブグッド「すぐそこさ……しかし、大量でね。時間がかかるかもしれな。つづけて、ゆっくりと」

ハーマイオニー「『しかし三人は魔法を学んでいたので、杖の一振りで見事な橋をかけました。橋を半分ほど渡ったところで、三人は、フードをかぶった何者かが行く手をふさいでいることに気がつきました』」

ハーマイオニー「『それは 「死」 でした』」

ロン「ママはそこは『死を司るお前たちが悪さをするとやってくるこわーいオバケ』って……」

ハーマイオニー「ロン、黙って」

ハニー「『死』そのものが意思を持って存在してる、ってことよね……御伽噺とは言え不思議だわ」

ロン「ハニーを思う豚の思念が僕を強化する、的な不思議パワーだね、うん」

ハーマイオニー「魔法を返して……『「死」はこれまでなんどもその川で旅人を獲物にしていました。三人にまんまとしてやられた「死」は怒っていました。しかし、「死」は狡猾でした』」

ハーマイオニー「『「死」は三人の魔法を誉めるふりをしました。そして、見事自分から逃れた三人に、それぞれ褒美をあげようと持ちかけたのです』」

ハーマイオニー「『一番上の兄は戦闘好きでしたから、「最強の杖」を欲しました。所有者に確実な勝利を、存在するどの杖よりも強い杖を』と」

ハニー「……人さらいの杖を使ってる私にも一時的にそれが必要ね」

ロン「ハーマイオニーが壊しっちまったからね、ハーマイオニーが。不可抗力だけど」

ハーマイオニー「……『「死」は川べりのニワトコの枝を折り、一番上の兄に与えました』」

ハーマイオニー「『一番上の兄は言いました「力が、力がみなぎる……!はは、ハハハハハハハハ!!俺は最強だ!!俺はもう、誰にも負けたりしない(キリッ」』」

ロン「あ、こいつ一番最初に死ぬな、って子供ながらにわかったよなぁ」

ハーマイオニー「『二番目の兄は傲慢でしたから、「死」をもっと辱めてやりたいと思いました』」

ロン「フレッド、ジョージの改訂版だとここで『死』が女の子になるんだよ」

ハニー「?」

ロン「あ、ごめん、君には縁がなかった。ハーマイオニーが怖いから黙るね、うん。もちのロンで」

ハーマイオニー「そうしなさい――『人々を「死」から呼び戻す力を、二番目の兄は要求しました』」

ハーマイオニー「『「死」は川岸からひとつの石を拾い、二番目の兄に与えこういいました。「この石は、死者を呼び戻す力をもつだろう お前が欲に溺れぬかぎり」』」

ハニー「……呼び戻す……何か落とし穴があるんでしょうけれど」

ロン「もちの僕さ」

ハーマイオニー「『最後に「死」は一番下の弟に聞きました。彼は三人の中で一番謙虚で、そして一番賢い人でした』」

ロン「末っ子だからね、当然さ……あ、末っ子はジニーか……マーリンの髭!」

ハーマイオニー「『彼は「死」を信用しませんでした。そして、彼は「この場から『死』に跡をつけられず先に進み、そして見つけられなくなる道具が欲しい」といいました。「死」は悔しがりながら、自分の「透明マント」を差し出しました』」

ハニー「……「死」が透明マントを持ってたの?」

ロン「こっそり忍び寄るためさ。なにせ両手広げて大声あげて襲い掛かられる展開は、子供たちは飽きっちゃうから。君なら何度でも夜中トイレ行けなくなるだろうけd痛い!!ありがとう!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「『三人は「死」からの贈り物に感嘆と、この不思議な体験に驚きながら川を後にしました』」

ハーマイオニー「『やがて三人は分かれて、それぞれの目的地へと向かいます』」

ハーマイオニー「『一番上の兄は言いました「今度会うときは、俺は最強の魔法使いになっている……そして村のあの子と、結婚するんだ」』」

ロン「だめだこりゃ」

ハーマイオニー「『二番目の兄も言いました「わたしはこれを使い 世界を 我が手に」』」

ロン「厨二なだけだったんだなぁ。こいつもだめだ」

ハニー「誰かを彷彿とさせるわ」

ハーマイオニー「『三番目の弟も言いました「……さよなら、兄さんたち」』」

ロン「悟ってるなぁ」

ハーマイオニー「『一番目の兄は一週間ほど旅して、数多の決闘を制しました。ニワトコの杖は間違いなく最強でした。いい気になった兄は旅籠で、「死」から譲り受けたこの杖のことを大声で自慢しました』」

ハーマイオニー「『その夜、酒に酔いつぶれ寝ていた兄は喉を掻き切られ、杖は盗人の手に渡りました』」

ロン「言わんこっちゃない」

ハーマイオニー「『こうして「死」は一番目の兄を自分のものにしました』」

ハーマイオニー「『二番目の兄は旅を終え、一人暮らしの自分の家に戻りました』」

ハーマイオニー「『そこで「死」からもらった石を三度、手の中で回すと――若い頃に死んでしまった、結婚を夢見ていた女性が現れました』」

ハーマイオニー「『二番目の兄は喜びましたが、すぐに絶望しました。現れた彼女はいつまでも悲しみにくれ、彼に冷たくあたったのです』」

ハーマイオニー「『もはやこの世界と彼女はベールで仕切られたもののように馴染むことができず、苦しみ、彼を責めました。「どうして私を死なせていてくれなかったの?」』」

ハーマイオニー「『二番目の兄は悟りました。彼女と自分が共に生きるには、自らが死ぬべきなのだと』」

ハーマイオニー「『こうして「死」は二番目の兄も自分のものにしました』」

ハニー「……会えるだけでも幸福なのに、手に入れようだなんて、おこがましいわ」

ハーマイオニー「『三番目の弟は、しかし、「死」が何年探しても見つけることはできませんでした』」

ハーマイオニー「『とても高齢になったとき、彼はついに「透明マント」を脱ぎ、息子にそれを与えました。そして「死」を古い友人として招き入れ、喜んで共に行き、幸せにこの世を去りましたとさ』」

ハーマイオニー「……おしまい」

ハニー「……これが?この三つが?」

ラブグッド「そう、三兄弟が『死』から与えられた『死の秘宝』……私たちは石を丸、マントを三角、そして杖を縦の線として……このマークを掲げているのです」

ロン「でも、わかんないなぁ。やっぱり、これは御伽噺のただの道具じゃないか。それが、どうして……」

ラブグッド「たとえば君は、『バビティ兎ちゃんとペチャクチャ切り株』がすべてが本当の話ではないとわかっているね?」

ロン「そりゃそうさ、ウサギに変身した魔女がペラペラ人の言葉しゃべるはずないもんな」

ハニー「その線引きはいまいちわからないけれど……」

ラブグッド「そう、そのとおりだ。しかし、元となった逸話が確かに存在する。ビードルの物語はすべて、そうだ。そしてそれを知っている者だけが、『死の秘宝』が実在する可能性を追い求めることができる……三つ集めれば死を制するという、『秘宝』を」

ハニー「……どこかのプレティーン思想が食いついてないのが不思議ね」

ハーマイオニー「『ウサギ』の話は、魔女がマグルを懲らしめる逸話が少し歪曲して伝わったんだ、って理解できます。でも、でも……秘宝?最強の杖に、死を呼び戻す石……どうしてそんなものが信じられるんですか?」

ラブグッド「……君のことは娘からよく聞いているよ。知性がないわけでないが、気の毒なほどに想像力が限られている、そうお見受けするね」

ハーマイオニー「」

ロン「ぷっ、っく……なぁ、ハーマイオニー、いいもんがあるぜ……あの髪飾り借りてみなよ?」

ハニー「ロン、茶化さないの」

ハーマイオニー「『透明マント』が存在しているのは知っています。けど……」

ラブグッド「あぁ、あぁ!市販のそれとはまったく異なるとも!三番目の秘宝は『本物の透明マント』なのだ!わからんかね」

ハニー「本物……?」

ラブグッド「たとえば確かに、『目くらまし術』をしっかりしみこませた布や、『眩惑の呪い』を施した品、デミガイズの毛を織り込んだ『透明マント』は確かに存在する!」

ラブグッド「だが、知ってのとおり……これらはすべて、数年経てば効果が激減する。半透明で、せいぜいが目隠し程度にしかならない」

ハニー「えっ?」

ロン「へ?」

ハーマイオニー「…………え」

ラブグッド「本物のマントは永久に効果がそのままに、完璧に姿を隠す。ミス・グレンジャー?そんなマントをこれまで見たことがあるのかね?」

ハーマイオニー「……あー……えーっと……え?……え?」

ロン「……ハニー、あれって何年使ってるっけ」

ハニー「丸六年……それに、パパたちも学生時代から……」

ラブグッド「そう、そうとも。ありえないことだ。軽々しく『透明マント』を知っているとは口にしないでいただきたいですな、えぇ」

ハーマイオニー「『マント』が存在してると言いたいんだがかありえないと言いたいんだが……えぇ、でも、はい。マントは、あー、実在するとして……いいえ、実在します、確かに」

ラブグッド「急に物分りがよくなってうれしい限り……もうそろそろ着くルーナも喜ぶでしょう」

ハーマイオニー「それじゃ、それじゃ、『石』はどうなるんです!?」

ラブグッド「『蘇りの石』が、どうなるとは?」

ハーマイオニー「この石の存在は現実だと、どう証明されるんですか、と……」

ラブグッド「そうでないと証明してごらん、話はそれからだ」

ハーマイオニー「…………ロン、ちょっとハーマイ持ってて」

ロン「気持ちはわかる、わかるぜハーマイオニーさん抑えて抑えていやうんこのドヤ顔は確かに腹立つけどさ!!」

ハーマイオニー「愚の骨頂だわ!!存在を証明する唯一の手段が、その存在を否定できないってだけだって!それなら、なんだって実在すると言えるじゃないですか!?」

ラブグッド「あなたの想像力が開花したようでうれしい限り」

ハーマイオニー「~~~~っ!頭にきた!!この世の石ころ全てチェックして!それなら納得されるというのね!!」

ハニー「落ち着いて、ハーマイオニー……それなら、ラブグッドさん。『ニワトコの杖』は?これも、想像の……」

ラブグッド「いいや、いや、これには歴史的な証拠がいくつもある。『最強の杖』はいつだって血塗られた道に添えられてきた。なにせ、その所有権は『奪う』ことで移るのだから」

ハニー「……奪う?」

ラブグッド「相手を打ち負かす、とも。魔法史に残る高名な魔法使い、邪悪な名を残す魔法使いの死には、名前を変えてたしかにこの杖の存在が伺える。あぁ、この杖は確かに存在していると胸をはって言える」

ハーマイオニー「『死』からもらった最強の杖!?御伽噺もいいところで――」

ラブグッド「だから『死』の存在は御伽噺的に作られただけのことで実際はそういう杖を有名な三兄弟の長男が作ったんだとかいくらでも想像できるだろうがバカか君は」

ハーマイオニー「」

ロン「あ、ハーマイが飛んでった!夕焼けがきれいだなぁ!!!!わー!」

ラブグッド「ごふっ、ごほっ、に、『ニワトコの杖』が今、どこにあるや。歴史的にはロクシアスを打ち負かしたアーカスとリビウスのどちらかということになっている。いや、それともまったく別の誰かに……あぁ、ロマンだなぁ」

ロン「結局この一言なんだろうなこういうのが熱中しちまうのって……そっちは収まったかい、ハニー」

ハニー「えぇ、もう借りてきたネコみたいにおとなしいわよ」

ハーマイオニー「フーッ、フーッ、なん、なんで、こんな展開に、フーッ」

ロン「違う方向で息荒げてらつづけてよどうぞ」

ハーマイオニー「ごめんよこれ以上脱線は……ラブグッドさん、最後にひとつだけ」

ラブグッド「なんです、想像力欠乏症さん……?」

ロン「お、おいやめとけよ最後の質問が最期の質問になっちまうだろ」

ハーマイオニー「イグノタスという人は、『秘宝』に何かかかわっているのですか?」

ラブグッド「! なんと……お嬢さん、いや、ミス・グレンジャー……数々の無礼を許してください……あなたも、『死の秘宝』を追い求める人材だったとは……まさかその名前までたどり着いているなんて」

ロン「イグノタスって誰だい?」

ハニー「私のパパとママのお墓の近くにあったのよ、その人のお墓も」

ラブグッド「そう、イグノタス・ペベレル!彼の墓に刻まれた印こそ、この『秘宝』の存在をゆるぎないものとする確かな証拠!物語の三兄弟とは、すなわち、はるか昔のゴドリックの谷に実在した非常に優秀な魔法使い、アンチオク、カドマス、イグノタス・ペベレルだといわれている!!」

ハーマイオニー「……三人兄弟なんてほかにいくらでも……」

ラブグッド「なんと、なんと、こんなに話がはずむとはね、あぁ!もっと続けたいのですが、きっと……そろそろ……?」

ハニー「なぁに?あぁ、ルーナが戻るのかしら……そういえば遅いわね、もう日も落ちるのに」

ラブグッド「えぇ、えぇ、そうでしょう……夕食の準備をしてこよう。食べていってくれるだろうね?待っているんだ、頼むよ……?」

ガタッ、 バタバタバタバタッ

ハニー「……どう思う?」

ハーマイオニー「ばかばかしい、時間を無駄にした、誰が堅物よ誰が、の一言ね」

ロン「ほんと、おったまげだよな。よくある御伽噺にあそこまで……『君子危うきに近寄らず、喧嘩はするな、眠れるドラゴンを起こすな、目立つな、余計なことをするな、それで万事オッケー』それだけさ。あ、全く守れてないや。ごめんよママ」

ロン「教訓って言えば、『ニワトコの杖、永久に不幸』とかそういう迷信からも妄想してるのかもな、連中は」

ハーマイオニー「なんのこと?」

ロン「おいおい、僕が知ってて君が知らないなんて冗談はよせよ歩く図書館」

ハーマイオニー「それうまいこと言えていないわってば……だから、なんの?」

ロン「迷信だよ、迷信。『朝に呪えば、夕べには解ける』とか『真夏生まれの魔女はマグルと結婚する』とかね。あ、最後のはおおはずれになるなぁ身近なところだと」

ハーマイオニー「一等星さんはマグルではないものね」

ハニー「一生かけて教えてもらえるといいわねハーマイオニー。そうしなさい、ロン」

ハーマイオニー「な、なにいtt――」

ロン「ママに任せるよそういうのは。それでさぁ、『秘宝』のことだけど。どれを手に入れるべきかなんて明白だよな、教訓にもならないよ」

ハーマイオニー「そうね、単純だわ……この中で、一番すばらしいのは」

ハニー「違いないわ、えぇ……『石』だわ」

ハーマイオニー「『マント』よね」

ロン「ハニ、じゃなかった、ハー、違う。『杖』だよなぁ」

ハニー「……え?」

ハーマイオニー「……」

ロン「……マーリンの髭」

ハニー「ロン、二番目に何を言おうとして――」

ロン「ハニー、そこ流していいとこだよ頼むから」

ハーマイオニー「二人とも、話をちゃんと聞いていた?あの流れでどうして『マント』以外を選べるの?」

ハニー「だって、もう持っているもの。違う?それなら私……わたしは、姿を見るだけでいいから、少しだけ、パパとママに会いたいわ」

ハーマイオニー「それは、えぇ、そうだけど……そう、そのことよ。やっぱりハニーのあの、マントは……?」

ロン「奴さんの言う伝説の代物そっくりそのままだよなぁ……やっぱりハニーが伝説的だから、集まるものもそうなるんだ、仕方ない」

ハニー「高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的で模範的だものね、仕方ないわ」

ハーマイオニー「そうなると思ったわ、仕方ない……そこだけは認めましょう、えぇ。あと、『ニワトコの杖』っていう存在が歴史に度々登場してる、というところもね……悔しいけど」

ロン「へぇ?」

ハーマイオニー「『死の杖』だの『宿命の杖』だの、形はさまざまにね。ビンズ先生の授業を聞いていたの?」

ロン「誰だっけそれ」

ハーマイオニー「本当、ホグワーツに謝りなさいよあなた……けど、それらが全てこの物語の杖だなんて思えないわ。ロンの言ったとおり、魔法使いの迷信が言い伝えになって、闇の魔法使いがニワトコを好んで杖材にしているだけのことよ、きっと」

ハニー「……『石』は、何か他に似たような話しはあるの?」

ハーマイオニー「……いいえ。でも、そうね……ひょっとしたら、『賢者の石』をモデルにしたんじゃないかしら?不老不死の石と、死を逆戻しにする石。似ているって……」

ロン「ちょっと強引じゃないか?他の二つに比べてさぁ。想像力だよ想像力」

ハーマイオニー「……」

ロン「……わ、悪かったよ、ほら、す、少しでも思考の手助けを、と……ま、マーリン、髭……」

ハニー「ロンのことは任せるわよ、ハーマイオニー……ルーナ、遅いわね……あら」

ハニー「……上の階……あそこにかかってるのは……カブの、イヤリング」

ハニー「ルーナの部屋、かしら……?」

ハニー「……」

ハニー「……下からも、少し見えていた、けれど」

ハニー「すごいわ……ルーナ……今度、教えてもらわなきゃ」

ハニー「天井のこの、絵……わたし……それに」

ハニー「ロン……ハーマイオニー……ジニー、ネビル……それに、ルーナ」

ハニー「ホグワーツの絵みたいに、動くわけじゃないのに……凄くひきつけられる、素敵な絵だわ……周りを、金色の鎖の縁で囲んで……」

ハニー「……この、鎖……『ともだち』って、文字をつなげて……っ」

ハニー「えぇ、ルーナ……わたし、わたしたち、大事な、お友達だわ」

ハニー「早く、会いたいわね。本当、どれだけ釣って……」

ハニー「……」

ハニー「……おかしいわ。うぬぼれるつもりはない、けれど……私たちが来たって伝わってから……どれだけ経っているの?」

ハニー「それに、この部屋……ルーナは、冬休暇で戻っている、のよね……?」

ハニー「……お母様と、小さいルーナの写った写真……ルーナが尊敬していた、お母様の大事な写真」

ハニー「……埃、かぶってる」

ハニー「写真だけじゃない……カーペットも……洋箪笥、上着の一枚もかかってないわ……ベッドも、何週間も人が寝た形跡が……ない」

ハニー「ルーナは……ルーナは……?」


ハーマイオニー「ハニー、ラブグッドさんがいないのにあまり家捜ししてはだめよ!ハニー?」

ラブグッド「る、ルーナの部屋に面白いものでもあったかね?は、ハハハ、そう、あの子はとても、そうさ……」

ハニー「……ラブグッドさん。えぇ……そうだわ……その夕飯のお盆も、だけれど」

ハニー「……ルーナがもうすぐ戻るはず、あなたはそう、何度も言っていたわね?」

ラブグッド「そ、そうとも……もう、もう、すぐで……」

ハニー「……」

ハニー「それじゃ、どうして四人分しかないのかしら」

ラブグッド「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……ルーナはどこ、ラブグッドさん」

ラブグッド「……」

ロン「変な気起こすなよ、僕らはもう杖抜いてるぞ」

ハニー「手荒なことをするつもりはないの。答えて。ルーナは何週間も、どこにいるの?」

ラブグッド「……」

バサッ

ハーマイオニー「……ハニー、これを見て……印刷されていた、発行寸前の『ザ・クィブラー』よ」

ハニー「……『問題分子ナンバーワン、ハニー・ポッター』そう……方針を変えた、そういうわけ?ルーナを呼びに行くといって……庭からふくろうを魔法省に飛ばしたのね?それで、何度も外をチラチラと……」

ラブグッド「……ルーナが連れ去られた」

ハニー「……連、れ……?」

ラブグッド「私のせいだ……私のせいだ……!あの記事のせいで、あいつらは私のルーナを連れて行ったんだ……こうするしかなかったんだ……今、どこで何をしているのかも、分からない……ルーナを、返してもらう、には……」

ハーマイオニー「っ、ハニーを、引き渡そうとしたのね」

ロン「そうはいくか。どけよ、僕たちはここを出て行く」

ラブグッド「だめだ、だめ、だめだ!もう連中には伝えてしまった、ハニー・ポッターがここにいると!連中がここに来て、ハニーがいなかったら!今度こそ、ルーナはどうなってしまう?私のルーナはどうなってしまう!?私が連中に反抗したばかりかうそをついたと思われたら、ルーナは、ルーナは……!!!」

ハニー「……」

ラブグッド「許して、許してくれ……私は魔法界より……私のルーナの方が惜しい……たった一人の、娘なんだ……ルーナは……ルーナだけは」

ハニー「……」

ロン「……ハニー、君のママと同一視してまんまと許すなんてこと、しちゃいけないぜ。全く違うよ、事情がさ」

ハニー「……えぇ、そうね。私はここで、つかまるわけにはいかない……けれど」

ハーマイオニー「……ラブグッドさんの言うとおりよ。このまま私たちが去ってしまえば……怒った連中は……ラブグッドさん。確かに連中は、もうすぐに、来るのね?」

ラブグッド「あぁ、ま、まもなくだ……私が前に、スノーカックの角を差し上げるから娘を返して欲しいと手紙を出したときは、ちょうど、今くらいの……」

ロン「それもハーマイオニーいわくパチ物なわけだけどさ」

ハーマイオニー「……エルンペントの角……この塔の構造……ねぇ、ハニー」

ハニー「なぁに?愛の告白?」

ハーマイオニー「とっくにしてるでしょされてるでしょ……私を、信じてくれる?」

ハニー「いつだって」

ロン「やっちまえ、ハーマイオニー。なんならハーマイ預かるぜ」

ハーマイオニー「……よし、やるわまずは……ラブグッドさん?」

ラブグッド「ひ、ひぇ……?」



ハーマイオニー「『オブリビエイト、忘れよ』」








バサバサッ、バサバサッ!

「トラバース!このいかれポンチのためにどうして俺たちがこんなところまで飛んでくる必要があったんだ!?え!?」

トラバース「うるさいぞ、セルウィン!聞き逃すわけにいかないだろうが!『ハニー・ポッターがここにいる!娘と交換してくれ!』なんて!」

セルウィン「それがいかれた戯言だって言ってんだ!!」

死喰い人「げっへっへ、いいじゃねぇか、もし嘘だったとしたら、ようやくあのかわいいこちゃんをげっへっへする口実が――」

セルウィン「誰だよこの変態まで呼んだの!!!!おい!!!ゼノフィリウス!!!ゼノフィリウス・ラブグッド!!!」

ガチャッ!

ラブグッド「あぁ、あぁ――やっときてくださった!ハニー・ポッターです!!ハニー・ポッターが、あの中に!!上の階に……!!!」

セルウィン「お前の戯言は聞き飽きたんだよ!!!おい!!俺たちを呼ぶのは確かな情報を手に入れた時にしろ、そう言ったな!?!?あのくだらないいもしない生き物のことでなく、そう言ったな!?!?」

ラブグッド「はい、はい、それで、今度は、本当です、本当なんです、やっときてくださった、ハニー・ポッターがあの中に、上の階に……!」

トラバース「……嘘を言っているようには見えないな。おい、入るぞ。確かに、ポッターはいるんだろうな?」

ラブグッド「はい、はい……上の階に……ハニー・ポッターがあの中に……!」

セルウィン「けっ、老いぼれが!おい、行くぞ!」

バーーーーン!!パラパラッ

セルウィン「きったねぇキッチンだ!上だな?あ?」

トラバース「あぁ、そう言っていた」

死喰い人「げっへへへ、じいさん、あんたは庭のあっちにでも行ってろ。俺たちゃポッターを見つけたらおっつかまる前にげっへっへするつもりなんだからよお」

セルウィン「お前と一緒にするな!!!あがるぞ!!」

ドタドタドタドタドタ!!

ラブグッド「ハニー・ポッターが、ハニー・ポッターが、上の階に……あぁ、ようやく来てくれた……よかった……ハニー・ポッター……ハニー・ポッターの角が……上の、階に」ブツブツブツブツブツ

ハニー「……ハァイ、豚以下のプレティーン集団さん。やっぱり、あなたたちね」

セルウィン「!はっはぁーー!本当にいやがった!!!ポッターだ!それに、穢れた血もいるぜ!!!」

「んだとこの……!」

ハーマイオニー「抑えて……ら、ラブグッドはどこにいったの!あの人、私たちを裏切ったっていうの!?」

トラバース「奴に助けを求めにきたのか。滑稽だな、観念しろよ……ん?一番ノリノリだったあの変態はどこ行った?」

セルウィン「知るか!取り分が増えて万々歳だぜ!おい!杖を下ろせ、そうすりゃ痛い目には少しだけで勘弁してやる!」

ハニー「えぇ、そうしてあげる……その前に……交渉しない?」

セルウィン「あぁ?」

ハニー「私たちを見逃して欲しい、と言っているの」

トラバース「……何をバカな」

ハーマイオニー「も、もちろん、代価ならあるわ!その……そこにおいてある、角!それは本当に、本当に希少な物なのよ!嘘じゃないわ!!」

セルウィン「はぁー?その程度のもので闇の帝王にお前たちを差し出す名誉を見過ごすと思ってんのか?それに、こいつはよ」

トラバース「……先日、ゼノフィリウスがわれわれに見せたものと同じもののようだな」

ハーマイオニー「あ、あぁ……ま、待って、見て頂戴!手にとって、じっくり見て!本物なの!それ、それは……!!」

セルウィン「大人を舐めんじゃねぇぞ小娘が浅知恵こねくりまわしやがって……本物だぁ?こんなのはなぁ!」

ガシッ!!

セルウィン「地面にたたきつけて、こうd――」

カッ!!!!!!

セルウィン「へ――?」

トラバース「なn――」

ハーマイオニー「つかまって、ハニー!!ロン!!!!!!」

ハニー「えぇ!愛してる!ハーマイオニー!」

ロン「君って最高だぜ!!もちのロンで!!!」

グルンッ……

ボガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!!!

バキバキバキバキバキバキッ!!!!


死喰い人「あーあ、あぁ。あの角、Bクラスのえれぇ代物だったってぇのによお。もったいないことしたなぁ」

死喰い人「しっかしバカどもで助かった。裏の組織ってぇのはよお、末端はろくに顔も覚えられてねぇから現場で滑り込むのも楽だよなぁ」

死喰い人「さーて、連中からくすねたガリオンで今日も今日とて一儲け!あぶく銭は使うに限る!魔法界の平和より明日のおまんま!」

死喰い人?「ヒン、ヒン!」



ドサッ

ロン「幸せな重み! まったくさえてるぜ、ハーマイオニー……連中、とびっきり痛い目にあってるといいけどな」

ハーマイオニー「あ、ありがとう……ただじゃすまないと思うわ。エルンペントの角は、本当に危険なんだもの。だから本物だって言ったのよ、えぇ」

ハニー「あれでラブグッドさんが、無事に済むといいけれど」

ハーマイオニー「大丈夫、のはずよ。私たちはあの人に会ったけど、騙しおおせたまま、あの人たちが到着したことになっているもの……ラブグッドさんの記憶ではね」

ロン「おまけに僕らが何のことを聞いてたのかってところまで忘却させっちまうんだもんな。君は天才だ、大天才だよハーマイオニー、いや最近のおべっかじゃなく本当に」

ハーマイオニー「ありがとうってばもうやめて顔から火が……でも、もしも『あの人』に直接記憶を探られたら……」

ハニー「……それはきっと、大丈夫……あの二人はあいつに嘘の報告なんてできないもの。そうするとあいつは、二人を罰することしか頭にないわ」

ハーマイオニー「そう、それなら……心配なのは、ルーナだけね」

ロン「……ルーナは、タフだ。僕らが思ってるよりずっと。あぁ、監獄でもナーグルだとか、そんなもののことを考えてるよ、たぶん」

ハーマイオニー「だと、いいけど……あぁ、あそこに行きたいだなんて行ってごめんなさい!ゴドリックの谷の二の舞だったわ!手に入れたのが、くだらない御伽噺の情報だなんて!」

ハニー「それでも随分、収穫だと思うわよ?『死の秘宝』それに……ペベレル……イグノタス以外で、どこかで……」

ロン「何はともあれさ、紅茶でも淹れようよ。ラブグッドの淹れたお茶、一口でも飲んだかい?ひっどい味だった。ルーナがぶっとんでるのはあの親父のせいも多分にあるよな、もちのロンで」

今日のところはここまで
続きは来週土曜
じゃあの!

http://www59.atwiki.jp/kagosimakuuuuun/pages/33.html
あなたは○○人目の一方通行の友達ですwwwwwwwwwwwwwwwwヒィーーーーーwwwwwwwwwwwwwwwwwwキモキモキモキモキモキモwwwwwwwwwwwwwwwwww

7 : 鹿児島くン ◆q96FT5l1ZULn - 2011/08/18 17:12:54.19 IqP5tvMb0 2/221
みなさまどうもです

前スレ 一方通行「赤裸々日記…・・・ふざけてンだろ」芳川「いたってまじめに二冊目よ」

前々スレ 一方通行「一方通行・赤裸々日記……ふざけてンのか」芳川「いたってまじめよ」

前々々スレ 芳川「みつけてきなさい、私が言ったことの答え」一方通行「……おォ」

前々々々スレ 一方通行「一方一家・初夏の旅行計画・ふざけてンのか」芳川「いたってまじめよ」
一方通行「一方一家・初夏の旅行計画……ふざけてンのか」芳川「いたってまじめよ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1307/13076/1307611357.html)

前々々々々スレ 一方通行「新訳・絶対能力進化計画……ふざけてンのか」芳川「いたってまじめよ」
一方通行「新訳・絶対能力進化計画……ふざけてンのか」芳川「いたってまじめよ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1306/13065/1306515187.html)


一方通行が必死の思いでこさえた1万人の親友、築いてきたフラグたち、そしてついにたどり着いたたった一人の想い人との恋愛戦線の物語です

ねーちんおめでとう!!でも先はまだまだ長いぞ!!

地の文は無し台詞型式です

今回より安価は仕込めません。これでこれ以上残念な琴になる人が……いないといいなぁ

途中レスはどうぞお好きに。一方通行と突っ込んであげてください



果たして一方通行はハッピーエンドを手に入れることが出来るのでしょうか

ねーちんは、そしてななちゃんは

淹れ立てコーヒーをお持ちになってご覧ください


それでは、テンションごった煮なキャストでお送りする

ハートフルドタバタカオスコメディ

最終幕がいよいよ上がります


最後まで、どうぞよしなに


寒すぎて鳥肌不可避wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
どんな顔してこんなん書いてたの?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
つーか鹿児島ちゃンは一方通行を何だと思ってた訳?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
イタイSSのコピペスレに貼っといたよ★

無駄無駄★
未だに御咎め無しのボクチン♪

お前こーゆーのと同レベルよ?


作者「おはつおめにかかります」

作者「このたびFate/zeroのSSを書かせていただこうと思いスレを立てた作者です」

セイバー「このスレタイだけではではStaynightかZeroか判断できませんね」

作者「はい。それを説明したかったのがご挨拶の本当の目的だったり…」

パァン

作者「はうっ!?」バタッ

切嗣「目標の殲滅に成功…」

セイバー「いったい何が!?まさかアサシンのサーヴァント!?」

作者「いや…魔術師の戦いに銃なんて…切嗣かな…」

作者「でも切嗣に殺されるなら本望かも(´∀`*)」

セイバー「何を言っているんですか…」

作者「だって好きなんだもん!!」

作者「う、それはそうと…次のレスからSSが始まります…どうかお楽しみいただければ幸いです…」パタリ

セイバー「マスター!!」スゥ(消滅)

男「まずこのssにて注意していただきたいことが」

1、>>1はss初心者。「いくらなんでもこれはないわ」とか「キモ過ぎる」
とか思った人はブラウザの戻るを押してください。
2、メタ発言があります。ご容赦ください。
3、更新が遅くなります。

男「まあこんぐらいか。あとは…まぁキャラの設定としては>>1の知り合いなどが使われている。
  ちなみに主人公の設定はほとんど作者だ。」

男「次から口調かわる」

男「じゃぁ温かい目で見てやってください。はじまりはじまりー」

…さて、この物語にはまだ続きがあります。
主人公は誰ですかって?

それはこのSSを読み切ったあなた方1人1人です

今の世の中、たくさん辛いこともある。たくさん嫌なこともある。もう誰も信じられない、信じたくない。そう思っている人がたくさんいるでしょう。

私もかつてその1人でした。でもこのSSの「男」のように(というかモデルは作者自身だったり…)懸命に生きて、今では細々とですが暮らしています。

開けない夜は、ありません。

これが、このSSで伝えたかったことの全てです。

最後の最後に、登場人物たちからのメッセージをお聞き下さい。

男「おう!まあなにやら辛いこともあるが、生きてみようぜ!開けない夜は、ないってな!」

作者「ちょっ、俺のパクったな!」

女「やれやれね、この二人は…クスッ」

友「見てくれて、ありがとな!お前らも頑張れよ!…イテッ!」

作者「(友の頭をはたきながら)読者様にお前らとか言うな!失礼だろが!」

まあなにはともあれ…

全員「読んでくれてありがとう!」

ありがとうございました!(続編をもしかしたら投下するかも…ゴホンゴホン)

396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/10/07(金) 02:15:48.07 ID:P/bO3VYOo

新章は近々始めますが、それにあたって作者からお願いがあります。
といっても、単に「作品の連載中、読んでる人は随時コメントをして欲しい」という、それだけです。
連載が終わってから纏めて、とかではなくて、“連載中に”コメントが欲しいのです。

ここでもmixiのコミュニティでも再三言ってることですが、私はSSの作者として、
「SSとは読者とのインタラクションの中で作っていくものである」というポリシーを持っています。
つまり、読者からの声がなく、作者が淡々と書いて投下しているだけという状況では、全く意味がないということです。
それなら「書かない方がマシ」といっても大袈裟ではありません。

特にこの都道府県SSは、本来3年前に終わっている作品を、需要があると言われて新たに書き続けているものです。
投下しても1件2件しかコメントが付かないのでは、その「需要」があるのか否かさえ曖昧になります。

全ての読者にレスを求めるのは酷な事だと思いますが、出来る限り「ROM専」というのはやめて下さい。
少なくとも、一夜投下する度に10~20件くらいのレスは付いてほしいです。
この数字は、私の考える、SSが正常に連載の体裁を保てる最低限度のレス数です。

連載を続けるにあたり、そのことだけは、皆さんにお願いします。


397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/10/08(土) 11:45:51.88 ID:zR80sq/vo

で、無視……と。

このスレで連載する必要はもうなさそうですね。
以後はmixiとサイトだけでやっていきます。

同じ書き手としてこーゆーのどうよ?どう思うの?^^

それじゃあまた遊びに来るおwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

ヒンヒン…ヒン!ヒンヒン!!(そこはバタービールだろ…バタービールで酔ったハニーにげっへっへするんだ!)

>>92
ヒン(ギルティ)

ヒンヒンヒーン!(そんなことをやってみろ、他の豚衆が黙ってないぞ!)

数日後

ハニー「……」

ロン「……黙り込んでるハニーの姿ったら絵になりすぎて、まるで少しも動かないマグルの絵画かと思っちまうよな、うん」

ハーマイオニー「……ハニー、またあの『秘宝』のことを考えているの?」

ハニー「……だって、あれは、数少ないヒントじゃない?考えるに値して……」

ハーマイオニー「いいえ、しないわ!あれはただの御伽噺で、ラブグッドのでっちあげのほら話よ」

ロン「君はそうしたいんだろうけどさ、でも事実な部分もあるぜ。ハニーの透明マントとか……」

ハーマイオニー「そんなのあなた風に言えばハニーの加護がどうとかでどうとでもなるでしょ」

ロン「いよいよ君もとち狂ってきたよな」

ハニー「……このマントは、ダンブルドアから私に贈られたものだったわ。覚えてる?」

ロン「あぁ、ハーマイオニーが帰ったあの冬休暇。ハーマイオニーが帰った」

ハーマイオニー「帰らせるわよ」

ハニー「どうしてダンブルドアはこれをパパから借りていたの?ママの手紙に書いてあったわ……ダンブルドアが返してくれない、って。でも……あの人は、これがなくても透明になる手段があるはずだわ」

ハーマイオニー「……つまり、ダンブルドアもこれが伝説の『秘宝』だと思って、調べていたんじゃないか……そう言い出すの?」

ハニー「えぇ。それに……パパの故郷は、ゴドリックの谷だった。ヘベレルのお墓がある、ゴドリックの谷……ひょっとして、ひょっとして、だけれど」

ロン「ハニーがそのとんでも魔法使いの子孫かもしれないってわけだ!うん、辻褄があうぜ!」

ハーマイオニー「こじつけもいいところだわ!確かに、ヘベレル家は……クリーチャーから借りた、この本によると!」

ロン「あぁ、あの有能妖精が『なんなりとお使いください!なんならクリーチャーが台車を引いてお供いたします!』つって差し出した屋敷中の本の山のあれ」

ハーマイオニー「『生粋の魔法族』……ヘベレル家は男子の血が途絶えたから、子孫は違う姓を名乗ってるわ。けど、だからってそれが、あなたってこと……」

ハニー「……わたしも、由緒正しい家柄、だってこと、かしら……?」

ロン「……へいハーマイオニー、このちょっと輝いた瞳の前に何か反論できるかい」

ハーマイオニー「……そんな家柄なんてなくても貴方は十分どこぞのお星様と釣り合ってると思うわよ、ハニー……ハァ」

ハニー「とにかく、『秘宝』がこの旅と無関係だなんて思えないわ。だって、ダンブルドアがあなたにその本を残したんだもの」

ハーマイオニー「それは、この本の教訓が助けになればって思っただけかもしれないわ!」

ロン「もしくは丁度いい枕に、とかね」

ハニー「それに、さっきの話でようやく思い出したの……姓が代わった、ペベレル家の子孫……ゴーント家よ」

ハーマイオニー「……それって、『例のあの人』の……?」

ハニー「そう。ダンブルドアと一緒に見た記憶の中で、確かにそう言っていたわ。指輪がペベレル家に伝わるものだ、って……石がはまっていて、そこに、印が……もしかして、その石が!」

ロン「『蘇りの石』ってわけだ!」

ハーマイオニー「そ、そこで死者が蘇った様を見たわけじゃないでしょう!?どうしてそうだと言えるの!?」

ハニー「だって、辻褄の方が私に合わせてくれるんだもの。きっと、そうね……この、開かなかったスニッチ!意地悪豚のことだもの。この中に、その石を入れているんだわ。違う?金豚?」

金豚「」パタパタ

ロン「隠し場所としてはもってこいだよな、うん」

ハーマイオニー「だ、か、ら!中身も見ていないのに、どうして、そんな……きゃぁ!?」

ハニー「そうね、ハーマイオニー。中身を確かめるために、もう一度確かめてみましょうか。手伝ってくれる?触れる肌は、多いほうが、いいんじゃない……?」

ハーマイオニー「っちょ、ハニー、そんな、関係が、冷た、あぁ、そんな、ファイアボルトで喧嘩してしまったときの、冷たい視線を思い出して、あぁ……」

ロン「つづけて?」

金豚「ど う ぞ」スゥゥゥッ

ハーマイオニー「ふーっ、ふーっ、こ、今回は、いつにも増して、関係も脈絡もないじゃない!どうして、ふーっ、私が」

ハニー「私がそうしたいと思ったから、よ?」

ロン「そりゃ世界ごと従うほかないよな、もちのロンで。ほら、実際スニッチも何度か開いちまおうか迷ってた節があるよ本当に」

ハニー「つづけてみる?」

ハーマイオニー「望むところdウォッホン!後でよ、後で!!いい、ハニー!『秘宝』のことは忘れなさい!」

ハニー「けれど、これだけ揃っているのに。『透明マント』それに、『蘇りの石』」

ロン「あとは『ニワトコの杖』だけ。なぁハーマイオニー?この杖一つあるだけでも、僕達ずいぶん助かるんじゃないか?だって、ハニーの杖は誰かさんがおしゃかにしちゃったわけだしね……?」

ハーマイオニー「……ぐうの音も出なくなるからやめなさいよそれ」

ハニー「それはいいけれど、本当、助かるはずだわ。最強の杖、杖…………あぁ」

ハーマイオニー「? ハニー?」

ハニー「……あぁ、そうよ……そう、じゃない……こんな、モロにあいつの趣味にひっかかる単語……見逃すはず、ないんだわ……特に、自分の杖を信じられなくなってからは……」

ロン「? ニワトコの杖の別名……『最強の杖』とか『死の杖』とかのことかい?」

ハーマイオニー「そう言われているというだけよ?」

ハニー「十分よ……自分を『死の飛翔』とか、言ってしまうんだもの……杖作りを追いかけて……あぁ」

ハニー「……黒豚は、『ニワトコの杖』を手に入れるつもりなんだわ」

ハニー「あいつより先にたどり着くことはできるかしら……もう随分とヒントを得て居るようだし……」

ハーマイオニー「……『あの人』がその杖を手に入れたら……えぇ、それは……恐ろしい話、だけど」

ロン「鬼に金棒、ママにフライパン、トンクスに傘立てだよな……マーリンの髭」

ハーマイオニー「トンクスはどうなのそれは……けど、ハニー。ダンブルドアがそれらを手に入れさせようと思っていたなら、もっとはっきりそう伝えるはずよ?違う?」

ハニー「あの人が回りくどくて探求させようとするのは、今に始まったことではないでしょう?剣のことしかり、ね」

ハーマイオニー「だからって……ハニー、あなたは言ったわ。私達、分霊箱を探さなきゃ。『秘宝』に心を奪われてる暇なんてないの」

ロン「僕ってなんで『秘宝』じゃないんだろ」

ハニー「ハーマイオニーにとっては『至宝』だからいいんじゃないかしら」

ハーマイオニー「話を変えない!ハニー!あなたが御伽噺に夢中な間、ルーナはどうなるの!」

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……あ」

ハニー「……わたしのせいで」

ロン「あーあ。あーーーあ」

ハーマイオニー「ご、ごめ、ごめんなさ、ちが、そういうことを言いたかったわけじゃ、ハニー、あぁ、クッション抱えてそっちに、ね、ねぇ?クッションなら丁度いいのが、こっちに、その、ハニー?」

ロン「気分変えるのにラジオでもつけとこう……そういやあの番組は中々聴けないなぁ……パスワードはなんだったか……マーリンの髭」

ザザザッ、ピーーーッ、ザザッ

ロン「! やった!そうか、『マーリンの髭』だったんだ!なんてこった!もっと連呼しておけばよかったマー髭!ハニー!ハーマイオニー!」

ハニー「……なぁに?ルーナが床から生えてきでもしたの?」

ハーマイオニー「ハニーそれ結構彼女のこと侮辱してるわよ……何の騒ぎ?」

ロン「ほら、ラジオだよラジオ!あれ、言ってなかったっけ?大体の放送は省に右習えな内容ばっかりだけど、一つだけまともな番組がある、って……そうか、ビルに教えてもらったんだっけ」

ハニー「省に反抗しているということ?危険じゃ……?」

ロン「だからパスワードがあるのさ。周波数を合わせたあとに、騎士団、おっと、豚団に関係する言葉をつけてね……ほらきた、『高貴で可憐で儚げで伝説的で道徳的で家庭的で模範的なポッター・ウォッチ』だ!」

ハーマイオニー「長いわよ……そんなことをするなんて、一体、誰g」



「イェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!!みんな、聴いてるかーーーーい!!!!」


ハーマイオニー「」

ロン「聴くまでもないだろ」

ハニー「あぁ……ふふっ。元気そうね、本当に」

「さぁさぁさぁ!やってきました放送日!」

「ここのところお休みしていてすみませんね!何せ熱心な僕らのファンにおっかけされていたもので!」

「今は安全ですご安心を!というわけで久々の放送にわたくし大変盛り上がっております!!」

「なにせ解説業がウィーズリっちまってこうやって喋くる場がなくなっちまうなんて!ハニーが見れない次に辛い!」

「というわけで今日も元気に参りましょう!『高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的で模範的なポッター・ウォッチ!』」

「DJを勤めますのはわたくし『リバー・ジョーダン』!」

リー「次の合言葉は……マクゴにゃガルせんせー!!!!『にゃんこー!』でお送りしまーす!!」


ロン「合言葉『にゃんこ』率、脅威の八割超えだよ」

ハーマイオニー「……むしろよく今まで当てられなかったわね、あなた」

ハニー「リバー、って名乗っていたわね」

ロン「みんな、一応暗号名を持ってるんだ。大体丸分かりだけどね。僕なら『一番豚』だったな」

ハーマイオニー「それはそれは公然としてるでしょうとも……みんな、って?」

ロン「あぁ、何もリーのワンマンオンステージってわけじゃないよ。ほら」


リー『本日は嬉しいことにゲストが二人もいらしています!レムルス、それにロイヤルのお二人です』

リー『「新婚狼」と「黒光り」という僕の案は丁重にお断りされましたがひっそり推していこうと思います』

新婚狼『色んな意味でやめてくれ』

黒光り『君が部下なら何ヶ月の減俸だろうね、全く』


ハニー「キングズリー!それに、リーマス!」


リー『レムルス、最近どうですか?「変幻自在ウーマン」とは相変わらず?』

黒光り『戦力が一気に二人も減る羽目になっているのだから、君には詳しく説明する義務があるぞ、レムルス』

新婚狼『毎度思うけどね、私はここにさらし者にされに来てる気がするんだ』

リー『ハハハ、何をそんな』

黒光り『ハハハ、ただ見守ってやりたいだけさ、生暖かい眼で』

新婚狼『隠れてる意味あるんだろうか……仲良く、やっていますよ。おかげさまで』


ハニー「……それじゃ、それじゃ、リーマスは今、トンクスと暮らしているのね!」

ロン「うん?あれ?僕、そう言わなかったっけ?ビルが言ってたよ、下手したら自分達よりお熱い新婚っぷりだ、ってね」

ハーマイオニー「……私達に説明していないことが多すぎよ、あなた」

ロン「説明しようとしてもプリプリ怒ってたこないだまでの君に言われたくないね、僕ぁ」

リー『さて、楽しい歓談の前に……ラジオをお聞きのみなさんに、謹んでお報せいたします』

リー『残念ながら、テッド・トンクス、ダーク・クレスウェルが殺害されました。小鬼のゴルヌックも共に、まぎれもない「闇の魔術」の跡が残った状態で発見されたそうです』


ハニー「……ぁ」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」


新婚狼『……』

黒光り『……レムルス、辛いだろうが』

新婚狼『私は何者でもないから、何のことだか……だがせめて、二人に黙祷を捧げたい』



ハニー「……トンクスの、お父様」

ロン「あの森の時に一緒にいた……他の連中は、どうなっただろう」


リー『三人の同士に哀悼の意を。そして、ディーンとジャスティンの二人はこの放送を聴いていたらなんとか親御さんに連絡を。皆が君達の安否を気にかけています』


ハーマイオニー「……便りがないということは、逃げ延びているに違いないわ……そう、信じましょう」

ハニー「……」


リー『かわって、マグルの被害も増え続けています。ガッドリーでは五人家族が「死の呪文」で殺されているのが発見されました。ロイヤル、マグルの政府は市民にどう説明しているのですか?』

黒光り『「ガス爆発」として処理をしているそうだ。マグルたちは被害の原因を全くしらないまま、増え続ける「おかしな事故」、「不自然な死」に恐怖している』

黒光り『だがそんな中で、魔法使いや魔女が身の危険をおかしてまでマグルの友人、または単に近隣の知り合いの家に保護呪文をかけて守ろうとしている動きがあると聞いて居る。なんとも気高いことです』

リー『本日一回目の「愛じゃよポイント」ですね」


ロン「十回溜まったら視聴者に抽選でグッズが当たるんだよ」

ハーマイオニー「悲惨な話題とテンションの落差がひどいわ」

リー『マグルの隣人たちはそうした行いに気づくことはないでしょう。ですが、この無償で気高い行いはまさしく模範的なハニーよろしく愛溢れる行動でしょう』

黒光り『えぇ、みなさんにも危険が及ばない範囲で倣ってほしいですね』

新婚狼『簡単な処置一つで、多くの命が救われることになる。「魔法使い優先」の考えはやめて、是非行動をしてほしいところだね』

リー『「魔法使い優先」 そう、このような危険な時期にはまさにその言葉を耳にする事が少なくありません。マグルの被害など放っておけ、と』

黒光り『あってはなりません。その考えはたちまち「純血主義」と結びつき、果ては「死喰い人」に繋がるものだと申し上げておきましょう』

新婚狼『彼らに突きこまれる思想を持って泥濘に嵌るのはどこぞの鼠だけにしてほしい』

黒光り『我々は皆、等しく「人」です。すべての人は同じ命の重さを持ちます。そして、救う価値があるのです。彼らの命の脅威を守ることができるのは、その脅威に対抗する力のある私達です。ちがいますか?』

リー『素晴らしいお答えです。ロイヤル、あなたは出演するたびに熱い言葉を残していきますね。さながら名言メーカー!』

黒光り『なんだか安っぽくなるからやめてくれ』

リー『ロイヤル。このごたごたが全て片付いた後、あなたが魔法省大臣になることを皆が願っていますよ』

黒光り『ハハハ。そのときはピッタリの頭皮をかつてそこを覆っていたものを模した物で隠せるようにアーサーと探しておかないと』

リー『決してカのツラとは呼びませんなんなんでしょうこの意地は。さて、レムルス。あなたの人気コーナーです』

新婚狼『あぁ、「ポッター通信」で……』

リー『「今日の嫁に惚れ直した10の事」さぁ、語っていただきましょう』

新婚狼『……これが人気コーナーってこの番組の存在意義がどうなんだと思うがね私は……誰が聴きたいんだい』


ハニー「はいっ!」

ハーマイオニー「ハニー、これラジオだから……」


リー『まあいいでしょう。レムルス、あなたは登場していただく度に「ハニーはまだ生きている」と主張してくださいますね。信じるのは当然ですが、その根拠はなんでしょう』

新婚狼『もしも連中がハニーを手にかけたとして、その死を隠して居るはずがないんだ。なぜなら彼女の存在は、それだけで我々の士気に影響する』

リー『確かに、姿が見えなくてもハニーのことを思うだけで心が温かくなり自然に感謝の言葉が口から溢れ涙がちょちょぎれます、ええ』

新婚狼『「生き残った女の子」は今でも私達の希望であり、善の勝利、無垢の力の象徴なのです。だからこそ、連中は彼女を放っておかない。捕らえただけでも、大々的に宣伝することでしょう』

リー『素晴らしいお言葉でした、レムルス。もしもハニーがこの放送を聴いていたとしたら伝えたいことを、一言どうぞ』

新婚狼『……ハニー』


ハニー「……」


新婚狼『聖マンゴは無事だよ』


ハニー「っ、も、もっと、何か、えぇ!前のことを謝ったりだとか!なにか、あるんじゃないかしら!もう!!!」

ロン「分かってるなぁ」

ハーマイオニー「まったくね」

新婚狼『それからこうも言いたい。自分の直感に従え。それはよことだし、ほとんど常に正しい』


ハニー「……ですって!」

ハーマイオニー「……ほとんど常に、よ。それに、『秘宝』に関しては直感と言うよりは考えすぎて行き着いたものでしょう……?」


リー『その他、我々の同士についてはどうでしょう?とくに「変幻自在ガール」は』

新婚狼『……分かった、分かった。もう三月だからね、あぁ。大分大きくなった』


ハニー「……次の目的地、リーマスたちのお家、とか」

ハーマイオニー「気になるのはとてもとても分かるけど、ハニー」


新婚狼『そして、ハニーを大々的に支持していた数人が投獄されました。ゼノフィリウス・ラブグッドは少し、あー、いつもより取り乱した様子だったそうだよ』

黒光り『ハニー・ポッターがいる、上の階にいる、そう呟き続けているそうだが……』

リー『ハニー欠乏症が末期症状なのかな?かく言うわたくしも会えなさ過ぎて辛いので定期的にハニーのプロマイドを眺めながらリバーのリーがジョーダンしちゃってます』


ハニー「?」

ロン「知らなくていいぜ、ハニー。それよりラブグッド、少なくとも生きてるみたいだね」

ハーマイオニー「す、少し記憶、飛ばし過ぎたかしら」


新婚狼『それと、ついさっき入った情報で。ハグリッドが――』


ハニー「っ!」


新婚狼『「ハニーを応援する会」を小屋で開いていたら興奮した「尻尾爆発スクリュート・改」の群れが小屋を焼いてしまって、そこから連中に集まりが発覚して、現在逃亡中だそうだよ』


ハニー「……おっちょこちょいな、豚なんだから。ふふっ」

ロン「ハグリッドの小屋、何回燃えっちまえば気がすむんだろうな。マーリンの髭」

リー『逃亡する際、彼の大きな弟は役立ったでしょうね?』

新婚狼『そうだろうね。グロウプは死喰い人に向かって「私達はあなたがたに屈さない!!ハニー・ポッターが灯した火は倒れない!!」と言ったそうだよ』

リー『ヒンヒン鳴くよりおったまげる言語があるとは本当、おったまげですねぇ』


ロン「あの巨人はなんなんだよ」

ハニー「……できる豚さんだわ」

ハーマイオニー「ハグリッド一人で逃亡よりも、えぇ、安心ね、残念なことに」


新婚狼『ハグリッドの心意気には賛成します。だが、みなさんは彼の真似しないようにと強く忠告させていただきたい。今の時勢に「ハニー・ポッターを応援する会」としてパーティをするのは、賢明とはいえないよ』

『パーティするのがご法度?そんな世の中くそくらえだね』

『ごもっとも。こんな時こそパーッとするのが一番だろ?』


ハニー「? この声……」


リー『あぁ、あぁ。君達の出番あこの後だったのに。まぁいいや。ご紹介しましょう、新しい特派員の……』

ジョージ『暗号名、フレッドです』

フレッド『同じく、ジョージです』

リー『いやあ、実に分かりにくい』


ハーマイオニー「……………つっこまないわよ。つっこまないわよ!!!!」

リー『それで、二人とも。ここでは便宜上「厨二ロリコンストーカー」と呼びましょう。彼の動向はどうなっていますか?』

フレッド『相も変わらず影に隠れて表舞台には出てこない、なのに目撃情報だけはゴマンとあるときたよ』

ジョージ『全部を信じてたら、俺達、英国中を飛び回る十九人の奴さんの存在に頭を抱えることになるぜ』

黒光り『八つの思う壺だ。実際に姿を現して猛威を振るうより、謎に包まれていたほうがより大きな恐怖を引き起こす』

フレッド『まっこと、まっこと。ですからみなさん、ちょいと落ち着こうじゃーあーりませんか。寄せられた声やら聞いてると、どうにも悪い方向に妄想しっちまう人が多いみたいだから』

ジョージ『あの人と眼を合わせたら死んでしまう、なんてのは最たるもんさ。それは怒ったママとバジリスクだけ、オーケー?最も、眼を合わせる距離にいたらご愁傷様には違いないけど』


ハニー「……ふふっ。変わらないわね、二人は」

ロン「ほーんと、緊張感生む言葉を投げかけてくれるよな」


リー『「あの人」が国外にいる、という噂もありますが?』

フレッド『あぁ、まあ、奴さんほど働きづめなお人ならちょいと休暇が必要だ、って思うかもしれないな、うん』

ジョージ『国内にしろ外にしろ、どっちにしろ奴さんが動こうと思えば関係ないってことを覚えておかないとな』

フレッド『そうそう。何せその気になったあの人の動きの素早さときたら!』

ジョージ『おそらく、シャンプーを目の前に突きつけられたスネイプ並さ!』

リー『HAHAHAHA!』

黒光り『ハハハ』

新婚狼『っぷ、っくっは、っはは、アッハハ、っく、的確だね、二人とも』

フレッド『危険な企ては結構!でもあの人が遠くにいるから大丈夫なーんてのをアテにしないように』

ジョージ『僕らの口からこんな言葉が出るようになるなんておっどろきーだけどさ。何より、みんな』

フレッド『油断大敵!』

ジョージ『安全第一!』

リー『わーお、ほんっと、君ららしくないお言葉をありがとう!さぁ、みなさん、お別れの時間となりました。レムルス、ロイヤルもありがとうございました』

ロイヤル『あぁ、また』

レムルス『みんな、無事で』

リー『まっこと、お互いに安全でいましょう!さぁ、次回は……ゲストにポルターガイストのピーブズをお招きするということで!このリー・ジョーダン!決死の覚悟でホグワーツに潜入してまいります!次回も、お聴き逃しなくっっっっ!!!』

ザザッ、ザーーーーーーーーッ

ハーマイオニー「……おもいっっっきり危険なことを自らしちゃってるじゃないのよ!!!!!」

ロン「実況の鑑だなぁ、リーって。言っちゃってるしね本名」

ハニー「無茶をし過ぎ無いと、いいけれど。できる豚さんだわ」

ハニー「なんだか、ずっと、自分達だけで抵抗している気になっていたけれど……こんなに、応援してくれて、それで……一緒になって戦ってくれている人たちが、いるのよね」

ハーマイオニー「本当、いい番組だわ。リーは、放送先を毎回変えて居るのかしら」

ロン「だと思うよ。あぁ、双子の声を久々に聴いたなぁ」

ハニー「声、そうね……なんだか、目が覚めた気分だわ」

ハーマイオニー「えぇ、ハニー。『秘宝』のことは頭から……ハニー?」

ロン「……おっと?」

ハニー「グズグズして、られないじゃない。ルーナだって救って、それに、みんなが待ってるわ!そうよね!」

ハーマイオニー「えーっと、ロン?これは……」

ロン「んー、ちょっと、うん。興奮して、話が、ほら……耳に入らない状態の……あー……あ、まずい」

ハニー「分霊箱を探して!壊して!えぇ、この私だもの!やれるに決まってるわ!そうでしょ?」

ロン「うん、そうだねハニー!違いないよ僕のハニー!ヒンヒン!だから、あのさ!それ以上……」




ハニー「ヴォルデモートなんかに!負けないわ!!!!」




バチッ!!バチバチッ!!!!




「杖を捨てて、出て来い!!!どこのどいつか知らないが、『闇の帝王』の名を呼んだ奴がいるのは、分かってるぞ!!!!」


ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「…………ごめんなさぃ」

ロン「うん、許す」

ハーマイオニー「しおらしくしても取り戻せないわよ、ハニー……そう、そうね」

ハニー「逃げられるかしら、どうやって……きゃぁ!?」

ハーマイオニー「……ちょっとイタイ目を、見てもらうわ……?」

ロン「緊張感ないね!つづけて!!おい!!外の連中ちょっと待て!!いいな!どうぞ!!!!!!!」

ロン「……ハニーの素晴らしさは外見なんて器に限ることじゃないけどさ……ハーマイオニー、何したんだい」

ハニー「……顔中痛いわ」

ハーマイオニー「イタイ目みてもらうって言ったでしょう?人相を変えさせたのよ……大丈夫、簡単な呪文で戻せるから」

ロン「だからって何も膨れあがらせなくても……大丈夫、ハニー。ほら、耳に着けた赤いカブが、ほら、映えてるぜ」

ハニー「賞賛の言葉を受け取れそうにないわ、もう……」


「おい!ぐずぐずするな!!六本の杖がお前たちを狙ってるんだぞ!!はやくしろ!!」


ロン「雰囲気察して待っておいて何言ってんだか……っ、やっぱり『人さらい』だ」

人さらい「杖をおけ!おら!こっちにこいこのブス!!豚みてーなツラしやがって!」

ハニー「……………数年ぶりに言われたわね、それ」

ロン「おいそれ以上口開くなこの野郎……ぐっ!い、った……ぐ、グレイバック、だ」

グレイバック「おぉー、有名な人狼様は困るねぇ。テメェこそだまってろ。そんで……えらく美味しそうな女がいるじゃねぇか……?」

ハーマイオニー「い、った、髪、髪を、つかまない、で!」

ロン「おい!!!その人を放せ!!!!僕ならどうなっても……っ!」

グレイバック「黙ってろ、って言ってんだ」

ハーマイオニー「い、っ!やめて!その人に乱暴しないで!」

ハニー「あぁ、なんで今眼ぇ開けられないのかしら私……!」

ハーマイオニー「ハ、ウォッホン!ハリエット!非常事態に!ニヤニヤしないの!!!」

人さらい「テメェの名前は?」

ハニー「……ハリエット・ダーズリー」

人さらい「テメェは?」

ロン「す、スタン・シャンパイク……い、っで!」

グレイバック「嘘ついてんじゃねぇ。スタンは俺達の末端の仕事をしてらぁ」

ハニー「……」

人攫い「あぁ、正気かは知らねぇししったこっちゃねぇけどな。正直に言わねぇなら殺すぞ」

ロン「……バーニー・ウィーズリー」

人さらい「はんっ、そのチンケな赤髪がそうじゃねーかと思ってた。『穢れた血』じゃなくても『血を裏切る』クズだな。テメェは?」

ハーマイオニー「ぺネロピー・クリアウォーター、半純血よ」

人さらい「調べりゃ分かることだ。そんで?まだホグワーツにいるような年齢のお前たちが、こんなところでなぁーにしてた?」

ロン「学校は、辞めた」

人さらい「辞めたぁ?そんで少しキャンプして、冗談まじりにおもしろおかしく『闇の帝王』の名前を呼んでみたってぇか?」

グレイバック「そんな馬鹿な話を信じると思うか?禁句にひっかかるのはいつも、あいつらだ。『騎士団』の野郎共。お前たちはなんだ?え?」

ロン「豚さ、元だけどね」

人さらい「頭おかしいのかこいつ。おい、さっき捕まえた3匹と一緒につないどけ。テントの中を漁るぞ」

ゾロゾロゾロ……

バサッ、ギギギギッ

ハニー「っ、縄が……ごめんなさい、二人とも。私のせいで……」

ロン「今はどうにかこっから逃げ出すことを考えようよ、ハニー」

「……ハニー、だって?ハニー……うわ!?ロン!?ハーマイオニー!?」

ハーマイオニー「ろ、ロン、連中が離れたからって不用意に……ディーン!?それに……ジャスティン!?」

ジャスティン「君達まで、捕まるなんて……そ、それじゃ、そっちの……顔が……あれな……」

ハニー「……この私に今なんて言ったのかしらこの豚?」

ジャスティン「ヒンヒン!!豚と呼ばれたら本能で分かる!!ハニー!僕らのハニー!」

ディーン「あぁ!さっきまで最悪の気分だったけど君と同じ縄でくくられてるなんて最高だよ僕らのハニー!ヒンヒーン!」

ハーマイオニー「……久しぶりに頭が痛いわ」

ハーマイオニー「大体呼ばれたらって何よ呼ばれたらって……匂いで分かるでしょ」

ロン「あれ、どうしよう、僕も頭が痛い」

ディーン「ハニー、君を捕まえたことに連中が気づいてしまったら!あいつらは、学校に登校してない学生をさらってる汚い連中なんだ……それでも、『あの人』とつながりがある」

ジャスティン「学生以外にも、ね……グリップフックは、掴まるときに『失神』させられたんだ」

グリップフック「」

ハニー「……何とか、しないと」


グレイバック「無駄なことはやめとけよガキども……ガキだ、と思ったらこのお宝はなんだ?お前たち、こんな剣どーこで手に入れた?え?」

ハニー「っ……」

人さらい「こりゃきっと、ゴブリン製だぜ。あぁ、そこのが起きてりゃ鑑定させられたのによお。でも、値打ちもんには違いねぇや」

人さらい「そーんで、ガキども。もーっと面白いもんを、見つけたんだがなぁ?見ろよ」

バサッ

ロン「……最後の『ザ・クィブラー』……」

ハーマイオニー「あ……あぁ」

グレイバック「どーにもよ、おい。そこの二人は、ポッターと一緒に行動してたウィーズリーと、それに?グレンジャーにそっくりなんだがなぁ?」

人さらい「って、ことは……そこの、不自然に顔がはれ上がった、そいつぁ」

ハニー「……」

グレイバック「ハニィ、ポッタァ?」

ハニー「……目を開けられなくても分かる卑しい笑みをどうもありがとうこの豚以下」

ハーマイオニー「……開き直らないで」

人さらい「そうだ、そうに違いねぇ!おい!おれたち20万ガリオンももらえるぞ!!」

人さらい「はやく『闇の帝王』に!見ていただこう!!」

人さらい「こ、ここに呼ぶ、のか?」

グレイバック「……いいや、呼べねぇ。俺はまだ『印』をもらってねぇ……だが、今夜にも賜るはずだ。お前を差し出しゃぁな?え?ポッターに違いねェブス女」

ハニー「……」

人さらい「け、けどよお。もし違いでもしたら……俺達は、セルウィンたちみたく、よお……」

グレイバック「……そうだ、いい考えがある。あそこの坊ちゃんはこいつらと面識があるし、いざとなったらあいつは『闇の帝王』を呼べる……取り分は減らされるかもしれねぇが、仕方ねぇ」





グレイバック「マルフォイの屋敷に、行くぞ」

人さらい「フォイ!あ、いや、おう!!!」


ハニー「……」

ロン「……いマから気が重くなルフォイ」

ハーマイオニー「……早いわよ」

グレイバック「ポッターどもは俺が『姿くらまし』させる!他のもしっかりつれて来いよ!あそこには他にも捕虜がいる、そこにぶち込めばいい!」

ハニー「他の、捕虜……っ」

ロン「あぁ、もしかしてルーナもいるのかな。ハニー、チャンスかもしれないぜ、これは。だ、だからさ」

ハーマイオニー「そうよ、ハニー。きっとこれから、チャンスが……だから、気にするなとは言わないけど、ずっと凹んでる場合じゃ……」

ハニー「っ、違う、の……それは、自分のバカさ加減にも腹がたつ、けれど……さっきから、っ、うつむいてる、のは……」

グレイバック「そんじゃ、いくぞ!!いーち、にー……」

ハニー「また……傷が、痛んで……あいつ……これは、どこに……海、黒い……要塞みたいな、建物……」

ハニー「……この場所に……誰か……あぁ……グリ、ン……」

グレイバック「さん!!」

バチンッ!






ザァァァッ、ザァァァァッ

『ここだ 奴が収監されている この場所に』

『随分と 遠回りをさせてくれた』

『聞き出した その後は 新時代の闇の覇者が 旧時代の闇を 終わらせてくれよう』

バサァアァァァァッ

スタッ

『………………ハハ ハハハ 本当にやって来たか。あぁ、いつか来るだろうとは思っていた』

『グリンデルバルドだな?』

グリンデルバルド『あぁ、そうだ。お前は、トム、そんな名前だったな?』

『俺様の名は 真の名は 貴様が口に出来るほど穢れていない 俺様はヴォルデモート卿 死の飛翔』

グリンデルバルド『あぁ、あぁ、やめろ。昔の自分をみているようでむず痒くなる。トム、お前の旅は無意味だったな。私は「それ」を持っていない』

『嘘をつくな!!』

グリンデルバルド『嘘ではない、それくらい分かるだろう、「闇の帝王」様。さぁ、私を殺すか?「それ」の所有権を手にするために?残念だが、私は死を喜んで受け入れよう!平穏なる、平等たる、栄えある「死」が私にはもたらされる!』

グリンデルバルド『しかし、トム。お前が手にするものは何もない。お前の求めるものはもたらされない。お前の理解していないことの、何と多いことか……恥ることはない、私も昔はそうだった』

『命乞いのつもりか 落ちぶれたものだな』

グリンデルバルド『私が落ちぶれたか!!!私が劣って見えるか!愚かで汚く、救いようのない生き物に見えるか!!!』

グリンデルバルド『!ハハ!ハハハハハハ!!トム!!!お前に見えているそれは未来のお前だぞ!!!さぁ!!!殺せ!!!!無知な男よ!お前は勝てない!!!お前は勝たない!!!お前は……』

『アバダ――』

グリンデルバルド『あの杖は、お前なんぞのものには絶対にならないのだ!!!』

『――ケダブラ!!!!』

ドサッ……

グリンデルバルド『』

『 こやつの ものではない 』

『――――』

『なれば、考えられるのは、一つ』

『――――』

バサバサッ、バサバサバサッ









ドサッ

ハニー「っ、杖、あぁ、杖、は……っ」

グレイバック「なあにぶつくさ言ってやがる!テメェの杖はとっくに奪っただろうが……よし、着いたな」

人さらい「でっけぇな……マルフォイの屋敷」

グレイバック「今にこれにも劣らないもんが手にはいる。どーれ……ドアノッカーで、と」

グッ

フォイフォイフォイッ!!!

ハニー「……」

ロン「……ノックってなんだったっけ」

ハーマイオニー「……とんだ魔法よね、ほんと」

小休止
20には再開

ガタガタッ、グルッ

マルフォイ家の門「目的を述べよ!」

グレイバック「! 俺は、俺達はハニー・ポッターを捕まえた!ポッター一味をつれてきたんだ!」

ロン「ノッカーがおっそろしい顔に変わって喋りだしたけど、フォイのインパクトに負けてるよな……ハ、リエット。大丈夫かい?」

ハニー「……傷が、痛いわ。それに、あいつの怒りが流れ込んで……なんなのよあの門、豚にするわよ」

ロン「そりゃいいや、特大の首輪を用意しておくよ鉄製のね」

パカッ

グレイバック「!あいたぞ!よし、着いて来い!おら!きびきび歩け!」

ザクッザクッザクッザクッ

人さらい「本当に、でけぇ屋敷だ。俺達みーんなが同じ部屋に入っても十分広いにちがいねぇ」

人さらい「だからこそ『名前を呼んではいけないあの人』の基地になってるんだろ」

グレイバック「そうだ、それに、ここにはベラトリックスの妹の……おぉ、噂をすれば。ナルシッサ・マルフォイ、その人だ」

ナルシッサ「……何事です、こんな時間に。ドラコがもう寝る時間だというのに、非常識ですよ」

グレイバック「いやその常識の基準はしらねーしまだ夜中にもなってねーけどよ。ポッターだ!ポッターを、捕まえた!」

ナルシッサ「……ポッター?」

ハニー「……」

ナルシッサ「……」

ナルシッサ「……そっちの娘は、洋裁店でポッターといるところを見ましたわ」

ハーマイオニー「……」

ナルシッサ「そこの、赤毛のウィーズリーも。アーサー・ウィーズリーといるところを見たことがあります。ですが……」

ハニー「……」

ナルシッサ「肝心の、ポッターは?これが、そうだと言うのですか?」

グレイバック「そうなる、そうなる、当然だ!この二人はポッターと逃げ回ってた、それが事実だろ!みろ、こいつの顔は呪いかなんかで膨れてるにちがいねぇ!」

ナルシッサ「……いいでしょう。何度も顔を合わせたことのあるドラコなら、見極めがつくかもしれません。お入りなさい」

ギイイイッ

ツカッツカッツカッツカッ

ルシウス「……ナルシッサ。客なら追い返せと……何事だ、これは」

グレイバック「よお、ルシウス。屋敷の主が客間にいるたぁ、どういうこった?」

ルシウス「……この屋敷はもはや我が君のものも同然だ。それで、これは何だグレイバック。説明しろ」

グレイバック「おぉっと、俺にでかい口叩けるのは今晩までだと思えよ? ハニー・ポッターを捕まえた!坊ちゃんに確かめさせてくれよ!」

ハニー「……」

ルシウス「……ドラコ、こっちへ」

マルフォイ「……はい、父上」

グレイバック「どーだ、どうだい、坊ちゃん。こいつはポッターだろう?ほら、見覚えがあるだろう?え?」

マルフォイ「…………」

ハニー「……」

ルシウス「どうなのだ、ドラコ?これはポッターか?え?」

マルフォイ「わ……わから、ない。だいたい、こんな変な顔で……誰だか判別する、なんて……分かるはずが」

ルシウス「それでもよく見るのだ!!いいか、ドラコ!もしも我々がポッターを差し出したとなれば、何もかも許されて……」

グレイバック「捕まえたのは俺達だ!それを忘れるな!じゃぁ、坊ちゃん!こっちのノッポに女はどうだ!?ポッターの味方だろう!?え!?」

ハニー「っ……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

マルフォイ「………それは」



マルフォイ「わか、らない。そうかもしれない。けど、ノッポの方は首輪をいつも、つけていた気がするし……グレンジャーは、出っ歯のブスだったから……」

グレイバック「ッチ!!優柔不断なガキめ!!くそ!!」

ナルシッサ「ドラコを侮辱するなら許しませんよ人狼が」

ルシウス「ドラコ!よく見ろ!お前に全てがかかっているのだ!!!思いだせ!!ドラコ!!」

マルフォイ「そ、そんなこと言われて、も。わ、分からないんだ。困ルフォイ……」

ハニー「…………」

ギィィィィィッ

「シシーぃ?なぁーにごとだい?何が起こったってのさ、我が君の留守中に……おんや、おや」

ハニー「……っ、べ……」

ナルシッサ「ベラ。グレイバックたちが、ポッターを捕まえたと言うの。けど、確証が……」

ベラトリックス「そんなもん、明らかだろうさ……あたしは一度あたしに杖を向けてきた奴の顔は忘れないよ、どこぞのルシウスうんこたれと違って」

ルシウス「ひどい」

ベラトリックス「うるさい黙れシシーの面汚しが……ハーァイ、グレーンジャー?『穢れた血』のポッティーちゃんのお友達。それに、ウィーーズリー。仲良くどったの、殺されにきた?」

ハーマイオニー「だ、誰が!仲良く!」

ロン「ま、マーリン!髭!」

マルフォイ「…………わ、わかんないなー。僕には、ちょっと、まだ、そうかもしれないとしか、うーん」

ベラトリックス「ドーラコ、目ぇさましな。そんで、これがポッティーってわけ?」

ハニー「……」

ベラトリックス「あーぁあぁ?本当だろうねぇ?ハァイ、ポッティー。シリウス元気ー?」

ハニー「…………」

ベラトリックス「あっはは、ちがうちがう。わたしがねんねさせたんだっけ!!アッハハ!!ハッハハハハハハハ!!」

ハニー「…………」ギリッ

ベラトリックス「……ふーん、五分五分か。こう顔がおっ膨らんでちゃ表情も見て取れない。ドラコもそうかい?」

マルフォイ「うん、ベラおばさん」

ベラトリックス「それやめな。さぁ、それでもポッティーのお仲間がいるのは大収穫だ!あぁ、『闇の帝王』をお呼びしよう!我が君を!あたしの『印』を使って!」

ルシウス「ま、待て!!それは私がやる!!ここは私の家だ!!私の権限だ!!!」

ベラトリックス「あんたの権限?ハッ!!そんなもん我が君に杖を差し出すよう命令された時点でお前にそんなものはありはしない!手をはなせ!!!!」

ナルシッサ「ベラ、ベラ、待って頂戴!!もしもポッターじゃなかったら、わた、私達が、どうなるか……!セルウィンたちが虚偽の報告してどうなったか、ベラだって……!」

ベラトリックス「手ぇ放しなシシー!分かった、わーかったから!!」

グレイバック「ポッターを捕まえたのは俺達だ!金貨はあんたたちからでも俺達に回るんだろうな!?」

ベラトリックス「金貨!?そんなもののためにあたしが我が君を呼ぶと思うのか!?そんなものここの金庫から勝手にもってけ無駄にあるんだから!!!」

ルシウス「やめて!」

ベラトリックス「汚らしいハイエナどもめ!金もってとっとと消えろ!私が求めるのは名誉のみ!あの方の――あの、方の…………な…………」

ルシウス「はー、はー……?あ、諦めてくれたか?そう、そうだ。ここは我が屋敷だ。私が呼ぶのが、相応しい。さぁ、この、私の『印』で……」

ベラトリックス「やめろルシウス。今闇の帝王がここにいらっしゃったら、ここにいる全員が死ぬぞ」

ルシウス「は、は……?」

ベラトリックス「……おい、薄汚いそこのお前。それは、なんだ……?」

人さらい「あぁ?これぁ、剣だ。俺がみっけた。かっちょいーだろ!柄のルビーがよぉ!」

ベラトリックス「」

ハニー「…………」

ベラトリックス「……よこせ」

人さらい「あ?」

ベラトリックス「私にそれをよこすのだ。今なら生きて帰らせてやる」

人さらい「バカ言っちゃいけねーぜねぇさん!これぁよ、おれ、お、折れれえれあれれれれれらえらあらくぁwせrtgty」

バタンッ、ブクブクブクブクブクブクッ

ベラトリックス「『今』ならって言ったな?あ?」

人さらい「す、スカビオールーーー!?」

人さらい「こ、この女、なんの真似だ!?」

人さらい「舐めたまねしやがって!全員で殺るぞ!!」

人さらい「うぉおおおおおおおおお!!!」

ベラトリックス「――――」




ベラトリックス「――で、無事生き残ったのは、杖を抜かなかった賢明な、もしくは腰抜けなあんただけだけどさーぁ」

グレイバック「」ガタガタガタガタガタガタガタ

人さらい「息、息、でき、たすけ、たす……」

人さらい「目、おれの、目……」

人さらい「あが、ががっごご、が……」

人さらい「死-ん」

ベラトリックス「跪け糞狼が。両手を差し出せ、動くな、口だけ動かして真実だけ吐きだしな。この剣をどこで手に入れた!?え!?あれはスネイプがグリンゴッツの私の金庫に送ったはずのものだぞ!!!」

グレイバック「こ、この、アマ……」

ベラトリックス「あ?なんだ?ぶった切られたいのはどの指からだおい、人食うのに不便じゃないのか五体満足じゃないとさぁ?」

グレイバック「ぐっ、それ、それは、あいつらのテントの中にあったんだ!!俺ぁなにもしらねぇ!!あれがなんなのか、も……!っ、はぁ、はぁ、う、動ける……」

ベラトリックス「喚くな糞が。お前は説明させるために残ってもらう……ドラコ、こっちのクズどもを外で始末しな。殺れないならあたしが後で殺ってやるから、中庭にでも投げときゃいい」

ナルシッサ「べ、ベラ、ドラコにそんな命令を……」

ベラトリックス「黙りな、シシー!お前なんかが想像もつかない緊急事態なんだ!分かれ!!このあたしが真剣だろうが!!!空気読め!!!!!」

ハニー「……(やっぱり作ってたのねあの感じ)」

ベラトリックス「確かめる必要がある……まだ、闇の帝王を呼ぶわけにはいかない……こいつの真偽が分からなければ」

ルシウス「そ、その剣、が……一体、なんの」

ベラトリックス「前線から外されてるあんたには一切関係ない黙れ。私がどうするか考えている間、邪魔な捕虜どもを地下牢に閉じ込めておくんだそこの糞狼と一緒に」

ルシウス「……こっちに来い。歩け」

グレイバック「……そうだそうだ、キビキビ歩け。食っちまうぞ」

ロン「……ヘタレ野郎共め」

ベラトリックス「――あぁ、そうそう。グレンジャーは置いてけ」

ハーマイオニー「!」

ハニー「っ」

ロン「やめろ!!代わりに僕を残せ!!僕を!!ぐっ」

ベラトリックス「あんたじゃ意味がねーんだよ糞ノッポ。この『穢れた血』がダメになったら、次はそっちのポッティーもどきだよ。我が君に差し出す前に傷つけんのは気が進まないが……」

ロン「ふざけるな!!この、くそ!放せフォイフォイ野郎!!ハーマイオニー!!ハーマイオニー!!!!」

ハニー「ハーマイ、オニー!!!」

バタバタバタバタッ

ドタッ、バタンッ!

ガシャッ!!

ロン「くそっ、この、ロープめ!こんな扉、くそ!!ハーマイオニー!!!」

ハニー「あぁ……っ、ベラトリックス、ハーマイオニーに、何を……!!」





ハーマイオニー「…………わ、私、なにも、なにも、知らない、わ……!!」

ベラトリックス「さーぁ、どうだかねぇ?正直に話すようになるのに、どれだけ時間がかかるやら」

ハーマイオニー「は、話すこと、なんて、何も、何、も……きゃぁ!?」

ビリビリッ!!

ベラトリックス「どっちの口に聞いてみようか。さーぁ、グレンジャーちゃん。地獄みせてやるよ……いいや、天国かもねぇ?」

ハーマイオニー「……ぁ……あぁ……そ……そっちの人……わ、わたし、ハニー以外に、そういうので、屈したり、しない……!!!」




ナルシッサ「……」

マルフォイ「……母上、イイナーって顔やめてください。息子として困ルフォイ……真剣に」

ロン「ハーマイオニー!!ハーマイオニー!!くっそぉなんだこの妙に艶かしい声!!なんなんだよ!!なんだよそれ!!!ハニーここだよ!!!どういうことだよ!!マーリンの髭!!!」

ハニー「ロン、っ、一度落ち着いて、このロープをどうにかしましょう。えぇ、私も、腸が煮えくり返っている、けれど……!っ、外れなさいこの、ロープ、ロープ豚!」

ディーン「ふ、二人とも落ち着いて……」

「――ハニー?今、ハニーって誰か言った?」

ロン「い、言ってない!! あれ?」

ハニー「この声……あぁ、ルーナ!?ルーナなの!?」

ルーナ「そうよ、あたし!あぁ、あんたにだけは掴まってほしくなかったのに!面白い仮装してるね?」

ハニー「残念ながら痛みまで現実よ……ねぇ、ロープを外すのを手伝ってくれる?あなた……みたところ、縛られてないみたいだけど」

ルーナ「うん、そういうのを外すために釘を何本かみつけたんだ……オリバンダーさん、少し横によけてくれる?水差しの裏に隠してあるはずだから」

オリバンダー「う、うーん……」

ジャスティン「あれ、オリバンダー老なの?杖つくりの?随分弱ってるけど……」

ルーナ「前にひどい目にあってから、ずーっと体調が悪いんだもン。そっちの小鬼も、ひどそうだけど……はい、ハニー。この釘使って」

ハニー「っ、ありがとう……あなたは?ルーナ、あなたもここで、何かひどい事……」

ルーナ「うーん、閉じ込められてるだけかな。パパがあたしを連れて行く連中に『その娘は触るとその雰囲気が伝染する「ラックスパート病」という絶対に治らない病をもっているぞ!』って、言ってくれたおかげ、かも?」

ハニー「……」

ルーナ「雰囲気ってなんだろう?あ、ロナルドだ。こんちは」

ロン「こんちは!あぁ!君のどこがぶっ飛んでるってだろうな!マーリンの髭!」

「剣をどこで手に入れた!さぁ、答えろ!!!!」

「んっ、し、知らない!知らな、い――!!」

「嘘をつけ!あたしの金庫に忍び込んだんだろう!それなら、あたしも忍び込ませてもらおうか?え――?」

「いや、いや!あぁ!見つけたの、見つけた、それだけ!あぁ!!」


ロン「マー!リン!の!!髭!!!」ガンッ、ガンッ、ガンッ!!!

ルーナ「頭を扉に叩きつけても破れないと思うな。はい、ハニー。ロープ解けたよ」

ハニー「ありがとう……ロン、一旦作戦を……ベラトリックスめ、絶対に許さないわ本当にあのアマ」

ルーナ「うん、ハニーも落ち着くべきかな。あぁ、灯りがあればいいんだけど。入り口近くのあんたたち以外は、解くの難しいもン」

ロン「僕のポケットの中にある『灯消しライター』にテントの灯が蓄えてある!使ってくれよ!」

ルーナ「ふぅん?ダンブルドアが前ドヤ顔で自慢してたあれ?」

ハニー「なんで知ってるの?」

ルーナ「夢遊病ダチだから。うん、こう、だね。ありがとう」

カチッ  パッ

オリバンダー「うぅ、眩しい……あぁ……」

ディーン「……暗闇になれた跡に光に照らされたハニーは……天使みたいだ」

ジャスティン「何言ってんのさ、女神だろ……」

ロン「ハニーはハニーだろ!!マーリンの髭!!!

ロン「くっそ、こうなりゃ首輪で押さえつけられてた僕の無限の可能性が開花することを信じて!『姿くらまし』!『姿くらまし』!」

ハニー「杖がないわ、ロン。落ち着きなさいってば」

ディーン「あれ?そういやロンの奴、首輪はどうしたんだろ……」

ジャスティン「豚じゃなくなったのかな……?」

ロン「豚?君たち……まだ、そんなので満足してるのかい?」

ディーン「なんだこのドヤ顔豚野郎」

ジャスティン「どういうことだ畜生説明しろ会議だ会議だ!!開会を要求する!!!!」

ハニー「少し黙ってヒンヒン鳴いてなさい!」

ディーン・ジャスティン「「ヒンヒン!!」」

ルーナ「杖があったとしてもダメだと思うな。オリバンダーさんがこっそり即席杖を作れたんだけど、ここにはホグワーツみたいに『姿くらまし』も『姿あらわし』も出来ないような魔法がかけられてるみたい」

ハニー「……逃げる手段はない、っていうの……?」

ルーナ「うん。もう少しあとだったら、あたしがなんとか出来たんだけど。ごめんね」

ハニー「? あぁ、とにかく、早くどうにかしなくちゃ!ここの鍵、何か……そうよ、シリウスのナイフ!これで……あぁ!」

ポトッ、ゴロッ……

ハニー「ハグリッドの巾着が……ダメね、わたしも、落ち着かない、と…………っ!?」

鏡の破片「――」

ハニー「あれ……あれ……シリウスからもらった合わせ鏡の破片……なんとなく入れていた、あれに……映ってる、青い、瞳……あれ……ダンブルドア……ダンブルドア!?アルバス!あなたなの!?」

鏡の破片「――」

ハニー「……私達、マルフォイ家の屋敷にいるの!お願い!助け……助け、て!」





バチンッ!!

「ええ、ハニー・ポッター様!!!」

ロン「うわっ!?な、なんだ!?今の音……ああ!!!」

ハニー「っ、っ、あぁ嘘みたい!あなたが……来てくれたのね!」

「それなら、お誂え向きのあなたの豚がここに!この屋敷のことは知り尽くしております!何せ!」

ハニー「会いたかったわ、ドビー!!!」


ドビー「ドビーは悪い子、ですので!ヒンヒン!!」

「あれはただの模造品よ!模造品なの!」

「どうだかね!小鬼がいたな、あれに作らせたのか!?え?正直に言わないと、おあずけだよ?うん?」

「本当よ!あれは、ただの、あぁ……お願い」

「それじゃ、件の小鬼に鑑定させようか。おいそこの糞狼、見入ってないで小鬼つれて来い」

ガタガタッ、ガタッ

ハニー「っ、グレイバックが、降りてくるわ」

ロン「よっし、ドビー。いっちょ君のチートパワーでさ……」

ハニー「待って。ダメよ、あの剣が……本物だと思われたままじゃ、まずいわ。ドビー……グリップフックを、蘇生できる?」

ドビー「はい、ハニー・ポッター様!よっ、っと!にございます!」

ゴスッ!

ロン「まさかのツボ押し」

グリップフック「――カッ、ハッ――なん、です……どこ、です、ここは……?」

ハニー「グリップフック?ねぇ、私を覚えているかしら?」

グリップフック「貴女様は――ハニー・ポッター――高額預金者様!えぇ、それはもう!忘れもしません!!!」

ハニー「……やな覚え方ね」

ロン「僕ん家なんて記憶の片隅にもないんだろうな、こいつら……マーリンの髭」

ハニー「お願い、グリップフック。私が大人になってから、もう一個、口座を開いてあげてもいいわ。頼みを聞いてくれる?私がこんなに下手に出るのはとっても珍しいことよ?」

グリップフック「それは、それは……ここは、『あの人』のアジトかなにかですかな?……お頼みを聞けるかどうかは、極めて前向きに検討させていただくとこの場は返答させていただければ……」

ロン「そんな役所向けっぽい回答はいいんだよ、今にあいつらが来るぜ、ここに」

ハニー「簡単なことなの。ただ、『剣はニセモノだ』って答えてくれれば、それで!お願いよ!」

バタンッ

グレイバック「よーし、動くなよ?え?全員壁に下がれ……おい、小鬼。いいもん見られるから上に来い」

ディーン「あ、じゃぁ僕も」

ジャスティン「僕も僕も」

ロン「トイレを先に」

グレイバック「下がれって言ってんだ。来い、小鬼!」

ハニー「グリップフック……お願い」

グリップフック「……」

ガタガタッ、バタンッ、ガチャッ

ロン「……あいつ、協力してくれるかな」

ハニー「あいつらの側につくメリットもないと思うわ。自分を捕虜にした相手だもの、信じましょう……さぁ、ドビー」

ドビー「えぇ、ハニー・ポッター様。今すぐにも皆さんを、外にお連れいたします!ヒンヒン!」

ハニー「あなたの方は信頼できる子ね……けれど、全員はまだ、よ。私とロン以外を先に逃がして。私達は、ハーマイオニーを助けなきゃ……」

ルーナ「! あたしも、あんたたちを助けたい!!」

ディーン「そうだよ、ハニー!」

ジャスティン「僕達だって、何か……!」

ロン「ディーンとジャスティンはオリバンダーを逃げた先で支えてやってくれよ。ビルの家に行けば、安全だ。ドビー、『貝殻の家』だよ」

ハニー「ルーナ、あなたも休まないといけないわ。無理はやめて。大丈夫。行って!」

ルーナ「っ――絶対?」

ハニー「えぇ。大丈夫」

ルーナ「 あんたがそう言うなら、信じて待ってる。友達だもン」

ハニー「……えぇ。あの絵みたいに、皆で、揃いましょう。ドビー!」

ドビー「はい!ハニー・ポッター様!またあとで!」

バチンッ!

ベラトリックス「どうだ、小鬼。この剣は本物か?え?」

グリップフック「――」

ベラトリックス「どうなんだ?おい、嬢ちゃんの方じゃなくてこっち見ろこら、服のはだけ具合じゃ似たようなもんだろこら」

グリップフック「――年齢というのは、おそらく、ガリオン金貨よりも価値のあるものです」

ベラトリックス「ぶっ殺す、三秒以内に答えないとぶっ殺す。どうなんだ?え?」

グリップフック「――偽物ですな。このような贋作を見極められないとは、魔法使いに同情いたします」

ベラトリックス「! そう、そーうかい、ハハ!気分がいいから糞生意気な口の利き方を許してやるよ!」


ハニー「……よかったわ、言うことをきいてくれて」

ロン「あぁ、それに、ドビーがついでに地下牢の扉の鍵もあけてってくれたしね……扉の前に落ちてたこの杖、なんなんだろ?嫌に短いな。それに、なんだか懐かしい匂いがする……なんだっけ……昔、枕元でよく嗅いだような」

ハニー「分からないわ……ドビーが戻るまで待ちたかった、けれど……今、でないと……」


ベラトリックス「『闇の帝王』をお呼びしよう!あぁ、お出でください我が君……!」

ルシウス「べ、ベラトリックス、だから、それは私が……」

ベラトリックス「黙れ。あぁ、我が君、あぁ……っ!」

サッ、グイッ

ジューーーーーッ

ハニー「っ、闇の印に、触れ……っ、あぁ、ぁあっ、わた、し、の……傷跡、まで……!」

ロン「ハニー!?くそっ、ハニーは傷跡の痛みをこらえてうずくまっちまうし、ハーマイオニーは隅で服の前を押さえながら静かに泣いてるし、僕はどうすりゃいいんだ!マーリンの髭!」


ハーマイオニー「ぐすっ、もう、もうハニーのお嫁にいけない……」

ベラトリックス「あーんたも本当のことを言ってたんだねぇー、グレーンジャーちゃーん?『穢れた血』のくせに楽しませてくれた、っけどさぁ……我が君の目にはいらせるには、邪魔だな」

ハーマイオニー「……」

ベラトリックス「グレイバック、殺s――」

ロン「やめろおおおおおおおらああああ!!!『エクスペリ・アームス!』」

バチッ!!!

ベラトリックス「!?!?!?てめ、あぁ!?っ、杖が……やーるじゃん、赤毛ノッポ!それに」

サッ!

ハニー「っ、あんたの杖を使うのは癪だけれど、もらうわよ!ベラトリックス!『ステューピファイ』!」

ベラトリックス「おら、たまには役に立てノータリン」

グイッ

ルシウス「え……フォオオオオイッ!?」

バチッ、ドサッ……

ハニー「っ、味方を、盾に……どこまでも最低ね!」

ベラトリックス「! その声!その声!!あっは、ハッははhあぁははははhははああはは八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!あんただ!やーっぱりあんただ、ポッティーちゃん!!顔はいい女にはならなかったねぇー!?」

ハニー「うるっっっっさいわよこの女狐!!!!!!!!」

ベラトリックス「そうそう、このグレンジャーちゃんだ。動くなよ。杖がなくってもねえ……ナイフで喉を掻き切れば、人なんて簡単に死ぬでしょう?」

ハーマイオニー「……は、にー……ロン……」

ハニー「っ……」

ロン「ハーマイオニー!」

ベラトリックス「杖をおろせガキども。その場に投げ捨てろ。ポッティーの方はあたしの杖なんだ、丁重に放れよな」

カラン、カランッ

ベラトリックス「それでいい。グレイバック、杖を集めろ。さっさとしろよ」

グレイバック「へい、姐さん」

サッ

ベラトリックス「さーて、さて。ポッティーちゃん?あんたがここで正体を明らかにしてくれたことはさぁー?あたしにとって朗報もいいとこだ。闇の帝王はもう間もなくここに訪れる。あんたには死が迫ってる!」

ハニー「っ、そのくらい、分かってるわ。あいつは――あいつは、怒り狂っているわよ。遠くまで出向いた先では成果が得られず、それに……この呼び出しがもしも、またも無駄なものだったらどうしてくれよう、って、ね」

ベラトリックス「……あんたが我が君のことをまるで理解しているかのように語るな」

ハニー「分かるわよ、あの単純思想のことだもの」

ベラトリックス「黙れ!さて、あんたたちをまた縛りあげるとしよう。ドラコ、縄をもってきな……ドラコ?」

マルフォイ「フォイ、いや、はい……あの、べ、ベラ、おばさん?母上?」

ベラトリックス「だからそれやめろってんだろ。なーんだい?」

ナルシッサ「おねむですか、ドラコ?」

マルフォイ「ちがくて……なんだか……あの……僕らの真上のシャンデリアが、やけに……ゆ、揺れて、ないかなー、と」



ギィイイッ、ギイイイイイイッ

ドビー「……こんばんわ、もと女主人様、元坊ちゃま」

ベラトリックス「あ……なて、め……」

ドビー「悪い子なみなさまには、頭バッチン!で、ございます」

ガキンッ


ドシャァアアアアアアアアアアアアッ!!!パリィイイイイイン!!

パラパラパラッ
 バリバリ、ドサッ

ハニー「っ、手段はともかく、よくやったわドビー!っ!」

グレイバック「あ、がが、い、って……前、見えな……あ?は、はなせ!この、誰だ!この!」

ハニー「杖、よこしなさい!!っ、これで……『ステューピファイ』!」

グレイバック「」

バタンッ

ロン「ハニー!ハーマイオニーと、それに、グリップフックは掘り起こしたぜ!」

ハーマイオニー「ゲホッ、ゲホッ、あぁ、ロン、ありがとう……グリップフック、どこか、怪我を……?かがんでいる、けど」

グリップフック「いいえ、いえ。この剣を守っているまでです……」

ハニー「っ、よくやったわ、ロン!こっちに!ドビー!あなたも!」

ドビー「はい!ハニー・ポッター様!」


ガラガラッ!

ベラトリックス「……ッペ!逃がすかよ、糞ガキども!殺す、殺す殺す殺す!!爪の一枚一枚にこのシャンデリアの破片をぶち込んで目玉にも口にも穴という穴にねじ込んで!!ただじゃおかない!!私を、わた――」

ナルシッサ「――ドビィイイイイイイイイ!!!!」

ベラトリックス「ひぃっ!?!?」ビクッ

マルフォイ「ひいいいっ!!!」ビクッ

ドビー「っ」ブルブルブル

ナルシッサ「お前が!!!お前か!!!!!お前がシャンデリアを落としたのか!!!!!」

ベラトリックス「し、シシ、シシシシシー?あんたはやめよう?あんたはブチ切れるのやめよう?そういうの姉さんに任せよう?ね?」

マルフォイ「そ、そそそそうですよ母上あの、その」

ナルシッサ「黙る」

マルフォイ「フォイ」

ベラトリックス「わ、わー!やっちまえー!シシー!殺しっちまえー!」

ハニー「……どたばたやってるところ悪いけど、私達は逃げさせてもらうわよ!」

ナルシッサ「逃がさない!逃がすか!ドビー!!!マルフォイ家を裏切って!!貴様……っ!」

バチンッ!

ドビー「杖はあっちの部屋の隅までふっとべ!で、ございます!」

ベラトリックス「この、小猿がぁ!!魔女の杖を取り上げるだと、屋敷しもべ風情のくせに!」

ナルシッサ「なるほど、ハニー・ポッターが新しいご主人様というわけ、ドビー!!この、この……!!」

ドビー「――ドビーに、ご主人様はいない!!」

ハニー「えぇ――そうね、ドビー」

ドビー「ドビーは自由な屋敷しもべ妖精だ!!誰の命令でもなく!ドビーの、意思で!」



ハニー「あなたは、私の大事な――」



ドビー「ドビーの友達を助けにきた!!それだけでございます!」



ハニー「っ、ドビー!行きましょう、さぁ!この場から、姿を……!」


ドビー「はい、はい!ハニー・ポッター!ドビーは、ドビーは」


パシッ

グルンッ



ベラトリックス「逃がすかぁあああああああ!!!」

ブンッ!!!



ドビー「ようやく、あなたに恩返しができて――幸せにございます」


グルングルングルングルン






海岸

ザザァァァッ、ザァァァァッ

ドサッ、ドサドサッ

ロン「幸せな重み!っ、あぁ、こりゃ、『貝殻の家』のすぐ近くだ……信じらんないぜ。僕達、逃げおおせたよ」

ハーマイオニー「っ、えぇ、奇跡だわ……色んな意味で跡も残されたけど」

ハニー「っ、すぐに、忘れさせてあげるわよ、ハーマイオニー。それで……グリップフック?立てる?」

グリップフック「……ぐぅっ」

ハニー「っ、少し、辛そうね。すぐに、ビルとフラーのところに……あぁ、ドビー」

ドビー「――」

ハニー「あなたのおかげよ、ドビー。全部、あなたのおかげ。ねぇ、どうやってあの場所の、こと……知、って……」

ドビー「――」

ハニー「……ドビー?」

ドビー「――ハニー、ポッター……」

ハニー「どうして……あなたのお洒落な服、さっきまで、色んな色だったのに……真っ赤、に……どう、して……どうして……あぁ、あぁ、ドビー!!ドビー!!!!!」

ドサッ

ドビー「ハニー・ポッター……」

ハニー「あぁ、あぁ、これ……ベラトリックスがもってた、ナイフ、あぁ……いや!!ドビー!!ドビー!!!」

ドビー「ハニー・ポッター……ドビーは……ドビーは、幸せでした」

ハニー「いや!!ドビー!!!駄目!!!!駄目!!!!!いやよ、誰か!!誰か、助け、たす、けて!!ドビーを!!だれか……」

ドビー「貴女様のお友達で、いられて……こんなに友達に、囲まれて……ドビーにはもったいない、最期にございます……ハニー・ポッター……あなたに自由をもらえた、おかげで……ドビーは、ドビーはこんなに、幸せに」

ハニー「嫌よ!!ドビー!!まだ、まだまだ一杯!!ずっと!!幸せに!!こんな、こんなの、って!!いや!!ドビー!!ドビーーー!!」

ドビー「えぇ、えぇ……ハニー・ポッター……ドビーは、これからも、幸せにございます」

ハニー「っ!そうよ!きっと、助かる!助かるから!死ぬなんて、そんな、の……」

トンッ

ドビー「……心の、中に……ドビーは、ハニー・ポッター……いつでも……ハニー・ポッター……あなたの、幸せを」

ハニー「ドビー!!!ドビー……ドビー!!!!」

ドビー「……」

フッ

パタッ

ドビー「」

ハニー「…………ドビー……返事、して!!ドビー!!!ドビー!!!っ、冗談じゃ、ないわ!!ひっ、ヒンヒン、鳴いて!ドビー!!ドビー、いや!!!いや!!!!!!!!!ドビー!!!!!!」







ハニー「……」

ロン「……ハニー。このままここにいたら、凍えちまう。中に入ろう」

ハニー「……」

ロン「……ハーマイオニーたちは、ビルのとこで治療をしてるよ。だから、ほら」

ハニー「……」

ロン「……ドビーは、後でしっかり埋葬してやろう。先に、ビルたちに事情を話さなきゃ。あの屋敷でのこと……」

ハニー「……えぇ、そうね……あの、屋敷……今まさに、あいつが、怒り狂っているあの屋敷……」

ロン「……また、心が通じてるのかい?」

ハニー「……えぇ。あいつの、感情が……でも」

バチッ……

ハニー「……もう、二度と。そうは、ならないわ」

ロン「……」

ハニー「ドビーを思う心は。悼む気持ちは。こんなに張り裂けそうな想いは。ドビーと一緒にある、わたしの心は……わたしのものよ。わたしだけのもの」

ハニー「あいつなんかに負けないわ……都合の言い様に、押し付けられるなんて許さないわ」

ハニー「……だから」

ハニー「ロン……あなたは、黙っててくれるわよね」

ロン「……それはもう」

ハニー「どれだけ、泣いても……っ、あいつにも、誰にも、気づかれないわよね?」

ロン「あぁ、そうだね。君は気丈に、前を向くんだ。ドビーのために……ドビーの幸せのために」

ハニー「……ドビー……ドビー……っ、ぁ、っ、ぅ……ドビー!!ドビー!!」

ロン「……」

ロン「海辺の風は塩っぽいなぁ。もちのロンでさ」

今回はここまで
次回はおそらく来週日曜
じゃあの!

ザクッ、ザクッ、ザクッ
 パラパラッ

ハニー「……こんなところ、かしら」

ロン「あぁ、ハニー。ドビーのために墓穴を掘る君といったら、まるで地球そのものを創り返るかのような似合いっぷりだったねもちのロンで……うん、立派だよ。奴さんには過ぎるくらいさ」

ハニー「ドビーのしてくれたことを考えれば、足りないわ……墓石、は」

ディーン「僕とジャスティンで用意しておいたよ、しっかり磨いてね」

ジャスティン「本当なら大理石のでっかいのを立ててやりたいよ……ダンブルドアみたいな」

ハニー「それは、ビルとフラーのお家のお庭だもの、あまり……あなたたち二人は、これでもいい気はしないでしょうけれど」

ビル「馬鹿言っちゃいけない。君たちを救った勇敢な亡骸を我が家に向かえ入れられるのは光栄だよ」

フラー「まわーりには、ウイキョウを植えまーす。ドっビーを賞賛できまーすし、お庭も綺麗になりまーす。一石二鳥でーす?」

ハニー「ありがとう……それならいいの……お花……」

ルーナ「ハーマイオニーとあたしで摘んできたもン」

ハーマイオニー「百合ばかりだけど……なんだかこれしか目に入らなくて」

ハニー「えぇ、そうね……あとで上書きしてあげる。手向けるのは、これで……あぁ、そうだわ。あと……」

スルスルッ

ジャスティン「! は、ハニー!?まさか、君の靴下を!?」

ディーン「しかも脱ぎたて!?!?」

ロン「ピーンとね!僕らもおっちんじまえばあるいは……あ、冗談、冗談です冗談、ハーマイオニー違う、ほら、君、本調子じゃないんだからさ、暴れるとほら、マーリンの髭さ」

ハーマイオニー「えぇ、あなたの棺には山ほどそのお髭を詰めさせていただくわ」

ルーナ「用意しとくもン」

ハニー「……眠ってるみたいにしか、見えないわ」

ハーマイオニー「……本当」

ハニー「……何か言ったほうが、いいのよね」

ロン「そうだね。でもさ、君はほらこれ以上口開くとまた泣き出しそうだからやめたほうが痛い!」

ハーマイオニー「ロン、いい加減ひどいわよ」

ロン「いや、こういう時に軽口叩くのが僕の役目って言うか……」

ルーナ「おもしロンでもいいけど、あたしから始めていい?」

ハニー「……えぇ、お願いできるかしら」

ルーナ「ん。ドビー、地下牢から助け出してくれて、本当にありがとう。あなたが死んでしまうなんて、とっても不公平だわ」

ルーナ「だから、あなたがあたしたちにしてくれたこと、絶対わすれないもン。そしたら、あなたにまた会えるから」

ハニー「……」

ルーナ「その時は、あなたが幸せだといいな。ありがとう、ドビー」

ディーン「うん、本当、そうだ。ドビー、ありがとう」

ジャスティン「おかげで自由になれたよ……ありがとう」

ロン「君がいなくなるのは本当に惜しいぜ、同胞……いいや、友達として。ありがとう、ドビー」

ハーマイオニー「さようなら、ドビー」

ハニー「……」

ハニー「……ありがとう。おやすみなさい、ドビー」

ビル「……土を被せるよ。さあ、お別れだ」


スゥゥッ

ザザザザ、ザーーーッ



ハニー「……また、ね」

ザザァァァッ、ザザァァァァッ

ハニー「……みんなは、『貝殻の家』に入ったけれど」

ハニー「わたしは、もう少しだけ仕事があるわ」

ハニー「ううん。わたしが、そうしたいからそうするの。わたし、自身が」

ハニー「……」

スッ

ハニー「……グレイバックから、もぎとった杖……どれが誰のだったか、分からないけれど」

ハニー「これでいいわ……折れた杖よりは、きっと上手く扱えるわよね」

ハニー「……墓石に」

パァァァッ

ハニー「ハーマイオニーなら、もっと上手く刻めたはずだわ。まぁ、彼女に刻むのはわたしだけれど」

ハニー「……」

ハニー「『自由な妖精 ドビー ここに眠る』」

ハニー「……」

ハニー「……あいつが、ベラトリックスたちを痛めつけている感情は……どこか、遠いところで起きているみたいに感じるわ」

ハニー「これが、心を閉じるってことなのね。ダンブルドアがスネイプから学ばせたがった……」

ハニー「……ダンブル、ドア」

ハニー「ドビーがどうやって、あのタイミングであの屋敷に、現れたのか」

ハニー「分からない、けれど……この、鏡」

ハニー「シリウスの鏡の破片に映った、あの瞳……あれが誰のものかは、見間違えないわ。絶対に」

ハニー「……」

ハニー「……ありえない、けれど。あなたは、どこかでまだ、見守ってくれているの?」

ハニー「ロンのことを理解して、『ライター』で戻れるようにしてくれていた」

ハニー「ドビー信頼して、私達のところに助けに行かせてくれた」

ハニー「あなたはわたしのことは、理解していたの?わたしのことは、信頼してくれていたの?」

ハニー「あなたはわたしに、何を残そうとしていたの?」

ハニー「……」

ハニー「……」

ハニー「……考えるまでもないわ」

ハニー「あいつが、あの牢獄で手に入れようとしていたもの。今、まさに、手に入れられるその核心に迫っているもの」

ハニー「それを、わたしは知ってる。知るべきだった、けれど……求めては、いけない」

ハニー「わたしが、求めるべきなのは……」

ハニー「……」

ハニー「あぁ、アルバス。こんなに難しくする必要があったのかしら。わたし一人で悟るのに、こんなに時間がかかったわ。こんなに、犠牲が出てしまったわ」

ハニー「……今度、会ったら。ひどいんだから」

『貝殻の家』

ビル「ジニーが休暇中でよかったよ。ロンが君たちと一緒に行動していると分かった途端、奴らは僕ら家族を狙い始めただろうからね」

ロン「そんじゃ、みんな『隠れ穴』からミュリエルおばさん家に移ってるんだね?は、っは……そりゃ、フレッド、ジョージは面白くないだろうな、はー……」

ビル「あぁ、けど我慢してもらうしかない……ハニー、君のせいじゃあない。ウィーズリー家は純血魔法族最大の『血を裏切る者』なんだ。遅かれ早かれ隠れることになっていたよ」

ハニー「……みんなは本当に安全なの?ミュリエルおばさんの所には行った事がないけれど、絶対とは……」

ビル「そこはおなじみ、『忠誠の術』さ」

ハニー「……鼠は信用しないことをお勧めするわ」

ロン「ほんとほんと。おまけに十三年間も同じ屋根の下に住まわせるなんてまったくマーリンの髭だよな」

ビル「そうするよ。それで、ハニー……グリップフックとオリバンダーと、話がしたいって?」

ハニー「えぇ。二人ともまだそんな調子じゃないのは、分かってる。けれど、急がないといけないの」

ビル「……ふーっ。僕は、君達が何をしているのかは聞かない。父さんとそう決めた」

フラー「わたーしは、ねほーりはほーり身体に聞くべきだーと思ってまーすよ?ハァニー?」

ハニー「鳴くのはどちらになるかしらね」

ビル「けど、これだけは言わせてくれ。小鬼のことはなるべく信用するな。鼠ほどじゃないけどね。いいかい?」

ハニー「……覚えておくわ」

ビル「あぁ。それじゃ、どっちと先に?二人とも、上の階の客間で休んでもらってるよ」

ハニー「……分霊箱か、秘宝か、ね」

ビル「うん?」

ハニー「いいえ、もう決めてあるの。グリップフックと、話すわ。一番にね」

ロン「あいつ、気を取り戻したかい?」

フラー「ガリオンがいちまーい、ガリオンがにまーい、とかのたまってまーす」

ロン「そのまま埋もれっちまえばいいのにな」

コンコンッ

ガチャッ

ハニー「ハァイ、グリップフック? 脚の具合はどうかしら」

グリップフック「痛い。でも、治りつつはある……あぁ、高額預金者さんごきげんよう」

ロン「おい、ハニーに目が行っちまうのは自然現象だけど後他二人を無視するなよこの野郎」

ハーマイオニー「噛み付かないで、ロン……あー、肩、貸してくれてありがとう」

ロン「ナニされたか聞かないけど君もまだ足が上手く立たないんだろ?いいよ、別に」

ハーマイオニー「……あなた、こんなに大きかったかしら」

ロン「何を今更。ほら、ハニーの隣に立ってるんだろ君は」

ハーマイオニー「えぇ、あの……それって、私達二人でとか、そういう……?」

ロン「だから、何を今更」

ハニー「……」

グリップフック「……婚前準備貯金の口座を開くならお得なプランをご用意しますが」

ハニー「詳しく聞かせて」

ハーマイオニー「ハニー、脱線しないで脱線を!!ニヤニヤもなし!!」

ロン「そりゃ、ハニー。一等星さんが起きたらそりゃもう合法なわけだから有無を言わさずそうなるだろうk痛い!ありがとう!」

ハニー「……単刀直入に言うわ、グリップフック。ホグワーツの輪郭も、見えてきたところだもの」

グリップフック「……ホグワーツ?」

ハニー「こっちの話。あっち、かもね……協力してほしいの。グリンゴッツの金庫破りに」

グリップフック「!?」

ロン「……おったまげー」

ハーマイオニー「は、ハニー!?気は確か!?」

ハニー「誰に聞いてるの?いつだって本気よ、私は。グリンゴッツから、あるものを取り出す必要があるの」

グリップフック「……不可能です。前例がありません」

ハニー「あるじゃない。七年前、私の誕生日の日、713番金庫。クィリナスがあいつの命令で『賢者の石』を取り出すために……」

グリップフック「あの時、あの金庫は既に空でした。あなたもお分かりのはずです、取り出した本人と一緒にいたのですから」

ロン「ハグリッドって人生の運の八割近く使ってるよな、ハニーと真っ先に知り合うなんてさ」

ハーマイオニー「二番目私だわ」

ロン「ちくしょう」

グリップフック「あの金庫はその時点で最低限の警備しかなされていなかった……あなたがどこの金庫に忍び込もうとしているかは知りませんが」

ハニー「えぇ、そうね。とっても厳重に守られているはずよ……ベラトリックス・レストレンジの金庫は、ね」

グリップフック「……『おのれのものに あらざる宝 わが床下に求める者よ――』」

ハニー「『盗人よ 気をつけよ――』でしょ?分かってるわ……けれど、きっとあそこにあるものだってそもそもあいつが盗んで、ベラトリックスに預けた物だわ……何かを自分のために、盗むわけじゃない」

グリップフック「……」

ハニー「……信じてもらえないかしら」

グリップフック「……あなたが個人的な利益を求めない人物である、ということを?」

ハニー「えぇ」

グリップフック「……」

ハニー「……」

グリップフック「高額……オホン。ハニー・ポッター。あなたは、屋敷しもべ妖精を……埋葬していましたね?そこの窓から、見ていました」

ハニー「えぇ、そうよ」

グリップフック「……あなたはとても変わった魔法使いです、ハニー・ポッター」

ハニー「お褒めの言葉は高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的で模範的から受け付けたいところだけれど」

グリップフック「……小鬼やしもべ妖精は、今夜あなたが示したような保護や尊敬には慣れていません。『杖を持つ者』がそんなことをするなんて」

ハニー「……杖を、持つ者」

ロン「オリバンダーなら隣だぜ、ハニー」

ハニー「いいの、その気の利かせ方は今いらないわ、ロン……」

グリップフック「杖を持つ権利は魔法使いと我々の間で、長い間論争されてきました」

ロン「でも、君たちって杖なくても魔法が使えるだろ?わっかんないなー」

グリップフック「それは関係のないことです!杖の術を!!魔法使いはその秘術をほかの魔法生物と共有することを拒んだ!そうすることで我々の力が拡大する可能性を否定し、そして自らを優位に保たせた!」

ロン「じゃあ君たちの金属加工技術についちゃどうなのさ!それをひた隠して僕らに売りつけて、金をしこたま儲けまくってる君たちだって――」

ハーマイオニー「ロン」

ロン「はい、黙ります」

ハニー「そうしなさい。グリップフック、今のは――」

グリップフック「至極正直な感想、そうでしょう、えぇ。闇の帝王が力を得るにつれ、結局!あなたたち魔法使いは我々の上位に立っている!」

ハニー「……」

グリップフック「グリンゴッツは支配下におかれ!屋敷しもべは惨殺され!それなのに、杖を持つ者の中で誰が抗議をしていますか?この現状こそ――」

ハーマイオニー「私達がしてるわ!それに、グリップフック!私は、あなたたちと同じくらい厳しく狩り立てられているのよ!私は、『穢れた血』だもの!」

ロン「おい、自分のことをそんな風に――」

ハーマイオニー「あら、いけない?『穢れた血』!それが私の誇りよ!誤魔化す必要なんてどこにもない!」

ロン「……君、ウィーズリー家にぴったりだぜ、もちのロンで」

グリップフック「――であるからして、式の資金は当然のこと、ハネムーンの資金までこちらの専用金庫にですね」

ハニー「うんうん」

ハーマイオニー「話を進める!!!!」

ハニー「わたし、聖歌隊に参加したいわ」

ハーマイオニー「そっちじゃなくて!!!!!!!」

ハーマイオニー「グリップフック!あなたが見ていた通り、ハニーはドビーのことを尊重して、埋葬したわ!」

グリップフック「……」

ハーマイオニー「そもそもドビーがあそこに駆けつけたのだって!ハニーがドビーを自由にしたから!それを知っていた!?」

グリップフック「……」

ハーマイオニー「私達三人が、ずっと前から!屋敷しもべ妖精を解放したい!っていう運動をホグワーツで勢力的かつ意欲的に前向きに検討し実践に移すよう努力していたことを知っていた!?」

ロン「あぁ、そりゃもう、うん、あれは凄かった、うん。嘘は言ってない」

グリップフック「……なんと」

ハーマイオニー「グリップフック!私達以上に『あの人』を打ち負かしたいと思ってる人はいないわよ!それを知っていて、そんなことを言ってるの!?」

グリップフック「……」

ハニー「ハーマイオニー、ありがとう。もういいわ、分かってくれたはずよ……そうよね?」

グリップフック「……あなたた、達が。とても変わっている、というのは。十分に」

ロン「あぁ、何せ反吐ってバッジを着けちゃうくらいだからな」

グリップフック「……」

ハニー「……協力、してくれる?」

グリップフック「……こんなに若いのに、あれだけ多くの敵と、戦うなんて」

ハニー「それが私の、やらなくちゃいけないことだもの」

グリップフック「……で、あれば」

ハニー「……」

グリップフック「考えておきましょう。私が……出来るかもしれないことを。どこまでやらなくてはいけないか、を。それで?」

ハニー「えぇ、最高の回答だわ、グリップフック。話をしてくれてありがとう。休んで頂戴」

グリップフック「そうさせていただきましょう……お二方」

ロン「なんだい?」

ハーマイオニー「なに?」

グリップフック「将来設計は計画的に!」

ロン「……この野郎、その営業スマイルを一ミリでもいいからこの問答中に見せろってんだ。マーリンの髭!」

ロン「……いやなチビ」

ハーマイオニー「ほら、またそういう風に」

ロン「けど、そうだろ?僕らがやきもきしてるのを見て楽しんでるんだぜ、あいつ」

ハーマイオニー「一応は最後には協力する姿勢を見せたじゃない……それで、ハニー。レストレンジの金庫に入る、って話だけど……本気?」

ハニー「当然よ。ベラトリックスのあの怯えよう、見ていたでしょう?どうしてかしら?」

ロン「そりゃ、うーん。任せてた剣をまんまと盗られてた、からとか」

ハニー「えぇ。剣が本物で、私達がその金庫に入り込んだんじゃ、って勘違いした時……他に何か見られた、盗まれた、と思ったとしたら?」

ハーマイオニー「……分霊箱?もう一つのそれが、金庫の中に……?」

ロン「でもさ、ハニー。分霊箱は、『あの人』縁の場所にあるんじゃないか、ってのがこれまでのさ……?」

ハニー「あいつにとってグリンゴッツは憧れの場所なのよ、きっと」

ハーマイオニー「憧れ?」

ハニー「あそこに金庫を持つことが、あそこの鍵を持つことが、魔法界に属することの象徴のように思えて……わたしも、そこにパパとママの遺産があるって聞いた時は驚いたし、とっても……嬉しかったわ。本当にわたしは、この世界の一員なんだ、って」

ロン「それを近くで見ていたハグリッド畜生。その時まだ全然素直じゃなかったはずだからすぐに引っ込めて涼しい顔してたに違いない、くそぅ」

ハーマイオニー「記憶を抜くしかないわね」

ハニー「誰が何じゃなかったですって、もう……だからきっと、『大事な何かを隠す場』の一つにしたに、違いないのよ、あいつも」

ロン「君って本当に『あの人』のことが分かってるんだなぁ」

ハニー「一部を、ね。嫌になるほど……考えれば考えるほど、似ている部分があるもの」

ハーマイオニー「……けど、ハニーはハニーよ!絶対に、あの人なんかと……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうねハーマイオニー。あいつの感情なんて、わたしの強い想いの前じゃどこか遠いところだわ。さ、約束通り忘れさせてあげる。オリバンダーさんに話を聞くまえに、ね」

ハーマイオニー「ちょ、ハニー、そうよ、今真剣な、あぁ、ハニー、そんな、あぁ、あの喧嘩の後の時、くらいじゃないと、きっと、わた、私……」


ガチャッ

ロン「そっちはつづけてどうぞ! ヘーイオリバンダー老!元気!?」

オリバンダー「あ、あまり……君は嫌に愉快ですな、ウィーズリーさん」

短いが今回はここまで
来週土曜日は朝から開始するんで堪忍な
じゃあの!

土曜日が出勤になってしまいそうだ
その場合、前回と同じかそれより遅い時間に再開になってしまう
本当に申し訳ない

日をまたぐまで帰れそうにない
今週はお休み 次回は出来れば来週…
すまん

コンコン

ガチャッ

ハニー「……ハァイ、オリバンダーさん。お邪魔していいかしら」

オリバンダー「えぇ、ポッターさん。ご友人はとうに……そちらのご友人の方は息が荒いですが、大丈夫ですかな」

ハーマイオニー「気に、ふーっ、しない、で。ふーっ、ください」

ロン「丁度、百合の花とかで杖は作れないのかなぁって話が一段落したところだよ二人とも」

オリバンダー「それはそれは、素人考えどころか頭がおかしいとしか思えませんでしたが……ポッターさん、改めて。救けていただき本当に……」

ハニー「私じゃないわ。私達も巻き込まれただけ。たすけて、くれたのは……」

オリバンダー「えぇ、聞き及んでいますよ。屋敷しもべ妖精……それでも、あそこで死ぬものと思っていた私には、あなたがたに感謝してもしたらない」

ロン「首輪なら言い値で譲るよ?」

ハーマイオニー「茶化さない。オリバンダーさん、私たち、色々とお聞きしたいことがあるんです」

オリバンダー「何なりと、何なりと……このような老いぼれがお話できることがあるのかは、疑問ですが……あなたがたの時間をいただく価値が、あるのか……」

ハニー「時間……そうね。もう、間に合うことはないでしょうけれど」

ロン「?」

ハーマイオニー「?」

ハニー「……なんでも。わたしが、決めたことだわ。えぇ……オリバンダーさん。この杖は直せる?」

オリバンダー「杖ですか、どの…………あぁ…………あぁ」

ハニー「……ちょっとした、事故で」

オリバンダー「柊と不死鳥の尾羽根……二十八センチ……覚えておりますとも……あなたさまにお渡しした、私の作った……」

ハニー「そう、その……」

オリバンダー「かわいいかわいい、杖フィーヌ」

ハニー「………………まさか名前までつけていたのは意外だけれど」

オリバンダー「あぁ、真っ二つに。なんと惨い……事故?何があったのですかな?よもや、不注意で――」

ハーマイオニー「あの、ごめんなさい!私が、やってしまったんです!爆発の……」

オリバンダー「爆発するのは髪の毛だけにしとけよ……あぁ、なんと」

ハーマイオニー「」

ロン「おいこの杖馬鹿!!!今なんつった!?え!?おい!聞けよ!あー、ハーマイオニー気にするな、ほら、爆発って言っても、うん、今日は精々コンフリンゴだぜ、もちの僕で」

オリバンダー「申し訳ない、ポッターさん。ここまで破壊されてしまった杖を直す術は、私と言えども持ち合わせておらん……」

ハニー「……そう」

オリバンダー「ほとんど真っ二つ、かろうじて杖材の皮と芯のわずかな部分で繋がっているのみ……こんな杖で魔法を使うのは、危険きわまりないでしょう」

ロン「あー、もしもさ、スペロテープなんかでグルグル巻きにしっちまったら、どうだい?」

オリバンダー「死にたいのですかな?」

ロン「……あー、暴発したのがロックハートん時でよかった、本当に」

オリバンダー「それにしても、緊縛趣味とは……お若いのに杖の真髄に近づいt」

ハーマイオニー「それ以上は何も聞きたくありません聞くもんですか。オリバンダーさん、この杖は何でできているのか、見ていただけますか?」

オリバンダー「これは……鬼胡桃にドラゴンの琴線、三十二センチ……ベラトリックス・レストレンジの杖、だったものですな」

ハニー「……それじゃ、こっちは?」

オリバンダー「フェンリール・グレイバックの杖だったものですな。ついでにこっちはピーター・ぺティグリューの杖、だったもの」

ロン「……さっきからさ、『だったもの』ってのはどういうことだい?だって、これ、どう見たって杖そのものだぜ?」

オリバンダー「元の持ち主のものではなくなっている、という意味です。ここにある杖は、あなたがたが奪ったのでしょう?」

ハニー「そうね……グレイバックがまとめてもっていたものを、私がむしりとったわ」

オリバンダー「それならば、一般的に言えばこの杖はあなたに忠誠すると考えられるでしょう。杖そのものの気質に負うところもありますがな」

ハニー「……まるで杖が感情を持っているかのように……あぁ、でも、そうね。乱暴しないで、って言ってるのを、聞いたことがあったわ」

ハーマイオニー「……私、何も聴いてない」

オリバンダー「あぁ、『例のあの人』の杖ですな、おそらく。あなたの兄弟杖であるあの杖は、そう、偉ぶっていても実のところ逆境に弱い節がありそこがまたグッとくる自信作でして――」

ハーマイオニー「私、何も聴きたくない」

オリバンダー「あなたがたに一番最初に杖をお渡しした時に申し上げたとおり、杖『が』魔法使いを選ぶのです。そのことは、杖の術を学んだ者にとって常に明白なこと」

ハニー「……杖に選ばれていなくても、その杖を使うことは出来るの?」

オリバンダー「当然、魔法使いであるならばほどんどどんな道具を通しても魔法を使うことが出来ます」

ロン「なるほど、通りであの首輪をつけてるとやけに頑丈でやけにタフですぐに回復すると思ったぜ」

ハーマイオニー「ますます呪いの道具ねあれ……え、じゃああなた、今、三階から落ちたりとかしたら」

ロン「君残して死ぬわけないだろ、何言ってんだ」

ハーマイオニー「あぁ、そう……うん?……え?」

オリバンダー「しかし最高の結果は必ず、魔法使いと、相性のあった杖で成し遂げられる。このつながりは複雑なものがあります。最初に惹かれあい、お互いに経験を通して探求する。己が魔法を、己が魔力を。杖は魔法使いから、魔法使いは杖から学ぶのです」

ハニー「……そして、奪われた杖は」

オリバンダー「えぇ、通常、新しい持ち主に屈服するでしょう。これは、どんな杖にも等しくいえます。個人差、否、個杖差はありますが」

ハーマイオニー「新語を作らないでください」

オリバンダー「新語?なにを。杖協会では紀元前から使われている言葉ですとも、えぇ。その他人格ならぬ杖格、思春期ならぬ思渡期など」

ハーマイオニー「中々渡される持ち主が見つからなくて悩む時期とかなんとなく字面で感じましたからお願いしますもういいです」

ハニー「……どんな、杖にも」

ロン「そんじゃ、僕が使うべきなのは武装解除したベラトリックスの杖か、あの鼠野郎のやつってことかぁ……拾っただけでも大丈夫なのかい?」

オリバンダー「えぇ。どうやらあの男はこの杖を捨てて物陰に逃げたようです。なんと可哀想なことを。今はあなたにケツ振ってますとも」

ロン「表現」

ハニー「……臆病になった、ってところかしら。えぇ、ベラトリックスたちと一緒に、ひどい目にあっているわ」

ハーマイオニー「あって、いる?ハニー、また……」

ハニー「前とは違うわ、大丈夫……オリバンダーさん。所有権の話は、本当に、どんな杖にも通用する、のね?」

オリバンダー「えぇ……ポッターさん、どうしましたかな。杖の深淵、その神秘に興味が?『週間・杖~この夏のトレンドは芯チョイ見せで決まり☆~』なら、お貸しでき……あぁ、もう春だ」

ハーマイオニー「私の方は嘆きたいのそこじゃないわ……」

ハニー「それじゃ……杖の真の所有者になるのに、前の持ち主を殺す必要は、ないのね?」

オリバンダー「…………ポッターさん。えぇ、その必要がある、とは言いますまい。もちろん、そう。『勝ち取る』という条件の中には、えぇ、その手段もありましょう……一体、何を……?」

ハニー「……伝説があるわ。ある、杖のこと。一本の……いいえ、ハーマイオニーによると名前を変えて複数あるのかもしれない、って言われてたわね……殺人によって手から手へ渡されていた、そう言い伝えられていた、杖」

オリバンダー「……それは、ただ一つの杖でしょう」

ハニー「そして、あいつはその杖に興味があった。そうね?」

オリバンダー「わたし、わしは――どう、どうして、そのことを」

ハニー「……あいつは私と自身の杖の繋がりを克服するために、あなたに何度も質問した」

オリバンダー「……ポッターさん、私は、あなた、あなたを、売るつもりなんて!少しも!」

ハニー「分かってる。ええ、あなたは拷問されたんだもの……分かってる。責めるつもりはないの、事実だけ教えて。あなたは兄弟杖のことをあいつに話して、それで、誰か他の杖を使えば上手くいくだろう、そうあいつに教えたのね?」

オリバンダー「えぇ、あぁ、私は……知っていることを、喋るしかなかった……分かってください、あぁ……」

ハニー「分かってるったら。それでも、上手くいかなかったわ。私の杖豚……」

オリバンダー「杖フィーヌ」

ハニー「……杖フィーヌは、あいつの姿を捕らえて、私が使ったこともないような呪文であいつを撃退したわ。これが、何なのかは……?」

オリバンダー「あぁ、『あの人』のあの日の激昂はそれで……ポッターさん、申し訳ない。私にも皆目検討がつかない……兄弟杖である以上に、あなたがたの何かが……」

ハニー「……そしてあいつは、あなたに例の杖のことを聞き出した。違う?」

オリバンダー「……確かに。『死の杖』、『宿命の杖』、『ニワトコの杖』などと呼ばれるその杖について、『あの人』は私が知っている全てを知りたがった」

ハニー「……私の杖を、打ち負かすために?」

オリバンダー「そう。それまで『あの人』は、私があの日彼とあの杖を巡り合わせたその日から、ずっとあの杖に満足していた……イチイの木、不死鳥の尾羽根、三十四センチ……当然です、私が作った杖なので」

ハニー「えぇ、そうね。とってもいい杖だったわ……私の、杖b」

オリバンダー「杖フィーヌ」

ハニー「分かったから」

オリバンダー「あなたの杖を征する手段として、今は、『あの人』はその杖を欲しております……」

ハニー「そう。でも……じきに知ることになるわ。私の杖はもう折れてしまって、直すこともできない、って」

ハーマイオニー「は、ハニー。そんな、まさか!そんなことを、どうやって……あなたが心を閉じる努力をしていないのなら、えぇ!そうなるかm」

ハニー「あなたの杖があの屋敷に残ったままよ。連中は、きっと直前呪文を使ってどんな呪文をこれまで使ってきたか調べるわ。そして、あの杖が私の杖を折ってしまったことも、ね」

オリバンダー「えぇ、まぁ……可能ですな。そして、それから誰があの杖を使い続けていたかも」

ハーマイオニー「あっ……あぁ……それじゃ、わ、わたし、私、やっぱり、と、とんでもないこと――」

ロン「君は悪くない。なあ、いまそんな心配するのはよそうよ。どっちにしろ『あの人』は例の杖を手に入れるつもりなんだろ、きっと。同じことじゃないか」

ハーマイオニー「……ロン」

ハニー「……そうね」

オリバンダー「ウィーズリーさんの仰ったとおり。ポッターさん。『あの人』はあなたの杖が失われたと知っても、えぇ。追い求めることをやめたりはしないでしょう」

ハニー「……でしょうね」

オリバンダー「あの杖を手に入れることで真に無敵になると信じている……それを所有することがどれだけ、常に攻撃されることを恐れる事になるかをものともせず……」

ハニー「……」

オリバンダー「しかし……『死の杖』に、『例のあの人』……どれほど強大な、どれほどすさまじい魔法を生み出す、のか……おっと、いかんいかん、ヨダレが」

ロン「そろそろこいつぶん殴っていい?」

ハーマイオニー「抑えて、えぇ、続きそうだから」

ハニー「あいつに、杖作りのグレゴロビッチがその杖を持っていたことも……」

オリバンダー「……ポッターさん、あなたはどこまで……確かに、教えました。噂があった……何年も前、あなたが生まれるより、ずっと前」

ロン「世界がまだ始まってもないころだな、つまり」

ハニー「えぇ、私と共に生まれたものね」

オリバンダー「グレゴロビッチが杖仲間に、『自分はあの伝説の杖を持っている』語った、と……その杖を探求し、その性質を複製することがどれだけ同業者の中で有利か、言わずとも分かるでしょう……?」

ハニー「えぇ、大賑わいでしょうね、お店は……ところどころ閉まってる、ホグズミードの様子とは、大違い……」

ロン「ホグズミード?」

ハーマイオニー「……ハニー?」

ハニー「オリバンダーさん、色々とありがとう……最後に、一つだけ。『死の秘宝』と呼ばれるものについて、何かご存知?」

オリバンダー「? なんですかな、それは。聞いたこともありません」

ロン「ん?子供の頃に、絵本とかで名前くらい……」

オリバンダー「子供の頃……本を読む暇があれば一本でも多く杖を作っていましたな。学生の頃も」

ロン「灰色の青春だよな、あぁ。きっと成績も……」

オリバンダー「なぜか勉強はできましたが、えぇ、レイブンクローで」

ロン「……マーリンの髭!!!!!」



ハーマイオニー「……ハニー。どうしてオリバンダーさんに、グレゴロビッチのことを?」

ハニー「……あいつが彼に何を問い詰めていたのか。彼のところから……グリンデルバルドが何を盗んだのか。もう、分かるでしょう?」

ロン「……『ニワトコの杖』」

ハニー「そう。あの杖を持って……グリンデルバルドは、強大になっていったんだわ」

ハーマイオニー「話が見えないわ、ハニー。それが……」

ハニー「えぇ、そして……強大になったグリンデルバルドを、打ち倒した、のは?」

ハーマイオニー「……まさか」

ロン「ダンブルドア? あの杖は今、ダンブルドアが!なんてこった!あれ、でもさ……ダンブルドアはもういない。杖は、どこなんだろう」

ハニー「ホグワーツよ……きっと。あいつは今、あそこに向かってる。確かめるために。手に入れる、ために」

ロン「!それなら、行かないと!ハニー!『あの人』が杖を手に入れるってんなら、そうする前に――」

ハニー「もう、遅いわ。あいつは――もう、お城にいるもの」

ハーマイオニー「そういうことね……ハニー、分かっていたのね!どうして!?グリップフックとじゃなく、オリバンダーさんの方から先に話をしておけば!間に合ったかも、しれないのに……」

ハニー「私は、ただ『知りたかった』だけよ。それが何なのか……それがどこにあるのか……あなたが正しかったの、ハーマイオニー。私は……秘宝になんて目をくれている場合じゃ、なかった」

ハニー「私が探すのは……アルバスと約束したのは、分霊箱を探すこと……それだけ、なんだもの」

ハニー「……あぁ、ドビー」

ソッ

ハニー「……力を、貸してね。確かめないと……あいつ……あいつ、は」



―――

――



ホグワーツ

ギィィィィッ

『……我が君』

『あぁ セブルス校長 出迎えご苦労』

スネイプ『何故、このような時間に城へ……ベラトリックスたちの失態は聞いております。しかし、ポッターどもは、ここへは』

ヴォルデモート『余計な詮索をするな セブルスよ 俺様のやることが信じられぬか?』

スネイプ『――滅相も』

ヴォルデモート『ならば、俺様を一人にしろ あとで城で会うことになろう 素晴らしい 力と共にな』

スネイプ『……』

スッ……

ヴォルデモート『――俺様がこれから向かう先を、何者にも知られてはならぬ 誰一人 鼠の一匹』

パッ、サァァッ

ヴォルデモート『――「めくらまし術」 これでよかろう もっとも』

ザッ、ザッ、ザッ

ヴォルデモート『あれを手にすれば もう こんな小手先の魔法など 使うこともなかろうが』

ザッ、ザッ……

ヴォルデモート『――随分と、立派な墓ではないか』

ヴォルデモート『ダンブルドア 貴様の墓を暴く それが俺様がこの杖を使う 最後の術となろうとは』

ヴォルデモート『なんともふさわしい 象徴的な行為ではないか?』

ヴォルデモート『 いつかの 礼だ 』

ボォオオオオオアアアアアアアアアア!!

ヴォルデモート『燃え上がれ、大理石 砕けよ、かつての英雄の威信 あぁ、そして』

ガラガラガラガラッ……

ダンブルドア『』

ヴォルデモート『参ってやったぞ ダンブルドア』

ヴォルデモート『――』

ダンブルドア『』

ヴォルデモート『見る影もない 死は結局、貴様にも牙をむいたではないか』

ヴォルデモート『死よりも恐ろしいもの 死に勝る力などない』

ヴォルデモート『この現状こそが それを物語っているだろう』

ヴォルデモート『どうだ、ダンブルドア』

ヴォルデモート『貴様が大事にしていた城は もはや俺様のものだ』

ヴォルデモート『貴様が大事にしていた生徒は もはや俺様のものだ』

ヴォルデモート『貴様が守っていたものは 貴様が手に入れたものは 俺様が全て破壊した 墓石も 何もかも 貴様の全てを』

ヴォルデモート『いずれ、あの小娘も手向けてやろう そうだ そして』

ヴォルデモート『貴様の 「力」 の 全ても 俺様のものだ』

バチッ、バチバチバチッ

ヴォルデモート『「ニワトコの杖」よ 俺様に仕えろ』

ヴォルデモート『俺様はヴォルデモート卿 死の飛翔 死を司る貴様の』

バチバチバチバチバチッ!

ヴォルデモート『新たな 主人だ』






ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……聞いてるこっちが恥ずかしいわ」

ハーマイオニー「……ハニー、真面目に」

ハニー「大真面目よ。恥ずかしいったらないわ、本当。どこまでも……プレティーンな黒豚ね、あいつは……くれてやるわ。最強の杖、くらいね」

小出しで申し訳ないが今回はここまで
次回は来週日曜日 がっつりすすめる
じゃあの!

土日、出勤になってしまった
投下できるとしてもどちらかの夜にある程度になると思う
申し訳ない。不甲斐ない。

来週日曜以降に延期
本当に申し訳ない

四月

ハニー「フラー。焼き加減はこれでいいかしら」

フラー「上出来でーす、ハニー。でも、何度も言ってまーす?料理のお手伝い、いりませーん。あなーたは、おきゃくさーまで……」

ハニー「そんなわけにいかないわ。隠れさせてもらって、お世話になりっぱなしだなんて。このくらいさせて。いい?」

フラー「でーもでーすね?おかーさま言ってまーした。台所は妻の戦場、他所の女に渡すなんて言語道断、でーす?」

ハニー「別に私ビルとらないわよ……お客様以前に、お友達でしょ?」

フラー「んーふん、さもあらん、でーす!ハニー?いい嫁になりまーすね、あなた」

ハニー「知ってるわ」




ロン「なあハーマイオニー、君もあそこに参加しなくていいわけ……おっと、ごめんよ。悪いこと聞いた。失敬失敬」

ハーマイオニー「……どうせ私は料理の腕がアレだから掃除をさせてもらっているわよところでロナルド口の中が随分と汚いようね徹底的に洗ってさしあげるわ?」

ビル「ロナルドは君がいい嫁になる的な意味で言ったと僕ぁ思うなあ、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「ハニーの?望むところだわ」

ビル「……あ、うん、それで君がいいならいいけどさ、うん」

ロン「僕も僕も」

ビル「……お前はそれでいいのかロナルド」

フラー「フーンフン、フフーン♪ あぁ わたしの大鍋を 混ぜて頂戴~♪」

ハニー「……あなたはセレスティナの曲を馬鹿にしていたと思ったけれど?」

フラー「オッオー、それは過去のわたーしでーすね。ハニー?呉下の阿蒙にあらず、でーす」

ハニー「だからどこから仕入れるのそういうの」

フラー「おかーさまから、セレスティーンの曲、たーくさん、おしえてもらいまーした。今じゃヘビロテでーす」

ハニー「そこじゃなくて……ビルは退屈しないでしょうね、えぇ」

フラー「んーふん。ここでとじこもりっきりなーのも、悪くありませーん?」

ハニー「……ごめんなさい。私たちが逃げ込んだせいで」

フラー「?」

ハニー「あなたとビルは、新婚なのに……部屋をいくつも使わせてもらって、それに……」

フラー「ふんふん。んー、そうでーすね。わたーしとしても、あの客人、ごーぶりんはあまり好きじゃありませーん」

ハニー「あー……グリップフックは、えぇ。もう具合も随分良くなったのに、料理を二階まで運ばせたり」

フラー「料理そのものにもいちいち小うるさいでーす。やれ味が薄い、やれもっと生肉を。小姑かっ!」

ハニー「……」

フラー「でーも、ハニー。あなたがあの小鬼を必要としてるなら、彼もわたーしの客人でーす。ウィ?」

ハニー「……ありがとう」

フラー「礼にはおよびませーん。おともだーち、ですから?」



ビル「見ろよ僕の嫁。なんて完璧なんだろ」

ディーン「意義あり!完璧という単語はハニーにこそ相応しい!」

ロン「いやハニーはむしろ隙ありまくりなのが素晴らしいんだけどね」

ハーマイオニー「今ハニーが聞いてたら包丁投げられてるわよあなた」

ルーナ「それから、耳がちっちゃいの。カバのみたいだってパパが言ってた。呼ぶときはハミングしなきゃいけないんだもン。ワルツが好きなんだ。あんまり早い曲は駄目」

ジャスティン「へーぇ……ためになるなあ。マンティコアが、まさかそんな」

ハーマイオニー「……ルーナの相手をしてくれてありがとう、ジャスティン」

ジャスティン「いやあ、ハハハ。僕、ハッフルパフだし」

ハーマイオニー「やめて泣けてくるわ」

フラー「オリバンダーさんは、今夜ミュリエールのところに行きまーす?そうしたら、すこーしは楽になりまーすね。小鬼を一階にうつして、それでー」

ハニー「えぇ、それに、もうすぐ面倒をかけなくて済むようになるわ。グリップフックも、そろそろ決断してくれるはずだもの……そうすれば、私もロンも、ハーマイオニーも、長く留まる必要は――」

フラー「――それ、どういう意味でーすか?」

ハニー「え?だから……」

フラー「あなーたは、ここから出て行くつもり、そう聞こえまーしたけど?」

ハニー「それは――」

フラー「いけませーーん!!」

ハニー「私たち、やること――っ、ちょ、っと――息、苦しいから、フラ、ちょっと!腕!ゆるめ、て――!」

フラー「あなーたたち、ここにいれば安全でーす!どこーにも行きませーん!」

ハニー「わっ、かっ、たっ、から――だから――あぁもう!あーごーを!あーたーまーに!グリグリ、しないの!!もう!!!」


ディーン「おたくのお嫁さん最高ですねロンのお兄さん」

ビル「だろ?」

ロン「あー、こんな時ばっかりはビッキーの野郎に報せてやりたいね、全く」

ハーマイオニー「ビッキー言わないで。それに、彼は……あ」


フラー「んーふん、わかればよかろうなのでーす。ハァニー?オッオー、すみませーん。今離して――オゥン!?」

ハニー「えぇ、そうね、フラー。あなたは本当、お友達甲斐があるわ……お友達以上のことで、お礼をしなくっちゃ、ね……?」


ハーマイオニー「ロン、モップを持ってて。行ってきます」

ロン「いってらっしゃい!ごゆっくり、どうぞ!」

ビル「お前、いい主夫になるよ」

夕食

ロン「なんだか今日のスープは美味しいね。出汁が利いてる!出汁が!」

ハニー「えぇ、それはもう良いものがね……オリバンダーさん、色々とありがとう」

オリバンダー「えぇ、ポッターさん……お力になれず申し訳なかった」

ハニー「そんなことはないわ、本当にね」

ルーナ「お別れするのは寂しいわ、オリバンダーさん。元気でね」

オリバンダー「お嬢さん、ありがとう。君がいてくれたから、あの恐ろしい場所で正気でいられた……あ、わしがしっかりしなきゃ的な意味で」

ロン「ボケが流れっぱなしだもんな」

ハーマイオニー「私がいない時のあなたとハニーも大概過ぎるわよ言っとくけど」

フラー「オールヴォア、オリバンダーさん。もしよろしければ、ミュリエールに荷物を渡してくださーい。借りていたティアラを、結婚式からこっち、返そう返そうと思っていたんでーす」

オリバンダー「喜んで、デラクール嬢……いや、今はウィーズリー夫人でしたな……お世話になったお礼として、このくらいのことはお安い御用です。ティアラ、ですかな?」

フラー「んーふん。これでーす」

スッ

ハニー「……あぁ、本当に綺麗だわ。ね、そのうち着けるハーマイオニー?」

ハーマイオニー「えぇ、ほんと、あれに合う髪型ってどん……………いやその理屈はおかしいわ!?」

ヌッ

グリップフック「――ムーンストーンとダイヤモンド。ふむふむ、それに、見事な銀細工」

ロン「おい、いきなり横から出てきて触んなよ」

ハニー「ハーマイオニーがまだ試着してないでしょ」

ハーマイオニー「そうよそうよ…何の試しなの!?」

グリップフック「小鬼製の物と見ましたが?」

ビル「あぁ、そしてそれを魔法使いが正式に買い取ったものだ。グリップフック、手を放せ。僕とお宝の権利関係で揉めるほど、君は馬鹿じゃないと思ってるぞ」

グリップフック「……お偉い講釈をどうも、元・宝漁り殿」

ビル「おっと、僕らのおかげで金庫が潤ったのは誰だっけ?」

ロン「難しい事はよくわかんないけど取り合えず小鬼はオリバンダー老見習えよ、もちのロンで」





フラー「――私の大鍋を……フフーン、フーン」

ハニー「……フラー、そこのフレーズ、もう三回目よ」

フラー「オッオー、そうでーす、か?いけませーん、んー。セレスティーナの曲が十曲流れる頃には戻る、と、ビルは言ってまーした。しっかり、歌わないといけませーん。んっんー――わたーしの大鍋を~♪」

ハニー「動揺も分かるけれど、ってば……あっちには、みんながいるのよね?」

ロン「うん。パパママ、フレッジョ、ジニーがね。ミュリエルばあさん、きっと荒れてるぜ。何せフレッジョが大人しくしてるなんて――」

ガチャッ

ビル「あぁ、あの二人は生まれた時から冗談みたいに騒がしいよ――ただいま、みんな」

フラー「! わたーしたちの馴れ初めは!」

ビル「君が僕に速攻で陥落された。実は僕の方もね」

ロン「秘密の質問になってないよな、あの大衆の面前でやったことはさあ」

ディーン「大多数はハニーとハーマイオニーをどうぞるので手一杯だった気もするよ」

ジャスティン「自然の摂理だね」

ロン「そういやそうだった」

ハーマイオニー「いやな習性ね全く」

ハニー「かわいい豚だわ。おかえりなさい、ビル。みんなは元気だった……?」

ビル「あぁ、パパとママがよろしくってさ。ジニーが会いたがってたよ。ハニー欠乏症で死にそうだって」

ルーナ「? パパがその患者のために、クィブラーにオマケをつけてたと思うけど」

ハーマイオニー「そんな理由だったのねあれ」

ビル「双子はふくろうの通信販売で商売を続けていてね。物置が商品で埋め尽くされっちまって、ミュリエルはカンカンだった」

ロン「いいぞ、もっとやれ」

ビル「あぁ、でもティアラを渡したら少しはマシになったよ。僕らが盗んだものと思っていたらしい。おいグリップフック、その目が何を意味してるかは聞いてやらないぞ」

フラー「フーンンン。あぁ、ミュリエールってほんとーうに、シャーマントでーす」

ルーナ「レイブンクローの失われた髪飾りみたいに無くなっちゃったら、あたしも嫌かな。でも、パパが再現したんだよ。あとちょっとで完成だ、って」

ロン「っぷ、っく……そりゃ、大傑作に違いないよな」

ハニー「あぁ、あの管とかの……失われた?そう、呼ばれているの?レイブンクローの、髪飾りは」

ルーナ「そうだよ。主な特徴はもうほとんど分かったって。あとは、ビリーウィグの羽根をつければ完成だって」

ハニー「そこじゃなくて……ねぇ、ルーナ。それ、どのくらい昔から無くなっているの?どこにあるのか、ヒントは――」

ルーナ「うーん、どうだったかな。あんたが城に戻る機会があったら、聞いてみるといいよ。紹介するから。『灰色の――」

ドンドンドンッ!!

ハニー「!」

ビル「誰だ!!!」


「私だ!ルーピンだ!リーマス・ジョン・ルーピンだよ!」


ハニー「あなたが奥さんのことで一番愛しているところは!」

ガチャッ!

リーマス「太陽のような笑顔――だからねハニー!?ちょっと違うよ君の質問は!あぁ、まだいてくれた!よかった!生まれた!!生まれたんだ!!男の子だ!!!生まれたんだよ!!」

ハニー「生まれ――えっ!?」

ハーマイオニー「リーマス、あなたからも質も――まぁ!!!」

ロン「ヒェー!リーマス、本当、いつ仕込んだんだよ!マーリンの髭!」

リーマス「そのいじり方やめて本当に!!」

リーマス「男の子だ!!ニンファドーラと、私、あぁ、生まれた!僕達の子供!」

ハニー「あぁ――あぁ!リーマス!!よかった……!」

リーマス「あぁ、ハニー!あの犬に、怒られるかもしれないが……」

ギューッ

ハニー「いいのよ、シリウスの分まで、抱きしめさせて!一緒に、いるのね!?トンクスと――赤ん坊と!」

リーマス「あぁ、守るとも!ずっと、ずっと――君のおかげだ、ハニー。君たちの……この前は、すまなかった」

ハニー「いいの。いいのよ!幸せなら!あなたと、トンクスと!それに、えーっと」

リーマス「テッドだ。ドーラの父親から名前をもらった……幸せな子になる、約束する!」

ハニー「えぇ……そうよ、そうに、決まってる!」

リーマス「ハニー、君が後見人に、なってくれるかい?」

ハニー「――私、わたしが?いいの……?それって、とっても大事な……だって」

ロン「君にとっての一等星レベルってことになるね、うん。恋愛は置いといて」

リーマス「うん、そこは置いといて――君ほどぴったりな人はいないと、ドーラも大賛成なんだ。引き受けてくれると、嬉しい」

ハニー「――喜んで!」

フラー「んーふん。わたーしたちも、負けてられませーんね、ビル?」

ビル「ハハハ、確かに。テッドと近い年齢になるかもなあ――その時は仲良くさせてあげてください、リーマス」

ロン「巡り巡って結婚なんてしたりして。HAHAHA!気が早いにもほどがあるね!マーリンの髭!」


かんぱーい!!

カチン!カチカチンッ!

リーマス「ありがとう、ありがとう!!!」





かんぱーい!

リーマス「もう一度かい?あぁ、ありがとう!テッドに!かんぱーい!」





かんぱーい!

リーマス「ど、どうしても言わなくては駄目かい?え?言うまで帰さない?あー……ドーラ!愛してるよ!かんぱーい!!」





リーマス「……いやいや、ハハハ、もうこれくらいに、乾杯はこれくらいに。もう戻らないと、本当に」

フラー「美人のお酌は断るものじゃありませーん」

リーマス「あー、じゃあ、あー、これで最後に、うん。テッドに!……プハッ!あぁ、私は、もう行かないと――」

ハニー「美人のお酌は?」

リーマス「あぁ、全く、ハニー、お父さんやあの犬が泣いて喜ぶほど成長したね、君は、うん、いただこう……プハッ!そ、それじゃ、そろそろ」

ロン「ほらハーマイオニー、お酌してきなよ」

ハーマイオニー「え?わ、私も!?あ、あのー……?」

リーマス「あぁ、い、いただこう、お幸せに……プハッ!もう、もういいね?もう?あぁ――そうなるね、この流れだと、断るのは不自然だ」

ハニー「わたしの大事なお友達だもの。さ、ルーナ?」

ルーナ「安心して。干したガーディルートの先っぽを入れておいたから、酔いが一気にさめるもン!」

リーマス「あ、ありがとう…………ぐっ、っぷ、……プハッ!……脱狼薬よりひどい……それじゃ、みんな、また……近いうちに。写真を送るよ」

ハニー「楽しみにしてるわ、リーマス!あー……待つ事は出来るか、わからないけれど」

リーマス「ありがとう、ハニー……テッドのためにも、無事でいてくれ。いいね?」

ギイィィッ、バタンッ

ビル「後見人――ハニー、名誉なことだ。おめでとう」

ハニー「えぇ、ビル……驚いたし、それにとっても、嬉しいわ。ねえ、さっき言っていたけれど、あなたたちも……?」

ビル「あぁ、まあ、流石にもう少し情勢が落ち着いてからじゃないかなあとは思うけど」

ロン「リーマスって狼なんだなあ」

ハーマイオニー「もうやめてあげましょう」

ビル「そうだ、ハニー。後見人の役目とかについて、少し話しておこうか。リーマスは急いで行ってしまったしね……フラー、みんなで片付けを頼めるかい?」

フラー「んーふん、問題ありませーん。さあみなさーん、お皿をキレイキレイするまーでがごちそうさまでーすよ?」

はーい

ガタッ、カタカタ

ビル「グリップフック。君もちゃんと手伝えよな。もう動けるのに、いつまでも上客待遇でいられると思うなよ?ハニー、こっちの部屋に」

バタンッ

ビル「……ふー。あいつには、困ったもんだ……それで、ハニー」

ハニー「ええ、ビル……何のお話?」

ビル「ああ、そうだ。気づいてるね。君と話をしたかった……それこそ、あいつの話さ。グリップフックの」

ハニー「……」

ビル「ハニー。前にも警告したが、小鬼のことはなるべく信用するな。だけど君は、何かをあいつと計画してるね?」

ハニー「……どうして?」

ビル「ティアラの時、やけに諦めが早かった。僕がそっちの専門家って言っても、それはあいつだって同じだ。普段なら、もっとつっかかってくる」

ビル「あいつの頭は今、『ティアラ以上の何か』に価値を見つけてると見た。そして、それが君たちのすることに関係がある、とね」

ハニー「……あなたたちって本当、お父様の子供ね」

ビル「あぁ、自慢の父さんだよ。もちの末弟で」

ビル「僕は連中を知っている。ホグワーツを卒業してからずっと、グリンゴッツで働いていたんだから」

ハニー「……」

ビル「もちろん、小鬼の全員が信頼おけない奴だとは言わない。僕には小鬼の友人がいると言える――よく知っていて、互いに好意を持っている相手が」

ビル「だけど、だ。小鬼族全般については――ものの考え方が丸っきり、違うんだ。特に所有や代償、報酬についてはね」

ハニー「……所有や、報酬」

ビル「君があいつに何かを頼んでいるなら、その見返りに何を言ってくるか、覚悟しておいた方がいい。タダより怖いものはないなんて良く言うが、僕ならよっぽどタダを選ぶ。小鬼のことを知っていればね」

ハニー「でも、私は……わたしたちは、グリップフックのことを尊重するわ。だから」

ビル「ハニー、これは小鬼と暮らさないと分からないよ。例えば、小鬼にとってはね……どんな品でも、正当な持ち主はその品を作った者であり、買った者ではないんだ。さっきのティアラの問答で、それが垣間見えただろう?」

ハニー「……だって、それじゃ、買う意味が」

ビル「それは小鬼にとっては相手に『貸した』代金という認識なんだ。強硬派の連中は、貸し付けた魔法使いが死んだならあらゆる品は小鬼に返却するべきだと主張してる――代価も支払わずに魔法使いの家に代々受け継がれるなんて、我慢ならないだろう」

ハニー「……グリップフックは、その強硬派の……?」

ビル「あぁ、一員だ。しかも、グリンゴッツでは割と上の立場にいた。窓口も最前線、上客には文句なしの営業っぷり。逆に、それ以外の客には散々だったが」

ハニー「……」

ビル「とにかく、僕が言いたいのは――何をするにしても、小鬼と約束するなら十分注意しろ、それだけだよ。連中と不用意な約束を結ぶくらいなら、グリンゴッツの金庫破りをするほうがまだ、安全さ」

ハニー「……どっちも、やろうとしてる時は……?」

ビル「うん?」

ハニー「いいえ、なんでも。ビル、ありがとう。とっても、ためになったわ……参考に、しておくわね」

ギィッ

ロン「ハニー、お帰り。ビル、ずるいぞ!ハニーを独占なんてさ!マーリンの髭!」

ビル「はっはっは、お前にはハーマイオニーがいるだろ?」

ハーマイオニー「だからなんなの!?ハニー、みんな寝室に戻ったわ。私たちも休みましょう?」

ハニー「そうね……ビル、ありがとう。おやすみなさい。フラーもね」

ビル「あぁ、おやすみ。僕達はまだまだ寝ないけどね。さあ、フラー?さっきの言葉の意味を教えてもらおうかな……?」

ハニー「?」

ロン「さっさと寝室にひっこんでくれるかい新婚二人。ほら、ぼくたちもひっこもうそうしよう、そんで君たち二人は対抗して、どうぞ」

ハーマイオニー「嫌な期待しないで。ハニー……ビルと、何の話を……?」

ハニー「えぇ、部屋で説明するわ。さぁ、二階に……」

グリップフック「ハニー・ポッター」

ハニー「上が――きゃ!?」

ロン「おわ!?おい、グリップフック!君、適当に皿を片してさっさと戻ったんじゃなかったのかよ!マーリンの髭!暗い階段の途中に不気味にたたずみやがってハニーが泣き出したらどうす、痛い!ありがとう!」

ハニー「つきとばされなかっただけありがたいと思いなさい、ロン……ぐ、グリップフック?どうしたの?」

グリップフック「休む前に話を、と思いましてな……結論が出ました。あなたからの、提案の」

ハニー「あぁ……それじゃ」

ハーマイオニー「私たちに、協力を?」

グリップフック「――私の仲間はこれを卑しい裏切りだろ言うでしょう。ですが、えぇ。そういたしましょう。私は、あなたを助けます」

ロン「やったぜ!分かってるじゃないか、君!首輪贈呈してもいいよ!もちのロンで!」

グリップフック「えぇ、いただきましょう――首輪ではなく、確かな、報酬を」

ロン「なんだってやるよ!なぁ!?」

ハーマイオニー「えぇ!だって私たち、あなたの、助けがないと……!」

ハニー「……何が、望みなの?グリップフック」

グリップフック「……」





グリップフック「ゴドリック・グリフィンドールの剣」

ハニー「」

ロン「」

ハーマイオニー「」

グリップフック「事が上手く済んだ後、あの剣をいただきます。いいですな?」

ハニー「……あぁ、ビル。こういう時の対処まで……教えてもらえば、よかったわ」

ロン「……マーリンの髭」

ひとまずここまで
続きは今日の午前10時頃から

深夜

ハニー「……あの剣を失うなんてことは、できないわ。当然よね」

ロン「そりゃそうさ。ハニー、あんな要求聞く必要ないよ。あいつ、僕らが困るのを見て楽しんでるんだ。あ、これ前も言ったっけ?」

ハーマイオニー「そんなわけにいかないわ。でも、あぁ……よりによって、剣……何か同じくらい価値のあるものじゃ駄目かしら」

ロン「すばらしい。僕が手持ちの小鬼製の剣を一本もってくるからさ、君、きれいにラッピングしてくれよ。それを渡しゃいい。解決だね」

ハーマイオニー「……ハニーの笑顔とか」

ロン「釣りがザックザクだな、うん」

ハニー「それで済むなら話は早いのだけれどね。でも、やよ。あの剣を『グリフィンドールが盗んだ』なんてのたまうのを、豚にするなんて。御免だわ」

ロン「あぁ、何か言ってたね。君が完膚なきまでに論破してたけど。ざまあみろ」

ハニー「この私にグリフィンドールその人についてのことで騙せると思ったのが大間違いだわ」

ハーマイオニー「騙すというか、小鬼達に伝わっていたのは当時の小鬼の嘘だったということよね……それはいいの。で、報酬をどうするか、って……」

ハニー「……剣を渡す、それしかないわ」

ロン「……あー、ハニー。君の気高さは空より高いけどさ。でも、それはお人よしってもんだぜ」

ハニー「だって、助けを頼んでおいて裏切るなんて卑怯だわ。それこそ、小鬼が魔法使いを嫌う背景そのものじゃない。違う?」

ハーマイオニー「えぇ、素晴らしいわハニー。問題は……」

ハニー「そう、問題はあの剣がないと私達が困る、ってこと……だから、ね。こういうのはどうかしら……グリップフックには、事が済んだら剣を渡す、そう約束するわ。けれど……それは、全部の分霊箱の破壊が終わってから」

ロン「……冴えてる!」

ハーマイオニー「……気が進まないわ」

ハニー「私だって。でも、そうしないと……私達の、大事な……」

――より大きな善のために――

ハニー「……うるさいわよこの豚!」

ロン「! 痛い!ありがとう!ヒンヒン!!」

ハーマイオニー「!?ハニ、え!?急にロン叩いて何を……あぁ、あなた眠いのね、ええ。休みましょう……明日、出発するんでしょう?」

ハニー「……ビルとフラーには、置手紙を残しておくわ」

ロン「ヒンヒンってね」

ハーマイオニー「ディーンとジャスティンにしか伝われないでしょそれ」

ロン「何言ってんのさ、豚を超越した僕にかかれば豚のみならず全てのヒトに伝わるヒンを操れるよ、もちのロンで」

ハーマイオニー「私、小鬼よりよっぽどあなたのが人外だと思えてきたわ、最近」

早朝

コンコンッ

ガチャッ

ハニー「……グリップフック?起きているかしら」

グリップフック「えぇ、ポッターさん。あなたがたなら即時行動に移すと、思っていました。では……私の要求は、受け入れられたものと……?」

ハニー「……そうしてあげるわ」

グリップフック「具体的に、言葉にしていただきましょう」

ハニー「……あなたが私達をグリンゴッツの目的の金庫に入るのに協力をしてくれたら、その後、あの剣を私達が使い終わってから、あなたに渡すわ」

グリップフック「剣そのものを、ですな?」

ハニー「えぇ」

グリップフック「……グリフィンドールが盗んd」

ハニー「だからそれはラグヌック一世がグリフィンドールに引き渡す時に惜しくなってごねだした挙げ句に小鬼族を大勢引き連れてグリフィンドールから力ずくで奪おうとして、そのグリフィンドールたった一人に全員返り討ちにあった恥ずかしさを隠すために吹聴した大嘘だともう一度言わせてもらうわよ。これ以上馬鹿にするなら、交渉は決裂ね」

グリップフック「……まるで本人に聞いたような口を」

ハニー「同じようなものよ。ワクワクする歌だったわ……で、どうなの?」

グリップフック「……いいでしょう。では、成立です。握手を……これは魔法契約です、ポッターさん。間違っても反故にするなど、考えませぬよう」

パシッ

ハニー「……えぇ、当然、そうしてあげるわ」

グリップフック「地図を用意しておきました――ベラトリックス・レストレンジの金庫は、ここです」

ハーマイオニー「……随分……奥にあるのね」

グリップフック「当然、そこは一番古い部屋の一つです。魔法使い旧家の宝は一番深いところに納められ、金庫は一番大きく、そして最も硬い守りがされています」

ロン「あれ?僕ん家の金庫ってトロッコで二、三分だったような……おい何も言うな小鬼、分かってるようるさいなその目やめろマー髭」

グリップフック「それは、ねぇ?いくら家柄は優秀でも、中身の伴っていない金庫を用意できるほど、ねえ?我々もお?慈善事業ではあ?」

ロン「黙れって言ってんだろこの野郎むかつく!!!!!決めたぞ!!僕が将来どれだけ儲けても君んとこには一クヌートも預けないからな!!!ハニー資金にする!!!」

ハニー「見上げた人生設計だけれどハーマイオニーに預ける方にしておきなさい、しっかり管理するだろうから……守りって言うのは、どんなものが?」

ハーマイオニー「家計簿つけるわ……ん?え?」

グリップフック「それはもう、色々と。そもそもですが、最初の本人確認をどうするおつもりですかな?」

ハーマイオニー「流されっぱなしだわ最近……あー、それは大丈夫。幸いベラトリックスの杖はこちらにあるし、ポリジュース薬と、それに……タダであんな目にあったりしないわ。これ、あの女の髪の毛よ」

ロン「流石だぜハーマイオニー。責められ慣れてる」

ハーマイオニー「やめてその評価」

ハニー「私のおかげね」

ハーマイオニー「せいで、とも言うわ」

ハーマイオニー「……本当に私が変身しなくちゃいけないの?ベラトリックスに?」

ロン「よろしくした仲じゃないか、って冗談はやめとくとして。万が一変身が解けた時にハニーだと大問題だろ?」

ハニー「……ハーマイオニーを囮にするみたいで、嫌だわ。ねぇ、やっぱり私が……」

ハーマイオニー「あぁ、そういう不満を言っているんじゃないの。ただ、あの女に変身って言うのが身の毛が立つほど嫌、それだけよ」

ハニー「それは痛いほど分かるわ」

ハーマイオニー「この、杖だって……あぁ、嫌だわ。しっくりこなくて、思い通りにならなくて……まるであの女の身体の一部みたい!」

ロン「味わされた人は表現が違うね、うん」

ハーマイオニー「残念でした、ハニーにすぐに上書きされたから覚えてませんそんなもの」

ロン「くそっ、なんで僕は女の子じゃないんだ七年経っても!!マーリン!髭!」

ハニー「その杖がしたことを考えて、なりきるのよ、ハーマイオニー。えーっと、額から、開いていくような、そんな」

ハーマイオニー「あなたがあの人のそれを覗くコツは知らないしいらないわ……ねえ、それが問題なのよ。分からない?この杖はネビルのご両親にひどいことをしたし、今まで大勢の人を不幸にしたわ。それに、そう……シリウスだって」

ハニー「ロン?あなたなら見た目そっくりそのままの杖くらい用意できるわね?私、この杖今から徹底的にへし折るけれど、お願いするわ?」

ロン「任せてよ!オリバンダーがなんだかやたらと集めてた杖材の余りでもちの僕さ!!!」

ハーマイオニー「あ、あぁ!言うんじゃなかった!ハニー!落ち着いて!!!あぁ、もう!!!」

グリップフック「……緊張感がありませんな、ヒトは」

ハーマイオニー「一くくりにしないで!!!」



ハニー「出発ね……あぁ、この綺麗な景色をまた見られるのはいつになるかしら」

ロン「ビルはいつだって歓迎してくれるよ。あー、でも次会う時は一回フラーが大爆発するかもな。心配しまーした!とかね」

ハニー「その時はよろしくするわ。ドビーのお墓も……周りに緑が目立つようになってきたわね。フラーのおかげね」

ハーマイオニー「いい場所に埋葬されて、きっとドビーも……ねえ、結局ドビーはどうやって、あの場所のことを知ったのかしら」

ハニー「……ダンブルドア」

ハーマイオニー「……え?」

ハニー「……あの時、そうね……確かに、この、鏡の破片に……ダンブルドアの眼が映ったように、見えたのだけれど」

グリップフック「ダンブルドアは、死んだと聞きましたが?」

ロン「そうだよ。でもさ、ほーんと、いなくなったはずなのにチラつくよなあ。やっぱりひょっこり現れたりしてね」

ハニー「その時は思いっきり頬を腫らしてあげるわ、えぇ……いなくなってないのよ、きっと。私達が……彼を忘れない限り。えぇ……さあ、そろそろ」

ガチャッ

ハニー「!? ビル、これは、その……ジャスティン?」

ジャスティン「! ハニー……それに、ロン、ハーマイオニー……小鬼までつれて……あぁ、君達も行くんだね」

ハニー「……そう、やらなくちゃいけないことがあるの。だから……も?も、って言うのは?」

ジャスティン「……あー……僕も、やらなきゃいけないことが。もう随分休ませてもらったし」

ロン「おいおい、一人でどこ行こうって言うのさ!正気かよ!」

ジャスティン「うん、大丈夫。一人じゃないよ。落ち合う予定なんだ、すぐそこでね」

ハーマイオニー「落ち合う……?」

ジャスティン「うん、そう……それに、出てくのは君達も同じだろ?みんな、なんとなく気づいてたけどね。君達がずっと、とどまってるはずがない、って」

ハニー「……」

ジャスティン「ハニー……気をつけて。僕も、君の豚としてやれるだけのことをするよ」

ハニー「……ジャスティン?私の豚なら……絶対に無事でいて」

ジャスティン「ヒンヒン!それじゃ……ああ、そういえばハニー。僕、逃げる途中でフィレンツェとも一緒になったんだ」

ハニー「馬豚?」

ジャスティン「うん、しばらく道中一緒で……君にあったら一言、って」

ハニー「ええ、聞いてあげるわ。なぁに?」

ジャスティン「『私達はいつまでも貴女の味方です、何故なら可愛いおにゃのこは正義だk、ふぅ……火星の瞬きに惑わされぬよう、ハニー・ポッター』って」

ハニー「ぶれなさもここまでくると尊敬するわしないけど」

ジャスティン「ほんとだね……じゃ、みんな。また!」

ザクッザクッ、ザクッ……

ロン「……行っちまった。あー……止めなくてよかったのかな、本当に」

ハニー「……みんながみんな、頑張ってるんだわ。ジャスティンも、その一人……平気よ。それに、一人じゃないって言っていたでしょう?」

ハーマイオニー「……そうね……でも、それが気になったんだけど……うーん……落ち合う、って……?ジャスティンがふくろうを受け取ったところ……見た覚え、ないわ」

ザクッザクッ、ザクッ

ジャスティン「……オリバンダーさんが移って、ディーンとの相部屋じゃなくなったから……やっと、連絡をとれた」

ジャスティン「まあ……思い出に浸ってるっていう体でも大丈夫、だったのかもしれないけど」

ジャスティン「見た目はただの、うん。バッジ、だしね」

ジャスティン「……チャンピオン」


ザクッ、ザクッ、ザクッ

ザクッ

ザァアァァァァッ




「待ってたよ、ジャスティン」

ジャスティン「うん。遅くなって、ごめん。でも、良い事を聞けたよ――ケンタウロスのこと、それに――マンティコアについて」

「へえ?それは――僕たちの仲間を集わせるのに、役にたちそうかい?」

ジャスティン「もちろんさ――セドリック」

セドリック「それは良かった。さあ、行こうジャスティン。『みんな』が待ってる……僕達ハッフルパフの、新たな仲間がね」

ジャスティン「…………」

ロン「……ポリジュース薬で変身する様って、何度みても慣れないよなあ」

ハニー「ハーマイオニーの可愛いふわふわの栗毛が……あの女の黒髪に。それに……背がずっとのびて……」

ベラマイオニー「……反吐が出そうな味だったわ!ガーディルートティーよりひどい!」

ロン「S.P.E.W.がなんだって?」

ベラマイオニー「さあ、ロン。こっちに来なさい。あなたはポリジュース薬が切れたから普通に変身させる必要があるんだもの。大丈夫、痛みは最小限にしてあげるわ、杖が言うことを聞けばね?」

ロン「ちょ、やめ、その顔でハーマイが消えるのやめなよ本当に怖いから!!マーリ――いたたたたたたたたたたた!!関係ない!!絶対杖の相性とか関係ない!!!!!刺してるじゃないか!!!!殴ってるじゃないか!!!!!!」

ハニー「グリップフック?あなたは私が背負って、透明マントの中に隠れることになるけれど。いいかしら」

グリップフック「よいでしょう。なにより、魔法使いが下というのがいい。えぇ、是非に」

ロン「この野郎小鬼!!!その場所を味わうのに何百ガリオン積んだって普通なら手にはらないんだからなありがたくおもいたたたたたたた!!痛い!!マーリン!!髭!!!!髭!!」

ベラマイオニー「あぁ、これならベラトリックスになりきれそうだわ、私」

ロン「君がそっちに目覚めたら手付けられないから勘弁してくれよ!マーリン!髭!!!」

■ン「……鼻が短くなって、ソバカスが消えて、顎鬚口髭マーリンの髭。おまけに太眉。ふーん、君、こういうのが好みなわけ?」

ベラマイオニー「そんなわけないじゃない。元のあなたのほうがずっと――ずっとあの、コミカルだわ!」

■ン「僕これ怒っていい?」

ハニー「いい変装だわ、ロン。さ、行きましょう。グリップフック、背中に」

グリップフック「ええ、ハニー・ポッター」

グイッ、グググッ

ハニー「……そんなにしがみつかなくても、落としたりはしないわ?」

グリップフック「どうですかな。魔法使いは信用ならない、というのが小鬼の定説です。ええ、たとえあなたであっても、最低限の注意は、えぇ」

■ン「一応言っておくぜグリップフック。そのしがみ付く手をあと1センチでも前にもってきてみろ、僕とハーマイオニーだけじゃない、聖マンゴからいろんな意味でお迎えが来るぜ、もちの■ンでね」

『漏れ鍋』

カランカラン

トム「ハーっ、今日も少ない客の相手とグラスを磨くだけの一日が始ま――う、げ!?あ、ああ!こ、これはこれは!マダム・レストレンジ!?」

ベラマイオニー「おはよう」

トム「」

■ン「――おい、なんで愛想よく挨拶なんてしてんのさ。君に演技でこれっぽちも期待はしてなかったけどさ!」

ベラマイオニー「えっ?だって……あっ」

ハニー『他の人は虫けら扱いしなきゃ!』

ベラマイオニー「そ、そうよね……オホン」

トム「ま、マダムは、あー、本日はご機嫌が麗しいようd」

ベラマイオニー「ヘラヘラとするな!!あたしは媚びうる奴が嫌いだよ!なーんだい?価値がないのはここの酒だけじゃなくてあんたの命もみたいだねぇー?」

トム「ひぇっ!さ、さささっきまで天変地異の前触れかと言うほどある意味気味が悪い笑顔だったのに、こここ今度はこれ流石あの人のあわわわわ!」

ベラマイオニー「あたしの何がなーぁんだってぇー?」

トム「ひぃいいいいい!!」

■ン「……ハニー、どうしよう、戻らなくなったら」

ハニー『夜には元通りよ』

■ン「それもそうだ。やったぜ」

ダイアゴン横丁

■ン「……最後にここに来たときも、昔とくらべて随分寂しくなってたけどさ……今よりはよっぽど、活気があったよな」

ベラマイオニー「開店する時間じゃない、というのもあるけど……えぇ……もう営業していないお店が、かなり増えているわ。窓に板を、打ちつけて……」

ハニー『……逆に、新しいお店もある、わね……「闇の魔術専門店」……こんなのが、ノクターン横丁じゃなくて、ダイアゴンで堂々と』

■ン「見ろよ、ハニーの写真が貼り付けられてる。理解がある奴だな、って思ったら……『問題分子ナンバーワン、見かけたら即通報を!』だとさ」

ウゥゥ、ウゥゥ……
 アァ……ウゥ

■ン「……それに、あれ……あー……昨日の晩に飲みすぎた連中、ってわけじゃ、ないよな?」

小鬼『昨今問題になっている物乞いですな。投獄こそされなかったものの、杖を奪われ、行き場を無くした浮浪者です』

ハニー『……なんて』


魔法使い「あぁ、俺、俺は、魔法使いなんだ……本当だ……あの日、ここで杖を、杖を、もら、もら、って……」

魔女「目……見えない……目……杖で、光……杖……杖……ああ、わたしの、杖……ああ」

魔法使い「レストレンジだ……逃げよう」

魔法使い「今度は殺される……殺され、殺され……」


ベラマイオニー「……ひどいわ。本当にひどい……っ!」

魔法使い「――レストレンジ……お前は知ってる!レストレンジだ!!!お前、お前は!私の家族をどこにやった!!!!私の家族を!!!家族を!!!!」

ベラマイオニー「わ、わた、私、知らな――」

魔法使い「かえせ……かえせ!!私の家族を――」

■ン「『ステューピファイ!麻痺せよ!』」

バーンッ!!

ドサッ!

ベラマイオニー「っ、なにを!!!ロ……」

■ン「あぁベラトリックス様、許してくだせえ。あんたが杖をあげるまでもねえ、そうだろ?こんなのは、俺に任せってくれればいい。行きましょうや……おい、見せもんじゃねえぞ!!」

ヒソヒソヒソ
 バタバタバタ!

ベラマイオニー「……あり……あー……よくやった。褒めてやろう」

ハニー『……あとで本当に、しっかり褒めてあげるわ、ロン』

グリンゴッツ入り口

■ン「扉んとこに立ってる、あれ……なんだか棒で、入る魔法使いを突っついてるように見えるけどさ」

グリップフック『潔白検査棒です……原始的ですが、効果的。身を隠す呪文や道具を探知できる』

■ン「う、げ……その塊みたいなもんじゃないか、僕達」

ベラマイオニー「……」

ハニー『……ふたりとも、少し、時間をかせいで』

守衛1「――マダム・レストレンジ。これはこれは……さあ、こちらへ」

ベラマイオニー「――この、私が!そんなもので調べられないといけないって言うのかい?」

守衛2「あー、あの、ですが、きそ、規則でして――」

ベラマイオニー「規則、規則!!!アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!!!私が誰だか、分かって言ってるのか?えぇ?」

■ン「そうだぞ!おい、マダムがあの方の怒りを買ったとかいう噂が流れてるみてーだがな!それでもあの方に許されるくれぇ信頼されてるマダムに、オメーは何をしようとしてんだ?ああ?」

守衛1「あの、ですが――」

ハニー『コンファンド、錯乱せよ』

守衛1「あ――」

守衛2「え――」


ベラマイオニー「……」

■ン「……今だ」

ツカッツカッツカッツカッ

ベラマイオニー「――フンッ!こんなに屈辱的な扱いを受けたのは初めてだ!」

■ン「まったくだ!まー……あの人の髭!」

守衛1「……はぇ?え、あれ?なんでもう入って、あの、検査は、あの?」

守衛2「は、ああ、あー、そう、もう終わった、んでしたな……あぇ?うーん」

ハニー『……事が済んだらお詫びに来るわ、守衛さん』

ハニー『……』

ハニー『(あの日、ハグリッドと訪れたここは、不思議の国のお城みたいだったわ)』

ハニー『(ピカピカで、輝いて――魔法使いの世界なんだ、って、実感して)』

ハニー『……まさか、そこに』


『 見知らぬ者よ 入るがよい

  欲のむくいを 知るがよい

  奪うばかりで 稼がぬ者は

  やがてはツケを はらうべし

  我が床下に  求める者よ

  盗人よ    気をつけよ

  宝のほかに  潜む物あり

         ごぶりん 』


ハニー『盗人として、戻る事になるなんてね』

グリップフック『――左から二番目の、ボグロッドのカウンターへ。彼がベラトリックス・レストレンジの担当でした、悔しい事に』

ベラマイオニー「悔しさは知らないけど、ありがとう――ボグロッド!!」

ボグロッド「まーたレプラコーンの偽金貨だ。連中、何を考えて――なんと、なんと!?マダム・レストレンジ!?」

ベラマイオニー「私の金庫に入りたい!いいな!」

ボグロッド「え、えぇ……あー、それでは、身分を証明するものを……?」

ベラマイオニー「み、身分証?そんなもの、要求されたことはない!」

ボグロッド「いえ、ですから……貴女様の、杖を、と」

ベラマイオニー「あぁ、そういう……知っていたとも!貴様を試した!!それで、さあ――」



グリップフック『……駄目です、ハニー・ポッター。気づかれている』

ハニー『えっ!?』

グリップフック『ベラトリックス・レストレンジの杖は盗まれて本人の元にはない、そう通達が行っているのでしょう。ボグロッドの目を見ればわかります、あれは、恐ろしいお宝を手に入れる時の目……』

ハニー『……存外なところで頼りになるわね、あなた。あぁ……どうすれば……ただの、錯乱じゃだめ……』

ハニー『……』

ハニー『こんなところであの女の言葉を思い出すのは癪だ、けれど……本気に、本気に、ならない、と』

ハニー『……』


ボグロッド「――どういうことですかな、マダム。この杖h――」





ハニー『「インペリオ 服従せよ」』

トンネル

トロッコ内

ガラガラガラガラガラガラ

■ン「ナイス呪文だったよ、ハニー。君の手にかかればどんな呪文だってお手の物だね、もちのロンで」

ハニー「……不思議な感覚だわ、服従の呪文って。ハーマイオニー、怒ってる?法律破りなことをしたこと」

ベラマイオニー「それ、今まさに金庫破りに加担してる人に聞いてるの? 助かったわ、ハニー。ありがとう」

グリップフック「完全に危機を脱した、とは言いがたいですが。他の連中は疑っていた。聞いたでしょう?『指令を受けている、レストレンジ家の金庫については特別な命令が出ている』と」

ボグロッド「あぁ、ですが、マダムは昔からのお客様です……旧家です……案内を、えぇ……ウヒンヒン」

■ン「これ豚にしたほうが早いし確実だったんじゃないかな」

ベラマイオニー「法は破っても常識は破りたくないわ、私」

ガラガラガラガラガラ

■ン「こんなに奥まで走るなんて、家ごとに違いがありすぎだよな。僕ん家の金庫100回は行けるくらいはもう走ってるぜ」

グリップフック「それだけ特別で、それだけ重要な宝が隠されているのです」

■ン「悪かったな特別じゃなくてしょっぼい物しか入ってなくて」

ベラマイオニー「その絡みもういいでしょ。グリップフック、あとどのくらいなの?帰りの時間までこの変身を保っていないといけないことを考えると、もう……」

グリップフック「もうしばらくです。このカーブを超えて、しばらく降下した先に。この鳴子の出番もあります」

ハニー「鳴子……カウンターからボグロッドがもってきた、金属の道具ね。何に使うの?」

グリップフック「躾してあるのです、これで」

ハニー「何を……あぁ、前に何か見えてきたわ」


ドザアアアアアアアアアアア


ハニー「……」

■ン「……」

ベラマイオニー「……」

グリップフック「」

ハニー「……ねえ、グリップフック。魔法界旧家の金庫に至る前には、あんな風に、えーっと……冷たそうな滝をもろに被るところを走らないと、いけないわけ?」

グリップフック「やはり、気づかれていたのです!あれは『盗人落としの滝』!我々に対して防衛手段が発動されて――止めろ!止めろ、ボグロッド!!」

ボグロッド「ハニー・ポッター意外が指図しないでいただきたい!!」

ハニー「こ、この豚!早く、止めて――あぁ!」

ザァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

ポタポタッ、ピチャッ

ロン「トロッコから投げ出されたけどハニーとハーマイオニーの落ちるところには僕がスタンバイ済みってね!もちの僕で!いてて!今度こそ死んだかと思った!ハニーって奇跡だ!」

ハーマイオニー「あ、あなたがそうするだろうと思って、クッション魔法を下に向けておいたの、ありがとう……変身も何も、解けてしまったわね」

ハニー「よくやった、わ。ロン……阿吽の呼吸ね、二人とも」

グリップフック「……我々は放っておきっぱなしで投げ出されっぱなしですが」

ロン「ある程度は件のクッション魔法で平気だろ五体満足で何言ってんだ、記憶がぶっとばされたハートでもあるまいし」

ボグロッド「こ、ここは――私はどうして案内を!あぁ、まさかここは!」

グリップフック「……幸い、目的の金庫まではここから歩いてもたどり着けます。そして、ボグロッドは必要です。さあ」

ハニー「えぇ……どうしても、必要だもの――『インペリオ』」

ボグロッド「――ご案内しましょう!こちらへ!さあ!行きましょう!金庫へ!さあその前にご注意ください!行く先に見えますのは……!!」

ボォオオオオオオオ!!!
 ギャァアアアアアオォォン!!

ハニー「」

ロン「」

ハーマイオニー「」

ボグロッド「金庫の最後の守り、繋がれた本物のドラゴンでござーい!」

ドラゴン「グルルルルルルルッ!!グルルルルッ!!」

ハニー「……威嚇している、けれど……明後日の方向を見ているわ」

グリップフック「無理もありません、ほとんど眼が見えていないのですから。このドラゴンはこの地下に繋がれて何年になりますかな……いや、何十年か」

ハーマイオニー「……足かせ、手かせがされてるわ。鱗も、ボロボロ」

ロン「……チャー兄ぃが見たら、怒り狂うぜ。おい、どうすんだい?盲目だからって、真横を通り過ぎていく餌の匂いまで無視してくれるってわけじゃないんだろ?」

グリップフック「そこで、この鳴子を使います。これを振って……」

ガンガンガンガンガン!!!

ドラゴン「グゥルル……グゥッ!?グル、グゥゥッ、グゥゥゥゥッ」

ハニー「……怯えるみたいに、後ずさり始めたわ」

グリップフック「この音を聞くと痛い目に合う前触れだ、そうしつけられているのです。これで押さえつけている間、金庫に向かいます」

ハーマイオニー「……残酷だわ。あなたたちは、魔法使いに!自分達の扱いについてあれだけ主張しておいて!ドラゴンに、こんな――」

グリップフック「ドラゴンが言葉を喋りますか?ドラゴンが金貨を差し出しますか?ドラゴンが宝を作りますか?」

ハーマイオニー「なっ……」

グリップフック「考える力もない下等な生物は、痛みで教え込むしかないのです。そうでしょう?」

ロン「……こんにゃろ」

ハニー「……歯をくいしばらせたいところだけれど、問答している暇はないわ」

グリップフック「えぇ、そう。道徳ごっこをする時間はありません」

ガンガンガンガンガン!!!

ドラゴン「グゥウウウ!!グギュゥゥ、グウゥウウウ!」

ボグロッド「えぇいさがれい、さがれぇえい!ひかえぇえおろおおお!!この方をだああれと心得る!ひかえい、ひかえぇえええい!!!」

ハニー「あまり張り切らないで、最低限にしなさい!ボグロッド!!」

ガンガンガンガンガン!!

グリップフック「今です!ドラゴンの前を走りきって、扉へ!」

ハニー「……近くで見ると……体中、所々……傷が……っ」

ドラゴン「グゥゥ、グル、グウウウ……」

ハニー「……っ、ハーマイオニー!ハナハッカの瓶!!」

ハーマイオニー「えぇハニ……えっ!?な、何のために!?」

ガンガンガンガンガン!!!

ハニー「っ、治すなんて暇はない、分かってる!ドラゴンの鱗はきっと、治癒魔法も防いでしまうし……とんだ偽善だわ!」

ハニー「けれど、ドラゴンが魔法に弱い、目なら!こんな目に合わせた相手をしっかり見て、恨むくらいはするべきよ!目を、治して!私達を見せるの!!せめて、それくらいなら!」

ハーマイオニー「あぁ、あぁぁもう!ハニー!あなたってとってもステキ!愛してる!!」

ハニー「知ってるわ!!!」

ハーマイオニー「ビクトールから聞いたの、『結膜炎の呪い』の反対呪文!これで、少しは……『~~~~~、目元スッキリ!』」

ドラゴン「グルルッ、グルッ……グゥ……?グォ、グマグブルシッ」

ガンガンガンガンガンンガン!!

ロン「ハニー!ハーマイオニー!ボグロッドが扉を開けた!早く!!!」

ハニー「分かってる!ドラゴン……たすける事は、できないけれど!」

ドラゴン「……グル、グルル……」

ハニー「ごめんね!」

ドラゴン「……グルルルルッ」

バタンッ

ドラゴン「…………」

ドラゴン「…………」

ドラゴン「……グル、ヒ……グルルルルルルッ」

レストレンジの金庫

グリップフック「時間がありません。あの滝で盗人が落とされたことはグリンゴッツ全体に知られています。さあ、何かは知りませんが探すのです!急いで!そして剣を我が手に!!!!やっほう!!!!」

ロン「後でひどいぞこんにゃろ!よし、ハニー!例のあれの容疑がかかってるのはなんだったっけ!?」

ハニー「穴熊の紋章が彫られた、取っ手が二つついたカップ!それか、髪飾りよ!きっと、レイブンクローの印がついてるわ!」

ロン「そりゃいいや!簡単だね!こんな……宝の山積みから探すのはさ!くそ!羨マーリンの髭!!髭!!」

ハーマイオニー「手を動かして、ロン!この、ゴブレッドは……あぁぅ!?」

ジュゥウウッ!

ハニー「!! ハーマイオニー!?」

ハーマイオニー「っ、火傷、したわ……それに」

カタカタカタッ

ブワッ

カランカランカランカラン

ロン「なんだこりゃ。ハーマイオニーが取り落としたゴブレッドが……三つにも四つにも増えてく!凄い!!魔法ってすごい!!!」

グリップフック「『双子の呪文』と『燃焼の呪い』がかけられているのです!正しい手順で触れなければ発動する!そうでないと触れたものは熱くなり、再現なく増えます!コピーに価値はゼロですが!」

ロン「んなことだろうと思ったよ!それじゃ、触らずに探して……あいた!」

カタカタカタッ

ブワッ!

カランカランカランカラン

ロン「あ、足に少し当たっただけで!?」

ハニー「じっとして、ロン!」

ロン「オーケー!ハーマイオニー!!お得意の石化呪文だ!!!!」

ハーマイオニー「任せて!ペトリ――」

ハニー「落ち着いて!!!!」

ロン「……あ!あそこだ!流石はロナルド、ノッポなのは伊達じゃない!あそこ!一番高い棚の天辺に!カップがあるよ」

ハニー「! よくやったわ、ロン!あとでこんな金細工なんて目じゃないご褒美をあげるわ。ハーマイオニーから」

ハーマイオニー「なにそれ!?」

ロン「でも、いくらノッポな僕でもあそには届きそうにない!どうやって、何にも触れずにあそこまで登るっていうんだ……くそ!僕は何のために豚だったんだ!!空一つ、飛べやしない!!!」

ハーマイオニー「志の高さは人の限界の範疇におさめてってば!あ、アクシオ!」

グリップフック「無駄です、無駄!この金庫の中に納められているものは呼び寄せ呪文がききません」

ハニー「それくらい、先に……あぁ、熱いわ、っ、増えたカップやらが発する熱気で、もう……っ」


 グルゥウウウウ!グルルルルルル!!!

  「うわ!?なんだ!?炎を、こっちnぎゃあああああ!?」
 「な、鳴子をならせ!ならせ!どうしてこいつ、こっちを見てわあああああああああ!?!?」

ハニー「っ、外に、応援が来たみたいだわ。あちら側の!時間が……っ、どうすれば」

ハーマイオニー「……っ、そうだわ……ハニー、これ!これを!」

ガサガサッ

シャランッ

グリップフック「! 剣!」

ハーマイオニー「まだ事は済んでないわ! ハニー、これなら……やっぱり!この剣なら、何に触れても例の呪文と呪いの効果は起こらない!これを、持って!あのカップの取っ手にひっかけて!」

ロン「冴えてるね、ハーマイオニー!あとはハニーが身長三ハグリッドくらいになりゃ大成功だよ!」

ハーマイオニー「あぁ、これを使うのは、不本意だけど……ハニー、ごめんなさい!」

ハニー「えっ、えっ!?」

ハーマイオニー「『レビコーパス!身体浮上せよ!』」

フワッ

ハニー「きゃぁ!?」

ロン「いいぞ、ハーマイオニー!でも一つ良いかい!?」

ハーマイオニー「何!?今、私集中してるの!」

ロン「僕じゃなくてわざわざハニーを飛ばした意味とか!」

ハーマイオニー「そんなの!ハニーが今日スカートだからに決まってるでしょ!」

ロン「君って最高だぜ!!もちのロンで!!!」

グリップフック「熱さで頭がどうにかしているのですかあなたがたは!!!!!!!!!!!」

ハニー「っ、驚いたけれど、っ、いい手だわ!ハーマイオニー!そのまま、私をカップの方へ!」

ハーマイオニー「えぇ、ハニー!周りの物に当たらないように、気をつけて……あっ!」

ハニー「っ!」

カンッ

ブワッ

ドサドサドサドサッ!!!

ロン「!甲冑が、降って――危ない!!」

ハーマイオニー「あぁぁ、きゃぁ!?」

グイッ、ガシャァァァン!

ハニー「っ、あぁ、良かった。ロンが肩を抱いて避けてくれたおかげで、ハーマイオニーは甲冑には潰されなくて……けれ、ど」

ハーマイオニー「っ、ロン、あ、ありがとう。あの、なんで……」

ロン「なんで、って、当たり前だろ。君は女の子なんだから……僕が守らないと」

ハーマイオニー「っ、そんな、今、そんなこと、言われても、あの、なんだか、そんな、熱くて、あの……」

ロン「あぁ、熱いよな。なんか、頭がボーッと……」

グリップフック「おたくらが宝の棚に突っ込んだせいで一気に増えて熱が急上昇したせいじゃないですかねえ!!!!!」

カタカタカタカタ!!

ブワッ!! ブワッ!!

カタカタカタカタカタ!!!

ハニー「っ、みんな、なんとか、対処して!ハーマイオニー!私はこのまま浮かせていてね!もう少し、もう少しで、届く、から……!」

ハーマイオニー「『インパービアス!防水・防火せよ!』これで、火傷は防いで……あぁ、でも!もうこの部屋、宝で満たされてるわ!」

ロン「子供の頃はさあ!金銀財宝の中を泳いでみたいって思ったけどさあ!馬鹿な夢は叶うもんじゃないよな!!マーリンの髭!!!」

ハニー「あと、ちょ、っと」

プルプルプルプル

ハニー「っ!」

カランッ!

ハニー「! やった、わ!カップ、を、持って……っあ!」

ジュウウウウウウッ

ハニー「っ、手で持つと、これも、そうなるのね。っ、離す、もんですか。逃がさないわよ、この!!!」

カタカタカタ!

ブワッ!!

ハニー「っ、増えた、ところで!本物を掴んだままなら、惑わされないわ!みんな!出ましょう!外、外に!!っ!」

ロン「あぁハニー!やったねハニー!でもさ、そうしたいのは、山々なんだけど!」

ハーマイオニー「っ、ほとんど、身動きが!もう!」

カタカタカタカタカタッ!

 ガラガラガラガラガラッ!!

ハニー「っ、床一面どころか、もう二人の腰より上……っ、グリップフック!!」

グリップフック「モガモガモガモガ……」

ハニー「っ、『リベラコーパス、身体自由』!」

フワッ、ドサッ

カランカランッ ブワッ!!

ハニー「っ、手に掴まって!さあ、今引き上げるわ!!っ、でも、両手が、カップと剣で……」

ハニー「カップは、離せない……剣を、一度!」

カランッ

ハニー「さあ、これで!グリップフック!」

ガシッ

ガラガラガラガラッ!

グリップフック「……ブハッ!!! ああ、あぁ、ハニー・ポッター……またも魔法使いの手をとることになるとは」

ハニー「っ、当然じゃない。協力するって、約束したわ!さあ、出ましょう!ここから」

グリップフック「えぇ、そして……目的は、達成されましたな?」

ハニー「えっ? そう、ね……カップは、手に入れたわ!ここから出れば、この熱も、きっと……」

グリップフック「……では!!!」

パシッ

ハニー「……え?」

グリップフック「お役御免です!うっひょー!剣だ!剣だーーー!」

ガシッ

 ガランッ、ガランッ、ガランッ、ガランッ!!

ハニー「あ……あぁ!!待って!!!待ちなさい!!っ、足が、とられて!グリップフック!!」

グリップフック「開けろ!!開けろ!!!!外にいる我らが同胞!!開けろ!!!ボグロッドは操られてる!!!盗人だ!!!盗人だ!!!!」

ガチッ、ガガガガガガッ

ドサアアアアアアアアアアアア!!!

ガラガラガラガラガラッ

ロン「急に開いた扉から出て行く宝の波に飲まれてたら金庫から出られてラッキー、だと思った、けどさ」

ハーマイオニー「っ、えぇ、ラッキーだわ。圧死せずに済んで……最悪なのは」

ハニー「……敵意むき出しの、大勢の小鬼に囲まれてる、ってことね」

ザワザワザワザワザワ

ガラガラガラガラガラ!

グリップフック「脅されていた!目隠しされて、猿ぐつわかまされて、透明にされて、あぁひどい!やっぱり魔法使いはひどい!」

ロン「ひどいのはお前だこの下衆野郎!!!!!許してやるから剣だけでも……」

バーン!
 バーン!!!

ロン「そっちがその気なら……『ステューピファイ!!』」

ハーマイオニー「っ、やるしか、もう……『ステューピファイ!!!』」

ハニー「っ、敵対なんて、しなくていい、はずなのに……っ」

ジーーーーッ

ハニー「……?」

ハニー「なに、かしら……なんだか、視線……」

ハニー「……」




ドラゴン「グルルルルルッ」ジーーーーーーーーーーーーーーーッ

ハニー「あ……さっきの、ドラゴン……?」

ドラゴン「…………」

ハニー「……あの、目は」

ドラゴン「……グルルルルルッ」

ハニー「……えぇ、そうね?ドラゴンさん?  光が宿って、最初に見えたのが――この、私だものね?刷り込みなんてレベルじゃないわ。そうでしょ?」

ドラゴン「グルルルルルルッ!!」

ハニー「……『レダクト』!!!」

パキィィン!!!

ハーマイオニー「っ、ハニー!?何を砕こうっていうの!?こういうときは、失神……あぁ、うそ……私、いっそ失神したい」

ロン「お?やっぱりな!あの時君から引き離さなくて正解だったってわけだ!もちの僕で!」

ハニー「その通りよ……おいで!!!!!竜豚!!!!」




竜豚「ぐぎゃあああああおおおおおヒィイイイイイイイイイイイイイイイヒイイイイイイイイン!!!」

ボオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 わあああああああああああ!?!?!?
ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!
 なんか喋ったああああああああああああああああああああああ!?!?!?

上空

ハーマイオニー「これは悪い夢よ、信じられない、信じたくない……あぁ、なにこれ。なにこれ」

竜豚「ぐるるるるひーーーん!」

ハーマイオニー「ドラゴンの背中に乗ってグリンゴッツの地下から脱出なんて、しかもそのドラゴンがまたハニーの、あぁ、もう常識はずれな豚なんて見なくてすむと思ってたのに……」

竜豚「グルルルルルルヒン!」

ロン「おい!ハニー以外が豚って呼ぶなよ!なあ同胞、君も不服だよなあ?」

ハーマイオニー「黙って」

ハニー「その割には、ハーマイオニー?すぐに地下から脱出できるように竜豚の進む方向に穴掘り呪文を連発したり、順応が早かったと思うけれど?」

ハーマイオニー「諦めって大事よね……」

竜豚「グルルルヒン……」

ロン「助かった、って言ってるぜ」

ハーマイオニー「あなたがでしょ?あなたがその口で、でしょ?何も聞きたくないわ、それ以上……」

ハニー「いいじゃない。脱出、できたんだもの……みんな、火傷や切り傷だらけだけれど」

ハーマイオニー「火傷や切り傷以下の重要度なのかしらこれ……えぇ、本当。奇跡みたいだわ」

ロン「全くだ。ハニーにかかれば奇跡なんていくらでも作れる、それって自然の摂理だけどね。もちの僕で」

竜豚「グルルルルルルヒィン!」

日暮れ

湖のほとり

ハニー「竜豚がずっと飛び続けてくれたおかげで、随分と遠くまで逃げられたわ」

ハーマイオニー「ロンドンから何十キロも離れてるはずよ。ここなら、安心ね……保護の呪文はもちろんかけたけど」

ロン「竜豚の奴、ほんとにつれていかないのかい、ハニー?即戦力なのに」

ハニー「目だってしまうもの。それに、せっかく手に入れた自由を満喫するべきだわ。人は襲わないって、約束させてあるから平気でしょうし」

竜豚「グルヒン……」

ハニー「えぇ、短い間だったけれど。またね、竜豚。首輪ならぬ爪輪、大事にするのよ」

竜豚「グルゥゥルルヒン!ヒンヒン!」

グググッ、バサッ

バサッ、バサッ、バサッ

ロン「いざとなったらチャーリーんとこいけよー!手紙出しておいてやるから!」

ハーマイオニー「……まさかチャーリーならドラゴンと普通に意思疎通できるとか言わないでしょうね」

ロン「ハハハ、何言ってんのさハーマイオニー。君、それでも魔女?御伽噺だよそんなもん」

ハーマイオニー「あなたって時々猛烈にぶっとばしたくなるわね本当に」

ロン「それよりさ、もっと心配しなくちゃいけないことがあるぜ。気づいてるかい?」

ハニー「……そうね。分霊箱は手にはいったけれど……剣が」

ロン「いや、ハニー。それもそうなんだけどさ……ほら、この悲報をどう伝えればいいかな……」

ロン「……あいつらはさ もしかしたら……僕らがグリンゴッツ破りしっちまったこと、気づいちまったかもしれないぜ!」

ハーマイオニー「……っふふ、ははっ!そう、そうね!そう、かもしれないわ!えぇ!いくら、小鬼でも!あれだけ派手に、常識破れば!っふふ、アハハハハハ!」

ロン「HAHAHAHAHAHAHAHA!!だろ?やったぜ、久々にハーマイオニーのツボを……あれ?ハニー?」

ハニー「……」

ロン「あ、あー、そんなにつまらなかったかな。あー、じゃあもう一発。えーっと、さっきの金庫でのあの光景、ネビルがいたら、きっとネビルのポークビッツがロングボトム――」

ハニー「いいえ、えぇ……十分、面白いわ……そう、ね」

ハニー「……気づかれた、かもしれない。あいつに……私達のことを、ね」

――――

――


グリンゴッツ

ロビー


小鬼『』ガタガタガタガタガタガタ

死喰い人『』ガタガタガタガタガタガタガタガタ



ヴォルデモート『もう一度 聞こう 俺様に何と言った?』


小鬼『あ、あぁ――我が君――我々は、努力しました――努力、したのです――ですが――あぁ!』

ヴォルデモート『貴様の 無駄な行いのことなど 聞いていない 俺様に 何と言ったのだ』

小鬼『ぬす、盗まれ、ました……マダム・レストレンジの偽者で――ポッターと、二人の、仲間が』

ヴォルデモート『言え  言え!!! 彼奴らは何を盗んだのだ!! 言え!!!』


ベラトリックス『おいドラコ、死ぬ気でそっから逃げな。次の小鬼の二の句を聞いちまったら、全員死ぬぞ』

マルフォイ『え、でも、いいんで――』

ルシウス『行くぞ!走れ!ドラコ!!!』



小鬼『き、金色の――小さな、カップ、一つです!我が君!たったそれだけ!それ、だけで――』

ヴォルデモート『―― あぁ』


ヴォルデモート『―― たかが、カップ 』

ヴォルデモート『―― ――』



ヴォルデモート『 ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! ! ! ! ! ! !』


バーーーーン!!!!

バーーーーーーーーーン!!!!

ヴォルデモート『嘘をつくな 嘘をつくなあああああああ!!!!!』

ヴォルデモート『何故小娘がそれを知っている!!! 何故!!!! 俺様の秘密を!!! 俺様の 秘術を!!!!!!!』



ヴォルデモート『誰一人 知るはずのなかったものを!! 誰一人だ!! あぁ 貴様らも 生かしておけん!!! 「アバダ ケダブラ」!!「アバダ ケダブラ」!!!』




ヴォルデモート『「アバダ ケダブラ」あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!』

ピチャッ、ピチャッ、ピチャツ……

小鬼『』  小鬼『』

  小鬼『』

 小鬼『』   小鬼『』

死喰い人『』  死喰い人『』

 死喰い人『』 死喰い人『』

死喰い人『』

ヴォルデモート『ハーッ  ハーーーッ  ハーーーーーッ  ハーーーーーーッ』


ヴォルデモート『ほかの物は どうなった』


ヴォルデモート『俺様の宝 俺様の守り 俺様の不死の掟は』


ヴォルデモート『あの小娘はどこまで知っている どこで知ったのだ』


ヴォルデモート『ダンブルドアの影が 奴の後ろにいるのか? 俺様をいつも疑っていた あのダンブルドアめが』


ヴォルデモート『俺様に全てを奪われ 壊され 俺様の命令で殺されたはずの ダンブルドアが』


ヴォルデモート『恥ずべき死の 向こう側から手を伸ばしているというのか?』


ヴォルデモート『あの小娘を使って 小娘め 小娘め!!』


ヴォルデモート『俺様は自問する 自問するしかないのだ ここにいる者は 全て殺した』


ヴォルデモート『もしも もしも 俺様の秘宝が 壊されているとして』


ヴォルデモート『おかしいではないか 間違いなく このヴォルデモート卿は それが分かったはずではないか?』


ヴォルデモート『感じたはずではないか? 俺様が ヴォルデモート卿が その最も尊い俺様自身が襲われ 破壊されるのに気づかないなど』


ヴォルデモート『確かに 日記が破壊されたことには 気づかなかった』


ヴォルデモート『だが あれは それを感じるべき 肉体がなかったからだ そうだ そうに決まっている』


ヴォルデモート『間違いない 他の分霊箱は安全だ 俺様は間違っていない 間違っていないと 俺様は自答する』


ヴォルデモート『湖 洞窟 俺様の宝を隠した 俺様の 秘密の場所』


ヴォルデモート『何ら力を持たず 弱虫で 愚かなあの小娘が あそこにあるロケットを 見つけられるはずがあろうか?』


ヴォルデモート『ゴーントの小屋 俺様の血筋』


ヴォルデモート『知恵もなく 考える頭もない あの小娘が その繋がりを突き止められるはずがあろうか?』


ヴォルデモート『ナギニ 俺様の忠実なる下僕 俺様の分身』


ヴォルデモート『あの小娘が 俺様の偉大なる秘術を 生き物にさえ魂を分け与える術を 想いもするはずがあろうか?』


ヴォルデモート『愚の骨頂だ 俺様は 考えすぎていたようだ あの小娘に そんな力はない あの小娘に 俺様の秘宝は』


ヴォルデモート『――』


ヴォルデモート『だが 確かめておかねば なるまい』


ヴォルデモート『ゴーントの廃屋 あそこが最も危なかろう ダンブルドアは俺様の二番目の姓を知っている 最初に確かめるべきは あそこに隠した 指輪だ』


ヴォルデモート『湖 もしも孤児院を通じて ダンブルドアがあの場所を突き止めたら 確認 せねばなるまい』


ヴォルデモート『ナギニは 常に俺様の傍に置こう ナギニよ』


ナギニ『うん!一生ついてく!!』シューッ、シューッ



ヴォルデモート『あぁ  そして』


ヴォルデモート『最後の隠し場所』


ヴォルデモート『絶対に安全な 俺様の故郷 俺様の家 俺様の 全ての始まり』






ヴォルデモート『ホグワーツ』

―――
――


ハニー「――そうなるだろうって、思ってた。えぇ、気づいていたわよ……あんたが、最後にどこを、選ぶかって」

ロン「ハニー?」

ハーマイオニー「ハニー……何を見たの?何が見えたの?」

ハニー「……全部よ……えぇ。これで、全部」

ロン「全部?それって、分霊箱の在り処ってことかい!?さっすがハニー!」

ハーマイオニー「ああ、でも、ハニー。用心しなくちゃ。また、いつかのように、罠じゃ……」

ハニー「あいつは相当動揺していたわ。いいえ、あれは、あいつの本心よ」

ハニー「そうだと思ってた。そうよ……あそこが、わたしたちの全てなんだもの」

ハニー「……行かなくちゃ」

ロン「どこへ?どこへだって、着いてくけどね!」

ハーマイオニー「ううん……えぇ、ハニー!さあ、どこへ行くの!?」

ハニー「……」





ハニー「ホグワーツに 帰りましょう」

今回はここまで
次回、来週土日のどちらかで区切りがいいとこまでやって、一旦このスレを締める
完結編を八月の中頃に一気にやる、みたいな予定の未定でいくで!
あともうちょい!
じゃあの!

ホグズミード

バチンッ

ドサドサッ

ロン「すっかり『姿あらわし』も十八番だよな。ハニーにかかりゃ現存する呪文なんで全部一年生の教科書もんだけどねもちのロンで」

ハニー「えぇ、そうね。赤子に教えるようなものだもの、こんなもの……」

ハーマイオニー「その割には握った手に汗をかいてるあたり未だにこの感覚が苦手なようなのには触れてあげないわ」

ハニー「……そうさせてあげる。さあ、隠し通路に行きましょう。ハニーデュークスか、叫びの――」

ジリリリリリリリリリリリッ!!!

バタバタバタバタッ

 バタンッ!! ガタガタッ、バタンッ!

ハニー「っ!?」


死喰い人「『姿あらわし』の反応だ!ベラトリックスの言っていた通りだ!まんまと来やがった!!」

死喰い人「さがせ!!見つけだせ!!!」


ハーマイオニー「っ、待ち伏せされていたんだわ……きゃぁ!?」

ロン「二人とも、もっと寄って。三人でマントに入るのはキツイけどさ、今は贅沢言ってられないぜ」

ハニー「えぇ、ロン。ハーマイオニーを抱き寄せる役目は譲ってあげるわ」


死喰い人「どこだ!?どこにいる!?

死喰い人「きっと、透明マントだ!!スネイプが言っていたぞ!あいつは透明マントをもってる!」

死喰い人「『アクシオ!透明マント!』」


ロン「おっと……あれ?ちっとも引っ張られないや」

ハニー「本当ね……利かないんだわ、このマントには。本物の、透明マントには」

ハーマイオニー「あわわ、わ、わわ……」

ロン「さすが君の持ち物だよな。おいハーマイオニー落ち着けよ、なんなんだよさっきから」

ハニー「……透明なのがもったいないくらい皆に見せ付けたいわこの光景」

死喰い人「被りものはなしと言うわけか、ポッター!」

死喰い人「散れ!さがせ!ここにいるのは分かってるんだ!」

死喰い人「吸魂鬼を呼べ!あいつらならポッターたちをたちまち見つけるだろ!」


ハニー「見つけられたって構わないわよ、えぇ。今なら私、とっても強いパパ、もとい守護霊を呼び出せるから。この光景見れば」

ハーマイオニー「何、言ってるのハニー!に、逃げましょう!もう一度、『姿くらまし』を……っ!?」

ハニー「……もうここでは、使えないのね」

ロン「おとぼけ集団のくせにそういうとこだけはキッチリしやがって。マーリンの髭!マーリンの……お、わ」


コォオオオオオオ

ピキピキピキピキッ

死喰い人「! きた!きたぞ!おい吸魂鬼ども!こっちに来い!」


吸魂鬼「――」吸魂鬼「――」
  吸魂鬼「――」 吸魂鬼「――」
吸魂鬼「――」 吸魂鬼「――」  吸魂鬼「――」

死喰い人「お、俺、闇の魔法使いでよかった……こいつらの影響少なくて済むんだもんな」

死喰い人「闇の帝王クラスになると、吸魂鬼と世間話できるらしいぜ」

死喰い人「マジかよ羨ましくねえ」

死喰い人「ポッターをさがせ!!この町にいるんだ!いいな!!」

吸魂鬼「――」

スルスルスルスルッ……

ハニー「ロン」

ロン「なんだいハニー」

ハニー「腕の中にいる可愛い生き物、一生大事にするって約束する?」

ロン「君も随分当然なことを聞くね」

ハーマイオニー「もちのロンじゃ――何を聞いて何を言ってるの!?!?!?というか、ハニー、ちょっと、その呪文は、目立――」

ハニー「それでいいわ――『エクスペクト・パトローナム!守護霊よ、来たれ!』」


パアアアアアアッ!

吸魂鬼「――!」


守護霊『懲りずに卑しく人様の魂を啜りに来たのかい。それじゃあ分からせて――おや?』

吸魂鬼「――」

守護霊『――これは』

吸魂鬼「――――h」


死喰い人「!守護霊だ!!ポッターの守護霊だ……本当にあっちのポッターだうわああああああ!?」

死喰い人「何が守護霊だ!!悪霊じゃねえか!!!!」

死喰い人「眼鏡は死んだ眼鏡は死んだ眼鏡は死んだ」ブツブツブツブツブツ


ハニー「……パパって本当、頼りになりすぎるわよね」

ハーマイオニー「吸魂鬼が尻込みしてるのは、いいけど!ハニー!あんな目立ちすぎるものを出してどうするの!?連中が、こっちに来てしまうわ!」

ロン「あー、路地裏に逃げ込んだのはまずったよな……よーし二人とも、マントん中に隠れとくんだ。ここは僕が――」

ハニー「みんなでやるわよ、ロン。さあ、杖を……」

ギィィィッッ

??「ポッター!そこにおるな!?この馬鹿娘が!!!」


ハニー「!? だ、誰!?」


??「誰でもいい!こっちにこい!二階にいけ!いくんだ!!」


ハニー「っ、そうして、あげる!」


??「静かにしておけ、いいな!」

バタンッ!

ハニー「っ、助かった、けれど。今のは誰だったのかしら。暗くて、よく……ここ……ここは」

ハーマイオニー「……ホッグズ・ヘッドだわ。あのバーテンが、助けて……?」

ロン「ハニーの普段の行いが良いからだよな、あぁ」



??「おい!!こりゃなんの騒ぎだ!?え!?人の店のまわりにこいつらを放ちやがって!」

死喰い人「ポッターはどこだ!?ポッターがここにいただろう!あいつの守護霊だ!!!守護霊をみた!!!」

??「あ?」

死喰い人「守護霊だ!!ポッターの!め、めめめ眼鏡そっくりな形をした!」

??「……」

死喰い人「……」

??「まあ落ち着けよ。な?常識で考えろ……守護霊がそんなものなわけあるか?な?お前疲れてるんだ」

死喰い人「……だ……だよな……ありえないよな……意味わからねーもんな、人の形、とか……」

??「ほら、ヤギの乳をやる。これでも飲んで帰れ。ヤギといや、さっき俺も守護霊を連中にけしかけたが、それを見間違ったんじゃないだろうな?」

死喰い人「ああ、そうかもしれない……馬鹿げてた……」


ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「…………今まで受け入れてた自分が嫌だわ」

ギィィィッ

??「とんでもない大馬鹿者どもだ。ホグワーツに一番近いここが厳戒態勢になっているとくらい、予想できるだろうが」

ハーマイオニー「返す言葉もありません……ありがとうございました」

ハニー「ええ、本当に。命を助けてくれて――その、眼」

??「……ドビーならお前達を救うのに適任だと思ったんだがな」

ハニー「やっぱり、あの鏡に映った……ブルーの眼……あなたは……それじゃ、あなたが……アバーフォース・ダンブルドア……?」

アバーフォース「……」

ロン「道理でヤギくさいわけだよ」

アバーフォース「最高だろうが」

ハニー「……暖炉の上にあるのは、私の鏡と対になっている『合わせ鏡』ね?どうやって、手に入れたの?」

アバーフォース「ダングから買った。一年ほど前だ……アルバスから、これがどういうものなのかは聞いていた」

ハニー「……私の様子をうかがうために?」

アバーフォース「それが、アルバスの俺への頼みだったからな――お前が誰に物を頼んでるんだと思わんでもなかったが、聞いてやっている」

ハニー「……」

アバーフォース「さて、それじゃ手立てを考えないといかんな」

ロン「あぁ、そうだよな。外には死喰い人がドクシー並みにどっさりだし」

アバーフォース「夜は駄目だ。連中はこの町を夜間外出禁止にして、指一本でも外に人が出ると反応する『夜鳴き呪文』を施してる。そうだ、ドクシーの卵い飛び掛るボウトラックルのように襲ってくるぞ」

ハーマイオニー「『夜鳴き呪文』、それで……それじゃ、明け方になれば?」

アバーフォース「夜間外出は解ける、ああ。それからマントを被って歩いて出発しろ」

ハニー「えぇ、そうね。ハニーデュークスは今安全なの?やっぱり、叫びの屋敷の方がいいかしら。スネイプがあそこの真実を連中に喋って、塞いでいなければだけれど……」

アバーフォース「……どうしてそんなところに行く必要がある?真っ直ぐホグズミードから出て、山から『姿くらまし』すればいいだろうが」

ハニー「……え?」

アバーフォース「あぁ、一度ハグリッドに会いにいけばどうだ?グロウプと一緒にあそこの洞穴にかくれてる……洞穴というか、今じゃあのデカブツ二人が悠々足を伸ばせるくらい快適なこだわりの地下施設になってるが。なんなんだあの巨人。匠か」

ハニー「ハグリッドの教育の賜物は見てあげたいところだけれど……何の話?どうして外に行くの?」

アバーフォース「逃げるには他にないだろう。御免だぞ、この店でお前さんたちを匿うのは。ヤギならまだしも」

ハニー「……私達、逃げないわ。ホグワーツに行かなきゃいけないの」

アバーフォース「……馬鹿を言うんじゃない」

ロン「ヤギバカなあんたに言われたくないけどね」

アバーフォース「ホグワーツに行く?このご時勢に、よりによって君が?今や『例のあの人』の総本山になりつつある、あの城に?」

ハニー「そうしなければならないの」

アバーフォース「君がしなければならんのは、ここから少しでも離れることだ」

ハニー「時間がないわ。私達が、やらなければならないことを――ダンブルドアがわたしに望んだことを――あなたのお兄さんが望んだことを、やりとげるには」

アバーフォース「……兄が何か偉大なことを成し遂げる時は、決まって周りの誰かが傷ついた」

ハニー「……」

アバーフォース「……生贄のヤギになった」

ハーマイオニー「ヤギから離れて」

アバーフォース「……今度は君にその役目が回った、ということか?ポッター」

ハニー「……あなたには、分からないことだわ」

アバーフォース「分からない?俺が、自分の兄のことを理解していないとでも?君より俺のほうが、兄を理解しているとでも?」

ハニー「そういう話はしていないわ。ダンブルドアは、私に仕事を残して――」

アバーフォース「仕事?いい仕事か?楽な仕事か?簡単な仕事か?半人前の魔法使いが、あまり無理せずにやれるような仕事だろうな?」

ロン「ハニーの前じゃね」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……なんであろうと、やり遂げないと。これは私の、義務で……約束で」

アバーフォース「義務?どうして義務なんだ、え!兄は死んだ!そんな奴との約束がなんだ!忘れるんだ、兄と同じところに行く前に!くだらない約束を守るより、先ず自分を救え!!!」

ハニー「嫌よ」

アバーフォース「何故だ?君は兄のために生きてるのか?え?兄のためなら命を捨てるとでも?いい生徒を持ったな!洗脳したとでも言うか?」

ハニー「ダンブルドアのためじゃない。わたしのためよ。これを成し遂げるのは、わたしの意志なの。わたしは、わたしのために生きる――みんなそうやって戦ってるんだわ。他の、『騎士団』のみんなも」

アバーフォース「『騎士団』、あぁ。連中も終わりだ。もう終わった。『あの人』の勝ちだ。そうじゃないと言う奴は、自分を誤魔化してる」

ハニー「……」

アバーフォース「逃げろ、ポッター。『あの人』は君を執拗に求めてる。自分を大事にしろ。その二人の友人もな。仕事なんて誰か他にまかせてしまえ」

ハニー「嫌よ。これは、私じゃなきゃいけないの。ダンブルドアが、説明してくれたわ」

アバーフォース「ほぉー?説明、そうか。兄は何もかも話てくれたかね、え?君に対して、兄は正直だったかね?」

ハニー「…………」

アバーフォース「ポッター、俺は兄を知っている。秘密と嘘で塗り固める秘密主義を母親の膝の上で学んだ、天性の大嘘つき……それが俺達家族だ……アリアナ、以外は」

ハニー「……暖炉の上の、あの肖像画」

アバーフォース「あぁ、アリアナだ。この世で唯一、ヤギに絶対に食わせない紙だ、あれは」

ハーマイオニー「……ダンブルドアさん。校長先生は、確かに嘘をついていたことがあるかもしれません。でも、いつだってハニーを気にかけていました」

アバーフォース「へえ、そうかね。だがおかしなことに、兄が気にかけた相手の多くは結局、放っておかれた方がよかったと思われる状態になったがね」

ハーマイオニー「……妹さんも、そうだと言うんですか?」

アバーフォース「……」

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

アバーフォース「……あのスキーター記事で妹のことを想像されるくらいなら、俺の口から話してやる」

アバーフォース「妹は六つの時、三人のマグルの男の子に襲われた」

ハニー「……っ」

ハーマイオニー「……」

ロン「……髭」

アバーフォース「魔法を使ってるところを見られたんだ――アリアナはまだ魔法の制御が出来なかった。当然だ。まだ、六つだったんだ」

アバーフォース「マグルの子供は怖くなったんだろう。自分達の知らない力を示す妹が。変な真似をやめさせようと、庭に押し入り、そして――」

アバーフォース「妹はめちゃめちゃになった。優しいのはそのままだったが、誰にも怯えて、全てを怖がって。魔法を使おうとすることはなくなった」

アバーフォース「――それが最悪だった。魔法を『使わない』のは、『使えない』のと同じじゃない」

アバーフォース「アリアナの強い魔法力はアリアナの中に閉じ込められて、そして狂わせた。抑え切れなくなると爆発し、危険になった」

アバーフォース「父は妹をそんな風にしたマグルを襲い、アズカバン送りになった。攻撃した本当の理由は絶対に口にしなかった。そんなことを話してアリアナの状態を知られたら、アリアナが生涯、聖マンゴに閉じ込められるに決まっていたからだ」

アバーフォース「俺達家族はアリアナを守るために引っ越した。母はアリアナが病気だと回りに説明した。日に一度は暴れるアリアナの力をなんとか押さえ込んだ」

アバーフォース「俺も加勢した。妹が暴れて激怒する時も、俺ならなんとかなだめてやれる時があった。状態がいい時は一緒にヤギの世話をした。俺達は、大変だったが、良い家族だった……」

アバーフォース「……妹のことを見てみぬフリをして、自分の部屋に閉じこもり、ご本を読んで、貰った賞を数えて、お偉い『当世の最も偉大な魔法使いたち』と手紙のやりとりをするのに大忙しな、兄以外はな」

アバーフォース「アリアナが十四の時――暴れるアリアナの力を抑えるには、母はもう衰えていた。事故だったんだ。アリアナにはどうしようもなかった……母が死んだ」

ハニー「……」

アバーフォース「ホグワーツを卒業してここからおさらばするはずだった兄は、戻ってきた。俺は、どこにでも行ってしまえと言った。アリアナの面倒は自分が見るから、と。学校なんて辞めてしまうと」

アバーフォース「兄は、自分がアリアナの面倒を見るから学校には最後まで通えと、俺に言った。それが家長を継いだ自分の役目だと」

アバーフォース「今更なにをと思ったが、実際兄は数週間、上手くやっていた。暴れるアリアナを抑えるのは、兄にとっては――朝飯前だった。それはそれで猛烈に腹が立ったがな。今までなにを、と」

アバーフォース「俺が学校に戻るまで、あと一ヶ月という時――あいつがやってきた。それで全てが狂ったんだ」

ハニー「……グリンデルバルド?」

アバーフォース「そうだ。兄は、あいつに惚れた」

ハニー「えっ?」

ハーマイオニー「……えっ?」

ロン「……ん?」

アバーフォース「……あ」

ハニー「…………え?」

アバーフォース「あー……自分と対等な才能とか、同じような境遇とか、そういうのに。続けるぞ」

ハニー「あぁ、えぇ……あー……そうして」

アバーフォース「兄は、アリアナの面倒を見るのなんぞ二の次になった。新しい魔法使いの秩序の計画を練ったり、『秘宝』を探したり、興味の赴くまま」

アバーフォース「たまに家に帰っては、ボーっと窓の外を眺めて、早く明日になればいいのにだのなんだのつぶやいて――ここの件飛ばすぞ、いいか」

ハニー「そうして、お願いだから」

アバーフォース「壮大な計画を立てるお二人は、この村なんて小さな場所に納まるのをよしとしなかった。今にも旅立とうとしていた」

アバーフォース「より大きな善のためには、一人の女の子がないがしろにされようとどうだっていいというわけだ。お偉い考えだ。涙が出るね」

アバーフォース「俺がもうすぐにも学校に戻らなければならない頃だ。もうたくさんだった。兄に、言ってやった。妹をどうする気だ、と。兄は一緒につれていくとのたまった」

アバーフォース「俺は無理だと言った。妹は動かせないし、そんな状況じゃない。お前がどこに行こうとどうでもいいが、お前たちの小ざかしい演説旅行に妹を連れて行くなんて冗談じゃない、とな」

アバーフォース「兄は気を悪くした――グリンデルバルドは、気を悪くしたなんてものじゃなかった」

アバーフォース「奴は激怒した。バカな小童だ、と。優秀な兄の行く手を邪魔しようとしている、と。自分達が世界を変えてしまえば、そもそもアリアナを隠す必要もなくなる、それも分からないのか、と」

アバーフォース「口論になった。俺は杖を抜いて、奴も抜いた――奴は親友の弟に向かって、迷うことなく『磔の呪い』を使った。そこでやっと、兄が動いた」

アバーフォース「――あんな兄でも、俺のために激怒して奴に攻撃した。それが俺も気に入らなかった。なんだその奴に向ける悲痛な目は普通に怒って杖向けろボケ、と」

アバーフォース「そこからは三つ巴だ。呪文が交錯し、呪詛がぶつかり合い、呪いが部屋中を駆け抜けた――アリアナの発作が起こった」

アバーフォース「今までに見たこともないほど暴れていた……アリアナはきっと、止めようとしたんだ。俺達を。そして、俺達は――誰がやったのかは、わからない。三人とも、その可能性はあったが――」

アバーフォース「妹は死んだ」

ハニー「……」

ハーマイオニー「あぁ……っ、なんて、お気の毒……」

ロン「……マーリンの髭」

アバーフォース「永久に、逝ってしまった……前科もちだったグリンデルバルドは国外に逃げ、そして兄は、自由になった。そこからあいつの栄光の軌跡は知っているだろう……」

ハニー「……」

ハニー「自由に、なった……?」

アバーフォース「そうだろうが?妹が死んで、重荷がなくなったんだ」

ハニー「……」

アバーフォース「あいつは、妹の葬儀の後、すぐに旅立った。なんのあとくされもなく、晴れやかな顔でな」

ハニー「……」

アバーフォース「俺は何度も言ってやった。のうのうとここを訪れるあいつに。アリアナの犠牲で立っていられて楽しいだろう、とな。他に何人巻き込むつもりだ、と」

ハニー「…………」

ロン「あ」

ハーマイオニー「グーね」

アバーフォース「兄はいつでもヘラヘラ笑っていた。偉大な魔法使い様は流石だな。どれだけ自分が間違った道を歩んでこようが、過去のこと、なんて……」

ハニー「……とりあえず」

アバーフォース「あ?」

ハニー「歯ぁくいしばりなさいよ、このヤギキチガイ!!!!!」

アバーフォース「なんだそれ褒め言葉dぐがばぁっがぁあああああああああああ!!!」

バッキャァアアアアア!!

ハーマイオニー「いったー!いったーー!!」

ロン「ハニー姐さんの黄金の右ストレートやーーーー!!!!」

アバーフォース「ゲフッ、ゴフッ、なん、の、つも、ゴホッ」

ハニー「ダンブルドアが自由だった、ですって……?」

ハニー「過去のことなんて、妹さんのことなんて、あなたのことなんて」

ハニー「何とも思ってなかった、ですって……?」

ハニー「そんなわけないわ。決して、そんなわけない。あの人は、自由なんかじゃなかった……!ずっと、ずっと!そのことを思い悩んでた!!苦しんでたわ!!!!!」

アバーフォース「君に、何が――」

ハニー「ダンブルドアが亡くなった、あの晩!!!ダンブルドアは魔法の毒薬を飲んで、何かの幻覚を見たわ!その時、口にしたのは!あぁ、えぇ!今なら、それが分かるわ!!」

ハニー「ホッグズ・ヘッド!アバーフォース!それに、アリアナ!!あなたたちの名前!!!あなたたたちへの、嘆願の声だった!!!!」

アバーフォース「……」

ハニー「自分のせいだ、って!何度も、何度も謝って!!!っ、もう二度と、あなた達を傷つけないでくれって!!!!」

ハニー「っ、自分を、殺してくれって!!!!あぁ――あぁ!!あれは、苦しみから逃れるための叫びなんかじゃ、なかった!!!!!」

ハニー「あなたたちを傷つけられる幻覚に!!あなたたちが犠牲になるくらいなら、自分が死んでも、って!!!!言っていたのに!!それなのに!!!!」

ハニー「ダンブルドアが自由!?!?彼が間違ってた!?!?えぇ、間違った事があるかもしれない!!けれど!!!けれど!!!」

ハニー「ダンブルドアはそこから立ち直った!それをあなたも見ていたはずでしょ!!どうして分からないの!!どうして!!あなたは、あなたは――」

アバーフォース「……」

ハニー「アルバスの、家族なのに!!!!!!!」

アバーフォース「…………」

アバーフォース「……ポッター。どうして君は、アルバスを信じられる」

ハニー「ハーッ、ハーッ……え?」

アバーフォース「確信があるのか?俺の兄が、君自身よりより大きな善に関心があったんじゃないか、と。俺の小さな、妹のように」

ハニー「……確信?聞くまでもないわ。妹さん?さっきのことを聞いて、まだ分からないの?」

ハニー「アルバスは、わたしのことを愛してたわ。それが確信よ。それだけで、十分。妹さんだって。そうでしょ?」

アバーフォース「……」

アバーフォース「……」

アバーフォース「知らなかった。俺は、知ろうとも、しなかった……お前は、気づいていたのかい?」


肖像画アリアナ『――』


コクコクッ


アバーフォース「……アルバスが自由だったんじゃない。俺が、囚われ過ぎていただけだったのか?」

アバーフォース「……ポッター。君は間違いなく、自由なはずだ。こんなことに巻き込まれなくとも。自分を大事にして、身を隠せば生き残れる。なぜ、そうしないのだ?」

ハニー「……自分自身の安全よりも、大事にしなくちゃいけないことがあるわ。わたし一人の、平和なんて。たった一人での安全なんて」


ハニー「『より大きな善のために』動くのが、誰か他の人のためじゃ駄目なんてこと、ダンブルドアは言っていないでしょ?」

アバーフォース「……」

ハニー「ダンブルドアは確かに、色んなことを私に秘密にしていたわ。けれど」

アバーフォース「」

ハニー「あいつの息の根の止め方をつきとめて、私に引渡してくれた。私が何の考えもなしに、ダンブルドアが何も私に残さずに決断させたなんて、思わないで。もう何年も前に、決めたことよ。私はやり遂げるの。絶対に」

ロン「僕らが一緒にね」

ハーマイオニー「両隣でね、えぇ」

アバーフォース「……」

アバーフォース「……そうか」

アバーフォース「……アリアナ、分かっているね?そうだ、それも……アルバスが俺達に残したものだ」

肖像画アリアナ『』

コクコクッ

サァァァァッ

ロン「あー、あれ?肖像画の妹さん、なんだかさ。奥の方に、歩いていっちまったけど?」

アバーフォース「入り口は、いまや唯一つ。奴らは古い秘密の通路を全て押さえて封鎖している」

ハーマイオニー「それが、なんの……?」

アバーフォース「敷地の外は吸魂鬼だらけだ。もっとヤバイ生き物もいると聞く。歩いて侵入するのは、不可能だろうな」

アバーフォース「たとえ中に入れたとして、校内は定期的に見張りが巡回している。そうでなくても取り仕切っているのはスネイプと、カロー兄妹だ。そんなところで君たちが何をできるのやら」

ハニー「どうしてそこまで、詳しく……あぁ、聞くまでもない、わね」

アバーフォース「あぁ、そうだ。ここはな、お前達のような大馬鹿者の……溜り場になってしまっていたんだ。お前達が来るのが分かってたのはな、あのおとぼけと勝気な娘たちが先に来ていたからだ」

ロン「おいおい、戻ってきたアリアナに引き連れられてる、あれ……あぁ、まったく!漢具合に磨きがかかったみたいじゃないか!え!?」

ハーマイオニー「あ……私達がいなくなったって聞いて、貝殻の家からすぐ、城に……?ほんと、とんでもないわ、あの子……」

ハニー「わたしの、お友達だもの。えぇ……頼りになるわ。みんな、みんな」



ガチャッ!!


ハニー「ルーナ!ジニー!!……ネビル!!!!」


ルーナ「待ってたもン、ハニー」

ジニー「お帰りなさい、ハニー!」

ネビル「僕、ずっと信じてた!!君が来るって、信じてたよ、ハニー!!」

小休止
20時には再開

ネビル「ハーマイオニーも!無事でよかった!あとロンは、途中で羨ま死んじゃえばよかったのに……」

ロン「おい!」

ネビル「冗談だよ!みんなに会えて、嬉しい!」

ハニー「えぇ、私達もよ。ネビル……けれど、あなたのその顔」

ハーマイオニー「ひどい怪我だわ!何があったの?まさか、もう城の中で……」

ネビル「あぁ、ははっ。これ?いつものことさ。ちょっとカロー兄妹のやることに反抗するとね……大丈夫、僕は純血だから、少し血が出るくらいで済ませてもらえるよ」

ハニー「反抗……?」

ネビル「あいつら、城で教えるだけじゃない。体罰が大好きなんだ……しかも、最悪のやり方で」

ジニー「規則破りしている生徒を見つけたら、カロー兄妹のところに報告して罰則を受けさせるの……いまじゃもう『闇の魔術』そのものを教えるような『闇の魔術に対する防衛術』の授業で、その生徒を『磔の呪い』の練習台にするっていうね」

ロン「……最っっ悪だな」

ネビル「だろう?僕はそんなことやらない、って言ったら、これさ。みんなもちろん怖がって、隅で震えてたよ。クラッブ、ゴイルなんかは、はまってやってたけど」

ハニー「クラッブとゴイル?」

ネビル「うん、あいつらが優等を取るのなんてこれが最初で最後なんじゃないかな……マルフォイが学期途中から来なくなってから、あいつら、調子良いんだ。よくないけど」

ハーマイオニー「『闇の魔術に対する防衛術』がそんなことに……他の教科は?どうなったの?」

ロン「君の関心はいつだって勉強に向くってわけだね、素晴らしい。グリフィンドールに十点」

ネビル「『マグル学』は、マグルがどれだけ危険で、今のマグル排除の動きがどれだけ正しいか、ってことを延々聞かされる授業になったよ」

ロン「世界一無駄な時間だな」

ネビル「全くだよ。それで、僕、手を上げてこう言ったんだ。『先生、それじゃ、先生にはどのくらいマグルの血が流れてるんですか、ってね。それで、この目の腫れさ」

ロン「うっわ、ネビル。気の利いた科白は、時と場合を選んで言うもんだぜ」

ネビル「いいんだ、後悔してない。あいつらに抵抗して誰かが立ち上がるのは、いいことなんだ。それがみんなに希望を与える……ヒンヒン!ハニー!君みたいにね!」

ハニー「えぇ、そうね。みんなの希望だわ……」

ハーマイオニー「……鳴き声がなければ今の、かっこよかったんじゃないかしら」

ジニー「あら、ハーマイオニー。ネビルは十分かっこいいじゃない!違う?」

ハーマイオニー「えっ?えぇ……え?」

ジニー「ネビルってば、三人がいなかった間、本当に凄かったんだから!元DAのメンバーを集められたのも、ネビルのおかげだわ!」

ハニー「それじゃ、今でも城でDAは続いてるのね?」

ネビル「う、うん。あ、あのさ、ジニー。その……」

ジニー「それだけじゃないの!新しくDAに入りたいって人にも、この金貨を用意して!ネビルが、自力でよ!?」

ハーマイオニー「まぁ……!ネビル、凄いわ!これ、本当に難しいのに!」

ネビル「いや、あの、は、ハハ……いつの間にか必要の部屋にあったとは言えまい」

ジニー「ネビルは本当にかっこよかったの!私、そんなネビルが…………あ」

ネビル「……」

ジニー「……えぇっと!」

ハニー「因みに、ルーナ。二人が今日再会したときは、どんなだったの?」

ルーナ「ハグしてたもン。すぐ、パッ!って離れちゃったけど。私にはなかったなあ」

ネビル・ジニー「「ルーナ!!!!!」」

ロン「おいネビル、こっちこいよ。久しぶりに切れっちまったぜ」

ネビル「望むところだこんちくしょう!何ヶ月もハニーといやがって!」

アバーフォース「外でるな、外出るなおい。おい。今非常事態じゃないのかなんだこれ」

ハニー「とりあえず、仲間はずれにされたルーナは私と手を繋いでおくことにしたわ」

ルーナ「わーい」

ハーマイオニー「ハニーの反対の手は私だけどね」

ジニー「仲間はずれって!?わ、私達ルーナとは仲間だわ!友達だわ!」

ネビル「そうだ、そうだ!」

ロン「仲良かった三人組の中で一組カップルができっちまって一人がはぶられるなんてお約束なそういうのやっといて何言ってんだよ、君たち」

ハニー「ロン、あなたがそれ言うの?」

ロン「それもそうだった」

ハーマイオニー「何の話してるの!?!?!?」

アバーフォース「あーなんだこれ。なんだこれ。あー。十代のこういうノリいやだなー。さっさと行ってくれないかなー」

肖像画アリアナ『――』

アバーフォース「……イイナーって目やめなさいアリアナ。今度いいヤギの肖像画買ってやるから」

ネビル「そ、それで、さ。色々やってたんだ、勧誘活動とか反対運動をね。地下牢につながれた生徒を助けたり……そういうのを僕が指揮してるって知った、あいつらはさ」

ロン「大事なジニーでも人質にとったのか?え?こんちくしょう」

ネビル「そんなの死守するけどさ」

ジニー「んなっ、あぅ、あ、ありがとう……」

ハニー「ジニーの時も聖歌隊に参加したいところね」

ハーマイオニー「時も、って!? でもいいわね、えぇ。私もそうするわ」

ルーナ「ネビルにはヒキガエルを模したタキシードとか似合うと思うもン」

ジニー「くっそーいじる側に回って生き生きとして、悔しい」

ネビル「でね。あいつら、ばあちゃんを捕まえようとしたんだ」

ハニー「……なんですって!?」

ネビル「うん、ばあちゃんさ。親達を大人しくさせるために子供を人質にする奴らだし、ワンパターンに逆のことをしようとするのも道理だよね……だけど、さ」

ロン「……ネビルのばあちゃんって、あの見るからに老年の大魔女っていう、あれだろ?」

ネビル「その通りさ。連中、ばあちゃんをあなどった。一人暮らしの老魔女だ、楽勝だろ、ってね。その結果――ドーリッシュは聖マンゴに入院中。ばあちゃんは逃亡中さ。この間、手紙が届いたよ」

ハニー「無事に、隠れているって?」

ネビル「うん。それに――僕のこと、誇りに思うって。それでこそ二人の息子だ、頑張れ、って」

ハニー「――かっこいいわ、ネビル!」

ネビル「へ、へへ。ありがとう!ヒンヒン!」


ハーマイオニー「……最後鳴くのもあれでいいの、ジニー」

ジニー「散々ハニーの豚街道独走ぶっちぎりだった人に惚れた人がなんか言ってる」

ネビル「それで、僕を止めようにもどうしようもなくなった連中は、僕を捕まえようとしたんだ。殺そうとしたのか、服従させようとしたのかは分からないけど」

ロン「僕達これから城に戻るんだぜ?それじゃ、こんな面子でどうやって無事に侵入しようってんだ?この通路がどこに通じてるかは知らないけどさ」

ネビル「すぐに分かるよ!ホグワーツではさ、求める者には常に必要なそれが与えられるんだ……去年ジニーと、見つけたんだけどね」

ジニー「そうなの!二人で見つけて、それで、そこで初めて――あー」

ネビル「……あー」

ロン「フレッジョはまだかなあ。こいつ、兄弟総出でマーリンの髭しないといけない気がしてきた」

ネビル「か、勘弁してよ……それじゃ、行こう!ジニーたちが金貨で連絡をくれたときから、城中のDAメンバーソワソワしっぱなしさ。赤い飾りつけしたり」

ハーマイオニー「準備するところが違うわ」

ジニー「フレッジョ達は『ちょいと準備がいるからさ』って言ってたから、夜が明けてから来ると思う。大人のみんなもね」

ハニー「そう……それじゃ、アバーフォースさん」

アバーフォース「……健闘なんて祈らんぞ。君が勝手に出向くことなんだからな」

ハニー「えぇ、それでも。あなたにはお礼を言っても言い尽くせないわ……二度も命を救ってくれて、ありがとう」

アバーフォース「……その命を大切にするんだな。三度は助けられないかもしれない」

ハニー「えぇ、ふふっ、ありがとう。アリアナ、お邪魔するわね?」

肖像画アリアナ『――』

アバーフォース「……頑張れ、だとさ」

ハニー「えぇ、ありがとう……じゃあね!」


キィィッ、バタンッ


アバーフォース「……」

アバーフォース「……アルバスの愛、か」

アバーフォース「……あんなのでも、それがあったと思うかい?アリアナ。アルバスは俺と君のためを思って何かをしていたと、残したと思うかい?」

肖像画アリアナ『――』

コクコクッ

アバーフォース「……そうか。そうだな……なら」


ツカッ、ツカッ、ツカッ

バターーーン!


アバーフォース「……俺はなんとしても、ここを守らねばならん。アルバスの、アリアナのため……俺自身のために」



「ハァーイ、アブ。あーんたさーあ、水臭いよ。家族の名前を今まで教えてくれなかった、なーんてさあ」

「ホッグズ、ヘッド?ホグ、頭?ホグワーツの頭、ってか!アッハハ、アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!!!中々洒落がきいてんじゃん」

「笑えなくしてやるよ。アバーフォース・ダンブルドア」

アバーフォース「……ベラトリックス」

ベラトリックス「ジャリどもはどこだ? いいや、答えなくて――殺れぇええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」


バーーーーーン!!!!
 バーーーーーーン!!!!

バチバチバチバチバチッ……

必要の部屋

ガヤガヤガヤガヤ
 ザワザワザワザワ

ヒンヒーーーーーーン!!
 ヒーーーーン!!ヒンヒーーーーーン!!
ヒンヒンヒーーーーーーーン!!!

ハニー「――出迎えご苦労様、可愛い豚のみんな……えぇ、私は変わらず高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的で模範的だわ?」

ハーマイオニー「こんなにたくさん……ああ、ええ、そうなるのね。ここの生徒達が集まると。懐かしくて嫌だわ」

ロン「おい!落ち着けよ!!今までハニー欠乏症で散々だったのは分かる!でもいきなり仰ぎ見るとぶっ倒れるかもしれないからさ!まずはつま先から徐々に徐々にその存在に感謝しながらゆっくり見て行って最後に涙を流すんだ!ご来光を見たかのようにね!」

ハーマイオニー「あなたが落ち着きなさいまず」

ハニー「ここは、必要の部屋なのね?城でこんなにたくさんの……ハンモックやらバルコニーが壁につけられた部屋、見たことないもの」

ネビル「そうなんだ。僕がもっと強くなるために、って思ってでてきたあの部屋が、今はみんなを守るための部屋になってる。DAメンバーが増えるにつれてどんどん大きくなったし、それに、要望にこたえてくれたんだ」

ロン「みたいだね。滅茶苦茶快適そうじゃないか。僕んちよい凄い」

ジニー「でも、食事だけが足りなかったの。うちならママが用意してくれるけど、それだけはこの部屋、出してくれなかったわ」

ハーマイオニー「そうでしょうね。だって――」

ロン「だってそれって、『ガンプの元素変容の法則』の五つの例外の一つだもんな、あぁ」

ハーマイオニー「そう――え?あなた、覚えてたの?」

ロン「君が言った事を僕が忘れるわけないだろ」

ハーマイオニー「あっ、そう……ふぅん」


ネビル「ねえハニー、あの二人ってようやくひっついたの?」

ハニー「まだよ」

ネビル「なにそれロン死ねばいいのに益々」

そうだそうだーーーー!!!
 ロン死ねーーーーーー!!!
首輪はどうしたーーーーーーー!!!!!!

ロン「首輪?HAHAHA、君達まだそんな形でしかハニーに全てを捧げられないのかい?」

死ねーーーーーーー!!
 ロンは死ねーーーーーーー!!!

ロン「やだねっ!!!!!

シェーマス「僕達、ここでずっと隠れてるんだ。実際、談話室くらい快適だよここは。女の子が増えたら、綺麗な浴槽も出てきたしね」

??「女の子はみんな、身体は綺麗にしておくべきだものね。ね、ハニー?」

ハニー「そう、ね……ちょ、チョウ!?」

チョウ「えぇ、私!ふふっ!びっくりでしょ」

ハーマイオニー「びっくりすぎて拳握りそうになったわ」

ロン「痛い痛い握ってるもう握ってる君全力で握ってる何故か僕の手ごとなんでどうしてマーリンの髭!」

ルーナ「ジニーと合流して、金貨で元DAのみんなにも連絡をしたんだ。そしたら、卒業した人もみんな集まったんだよ。その時のホッグズ・ヘッド、まるで駅みたいだったもン」

アンジェリーナ「大騒ぎしそうな双子が一番乗りじゃなかったのは意外だったけどね。ねえ?」

アリシア「そうね」

ケイティ「そうよね」

アンジェリーナ「……久々なのにいい連携だねー二人とも」

ハニー「え、えぇっと……ジャスティンは?ジャスティンも、当然……?」

ディーン「そういや、あいつはまだだなあ。最初、君たちについていったのかと思ったよ。でも、無事だって連絡がきたよ」

シェーマス「アーニーとか、何人かのハッフルパフ生もね。きっとあいつらで、何か考えがあるんじゃないかな」

ハニー「……ハッフルパフの、みんな」

チョウ「それより、再会を祝しましょうよ、みんな!せっかくハニーが戻ってきたんだもの!」

ワイワイワイワイ
 ザワザワザワザワ

ハーマイオニー「お生憎、そんな暇ないの!そうでしょ、ハニー?」

ハニー「え? えぇ、そうね……私たち、やらないと」

ネビル「よしきた!僕達、みんなでそれを手伝うよ!なあ、みんな!ヒンヒン!」

ヒンヒンヒーーーン!!
 ザワザワザワザワ

ハニー「あー……あの……気持ちは、ありがたいの。けれど……」

ジニー「何をするの、ハニー!どんな計画!?」

ハニー「計、画……えっと、そうね……石造りの廃屋に隠しておく計画は、駄目になったわ……そう、ね……」

ハーマイオニー「……ハニー、しっかり。あなたはあなたよ」

ハニー「っ、ありがと……」

チョウ「……見せ付けてくれちゃって」

ハーマイオニー「恋愛脳は黙っててもらえる?」

ロン「ハニーバカがなにか言ってるぜ」

ジニー「それここにいるみんなでしょ」

ロン「そうだった」

ハニー「……手伝わせてあげたいのは山々なの。けれど……」

ロン「……いや、ハニー。手伝ってもらうべきなんじゃないかな」

ハニー「……えっ?」

ハーマイオニー「みんなに戦わせろって言うの、ロン!?」

ロン「違うよ。だって、僕達の一番の目的は例のアレを見つけるってことだろ?忘れちゃいませんか、だ。それだったら、むしろみんなに手伝ってもらった方が早い。僕ら三人だけで思案するよりもね」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……それも、そうだわね。何より此処には今、レイブンクロー生も大勢いるんだし……ハニー?」

ハニー「……分かったわ。えーっと、それじゃ、みんな。考えてほしいことがあるの。特に、レイブンクローのみんな?」

チョウ「ハァイ?」

ハニー「良い返事と最高の笑顔をありがとう。あのね、聞いた事があると思うのだけれど……レイブンクローの、失われた髪飾りのこと」

ザワザワザワザワ

パーバティ「パドマ、知ってる?」

パドマ「名前だけ……けど、ハニー。それって、その言葉通り」

マイケル「何百年も前に失われた、ってやつだろ?そこが肝心なんだから」

チョウ「フリットウィック先生がおっしゃるには、レイブンクローと一緒に消えたんですって。みんな探したけど、それでも誰もその手がかりはみつけられなかった、って」

ハニー「ロウェナ・レイブンクローが……ええ、随分大事なものだったんだもの。そう、よね」

ロン「だーれも、見たことないのかい?どんな形なのか、とかさあ」

ルーナ「あたしの家にパパが再現したものなら」

ロン「あぁ、そりゃ、うん、たまに夢見るくらいステキだったよ、ああ」

チョウ「形だけなら、私たちの談話室にあるレイブンクローの石像がつけているので分かると思うわ?」

ハニー「あー……サラザールがみんなに彫ったっていうそれ……そう、レイブンクローには残ってるの」

チョウ「えっ?」

ハニー「なんでもないわ。こうしましょう。私、その石像を見てくるわ。いい糸口になるかは分からないけれど、少しでもヒントになるなら」

チョウ「え、えぇ。それじゃ、私が案内――」

ハーマイオニー「ルーナ!お願いできる!?」

チョウ「えっ」

ルーナ「うん?」

ジニー「あなたしかいないの!私たちの友達だもの!ね!ルーナ!」

ルーナ「もちろん、いいよ!喜んで!ハニー、あんたと夜におでかけなんてあのパーティみたいだね!」

ハニー「そうね、ルーナ」

ルーナ「ダンブルドア先生とはよく一緒になったけど。夢遊病で」

ハニー「それ聞いたわ聞きたくなかったけど」

チョウ「……」

ハーマイオニー「よろしくね、ルーナ。さあチョウ、座って。みんなでここでハニーたちを待って、その間、じっくり話し合いましょうよ」

ジニー「そうよ目狐」

チョウ「旦那持ちは黙ってなさいよ」

ハニー「仲良く、仲良くね?いい?それじゃ、行ってくるわ」

ヒンヒーーーーン!

ハニー「えぇ、豚の皆も。大人しくしておくの。あぁ、大丈夫よ泣かなくても。またすぐ会えるわ、絶対ね」

ヒンヒンヒーーーーーン!!!

レイブンクロー寮前

ルーナ「透明マントを被る感覚って面白いね。布というより、水がフワフワ浮いてるみたい」

ハニー「えぇ……思えば私、ここに来たのは初めてだわ」

ルーナ「?寮生じゃなければ、他の寮に行く事がないのは当然じゃない?」

ハニー「……そうね」

ルーナ「ノックするね」


コンコンッ


鷲のドアノッカー『不死鳥と炎は、どちらが先?』


ルーナ「ンンン。どう思う、ハニー?」

ハニー「……えっ?合言葉を答えて終わり、ではないの?」

ルーナ「あら、違うよ。質問に答えないといけないもン。分からなかったら、ほかに分かる人が来てくれるまで待つ。そうやって学ぶものよ。でしょ?」

ハニー「そうなの……でも問題は、私たちにそんな時間がない、ってことだわ」

ルーナ「そっか。それじゃ、えーっと――あたしの考えだと、答えは、円には始まりがない」

ドアノッカー『よく推理しました』


ギィィィィッ


ハニー「……面倒ね、レイブンクロー寮」

ルーナ「あたしからしたら、いつ合言葉を変えたのかも分からないような寮の入り口の方がよっぽど大変だとおもうもン」

レイブンクロー談話室

ハニー「……誰も、いないわね。みんなまだ休んでいるのかしら」

ルーナ「たまに、朝まで魔法理論の議論をしてるグループがあるけど。あたしが城を出る前くらいから減ってたもン。他のことの集会かと疑われたらたまらないから、って」

ハニー「そう……それで、あれがレイブンクローの石像ね?」

ルーナ「うん。もっと近くで見れば?マントもとって」

ハニー「そうね……」

パサッ

ハニー「私ほどじゃないけれど、美人な人だわ……威嚇的ね、少し」

ルーナ「頭につけてるのが、髪飾りだよ。大理石だけど、だいたいの形は再現されてる」

ハニー「……フラーが結婚式でつけていたのと、そう変わりないわね。何か……文字が、書かれてる?」

ルーナ「うん。『計り知れぬ英知こそ、われらが最大の宝なり』って――」


??「つまり!お前は文無しだね!この能無しめ!!ケタケタケタケタケタ!!!」


ハニー「!? あんたは……アレクト・カロー!?」


アレクト「ベラは本当にこういう時は頼りになる!さあ、我が君!!おいでください!!小娘を捕らえました!!」

スッ

ジュゥゥゥゥッ

ハニー「っ、闇の、印――あぁ――あいつが――洞窟の入り口、で――高笑いを」



ルーナ「『ステューピファイ』」

アレクト「」

バターーーーン!!バサバサッ、ドサッ

ハニー「……」

ルーナ「うん。勝ち誇るならせめて杖とかを奪ってからがよかったんじゃないかな」

ハニー「……あなたって、良い意味で空気読まないわね」

ルーナ「? 良い意味で、っていうのは初めて言われた」

ガヤガヤガヤガヤ
 ザワザワザワザワ

レイブンクロー生「し、しんでるの?」

レイブンクロー生「い、いや、失神してるだけみたいだ」

レイブンクロー生「でも、なんでこんなところで」

レイブンクロー生「知らなよ。でも、良い気味だよな」


ハニー「……カローが倒れる時に大きな音がしたせいで、レイブンクローの皆が降りてきてしまったわね」

ルーナ「透明マントってすごい」

ハニー「えぇ、隠れられているわ。けれど、この人ごみを掻き分けて外に出るのは、難しいわね……少し、待ってから」


ドンドンドンドンッ!!

 ドアノッカー『消失した物質はどこにいく?』

 ??「そんなもの俺が知るか!黙れ!ここをあけろ!!!アレクト、アレクト!俺だ、アミカスだ!」

 アミカス「印が焼けたが、捕まえたのか!?ポッターを捕まえたのか!?」


ザワザワザワザワ
 ポッター? 
  ハニー・ポッター? ヒンヒン


 アミカス「アレクト!捕まえたんだろう!?どうした、早く扉をあけろ!あの方が到着してポッターを捕まえていなかったらどうなるか、分かるだろう!マルフォイ家のようになりたいか!?早く、あけろ!!!」


バーーン!!バーーーン!!

ヒィィィ!
 ザワザワザワザワ

ハニー「みんな、怯えてる……こうなったら扉をあけて、こっちから、吹き飛ばして――」


 ??「カロー先生、何をなさっておいでですか。この宵の口に」


ハニー「!この、声……先生!!!」


 アミカス「あぁ!?見れば分かるだろ、このクソッタレの扉を開けようとしてんだ!」

 ??「それならば、あなたが先ほど緊急の要請だとかで中に入れた妹さんに頼めばよいでしょう。私は、こんな時間に城中を起こすような音を立てて何をしているのですか、とあなたに聞いているのです」

 アミカス「その妹が答えねえんだよ!うるっせえぞ!!マクゴナガル婆ぁ!!!テメェが開けろ!!!」

 マクゴナガル「……えぇ、この扉を開くにはあなたには到底無理でしょうとも、分かりますよ

 ドアノッカー『消失した物質はどこにいく?』

 マクゴナガル「非存在に。つまり、すべてに」

 ドアノッカー『見事な言い回しですね』

ギィィィッ

アミカス「……ハンッ!そんな簡単な答えでよかったのかよ!もっと難しいもんだとばかり思ってたからよお!」

マクゴナガル「そうですか」

アミカス「それよりだ!アレクト!アレクト……どういうことだこれはぁあ!?あぁ!?!?おいガキども!!!!妹を殺りやがったな!?!?」

マクゴナガル「……死んではいません。どうやら、失神させられているだけのようです。何ともありません」

アミカス「何ともありませんだぁ!?妹はもう『あの人』を呼んじまったんだ!何ともねえわけあるか!!ポッターを捕まえもしてねえのに、ここで無様に伸びてたなんて知られたら!!俺達はどうなる!?!あぁ!?!?

マクゴナガル「ポッターを捕まえた?どういうことです?『ポッターを捕まえた』????」

アミカス「そうよ!ベラの奴が俺達に警戒するよう言ってよこした!『あの方』もポッターはレイブンクローの塔に入るかもしれねえってよ!だから妹はここで待ち構えてたんだ!」

マクゴナガル「ハニー・ポッターが、どうしてレイブンクローの寮に入ろうとするというのです?」

アミカス「それは――」

マクゴナガル「彼女は、ポッターは私の寮生です!!そんな道理がありますか!!!」

アミカス「知らねえよ!いまそういう話してねえよ!!俺達ぁここに繰るかもしれねえと言われただけだ!知らねえよ!!!!」


ハニー「……先生って最高だわ」

ルーナ「うん。なんだか顔の横から髭がツンッって立ってみえるもン。ネコみたいに」

アミカス「フーッ、フーッ……そうだ、ガキどものせいにしてやる。そうだ、こいつらになすりつけりゃいい」

マクゴナガル「……」

アミカス「アレクトはガキどもに待ち伏せされて、大勢でかかられた。ガキどもは無理やり妹に闇の印を押させて、そんで、失神させたんだ。あの方はガキどもを罰するだろう。なあに、ガキが二、三人減ろうが、たいした違いじゃねえ」

マクゴナガル「……真実と嘘の違い、そして、勇気と臆病の違いに過ぎません」

アミカス「……あ?」

マクゴナガル「あなたにそれが分かるとは思ってはいませんが」

アミカス「なんだ?婆ぁ、何が言いてえ?」

マクゴナガル「何が言いたいか、一つだけはっきり分かるように言ってさしあげましょう。いいですか。あなたたちの無能の数々を、ホグワーツの生徒のせいにはさせません。私が許しません。えぇ、たとえ相手が『例のあの人』でも、私ははっきり、あなたがたのことを話しますとも」

ハニー「……」

アミカス「ハッハ。ミネルバ・マクゴナガルよお。あんたの時代は終わったんだ。今は俺達がここを仕切ってる。俺達を支持しねえなら……あんたにだってすぐにツケを払わせられるんだぜ?あ?カーーーーッ、ペッ!!!!」

ベチャッ!!!

ハニー「」

ルーナ「うわぁ」

マクゴナガル「……下賎な。唾など、吐いたところd」


バサッ!

ハニー「『ウィンガーディアム・レビオーサ』」

フワァァァッ

アミカス「!!ポッター!!テメ……え」

ハニー「……レディの顔に、してはいけないことをしてしまったわね。この豚以下の下衆」

アミカス「あ、う、わ、やめ、レイブンクローの石、像、それ、や、あ、ああああああああ!!」

ハニー「跪いて這い蹲って先生に謝りなさい!!この、豚以下ああああああああああああ!!!」

ゴシャァアアアアアアア!!

マクゴナガル「ポッター――ポッター!?あなたがここに!?何故、いいえ、あぁ!なんてバカな真似を!」

ハニー「こいつは先生に唾を吐いたわ。許せない」

マクゴナガル「それは、えぇ、気高い行為でした――違います!しかし、わかっているのですか?ここで、あなたがこのような行動をとれば――」

ハニー「えぇ、分かってます。分かってる――どちらにしろ、だわ。先生――ヴォルデモートが、もうまもなくここに来るの」

マクゴナガル「っ」

ルーナ「あら、もうその名前を呼んでもいいの?」

ハニー「同じことよ。あいつはもう私がどこにいるのか分かってる……私のほうもね。湖のアレが失われたことに、気づいたんだわ」

マクゴナガル「ですが、ポッター!あなたはここで、何を……?」

ハニー「やらなければいけないことがあるの。ダンブルドアとの約束を、ここで」

マクゴナガル「……私に出来る事は?ポッター、惜しみなく頼みなさい。私はあなたの寮監です。助ける義務がある。そして私が、そうしたいのです」

ハニー「……ありがとう、先生。けれど……あぁ、そう、ね」

ハニー「先生。少しでも、私たちが探し安くする、ために。お願いできるかしら。今すぐ――」

―――
――

大広間

ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ
 ザワザワザワザワ
ガヤガヤガヤガヤ

マクゴナガル「静かに!!生徒のみなさん、静かに!!寮ごとにお並びなさい!」

フリットウィック「レイブンクローのみなさん!私はここですよ!上に浮かせた光の球体!こっちに並ぶ!小さいとか言わない!もっと光らせますよ!!」

スプラウト「ハッフルパフのみんな、さぁさぁ、おねむでしょうけど整列なさい、さぁさ!」

ホラス「あー、スリザリンの諸君!快適な睡眠を邪魔されたのは癪だろうが、並ぶんだ!分かるよ、私もね。さあ!」


バターーン!

スネイプ「……ミネルバ、これは何の騒ぎですかな?」

マクゴナガル「ああ、スネイプ校長。これはこれは……えぇ、生徒の皆を集めているところです。緊急の集会で」

スネイプ「それは分かっている、あなたが放送する声は聞こえた。何のための、と聞いているのだ」

マクゴナガル「あなたの辞任式ですよ、セブルス」

スネイプ「……ほう?それではあなたがたは――我々に従わないことにした、と。今更」

マクゴナガル「えぇ、そうです。これからここで何を始めるつもりなのか、分かっていますよ。セブルス」

スネイプ「何かを始める、と?何のことですかな?我輩は――この城を守り、そして」


「嘘つき!」


スネイプ「……!!」


ザワザワザワザワザワッ!


「あなたは大嘘つきだわ!みんなを騙して、ダンブルドアも騙して!そして……よくのうのうと校長の座にいられるわね!!」

スネイプ「……その反抗的な目をやめろ、ポッター」

ハニー「どこまでだって、反抗してやるわ!!スネイプ!!!!!」

スネイプ「っ、この――」

バチバチッ!!

スネイプ「っ――」

マクゴナガル「――杖を抜くおつもりなら、覚悟なさいセブルス!さあ、構えなさい!」

スネイプ「――」

バチバチバチバチバチッ!!
 バーーーン!バーーーン!!

ホラス「しゃがめーーー!!立つなーーー!!スリザリン生----!!流れ呪文に当たってなんて、スリザリンの恥だぞーー!しゃがめーーーー!ネコの餌になりたくなければーーーーー!!!」

バッ!!

パリィィィン!!

ザァァァァッ!

マクゴナガル「卑怯者!卑怯者!逃げるな!戦いなさい!!最期の瞬間まで雄雄しく!!卑怯者!!」

ハニー「……逃げてしまったわ。スネイプのやつ……先生、十分よ!」

ワァアアアアアアアアアアア!!!
 せんせーーーーーーーー!!
にゃんこーーーーーーー!!

マクゴナガル「フーッ、フーッ……えぇ、ポッター……生徒のみなさん、いままでよく、耐えました!我々は――リーもいないのにおかしなコールはやめなさい!!!」

ロン「しびれたよな、マクゴナガルの杖さばき!ハニーの存在の次に。やあハニー、さっきぶり」

ハーマイオニー「全員大広間に集めて何をするのかと思ったら……もう!スネイプやカロー以外に大勢の死喰い人がいたらどうするつもりだったの!?」

ハニー「それはないって、分かっていたもの。ね、ホラス?」

ホラス「ほっほ、グレンジャーのお嬢さん。真実薬を煎じるのが得意なのは、何もセブルスだけじゃないのだよ」

ハーマイオニー「あぁ、カロー兄妹に尋問……用意周到でよかったわ、えぇ。もう」

ロン「結果オーライじゃないか。そうだろ?これで僕らは城の中を自由に動けるし、それに、みんなを安全な場所に移動できたんだ」

ハニー「えぇ、そうね。ここなら、きっと――」



『 ―― 城の中ならば 何があろうと 安全 ―― 』

『 ―― そう思っているのだろう ハニー・ポッター そして その愚かな崇拝者たちよ ――』


ハニー「っ、なぁに、これ……また、あいつの感情が」

ロン「……いや、ハニー。これ、僕達にも聞こえてる」

ハーマイオニー「頭に、響くような……これ、あの人の……例のあの人の、声!?」

キャアアアアアアアアアアアア!!!
 ウワアアアアアアアアアアアア!!
ザワザワザワザワ

『 ―― そうだ 恐れよ 慄け ―― 』

『 ―― 俺様から 逃れることなどできん 俺様は 今は 城にいなくとも ――』

『 ―― 今に そこへ向かうぞ ホグズミードは もうしばらくすれば 陥落する ――』

ハニー「……ホグズ、ミード、が……?」

ホグズミード

バーーーンッ!!!

 バーーーーン!!! バチバチバチバチッ!!

リーマス「っ、はぁ、ハア……誤算だった。あの隠し通路を――ホッグズヘッドを、連中が見破っていようとはね」

キングズリー「それでも、我々は向かわなくてはならない!生徒や、あの城の皆だけで戦わせるわけにはいかない!」

フレッド「おーっと、ここの戦いが全く前哨戦もいいとこだなんて言い草やめようぜ」

ジョージ「俺達にとっちゃ、ちーっとも道草どころじゃないんだけどなあ。やれやれ」

トンクス「それでも、やらなきゃ!ほら、今はまだ、ホッグズ・ヘッドは守られてるよ!ダンブルドアがきっと、守護をかけててくれてたんだ!」

リーマス「そうだね……トンクス、できれば君は、置いてきたかった」

トンクス「馬鹿言わないで、リーマス!」

ギュッ

トンクス「あたし、戦うよ。あの子が笑って暮らせる未来のために。テディの幸せは、今この瞬間に!かかってるんだから!」

リーマス「――あぁ、そうだね。私もあの子の未来を守ろう――あの子の、父親として」

リーマス「さあ、みんな……行こう!」


バーーーン!!バーーーーン!!!

 バチバチバチバチバチッ!!






『 ―― そうだ ハニー・ポッター』

『 ―― いま正に お前のせいで 無駄な命が失われようとしている』

ハニー「……」

『 ―― それなのに お前は まだ 戦おうというのか?』

ハニー「それは、みんなの意思よ。ここは、ホグワーツなの。誰もが選ぶ権利がある。私、わたしは……できればみんなに、逃げてほしいけれど」

ハニー「このまま、何もせずに!ただみんながあんたがくるのに巻き込まれるだけなんて!そんなの嫌!」

ハニー「先生は約束してくれたわ。生徒のみんなを絶対に守るって。私はそれを信じてる」

ハニー「一緒に戦ってくれる、って、人が……一人でも、一人でもいるのなら」

ハニー「わたしは、信じる。それがわたしの、力なんだから」


『―― 見下げ果てたな ポッター』

『俺様にまだ 敵うと思っているのか』

『俺様は ヴォルデモート卿 死の飛翔』




ヴォルデモート『死の秘宝を手にした 俺様に――貴様ごときが、何ができる?』

ハニー「……何が、死の、秘宝」



ハニー「最後(いやはて)の、敵なる死だって……越えてみせる!!!」






つづく

このスレはここまで!
最終戦は八月の連休に一気に!やってく!
ここまできたら最後までよろしゅう!
スレタイは上の最後のそれで!
じゃあの!

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