ハニー・ポッター「分霊箱を、探す旅」 (712)
ハニー「……ヴォルデモート」
ハニー「あいつを完全に倒す為に、どうしても見つけなくちゃいけないわ」
ハニー「分霊箱。あいつの魂の断片が入ったものを」
ハニー「それが、ダンブルドアとわたしの、約束だもの」
ハニー「……」
ハニー「まぁ、この私にかかれば容易いことだけれど。そうでしょ、私のかわいい豚さん?」
ダドリー「ヒンヒン!ハニー!ヒンヒン!
バーノン「小娘、やめろ!やめろ!ダドリーをかかとで踏みつけるのはやめんか!」
ハニー「むしろ踏まれに来ているのよ、これは」
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ハニー・ポッター「私が、魔法使い?」
ハニー・ポッター「賢者の石、ですって?」
ハニー・ポッター「賢者の石は、どうなったのかしら」
ハニー・ポッター「秘密の部屋?なぁに、それ」
ハニー・ポッター「スリザリンの継承者?なんなの、それ」
ハニー・ポッター「脱獄囚の、シリウス・ブラック?」
ハニー・ポッター「『エクスペクト・パトローナム!』」
ハニー・ポッター「『守護霊よ、来たれ!』」
ハニー・ポッター「勝つのは私、そうでしょ?」
ハニー・ポッター「何がこようと、受けて立つわ」
ハニー・ポッター「いつか必ず、来るものは来るのよ」
ハニー・ポッター「来るものは来る、来た時に受けてたてばいいのよ。勝つのは、私よ」
ハニー・ポッター「騎士団、いいえ。私の豚団ね、そうでしょ?」
ハニー・ポッター「『私は、嘘をついてはいけない』……?」
ハニー・ポッター「誰一人だって、欠けさせないわ」
ハニー・ポッター「進まなきゃ、前に。そうでしょ?」
ハニー・ポッター「プリンス、だなんて。なんなのかしら」
ハニー・ポッター「暴いてみせるわ、マルフォイの企み」
ハニー・ポッター「どうして、スネイプなんかを……」
ハニー・ポッター「アルバス・ダンブルドアと、わたし」
のつづきやで
バーノン「いいからそこに座れ小娘!もう一度だ!もう一度話し合いする!」
ハニー「あなたから私にそんな提案がされること事態がかなりの進歩だけれど、これ以上何を話すって言うのよ。夏中説明したじゃない」
バーノン「だまらっしゃい!どう考えても馬鹿げておる!わしらがこの家を出て行くなんぞ!」
ハニー「だから、言ったでしょう。このままだと狙われる、って」
バーノン「ヴォルデモートなんとか卿だとかいうわけのわからんやからにか!?はっ!何を!!」
ハニー「……あなた今魔法界だと結構尊敬やら集める言動したわよ」
バーノン「お前達のようなイカレたところで褒められても嬉しいものか!どうしてそいつが、わしらを狙う道理がある!?」
ハニー「だから……夏の始めに、わざわざ本物の魔法使いが二人も来て説明したでしょう?リーマスとキングズリーが」
バーノン「あぁ!!手土産に馬鹿げてるレベルのチョコレートをもってきおって!まったく!魔ほなんとかの挨拶は狂っとる!!」
ハニー「アレは私たちの中でも特殊よ、えぇ」
バーノン「これは、わしらの家をお前たちが乗っ取る罠だ!そうにきまっとる!お前達は狂っとる!」
ハニー「気は確か?おかしいのは顔だけにしなさいよ豚以下」
ペチュニア「なんて口の利き方を!」
ハニー「私、散々狂ってるだの何だの言われたけれどね。それで?私がこの家を手に入れたいと本気で思ってるっていうの?」
バーノン「そうだ!わしの城を!」
ハニー「ダドリー?ここはどこかしら?」
ダドリー「ヒンヒン!豚小屋です!!」
バーノン「ダァアアアアアアアッド!!!!」
ハニー「ほんと、馬鹿げてるわ。私がどうしてこの家を欲しがるって言うのよ……楽しい思い出が一杯だから?」
バーノン「あぁ、あぁ!ダドリーとその友人たちを踏みつけながら好き勝手するのは楽しかっただろうともまったく!」
ハニー「それもここ数年の話でしょう。忘れたとは言わせないわ、私が、出るとこに出れば虐待問題でこの通りが騒然となる仕打ちを受けてたってこと」
バーノン「その万倍ダドリー悲惨なことになっとるけどな!!!!」
ダドリー「ヒンヒン!ヒン!」
ペチュニア「ダドちゃん!だめ!小娘の靴を舐めないの!ダトちゃん!」
ハニー「別れが近くて寂しいのね、豚さん?平気よ、離れていてもその首輪がある限り、あなたは私の大事な豚よ……?」
バーノン「なんだそれ、呪いか。狂っとる」
ハニー「ともかく。こんな家、私はいらないわ。第一、家は持っているもの」
ハニー「ここよりもっと大きくて、都会で、それで」
ハニー「大事な、思い出の詰った……」
ハニー「大事な人、との……」
ハニー「っ、うるさいわねこの豚!ニヤニヤしない!」
ダドリー「ヒンヒン!いたぁりがとうございます!!!」
バーノン「!?な、なにを勝手に思い耽ったあげく大人しくお前に踏まれてただけのダドリーを蹴りつけとるんだ!?」
ハニー「あぁ、ロンじゃなかったんだったわ……いつものくせで」
バーノン「お前がいつも狂っとるのはよく分かった!!」
ハニー「さっきからうるさいわね狂ってる狂ってるって……日に何度も荷物を車に積んだり降ろしたりを繰り返してるあなたには言われたくないわよ」
バーノン「我が家を手放すのに悩まん人間がおるか!いいか、決めたぞ!わしらはここを離れん!お前の言うことはでたらめのとんちきの嘘っぱちだ!」
ハニー「なら、あなたは、拷問をかけられたあげく死んでしまうことになってもいいわけね?」
バーノン「なにしとるペチュニア!!ダドリー!!荷造りの続きだ!!!ほれ!!!えぇいこんなことなら引越しトラックを借りてくるんだった!!!!!!!」
ハニー「ぶれっぶれね」
ハニー「何度も言ったけれど。十七歳になったら、私は成人になるわ。大人にね。誰にも文句は言わせない、法的に認められた大人に」
バーノン「しつこい!だからなんだ!」
ハニー「そうなると、私と……おばさんのおかげでこの家に保たれていた護りの魔法が途絶えるわ」
ペチュニア「……」
ハニー「その結果、ここは何の護りもないただのマグルの小さなお家に早変わり。死喰い人〈デス・イーター〉は……」
バーノン「なんだその恥ずかしい名称の集団」
ハニー「同意してあげるけれど続けるわ。ここに踏み込んできて、なんの力もないあなたたちを捕まえるでしょうね」
バーノン「……」
ハニー「私の居場所なんて知らない、そうしらばっくれても意味がないわよ。あいつらは、平気で、楽しむためだけに殺すこともあるわ……そういう奴らが、あなたたちを狙ってるの」
ペチュニア「……」
ハニー「……育ててもらった覚えもないし、ほとんど義理もないけれど。ダドリーは今じゃかわいい豚だし」
ダドリー「ヒンヒン!」
ハニー「何より、この私が私の関係者を犠牲にするなんて、我慢ならないもの。受け入れて頂戴、リーマス達、騎士団の護衛を」
バーノン「…………わk」
ハニー「あぁ、違ったわ。私の豚団の」
バーノン「却下だっっっ!!!!!!!!」
バタンッ
ハニー「押し問答をしても仕方ないから、私も自分の荷造りを続けないと」
ハニー「……この部屋ともお別れね。感慨なんて……」
ハニー「……少しは、あるかしら」
ハニー「……あれ以来すっかり豚になったダドリーから譲られた、一番大きい寝室」
ハニー「最初は、広いところで眠るのが怖くって……隅っこで包まっていたわね」
ハニー「……今は、トランクの中身がばら撒かれているけれど」
ハニー「……」
ガサガサッ
ハニー「……預言者新聞の山、とかね」
白豚「フィピヒィン」
ハニー「えぇ、白豚。あなたが頑張って毎朝運んできてくれた分も含めて」
ハニー「夏中……新聞はとり続けていたけれど」
ハニー「紙面は暗いことばっかりね。襲撃事件、失踪……それに」
ハニー「……」
ハニー「『アルバス・ダンブルドアを悼む』」
ハニー「……ダンブルドア」
ジーーーーッ
ハニー「……!? あぁ……何かの、見間違いね。今……シリウスから貰ったあの『合わせ鏡』の破片に……ダンブルドアの眼が映ったように見えたけれど」
ハニー「……逝ってしまったのは悲しいけれど、それなのにまたシレっと出てこられてもそれはそれでいやだわ。あの軽さで」
ハニー「……止めましょう。今度は声まで聞こえてきそう」
ハニー「追悼文を書いてるのは……エルファイアス・ドージ……ダンブルドアの、同級生」
ハニー「確か去年、クィディッチの解説席に居た時に言っていたわね……友人の、ドージって」
ハニー「……」
ハニー「『父親が三人のマグルを襲った事件で有罪となり、入学当時、周りから敬遠されていたアルバス・ダンブルドア』」
ハニー「……」
ハニー「『同じく、酷い龍痘の痕のために避けられていた私に声をかけたのは、ともすれば同じのけ者同士だったため、かもしれない』」
ハニー「『しかし、そうなれば私はあの厄介な病にお礼を言うべきだろう。おかげで私は生涯で最高の友と出会えたのだ』」
ハニー「『今でも、あの第一声は忘れない』」
ハニー「……」
ハニー「『わしじゃよっ!』」
ハニー「………」
ハニー「『私は思った。あぁ、馬鹿と天才は紙一重ってこのこt』それ以前の問題でしょうそれは」
ハニー「知らなかったわ。ダンブルドアの、お父さんが……マグルの襲撃、なんて」
ハニー「……」
ハニー「『ダンブルドアは、父親の件で遠巻きにされてはいたが。逆に一部の人間は彼を賞賛し、歓迎していた』」
ハニー「『彼を父親と同じく、マグル嫌いの魔法使いなのだろうと想像したからである』」
ハニー「『見当違いも甚だしい。彼に反マグル的傾向の片鱗なんてものは、私はこの長い人生で一度も眼にしたことはなかった』」
ハニー「『結果、アルバスは彼に接触を図った純血主義の先輩を完膚無きまでに完全論破した挙げ句、大広間のど真ん中で大泣きさせると言う偉業を成し遂げた』」
ハニー「『この頃より長い年月、彼はマグルの権利を主張し、そして多くの敵を作ることになるのである』」
ハニー「……」
ハニー「やり方」
ハニー「『あらゆる学校の賞を総なめにし、論文が学術出版物に取り上げられ、あのフラメルとダチ公と公言する仲にまでなったダンブルドア』」
ハニー「『我々が入学して三年後にホグワーツにやってきた、弟のアバーフォースは、彼とは違い論理的な話し合いよりも決闘とヤギを好んだ』……ヤギ?」
ハニー「『二人は似てはいなかった。そのことが、彼らの不仲を疑う一因だろう。しかし、彼らをよく知る私は否定したい。二人は互いに尊重したいい兄弟関係であったと思う』」
ハニー「『母親のケンドラ、そして妹のアリアナが亡くなり――仲違いをしてしまうまでは』」
ハニー「……」
ハニー「……こうしてみると、私って。ダンブルドアについて、ほとんど何にも知らないわ」
ハニー「少年時代、なんて……なんだか、想像できないもの」
ハニー「あの髭のない、銀色の髪じゃないダンブルドアなんて」
ハニー「まるで頼りにならなくてすぐに裏切るロンとか、私に押し倒されて喜ばないハーマイオニーとかと同じくらい、ちぐはぐだわ」
ハニー突然の原作dis
ハニー「弟さん、は……名前は、聞いた事があるわね」
ハニー「……妹、それに……母親のこと」
ハニー「なんにも、知らなかった。私の、豚で……わたしの、大切な」
ハニー「……知らなかったし、知ろうともしなかったわ。私とダンブルドアはいつも……そうよ。私自身の話をしていたんだもの」
ハニー「……取り返しの付かないことを嘆いても、仕方ないけれど」
ハニー「けれど、もう少しでも、ダンブルドア個人のことについて知っていれば……」
ハニー「……」
ガサッ
『リータ・スキーター著!「アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘」!今明かされる!天才魔法使いの欠陥と衝撃の物語!』
ハニー「……こんなもの、笑い飛ばせたはずだもの」
ハニー「『薄暗い家族の秘密――荒れ狂った危険な思想――衝撃の友人関係』」
ハニー「『闇の魔術に手を出していた過去――』ふざけてるわ。絶対に、嘘っぱちよ」
ハニー「それに……」
ハニー「『ポッターとダンブルドアの不健全で忌まわしい関係』、ですって?」
ハニー「なによ、それ。私とダンブルドアはヒンヒン言わせたりたまに蹴ったりするだけの、普通の関係だったのに」
ハニー「信頼して、助けてもらって……それなのに」
ハニー「このコガネムシ女には、今度あったら……」
ハニー「……あぁ、でも。えぇ、私の出番は無いでしょうね。事が済んだ後、ハーマイオニーを落ち着かせる役目で十分だわ」
ハニー「『ポッターとダンブルドアの不健全で忌まわしい関係』、ですって?」
ハニー「なによ、それ。私とダンブルドアはヒンヒン言わせたりたまに蹴ったりするだけの、普通の関係だったのに」
健全じゃないかヒンヒン(怒
ハニー「……記事は全部、捨てていってしまいましょう。ドージさんの追悼文以外は」
ハニー「少しでも荷物は軽いほうがいいものね……さて」
ハニー「もうすぐ、時間だわ。確か、先にダドリー達を送り出すんだったわね」
ハニー「目立たないように、普通に、玄関のベルを鳴らして――」
ガシャァァンッ!!!
「トンクス、トンクス!?言っただろう!今回は魔法は使えないがそんな力技でなく普通に訪問……トーンクス!?!?」
ハニー「……だぁれ?目立たないようにって任務に一番向いてない人をよこしたのは」
バーノン「な、なんの騒ぎだ!?なん……うわっ!?なんだこの蛍光ピンク頭の女は!?」
トンクス「あ、あっはは。こんちわ!幸せ絶頂の人妻です!」
リーマス「トンクス、その挨拶やめてくれるかい……」
トンクス「こっちは旦那様です!」
バーノン「! 犯罪だ!!」
リーマス「……自覚はありますやめて」
トンクスwwwwww
ディグルとジョーンズはどうしたw
トンクス「よっ、ハニー!久しぶり」
ハニー「えぇ、やっぱりトンクスね。幸せそうで何よりだわ」
トンクス「へっへー、分かる?みて、みてこれ!何か分かる?この左手にはめた、これ!」
ハニー「……指輪!まぁ!それじゃ、トンクス!」
トンクス「そう、そうなんだ!結婚したの!」
ハニー「おめでとう……あぁ、なんて言っていいか!式は?真っ白い大きな教会だったのかしら、やっぱり!」
トンクス「それもステキだったんだけど、このご時勢だしあんまり派手にはできなくってさ。なにより皆が、『生まれてから色々言われる前にさっさとあげてうやむやにしてしまえ』ってすすめてきてトントン拍子にさぁ」
ハニー「?」
トンクス「あ、こっちの話。とにかく、そういうことなんだ!呼んであげられなくてごめんね」
ハニー「いいのよ、二人が幸せなら!あぁ、本当によかったわ!ねぇ、よく見せて!」
トンクス「いいよ、いいよ!あのね、この石さ、ほら!私みたいに七色に――」
バーノン「……そこのチョコレート魔。つかぬことを聞くが、今はとんでもない非常事態で、わしらは命が危なくて、とても急がないといけないんじゃないのか?」
リーマス「……返す言葉もありませんよ、色んな意味で」
トンクス「さーってと。うるさくて不気味な上司が来る前にさっさと進めないとね」
リーマス「思い出してくれてありがとう」
トンクス「あっははリーマス、そんなまるで私が物思いが激しいうっかりさんみたいにそんな。それで、えーっと?ハニーを姿くらましさせるんだよね!」
リーマス「トンクス、トンクス、お願いだから、一緒の任務になって私も嬉しいがね、とりあえず落ち着いて」
トンクス「や、やだなリーマス!惚気ないでよ誰かさんが怒るよもう!で、でもさ、あたしも嬉しい、かな……」
リーマス「……」
バキッ!!
トンクス「!?り、リーマス!?なんで自分殴って、リーマス!?」
リーマス「落ち着けムーニー今は任務中大事な任務中だムーニー違う今は私は狼ではない私は狼ではない違う」ブツブツブツブツブツ
バーノン「おいなんだこれ」
ハニー「反動よ、反動。今まで散々だったことのね」
ダメだこの夫婦wwww
トンクス「あーあたし今世界で一番幸せ」
ハニー「でしょうね。リーマス、怪我は?」
リーマス「チョコレートを食べたから平気だよ……さて、ダーズリーさん。荷造りはお済みですね?」
バーノン「ふんっ、とっくにな」
リーマス「少し計画に変更がありまして。我々は今、魔法を使うわけにいきません。ハニーが未だ『臭い』をつけている以上」
ハニー「『臭い』?」
リーマス「あぁ、ハニー。あの犬が嗅いで飛び起きるとかそういう物理的なものでなくてね。そして今のは例えだから眼を輝かせないでくれるかい心が痛い」
トンクス「おっさん、車の運転は出来る?」
バーノン「年長者になんだその口の利き方は! ふんっ、運転なんぞ出来て当たり前だ!」
トンクス「そりゃすごいね!あたし、パパが何度かやってるのを見たけど、あんなにレバーやらボタンやらあるのを動かそうとしたら髪の色が黒くなっちゃうよ」
ハニー「分かりにくいけれどそれは気が沈むということなの?」
バーノン「魔のつく輩は……あの眼鏡といい!車の運転も出来ん奴らに偉そうな口を利かれるなんぞ我慢ならん!」
ハニー「パパがどうしたのよ」
トンクス「えっとさハニー、今更だけどお父さんのこと『眼鏡』って言われるのいいのかなそれ」
リーマス「ダーズリーさんご一家には、我々の仲間の護衛で車で15キロほど、安全な場所まで移動してもらいます」
トンクス「そこならハニーの『臭い』の範囲外だから、あとは『姿くらまし』でもっと遠くまで一気に、ってね」
バーノン「まともな人間の分かる単語で説明しろ、と思うが、もういい貴様らには何も期待せん」
トンクス「そりゃどうも。さって、それじゃ……えっと?私とリーマスはその、席外そうか?」
ハニー「いいわよ、そんな気遣い」
トンクス「え?でもさ、もうこれでほら、お別れ……」
バーノン「あぁ、まったく。じゃあな、小娘。これでおさらばだ」
ハニー「えぇ」
トンクス「……それだけ!?そ、そんだけ!?ほら、もっとこう!あ、握手とかさぁ!」
リーマス「トンクス、事情があるんだ……それにほら、今、一瞬ダーズリーさんは本当に右腕差し出しかけたのに君が言うから……」
バーノン「だまらっしゃい!」
ダドリー「ハニー……」
ハニー「……ダドリー」
トンクス「……」
ダドリー「ヒ、ン……ヒン!」
トンクス「……あのさぁ、最後くらい」
ハニー「っ、だ、ドリー……だから、言ったでしょう?もう、昔のこと、なんて……!あなたはもう、十分……」
トンクス「!?!?!?あ、あれ!?今、あれだけ、あれ!?ハニー号泣!?えっ!?なにこれ!?!?」
リーマス「トンクス、邪魔しないであげよう、うん」
ハニー「いい豚さんだったわ……けれど、首輪は、外しましょう……これからは、自由に生きなさい?」
ダドリー「ヒ……ハニー……いまま、で……ごめん……ありがとう」
ペチュニア「……ダドちゃん」
トンクス「あー、うん、おばさん、確かにすこーしこれは感動」
ペチュニア「久しぶりに、とっても久しぶりに、うぅっ、普通に、言葉を……ダドちゃん!」
トンクス「そこかぁ」
バーノン「おい!さっさと行くぞ!あぁ、さようなら我が家!」
ガチャッ!
ハニー「ダドリー、じゃあね」
ダドリー「また、ハニー また!」
ハニー「えぇ、きっと」
ペチュニア「ぐすっ、それじゃ……」
ハニー「……」
ペチュニア「……」
ハニー「……何か言いたいことが、あるのかしら」
ペチュニア「…………えぇ」
ハニー「……」
ペチュニア「でも、もうその時期は過ぎた……とっくに、ずっと昔に。私はそれから、逃げた」
ぺチュニア「だから、何も言わない。言うもんですか」
ハニー「……」
ペチュニア「……さようなら」
バタンッ
ペチュニア「……」
ペチュニア「……幸運を」
バーノン「おたくらがわしらの護衛をする魔なんとかか?え?」
ディーダラス「えぇ、ダーズリーさん。なんだかね、若い連中には負けますよ本当。いろんな意味で」
ヘスチア「まったく」
リーマス「ハニー。私とトンクスはみんなを迎える準備をしよう。君は部屋から荷物をもっておいで」
ハニー「えぇ、そうするわ。みんな、って……」
トンクス「みんな、みんなだよ!あー、一人っていうか一頭は間に合わなかったけどさ。ねぼすけで困るよね」
ハニー「……えぇ、本当にね。それじゃ」
キィッ
トンッ、トンッ、トン……
ハニー「……この階段下……この物置で、ずっと、寝起きしてたわね」
トントントンッ
ガチャッ
ハニー「……せまいわ」
ハニー「ちっぽけだった、わたしが入っていたにしても」
ハニー「……」
ハニー「何も知らなかった頃」
ハニー「身の周りに起きる不思議な事に、振り回されたり」
ハニー「まだ見たことのない親戚が、助けに来てくれることを夢みたり」
ハニー「そんな頃の、わたし」
ハニー「……」
ハニー「私は、あの頃から何か変われたのかしら。それは……自信が無かったにしろ、美しさは変わりないけれど」
ハニー「今の、私……わたしには」
キキィイイイイイイ!!!
ドサァアアアアアアアア!!
バリィイイイイイイイン!!!
リーマス「どうしてノーブレーキでみんな庭に突っ込んできてしまうかな!」
トンクス「どうせあなたが焚きつけたんでしょマッド-アイ!!!誰よあたしに散々慎重に慎重にって言ってたの!!もう!!」
リーマス「いや君も大概だったけどね?」
「油断大敵!!」
ハニー「……ふふっ。考える、までもなかったわ。今のわたしには、そうよ」
バタバタバタバタッ!
バタンッ!
ロン「ハニーーーーーー!!!ヒンヒーーーーーン!」
ハーマイオニー「あぁ、ハニー!会いたか……きゃぁ!?」
ハニー「えぇ、そうね。みんながいるもの……ねぇハーマイオニー?ここの物置、割と寝心地がいいのだけれど、試してみる気はないかしら……?」
ハーマイオニー「あ、っちょ、っとハニ、そんな、いき、いきなりそんな、あぁ、そんなの、マダム・マルキンのお店で初めて迫られたこと思い出し、て……」
ロン「早速やったね!つづけて!!ヒンヒン!!!」
どうぞ!
ハグリッド「ハニー!元気かぁ!ヒンヒン!」
ハニー「えぇ、ハグリッド。相変わらずカワイイ豚ね」
フレッド「君こそ相変わらずの女王様っぷりだねハニー」
ジョージ「ブレない飼い主様ってわけだね、ロニーのな」
ハニー「えぇ、フレッド、ジョージ。ロンの?世界人類のでしょう?」
ロン「飼い主であり宝だよな君って世界人類の」
フラー「わたーしとおなじくらーいの、ですけどね。ハァイ、ハァニー!今日も高貴で可憐でーす?」
ハニー「えぇ、フラー。そっちこそ、今日も孤高で至高かしら?」
ビル「それは僕が保障するよ。やぁ、ハニー。この顔見てあんまり驚かないでくれよな」
ハニー「えぇ、ビル。そうね、随分ワイルドになったけれど、フラーとお似合いだわ」
アーサー「モリーが聞いたら喜ぶよ、あぁ。これは皮肉ではなくてね、すっかり仲良しなのさ」
ハニー「それはよかったわ。お父様、来てくれてありがとう。キングズリー、あなたも……マグルの首相の護衛ではなかったの?」
キングズリー「私が一晩いなくなったところで差し支えないだろう。君の方がずっと大事だ」
ハニー「ありがとう、みんな……嬉しいわ。あなたがいてもね、マンダンガス?」
マンダンガス「ヒェッ!は、ハニー、へへ、その節はどうも、ヒンヒン!」
ハニー「えぇ、本当に。前はとっても許せなかったけれど……みんな、本当に、あr」
ムーディ「よし!!止まれ!!!!!動くなよ!!!まだお前がポッターだとは確信できん!!!質問に答えてもらうぞ!!!」
トンクス「最っっっ悪だよマッド-アイ。最っっっっっっ悪!確信できまくる問答だったでしょ今のみんなとの会話!!これ以上むしろ何聞くの!?そのいやーな眼で見た下着の色とか!?」
ハニー「ハーマイオニーのなら」
ハーマイオニー「やめて」
チュニーがちゃんと言うこと言えたのはいいね
原作ではハリーには言えなかったが、ジェームズ似のハリーと違ってリリー似のハニーには一歩踏み出せたのかな
ハニーには伝わってなくね?
扉閉まった後っぽい
ムーディ「シックネスが寝返りおって、お前を連れ出すのに魔法を使うことはできんくなった。『臭い』を持っている以上、お前の周囲では魔法が使われれば今夜連れ出されると察して、シックネスがそれを連中に伝えるだろう」
ハニー「それで、みんな飛んできたというわけ?庭にある箒やらオートバイやら、それに、骨豚で」
ロン「もう二度とごめんだと思ってたけどさ、同胞の骨豚ことセストラルに乗るのは」
ムーディ「ごちゃごちゃ言うなら火花でとばして囮にしてやってもいいぞ?え?」
ロン「冗談にならないよ悪かったよマーリンの髭!」
ムーディ「よろしい。ともかく、ポッター。お前が十七になるのを待つ前に、今日、この家を起つ。ここがお前の家だ、と言えなくなった瞬間、つまりは今夜この敷地から出た瞬間に」
ハニー「……守護は解かれて、連中はこの家の中に踏み込めるし、ダーズリー家に仕掛けることが出来るのね」
ムーディ「そうだ。しかしその頃には連中は遠い空の下だし、お前は飛び立った後だ。無事に済めばな」
トンクス「やめてよ不安煽るの」
ムーディ「何を言っとる。闇払いたるもの常に死を覚悟しておけと言っただろうが?」
トンクス「はーいはい、殺しても死ななそうな人が何言ってんだか、まったくもう」
だめだ
すまん限界やだめだ
再開は8時予定で じゃあの
乙!
>フラー 「今日も高貴で可憐でーす?」
>ハニー「そっちこそ、今日も孤高で至 高かしら?」
ハニフラ可愛いなぁ
乙
>トンクス「はーいはい、殺しても死ななそうな人が何言ってんだか、まったくもう」
うわぁ…
で、でも、マッド-アイ(とヘドウィグ)は、ダンブルドアやセブルスと違って、絶対に死なないとストーリーが展開しないっていうタイプのキャラクターじゃないから、もしかしたら生けるかも…?(願望)
キングズリー「魔法省には、30日にここを出るというガセネタを流しておいた。それで絶対安心というわけではないが、連中も大勢で何日も張るわけにいかない。少しはマシだろう」
ハニー「えぇ、あいつのことだもの。一つの情報を鵜呑みにしはしないと思うわ……それで」
ムーディ「我々は飛び立って、先だって保護をかけておいた12件の隠れ家のいずれかを目指す。わしの家、キングズリーの家、モリーのおばのミュリエルのところなんかにな」
ハニー「……えぇっと」
ムーディ「ポッター、お前はこっちの脳内どころか外見までお花畑の実家に行ってもらう」
トンクス「その通りだから仕方ないかなぁ」
ムーディ「デレデレするな気を引き締めんか。ドロメダたっての希望でお前を迎え入れたいとのことだ。ハグリッドのオートバイで行け、いいな?」
ハニー「分かった……けれど、えーっと、この作戦、意味があるのかしら?」
ムーディ「む?」
ハニー「だって、それは、最初のうちは12件のうちどこに行くかは分からないでしょうけれど……こんな大人数で目指していたら」
ムーディ「あぁ、全員が同じ場所を目指すのではない。当たり前だろうが。こいつをつかい、今夜、この空に七人のポッターが舞うことになる。随行者と合わせて二人一組だ」
ロン「七人のポッター、字面からもう最高だよな」
ハニー「瓶……ポリジュース!?駄目!!!!!駄目よ!!!!」
ハーマイオニー「あなたがきっとそう言うだろうって、私、みんなに言ったのよ。だからね、ハニー。ごめんなさい。はい、ムーディ先生」
ムーディ「先生ではないがな。うむ、よくやったグレンジャー。グリフィンドールに特別訓練」
ロン「罰則じゃないか」
ハニー「っ、ハーマイオニー!私の髪の毛……そう、随分余裕があったみたいね。今度酷いわよ」
ハーマイオニー「望むところだわ」
ロン「僕も僕も」
ハニー「っ、そんな方法で、六人も命を危険に晒すなんて!絶対……」
フレッド「おいおい、ハニー。僕らが今夜なんのために此処に来てると思ってるんですか、だ」
ジョージ「まさしくそいつを晒すために飛んできたんだぜ?アホ面晒すロニーじゃないんだぞ」
ムーディ「よく言った双子。いいか、ポッター。ここにいるのはお前と違って『臭い』もない成人した魔法使いだ。全員が危険を覚悟している、腹をくくっとる」
マンダンガス「イェー……」
ムーディ「言いたいことがあるならはっきり言え黙らせるが。ポッター、これが最善だ。例え『あの人』でも、身体を七つにはできまい」
ハニー「……身体はね。でも、本当に……みんな」
フラー「んっんー、野暮なことは言いっこなしだぜ、でーす。ハァニー?だいじょうぶ、わたーしにはわたーしのナイト様がついてまーす?」
ビル「そういうことさ。みんな、覚悟はしているけどね。おめおめやられるつもりもないよ」
フレッド「店の商品の半分近くを持ってきたんだ。思う存分くらわせてやるさ」
ジョージ「新商品の実験もかねて、ど派手にかましてやろうじゃないか?え?」
ハニー「……」
ハグリッド「ハニー、大丈夫だ。みーんな強ぇし立派な魔法使いだからよ、心配するこたぁねぇ」
ハニー「それは、そうだけれど」
リーマス「信じてくれ、ハニー」
ハニー「……分かった。けれど……本当に、みんな……死なないで、ね?」
ムーディ「よろしい!さて、ポリジュースを飲む囮役はこっちにこい。グレンジャー、双子、デラクール、マンダンガス、あとロン」
ロン「僕今死んでもいいよ」
ハーマイオニー「土下座しなさいよハニーに……」
ハニー「……」
ハニー「ポリジュース薬を皆が飲んで……姿が変わったわ」
ハニー「まぁ、そうね。ペチュニアおばさんが張り切ってやったどのパーティの飾りつけよりも、今この部屋は煌びやかだわ、えぇ」
ハニー「私がたくさん、いるんだもの」
ハニッド・ハージ「「おったまげ!俺達、そっくりだ!」」
ハニマイオニー「……あー、匂いは私のままなのね。あぁ、えっと、『臭い』が。えぇ」
ハニダンガス「あっ!くそぅハニーの髪の毛入り薬なんて市場に出せばガリオン金貨の山だったのかもしれねぇ!しくじった!」
ハニー「マンダンガス?」
ハニダンガス「ヒンヒン!」
ロニー「こ、これが、ハニーの、ってなに考えてんだ僕ぁオラッ、って、は、ハニーの顔なんて殴れるわけないしでもこれはちくしょう僕はどうすればマーリン!!!髭!!!!」
ハニマイオニー「ハニーの顔でそれやめて」
フニー「オッオー。ビル、似合いまーすか?」
ビル「あぁ、でも元の方が綺麗だよ」
ハニー「惚気をありがとう」
ハニダンガス「俺ぁ護衛役の方がよかったのによぉ……」
ムーディ「この意気地なしが。言っただろうが?囮役の方がむしろ殺される危険は少ない」
キングズリー「『あの人』は、ポッターは自身が殺すと言っている。あぁ、死喰い人たちはポッターの姿をしていれば捕まえようとするだけだろう。護衛には容赦しないだろうがね」
ムーディ「決定事項にこれ以上ゴタゴタ抜かすなよ?よし、ポッター組。これに着替えろ」
ドサドサッ
ムーディ「トンクスが見繕ってきた、マグル風の服で……おい馬鹿」
トンクス「な、名指しで馬鹿とは失礼な! なによ、しっかりティーン向けのカワイイ洋服でしょ?」
ハニマイオニー「あー、えっと、私はその、このままでいいかしら、えぇ。それか、ハニー?あなたの貸してもらえる?」
フニー「んー、わたーしの趣味ではありませーんね。ハァニー?」
トンクス「」
ハニッド「いやいや、トンクス。俺達はこういうの好きだぜ?ハニーらしさの欠片もないけどさまったくもって」
ハージ「スパンコール使いまくりラメまくりギラッギラの目立ちまくりでパンクないでたち、悪くないさ、うん」
トンクス「……ぐすっ」
リーマス「あー、私はむしろそうだな、君が着てるのを見たいね、うん。というかほとんど君の私服だねこれは」
トンクス「ありがと。好き」
リーマス「誉めてはないけどね……知っているよ」
ムーディ「どこもかしこも惚気るな。油断しとると知らんぞどうなっても」
ロニー「着替えは葛藤と欲望と理性と本能で僕が固まってる間にパパが杖の一振りでやってくれました。マーリンの髭」
ムーディ「迅速でなにより。さて、二人一組だ。さっきも言ったが、ポッターはハグリッドと。マンダンガス、お前はわしとだ」
ハニタンガス「うげぇ……どうして俺が、あんたと」
ムーディ「お前が一番眼が離せんからにきまっとるだろうが!どっちの眼もな!」
ビル「フラーは僕が。彼女は箒が苦手ですからね、セストラルで行きますよ。お姫様抱っこで」
ムーディ「落ちてもしらんけども。アーサー、リーマスは双子と」
ハニッド・ハージ「「おいおい、いい加減僕らを双子ってひとくくりにするのやめてくれよな。こんなにもお互い個性があってそれぞれの道を歩む尊重しあった兄弟なんだぜ?なぁ相棒?まったくさ相棒」」
ムーディ「目印かわりに耳でも削ぐか? グレンジャーはキングズリーだ。安心しろ、禿げているがエスコートは上手いそうだ」
キングズリー「頭関係ありますか」
アーサー「髪の話はやめよう」
ロニー「マーリンの髭」
ムーディ「ロン、お前はトンクスとだ」
ロニー「……ハニー、ちょっと早めのさよならを言わせてくれよ。ヒン……ヒン」
トンクス「待て待て待て」
ハニー「ロン……今私の顔だけれど……いい豚さんだったわ」
トンクス「ハニーも乗っからない!今更だけどさ自分の姿してる人の背中に乗っかるってそれどんな気分なのかな果たして!今更だけど!!!」
ロニー「どれだけ姿が変わろうと僕はハニーの一番の豚だぜ?もちのロンさ」
庭
ハグリッド「ほーれ、ハニー!お前さんが赤ん坊の時に乗って以来か。そん時はまだ俺の肩どころか手のひらにおさまっちまうくれぇ小さかったっけなぁ……シリウスの、空飛ぶオートバイだ!」
ハニー「!シリウスの!」
ロニー「僕ら、どうまねしたってあんなに幸せそうな表情浮かべられないよな」
ハニマイオニー「名前が出ただけでね、えぇ」
ハグリッド「ちーっと狭ぇかもしれねぇけどよ、ハニーはこっちのサイドカーだ。本当なら俺の肩っちゅう特等席に乗せてやりたかったんだけどよぉ」
ロニー「君が単独で空飛べるおったまげ豚の領域にまで行ってるならそれでいいかもだけどさ」
ハニー「気持ちだけもらっておくわ……私、あまりオートバイには詳しくないけれど。その……ハンドル横の紫色のレバーは、もともとあったものなの?なんだか、そうね。浮いているわ」
ハグリッド「アーサーがちょいといじってよぉ!とっておきだ!」
アーサー「あぁ、ハグリッド。だがね、気をつけて使ってくれよ……危険じゃないか私にも自信がない。いいかい?気をつけて、ものすごい加速だと思う、慎重に、ゆっくり、是非とも、使用後は詳細にレポートしてくれたら助かる」
ハニッド「おふくろがレッドキャップ顔になるぜ、今の親父を見たら」
ハージ「それこそポリジュース薬でも飲ませて変えてやらなきゃなぁ」
ムーディ「お喋りは終いだ!あと三十秒きっかりで飛び立つぞ!いいな!」
トンクス「みんな、一時間後に『隠れ穴』で!それぞれの隠れ家に『移動キー』が用意してあるからさ!」
ムーディ「うむ、モリーの美味いメシを楽しみに、そうだな。おい、ニンファドーラ」
トンクス「そうそ……はぁ!?なに、マッド-アイ。敵前じゃなくてここで沈みたいわけ?」
ムーディ「わしに一度も訓練で負かしたことのない奴がなぁにを言っとる。あぁ、だがな。赤い長髪にしたのは評価してやろう」
トンクス「ん、少しでも混乱させてやろうってね。なに?昇給でもさせてくれるの?」
ムーディ「うんにゃ。そういえば、言っていなかった。おめでとう。リーマスと仲良くな」
トンクス「……ん??」
ムーディ「出発だ!!!飛び立つぞ!!いち、にーーーい!!」
トンクス「マッド-アイ……?」
ムーディ「さん!!!!!!」
バッ!!!
ブロロロロロロロロッ
ハニー「っ、本当に、空を飛んでるわ!シリウスって凄い!乗り心地は、その、あんまり、だけれど!」
ハグリッド「しーっかり掴まっちょれよ、ハニ……っ!?!?」
ザァァァァッ!
バサバサバサバサッ!!
ハニー「!フードを、かぶった……待ち伏せ、され」
ハグリッド「おぉおおおおおおおおおらぁああああああああ!!どけぇえええええええい!!!」
ブロロロロロロロロッ!!!
バキッ! バサーーーッ!!
ハグリッド「っ、なんっとか、包囲されんで済んだ!ハニー、落ちるなよ!追いつかれる前に走らにゃなんねぇ!」
ハニー「待って、待って!!!みんなが!!まだみんなが、後ろに!!」
バーーン!!バーーーーーン!
バチバチバチバチ!!!
ハニー「あんなに、っ、少なくっても、40人近く、っ、戻らなきゃ、閃光が……みんなが」
ハグリッド「みんなの意思はお前さんが無事でいることだ!!!みんなを信じろ!!行くz……おわっ!?」
バーンッ!!ガタガタッ
ガタンッッ!!
ハニー「っ、バイクが、さかさま……あぁっ!!!」
ガタガタッ
白豚「ピィーーーヒン!」
ハニー「鳥、籠……!そんな、閉めたまま落ちていったら、白、あぁ!ヘドウィグ!届いて!『アロホモラ!』ヘドウィグ!!逃げて、お願い!!!」
ヘドウィグ「ピーーーーィヒン!!」
ハニー「ヘドウィグーーーーーーーー!!」
ガチッ、パカッ
シューッ
ヘドウィグ「……」
ヘドウィグ「ピィ!」
シューーーッ!!
「うわ!?なんだ、このクソ鳥!!」
「邪魔するな!困ルフォイ!!邪魔するなら――――」
バーーーーン!!!
バチバチバチバチッ!!
ムーディ「どうした!!こんなものか!!!まとまってこれとはな!!!アルバス一人の方が億万倍も手ごわいぞ!!」
ハニタンガス「ひぃっ、ひぃいいいい!ひぇええええ!!」
ムーディ「ボサッとするな!ポッター!飛べ!!!速く!!!他の連中はもう行ったぞ!!!」
ハニタンガス「そりゃ、そりゃそうだ!!あんたはこのあたりを旋回するばっかりでよお!!!」
ムーディ「そんな動きをするのがよもや本物だとは思うまい、と思うまいという裏の裏をかいた作戦だ!油断大敵!」
ハニタンガス「そんな面倒くせぇことじゃなくて実際一番近くにいる俺達にほとんどが集まってったんだろうがぁよぉ!う、うっわ!」
ムーディ「むっ!!ぐっ!!!!!」
バギャッ!!!
ムーディ「……またこちら側か。しくじったわい!」
ハニタンガス「あ、あぁっ、マッド-アイの、魔法の眼の側の顔がほとんど、吹き飛んでら。もうおしめーだ!おしめーだ!!!俺は降りる!!!とんずらこかせてもらうぜ!!!」
バチンッ!!!
ムーディ「さぁポッター!飛べ!急げ……あぁ……行ったか」
ムーディ「そうだ、マンダンガス。お前さんなら、そうしてくれると思っておった」
バチバチバチバチバチッ
ムーディ「非情になれ、と言っても、わし一人を置いて逃げる人間なんぞ、お前くらいのものだからな」
ムーディ「そして、この場には……わしとマンダンガスに吊られた大多数の闇の輩が残る」
ムーディ「たまには役に立つものだ。『最高の闇祓い』という肩書きもな」
「ポッターが消えたぞ!?」
「ニセモノだ!ほかを……!?なんだ、この障壁!!」
ムーディ「ハッハ、ハッハッ!!!!さぁ、こい!!!闇の輩ども!!!!この壁は、わしを殺さない限り解かれることはないぞ!!」
ムーディ「だが!!手負いの老人と思うな!?魔法の眼がなくとも!腕がもげようと脚がもげようと!!わしはお前たちを一人でも多く道連れにするぞ!!!」
ムーディ「油断、大敵!!!!!!!」
バーーーーーンッ!!!!!
ブロロロロロロロロロッ
ハニー「っ、っ!!ハグリッド!」
ハグリッド「お前さんの命令でも聞けねぇ!聞けねぇんだ!ハニー!俺の仕事はお前さんを送り届けることだ!昔とおんなじ!」
ハニー「っ、っ、それじゃ、しっかり……みんなは大丈夫、だい、じょうぶ……お願い……ヘドウィグも」
ハグリッド「おぉ、そうで……おわっ!」
バーーン!
ハニー「っ、運転を、お願い!追いかけてくる、連中は……『ステューピファイ!麻痺せよ!』」
バーンッ! サァァァァッ!
ハニー「っ、避けたわね……とまり、なさい!豚以下!『インペディメンタ!妨害せよ!』」
「ヒ……」
ハニー「……ヒ?」
ハグリッド「なんだか同胞っぽい声が聞こえたが空耳か!?空にいるだけに!?」
ハニー「えぇ、今、私も……っ」
バーン!
バチバチバチ!!
ハグリッド「っと、よし、秘密兵器、その1だ!!」
カチッ
ブワァァァッ!
ハニー「!?排気筒から……レンガの壁が!」
ハグリッド「落ちっちまえ!!」
「うぁ、あぁああああ!!」
「あああああああ!」
「……」
バサッ
ハニー「っ、二人は減ったけれど、一人、上手く……フードが、とれて……あぁ、あれは……スタン!!!」
スタン「……」
ハニー「眼が、うつろだわ……操られてる……だから、さっき……あなた、そんなになっても……っ、目、さましなさい!車掌豚!『エクスペリ・アームス!武器よ去れ!』」
バーン!
スタン「――――あいつだ!!!あいつが、ハニー・ポッターだ!!ホンモノだ!!!ちげぇねぇ!!!」
ハニー「……え?」
スタン「道理であの時とそっくりな下着だと思って――あの時ってなんだ、ありゃ、おれぁ……」
ハニー「忘れなさいと言ったはずよこの豚!!!!!!!!」
ハグリッド「気になるし屠殺もんだが今はえぇ!ハニー、秘密兵器その2だ!つかまっちょれよ!いでよ、ノーバートファイヤ!一気に加速だ!!!」
カチッ
グォオオオオオオオン!!!ボォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
ブロロロロロッ
ハニー「っ、もの凄い加速、だったわね……一気に何キロも移動したようだわ」
ハグリッド「チャーリーがノーバートの炎を送ってくれてよお。そいつをアーサーがこう、色々してくれたんだ。すごかろう?え?」
ハニー「えぇ、深くは聞かないわ……追っ手も、見えなくなったみたい」
ハグリッド「あぁ、ヒンヒン!連中をまいたぞ、ハニー!」
ハニー「出来る豚ね、ハグリッド……けれど、まだよ。嫌な予感がするの……スタンは、操られてるスタンが最後に言ってたわ」
ハグリッド「あぁ、あいつは正気に戻っても会議もんだなぁ」
ハニー「そっちじゃなくって……私がホンモノだ、って、確信した言い方で……一体」
ハニー「どういう――っ、額、が……痛っ……」
「そういうことだ ハニー・ポッター 貴様はどこまで行っても甘い」
ハニー「っ!!!!」
ハグリッド「お、わ……!?!?箒も、なんにも、なしに……飛んできよる、あれ、は……あいつは」
ヴォルデモート「お懐かしいな、ハグリッド 小娘を始末した後 ゆっくりと昔話でもしてやろう」
バーーン!!バーーーン!
ハニー「っ、あいつに、死喰い人がまた、っ、ハグリッド!」
ハグリッド「もう少しだ!もう、この真下くれぇなんだ!ハニー、もうちっと……なのに、こなくそ!!っ、ハニー!!」
ヴォルデモート「小娘は殺すな! 俺様が殺る 俺様のみがこやつを滅ぼすのだ」
ハニー「っ、全く、逆の意見ね!あんたは、私が――っああ!」
バキッ!!
ヴォルデモート「相変わらず 言葉だけは勇ましいな 知っているぞ ハニー・ポッター」
ハグリッド「サイドカーが!!ハニーーー!!こなくそ!なにしやがるこの野郎!」バッ!
死喰い人「えっ、なんでこの人バイクから飛び降りてこっち……ぎゃぁああああああああああああああああああ!!?!?!?!?」
ヴォルデモート「お前はなんの力もない 臆病者の小娘だ 杖のつながりも、もはや問題ではない この杖はルシウスのものだ もう貴様と俺様の間に、あの眼鏡が飛び出してくるような事態も起きん」
ハニー「っ……回転、しながら……落ちていく、せいで……あいつが、どこにいる、かも」
ヴォルデモート「終わりだ 死に頭をたれろ、ポッター アバダ――」
ハニー「っ、ぁ!」
ビッ!!
ヴォルデモート「!?」
ハニー「!杖豚!!あいつは、そこね!私の腕をあいつがいる方向に引っ張るなんて、豚のくせにやるじゃない!」
ヴォルデモート「っ、何故だ 兄弟杖など使っておらん 何故、あやつめ、嘘の情報を !」
バチンッ、ボァアアアアアア!!!
ヴォルデモート「っ、金色の炎 ダンブルドアのお得意か ポッター!」
ハニー「さぁ、どうかしら!杖豚の勝手よ!」
ヴォルデモート「セルウィン! お前の杖をよこせ! ここでしとめる!!ここで、こいつは――」
フッ
ハニー「っ……消えたわ……あぁ、違うわね……きっと、着いたんだわ。用意された、守護の範囲内に」
ハニー「そしてこのまま、落ちて……」
ハグリッド「ハニーィイイイイイイ!ロンがいない代わりは俺がしっかり地面にさき回ってサイドカーごと無駄にでかい図体で受け止めヒンヒン!ありがとうございます!!!!」
ハニー「えぇ、ハグリッド……できる、豚さんね。無事で、よかったわ」
ハグリッド「ヒンヒン!」
ハグリッド「トンクスん家の庭に池があって助かった。ぬかるみがなかったらさすがの俺も、あの高さから落ちたらちょっと大怪我してたかもしんねぇ」
ハニー「頑丈ね、えぇ。私のために」
ハグリッド「そうとも」
バタバタバタバタ、バタンッ!
「誰だね!?誰だい!池に落ちてきたのは!?ハニー・ポッターかね!?」
ハニー「っ、あぁ、近くにお家が……そうよ!あなたは……」
テッド「私はテッド・トンクス。ドーラの父親だ……どうして墜落したね?アーサーの仕掛けがやりすぎだったのかな?奴さん、私が止めるのも聞かず随分といじくっていたようだから」
ハニー「違う、わ……死喰い人が待ち構えていたの。あいつも。大勢で……」
テッド「死喰い人!?あぁ、なんてことだ。情報が漏れていた、そういうことか……ともかく、家の中においで。妻が手当ての容易をしているよ」
ハニー「えぇ、ありがとう……ハグリッド、立てる?」
ハグリッド「もちの一番豚さ」
ガチャッ
「あぁ、良かったわ――あなたが、ハニー?」
ハニー「そうで…………っ、あんたは!!!!!!!この!!!!!どの面さげてここにいるの!!!このアバズレ……」
テッド「あー、ハニー?えっと……私の妻の……アンドロメダだ」
ハニー「……えっ」
アンドロメダ「……こんばんは、ハニー」
ハニー「……あ」
アンドロメダ「シリウスの好きないとこです」
ハニー「……こん、こんばんは!あの、えっと!!!私、ハニー・リリー・フロ――」
アンドロメダ「残念、残念だわ……あなたとなら、この長いこと奥にしまっていた――小さい頃のシリウスアルバムを思う存分自慢できると思っていたのに」
ハニー「!?!?!?」
ハグリッド「俺に提供してくれたんは、ジェームズたちと一緒のやつだけだったか?」
テッド「あぁ、彼一人映ってるのは大事にとってあったよ。それはもう」
アンドロメダ「はーぁ無駄にかわいい」
ハニー「みせ、みせて!!みせて!!!お願い!!あぁ!背伸びして上に持ち上げないで!!お願い!!」
テッド「あぁ、ドロメダがベラ顔になってる……意地悪するときはすぐあれだ」
ハグリッド「ベラ顔だなぁ」
アンドロメダ「お黙り」
アンドロメダ「待ち伏せされていた……ドーラはどうなったの?」
ハニー「あの……私、他のみんなの、ことは……」
テッド「あの子なら大丈夫さ、ドロメダ。これまでだって何度となく、仲間の闇祓いやムーディと散々危ない目にあってきたんだ。今度も平気さ、絶対ね」
アンドロメダ「……そうね。きっと今頃元気に……傘立てを倒してるわ、きっと」
ハニー「それは……たどり着いたお家の人は苦笑い、でしょうね」
ハグリッド「テッド、移動キーはどこにある?随分と遠回りしちまったからよ、もう時間がねぇ」
テッド「これだ、これ。ドロメダが持ってきただろう?このアルバムだよ。うってつけだろう、とね」
アンドロメダ「ドーラから聞いていますとも。さぁ、ハニー。受け取って」
ハニー「……義姉さん」
アンドロメダ「早い早い」
グルグルグル、ドサッ
ハニー「……『隠れ穴』、ね」
ハグリッド「俺たちは三番目のはずだ。ロンとトンクスがいっちばん近くで、フレッドとアーサーがその次。そんで……そんで、どうして、誰もいねぇ?」
ハニー「……灯りは、着いているけれど。誰かを迎え入れた雰囲気は、ないわ。そうね……私たちが、一番乗りみたい」
バタンッ!
ジニー「ハニー!ホンモノのハニーなの!言うまでないわね見間違えるはずないもの私のハニー!ヒンヒン!」
モリー「あぁ、ハニー!それに、ハグリッド!無事なのね!」
ハグリッド「平気だ。ちょいと気付けにブランデーが欲しいけどよぉ……他のみんなはどうした?え?」
モリー「あぁ……私も、いま、同じ事を聞こうと思っていたわ。ロンとトンクス、フレッドとアーサーに用意された移動キーは……物だけが現れたんですもの」
ハニー「……」
ジニー「……ところでその移動キーのアルバム、また馬鹿デカイね」
ハグリッド「なんぞ、トラブルがあったのかもしんねぇ。あぁ、そうさな……あんな風に待ち伏せされてたんじゃ、そりゃ……おっ?」
グルグルグルグルッ
ドサッ!
リーマス「っはあ、っは、手を、貸してくれ!負傷してる!モリー!」
ジョージ「」
モリー「あぁ――あぁ!!ジョージ!!!」
ハニー「……耳、が」
ハグリッド「ジョージはどうしちまった!?生きてるのか!?」
リーマス「あぁ、負傷してると言ったろう?呪いで耳がもぎ取られたんだ……元には戻せないかもしれないが。それより……っ!!」
ハニー「えっ……っきゃっ!!」
グイッ、バンッ!!!
ハグリッド「!!!おい!!!リーマス!!!」
ジニー「肩掴んで押し倒すなんて!!!ハニーはトンクスじゃないわよ!!!」
リーマス「君の守護霊はなんだ!?答えろ!!!」
ハニー「っ、っ、パパよ!!!」
ジニー「……あれ?雄鹿じゃ、あれ?」
ハグリッド「ジェームズやべぇ」
リーマス「……はーっ。すまなかった……どうしても、確かめる必要があったんだ。計画に直接関わった人間は全て疑わしい。君がニセモノの可能性もあった」
ハニー「えぇ、ケホッ。しかた、ないわ……あんなことがあったんだもの」
ハグリッド「それならどうして俺も調べねぇ?え?」
リーマス「君に流れる巨人の血はポリジュース薬を受け付けないだろう?それで、さあ、私にも質問してくれ。用心しないと」
ハニー「……トンクスのことを、二人きりのときはなんて呼ぶの?」
リーマス「ハニー、プライベートな質問はやめてほしい。いや、意味としては、うん、そうだがね。違うだろう?」
ハニポタではグリンデローの件なかったんだっけ?
ハニー「……この作戦のことを、騎士団の人があいつに教えたんだとは思えないわ」
リーマス「と、言うと?」
ハニー「だって、私を七人にすることも、誰と一緒にいるのかも知らないみたいだったわ。あいつが私を追ってきたのは……スタンが、私が本物だと確信して、その後のことよ。もしも本当に、今夜集まった人の中から情報が漏れていたんなら……」
リーマス「……待った。スタン、そうだね、彼がアズカバンで服従の呪いをかけられた後に脱獄したらしい、というのは知っている。『君が本物だと確信した』、というのは?」
ハニー「さぁ、どうしてかしら……私、スタンのフードが外れたのをみて……あんな高いところで失神させたら、だって、あの豚は操られてるだけだわ。だから……『武装解除』を」
リーマス「――命を賭ける瀬戸際で、『武装解除』を使ったのか?ハニー、その時期はもう過ぎたんだ!殺すつもりがないのなら、せめて呪いを――」
ハニー「二年前、ヴォルデモートと直面した私を救ったのだってこの呪文だわ!」
リーマス「ハニー、ハニー。そういうことじゃない。よく聞いてくれ、頼むから聞いておくれ。そうだ、その場面を知っている死喰い人たちからしてみれば!そこで『武装解除』を選ぶことこそが君本人を見分ける独特の動きなんだ。分からないか?」
ハニー「っ、それ、は……だって」
リーマス「死に直面した切迫した場面で、その選択が出来るのは、ハニー!わたしは、君を教えた者として誇らしい!だがね!愚かしく思う!!いいか、君のやったことは自殺行為だ!!!」
ハニー「っ、たまたまそこにいるだけで、邪魔だから吹き飛ばす、なんて!そんなことをするのは、ヴォルデモートだけよ!私はあいつじゃない!」
リーマス「あぁ、違うとも!本当に、君はまったく、あぁ、どこまでもジェームズとリリーの……腹立たしいよ、本当に……はぁ」
ハニー「……」
リーマス「……怒鳴って悪かったね。君の無事が、私たちの全てなんだ。分かってほしい」
ハニー「……えぇ」
リーマス「あと……今後のために。あー……トンクスのことは……可愛いニンフちゃん、と、呼ぶよ」
ハニー「聞きたかったけど聞きたくなかったわ」
あたくし、ミス・トンクスが死ぬほどイジられる未来が、それはもう、ハッキリと見えましたわ
グルグルグルッ
ドサッ
ハーマイオニー「あぁ、酷い感覚だわ、本当……ハニー!」
ハニー「!! ハーマイオニー!!」
ハーマイオニー「あぁ、よかった!無事、きゃぁ!あぁ、ハニー……えぇ、本当に、抱きしめるだけね。今回は、えぇ、うん……平気よ、ここにいるわ。大丈夫」
リーマス「……どうして少し残念そうなのかは聞かないよ……っと」
キングズリー「答えろ!ダンブルドアが私たちに残した最後の言葉は!」
リーマス「……『ハニーこそ我々の最大の希望だ 彼女を信じろ 愛じゃよ あるばす』だろう?」
キングズリー「……ちょっと腹立つところまでばっちりだな」
ハニー「……最期に何言ってるのよあの人」
キングズリー「さぁ、私にも」
リーマス「……トンクスを最後に減俸したときの理由は?」
キングズリー「……『マグルのカツラ文化ってすっごい進んでるんだって?ねぇ、護衛してるよしみで首相にお願いして一つかっちょいいのを見繕ってもらえば?』とぬかした」
ジニー「どうりで最近パパが若干トンクスに冷たいわけだわ」
リーマス「君達には何があった?他の者のことは?」
キングズリー「五人に追跡された。一人は仕留めただろう……途中、『あの人』も目撃した。すぐに姿がみえなくなったが、リーマス、『あの人』は……」
リーマス「あぁ……箒も、何の助けもなく、空を飛べる……ついに完成したわけだ、魔法界の大研究がね」
キングズリー「戻ったのは君達だけか?ジョージはどうした?」
リーマス「モリーに連れられて治療中だよ……耳をやられた。スネイプの十八番の、セクタムセンプラで……」
ハニー「!!さっき、それを教えてくれなかったわ!!!!」
リーマス「あぁ、君が無駄に逆上すると分かっていたからね……私もそっくりそのままどころかジェームズよろしく百倍返しをしてやった、と言いたいところだが……ジョージを庇って飛ぶので精一杯だった」
キングズリー「……先に着くはずだった者は」
リーマス「……あぁ、まだだ」
ハニー「……」ハーマイオニー「……」
ジニー「……」
ハグリッド「……」
リーマス「……ここで待っていても冷えるだけだ。中に入ろう。キングズリー、見張りを頼めるかい?」
キングズリー「あぁ。出迎えて、トンクスには質問せめにしておくよ」
リーマス「……お手柔らかに」
キングズリー「まぁ職場で聞くまでも無くだいたいのこと惚気てばら撒いてるけども」
リーマス「あーぁ、あーあ。魔法省に入れたらなぁ。あーあ」
モリー「血は止まりましたよ……えぇ、酷い出血だったけど、もう大丈夫……耳そのものは、そうね……難しいわ」
ハニー「……ジョージ」ハーマイオニー「……」
ジョージ「」
モリー「闇の魔術で奪われた傷ですもの、えぇ……でも、不幸中の幸いだわ……この子は、生きてる」
ジニー「うん、ママ……起きたらきっと、軽口たたいてくれるわよ。ジョージだもの……フレッドと、それに、パパは……」
バーンッ!!
ハニー「きゃぁっ!?」ハーマイオニー「きゃっ、っ、ハニー、そろそろ、離し、ねぇ?」
アーサー「そこをどけキングズリー!!!私が私であることは息子の顔を見てジニーにハグをしてモリーにただいま私の可愛いモリウォブルと耳元で囁いてから存分に証明してやる!!!!怪我をしたくなかったらそこをどけ!!!!怪我よりも毛がなくなるぞ!!!!」
フレッド「ッヒュー!切れっちまった親父はかっけぇの、なんの……おい、おい」
モリー「あぁ、あなた!!フレッド!あぁ、フレッド……ジョージ、ジョージが」
アーサー「……」
フレッド「……おいおい……ジョージ、なんてザマだよ」
ジョージ「」
フレッド「僕の片割れのくせに、なんだいそりゃ……ハッハ、見分けがつくようになってよかったかも、しれないけどさ」
ジョージ「」
フレッド「調子狂うよな……おい!俺一人で喋らせるなよ!!口の中にペロペロ酸飴ねじ込んだっていいんだぞ!!なんとか言え!!!男前な顔しやがって!僕にそっくりなだけあるなこの野郎!!おい!!!!!」
ジョージ「……う、ん」
モリー「! ジョージ!」
フレッド「……気分はどうだよ、ねぼすけ君」
ジョージ「……そりゃもう……聖人みたいだ」
フレッド「……その心は?くっだらなかったら、もう片方も削いでやるよ」
ジョージ「……穴(ホール)だけに……聖人(ホーリー)ってね。笑えよ」
フレッド「笑えねえ、情けねぇぜ相棒!あーぁ!こりゃ酷ぇや!なぁハグリッド!え?」
ハグリッド「あぁ、あぁ、本当に笑えねぇなぁ。お前さんが笑えるまで、もうしばらく待たにゃならんだろうよ、うん。ジョージが調子取り戻すのと、お前さんが顔洗ってきてからなぁ」
ジョージ「お泣きなさい、哀れな子羊よ……このホーリーな私にむかって存分に、さぁ」
フレッド「おっと、調子づくなよ?包帯とれたら覚えてろ、花でも生けてやろうじゃないか?え?」
ジョージ「その花はそっくりそのまま、ビリウスおんじの得意なとこからお前に生えさせてやるさ」
モリー「ぐすっ、やめ、なさい!まったく、ぐすっ、ふふっ」
ハニー「あとは、ロンとトンクス……ビルとフラー……それに、ムーディとマンダンガス」
ハーマイオニー「ロンたちは、一番近くの隠れ家を目指していた、はずなの……どうして、こんなに遅く」
ハニー「……」
ハーマイオニー「……座り心地が、悪い? えぇ、ごめんなさい。冗談が過ぎたわ……心配、心配よね」
ハニー「……当然よ。ロンは私の……わたしのお友達だもの」
ハーマイオニー「……そうよね。私、だって」
ハニー「あなたは、それだけじゃないでしょ?」
ハーマイオニー「……」
ハニー「……伝えられる時に伝えなきゃ、後悔するわよ。今みたいに……伝えて、答えてもらっても、すぐに離れてしまうこともあるけれど」
ハーマイオニー「……そう、よね。ロン……無事で」
ハニー「えぇ、そうしたら……言える?」
ハーマイオニー「……前向きに検討する形で善処するわ」
ハニー「……役人向きよね、あなたって」
ガシャァァアアアアン!!!
リーマス「あぁ、うん、大体そんなことだろうと思って、ガラス窓のすぐ向こうにクッションを構えておいてよかったよ。おかえり、可愛いニンフちゃん」
トンクス「うわああああああああああああああ!?!?って、あ、よ、よか、よくなぁあああああああああああああい!?!?リーマス何言ってるの!?いきなりなに言ってるの嬉しすぎてどうすんのこれ!?」
リーマス「いや君こそ職場で何を言ってるんだろうね本当にね」
ロン「ヒン、ヒ、はーぁ、流石に、豚の僕でも、しぬかと……ハニー!それに、ハーマイオニー!」
ハニー「ロン!」
ハーマイオニー「っ、ロン!よか……えっ!?」
ギュッ
ロン「よかった。無事だね?よかった、二人とも……はぁー……死ぬかと思った」
ハーマイオニー「えっ、ちょ、ロン、いつもならそのままハニーのした、あの、なんで、ハニーと一緒に私まで抱きしめ、っちょ、あの!?」
ロン「走馬灯で君が散々うるさかったんだから、これくらいさせろよな。マーリンの髭」
ハーマイオニー「あぁ、その……はぁ」
ロン「……ヒンヒン!ハニー、君っていう加護のもと、僕がくたばることなんてありえないんだけどね!」
ハニー「ロン」
ロン「ヒンヒン!」
ハニー「日取りはいつかしら」
ロン「!?」
トンクス「ロンはすっごかったわ。すばらしかった。死喰い人の何人に『失神呪文』を命中させたかな。箒で飛んでる相手に呪詛ぶつけるのは、とっても高度な術だよ?」
ハーマイオニー「本当?」
ロン「意外で悪かったね。あー、なんだろ、途中までは逃げたいくらいだったんだけど……なんかこう、吹っ切れたっていうか」
トンクス「多分誰かが『血を裏切る、汚いマグルの味方もいるぞ!』って言ったあたりから、だったかな」
ハーマイオニー「……ロン」
ハニー「ねぇお母様、ビルとフラーの結婚式って二本立てにできないのかしら」
モリー「いまからだと厳しいけど、母さん頑張るわ!」
ロン「な、なんの話してんのさ。それで、そうだよ。ビルとフラーはどこだい?ムーディと、ダングも」
リーマス「……まだだ。君達はどうしてここまで遅れた?」
トンクス「あ、ちょ、ちょっと怒ってる……ベラトリックスのせいなんだ、あの性悪おばさんめ」
ハーマイオニー「響きが一気に柔らかすぎるわ」
トンクス「あいつ、ほら、仲間うちで自分の親戚が狼人間に嫁いだってことをからかわれたらしくってさ。滅茶苦茶にしつこくあたしのこと狙ってきたんだ」
リーマス「……すまない」
トンクス「あやまることじゃないでしょ、怒るよ?そんでさ、まぁ、なんとか巻いて……ミュリエルん家についたは、いいんだけどさ」
ロン「ミュリエルおばさんの話がこれまたしつっっこい上に長ったらしくてさぁ」
リーマス「そうか、それは……うん?」
トンクス「そうそう。ビルとフラーのことについてもだし、私とリーマスのことにもなんだかお節介なことをネチネチと言ってきて。あたし、ちょっと喧嘩になっちゃったよ。まったくもう」
リーマス「……」
ロン「そうそう。そんで、『ロナルドにはまぁだ関係がないことだろうぇ?えぇ?可愛いロナルド、お前はまだまだちぃさいまんまだぇ?』ってさぁ!失礼しちゃうぜ!僕だって、あー」
ハニー「……」
ハーマイオニー「……」
トンクス「ん?あれ?なんだかみんな、あれ?歓迎ムード一転……あれ?」
リーマス「トンクス。その間、連絡を、せめて守護霊で一報だけでも、とは、思わなかったのかい?」
トンクス「……ぁ」
ハニー「ロン」
ロン「ひ、ヒンヒン!な、なんだい、ハニー!」
ハニー「今度は、ハーマイオニーが直々に、走馬灯を見せてくれるそうよ?」
トンクス「怒られた……」
ロン「ボコられた……マーリンの髭」
ハーマイオニー「言わせてもらうわ、自業自得よ」
リーマス「ともあれ、君達がたどり着いたのはいい兆候だ……普通に飛んだのなら、君達が一番遠かったのだから。他の二組も、少し遠回りはあってもきっと無事、だろう」
キングズリー「私は、マグルの首相のところに戻らなければ。もう一時間は過ぎてしまった……マグルは時間にうるさくてね」
ハニー「そうでしょうね……キングズリー、色々ありがとう」
キングズリー「言ったろう、我々にとって最も重要なのは君だ……アーサー、リーマス、後は頼みます。トンクス……しっかりな」
トンクス「任せとけって言おうとしてたのに!任せといてよそこは!」
キングズリー「それなら苦労はないがね……それじゃ」
ギィッ バチンッ!
モリー「キングズリーも大変ねぇ」
アーサー「寝不足は毛根の大敵だが大丈夫だろうか……あぁ、彼は冗談で言っていたがね。トンクス、私は君が頼りになると思ってるよ。息子をありがとう」
トンクス「いやいや、当たり前じゃないの。その息子さんは……あー、やっぱりハニーの下だけどさ」
ハニー「?何か問題?」
ロン「?いや、見当たらないなぁ。僕は今ものすごいしっくりきてるけど」
ハーマイオニー「でしょうね」
ブルヒヒヒィ!ザザァッ!
ハニー「! ビルとフラーの骨豚!」
ハーマイオニー「今のはあなたの持ち前の動体視力で窓の端に映ったそれを見止めたのよね?そうよね?」
ロン「何言ってんのさハーマイオニー。今確かに同胞が言ったじゃないか。『ただいま到着しました遅れて申し訳ありません推参仕りましたのはデラクール嬢とミスター・ウィーズリーを乗せた骨豚の某で――」
ハーマイオニー「聞こえないし聞かないわよ、聞くもんですか」
モリー「あぁ!ビル!!フラー!!!!!よかった!!無事ね!?よかった!!」
フラー「おかーさま!」
ビル「あぁ、ただいま母さん。うん、平気だ……風は冷たかったけど。それより……父さん」
アーサー「あぁ、ビル、無事で――」
ビル「マッド-アイが、死んだ」
アーサー「……」
ハニー「……え?」
フレッド「ハッハ、ビル、ビル、ビル兄ぃ。まったくさあ、冗談ならもっとうまいこと言えよってな……」
ジョージ「そんならさ、ビル、俺だって、ほら!耳がなくなっちまった!あっはは、今のは冗談じゃ……」
ビル「冗談じゃない」
ロン「……」
ハーマイオニー「……嘘」
ビル「ダングとマッド-アイは最後まで陽動に残って、それで、ダングが、そうだな……気が動転して、『姿くらまし』した。後に残ったマッド-アイは……ひきつけた連中を、自分ごと、あの家の周りに閉じ込めた」
トンクス「………………」
ビル「僕達が見たのはそこまでだ……逃げ切れたのは、マッド-アイのおかげだ。そうでなきゃあの包囲網を抜け出した後も、連中はすぐに編隊を組んで僕らを追い詰めてた。一人で、あれだけをひきつけて」
リーマス「……自分が護衛につくのが本物だ、と、思わせるつもりだったんだろう。実際、ほとんどの死喰い人がそうだった……」
トンクス「……最初から、そのつもりだったんだ」
ハニー「……トンクス」
ビル「僕達は……フラーが、隣にいたのに!僕は――何も、できなかった!できなかったんだ……」
トンクス「ビル。当然、あなたには何も出来なかったよ。するべきじゃない。あなたに任された任務は、味方を助けようとして巻き添えを増やすことじゃない」
ビル「……」
トンクス「……ねえ、リーマス?マッド-アイはさ……あたしたちに」
リーマス「……あぁ、そうだね。おいで」
トンクス「っ。幸せに、だって。あたし……言われなくったって。っ。決まってるのに。馬鹿だよねぇ。ほんと。馬鹿だよ。かっこつけの。嫌味ばっかりで。危なっかしくて。不気味で。それで。マッド-アイは……」
リーマス「……」
トンクス「カッコいい、師匠だったなぁ。マッド-アイ……マッド-アイ、っ、っ、ごめん、ごめんね。リーマス。分かってるんだ。一人、かけたくらいで。こんなんじゃ怒られる。マッド-アイに……ぁっ、っ、ぅぅ」
リーマス「……みんな、みんな同じ気持ちだよ。あぁ、彼が死ぬだなんて……誰も、思いもしなかったんだ」
ハニー「……他の、誰よりもね」
アーサー「みんな、グラスは行き渡ったね?それじゃ――マッド-アイに」
ハニー「マッド-アイに」
トンクス「ぐすっ、かっこつけの、師匠に」
リーマス「あぁ、乾杯――それで、ビル。マンダンガスのことだがね」
ビル「えぇ……言いたいことは分かりますよ。けど、僕はあいつが連中に情報を漏らしたとは思えない。だって、あいつは、マッド-アイがこの作戦を打ち立てた最初の頃からメンバーに入れられて、何度も概要を確認してたんだ」
アーサー「あぁ、それに、そもそも肝心な『七人のポッター』の案を思いついたのもダングだった。そこが抜けていて、連中の意表をつけたというのはおかしな話さ」
フラー「でーも、んーふん? 誰かがうっかーりもらしてしまったのは、確定的に明らかたることでーす?」
アーサー「……確かに、そうでなければそもそも日程がバレていた、はずがない」
フラー「ウィ、おとーさま。たとーえば、どこかの酒バーで酔っ払ってしゃべくってしまーう、とか? たとーえば、わたーしのような美女に言い寄られて、口元と舌がかるーくなってしまった、とかー」
……
ハグリッド「……あぁ……そういや俺は昔……同じようなことでハニーに、迷惑……も、もしかして、俺、俺ぁ」
ハニー「違う!!!」
バンッ!!!
フラー「アゥン!?おっおー、ハァニー?机たたーいてどうしました?」
ハニー「誰かがミスして、うっかりもらしたとして……悪気がないんなら、その人のせいじゃないわ。騙して聞き出したそいつのせいよ。それに、私は……私はみんなを信じてる」
ハグリッド「……ハニー」
ハニー「私たち、みんなが信頼し合わないと。ここで犯人探しなんて、しちゃいけないわ。わたしは、みんなを信じてる。ここにいる人たち、キングズリーもマンダンガスも含めて、ヴォルデモートに私のことを売ったりなんて、してないって」
……
ハニー「……馬鹿げてると思う?」
フレッド「いーや、よーく言ったぜハニー。みなのもの、傾聴、傾聴!」
ジョージ「みーんなが疑心暗鬼になりかけだったからな。傾聴、傾耳!」
リーマス「……ハニー、あー」
ハニー「分かるわよ、さっきのと一緒でお人よしの馬鹿だって言いたいんでしょ?」
ロン「いくらリーマスとは言え許されないよマー髭」
ハーマイオニー「そんなところも可愛いんじゃない」
ジニー「コウモリ鼻くそは好き?」
リーマス「私はまだなにも言っていないよ。いや、ハニー……そうだ、さっきと同じさ。君はジェームズに似てる……彼は、『友を信じないのは不名誉極まりないことだ』そういつも言っていた」
ハニー「……つまり、最後はぺティグリューに裏切られたっていいたいわけ……」
リーマス「いいや。友を信じない、そんな人生は死んでるのと同じだよ。それなら信じて死んだほうがずっとマシだ……より良い生き方だ、そうとも……君にはそう生きて欲しい」
ハニー「……そうしてあげるわ」
ビル「さて……僕は行かないと。キングズリーに手を貸してもらって……マッド-アイの亡骸を、見つけないといけない」
リーマス「あぁ……弔ってやりたいのは当然だし、なにより」
トンクス「……嫌な想像だけど、さ。マッド-アイの亡者なんて……笑えないよ、本気で。ぶっ殺し直してやるけど」
リーマス「たくましいね。だが、君はここで待機だ。いいね?ステ…………オホン。身体に障るといけない。そもそも私は作戦に加わるのも反対だったんだ」
トンクス「あー……うん、あんがと」
ハニー「?」
リーマス「こっちの話だよ、ハニー。さぁ、ビル。行こう」
ビル「えぇ……フラー、母さん、みんな。またな」
モリー「あぁ、やっと帰ってきたと思ったのに!いい、ビル!無理はしないのよ!フラー、ほら、あなたからも言っておやりなさい!」
フラー「おみやーげはおかーさまとわたーしの好きなすいーつでおねがいしまーす」
ビル「あぁ、ハハッ。死んでも届けるよ……おいやめろ双子、十字切るな、そういうのじゃない。そういうのじゃないぞ今のは!それじゃ」
バタンッ
モリー「あぁ、もう、気が休まる暇がないわ……みんな帰ってきたり、今度は出ていったり」
ハニー「えぇ、そうね……それじゃ、わたしも……出て行かなきゃ」
モリー「そうねぇ、ハニ……えっ?」
ジニー「ハニー、ばっちりよ。寝室は私とハーマイオニーとハニーで……うん?」
アーサー「あぁ、今夜はもう遅い。休んで……は、はい?」
フレッド「なんとなくそう来ると思ってたさ、あぁ」
ジョージ「扉には、ハグリッドがスタンバイ済みさ」
ハグリッド「ヒンヒン!お前さんはどこにもいかねぇぞ、ハニー!いや、うん、命令されたら豚としては聞くしかねぇかもしんねぇけど!むしろ連れていくけども!ヒンヒン!」
ロン「まったくだ。ねぇハニー、僕のハニー?」
ハーマイオニー「なんだかさっきから様子がおかしいと思ったら、あなた、乾杯のお酒に少し酔ってるわね?」
ハニー「……だって、そうじゃない!!私がここにいたら、みんなに迷惑がかかるわ!」
ロン「いやいなくなったら僕以下豚ども三頭がハニー欠乏症でむしろ死ぬよ、もちのロンで」
ハニー「私はここにはいられないわ!みんなが危険じゃない、ここに留まっていれば!」
モリー「危険なのは、それは道中のお話よ、ハニー!この敷地内で、危険だなんて!」
アーサー「そうさ、ハニー。今現在、君のいそうな安全な場所は十二箇所ある。どこにいるか、連中には検討がつかないだろう」
ハニー「私自身の安全を言ってるんじゃないの!みんなが――」
アーサー「あぁ、そうだろうね。しかし君が出て行けば、今夜の私たちがしたことが全くの無駄になってしまうだろう」
フレッド「相棒のこの包帯を見てみろよ、思わず笑えるよな」
ジョージ「そうだそうだ、俺の流血爆笑耳穴はどしてくれる」
ハニー「分かってるわよ!」
トンクス「ハニー。マッド-アイは多分喜ばないと――」
ハニー「分かってるわよ!!!分かってる!!!!みんなが私のためにしてくれたこと!!!分かってるわよ!!!」
ハニー「だから、だから、みんながこれ以上苦しまないように!!!だから私は、もう、出て行く、って……」
ロン「言ったろ、ハニー。僕らは君がいない方が辛い。それで、知ってるよ。君だって僕らがいないと辛いんだって」
ハーマイオニー「そんなあなたを一人に?冗談じゃないわ。庭先で泣き出すのが関の山でしょう?」
ハニー「……」
ジニー「信じてくれるんでしょ、ハニー。みんなを」
ハニー「……ごめんなさい。本当、おかしいわね、私……ハーマイオニー、ちょっと……酔いを醒ませたいから、ついてきてくれる?お手洗いまで」
ハーマイオニー「えぇ、当然……ちょっと……ちょっと!?そういう流れ!?ちが、ちがうでしょう!?まさかさっきの泣き出すって言ったの根にもって、ちょ、ハニー、あぁ、お手洗い、なんて、あなたがトロールから助けてくれた、思い出したら、拒めるわけ、ないじゃない……」
ロン「つづけて!!」
ジニー「どうぞ!!」
フレッド「ママ、家の各所に百合の花入りの花瓶を置く必要はなかったようだぜ」
ジョージ「この夏勝手にそこら中で咲き乱れるだろうしな、あぁ。ホーリーだぜ」
ハグリッド「そういやハニー、お前さんは親父さんを越えっちまったなぁ」
ハニー「パパがなぁに?美しさと言う点ならママにも負けていないと思うけれど」
ロン「そりゃそうさハニー!なんてったって君は時と同じく美しさが加速していく系の完璧さだしね!ヒンヒン!あ、ハーマイオニーおつかれ」
ハーマイオニー「ふーっ、ふーっ、スルーしないでもらえてありがたいわ、まったく」
ハグリッド「お前さんはまたまた、『あの人』と対決して退けたんだ!今にみーんなに広まるぞ!」
ハニー「……あー」
ハグリッド「ジェームズに、それにフランクが――ネビルの親父さんだけどよ――『あの人』を打ち負かした次の日っつったらもう!魔法界の聞き耳はどこにあんのかわかんねーな、ほんとに」
アーサー「主に酒場とかで気の言い大柄の友人が語ったりするからだろうとね、うん。当時から言っていたよ。士気が上がるだろうから止めはしなかったけどね」
ハニー「そのこと……あいつを負かせたのは、私じゃないわ。杖豚よ。杖が勝手に、動いてくれたの」
ハーマイオニー「……えーっと、ハニー?珍しい冗談ね?」
ハニー「? 前にもあった、って言わなかったかしら。私の杖豚はとっても優秀なのよ」
ロン「さすが同胞」
ハーマイオニー「えぇっと……?ハニー、でも、そんなことは有り得ないわ。えぇ、ありえないことだらけなあなたの豚界隈でも流石に」
ハニー「私以外が豚って呼ばないで。じゃあ、どう説明しろって言うの?あいつの居場所も見失ってたのに、杖があいつの方を向いて、それに、ダンブルドアが使うようなすごく強い魔法の炎が噴出したわ。あんなの、私、出したこともないのに」
アーサー「よくあることだよ、あぁ。魔法使いはプレッシャーがかかると、夢にも思わなかった魔法が使えることがある。まだ理論や理屈が頭に詰め込まれていない、子供の魔法使いによく起きることだがね」
ジニー「子供心忘れないハニーステキ!」
ハニー「そんなのじゃ……あぁ、こんな時、あの人がいたら……」
ロン「うん?大犬座ならどうせもうしばらくすりゃ飛び起きるんじゃないかなだって君の成人だしね痛い!ありがとう!!!ヒンヒン!」
ハニー「そうじゃなくて!ダンブルドアよ、ダンブルドア!それと!!私の誕生日!あとどのくらいかしら!!!ちなみに!!!!」
ハーマイオニー「ハニー、そんなことであの状態から目覚めるなら聖マンゴはいらないと思うわ」
ところが残念、成人の年のクリスマスのハニーは、ヤドリギの下で愛しいワンコと深夜のダンパティどころか、故郷で最愛の黒豚蛇大将と命がけのダンパティさ
寝室
ジニー「スーッ、スーッ」
ハーマイオニー「……」
ハニー「あのまま……否定しきれないまま、話は流れてしまったけれど」
ハニー「腑におちないわ……わたしには、あんな力なんてない。それは一番よくわかってる」
ハニー「……以前は、杖のことで何かあったら……ダンブルドアが教えてくれていたわ」
ハニー「あいつと私の杖は、何より、ダンブルドアのペットで私の豚な赤豚の羽が芯に入って居るもの。詳しいはずよね」
ハニー「けれど……あの人は、もういない」
ハニー「……つくづく、もっと、話をしておけば……」
ハニー「このことは、他に誰に聞きようがあるのかしら」
ハニー「杖……杖、なら……オリバンダー老だった、けれど」
ハニー「彼は去年、いなくなってしまったもの……」
ハニー「……オリバンダー……オリ、バンダー」
ハニー「っ……傷……なんだか、また……最近」
ハニー「……っ」
ハニー「……スーッ、スーッ……」
ハーマイオニー「……ね、寝ちゃったわ……いいえ、当たり前、よね、えぇ。夜だもの、そうよ、夜だものね、えぇ」
――――
―――
――
―
ヴォルデモート『誰か他の者の杖を使えば問題は解決する 俺様にそう言ったな!』
『あぁあああああああああああああ!!やめて、やめてください!どうか!』
ヴォルデモート『俺様に 嘘をついたな オリバンダー! なんとも器用なことよ』
オリバンダー『決して、どうか、嘘ではない!決して嘘など、あぁああああああああああ!!!!』
ヴォルデモート『おまえはポッターを助けようとしたな 俺様の手から逃れる手助けを!』
オリバンダー『どうしてそのようなことが出来るでしょう! 私も確信していた、別の杖を使えば、と!あなたと彼女の兄弟杖は、あの二本しかないのだから!』
ヴォルデモート『嘘をつけ!!!』
オリバンダー『嘘なものかわしが杖について嘘をつくと思うかわしの杖でめちゃくちゃしおってこいつ!!!』
ヴォルデモート『そう いう 態度 とか 色々!! 「クルーシオ!」』
オリバンダー『ああああああああああああああぁああああああああ!!!』
――――
―――
――
―
ハニー「っああぁああああああっ!!!」
ハーマイオニー「ハニー、ハニーーー!?額を押さえて、まさか、また……!」
ジニー「うーん、あー、ちょっと、二人ともそういうのなら静かにか、私も……ハニー!?」
バターーン!!
ロン「ハニーが苦しんでると聞いて!!!」
ハーマイオニー「どうせ扉の前にでもスタンバっていたんでしょ!水でももってきて、早く!!」
オリバンダー本音がチラリ
ハーマイオニー「また……あの人の夢を、みたの」
ハニー「っ、えぇ……去年度は……一昨年の事で警戒してほとんど、なかったけれど……私を取り逃がした、ことで……荒れているのでしょね」
ロン「オリバンダー、やっぱりあいつらに掴まってたんだな」
ジニー「オリバンダーの杖は英国最高って話だものね」
ハーマイオニー「それも、大事だけど……ハニー!そういうのはもうなくさないといけないって、ダンブルドアは思っていたはずよ!あなたが心を閉じるように、って!」
ハニー「閉心術、ね……けれど、オリバンダーの無事が分かったのなら、これも役に……」
ハーマイオニー「駄目よ!!駄目!!!それはあの人との『つながり』なのでしょう!?今後どうなるか分からないわ!今は平気でも、あなたがどうなるか分からない!」
ハニー「……」
ハーマイオニー「あの人は魔法省を乗っ取りつつあるわ。新聞も、社会のそこかしこでなにもかも!魔法界の半分も!ハニー、あなたまでそうならないで……お願い」
ハニー「……ハーマイオニー……えぇ、そうね。迂闊だったわ……それじゃ」
ハーマイオニー「ぐすっ、わかって、くれ……きゃぁ!?」
ハニー「あなたのことで一杯にしてくれれば、ゆっくり休めそうだわ?違う?」
ハーマイオニー「っちょ、ハニー、だから、だからさっきから、そんな、あぁ、そんなの、私、私が初めてあなたにそうされたハグリッドの小屋でのこと思い出して、あぁ、胸が、一杯に……」
ジニー「つづけて!」
ロン「ペースがいいね!どうぞ!」
数日後
朝
ハニー「……お客様が来る度に、ムーディのあの義足の足音がしないかと思えてしまうわ」
ロン「実感ないよな、ホント。あの人が死んじまったなんてさ」
ハーマイオニー「不死身のような気がしていたものね……今日は、トンクスだわ」
トンクス「キレーだなー、いーなー。あたしももー少し時間があればこういうおっきな式したかったのになー」
フラー「んーふん、わたーしとビルずいぶーん前から準備してきまーした。あなたたーちもそうすればよかったでーす?」
トンクス「んー、ちょっと色々ねー。目立つといけないし」
フラー「おっおー?大きな式したーいのに、でーすか?」
トンクス「うん、ちょっと大きい違いかなぁ」
ロン「殺伐とした魔法界になんだろうねあの新妻コンビの幸せオーラは」
ハニー「殺伐?」
ロン「あぁ、ハニーがいる時点でここは極楽だったねそういえば。もちの僕で」
ハーマイオニー「苦労しないわよ本当にそうなら……あぁ、ハニー。二人を羨ましそうに眺めるのはいいけど、カボチャジュースがこぼれてるわよ」
ハニー「っ、誰が!」
ロン「あぁ、ビルが着る予定のあのタキシードは確かに誰かさんに似合うだろうね上手く仕立て直せば犬の状態にも着させられるんじゃないk痛い!!ありがとう!!!」
ハーマイオニー「まぁ、たしかにおめでたくはあるわ、本当に……『スコージファイ、清めよ』」スゥゥゥッ
ハニー「……私も早く、自由に魔法が使いたいわ」
ハーマイオニー「あと四日の辛抱でしょう?」
ハニー「えぇ、それに、出発までも、ね」
ロン「五日だよ、ハニー。ビルとフラーの結婚式までここにいないと、『あの人』よりもこわーい顔になったママやらフラーやらが追ってくるさ、もちのロンで」
ロン「そういや、例のほら……アレがどこにあるのか、っていうのは算段がついてるんだっけ?」
ハニー「まだ、なんにも。偽物の……シリウスの弟さんのロケットならあるけれど」
ハーマイオニー「あの文字列だけでそれを言い当てたって本当あなた、本当、ハニーよね」
ロン「ハニーだからね、うん。仕方ない」
ハニー「いいたいことがあるなら言いなさい」
ロン「ハニーって思慮深くて知的で素晴らしいよねってことさ」
ハニー「知ってるわ」
ロン「ヒンヒン!」
ハーマイオニー「はいはい……場所のことは今のところ不明でも、私、ちょっとそれについて調べてみたの。いい結果が報告できると思うわ」
ハニー「流石、私のハーマイオニーね」
ロン「ほんと、君って何でも知ってるよな。あとは女の子になれる薬を作ってくれれば万々歳なんだけど」
ハーマイオニー「この前飲んだでしょ」
ロン「あれはノーカンだよ、あれは。ハニー本人になった?夢だよあんなの、あんな感触ね。はっは、は……おら!!」バキッ!
ハニー「ロン、やめなさい。揺れるわ」
ロン「ヒンヒン!」
ハーマイオニー「あー、なんだかハニーが帰ってきたって感じがするわ、本当に……」
ハニー「一刻も早く、分霊箱を見つけなくちゃいけないのに……それは、ビルとフラーの結婚式はおめでたいことだし、祝ってあげたいけれど」
ロン「あぁ、でも、みんなは君と僕達がやろうとしてることの重大さを知らないからなぁ」
ハニー「……聞かれたりしたのかしら、やっぱり」
ロン「まぁ、うん、ホグワーツを自主退学するなんて、親には一応報告しなくちゃいけないからね」
ハーマイオニー「ルーピン先生やアーサーおじさまは、『ハニーはダンブルドアに、私とロン以外には話さないように言われてる』って伝えたら、すぐに納得してくれて。それ以上追及してこないわ」
ロン「でも、ママは違うよハニー。最近バタバタしてたから忘れてただろうけど、そろそろ思い出してあの手この手で尋問し始めるだろうさ……あぁ、この話、もっと早くにしておくべきだったよなぁ」
ハーマイオニー「そう、ね……私が見つけた書物のことも、話す暇がないんじゃ……」
ハニー「?時間なら、いくらでもあるじゃない。この後、とか……」
モリー「さぁ、さ!そこのお若いお三人方!到着のショックはそろそろ抜けきったころかしら!?」
ハニー「あら、お母様。そろそろ?私はいつだって万全よ、そうでしょ?」
モリー「それはよかったわ!今日からはしーっかり、結婚式の準備を手伝ってもらいますからね!くれるでしょうね!」
ハニー「えっ?えぇ、それは、まぁ……」
モリー「よろしい!それじゃ、ロン。お前は伸び放題だった庭やらなんやらそれに池やら鶏小屋やら!とにかくひたすら掃除よ!お掃除ね!」
ロン「なんでそんなとこ!ビルとフラーは鶏小屋で式を挙げるっていうのか?」
モリー「お黙り! ハニー、ハーマイオニー、あなたたちにはたっくさん家事を手伝ってもらいますよ。ハーマイオニーはお料理中心」
ハーマイオニー「が、頑張ります!」
ハニー「えぇ、それじゃ、私も……」
モリー「あなたは、ハニー!洗い場とかお客様用のお部屋とか色々任せますよ!さぁさ!三人で秘密のお話をしてる暇はないわ!えぇ!」
ハニー「……あー……これって」
ロン「……僕らが集まって出発の計画をたてられないようにするつもりさ、あぁ」
ハーマイオニー「気持ちは、痛いほど分かるもの……でも、えぇ」
ハニー「……分霊箱を探す旅に出られるのは、いつかしら、ね」
モリー「あー忙しい!あー、忙しい!!きっと夏中、いいえ!!もう向こう一年くらい忙しいわ、きっと!そうよ!そうですとも!!」
今回はここまで
途中止まったりしてすまんかった
続きは明日の夜~日曜にかけて
出来れば上巻まで終わらせたいんやけどもちょっと厳しいか
じゃあの!
乙
この連休で上巻って、そりゃ無理ですわwww
モリー「ハニー、あぁ、ありがとう!銀食器を丁寧に磨いてくれて!我が家ではあんまり出番がないものだからすっかり黒ずんでしまって……えぇ、追加でこの山もお願いね!」
モリー「そうねぇ、銀製品が多いあのお屋敷でも、この経験はとっても役立つんじゃないかしら……?」
・
・
・
モリー「ハーマイオニー、次はこっちのお料理の仕込みをしましょう。大丈夫ですよ、ゆっくり丁寧に遠回りにしかし確実に三歩進んで六歩下がる勢いを保って教えますからねほら鍋から眼を離さない離さない!」
モリー「上手よ!いつでも家にいらっしゃい色んな意味で!」
・
・
・
モリー「ロン!庭にまだ三本草が生えていましたよ!雑な仕事をしない!全部やり直し!もとにもどしておきましたからね!」
モリー「ロン!!庭小人が遊びまわっていましたよ!ちゃんと話をつけておいてでと言ったでしょう!庭の状態ももとにもどしましたからね!やり直し!!」
モリー「ロン!やり直し!」
モリー「ロン!はい、お疲れ様。いい子ねぇ、休憩にお菓子をおあがりなさい?それはそうと、やり直し」
・
・
・
ロン「あれ?僕って屋敷しもべ妖精だったっけ?」
ハーマイオニー「冗談でもやめて……」
ハニー「……お母様、人を使うのが上手すぎるわ」
ハーマイオニー「あなたが単純すぎるという話でもあると思うけど」
モリー「ほら、ほら!!休憩はおしまい!作業を始めてもらいますよ!あぁいそがしい!いそがしい!!!」
ハニー「こんなにたくさん磨いたのはいつぶりかしら……前は、あの家でパーティがある度にペチュニアおばさんから嫌というほどやらされていたけれど」
ハニー「……ふぅ。ばっちりね。えぇ、私の姿がしっかり映るくらい綺麗に磨けたわ。高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的で模範的な」
ハニー「さて……二人は」
モリー「あら、あら、ハニー!お疲れ様!」
ハニー「……えぇ、お母様」
モリー「追加の山も終わったのね!ちょっと待って頂戴、意地悪を言うわけではないけど、きちんと磨けたか確認しますからね!一枚一枚、一本一本丁寧にじっくり!ちょーっと待っていて頂戴?」
ハニー「……そうしてあげるわ」
モリー「あー、ハニー……このお皿はちょっとまだ磨き残しがあるわねぇ」
ハニー「えぇ」
モリー「こっちと、こっちと……あとこのナイフと、フォークと」
ハニー「そうね」
モリー「それで、あなたたち三人がホグワーツをやめるって言うのは何かの間違いよねぇ?」
ハニー「強引すぎるわ」
ハニー「……お母様。私、遠まわしに誤魔化されるのは嫌いだわ。聞きたいことがあるのなら、ちゃんと聞いて。大事なことだもの、答えるわ」
モリー「……本当に、学校を辞めようと思っているの?」
ハニー「えぇ。ダンブルドアが私に残した、やるべきことは。とても、お城の中では済まされないことだもの」
モリー「『やるべきこと』っていうのは?」
ハニー「早速前言を撤回してごめんなさい。それは、答えられないわ」
モリー「……ハニー、はっきり言って、私とアーサーはそれを知っておく権利があると思いますよ!グレンジャー夫妻も!!」
ハニー「もし、私の両親が今健在だったとしても、私は二人にだって話せないわ」
モリー「……」
ハニー「……」
モリー「シリウスになら?」
ハニー「…………うーん」
モリー「ちょっと待っていて頂戴。なんとしてでも叩き起こして来ますからね。七人のねぼすけさんの面倒を見ていた母さんを舐めないことよ!」
ハニー「あぁ、ちが、本当?本当に起こせるの?本当!?!?!?」
ハニー「他の誰にも知られないように。それが、ダンブルドアの望みだったわ。だから、えぇ……シリウスにだって、教えられない」
モリー「……」
ハニー「それに、とっても嬉しいことだけれど……本当は、二人は一緒に来ることはないの。二人が、選ぶことで」
モリー「あなただって!!ハニー、あなただって行く必要はないわ!!」
ハニー「……それは、だって、任されたのは私……」
モリー「ハニー!ハニー!!あなたはまだ成人もしていない女の子よ!?まったくナンセンス!ダンブルドアは何を考えておいでなの!?こんな、あぁ!か弱い子に!!!」
ハニー「それは全力で否定させてもらいたいけれど」
モリー「ねぇ、ハニー?ダンブルドアが本当に何か仕事をさせる必要があったなら、騎士団、あぁ、あなたの豚団ね?その全員が指揮下にいたじゃありませんか!そちらに任せるのが筋でしょう?違う?」
ハニー「いいえ」
モリー「ハニー、あなたきっと誤解したんだわ!そうに違いありません!ダンブルドアは、多分、『誰か』にやってほしいと願っただけで、それをあなたは『自分』がやらないとって思い込んでるだけ……」
ハニー「いいえ。これは私と、わたしとあの人の約束だもの。絶対に果たさなきゃいけないし、『私が』そうしたいの」
モリー「……」
ハニー「……」
モリー「……分かったわ。さて、ハニー。半分近く、もう少し磨く必要があるようよ。頑張って頂戴ね?」
ハニー「えぇ、お母様。半分近くは、ほとんど見ていなかったように思うけれど。そうして、あげるわ」
夜
モリー「さぁ、さぁ!晩餐ですよ!ハーマイオニーが一生懸命作ってくれたご馳走を囲みましょう!」
ハーマイオニー「えっ、おばさま?あれって結婚式用だったんじゃ……」
モリー「そうだったかしら?さて、さて!お客様もいますからね!ハニー、リーマスとビルの間に座って頂戴!きっと喜ぶわ!ハーマイオニーは私とアーサーの間!」
ハニー「二人にはトンクスとフラーがいるじゃない」
リーマス「喜ばしいのは確かさ、あぁ、けどねモリー?何をそんな」
ビル「仲良し三人で並んで座らせてあげればいいじゃないか」
フレッド「そうそう、仲良しこよしにね。まぁ、一人は並ぶっていうか敷かれるんだけどな」
ジョージ「ママ、ロニーだけでも定位置にいさせてやりなよ。この豚今にも卒倒しそうだぜ」
ジニー「ロンの顔がテーブルより上にあるのって、もはやなんだか不自然だわ」
ロン「あぁあんなに頑張れたのはハニーの重みゴホン豊かな成長の証を感じられるあの瞬間のためだったのに僕は何故いま椅子の上で背筋を伸ばして座っているんだろう僕が一体何をしたって言うんだマーリンの髭」
モリー「ハーマイオニーの愛情たっぷりなお手製料理があれば平気でしょう?違う?」
ハーマイオニー「お、おばさま!」
ロン「それだって、どうせママがほとんど作り直してやったんだろう?」
ハーマイオニー「……」
ロン「……ワーオ……普通の姿勢って眺めがいいね……ハーマイが吹き飛んだのがよく見えら」
ガヤガヤ
アーサー「いやぁ美味しい!ハーマイオニー、いつでも家においで色んな意味で!」
ハーマイオニー「それおばさまもおっしゃったけど私いまいるわおじさま!色んなって!?色んなって!?」
ハニー「ハーマイオニーが楽しそうで何よりで可愛い……ねぇ、リーマス?当然、このお家に来られたのは嬉しいけれど……」
リーマス「あぁ、ハニー。言いたいことは分かるよ……グリモールド・プレイス十二番地では駄目だったのか、そこだろう?」
ハニー「……話が早くてたすかるわ」
リーマス「ダンブルドアが『秘密の守り人』を務めていたあの屋敷の『忠誠の術』は、今、騎士団員二十人が『守人』になっている。その方が何かと不都合がないから、と思ったのだがね……当然、情報が漏れてしまう危険性も二十倍だ」
ハニー「……けれど、スネイプがとっくにあの場所のことは教えてしまったのじゃないかしら」
リーマス「さぁ、どうだろうね。マッド-アイがそのあたりは迅速に対処したから、心配はしていない。スネイプがあそこを訪れれば恐ろしい目にあって、かつ、あの場所のことを口にしたら舌が縛られて酷い目に合うはずさ」
ハニー「……それなら」
リーマス「それでも、不安要素を抱えたまま騎士団の本部として使うのは危ない。なに、ハニー。すぐに戻れるさ、そうとも」
ハニー「……そうだと、いいのだけれど」
リーマス「あぁ、彼の部屋に行っても、その、幻滅しないであげるんだよ。ほら、あれにも思春期というものがあったんだ……万年子供のようなままだったけど」
ハニー「それも、えぇ、気になるけれどね」
ハニー「マッド-アイのことはどう?その……遺体は」
ビル「見つからなかったよ……おかげでまだ、弔うこともできていない」
ハニー「そう……けれど、それなら、もしかしたら……」
リーマス「ハニー、今はもうせめて連中に遺体が渡っていないことを祈るだけだよ。望みは薄い」
ハニー「……他の誰かが見つけてくれた、って可能性は?」
ビル「それも、なさそうだ。マグルの新聞にも、もちろん『預言者』にもあのマッド-アイが死んだなんて記事はなかった……もっとも、あの新聞がここのところ口を閉ざし気味なのは今に始まったことじゃないけどね」
ハニー「……ムーディほどの人がそうなったことを知らせたくないから?」
リーマス「そういうことだろうね。世間にとって彼の敗北は、ダンブルドアの死と同じくらいの衝撃だろう。前時代の象徴、あの闇の時代に反抗した英雄だ。個人としてはアレだけど。あれ、ジェームズの話をしてたっけ……?」
ハニー「やめて。私が逃げるときにあれだけ魔法を使っていても何のお咎めもないのは、同じ理由?」
リーマス「そうさ。アズカバンにいるはずの囚人達が外にいたこと、ヴォルデモートがそこまで力をつけていること。全て、スクリムジョールにとっては都合の悪すぎる話さ」
ハニー「……そうよね。世間に真実を知らせる必要なんて、ないもの。そうでしょ?まったく、スクリムジョールも何千回も書き取りするべきだわ」
フラー「んーふん、むずかっしーはなーしはあとにしてくださーい。ハァニー?あなたーどう変装させるか、考えないといけませーんね?」
ハニー「変装?なぁに?私の美しさに負けを認めたわけ?」
フラー「ハッハッハ、じょーだんきついぜおじょうちゃーん」
ハニー「結構前から思っていたけれど双子フラーに何教え込んでるのよ」
フレッド「何のことかなお嬢ちゃん」
ジョージ「さっぱりだぜお嬢ちゃん」
フラー「結婚式の間のことでーす。もちのロナルド、招待客の中にです・いーたーはいませーん?でも用心大事でーす」
モリー「そうね、その通りだわ。ありがたいことに、マッド-アイの残したポリジュース薬が残っているもの」
ジニー「異議あり!ハニーがハニー以外に変わるなんて許されないわ!」
ロン「そうだそうだ!ハニーはハニーでハニーだからヒンヒンなんだ!」
ハーマイオニー「考えて喋るってことを覚えて」
ハニー「あら、たとえ私がどんな姿になったとしても、あふれ出る気品は変わらないと思うけれど?」
ジニー「ヒンヒン!」
ロン「もちの僕さ!」
ハーマイオニー「……言っておくけど、ハニーが変装したらそれ我慢しないといけないのよ?分かってる?」
ロン「君の方こそ期待顔で押し倒されるのは我慢しなくちゃいけないってことを分かっておりますのか、だ」
納屋
ハニー「夕食の後も、眠る時間までお手伝い……最近ではお母様も私達の部屋で寝ているから、本当、話す暇がないわ……」
アーサー「……すまないね、ハニー」
ハニー「お父様……あー、いいの。今のは忘れて」
アーサー「いや、謝らせて欲しい。母さんの気持ちも分かるが、あれはやりすぎさ……この後、リーマスと私で少しの間でもモリーをひきつけておくから、君達は上で、なんだ……話し合いをしなさい」
ハニー「……ありがとう。それに……」
アーサー「謝らなくていい。君がすることが何より大事なんだ……そうだ、掃除ばかりでは退屈だろう?いいものを見せよう!とってもいいもの!よい、しょっと」
ハニー「なぁに?……壁の一部が、ひっこんで……これ……バラバラになった、部品……」
アーサー「テッド・トンクスが、君とハグリッドが不時着した時に壊れたオートバイの残骸をほとんど送ってくれた。まぁ、なんだ、ただ捨てられるには、これはあまりに惜しい……みてごらん、このエジソンの形」
ハニー「エンジンよ、エンジン」
アーサー「この箱なんて、素晴らしい……バッテリーと言ってね……何をするのかは知らないが……ブレーキの構造も知れる良い機会だ……この間あの細工を仕込んだ時は、内部まで詳しくは見られなかったから」
ハニー「えぇ、まぁ……シリウスの持ち物でお父様が楽しめているなら」
アーサー「あぁ、それさ。詳しく調べたらね、ハニー。もう一度組み立てて……しっかり飛べるようにした後、君に返そう。何せこれはシリウスの物で、つまりは今や君の物なのだからね」
ハニー「お父様」
アーサー「なんだね?」
ハニー「ハーマイオニーをよろしくお願いします」
アーサー「ハッハッハ、言われなくても」
ロンの部屋
ロン「ヒンヒン!やっぱりこう来なくっちゃ!あぁ落ち着く!なんて幸せな背中!ハニーの豚に生まれてよかった!」
ハニー「えぇ、そうね。生まれてこの方私の豚さんだもの、そうでしょ?」
ロン「ヒンヒン!」
ハーマイオニー「あなたと出会う前のロンの人生は一体なんだったのかしら……」
ロン「虚無だよ」
ハーマイオニー「真顔でやめて。えーっと……『スペルマンのすっきり音節』は必要ね……もしかしたら、ルーン文字を読み解く必要があるかもしれないわ」
ロン「おいおい、せっかく解放されたのに片付けなんて勘弁してくれよな」
ハーマイオニー「これは必要なことよ、とってもね。本の餞別をしているの。役に立たないものをもって行っても邪魔になるだけだわ」
ロン「あぁ、餞別すりゃ邪魔にならないだろうよ。だって僕達は移動図書館の車に乗って旅するんだもんな、そうとも。いるものの山大きすぎだろ?」
ハニー「……ねぇ、二人とも」
ハーマイオニー「なぁに?着いていくわよ?」
ロン「地の果てまでもね」
ハニー「……話が早いのはいいけれど」
ハニー「……嬉しいのよ。二人が一緒にいてくれるのは、本当に」
ロン「僕はそのヒン倍幸せだよおかげ様で。違った。ハニー様で」
ハニー「聞いて……ちゃんと、聞いて。真剣に……」
ハーマイオニー「真剣に聞いているし、真剣に考えたわ。ずっと。何年も前から、あなたに着いていくことに決めてるの」
ハニー「……言うのは、簡単だけれど」
ハーマイオニー「そうね。それで、行動するのも簡単ね。まず、随分前から荷造りしておいたわ。私達、実はやろうと思えばいつでも出発できるの。ご参考までに、NEWT試験も真っ青な呪文をいくつか使わせてもらったわ。あなたとの旅のために」
ハーマイオニー「それに、ロンはムーディの鼻先でポリジュース薬を頂戴してのけたわ。無くなった瓶を見た時のあの激昂やらなんやらは、本当に気づいてない様子だったわよ。ロン、あなたってその、素晴らしいわ」
ロン「褒めるならハニーをどうぞ」
ハーマイオニー「そして、私の両親のことだけど。記憶を消して、上書きして、二人は今、自分達はウィルキンズ夫妻っていう仲睦まじい夫婦だと思いこんでいるわ」
ハニー「……」
ハーマイオニー「オーストラリアに移住するのが夢だと思って、それを実現させてあげたわ。ヴォルデモートが二人を追跡して、あなたと近しい私のことについて尋問するのはかなり難しくなったでしょうね」
ハニー「ハーマイ……」
ハーマイオニー「なぜなら、二人はもうイギリスにいないから!たとえ見つけだしたとしても、随分苦労すると思うわ。なにせ、ハニー!二人はね……自分達に娘がいたことも知らないの」
ハニー「っ、ハーマイオニー……」
ハーマイオニー「ハニー、私達はちゃんと分かってる。あなたに着いていくことでどういうことが起きるか。覚悟してるわ。大丈夫よ、大丈夫。二人は、えぇ。私が戻らなくっても……戻らなくっても、そのまま、っ、幸せに、暮らしていけるわ」
ハニー「っ、ハーマイオニー、ハー、っ!」
ハーマイオニー「っ、なあに?抱きしめる、だけ、えぇ。足りないわ。そうでしょ?っ、っ」
ロン「……色んな意味で重いなぁ」
ハーマイオニー「っ、ロン、あなたがやったことも見せてあげて」
ロン「あー、食事後に見るもんじゃないけどなぁ」
ハーマイオニー「いいから!ハニーは、理解する必要があるわ!私たちがどれだけ!どれだけ!」
ロン「ハニーバカか?」
ハーマイオニー「そんなの今更でしょ!早く!」
ロン「はいはい……えっとさ、ハニー。肩に担ぐから、そこから天井裏を見てくれるかい?」
ハニー「っ、えぇ……よい、しょ……」
ハーマイオニー「……ロン、今、頭の両脇に意識を少しでも向けたら、多分ネビルが飛んでくるわよ」
ロン「うん、今僕も丁度そう思ってたから本当やめてくれるかい消え去れ僕の男の子」
ハニー「何の話を……っ、あー……これって……屋根裏おばけ?あなたの、パジャマを着た」
ロン「そんで、顔中できものだらけで、頭から真っ赤な髪の毛生やしたね。あぁ、フレッドとジョージが変身させるのを手伝ってくれた。そいつが、僕さ」
ハニー「……?」
ロン「僕らがここを出たあと、そいつが僕の代わりに僕の部屋に篭る。パパとママには、僕が『黒斑病』だって説明するように言ってあるよ」
ハニー「……」
ロン「魔法省だかそのなりすましだかが調査に来ても、これで完璧さ。喉まで進んだ重症だって言えば、話せなくても問題ないし。それに、あの病気はすぐに伝染るから長居もしたくないだろうね」
ハニー「……」
ロン「それで、まぁ、こいつにはここをくれてやるつもりだよ。戻ってくるころにはとてもじゃないけど散れてるだろうし……戻らなくっても、この部屋が騒がしけりゃ、連中を欺けるだろ?」
ハニー「っ、二人とも……何て……言えば、いいか」
ハーマイオニー「何も言わなくていいわ、ハニー。分かってくれれば、それでいいの。そうね、それで、っ、抱きしめてもらえれば」
ロン「僕達、ハニーバカなんだ。だからさ……うぉっと」
ハニー「あり、がとう……大好きよ」
ロン「今日はついてるなぁ、僕って」
ハーマイオニー「毎日でしょ」
ハーマイオニー「ここから出てまずどこに行くか、っていうお話だけど」
ハニー「……聖マンゴ」
ハーマイオニー「……」
ハニー「……は、いいわ。シリウスも、えぇ……分かってくれる、はずよね。今はもっと……やらなきゃいけないことがあるんだもの」
ハーマイオニー「それはよかったわ」
ハニー「考えたのだけれど……これは、そういうのは関係ないわよ?まずは、グリモールド・プレイス十二番地」
ロン「あー、シリウスの弟の、なんだっけ?レグルス?レギュラス?の部屋を探してみなきゃな」
ハーマイオニー「確認しないといけないものね……まだ、あそこにあるのか」
ハニー「あとは、そうね……ゴドリックの谷……あそこから、全てが始まったんだもの。何か、きっと……」
ハーマイオニー「でも、ハニー。ヴォルデモートはあそこを見張ってるんじゃないかしら。あなたが自由に動けるとなったら、ご両親のお墓参り戻る、って、読んでるんじゃ……」
ハニー「……あ、そっか。そうよね……パパとママのお墓……あるの、かしら。考えたこともなかったわ」
ハーマイオニー「そうなの?」
ハニー「なんだか実感なくって。だって、パパには割りと会ってるし、ママには鏡見れば会えるわ」
ロン「流石ハニー両親」
ハニー「えぇ、わたしの中に、二人はいるもの……けれど、そうね……一度くらいは、見てみたいわ。二人のお墓」
ハーマイオニー「気持ちは分かるけどね、ハニー。だから、あそこは危ないんじゃないかって思うのよ……それで分霊箱が見つかればいいけど、罠にひっかかっただけで終わったら悲惨だわ」
ロン「両親の墓に参れないほうが悲しいだろ!」
ハーマイオニー「まともだけど茶々いれないで黙って」
ロン「はいはい……そういやさ、例えスムーズに分霊なんちゃらがみつかったとして。あ、ハニーが一緒だからそんなの当たり前なんだけどさ」
ハニー「えぇ、そうね。問題なんて向こうから解かれるわ」
ロン「ヒンヒン!そんで、そいつをどうやって壊すんだい?『レダクト』とか?」
ハーマイオニー「普通の呪文じゃ、まず効果は望めないわ。えぇ、私、そのことについては随分調べたの」
ハニー「……そういえば本を見つけた、と言っていたけれど。分霊箱については図書館中探しても、禁書の棚にも、なかったんじゃないのかしら?」
ハーマイオニー「図書館には、ね……あー……どうやらダンブルドアが、校長に就任してから取り除いたみたい。でも……処分、してなかったようで……城を出る前の晩、あのね、盗んだわけじゃ」
ロン「すっごいや。マーリンのパンツに名前書くくらいとんでもないよ。どうやったんだ?え?」
ハーマイオニー「簡単だったわ……ただ、『呼び寄せ』たの。『アクシオ、分霊箱に関する本よ、来い!』って……そうしたら」
ハニー「……そうしたら?」
ハーマイオニー「……校長室の窓から」
ハニー「…………何かメモはなかったかしら」
ハーマイオニー「……『上手に使いなさい』とだけ」
ハニー「……回りくどいのよ、あの豚」
ハニー「……『深い闇の秘術』」
ロン「表紙見ただけで不快になるよな。あぁハニー!そんな薄汚い本は君のマット兼ブックスタンドな僕の方に持たせておいてよ!ヒンヒン!」
ハーマイオニー「その本に、分霊箱の作成に必要な全てが書いてあるわ……本当に、ゾッとしないわね。ヴォルデモートが七つも、それを行ったなんて」
ロン「でも、あの人は確かスラッギーじいさんに作り方を聞いてなかったっけ?」
ハニー「本当に確かめたかったのは七つ作るとどうなるか、だったはずだわ……だってあの頃には既に、指輪をつけていたもの」
ハーマイオニー「恐ろしいわ……たった一つ作るだけでもどれだけ魂が不安定になるか警告してあるのに……警告するなら作り方を載せてるのはなんなのよ、と思うけど」
ロン「不安定、ねぇ。元通りにする方法とかないのかい?」
ハーマイオニー「……一つだけ。でも、地獄の苦しみだそうよ」
ハニー「なぁに?」
ハーマイオニー「良心の呵責。自分のしでかしたことを心から悔いるの。でも、あまりの苦しみと痛みに自らを滅ぼすことになるかもしれない、って」
ロン「あの人が反省?そんなのしてたら今頃世の中善人だらけだろうよ。マーリンの髭」
ハニー「良心の……呵責」
ハーマイオニー「壊し方だけど……普通の呪文やただ引き裂いたり砕いたり押しつぶしたり、物理的に壊すだけじゃ、分霊箱は独りでに回復してしまうわ」
ロン「豚の話?」
ハーマイオニー「冗談でもやめて……リドルの日記を覚えてる?あれは、ジニーは最初トイレに流したそうだけど、古くはあってもそうされたようには見えないくらい元の形を保っていたわね」
ロン「入れ物を壊せたとしてもさ……中の、その、あの人の魂って奴がまた別のにとりつくだけなんじゃ?」
ハーマイオニー「分霊箱の中の魂はね、呪文をかけて魂を固定した物体へ完全に依存するの。その物体が破壊されれば、魂も破壊されるわ。真っ当な人の魂とは真逆よ。魂が損なわれるっていうのは、そういうこと」
ハニー「……入れ物さえ壊してしまえば、中の魂まで滅ぼすことができる」
ハーマイオニー「えぇ……それで、壊す方法だけど……またまた、リドルの日記のことは?」
ロン「あぁ、伝説の同胞が噛み砕いたってあれかい?」
ハーマイオニー「そう、『バジリスクの毒』は分霊箱を破壊する数少ない物よ……ハニー?」
ハニー「……それで、サラザールは……これを持たせて……あぁ、いつかこういう物と向き合うことになる、って。分かってたのかしら」
ロン「流石だよなぁ……皮に包まれた、奴さんの鱗の一枚だ。紫色の、毒々しいね」
ハーマイオニー「私達、必要なものは揃ってるわ……少し、問題なのは」
ロン「鱗だけじゃ、どうやってこいつで諸々破壊するんのかってことだよな」
ハーマイオニー「そういうこと……これが牙だったりしたら、頼りになったんだけど」
ハニー「サラザールをあれ以上痛めつけるのは嫌よ。どうにかしましょう……ダンブルドアは、どうやったのかしら。指輪の、破壊も」
ハーマイオニー「とっても難しいけど、破壊する方法はいくつかあるわ……その他はどれも、私達の手に届きそうにない物や術だけどね」
ロン「そんなもん、ハニーが望めばあっちからやってくるよ。豚とか、ゴリラでもいいかな」
ハニー「可愛い豚さんに持ってきてもらいたいものだわ」
ロン「ヒンヒン!……あれ?なんか、足音……」
ドンドンドンドンドタドタドタドタ
バターーーーン!!!
モリー「ふーーっ、ふーーーーっ、アーサーとリーマスが、なんだか挙動不審だし、髪だなんだチョコレートだと同じ話をしていると、思ったら!」
ロン「あー、それは、けっこう、あー、いつものことd」
モリー「おだまり!!!さぁ、さぁ!!!秘密のご歓談もいいですけどね!おやすみの時間ですよ!その前にロン!あなたは庭の掃除やり直し!!!」
ロン「僕の部屋はいつから庭になったんだろうねまったく。マーリンの髭」
翌日
オホホホホホ!
アッハッハッハッハ!
ハニー「フラーのご両親、それに妹が着いたわね」
ロン「パパもママもなんだか舞い上がってら……フラーのママは、あー、そりゃフラーのママだから想像通りのあれだけどさ。父親の方は、別にイケメンってわけじゃないよな?」
ハーマイオニー「でも、好人物みたいよ?おばさまに花を差し出して……あ、フラーだわ」
フラー「ママン!パパ!それに、ガブリエール!」
ムッシュー・デラクール「オォーォ、フラー。すばらしーいところじゃないか?それーに、マダム?フラーからききまーした……とてーもハードにご準備されていると。ありがたいことでーす」
モリー「オホホホホ!そんな、ちっとも大変なんかじゃ!オホホ!」
ロン「口元抑えて甲高く笑っちゃってまぁ。オェッ」
マダム・デラクール「ムッシュー・ウィーズリーもとてーもおもしろーいおもしろーいひとでーす」
アーサー「アッハッハッハ!それほどでも……」
モリー「アーサー」
アーサー「はぃ」
ロン「あ。パパの顔が病床に伏せる友人を見舞うレベルの真顔になった」
ハーマイオニー「夫婦の力関係が歴然ね」
ハニー「あぁなるといいわね……久しぶりね、ガブリエール?」
ガブリエール「はぁにー!ヒン!」
ジニー「違うわよ、がブリエール。こう。ヒン!よ。分かった?」
ハーマイオニー「違いなんて分からないから年端も行かない女の子に伝授しないであげて先輩さん」
ムッシュー「シャルマン(すばらしい)!シャルマン!」
マダム「オォーゥ!すてーきな席次表でーすね!」
ムッシュー「シャルマン!これがガブリエールの履く靴でーす?オー!シャルマン!」
マダム「ただでさえ妖精なガブリエールが本当にあちらの住人になってしまいまーす!」
ムッシュー「シャルマン!なんと綺麗な飾りつけ!ンー!シャルマン!!」
マダム「夢のような結婚式になりそうでーす!フラー、幸せでーすね?」
フラー「ウィ、ママ!おかーさまもおとーさまも優しいでーす!兄弟はおもろーいでーすね。ジニーはかわいいかわいいでーすし、ハニーとハーマイオニーはレズビアーン」
ハーマイオニー「いらない報告しないで!!」
ジニー「私も加えてよ!!」
ハーマイオニー「そうだけどそうじゃないでしょ!!!」
ムッシュー「シャルマン!」
ハーマイオニー「会って間も無いのに失礼ですけど黙って!!」
ガブリエール「んーふん?はぁにー?その花畑、わたーしも見てみたいでーす?」
ハニー「そのうちね」
ハーマイオニー「望むところよ!」
ロン「ハーマイオニー、ありがたいけど落ち着けよ」
モリー「私達夫婦の寝室はムッシューとマダムに提供するとして」
ムッシュー「ノンシャルマン!そういうわけにはいきませーん!」
マダム「ウィ!夫婦の愛の巣をわたーしたちが、いけませーん!」
アーサー「いや、いや、お客様を居間に寝させるわけにはいきませんよ」
ムッシュー「でーも……んーふん、わかりまーした……なるべく綺麗につかいまーす」
アーサー「アッハッハ!……あ、あれ?真顔……いや、勘弁してくださいよ?ちょっと?」
モリー「ガブリエールは、女の子部屋に」
ガブリエール「不束者ですがよろしくおねがいしまーす!」
ハーマイオニー「あのね?普通に眠るだけよ?本当よ? あぁ……これでほんとうに、出発するための話し合いの機会が今度こそ失われたわね」
モリー「何か言ったかしら!?あぁ、ハニー、窮屈になるけどごめんなさいね……明日はテントを建てる人手をビルが連れてくるから、もっと窮屈になってしまうわ」
ハニー「仕方ないわ、お母様」
モリー「まったく、安全呪文が厳重すぎるのも考えものねぇ。準備がどうしても、複雑に……あぁ、ハニー!そんな顔しないで!」
ハニー「……ごめんなさい」
モリー「いいのよ!あなたを迎えられるのは嬉しいこと、何度も言っているでしょう!?さぁさ、ハニー。その前に、明日のあなたの誕生日はどんなお祝いがいいかしら?ケーキの一番大きな飾りは犬の形で決まっていますけど」
ロン「ママって最高だよな痛い!ありがとう!」
ハニー「それは、それは、とっても嬉しいわ。けれど、お母様。そんなに派手にしなくっていいわ。これ以上、面倒は……」
モリー「面倒なものですか、ハニー。あなたは私の、娘も同然なんです!当然よ」
ハニー「……」
ハニー「ん……んー……」
ロン「ハニー、ハニー!おはよう僕のハニー!ママに朝っぱらから料理の手伝いをさせられてるハーマイオニーに代わって君の一番の豚こと僕が起こしにきたよ!あぁ、君の睡眠を妨げるなんて豚の風上にもおけないけどごめんよヒンヒン!」
ハニー「ん、は、ぁ……おはよう。卑屈な豚は嫌いよ?」
ジニー「その役目私でいいじゃない……おはようハニー」
ハニー「えぇ、ジニー。ガブリエールの面倒をみてくれてありがとう」
ガブリエール「スーッ、スーッ」
ジニー「さすがはおちびさん、すぐ眠っちゃったもんね。耳塞いだり、大変だったわ」
ロン「なんで耳を塞ぐ必要があったのかは聞かなくても分かるからいいよ……ところでハニー、なんだか珍しく寝起きが悪かったね?」
ハニー「そうかしら?」
ロン「うん、いつもは一声かければ子供のごとくすぐ起きる単純なそれが君で痛い!ありがとう!ヒンヒン!」
ハニー「うるさいわよこの豚……ちょっと、夢をみていたわ。誰だかを、探す夢だった……グレゴロビッチ……とか」
ロン「誰だい、それ。新しい豚?あぁ、豚候補か、人類なら」
ハニー「全人類は先天的にそうだものね、えぇ……どんな人かは、少しも。けれど、多分……ヴォルデモートが探してる、のかしら」
ロン「そりゃ災難な奴だな……あ!もしかしてグルゴビッチのことじゃないか!あのトンチキ!あの人に狙われてるならざまぁみろだ!」
ハニー「それは去年度、もの凄い移籍金でキャノンズに移ったのに成績が散々だった選手の名前でしょう……酷いことを言わないの」
ジニー「それに、あれは個人のせいっていうか、確実にチームのせいだと思うなぁ」
ロン「うるさいな!マーリン!髭!」
夕食
フレッド「誕生日おめでとさんハニー!十七歳の君!」
ジョージ「これで色々合法ってわけだよかったな君!」
ハニー「えぇ、そうね。魔法も使えるようになったわけだけれど、二人はどっちが失神させられたいわけ?」
ロン「僕らはみんな君の美貌に卒倒しそうだけどねいつも。あぁ、胸元に光る金時計がステキだよハニー!ヒンヒン!」
ハニー「えぇ、ありがとう……お母様、素敵なプレゼントを、本当に……」
モリー「いいの、いいのよ!新品じゃなくてごめんなさいね……男物だし、あまり気に入らないんじゃないかって」
ハニー「とんでもないわ!文字盤に、キラキラ星が……冬の星座!」
モリー「あぁ、えぇ、そこは細工を変えてもらいましたよ。大いぬ座が一番上にくるように……元々は、弟のものだったのよ。裏が少し凹んで……」
ハニー「何にも問題ないわ!それに、素敵なケーキまで…………」
ハーマイオニー「はいはい、ディナーを食べきってから一番大きな砂糖菓子をつけてとりわけてあげるわよ、ハニー。大きくて黒い犬をね」
ガブリエール「んーふん?はぁにーのお誕生日だって聞きまーした。でも、今日は、んー?お犬さんパーティなんでーす?飾りも、オッオー、プレゼントもそんなんばっかでーす!」
ロン「みんな重々承知してるのさ。ハニーがいかにシリウスバカか、って……」
ハニー「ロン」
ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」
ハニー「ハーマイオニーが作ってくれたスープ、どうやら鍋の中でとっても煮立っているみたいよ?」
ムッシュー「おとーことしてレディの提案は甘んじてうけいれーる。おーぉぅ、ブラーボォロナルド」
ロン「ありがとうございますあぁ熱かったハニーへの全人類からの熱量くらい」
ハニー「形を保っているのが不思議ね、えぇ」
ハグリッド「相変わらず頭から突っ込む勢いに迷いがねぇなぁロンは。よおハニー!誕生日おめでとう!」
ハニー「ハグリッド!ありがとう!それにリーマス、トンクス。こんばんは、お似合いね」
トンクス「まーね!おめでとうハニー」
リーマス「悪乗りしそうだからやめてくれるかい……十七歳おめでとう。本来この場にいなくてはいけない駄犬を連れてこれなくて悪かったね」
ハニー「……仕方ないわ、ええ。そういえば……聖マンゴはどうなっているの?」
リーマス「あそこの癒者たちは、ともすれば魔法省よりも人々を守る信念が強いからね。患者に手出しはさせないよ」
ハニー「心強いわ……早くいけるといいけれど」
ハグリッド「お?夏はなげーし、見舞えばいいじゃねぇか?護衛がごっそり必要だろうけどよお、俺がいっくらでも引き受けるぞハニー!ヒンヒン!」
トンクス「あたしもあたしも!」
ハニー「……ありがとう、気持ちだけ受け取っておくわ」
ハグリッド「何を贈ったもんか考えたんだけどよ。ハニー、こいつを。十七歳おめでヒン」
ハニー「えぇ、ありがとう……これは……巾着?」
ハグリッド「ただの巾着じゃねーぞ?モークトカゲの皮で出来ちょる。何か大事なもんを隠しておくとえぇ。これぁな、持ち主にしか絶対開けられねぇんだ。豚っぽかろうが?え?」
ハニー「そうね。忠実な豚さんのようだわ、あなたのように。出来る豚ね、ハグリッド」
ハグリッド「ヒンヒン!ロン、ハーマイオニー、元気か?」
ロン「ハニーのおかげでね」
ハーマイオニー「せいで、とも言うわね。ハグリッドはどう?忙しくしてたの?」
ハグリッド「あー、一角獣が何頭か赤ん坊を産んでなぁ!今年は繁殖期じゃねーはずなんだが、どうしてだかよぉ。お前さんたちんも、学校が始まったら見せてやるからな!」
ロン「あー、うん……」
ハーマイオニー「そ、そうね、えぇ……」
ハニー「……気持ちだけ」
ハグリッド「スクリュートもなぁ!新しい世代は、ついに飛んだぞぉ!」
ハニー「見たいっ!」
ハーマイオニー「ハニー」
ロン「あいつらどれだけ進化するんだ……豚の鑑だなぁ」
ハグリッド「お、チャーリーだ!ひっさしぶりだなぁ!ヘイ、チャーリー!元気か!」
ロン「花婿付き添い人だからって、ママに強制的に髪をきられて不機嫌だよ奴さんは」
チャーリー「いっそドラゴンの炎で焼いてくればよかった……よ、ハグリッド」
ハーマイオニー「そこまで酷くないでしょ……」
ハグリッド「元気か?この間はありがとよ。ノーバートはどうだ?え?」
チャーリー「ノーバート?あぁ、ノーベルタって呼んでるよ、今じゃね」
ハグリッド「はぁ?ほぉー!そんじゃ、あの可愛い子は女の子だったのか!どうりで!」
ロン「なにがどうどうりなのさ……オスとメスだと、何が違うんだい?」
チャーリー「ずっとずっとかっこよくて獰猛だな、メスは」
ロン「どうりで」
チャーリー「人間も大概同じだろ?あぁ、親父が早く戻ってくるといいなぁ。おふくろがピリピリしてる。あれは、ドラゴンで言うと炎を噴く寸前だぜ」
ハニー「失礼なこと言わないで……心配しておいでなのよ」
モリー「あぁ、もう……ねぇ、みんな!おめでたい席だけど、乾杯を済ませてしまいましょう?アーサーは、きっと遅れて……あ!」
スゥゥゥゥッ……
ハニー「! 銀色の光……パトローナス!」
ロン「鼬の形、ってことはパパだ!守護霊はフサフサでよかったね、パパ!」
ハーマイオニー「失礼すぎるでしょう……一体、どうしたのかしら。何か、伝言でも……」
守護霊『――魔法省大臣が、一緒に行く。準備を』
モリー「!!」
パッ
ハニー「……消えたわ……お父様の姿には、ならなかったわね」
ハーマイオニー「ハニー、何度も言うけどあなたのが特殊すぎるというか規格外というかキチガイというか……それより」
ハニー「えぇ……大臣がここに、何の用……?」
ザワザワザワ
フレッド「魔法省大臣様様ねぇ。あのくそったれパースはまたまた一緒なのかな?だとしたら親父は本当いい伝言をくれたぜ!」
ジョージ「存分に準備してやろうじゃないか。この爆発しながら人を追いかける黒犬花火~最後は押し倒してくるよ!~のな!」
ハニー「何作ってるのよ。おいくらよ」
リーマス「……私とトンクスはここにはいられない。ハニー、すまないね。本当におめでとう……それじゃ」
トンクス「あっ、あっ、私達から、それ!そのアルバム!中身あのねぼすけの寝顔だから!じゃ、じゃーね!」
ハニー「あっ、ま、待って!もっとちゃんとお礼を……ありがとう!!!」
モリー「大臣が、どうして――あぁ、席を確保しないと、でも――あぁ、もう」
バチンッ
ハーマイオニー「……門の前に、おじさまが『姿あらわし』したわ」
ハニー「……それに……スクリムジョール魔法省大臣」
ロン「……マーリンの髭」
ガチャッ
スクリムジョール「……どうやら、招かれざる客になったようだ」
ハニー「自覚してる分、偉いじゃない?」
スクリムジョール「あぁ、君は相変わらず偉そうだな、ポッター」
メシ
15時頃再開
居間
ハニー「……私達、三人にお話、ですって?」
ロン「ハニーとこいつを二人きりにするはめにならなくてよかったけどさ……なんで、僕らが?」
ハーマイオニー「ここは素直に従いましょう……大臣、三人一緒でないと私達は話をしたくありません」
スクリムジョール「……いいだろう。仲良く、聞きたまえ。何、わたしは別に、最初から対立しにきたわけではない」
ハニー「人に向かって偉そうと言っておいて……それで?」
スクリムジョール「アルバス・ダンブルドアの遺言のためだ。聞き及んでいるとは、思うがね」
ハニー「……」
ロン「……人語の?」
ハーマイオニー「……あなたたち言語ではもうあるみたいな言い方やめてよ」
スクリムジョール「これは、これは!どうやら寝耳に水らしい!では、ダンブルドアが君達に遺したものがあることも知らなかった、そういうことかね?」
ハニー「えぇ、初耳だわ。どうしてかしらね」
ロン「一ヶ月も、僕らにそんな報せなかったじゃないか。何言ってんだこいつ」
ハーマイオニー「見え透いたことだわ。何を遺してくれたにせよ、この人は調べたかったのよ。そんな権利はないのに!」
スクリムジョール「権利ならある。『正当な押収に対する――」
ハーマイオニー「『正当な押収に対する省令』で記された遺言に関する記述は、闇の魔術にかけられた物品であるものに限定されていたはずです。ダンブルドアは私たちに呪われたものをよこしたのですか、大臣」
スクリムジョール「……」
ロン「ヒューッ、グリフィンドールに10点」
スクリムジョール「魔法省に就くつもりは?」
ハーマイオニー「現時点では皆無だわ」
ハニー「あなたが権利を捻じ曲げてでも調べていたのは分かったわ。それで、じゃあどうして今になって渡す気になったのかしら」
ハーマイオニー「危険だと証明できなかったのよ。物品の保管は三十一日しか認められていないわ。そうですよね、大臣?」
スクリムジョール「ロナルド、君はダンブルドアと親しかったといえるかね?」
ロン「無視だしファーストネーム呼びだしいきなりなんだよ。ダンブルドアと?そりゃ、同胞だったけどさ。あー、個人体な付き合い、って言うと……」
ハーマイオニー「話、を、合、わ、せ、て、!!」
ロン「あー、えーっと?趣味を同じくして一緒に熱くなるような関係でしたよ、うん!マブダチさ!もちの僕で!」
ハニー「えぇ、そうね。ロン、あなたとあの意地悪豚はいつも息があっていたわ」
ハーマイオニー「そうそう、そんなロンに何か残されていても、不思議じゃないもの」
スクリムジョール「……腑に落ちないが、いいだろう。『アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドアの遺言書――ロナルド・ビリウス・ウィーズリーに、わしお手製の「火消しライター」を遺贈する』」
ロン「……すっげーや」
スクリムジョール「『使う度にわしを思い出してほしい。愛じゃよ』だそうだ……君は、それの使い方を?どのように使うつもりだね?」
ロン「『火消し』ってんだから、火を消すためじゃないか?他に何かあるなら、教えてほしいけど」
スクリムジョール「……『ハーマイオニー・ジーン・グレンジャーに。わしの蔵書から「吟遊詩人ビードルの物語」を遺贈する。読んで面白く、役に立つものであることを望む。愛じゃよ』」
ハーマイオニー「……先生」
ロン「うわーぁ、それ、原書なのかな?僕、絵本とかでしか読んだことないよ。ぺちゃくちゃウサちゃんとかさ!オチが笑えるよな!」
ハニー「……?」
スクリムジョール「ダンブルドアはどうして、君にそれを遺したと思うね?」
ハーマイオニー「わ、私が本が好きな事を、先生はご存知でした」
スクリムジョール「『役に立つ』というのは?何か生前、君と秘密の暗号などの打ち合わせを?」
ハーマイオニー「寓話は人生の教訓が織り込まれているのが常です、常識ではないでしょうか」
スクリムジョール「……」
スクリムジョール「さて……君だ、ポッター」
ハニー「もったいぶらずにさっさとして頂戴。回りくどいのは嫌いよ」
スクリムジョール「……『ハニー・リリー・フローレンス・ポッターに。スニッチを寄贈する。これは彼女が初めての試合で手にしたものである。忍耐と技は報いられるものであるという象徴として、これを贈る。愛じゃよ、愛』だ、そうだ」
ハニー「……」
スクリムジョール「ダンブルドアは、何故――」
ハニー「何故、私にスニッチを贈ったか?さぁ、私が今世紀最年少のシーカーで、類稀なプレイヤーで、高貴で、可憐で、そして儚げな天才的で道徳的で家庭的で模範的な人間だ、っていうのは、言うまでもないじゃない?」
スクリムジョール「……それでは単に、本当にそういったものを讃える象徴だ、と?」
ハニー「他に何かあるというの?」
スクリムジョール「……スニッチは空洞だ。中に何か隠すにはうってつけで、そして……肉の記憶を持っている」
ハニー「肉……なんですって?」
ロン「ハニーの感触なら僕も知ってる」
ハーマイオニー「私だって……オホン。スニッチは、空に放たれるまで素手で触られることはないの。製作者さえ厚い手袋をはめて……最初にキャッチした人物が誰かを、記憶する魔法がかけられているのよ」
スクリムジョール「その通りだ。本来は、判定争いになった時のためのものだが……ポッター。我々は、ダンブルドアが融通の利かない人だとは思っているが、その並外れた魔法力のことは評価している」
ハニー「並外れた?そんなものじゃないでしょ。私ほどじゃないけれど」
スクリムジョール「そこで、推察したのだが……ダンブルドアは魔法をかけ、君に触れると、つまり、手に取った瞬間……何か変化が現れるようにしたのでは?」
ハニー「……素晴らしい想像力ね」
スクリムジョール「そうだろう。さぁ……」
ロン「……」
ハーマイオニー「……」
ハニー「……」
スクリムジョール「……受け取りたまえ」
スッ
ハニー「……」
ポトッ
スクリムジョール「…………」
ハニー「…………」
ハーマイオニー「…………」
ロン「…………えー、っと?これ、笑うところかな?わーお、劇的瞬間だったね!スニッチはなーんにも変化がなくてスニッチのまんまだ!すっげーや!」
スクリムジョール「……」
ハニー「大した推理ですこと?」
ハニー「これでおしまい?それなら、帰っていただけないかしら。まだ晩餐の途中だし、あなたがいるとみんながピリピリしてしまうもの」
スクリムジョール「いや。受け渡しは、終わりだがね。書類上、知らせておくことがある。ダンブルドアは君にはもう一つ、形見を遺した」
ハニー「だから、なぁに?回りくどいのは……」
スクリムジョール「ゴドリック・グリフィンドールの剣だ」
ハニー「!」
ロン「!」
ハーマイオニー「! それで、受け渡しが終わりっていうのはどういうことですか!?書類上!?剣は、どこに!?」
スクリムジョール「残念だが、あの剣はダンブルドア個人が遺品として譲り渡せるものではない。あれは歴史的財産であり、その所属先は……」
ロン「ハニーだろ!ハニーは組分け帽子からあれを受け取ったんだ!ハニーのもんだ!もちのロンで!」
スクリムジョール「信頼できる歴史的文献によれば、これまでも剣はふさわしいグリフィンドール生のもとにもたらされいる!とすれば、これはダンブルドアでもポッター個人のものとも言えない。違うかね?」
ハーマイオニー「違いますとも!ええ、魔法省の勇敢なみなさまの中で誰か一人でも最近その剣が何も無いところから引きだせたのなら話は別で!そんなの!そんなのって!!!」
ハニー「……無駄だわ、やめましょうハーマイオニー。この人は、この人たちはそれを私に寄越すつもりがない……自分達の側につかない限り、そう言い出すんでしょう?」
スクリムジョール「……サラザール・スリザリンを破った、ゴドリック・グリフィンドールの剣!これほど、『あの人』を打ち倒す象徴といえるものがあるかね?ポッター、ダンブルドアもそう考えて君にこれを残したのでは?」
ハニー「反吐が出る認識であの二人をかたらないで頂戴。あなたたちが魔法省の中で古い本をめくったりライターをいじくったり、スニッチ片手に妄想に浸る間に!たくさんの人たちが死んでる。そんな人たちにどうして協力するっていうわけ?」
スクリムジョール「言葉が過ぎるぞ、ポッター!」
ハニー「仕方ないでしょう?『私は、嘘をついてはいけない』と教え込んだのはどなたたちだったかしら!」
ロン「おい!ハニーに杖向けるなんて何様だよ!!この!」
ハニー「ロン、立ち上がらない!杖もださなくていい!この人があなたを逮捕する口実を与えないで!」
スクリムジョール「あぁ、ここが学校という守られた空間でないのを思い出したかね、ポッター!私が君の傲慢さも不服従も許してきたダンブルドアじゃないということを、思い出したかね!覚えておけ!やろうと思えば、強引にでも服従させることができるのだぞ!」
ハニー「そうすればいいでしょう!やってみなさいよ!あなたがヴォルデモート以上の使い手でもない限り!全くの無駄でしょうけれど!」
スクリムジョール「君の意思を尊重してやろうというのだ!十七歳の小娘が、私の仕事に口出しするな!!そろそろ敬意というものを学びたまえ!」
ハニー「あなたこそ!いい加減それを勝ち取ればどうかしら!!」
バタバタバタバタ、バタンッ!
アーサー「な、何事だね!?何か、大声、あー……」
モリー「トラブルですか!?え!?……え?だ、大臣、まぁ、何を……」
スクリムジョール「……何でもない。ただ、このこむ、オホン。ミス・ポッターに少し、汚れがね」
ハニー「清廉潔白よ失礼ね」
ロン「そうだそうだ」
スクリムジョール「……失礼する。ポッター、私は君の態度を残念に思う。私は、いいか。ダンブルドアの意に反したことをしているつもりはない。我々は同じくして事に当たるべきなのだ」
ハニー「お生憎様、人手なら間に合ってるわ。さようなら」
スクリムジョール「……」
ツカッツカッツカッツカッ ガチャッ
バタンッ
アーサー「……はぁぁぁ。肝が冷えた……一体、何があったんだね?」
モリー「ハニー?平気?あぁ、あんな人に杖を突きつけられるなんて、平気なわけがありません!強がらなくてよろしい!平気、ハニー?」
ハニー「大丈夫よ……でも、あー……少し、気分が悪いから。お母様……今日の夜は、一人部屋で寝かせてもらっても、いいかしら?」
夜
ロン「寝静まった後にハニーの部屋を申し合わせたかのように訪れる僕とハーマイオニーってとことんハニーバカだよな」
ハーマイオニー「そういうフリだったでしょう?」
ハニー「少し二人で寄り道してきてもよかったのよ?」
ロン「こんな狭い家で何言ってんのさ……そんで、これだけど」
ハーマイオニー「全くね……えぇ、『火消しライター』、使ってみせて?」
カチッ シュッ……
ハニー「……部屋の明かりが、消えたわね」
ハーマイオニー「……まあ、要するに。杖でも同じことが出来るし……目くらましにしても、『ペルー産インスタント煙幕』の方が使えそう、ということよね」
ロン「い、いいじゃないか。ダンブルドアのお手製だし、何よりこいつは、かっこいい。うん」
カチッ パッ
ロン「それで、君の本のことだけど」
ハーマイオニー「えぇ、ビードルの物語……これって」
ロン「ダンブルドアも意味の無いもんよこしたよな。そんなの、誰だって知ってるだろう?そりゃ、原書は読んだことなけどさ」
ハニー「……?」
ハーマイオニー「……参考までに教えてさしあげるわ、ロン。私もハニーもお揃いのマグル育ちで、魔法使い家庭で小さい頃から読まれてきた童話や寓話なんてほとんど知らない、ってこと」
ロン「……冗談だろ。道理で不思議そうな顔してたわけだ!マーリンの髭!本当に?ぺちゃくちゃウサちゃんだぜ!?」
ハーマイオニー「私達が読んでいたのは、ハニーがよく知ってるでしょうけど、『白雪姫』とか、『シンデレラ』とか……」
ロン「なんだそりゃ?病気の名前か?」
ハニー「ロン」
ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」
ハニー「そのライター、ひょっとしたら丸呑みにでもしたら何かわかるんじゃないかしら」
ロン「うぇっぷ、うっぷ、器官に穴あくとこだった、マーリンの髭」
ハーマイオニー「とにかく、この本が魔法界で長く語り継がれてるもの、っていうのは分かったわ……何度も読み込んで、ダンブルドアがなにを伝えたかったのか、突き止めなきゃ」
ハニー「えぇ……少しでも他に、ヒントを遺してくれればよかったのに。あの人、豚は、もう」
ロン「全くだぜハニー。ヒントを、ヒンヒンってね」
ハーマイオニー「肝心の私が理解不能でしょそれ……でも、そうね。剣をハニーに遺すことも、前もって言ってくれていれば、何か対処ができたのに……残念だわ」
ロン「スニッチもだろ?ダンブルドアったら、どうしっちまったんだろうな。こんな、古いスニッチをハニーによこすなんて。せめて新品にしろよなまったく、マーリンの髭!」
ハニー「あぁ、これ? とんでもないわよ、ロン。あの豚は……この点に関しては、とっても褒めてあげたいもの。わたし」
ハーマイオニー「? どういうこと?だって、それには何もなかったじゃない?」
ハニー「えぇ、そうね。だって私、スクリムジョールの前では真剣に試すつもりがなかったの……ロン?私が、初めての試合で勝ち取ったスニッチとは?」
ロン「……!!そいつ、そうだ!!!」
ハニー「えぇ」
ロン「ハニーの胸元に飛び込んだ!!!!!戦犯スニッチだ!!!!思い出した!!!!こんにゃろ!!!!いつかはいい目にあいやがって!!!!マーリン!!!髭!!!髭!!!!」
ハーマイオニー「あぁ……どうりで古い以上に、なんだかくたびれてるのねそれ……そういえば当時、男の子たちがみんなで試合後血眼になっておっかけてたわ」
スニッチ「」パタパタ
ハニー「昔のことはいいのよ。お帰り?金豚?」
金豚「」パタヒン!
ハーマイオニー「絶対言うと思ったわ」
ハニー「さて、それじゃ……ロン?ハーマイオニーの方を見ておくのよ?ジーッとね」
ロン「君の命令なら穴があくほど!」
ハーマイオニー「とりあえずハニーの方をみないようにすればいいでしょ!ちょ、ちょっと、本当に見ないでよ、ちょ、あの」
ロン「……君、ここ来てなんか……」
ハーマイオニー「な、なに……?」
ロン「……やつれた?」
ハーマイオニー「…………疲れることばかりですもの、えぇ」
ハニー「さて、と。ボタンを……二つくらい、外して」
プチッ、プチッ
ハニー「スニッチを……あー……昔みたいには……ん、押さない、と」
スッ
ハニー「んっ、つめた……羽が、くすぐっ……んっ」
ロン「ハーマイオニーさん」
ハーマイオニー「なによ」
ロン「このうつぶせの体勢が非情にきついことになってきそうなのですがちょっとハーマイ取って落ち着かせていただけますかね」
ハーマイオニー「お安い御用よ」
ハニー「! スニッチが!」
ロン「なんだい?幸せのあまり爆発した?そりゃそうだろうね。僕も『ボンバーダ』してもおかしくないよもちのロンで」
ハーマイオニー「その前に『ディフィンド』のち『レダクト』してさしあげるわ……何か起きたの、ハニー!?」
ハニー「文字が、浮かびあがったわ!みて……ん、っと。これ!」
ハーマイオニー「文字……本当に、細工がしてあったのね!でも、これって……どういう意味、かしら」
ロン「何さ、僕にも見せてくれよ。あ、ハニーはとりあえずボタンを閉めてもらえる?僕の中の紳士豚がそう言ってる」
ハニー「あぁ、そうね……ロンも、見て頂戴。スニッチは……形は変化がなかったの。けれど……金色の球体の、表面に」
ロン「……なんだい、これ」
ハニー「えぇ……さっぱりだわ」
ハニー「『私は 終わる ときに 開く』……だなんて」
クラム登場までやりたかったがこっから式はキツイ
つづきはおそらく再来週になる 申し訳ない
追って告知する
じゃあの!
すまんの
自分もパソコンの前に生息してssを投下するだけの生き物になりたいんやけどな
明日は諸々用事済ませて、夕方頃に再開
来週からはやっと隔週で土曜日も休みになるけ、頑張って時間作るで
じゃあの!
結婚式当日
ガヤガヤ、ガヤ
ハーマイオニー「いい、ハニー。ロン。今日はハニーはいないの」
ロン「あぁ……この世から太陽が無くなったようなもんだよな」
「あら、だから言ったでしょう?いくら姿が変わっても、私と言う存在に変わりはないって。ちがう?」
ロン「そうだねヒンhいたい!!」
ハーマイオニー「そ、れ、を!やめてって言ってるの!いい!?あなたたちを少しでも知っていたら、その流れを作る原因が誰なのかっていうのが丸分かりなんですからね!」
ロン「ハニーの高貴さとか可憐さとか儚げなのとかがかい?隠しきれないよなぁ」
「罪深いほどね、えぇ」
ハーマイオニー「だから……もう!ハニー、今日のあなたはロンの親戚のハリエットよ!ハリエット・ダーズリー!」
ハリエット「えぇ、高貴で可憐な。元の私には劣るけれど、まぁ?中々良い娘を選んできたのじゃない?」
フレッド「だろ?オッタリー・セント・キャッチポール村一番の美女だぜ、その娘はさぁ」
ジョージ「僕らがその娘と『お知り合い』だったから調達できたんだ。感謝してほしいね」
ロン「ハニーに比べりゃドブスもいいとこだけどね」
ロン「ハニーの輝かしい美しさには劣るけど真夏の炎天下の暑さに、何もこんな暑っ苦しい格好させなくてもいいのになぁ……マーリンの髭」
ジョージ「それを言うないロニー坊や。おふくろは伝統と格式をおもんぱかりたいのさ存分に」
フレッド「だが、俺達の時は期待しておけよ。こんなかたっくるしい格好はさせてやらないさ」
ロン「あぁ、男は水着にネクタイとかどうかな。紳士っぽいだろ?」
ハーマイオニー「どこの世界の紳士なのそれは……ここからはハニーのことをハニーって呼ぶのは禁止よ?いいわね?」
ジニー「ヒンヒンはどうするかなぁ」
ハーマイオニー「言わなければいいだけでしょう?」
ジニー「例えばハーマイオニーは、息を止めても平気だって言うの?」
ロン「そうだそうだ!」
ハリエット「それなら存分にいまのうちに鳴いておきなさい?お利口さんにするのよ、豚さんたち?」
ロン「ヒンヒン!やっぱりハニーはドブスになっても最高さヒンヒン!」
ジニー「あぁハニー!ヒンヒン!」
ハーマイオニー「……なんだか引っ込めさせたほうがいいような気がしてきたわ」
トンクス「よっ、雑用諸君!お出迎えの準備は出来てる?」
フレッド「あっ、新妻」
ジョージ「あっ、若妻」
トンクス「まぁね!」
リーマス「そこ双子やめてくれるかい……モリーの頑張りは存分に発揮されているようだ。素晴らしい会場だね」
ハリエット「えぇ、大きなテント中、きらびやかだわ。トンクスと、それに、あなたもねリーマス」
トンクス「でしょ!リーマスはいっつもお洒落に無頓着だからね!こんな時くらいピシッとしなきゃ、ってさ!ネクタイがイカすでしょ!」
ロン「あー、そうだね。七色に光る宝石でさぁ」
ハーマイオニー「だれかの指輪と、それを嵌めている人そっくりね、えぇ」
ジニー「ヒューヒュー」
トンクス「やめてよもー!今日はさー、目立っちゃいけないっておもってさー、髪は地味にブロンドにしてきたんだからさーもーねーえっへへー」
ハリエット「金色に輝いて見えるけれどね」
リーマス「あぁ……胃が痛い」
リーマス「胃が痛いといえば……昨日はお祝いの途中で帰ってしまってすまなかったね」
ハリエット「……いいのよ」
フレッド「あとすこーしだけはいてほしかったけどな、うん。残念だった」
ジョージ「新婚夫婦に祝いのキスを見せ付けてほしたかったんだけどなぁ」
リーマス「君達二人いい加減にしないと見分ける箇所を増やしてやってもいいぞ。魔法省はいま、相当に反人狼的でね……あの場に私達がいることをしられると君の立場がまずいと思ったんだ」
ハリエット「そうでなくても、あの分からず屋大臣の考えはおかしなままだわ。気にしないで」
リーマス「……ありがとう。さて、私達はどこの席に座ればいいのかな?」
ハリエット「あそこよ?」
リーマス「ハニー。どう見てもあそこは新郎新婦が並ぶところだと思うのだけどね。悪かった。悪かったから。呼ばなかったことは悪かったから君実のところ気にしてたね悪かったから」
トンクス「もっかいしちゃおっか、リーマス!ね!ね!」
リーマス「トンクス、その台詞は夜だけにしてくれるかい」
ガヤガヤ、ガヤガヤ
フレッド「ボンジュール、ミス?僕がご案内しましょう?」
ジョージ「あなたたちをアシステいたしーます?どうぞ?」
クスクス キャッキャ
ジニー「双子ったら、フラーの親戚が来るや否や飛びついていったわ」
ロン「ハニ、おっと、ハリエットが居るっていうのに目が悪い奴らだよな」
ハーマイオニー「あなたの学習能力ほどではないでしょうけど……お客様が続々、到着してきたわね」
ハリエット「案内をしましょうか……あら、あれは」
ネビル「ロン!ハーマイオニー!それに、ハニー!えっと、ジニー!やあ!呼んでくれてありがとう!」
ロン「ネビル!そりゃそうさ、なんてったって君は同胞だからね!ヒンヒン!」
ネビル「ヒン!」
ハリエット「よく鳴く豚さんは好きよ、えぇ?」
ハーマイオニー「だから、やめてってば……ね、ネビル?どうしてこの、ハリエットがハニーだとわかったの?」
ネビル「え?うーん……だって、ほら。君たちだけで固まってる中で一人知らない人がいたら、うん、そういうことなんだろうなーって、思うよね?あれ?」
ハリエット「……」
ロン「……」
ハーマイオニー「……バラけましょうか」
ネビル「と、ところでジニー、あの、ドレスローブ、ステキだね!」
ロン「!」
ジニー「えっ……ありがとう!あなたもね、ネビル!その、あー、ダンス・パーティの時以来よね」
ネビル「そ、そうだよね!あの時も、君が一緒に来てくれて嬉しくて、それで、ほら、その時の――」
ロン「あー!思い出した思い出した!その後ジニーは途中でマイケルといい雰囲気になったんだっけ!思い出したなー、僕!」
ネビル「……」
ジニー「……」
ハーマイオニー「……ちょっと」
ハリエット「ロン」
ロン「ヒンh、おっと。うん!なんだいハリエット!」
ハリエット「あそこに見えるのが噂のミュリエル叔母さんなら、盛大におもてなしするべきだと思うのだけれど?」
ミュリエル「んまぁーロナルド!傅いて手の甲にキスまで出来るようになったなんて大人だぁねぇーこっちにおいで!おばさんもおかえししてやろうかぇ!」
ロン「髭!髭!マーリンの髭!!!」
ガヤガヤ
ハリエット「しっかり反省するべきだわ、もう……みんな、お客さんについて案内に行ったわね」
ハリエット「ビルとフラーの祝いの席だもの。私も、しっかり仕事してあげるわ」
ハリエット「さぁ……誰か」
ザワザワッ
ザワッ
ヒソヒソ
ハリエット「来たら……あー」
「そこのご婦人?なにやら足取りが悪いようですが、『スモモ飛行船』はいかがですかな?」
「いらない?何故、こいつは一口齧ればたちまち注意力満点気分爽快ちょびっと欠点はすこしフワフワと浮いてしまうという――」
「え?私のように? うーむ、それはどういったことですかな。私は大真面目に……むぅ、世間話とは難しいなぁ。アーサーの客人なら話が合うと思っていたのに」
ハリエット「……え、ぇと。あー……違っていたら、ごめんなさい?あー……ミスター・ラブグッド?」
ラブグッド「! これはこれはお嬢さん!言い当てなさるとは、いかにも!ゼノフィリウス・ラブグッドです!いかなこと!もしやあなた、見えざるピンクのユニコーンと……?」
ハリエット「それとは関係ないけれど、なんとなくね……言動とか、その真っ黄色なローブ、とか」
ラブグッド「丘の向こうで、娘と一緒に住んでおりますよ。アーサーとは昔から懇意にしていましてね、この度親切にも呼んでいただいた」
ハリエット「あぁ……お父様は、えぇ。気が合いそうだわ。それで、ルーナはどこに?」
ラブグッド「! ルーナのことまで!さてはあなた、こっそりこの『スモモ飛行船』を……?」
ハリエット「もうそういうことでいいわ。娘さんは、一緒にお出でではないのかしら」
ラブグッド「いやいや、いや。来ておりますよ。ここの庭で、チャーミングな庭小人たちに挨拶をしております。すばらしい蔓延っぷり!流石はアーサー、彼らがもたらすものをよく理解している!」
ハリエット「えーっと……作物の被害とかかしら」
ラブグッド「とんでもない!彼ら賢い小人から私達がいかに学べるか!作物などむしろ捧げる気持ちですよ私は!庭小人、学名で呼ぶならばゲルヌンブリ・ガーデンジ――あぁ、ルーナ」
ルーナ「パパ、パパ!聞いて!ゲルヌンブリ・ガーデンジが!思いっきり噛み付いたよ!本当だったんだ!」
ラブグッド「! 素晴らしい!ルーナ、ルーナ!今日この場でももし新しい才能が芽生えたるのを感じたら、思うままに試してみなさい!ゲルヌンブリの知恵を授かったのかもしれない――あぁ、アーサー!やぁやぁ、お招きありがとう――」
ハリエット「……行ってしまったわ。忙しい人、いろんな意味で……あー」
ルーナ「こんにちは、ハニー」
ハリエット「! あー、私は、ハリエットだけれど」
ルーナ「ふーん?名前も変えたの?」
ハリエット「……どうして分かったの?
ルーナ「?あんたがあんただから」
ハリエット「……ふふっ、えぇ、聞くだけ野暮ね。ようこそ、ルーナ。ここでは、ハリエットってことでお願い」
ルーナ「そっか。じゃぁあたしも、ルーナ・ゲルヌングッドってことで……」
ハリエット「合わせなくていいわよ……合わせてるのかしらそれ」
ハリエット「ルーナはお父様と一緒の席に座って……大体、揃ってきたのかしら」
ハリエット「……ロンは、まだミュリエル叔母さんに掴まってるわ」
ハリエット「少し助け舟を出してあげる、べきかしら」
ミュリエル「お前の髪は長すぎるぇ、ロナルド!わたしゃ一瞬ジネブラと見間違えて……あんたは誰かぇ?」
ロン「長かないよミュリエルおばさん。遺伝的に儚く散りそうなんだから今くらい伸ばさせてくれ――あぁ、えっと、こっちはほら、いとこのハリエットだよ」
ハリエット「こんにちは、ミュリエルおばさま」
ミュリエル「あぁ、まーたウィーズリーの某かい。庭小人算のようにポコポコポコポコと、品がないねぇ」
ロン「うるさいな……ヒンならあるようるさいなあ」
ハリエット「おさえなさい、ロン。あー……」
ミュリエル「ハニー・ポッターは来てないのかぇ?ロナルド、あんたはあの娘と仲が良いって言ってたろう?自慢してただけかぇ?」
ロン「違うよ!ハニーは僕の女神であり崇高な存在だよどんなに姿が変わってもね!ヒンh、おっと」
ネビル「ヒn、おっと」
ジニー「ひんh、おっと」
ハーマイオニー「……いっそインペリオでも使おうかしら」
ハリエット「私もロンから聞いたのだけれど、彼女は、そうね。用事で来られなかったそうよ」
ミュリエル「そうかぇ。それなら口実を作って逃げたってことかねぇ。新聞の写真で見るよりは愚かな娘ではなさそうだ」
ロン「当たり前だろハニーはそんな単語から最も遠い存在だぞ!大体、逃げるって何――」
ミュリエル「わたしゃね、ついさっき花嫁にティアラのかぶり方を教えてやったところさ!確かに美人だがね、所詮はフランス人だぞぇ。ゴブリン製の、我が家の家宝をかぶるにはちょいとねぇ」
ハリエット「よくわからないけれど」
ミュリエル「トロールに真珠ってことだぞぇ。もっとも、あぁ、この娘よりはいいかねぇ。え?あんた、あれかい?ロナルドの友達の、マグル生まれの娘かぇ?」
ハーマイオニー「ロン、ハリエット!団体が来たから手伝って……あ、あー、えぇ。そうです、ハーマイオニー・グレン――」
ミュリエル「足がガリガリだねぇ。それに、衣装は着飾っても顔の方はてんでときてまぁ!」
ハニー「……ちょtt」
ロン「おいおいミュリエルおばさん、悪くなったのは足だけにしてくれよな。眼まで悪くなったんじゃ、面倒見きれないぜ?」
ハーマイオニー「」
ハニー「」
ロン「…………ほ、ほら!良い席用意してあるんだからとっとと座りなよマーリンの髭!」
ミュリエル「……ロナルドは渡さないぇ!!!!!」
ハーマイオニー「はっ、あっ、えぇっと、あの!こ、こっちこ、いいえあのあああああの!!!」
ハリエット「平和っていいわね、ほんと」
フレッド「よーぅ諸君。ミュリエルの悪夢にさらされてきたってところか?」
ジョージ「ほんと、奴さんは最近来なくなったから平和だったんだがなぁ?」
ハリエット「むしろおかげで平和そのものよ」
ロン「そ、そそそうさ、万事変わらず何事もね!なぁ、ハーマイオニーさん!?」
ハーマイオニー「そう、そ、そうね!ロナルド・ビリウス・ウィーズリーさん!」
ジョージ「なんだか面白そうな雰囲気を逃した気がして悔しいぜ。そう、ビリウスおんじ、あの人は最高だったな全く」
フレッド「あぁ、こんな席だった間違いなく最っ高のお客様だったに違いないぜ。ミュリエル大ばばぁとは正反対でさ」
ハーマイオニー「その人って……グリムを見て24時間後になくなったっていう、あの?」
フレッド「さっすが才女様、よく知ってらっしゃる。なんでかなぁ?」
ジョージ「そんなことまで得意のご本様に書かれてるんですかねぇ?」
ハーマイオニー「ひっちぎるわよ両の耳」
ロン「あー、えっと、確かに最後はちょっとおかしくなってたけどさ。いかれっちまう前は、パーティの盛り上げ役だったんだ。ハニーはそこにいるだけでみんなが舞い上がっちまうけど」
ハリエット「まるで刺激剤ね、ええ」
フレッド「思い出すぜ……ウィスキーを一気飲みにして、ローブをたくしあげたと思ったら花束を取り出すあの神業」
ジョージ「どこから取り出したか、は、聞いてくれるなよな……ほんと、すばらしい紳士だった。変態と言う名のな」
ハーマイオニー「あなたたちの紳士感がどこで狂ったのかはよーく分かったわ」
ザワザワザワッ
ザワッ
キャーーー!キャーーーー!
パシャッ!ボンッ!パシャバシャッ!
ロン「あぁ、きっとそれはあいつが証明してくれるぜ、きっとね……ほら来た」
ハーマイオニー「誰が――!?!?」
ハリエット「……あれって……」
「きゃーーー!きゃーーーーーー!世界的シーカー、ビクトール・クラムよーーーー!!!」
「でも、でもどうして上半身裸の水着姿にネクタイをつけてるのーーーー!?」
「肉体美がすてきーーーー!!!きゃーーーー!!」
ビクトール「……招待状にヴぁ、この格好で、と、書いていたのだが」
ハーマイオニー「彼っ!!へっ!!!のっ!!!招待状っ!!!のっ!!!!担当はっ!!!!あなたっ!!!だったっ!!!!わねっ!!!」
ロン「HAHAHAHAHAあんなもん普通ジョークと思うじゃないかあたり前だろそんなの信じたあいつの責任で僕としては最後には友好的に分かれたんだしちょっとした冗談のつもりで痛い!!痛い!!!痛い!!!!ヒール!!!足!!!マーリン!!!髭!!!」
ビクトール「……こちらは暑いからこれもありかな、とヴぁかり」
ハリエット「どこまで来てもとんだ紳士よねあなた」
ビクトール「ハームオゥンニニー、やあ。君はすヴぁらしい」
ハーマイオニー「あ、あー、えぇ、ビクトール!また会えて光栄だわ!あの、もうちょっと違う形でお会いしたかったけど」
ビクトール「そっちは?」
ハーマイオニー「え、あー……かつてロンと呼ばれていた生物よ」
ロン「今じゃ潰されるあまり見る影もないけどねマーリンの髭」
ビクトール「そうじゃなく……この子は?友達なのか?」
ハリエット「いとこよ。ロンのいとこの、ハリエット・ダーズリー」
ビクトール「そうか……ハニー・ポッターヴぁ、来ては?」
ハーマイオニー「えぇ、残念だけど……」
ビクトール「そうかぁ」
ハリエット「……あー、彼女もきっと」
ビクトール「風の噂で……リヴァが見れたと聞いたから……確かめたかったのだが」
ハリエット「あなた何言ってるの」
ロン「本当のことだぜその噂」
ビクトール「マジかーうわーなんでぼくヴぁイギリスの代表選手じゃないんだろう」
ハリエット「だとしても駆けつけるなんて出来ないしょあなた何言ってるのよ豚でもないのに」
ビクトール「……君ヴぁ、もしかして」
ハリエット「ハリエット・ダーズリーよ」
ビクトール「……」
ハリエット「……」
ビクトール「ハームオゥンニニーとは、どういう……?」
ハリエット「ロンのいとこだから、えぇ、友達の友達といったところかしら」
ハーマイオニー「……」
ビクトール「ハームオゥンニニーが泣きそうになってるけど、これヴぁ?」
ハリエット「さぁ、えぇっと、ロンがさっき口走ったことに今頃感動とかが来たんじゃないかしら?」
ビクトール「……」
ハリエット「……」
ビクトール「ファイアボルトのようなスピード特化のあまり操作性が乗り手に依存してしまう箒ヴぁ今後廃れていくと僕ヴぁ思うけどどう思う?ハニー」
ハリエット「そんなの乗り手の逃げだわ。競技としての向上を目指すならそんなことはあってはならないし、あなたも同じでしょ?ビクト……」
ビクトール「……」
ハリエット「……」
ビクトール「自分で言うのもなんだけど、有名選手のヴぉくに物怖じせず話す時点で結構ヴぁれヴぁれだったよ」
ハリエット「うるさいわよ全力で」
ロン「そうだそうだ、見た目変態野郎のくせに」
ビクトール「あぁ、チームのみんなからヴぁ、むっつりストイック爽やかオガクズと、よく言われているよ」
ハリエット「甘んじて受け入れてるんじゃないわよ」
ワーーーワーーー!!
ピュイッ、ピューーーイッ!!
ハーマイオニー「あぁ……とっっっても綺麗だわ!ねぇ、ハニ、ハリエット!」
ハリエット「えぇ、そうね……この私も、すこーしだけ、すこーしだけ焦ってしまうくらい……綺麗だわ、フラー!」
ロン「わーぉ、フラーが横に立ったビルったらさ、あの傷がまるで消えっちまったみたいに見えるよねおったまげー」
魔法使い「汝、ウィリアム・アーサーは、フラー・イザベルを――」
ビル「――」
フラー「――」
モリー「ぐすっ、ぐすっ、おぉ、おぉぉっ」
マダム・デラクール「ぉーおぅ、すんっ、すんっ」
ハーマイオニー「おば様たち、すすり泣いてるわ。当然ね、とっても、とっても素晴らしいこと、だもの」
ロン「あぁ、そりゃあね。でもさ、あっちはもっと――」
ハグリッド「ウォーーーイオイオイオイオイ!よがったなぁ、よがったなあ!めでてぇなあ!」
ミュリエル「やっぱりわたしのティアラのおかげで引き立つぇ!そうだぇ!」
ロン「騒がしいよなまったく、マーリンの髭!」
ハリエット「いいじゃない、物静かで荘厳な式も憧れる、けれど……」
フレッド「ヒューーヒューッ!ビル兄ぃヒューヒュー!お似合いだぜ!」
ジョージ「次はチャー兄ぃの番ってプレッシャーかけてやるなよなー!」
チャーリー「火を噴く可愛い子ちゃんならいくらでも紹介してやるぞ? ビル兄ぃ!にやけてないでちゃーんと宣言しろよな!」
ジニー「フラー!ハニーの次にステキー!」
ハリエット「とっても、あったかいわ……あなた達のときも、こうかしらね?」
ハーマイオニー「なんの誰のことを言ってるのかしら本当もう誰かしらこの人」
ロン「ままままったくだよな本当、マーリンって誰だっけ」
魔法使い「よろしい。さればここに、二人を夫婦となす!」
サァァッ、キラキラキラキラ……
フレッド「――さぁて!!!堅苦しい儀式はおしまいだ、そうでしょう!?」
ジョージ「――お集まりの皆々様!声を揃えてご一緒に!さーん、はい!!」
おめでとーーーー!!!
ワーーーーーーワーーーーーー!!
パンパンパンッ!!シュルルルルルルル!!!
キャーーーーーキャーーーーーーーーー!!!
ビル「――ありがとう、みんな!」
フラー「んーふん!孤高で至高で……おっおー、ちがいまーすね」
フラー「わたーし、みんなに祝われてまーす!もう孤高じゃありませーん?」
フラー「どこまでも幸せ!な、フラー・ウィーズリーでーす!」
ワーーーー!!
ワーーーーー!!
ブヒィーーー!ブヒィーーヒーーーン!!
・
・
・
・
・
・
ちょいメシ
22時には再開、区切りまでやりきる
~~♪
ガヤガヤ ガヤガヤ
ハリエット「テントの壁が消え去って、そのままダンスもできるフロアになったわね。凄いわ、お母様」
ロン「お客様がいると張り切るっていうママの特製の最大値だよな、うん。あとハニーいるから」
ハリエット「そうね、えぇ。私がいると誰しも高揚のあまり普段以上の力を発揮してしまうわ」
ロン「どうりで僕ちょっと背がのびたはずさ!」
ハーマイオニー「声を抑えて、もう。あと伸びたと感じるのは、四つんばいではないからじゃないかしら……あぁ、二人にお祝いを言いにいきましょうよ!今は人ごみに取り囲まれてるけど……」
ロン「あとでいくらでも時間はあるだろ?それより、朝から屋敷しもべのごとく働かされてクタクタだ。何か食べようよ、テーブルに山ほど出てきたことだし」
ハーマイオニー「表現にひっかかるところはあるけど、そうね。あそこのテーブルに……」
ロン「……いや、こっちだ。こっち、ほらハリエット、あっちでルーナが一人で座ってるぜ?君としてはほら、放っておけないだろ?もちの僕で」
ハリエット「えぇ、そうね。おまけにクラムからハーマイオニーを遠ざけられるもの、お誂えむきというわけでしょう?」
ロン「なんのことやら。よぉ、ルーナ」
ルーナ「こんにちは。良い式だね」
ハリエット「えぇ、本当に。一人なの?」
ルーナ「うん。パパは二人にプレゼントを渡しにいったもン」
ロン「スノーカックの角の粉末一年分とか?」
ルーナ「よくわかったね?」
ハーマイオニー「冗談にのっからなくていいのよ、ルーナ……えぇ……大真面目なんでしょうけど」
ルーナ「あんたのお兄さんたちと、それにご両親がダンスしてるけど。参加しないの?」
ロン「僕ぁいいよ、腹減ったからね」
ルーナ「そう、あたしは行ってこようかな。この曲、素敵だもン。~~♪」
ハーマイオニー「……一人でフラフラと、フロアに躍り出てしまったわ」
ハリエット「自由ねぇ」
ロン「いつでも希少価値だよな、うん……げっ」
ビクトール「ここ、会いているかい?」
ロン「残念そこはミス・不可思議ちゃんの席だからおとといきやg痛い!!」
ハーマイオニー「もちのそこの人よ、ビクトール!あぁ、ちゃんと服を着たのね!」
ビクトール「渋々ね」
ハーマイオニー「……それは良かったわ」
ハリエット「そこは我慢しなくていいところだと思うわよ、ハーマイオニー」
ビクトール「ところで、あれは誰だ?あの、黄色い男……そう、さっきまでここにいた女の子と今はおかしな踊りをしてる、あの男ヴぁ」
ロン「あれは僕らの友達の父さんだ、笑うならただじゃおかないぞビッキー」
ハーマイオニー「あなたさっきルーナを不可思議ちゃんって……」
ロン「知らないね。それで、えーっと……」
ハリエット「ロン」
ロン「なんだいハリエット!」
ハリエット「我慢しなくていいと、思うわよ?」
ロン「……来いよ、ハーマイオニー。踊ろう、せっかくだから」
ハーマイオニー「ふぇ!?え!?だ、だってあなた、さっきは……」
ロン「いやならいいけどさ」
ハーマイオニー「全然!あの、よ、よろしく、えっと、ビクトール!ま、またあとで!」
ビクトール「……あぁ」
ハリエット「……」
ビクトール「……ああ、あの二人は、そうか……今、付き合って居るのか?」
ハリエット「……いいえ」
ビクトール「……えっ?」
ハリエット「……いいえ」
ビクトール「……うん?」
ハリエット「……違うのよ、あれで」
ビクトール「……」
ハリエット「……」
ビクトール「ヴぁかじゃなかろうか」
ビクトール「君ヴぁ、はに、おっと、ハリエット。あのラヴグッドという男を、よく知っているのか?」
ハリエット「娘のルーナは友達よ。でも、えぇ。お父様の方とは、さっき会ったばかり。どうしてかしら?回りくどいのは嫌いよ」
ビクトール「そうか。それで、君とハームオウンニニーの熱い絡みヴぁいつになったら見られるのk」
ハリエット「最終的にその質問にもっていくつもりなら即刻母国に送り返すわよ黙りなさい話題戻しなさい」
ビクトール「……あの男が君たちの客でないのならヴぁ、ヴぉくはあいつにこの場で決闘を申し込まなけれヴぁならない。あの汚らわしいしるしを、胸に下げているのだから」
ハリエット「えっ……?印、っていうのは……彼がかけている、三角形の目玉のような、あのペンダントのこと?」
ビクトール「そうだ。あれヴぁ、グリンデルヴァルドの印だ」
ハリエット「グリン……グリンデルバルド?ダンブルドアが昔、打ち倒したっていう……?」
ビクトール「そうだ。あいつは最悪の魔法使いだ。ヴぉくの祖父も、あいつに殺されてる」
ハリエット「……そうだったの」
ビクトール「イギリスで、あまりあいつの悪名は知られてヴぁいないかもしれない。この国では一度も力を振るわなかったそうだから。ダンブルドアを恐れて、と聞いたけど、そうなんだろう。滅び方がそう証明してる」
ハリエット「そうでしょうね、えぇ。それで、あれが……グリンデルバルドの印だと、どうして……?」
ビクトール「あいつが、かつてヴぉくの学校の生徒だったからだ。あいつヴぁダームストラング校の自分の寮の寝室の壁に、あの印を刻んだ」
ハリエット「自分の印……どこかの発想プレティーンな豚以下とおんなじね」
ビクトール「ヴぁかな奴らが、自分を偉くみせたり人を脅かすために、その印を真似して自分達の持ち物や身体に書いたりしたんだ。あいつのせいで家族を失った、ヴぉくらの前で」
ハリエット「……」
ビクトール「そういう奴らにヴぉくはいつでも決闘を挑んだ。そして、全て負かしてきた」
ハリエット「……見直して――」
ビクトール「最終的に全裸にして簀巻きにして女性用トイレの中に投げ込むまで、徹底的に」
ハリエット「――教えてあげるわ。どんな大義名分があってもね、やり過ぎは相手と同じようなものよ言ってくけれど」
ハリエット「あー……ルーナのお家が、闇の魔術に傾倒しているとは、思えないけれど」
ビクトール「そうか?あの動きヴぁなにをしてるんだ?あのおかしな、手をヒラヒラとさせているあれヴぁ」
ハリエット「ラックスパートでも追い払って居るんじゃないかしら」
ビクトール「……とにかく、こんな場だからいきなりヴぁ決闘したりしない。だが、問い詰めないと。場合によってヴぁ、僕はこの――グレゴロヴィッチ作の最後の杖を、あいつに最大限ぶつけてやる」
ハリエット「待ちなさい、この――今、なんですって?」
ビクトール「うん?君とハームオウンニニーが今年ヴぁどんな台詞でにゃんにゃんしてるのか妄想してたのがどうして漏れてしまtt」
ハリエット「黙りなさい。今、杖、って!今、あなた!グレゴロビッチって言った!?」
ビクトール「そうだ……ヴぉくの国では最高の杖作りとして知られてる。こちらではオリヴァンダーが尊敬されてると聞いて居るけど」
ハリエット「えぇ、そうね、そうだわ……繋がったわ、オリバンダーと……グレゴロビッチ……じゃあ、あいつは」
ビクトール「ヴィッチはあまり好みでは、ないなぁ」
ハリエット「聞いてないわよ……あいつはやっぱり、杖の秘密を知りたがっているのね……」
ビクトール「……彼女は、とても綺麗だな。少し、ヴィッチ臭がするけど」
ハリエット「誰のこと……ジニーになんてこと言うのよあなた、不真面目だなんて」
ビクトール「……?」
ハリエット「それに、ジニーには今良い相手がいるわ。ほら……一緒に踊りだしたでしょう?彼よ、ネビル・ロングボトム……」
ブォーーーーーーッ!!
ビクトール「……何故、ほら貝を」
ハリエット「えぇっと……彼なりの勝利宣言とか、そういうものよ」
ビクトール「……ヴぉくは、国際的な超有名クィディッチ選手だ」
ハリエット「そうでしょうね?」
ビクトール「だが……可愛いおにゃのこがみんな他の人のものだっていうなら、こんな肩書きに何の意味があるんだろう」
ハリエット「……えぇっと」
ビクトール「もう嫌だ、引退しよう」
ハリエット「潔いんだかなんなんだか分からないから考えなおしなさい、ほら、後ろみなさいほら、あなたみたいなのにもダンスに誘われたくてソワソワ後ろを歩いてる女の子の集団がいるのよ、ほら」
ビクトール「それで、そのうち何人がその子たち同士でおっぱじめるんだろう。ヴぉく知ってる」
ハリエット「知りたくもないわよあなたの脳内は」
ガヤガヤガヤ
ザワザワザワ
パーーンッ!パーーーンッ!!
ハグリッド「いっちばんつえーのはリッジバックだ!!」
チャーリー「ホーンテールだって言ってるだろ!かっこかわいいのもな!!」
ハグリッド「それは分かる!かっけーしかわいいな、うん!」
チャーリー「ドラゴン最高!乾杯!」
ハグリッド「乾杯!」
・
・
・
ガヤガヤガヤガや
フレッド「さぁお嬢さん?外も暗くなってきた……もう少し楽しい場所にいかないかい?」
ジョージ「そちらのお嬢さんも……平気さ、僕達がいるからね。夜はまだまだこれからさ」
・
・
・
ザワザワザワザワ
ハーマイオニー「ちょっ、ハニ、薬で姿を変えたその顔ではやめ、あぁ、そんな、あの薬の仕掛けのところであなたを騙そうとしたのは、確かに、でも、あぁ……」
ロン「つづけて!!!」
ネビル・ジニー「「どうぞ!」」
ビクトール「やったぜ!」
・
・
・
髭!髭!!
ミュリエル「ロナーーールド!ミュリエルおばさんと踊ろうぇ!そんな知らないいとこやマグルっこなんぞほっぽって!ほーれ!!」
・
・
・
ガヤガヤガヤガヤ……
ハリエット「……夜になっても、盛り上がりに歯止めはきかなさそうね……少し、疲れたわ」
ハリエット「ロンは、憮然としてるジニーと踊って……ハーマイオニーは、謝りっぱなしなネビルと踊ったまま」
ハリエット「ふぅ……少し、休憩を……どこか……」
ハリエット「……あそこに座ってるのは……」
ハリエット「……ドージさん?エルファイアス・ドージ? ここ、あいているかしら?」
ドージ「えぇ、お嬢さん。どうぞどうぞ。ゼェ、ゼェ」
ハリエット「……そうね、思い出したわ。あなたには、会ったことがあるの」
ドージ「はて?私には……」
ハリエット「お久しぶりね、可愛い豚さん?四年の夏休みに私を迎えに来てくれて以来、かしら」
ドージ「! あなたは!ひ、ヒンh」
ハリエット「今は一応違うことになっているの、そのままでいて頂戴。えぇ、あとで存分に鳴かせてあげるわ」
あとちょい進めたかったんやけど次説明パートや
マーリンの髭
つづきは土曜に
じゃあの!
ハリエット「あなたが新聞に書いた追悼文、読んだわ……できる豚さんは好きよ?」
ドージ「ヒンh、オホン!やれうれしや、光栄じゃ!あぁアルバス、この子からこう言ってもらえるだけでも、君の死を乗り越えた甲斐があるというものだよ……」
ハリエット「……仲良しだったのね?」
ドージ「いかにも、誰よりもよく知っておった……釣り合わないと、周りからは何度も言われましたがな」
ハリエット「えぇ、勝手なものよね」
ドージ「そうですとも……勝手なものじゃ、どいつもこいつも。あのリータ・スキーターがあんなものを書いたばかりに!」
ハリエット「……ひどいものだったわね」
ドージ「まっこと!いいですか、ぽtt、オホン!お嬢さん!あの女の言うことなんぞ、何一つ聞く必要はありません!」
ハリエット「えぇ、馬鹿げてる、とは思ったわ……けれどね、少し気になって。闇の魔術に、とか――」
ドージ「スキーターのでまかせです!お嬢さん!おの女の――」
ミュリエル「おやおや、スキーターの話かぇ?わたしも混ぜてほしいねぇ?ゲーップ!」
ドージ「……」
ハリエット「……随分と出来上がっておいでね、ミュリエルおばさん」
ミュリエル「おやおや、まぁた会ったねぇ?そんで、ドージ、久しぶりだってのになんだぇその顔は?ガマガエルみたいにポカーンとして、相変わらずドジのドージのまんまだぇ!」
ハリエット「私の豚にガマガエルだなんていい草よして」
ミュリエル「……豚もどうなんだぇ?」
ミュリエル「ドージ、ドージ、あんたがアルバスの崇拝者だってことはよーく知ってる、けんどねぇ?」
ドージ「崇拝者なんて言い方はやめてくれ。わしと彼は、親友じゃった……」
ミュリエル「あぁ、あぁ!たーしかに!後ろをチョコチョコ付いて回るのは親友そのものだろうぇ!アルバスの方は、フラメルやら誰やらの有名人へ手紙を書くのに忙しかったようだがねぇ!」
ドージ「それは彼の素晴らしい点であって、友をないがしろにしていたという材料にはならない!」
ミュリエル「どうだかねぇ?ほーれ、あんなに尊敬され、ご立派なご身分になる前は!アルバスにもいーろいろと面白い噂があったもんだぇ!気になろうねぇ?あんたも?ハリーとか言ったかぇ?」
ハリエット「ハリエット、よ……確かに、気にならないと言えば嘘だけれど」
ドージ「間違った情報に基づくただの中傷にすぎん!そんなものは……」
ミュリエル「おーやおや、間違った?そうかぇ? 妹のアリアナがおっちんだのも、アルバスが始末したってぇ話が出たのも、周知の事実だったと思うけどねぇ?」
ハリエット「……」
ドージ「ミュリエル!!この!!!この年寄りが!!!!」
ミュリエル「同年代だぇ!!!」
ミュリエル「聞き覚えがあるはずだえ?あのスクイブの妹を邪魔に思ったアルバスが始末して!それで、弟のあのヤギ狂いと対立したって噂をねぇ!」
ドージ「根も葉も茎も花もない虚偽じゃ!!」
ハリエット「……妹さんは、スクイブ、だったの……?」
ミュリエル「そうだぇ?もっとも、わたしらの半数近くが!その存在をおっちんでから知ったけどねぇ!えぇ?そうだぇ?ドージ?」
ドージ「……私は聞かされていた。そう、確かに、妹がいると……」
ミュリエル「あぁ、でも!まさかまさか、地下室に閉じ込められていたなんてねぇ!気高いアルバスは一体、自分の家の惨状を見て何を思っていたのかぇ!」
ハリエット「どういうこと……地下室?閉じ込めた、って……」
ドージ「お嬢さん、聞いては……」
ミュリエル「あの頃はねぇ、ハリー」
ハリエット「ハリエットよ」
ミュリエル「スクイブはよく隠されていたもんさね。家の恥だと思ってねぇ?けんど、流石に地下に閉じ込めて存在しないように扱うなんて極端なことはどこも……マグルの学校に通わすことさえしなかったんだぇ」
ドージ「アリアナは繊細だったのだ!だから!!」
ミュリエル「家から離れられんほどかぇ?え?病院にさえつれていかず?おかしな話だぇ?」
ドージ「……」
ミュリエル「アルバスも、母親のケンドラもそういうことをしていたんだぇ。今にして思えば、ケンドラの死も怪しいぇ。ひょっとして、抑えつけられていたアリアナが……」
ドージ「君のような者がさも真実のようにそうやって空想妄想を繰り広げていくから、世の中は悪意に満ちるのじゃ!もうやめろ!アルバスは、アルバスは母の死もアリアナの死も!胸が張り裂けるほど悲しんで……!」
ミュリエル「張り裂けたのは胸だけじゃなかろうぇ?アリアナの葬儀の後、アバーフォースがアルバスの顔をぶん殴ったそうじゃないか?え?」
ドージ「!……何故、それを」
ミュリエル「母が、バグショット婆さんとは仲が良くてねぇ」
ハリエット「……(この人よりおばあさんがいるのね魔法界)
ミュリエル「あんたもその場に居合わせたそうだねぇ?ドージ?え?そうだろう?これは虚偽じゃなかろうぇ?」
ドージ「……」
ハリエット「……ダンブルドアの、弟さんが」
ミュリエル「あぁ、あのヤギ男だぇ。あれが、アリアナが死んだのはアルバスのせいだ、と罵りながら殴りかかったそうだぇ。アルバスは防ごうともしなかった。そうだぇ?ドージ」
ドージ「……」
ミュリエル「おかしな話じゃないかぇ?あのヤギ野郎なんぞに、アルバスが?反論もせず?」
ハリエット「……」
ミュリエル「例え両手を縛って目隠しをされていたとしても、当時のアルバスなら決闘で相手をケチョンケチョンにした上全裸で土下座させるのもわけないはずだぇ?」
ドージ「……否定はせんが」
ハリエット「……否定して頂戴」
ドージ「違う……そんな悲しいことは起きておらん……アリアナは、アリアナは病気だったのじゃ!だから……」
ミュリエル「さーて、どうかねぇ!真実はこの夏発売の『リータ・スキーター著!「アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘」!今明かされる!天才魔法使いの欠陥と衝撃の物語!』 を書店でゲットして確認だぇ!」
ハリエット「分かったわ、えぇ。ミュリエルおばさん、あなたスキーターに軽く取材とかお礼とか貰ったんでしょ」
ミュリエル「はーて、耳が遠くてねぇ。わたしゃ今年で百七歳だぇ?もっと大きな声でたのむぇー」
ミュリエル「わたしが取材を受けたかどうかはどうでもいいとして、バチルダが受けたというのは確実だぇ。アルバスやそこのドジとは長い付き合いだったし、話す事も、写真も手紙もたくさん残ってろうぇ」
ドージ「……私のところにも来たが、追い返してやった!バチルダがそんな真似をするだろうとは……」
ミュリエル「さぁ、どうかね。ここのところ随分と衰えているって話だぇ?アルバスを貶める気はなくとも、昔話のつもりでつい喋ってしまうのかもしれんぇ?」
ドージ「……」
ハリエット「……」
ミュリエル「聞き出すのが巧みだからねえ、スキーターは。そういう噂だぇ、うん。きっと、ゴドリックの谷まで取材にいった成果があの本には生かされてると思うぇ。あの『リータ・スキーター著!「アルバス――」
ハリエット「……ゴドリックの谷!?!?」
ミュリエル「ひぇ!?な、なんだぇハリエッタ?急に立ち上がって!」
ハリエット「ハリエットよ!バチルダ・バグショットはゴドリックの谷に住んでいるの!?」
ミュリエル「そうだぇ?」
ハリエット「そう、なの……これで、あそこに行く理由がもう一つ、出来たわ。寄り道、だけれど……バグショットに、ダンブルドアのことを」
ミュリエル「あぁ、そう。アルバス。アルバスの父親、パーシバルが投獄されてから。ダンブルドア一家はゴドリックの谷の、バチルダの家の隣に越してきたそうだぇ」
ハリエット「…………え?」
ミュリエル「バチルダは期待したそうだし実際アプローチしまくったそうだけど、何故だかそういう展開にはなれなかったそうだぇ。ドージ、どうしてだい?」
ドージ「あー、うーーーん、あー、ノーコメントじゃ」
ハリエット「……ダンブルドアは……ゴドリックの谷に、住んでいたの……?」
ミュリエル「そう言ったぇ?もっとも、あそこは大勢の魔法使いが住んでいたがねぇ?」
ハリエット「……わたし、聞いてないわ」
ミュリエル「フェッフェッフェ!どうしてお前に話すことがあるね?それともなんだい?あんたはアルバスの友達だったとでも言うのかぇ?」
ハリエット「えぇ、それに……飼い主よ」
ミュリエル「!?」
ハリエット「……ごめんなさい、席を外すわ。ドージさん、お話をありがとう」
ドージ「……いえいえ。あと、エルファイアスで」
ハリエット「エルファイアス。素顔で、またね」
エルファイアス「ヒンヒン!」
ミュリエル「い、いきなりなんだい変な声を!それにハリエット!わたしに挨拶がないのはなんだぇ!?」
ハリエット「……お元気そうでなによりだわ」
ミュリエル「当然だぇ。わたしゃね、ロナルドのひひひ孫まで見守るって決めてるのさね」
ロン「……今なんか凄い寒気した。マーリンの髭!」
ハーマイオニー「ジニーからの殺意の篭った視線じゃないの?……あら……なんだか、あっち……ハニー、どうしたのかしら」
ガヤガヤガヤ
トボトボ、トボ
ハリエット「……(ダンブルドアは、ゴドリックの谷に住んでた)」
ハリエット「……(わたしが、少しの間だけれど過ごしたところ)」
ハリエット「……(パパとママが、最期を過ごした場所)」
ハリエット「……(二人が、眠って居るところ)」
ハリエット「……」
ストンッ
ハリエット「……(どうして何も、話してくれなかったの?)」ロン「……」
ハリエット「……(もしもお母さんと妹さんのお墓があるのなら……パパとママのお墓を見たことだってあるはず)」
ハリエット「……(どうして少しくらい、そのことを共有して、くれなかったの……?)」ロン「……」
ハリエット「……裏切られた、気分だわ」ロン「まったくだね」
ハーマイオニー「……何も言わず自然な流れで見もしなかったのに、トボトボ歩くあなたを先回りして四つんばいになったロンの背中に腰掛けるあたり、えぇ、あなたは期待を裏切らないわよねハリエット……」
ハリエット「あら……身体が自然に」
ロン「僕も物凄くしっくりくるよ、もちのロンで」
ハーマイオニー「あー、えっと……ハリエット?また踊らない?あなた、しばらく休んでいたでしょう?」
ハリエット「……」
ハーマイオニー「あ、でも、今は少し避けたほうがいいかしら……ビクトールと、ルーナのお父さんがなんだか言い合いを……えーっと」
ロン「君、話逸らすというか、演技が下手だよなまったく……知ってるかい?僕らのハニーって回りくどいのが嫌いなんだよ」
ハーマイオニー「当たり前でしょう……はぁ。ねぇ、ハリエット。一体、何があったの?さっきまであんなに楽しんでいたのに……」
ハリエット「えぇ、あなたとかでね……」
ロン「おっぱじめて、どうぞ?」
ハーマイオニー「だからその姿でするのはやめてってば……ちが……戻ったら待ってるわとかそういうのじゃなく、ちょっと……!」
ハグリッド「ヒック、おーいみんな!聞いちょくれ!ヒック!マクゴナガル先生からよぉ、ヒック!式に出席できねぇ代わりに、って!土産を持たされちょるんだ!思い出した!」
ロン「おいハグリッド!!いいとこだったんだぞ!!マーリンの髭!」
ハグリッド「ヒンヒン!すまねぇ! あー、っと!こいつだ!こいつに、お祝いの歌を歌わせろってよお!ビルとフラーにプレゼントだ!」
「出張分のギャラは歓声で頼むよ」
ガヤガヤガヤガヤ
ザワザワザワザワ
ハリエット「……組分け、帽子?」
組分け「やぁ、お嬢さん。さてさて皆さん、お聞きください。『組分けのララバイ』」
ハーマイオニー「お祝いどこいったのかしら」
組分け「――『わたしは綺麗じゃないけれど 人は見かけによらぬもの』~♪」
ロン「本当に歌い始めたよ……あれ?これって……」
組分け「――『かぶれば君に教えよう 君が行くべき寮の名を』~~♪」
ハーマイオニー「しかもやっぱり組分けの歌だわ……あ」
組分け「『グリフィンドールに行くならば 勇気ある者が住まう寮』」
ネビル「……これ、僕達が一年生の時の、歌だ」
ジニー「そうなの?」
組分け「『勇猛果敢な騎士道で 他とは違うグリフィンドール』」
ハリエット「……ハグリッド、ハァイ。さっきぶり」
ハグリッド「おぉ、ハニ、うぉっほん!ハリエット!楽しんじょるか!」
ハリエット「えぇ、今は割りと……これが、マクゴナガル先生の……?」
ハグリッド「あぁ、今は校長やっとる先生様のな!でもよお、マクゴナガル先生から、っちゅーか。ダンブルドアからっちゅーか」
ハリエット「……どういう?」
ハグリッド「ダンブルドアの肖像画が是非に、っちゅーとったらしい。俺も会いてぇがよお、早々校長室に行くわけいいかねーよなぁ?だから、せめてこいつを届ける役目を買って出たっちゅーわけだ!」
ハリエット「そう……ダンブルドアの肖像画……ダンブルドアの残した意思が、ね……」
組分け「『ハッフルパフに行くならば 君は正しく忠実で』~♪」
組分け「『忍耐強く真実で 苦労を苦労と思わない』~♪」
ハリエット「……」
組分け「『古き賢きレイブンクロー 君に意欲があるならば』~♪」
ルーナ「うん!」
組分け「『機知と学びの友人を ここで必ず得るだろう』~♪」
ルーナ「うん! あれ?」
組分け「『スリザリンではもしかして 君は真の友を得る』~♪」
ロン「ここ、納得いかないよなぁ。マーリンの髭!」
組分け「『どんな手段を使っても 目的遂げる狡猾さ』~♪」
ハーマイオニー「あまり良くない友人、ってことかしら」
ハリエット「どうかしらね……それに……どういうつもりなのかしら、あの人は」
ハリエット「……私に、秘密だらけで……けれど、こういうのだけは残して」
ハリエット「あの頃の歌……何も知らなかった、あの頃」
ハリエット「……初心を忘れずに?そういう忠告の、つもりかしら」
ハリエット「当たり前じゃない。私を誰だと思ってるのよ、もう」
ハーマイオニー「今はハリエットよね、えぇ」
ロン「ヒンヒン!どんな姿だって僕らのハゲフンには変わらないぜ!ヒンヒン!」
組分け「『かぶってごらん!恐れずに! 興奮せずに、お任せを!』~♪」
組分け「『だって私は 考える帽s――』おや、なんだい、あの銀色のオオヤマネコは?私の歌が奇跡でも起こしちゃったかな?ははっ、ゴドリックでもあるまいし」
サァァァァァッ
ザワザワザワザワザワ
ハリエット「……守護霊?オオヤマネコは確か……キングズリー……」
守護霊『――』
守護霊『――魔法省は陥落した。スクリムジョールは死んだ。連中がそっちに向かっている――』
シーーーーーーーーーン
ハリエット「……え?」
>組分け「『機知と学びの友人を ここで必ず得るだろう』~♪」
>ルーナ「うん! あれ?」
おい……
ハーマイオニー「っ、ハニー!!ロン!ハニーをおぶって!!」
ロン「あぁ!」
ハリエット「っ!」
キャーーーーッ!!!
キャーーーーーーーァァァッ!!!
バチンッ!バチンッ!バチンッ!!
ハリエット「っ、周りの人たちが、どんどん、『姿くらまし』を……ここの保護の呪文で、使えないはずなのに……!?」
ハーマイオニー「既に破られてるいたんだわ!それに、それに……あぁ!」
バチンッ!! バーーーーーン!!!
キャアアアアアアア!!!!
バーーーーン!!
ロン「『くらまし』だけじゃない!『現し』てる奴らもお出ましだまったく!招待なんてしてないぞ!」
バーーーーン!!!
バチバチバチバチッ!!!
リーマス「『プロテゴ!!』 ハニー!逃げろ!!!!」
トンクス「『ステューピファイ!』『プロテゴ!!』ロン、ハーマイオニー!ハニーをつれて、早く!!」
ハリエット「っ、リーマス、トンクス!!あなたたちも……!」
リーマス「私たちは騎士団として、ここにいる全員を無事に逃がす義務があるんだ!ジニーはネビルと一緒にモリーが連れて『くらまし』したよ。さぁ!」
トンクス「結婚式っていう愛溢れる場所を台無しにするなんて、ダンブルドアが聞いたらただじゃおかないからね!ほら!」
ハリエット「でも……」
リーマス「いいから!その姿が保たれてる間に!急ぐんだ!!!!」
トンクス「また会おう!絶対に!!今度は一人増えてるかも、だけどね!!」
ハリエット「それは、どう、あぁ、無事で!!無事でいて!!!みんな――」
グンッ
グルングルングルングルングルンッ
・
・
・
・
・
・
ドサッ
パァーーーパパパッ!!
ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ
ザワザワザワザワ
ロン「あいてて、てて。二人分の着地はほんと、幸せすぎてマーリンの髭が生えそうだよなほんと……怪我ないかいハニー!ヒンヒン!あぁハニーだ!僕のハニーが戻ってきた!!ヒンヒン!!!」
ハニー「えぇ、ロン。出来る豚ね……移動してる間に、姿が……本当に、ギリギリだったわ」
ハーマイオニー「あの場で戻らなくてよかったわ……ここは、トテナム・コート通りよ。マグルのストリート」
ロン「だろうね。道理で魔法使いの普段着のローブとか、僕みたいにドレス・ローブを着て下敷きになってる間抜けとかいないわけさ。マーリンの髭」
ハーマイオニー「急だったんだもの、仕方がないでしょう……私とハニーのドレスも悪目立ちだわ」
ロン「ハニーが目立つのは服装に限ったことじゃないだろいい加減にしろ!」
ハニー「『透明マント』でもないと無理ね、えぇ……あぁ、どうして持ち歩かなかったのかしら……去年はずっと持っていたのに」
ハーマイオニー「その心配はどちらも無用よ。着替えも用意してあるし……『透明マント』も持ってきたわ。さぁ、歩いて。着替えられる場所を探さなきゃ」
ロン「用意してある?もってきた?何言ってんのさ、君、そんなちっさなハンドバッグしか持ってないのに……アイタ!!」
ガツン!
ロン「なんだよ!ハンドバッグで叩くなよまったく!僕はマゾじゃないぞ!大体なんて重ささ、それ……それ……その中に?」
ハニー「……バッグに、『検知不可能拡大呪文』がかかってるの?ワールドカップの時の、テントのように」
ハーマイオニー「そんなものよ。ちょっと難しいんだけど、まあ、うまくやれたと思うわ」
ロン「『ちょっと』って君さ、それ、多分NEWT試験で出されるレベルだと僕ぁ思うね」
ハーマイオニー「だから? 私を誰だとお思いかしら、ロン。ハニーの最初の、女友達で……きゃぁ!?」
ハニー「えぇ、そうね。ハーマイオニー?まったくあなたって、本当、予想とおり、ううん、それよりもっともっと素敵になったわね?確かめましょう、ほら……こっちの、着替えるのに丁度よさそうな暗がりの路地で」
ハーマイオニー「ちょっ、はに、今それどころ、あぁ、そんな、こんな通り、だって、あの時のダイアゴンでまたあなたと会えたことを思い出して、あぁ……」
ロン「おい何みてんだ!見世物じゃないぞ!!!あ、二人はつづけて?どうぞ、どうぞ」
ハニー「着替えがすんで、スッキリしたわ」
ロン「まったくだね」
ハーマイオニー「ふーっ、ふーっ、そう、でしょうとも、えぇ……!ハニー、あなたは『透明マント』を着るべきだわ。今探すから……あぁ!」
ドサドサッ!バタンッ!!
ロン「なんだい今の貨物室の荷物が倒れっちまったみたいな音……そのバッグの中からだろうけどさ」
ハーマイオニー「ご名答よ……あぁ、せっかく項目ごとに本を積んでおいたのに……『ツッコミに疲れた人のための』シリーズが、グチャグチャだわ」
ロン「何持ってきてんのさ、マーリンの髭!」
ハーマイオニー「必読でしょあなたたち二人と私一人なんだから……」
ハニー「……ねぇ、ハーマイオニー?いつの間にこんな準備を?」
ハーマイオニー「言ったでしょう?ずっと前に出発のための荷造りは済ませてあります、って。あー、透明マントを黙って入れていたのは、ごめんなさい。でも、なんだか今朝、いやな予感がして……式のおめでたい雰囲気の時にそんなこと言い出せなくって、勝手に」
ハニー「いいのよ……あなたってすばらしいわ、ハーマイオニー」
ロン「いやまったく、すごいよハーマイオニー。いい奥さんになれるな」
ハーマイオニー「えぇ……ぇっ!!?」
ハニー「……」
ロン「……って、あの、ま、ママが言ってた!うん!!」
ハーマイオニー「え、あ、えぇ、そ、えっ!?えっ、あの!?」
ハニー「……今、私、透明マント着てるから傍から見たら凄いいい雰囲気よ、二人とも」
ロン「マーリンの髭!!!!!」
カフェ
ハニー「みんなは無事かしら……」
ハーマイオニー「戻る、なんて言わせないわよ、ハニー……緊張感ないけど、私たち、命からがら逃げ出してきたんですからね」
ロン「すいませんこの人ちょっと何もない空間に親しげに話しかけるくせがあって。あー、カプチーノを」
ウェイター「……あの、普通に座っては……?」
ロン「いやぁ、良い椅子だからさ。身体全体で感じたいのさ、うん。もちの僕でね」
ハーマイオニー「すいませんこの人腰掛ける時はこれじゃないとて聞かなくて。私も、同じものを」
ウェイター「……はぁ……関わらんどこ……」
ハニー「……不便ね、透明マントをかぶったまま、なのは」
ハーマイオニー「あなたを追ってるんですもの、我慢して頂戴……ヴォルデモートが魔法省を乗っ取った以上、どこからあなたの情報を手に入れるか分からないわ」
ロン「ハニーが世界中が注目の的なのは昔からだけどさ……これからどうする?ここ、『漏れ鍋』までそう遠くないぜ?」
ハニー「ダメよ。あそこのトムを巻き込めないわ……あの旅籠の店主の、トムはね」
ロン「君の優しさったらないよねハニー!ヒンヒン!」
ハーマイオニー「ねぇ、今更だけどあんまりハニーハニーって言うのは控えましょう?……あぁ、良かったわ。今入ってきたのは、ただの清掃員みたい……」
清掃員1「……」
清掃員2「……」
ロン「……」
ハニー「……」
ハーマイオニー「……」
ロン「……デス・イーターって名称、厨二全開でだっさいよなー!」
清掃員1「ふざけろ血を裏切るウィーズリーのクズ!!!!!」
清掃員2「そうだぞそんなみんな思ってても口が裂けても言えないことをこいつよくm」
ハニー・ハーマイオニー「「『ステューピファイ!!!!!』」」
清掃員1・2「「うわぁああああああああああ!!!」」
ドサッ
ロン「……パパがマグルバカでよかったよ。掃除機は乗り物じゃない、って、知ってたからね僕は」
ハーマイオニー「まぁ、えぇ、それ以前に格好が……その、この格好は確かに清掃する時にマグルが身につけるものだけど……女性向けのそれよ」
ハニー「マグルをとことん見下してるこの人たちが、この町に紛れ込める変装なんて無理な話だわ」
清掃員1・2「「」」
ちょいメシ
21時には戻る
ウェイター「わぁあああああ!!!な、なにがなんだかわからなけどひと、ひとごろしだぁあああああああ!」
ロン「殺しちゃいないよ今んとこ!でも、あー、そうだな!今みたいな赤い光発する爆弾を山ほど持ってるぞ!ほら、逃げろ逃げろ!」
キャーーーキャーーーー!!
バタバタバタバタ!
ハニー「よくやったわ、ロン。鍵をかけて、シャッターを閉めてしまいましょう」
ロン「ヒンヒン!もちの僕さ!」
ガラガラガラッ、ガチャンッ
ロン「明かりもけしておこうか……『火消しライター』で、っと」
カチッ、フッ、フッ、フッ……
ハニー「これでいいわ……あとは」
ロン「うん、君とハーマイオニーが二人きりになってくれればぼくはどうぞればそれで」
ハーマイオニー「時と場合と流れを読んで…どういうことなのかしら。どうして、この人たちは私たちの居場所を……」
ロン「分からないことをうだうだ考えたって仕方ないよ。それより、こいつらだ……微妙に顔隠しやがって、マーリンの髭!」
バッ!
清掃員1・2「「」」
ロン「! こいつ、ドロホフだ!それに、ロウル!昔、お尋ね者のポスターで見たぜ……にくったらしい……どうしてやろう」
ハニー「……記憶を消しましょう。それで十分だわ。殺すなんて、こいつらと同じにまで身を落とすようなものよ」
ハーマイオニー「……えぇ」
ロン「君が飼い主さ、ハニー。君がそれでいいなら……って言っても、僕、忘却術はちょっと……あの似非イケメンでも呼んでくるかい?」
ハーマイオニー「それはそれは良い提案ね、もう。任せて、理論は知ってるわ……『オブリビエイト』」
ロン「いいぞ。ついでに自分は家畜以下の存在で語尾にフォイが付くって設定を植え込んでやろうぜ」
ハーマイオニー「これ以上その語尾使う人が増えるのは嫌すぎるわ」
ハニー「……もしかして、私にまだ『臭い』が残っているのかしら」
ロン「豚に限らず全人類が鼻腔をくすぐられる香しい匂いが?うん、プンプンしてるよ。だろ?ハーマイオニー」
ハーマイオニー「否定しないけどそれじゃないでしょう……魔法の『臭い』は絶対に十七歳で切れるはずだわ。けど……死喰い人が大人にもそれと同じものをつける方法を編み出した、なら……」
ロン「バカ言っちゃいけないよ。あれからハニーは一人だって、死喰い人と会っちゃいないぜ?」
ハーマイオニー「……そう、よね」
ハニー「だとしたら、やっぱり元の『臭い』が私にだけ残ってる、ということになるわ。それで……そのせいで私が魔法を使えないなら。二人も使えないなら、やっぱり――」
ハーマイオニー「別れないわよ、言っておくけど」
ロン「あぁ、それならここで杖なんてへし折ってこっから一切魔法抜きで君といるだけさ、もちのロンで」
ハニー「……ありがとう」
ハーマイオニー「聞くまでもないことだわ、もう。それで……マグルの町も安全と言えなくなった以上……どこか、隠れ場所を見つけないと。どこが……」
ハニー「……グリモールド・プレイスに、行きましょう」
ロン「よし、そうしよう!ヒンヒン!」
ハーマイオニー「二つ返事で聞かないの!は、ハニー!?正気!?あそこは、スネイプが入れてしまうのよ!?」
ハニー「『その可能性がある』というだけだわ。スネイプ避けの呪詛が仕掛けられて居るそうだし、それに……もし、スネイプと鉢合わせできたとしたら、むしろ好都合よ」
ロン「あぁ、ふんじばってやろうよ。それに、ハーマイオニー。ここでノコノコしてたら何十人って連中が訪れるかもしれないけど、あの屋敷にもしも入れるとしたらスネイプ一人っきりだぜ?さあ、どっちがマシだい?」
ハーマイオニー「……珍しく頭が回るわね、もう。分かったわ、掴まって。『姿くらまし』を……ハニー、あのね、もう少し、っあの、安定する場所に掴まっていただけないかしら、ねぇ、ちょ、後で!!後でよ!!もう!!」
ドサッ!
ロン「幸せな重み! あー、いずれハニーが幸せな家庭を築く屋敷<ブラック家>だ。ひさしぶりに見る痛い!ありがとう!!ヒンヒン!!」
ハニー「こんな陰気なところは嫌よ……そうじゃないわ!この豚!」
ロン「ヒンヒン!」
ハーマイオニー「さっきのどうやって発音してたのかしら……えぇっと……つけられてはいないわよね?周りに、死喰い人、とかは……」
ロン「いなさそうだよ、とりあえずね。さぁ、早く入っちまおう……ハニーはただいまでいいと思うよ?」
ハニー「えぇ、そうね。どの世界でも私の帰る場所だもの、そうでしょ?」
ロン「いや将来的なはなs痛い!!ありがとうございます!!」
ハニー「しつこい豚は嫌いよ……さぁ」
カチャカチャッ、ガチャッ
ギィィィッ……
シーーーーン
ハニー「……埃っぽいわね……あんなに掃除したのが、嘘みたい」
ロン「あ、玄関ホールの傘立てがまた倒れてら。騎士団、もとい豚団が引き上げるとき、またトンクスあたりが蹴飛ばしたのかな?」
ハーマイオニー「それか、誰かの家捜しとか、かしらね……入りましょう?」
バタンッ
『セブルス・スネイプか――?』
ハニー「っ!?今の、声!!」
『セブルス・スネイプか――?答えろ――』
ロン「マッド‐アイ!やったぜ!!やっぱり生きてたんだ!!!」
『セブルス・スネイプか――答え、おい、なんだその反応は――さっさと答えr』
ハーマイオニー「ここに身を隠していたのね!あなたらしい!でも、よかった!」
『人の話を――』
ハニー「信じてたわ!ムーディ――』
『油断大敵!!』
バシンッ!
ロン「痛い!!痛い!!!!傘立てが飛んできた!痛い!二人後ろ下がって痛い!マーリン!髭!!」
『――スネイプでないなら、いい』
スーッ
ハニー「……声が消えた、わね……あくまでムーディの残した魔法だったのかしら……紛らわしい。ロン、できる豚は好きよ?」フーッ
ロン「あいたたた……ヒンヒン!君たちを守れたならこんな痛み、こんな……」
ハーマイオニー「あ、ありがとう、ロン…………ぁ」
ユラーッ
ハニー「……暗がり、から……あれ、は」
ロン「……埃、なんかがあつまって……ありゃ……うわ」
「アイジャー……アイジャヨー……ダレジャー、ダレジャー……セェェブスルカァァァ?」
ハーマイオニー「だん、ダンブル、ドア……?」
「キミノセイジャー……キミノセイジャー……クルシイゾォオオ……セェェェブルス」
ハニー「っ、違うわ!!あの人、あの人がもし出てきても、第一声は、こんな苦しそうな声じゃない!シレッとしてるに、決まってる!」
ロン「そ、そうだよな!『わしじゃよ!』のオンパレードさ、うん!こ、こんなのマーリンの髭さ!」
ハニー「そう、よ!!消えなさい!!!!この、この豚以下!!!」
ボンッ!! モクモクモクモク……
ハーマイオニー「あぁ……破裂して、しまったわ……今のも、スネイプ対策?」
ロン「あぁ、違いないね……え、えーっと?ハニー?」
ハニー「なぁに、この豚……まったく、ムーディも、えぇ……お粗末な仕掛けを用意したわね。このくらいで足止めになると思ったのかしら、まったく?」
ロン「そうだね。それでさ、僕、あー」
肖像画『血を裏切るクズ!!穢れた血!!!何しにまたわが屋敷に!!!キーーーーーィィィィッ!!』
ロン「こんなやかましくなった玄関ホールに一時も君をいさせるのは一番豚の名折れだからさ。ほら、いつものようにおぶさってすぐに屋敷の中にいくよ、もちの僕でね!さぁ背中に、っておっと!立ち上がらせるのもほら僕の役目さうん!もちの僕で!」
ハニー「……気の利く豚は好きよ」
ハーマイオニー「……足止めにはならなくても、腰を抜かすには十分だった、ってことかしら」
ハニー「ハーマイオニー、言っておくけれど次はあなたの腰が砕ける番だから覚えておきなさい」
ハーマイオニー「『ホメナム レベリオ』……平気ね。隠れている人はいないわ」
ロン「君って呪文の百科事典だよなまるで……外に誰も見えないあたり、やっぱりハニーに『臭い』が残ってたって線は薄いみたいだぜ」
ハニー「だと、いいけれど……っ、ぁ」
ハーマイオニー「あー、ハニー?えぇっと……ダンブルドア、のようなものを見たのが……そんなに辛かったなら、えぇ、気持ちは分かるわ……それなら、えーっと、空いてる寝室とか」
ハニー「違うの……その提案には、乗っかるけれど……また、傷が」
ロン「あんにゃろ、まーた感情でも爆発させてるってのかい?忙しいな。ハニーを目の前にした僕ら豚の心くらい」
ハニー「えぇ、そうでしょうね……私たちを目の前で取り逃がしたんだもの」
ハーマイオニー「……ちょっと待って頂戴。それじゃ、まるで、またあの人とあなたの結びつきが現れたようじゃない?」
ハニー「……否定しないわ。そう、また……ヴォルデモートが自制できなくなったときに、あいつの、感情が」
ハーマイオニー「だったら、ハニー!あなたは心を閉じなきゃいけないわ、って!前も言ったでしょう!?そうして罠を仕掛けられたら!利用されたら、どうするつもりで……!」
ロン「おいおい、まるでハニーの方から奴さんにつながりに行ってるみたいな言い方はよせよ!ハニーは一方的に押し付けられてんだぜ?」
ハニー「えぇ、けれど……ハーマイオニーの言う、通りだわ……こんなのごめんだもの……あいつの怒り、なんて」
ロン「……」
ハーマイオニー「……」
ハニー「ふーっ……ロン……ちょっと、えぇ。やわらげたいから……物凄く綺麗な角度でお辞儀してる様、見せてくれる、かしら」
ロン「お安いごようさっ!!!!」ビシッ!!!!
ハーマイオニー「無駄に頼りになるわねこういう時は……どういうことなの、お辞儀って」
ハニー「私も聞きたいわ、聞きたくないけれど」
ハニー「……ロウルが、ひどい目に合わされてる……あぁ、あの格好を提案したのはロウルだったのね……」
ロン「お間抜けな奴だよな。顛末は笑えないけど……マーリンの髭!」
ハーマイオニー「ねぇ、だからハニー……見ようとしないで、他の事を考えないと。そうよ」
ハニー「えぇ……っ、ブラック家の、家系図……っ、『ナギニの餌にしてしまおうか』、ですって……あのボクっ娘が……尾を振ってるわ」
ロン「蛇にもそういうのあるんだなぁ」
ハーマイオニー「ハニー、報告しないで!心を閉じて!ほら、ここ!シリウスが書いてあった場所よ!」
ハニー「シリウス……!えぇ……っ、シリウスと遠縁の……マルフォイが……『俺様の怒りをむけられたくなかったら お前もやるのだ』って……マルフォイがどこか嫌がってるのを、気づいてる……でも、マルフォイの心が上手く読めなくなって、疑ってるわ……どういう」
ロン「あのクソッタレ毛長鼬め、弾ませてやろうか……おっ!こっちの銀色のイタチは……パパの守護霊だ!!」
ハーマイオニー「! ハニー、ハニー!帰ってきて!!おじさまから伝言だわ!みんなのことが!ハニー!」
ハニー「……っ!えぇ、途切れたわ。それで……お父様!!」
守護霊『――家族は無事――連絡はよこすな――我々は見張られている――』
ハニー「……」
ロン「……」
ハーマイオニー「……」
守護霊『――君たちの旅に――幸運を』
フッ
ハニー「……幸先の良い旅、とは……呼べないけれどね」
ロン「何言ってるのさハニー。君がいりゃどんな内容だって世界一周するより素晴らしいに決まってるよ、もちのロンでね」
ハーマイオニー「あぁ、良かった……無事、ですって!みんな、ロン!あなたの家族みんな!あぁ!」
ロン「えっ、ちょっ、うわ!あ、あー!そうだね、うん!安心した!だからさ!何も抱きしめなくっても!あの!」
ハニー「……本当に、良かったわ。ハーマイオニー……私もこっち、借りていいかしら?」
ハーマイオニー「ぐすっ、えぇ、ハニー……ロン、良かった、本当……」
ロン「あー、あー!?ハニー!?えぇっと、君まで!?あの!?後ろから!?うん!そりゃね!みんなのこと不安だったけどさ!僕そこまで!あのさぁ!?結構ここまで気楽にさぁ!?」
ハーマイオニー「あなたまで、強がりはいい、のよ。ぐすっ、ねぇ、私、三人分の寝袋を持ってきてるの」
ハニー「えぇ……みんな、一緒に寝ましょう?」
ロン「えーっと……その……なんだろう……生まれてきてよかったなぁ……けど……僕、朝までほら……あー……色んな意味でトイレに行かずにいられる、自信が……キャノンズが一失点キャノンズが二失点キャノンズが……マーリン!!マーリンの!!髭!!髭!!!!!」
翌朝
ハーマイオニー「スーッ、スーッ」
ロン「キャノンズが一万飛んで三十一失点キャノンズが……うーん」
ハニー「……ここ……あぁ、そうね、そうだったわ……シリウスのお家に、三人で並んで寝てるんだったわ」
ハニー「私は、ロンの背中にひっついて……それに」
ハニー「びっくりしたけれど、ハーマイオニーはロンの正面で……あら」
ハーマイオニー「スーッ、スーッ……ん……大きい……のね……あなたの」
ロン「キャノンズが一万飛んで……うっ」
ハニー「……ハーマイオニーが……ロンの」
ハーマイオニー「あなたの、手……スーッ、スーッ」
ロン「キャノンズが一万飛んで……とんで……こんなにスベスベだから箒がコントロールできないんじゃ……髭……」
ハニー「ロンの手を握りながら、寝てるわ。ふふっ……いつもそのくらい、していいのに」
ハニー「……ちょっと、疎外感がある、けれど……私も……わたし」
ハニー「……そうだわ」
ハニー「えぇ、そうね。変に、目が覚めてしまったもの……ちょっとした、好奇心、だけれど」
ハニー「ここは、シリウスのお家……と、いうことは……そうよね」
ハニー「……シリウスの、部屋が……」
ハニー「……」
ソーッ……
ハニー「……」
ハニー「……来ちゃった」
『シリウス』
ハニー「……一度も、入ったことがなかったのよね……あの夏、ここで過ごした時も」
ハニー「もったいない事したわ……朝、起こしてあげたり……いいえ、それは、いずれ……っ、あぁ、そうだったわ……ロンはまだ寝てるのよね、えぇ。幸せそうに」
ハニー「……」
ガチャッ
キィィィッ
ハニー「――まぁ」
ハニー「……あー……ロンの部屋も、そうだったけれど」
ハニー「男の人って、えぇ……壁にポスターを貼りたくるのが、普通、なのかしら」
ハニー「……この場合、きっと……そうね。家族と自分の違いを見せ付けたいがため、というメッセージは伝わる、けれど」
ハニー「何枚も、赤と銀色で塗られたグリフィンドールの寮シンボルの壁掛け……マグルの、オートバイの写真……それに」
ハニー「……マグルの女性の、水着姿のポスター」
ハニー「……」
ハニー「……」
ハニー「……い、言って、くれれば、この、このくらい……この、くら、っ、っ」
ハニー「……もう!!!」
ダンッ!! ガサッ
ハニー「シリウス、起きたら、えぇ、きっと起きたら、ただじゃ……あら?足元……何か」
ハニー「なぁに、これ……やっと、目がなれてきた、けれど」
ハニー「床に、本や羊皮紙がばら撒かれてる……やっぱり誰かに、家捜しされていたんだわ」
ハニー「誰が……あぁ、これ……四人の、写真ね」
ハニー「……パパ、シリウス……とっても」
ハニー「……とっても素敵」
『~~~~っ!!~~~っ!!!』
『~~~っ!?っ!!っ!!!』
ハニー「!?しゃ、写真の中で二人が取っ組み合いを始めたわ!?え!?ちょ、ちょっと!?なん……」
『~~~り!!!!』
ハニー「……おとなしくなったわね……えぇ、写真のリーマス……何て言ったのかは、聞かないわ。聞くまでもない、もの」
ハニー「これ以外は……教科書の切れ端……」
ガサガサッ
ハニー「これは、落書きかしら……『悪戯計画書』……あぁ、マクゴナガル先生の皺の一つになりそうね、ほんと」
ガサガサッ
ハニー「こっちは……オートバイの修理マニュアル?本格的に、ちゃんと管理していたのね……」
ガサガサッ
ハニー「今度は、何が……」
『親愛なるパッドフット
ハニーの誕生祝いをほんとに、ほんとにありがとう!
あのおもちゃの箒は、もうハニーの一番のお気に入りになったのよ!
新しい一番、って言った方がいいかしら
あなたが「ハニー生誕十一ヶ月おめでとう記念」に贈ってくれたプレゼントも、本当に――
そろそろ言わせてもらうけど、我が家はあなたのプレゼント置き場じゃないとお知らせするわ
ジェームズもジェームズで「リリー!この子は素晴らしいクィディッチ選手になるよ!僕ほどではないけれどね!」
なんて、得意顔で言ってるわ。いつもの得意顔でね―― 』
ハニー「……あ……ぁ」
ヘタッ
ハニー「これ……これ……」
ハニー「……ママ、からの……手紙……?」
ちょっと区切り悪いが今回はここまで
つづきは来週の日曜20日
じゃあの!
ハニー「嘘……嘘、みたい」
ハニー「本物の、ママの……記憶でもない、木霊でもない」
ギューッ
ハニー「ママが……生きてた、証」
『ハニーったら、猫を轢いてしまいそうになったのに、あれなんだもの
きっとジェームズは親バカになってしまうわね――あなたの後見人バカも、相当なものでしょうけど
でも、ペチュニアから贈られてきた趣味の悪い花瓶を割ってしまったのは、ある意味感謝してるわ
……眼鏡が無数に描かれた過敏なんて、ペチュニアったら、嫌味にかける執念は凄いんだから』
ハニー「……」
ハニー「……ママ、たちとは……完全に縁を切ったわけでも、ないのかしら」
ハニー「……」
ハニー「おばさんは……どんなつもりで」
ハニー「……いいえ。もう、いいわ。言っていたもの……その時期は過ぎてしまった、って」
『誕生祝いは、バチルダおばさんと一緒に静かな夕食をしたわ
ジェームズの小さい頃の話なんて!あの人の慌てる顔なんて!早々見られるものじゃないわ!
あなたも来られたらよかったのに!でも、えぇ。騎士団の仕事が第一だもの、わかってるわ
だからあなたも二日に一辺以上「ハニーは何センチ大きくなったか」って手紙書く暇があったら勤しみなさい仕事に
リーマスが怖いわよ』
ハニー「……シリウス……もう」
『ジェームズはここに閉じ込められて――こんな言い方、ダンブルドアはよく思わないでしょうけど――焦ってるわ
表には、出さないけど。私には分かるの
ずっとあの人を見ていた、私だから
あなたたちよりもね。譲らないわよ』
ハニー「……」
ハニー「……パパを想ってるのね。直に、見ていたかったわ」
『それに、ダンブルドアが透明マントを返してくれないことにも随分イラだっているみたい
おかげで、親子で隠れて少しおでかけ、というわけにもいかなくなったもの』
ハニー「……透明マント?」
ハニー「あぁ……そう、だわ……あの時、一年生の時。私にあれを『父上から預かった』って……」
ハニー「……よく考えたら、何のため?だって、ダンブルドアは確かあれがなくても……」
ハニー「……またあの豚の疑いが増えたわ、もう」
『あぁ、あなたが来てくだされば、ジェームズもどれだけ元気が出るか!
この前はあなたを怒鳴って追い出したけど、きっと喜ぶわよ
だってあれはダメ過ぎるわよ、あなた
ハニーを抱いて、「パパですよー」って
――その後、真剣な顔で「本当に、僕の子だよね……?」って言ってきたジェームズには
とりあえず頬を腫らしてやりました』
ハニー「……」
ハニー「…………私が言うのもなんだけれど、本当に戦争中なのかしら……?」
『あなただけじゃなくて、ムーニーやワーミーも
また、あなたたち四人に笑わせて欲しいわ
ワーミーはたまに顔をみせてくれるけど、ムーニーは本当にしばらく会っていないわ
最後に会ったのは、そうね――チョコレートケーキを焼いていたら、いつの間にか居間にいた時以来、かしら
ずっと思っていたけど、ムーニーって、チョコレートの精か何かじゃないわよね?』
ハニー「……ワーミーって……ぺティグリューのこと、よね?」
ハニー「……そう、この時は、まだ」
『ワーミーは先週の週末も、ここに来てくれたわ
なんだか落ち込んでいたようだけど、きっと、マッキノン家の訃報のせいでしょうね
「次は僕かもしれない!」なんて、ワーミーったら、いつまでも心配性ね』
ハニー「……この頃には、もう」
ハニー「……本当、なんて奴かしら。豚以下、ね」
『バチルダおばさんは、ほとんど毎日顔を出してくれるわ
ジェームズのこと意外でも、色んな人の話をしてくれるの
特に、ダンブルドアの話なんて!あなたも聞いたらきっとビックリするわよ!
どこまで信じていいか、分からないけどね
何せ、ダンブルドアが――――』
ハニー「……ここで、終わってるわ」
ハニー「……続き、は……どこにも、なさそうね」
ハニー「……ううん。十分よ、これで……これで、十分」
ハニー「ママの、字……私の書く『G』と……そっくり」
ハニー「ママが、私の話をシリウスにしてる……パパのことを、きっと、笑いながら、書いてる」
ハニー「それだけで……」
ギューッ
ハニー「……素敵な贈り物を残してくれて、ありがとう……シリウス」
ハニー「猫を飼っていたのね……知らなかったわ」
ハニー「知らないこと、ばっかり……シリウスは、ファイアボルトよりずっと前に、私に箒をくれていたのね」
ハニー「バチルダ・バグショット……何度も名前が出てる……付き合いがあったんだわ」
ハニー「ぺティグリュー……もう二人と何度と会えなくなる、って、分かっていたのかしら」
ハニー「それに、ダンブルドア……透明マントも、だけれど」
ハニー「ママの手紙まで……ダンブルドアの何か、秘密について」
ハニー「ここでもやっぱり、バチルダ……話を、聞かなきゃいけないわ」
ハニー「そのためにも……ゴドリックの――」
バーーーン!!
ハニー「きゃぁっ!?」
ハーマイオニー「ふーっ、ふーーーっ、ハニー!!!探したわ!!!探したわよ!!!もう!!!!!」
ハニー「あ、あぁ、えぇ、ハーマイオニー……あー」
ハーマイオニー「目が覚めたらあなたの姿がなくなっていたんですもの!心配させないで!!!ロン!こっちにいたわよ!!!」
ロン「そりゃよかった!今いくよ!ヒンヒン!にしても……君の鼻ってほんと僕のこと棚に上げてらんないよなぁ」
ハニー「けれど、あなたたちの邪魔をしちゃいけないわ、って思って……」
ハーマイオニー「何のことよ!もう!いい、ハニー!黙って消えたりしないで!いい!約束……きゃぁ!?」
ハニー「えぇ、そうね。ハーマイオニー?しっかり刻み付けてあげる……なんだか私、ちょっと、気分がとっても高ぶってるの……ね?」
ハーマイオニー「あっ、ハニー、そん、だめよ、だめ、シリウスの部屋でなんて、申し訳、あぁ、それってきっとこの部屋の匂いとかで、あなた、あぁ、そんな……猫になった時の、私じゃ、にゃいん、だから……」
ロン「ヒンh、おっと、つづけて!お邪魔はしないよ!もちの僕でね!」
ロン「そんなに燃え上がったのかい?随分部屋中引っ掻き回されてるけど」
ハニー「私がここに着いたときには、こうだったわ。やっぱり誰かが家捜ししたみたい」
ハーマイオニー「ふーっ、ふーーっ、そう、でしょうとも。この部屋以外も、荒らされていたもの」
ロン「スネイプの野郎かな?騎士団の情報を……って言っても、あんにゃろうは大体の事を知ってたはずだしなぁ」
ハニー「……ダンブルドアのことかもしれないわ。シリウスが知っていた、ダンブルドアについて」
ハーマイオニー「……どういうこと、ハニー?」
ロン「この手紙の二枚目のことかい?君らがよろしくしてる間に読んでたけどさ。ヒンヒン!さすが君のママだよハニー!文字から気ヒンが伝わってくるね!」
ハニー「えぇ、私のママだもの……その手紙に、バチルダのことが何度も出て居るでしょう?」
ハーマイオニー「――魔法史家として著名な、バグショットね……あなたの両親の知り合いだった……あぁ、ハニー。言いたいことは分かるわよ?」
ハニー「分霊箱探しには役に立たない、って。えぇ、私も分かるわ、あなたの考えてること」
ロン「以心伝心だね微笑ましいね、雰囲気は若干重いけど!ヒンヒン!」
ハーマイオニー「茶化さないで。ねぇハニー?最近のことで、ダンブルドアについて色々と不信があるのは分かるわ。でも、それが何だって言うの?私達が知ってる、ダンブルドアを信じればいいじゃない?」
ハニー「知ってる、ね……知ってる、と、思ってたわ……」
ロン「好きなジャムの種類とか?」
ハーマイオニー「ロン」
ロン「なにさ?」
ハーマイオニー「暇ならロケットを探してくればどうかしら」
ロン「ハニー以外が僕に命令するなよ!マーリンの……」
ハニー「ロン」
ロン「ヒンヒン!任せてよ!ついでにそのままぜーんぶの分なんとかを見つけてくるよ!もちの僕でね!」
バタン!
ハーマイオニー「……案外できそうでいやだわ」
ハニー「私の出来る豚さんですもの、えぇ」
ハーマイオニー「ハニー、あそこは危ないって言ったじゃない」
ハニー「でも、行くだけの価値はあるわ」
ハーマイオニー「危険を犯して、手に入るのは『ダンブルドアの素顔』だけよ?それすらも、正しいのかは分からない。罠が仕掛けられて居るかもしれない、そう言ったでしょう?」
ハニー「……けれど」
ハーマイオニー「ねぇ、ハニー。私、逃げて来た後に連中が私達の居場所を突き止めたことが本当に、恐ろしいの。この屋敷が安全でなかったらどうなっていたか分からないわ……」
ハニー「……」
ハーマイオニー「おばさまじゃ、ないけど……危険なところに自ら突っ込んでいくのはやめましょう?」
ハニー「そんなの、分霊箱を探すって決めた時からじゃない?」
ハーマイオニー「……はー。違いないわ……けどね、せめて、何か対策を練るとか、時期を見てから……」
ガチャッ
ロン「おーい、ロケットはなかったけど、行方の手がかりになりそうなシリウスの弟の部屋で泣きながら枕にすがりついてるこいつを見つけたよハニー!」
クリーチャー「触るな血を裏切るクズ!!違う!!クリーチャーはレギュラス様の持ち物を汚したりしない!臭いをかいでいただけだ!!!」
ロン「ハーマイオニー、お仲間みたいだよ?」
ハーマイオニー「シレンシオるわよ」
ハニー「クリーチャー……!そう、あなたが、いたんだったわね」
ハーマイオニー「でも、そうね……屋敷でにずーっと一人で過ごしていたクリーチャーなら、というか、むしろクリーチャーに聞くのが一番早いわ。どうして気づかなかったのかしら」
ロン「君の頭ん中はこいつだけじゃなくて屋敷しもべ妖精で一杯なんだろうさ、反吐まみれにね」
ハーマイオニー「S.P.E.Wよ!もう! ハニー、クリーチャーは、まだ……?」
ハニー「えぇ、私に使えている、はずよ……クリーチャー!質問があるわ!」
クリーチャー「……なんでしょう。血を裏切るウィーズリーの飼い主、穢れた血の……」
ハニー「今後一切、人に対して『血を裏切る』とか『穢れた血』って単語を口にすることを禁じるわ」
クリーチャー「……己が生まれに誇りを感じずマグルと馴れ合う見下げ果てたクズの家と、汚らしいマグル――」
ハニー「言い方を変えるのも禁止よ悪くなっているじゃないのよいい加減にしなさい」
クリーチャー「……なんでしょう、女主人様」
ハニー「……かつてこの家に住んでいた、シリウスの弟……レギュラスについて」
クリーチャー「!」
ロン「部屋に写真があったよ。ほら、これ。スラッギーじいさんの隣で得意顔してら」
ハーマイオニー「へぇ……あー、なんとなく、高慢そうな顔ね」
ハニー「……シリウスほどハンサムではないわね」
クリーチャー「ふざけんな!!!!レギュラス様は可愛い路線だろうが!!!!!!!!!」
ハニー「……クリーチャー?」
クリーチャー「……なんでしょう、女主人様」
ハニー「あー、えぇ、そのテンションでいて頂戴……何か、こう、嫌な雰囲気を感じたわ」
クリーチャー「そこのご友人二人のようなですか」
ハニー「それはそれは甘々じゃないの。ねえ?」
ロン「何言ってんのさハニー?な、なぁ?ハーマイオニー?」
ハーマイオニー「そ、そうよ。えーっと、例えるなら、百味ビーンズS.P.E.W味よ、えぇ!」
ハニー「落ち着いて」
ハニー「レギュラスがどこかから持ち帰った、ロケットのことは?」
クリーチャー「……存じております」
ハニー「そう。それは今、どこにあるの?」
クリーチャー「……」
ハニー「私達が去年の大掃除をしている時に処分してしまったの?どうなの?答えなさい」
クリーチャー「その中から、クリーチャーめが救い出しました。レギュラス様の残した物です。捨てるなど許されません!」
ハニー「そ、そう……良かった!それじゃ!」
ロン「あぁ、あの厨房の片隅のきったないこいつのねぐらにしまいこまれてるってわけだ!やったぜ!」
ハーマイオニー「そんな言い方よして、もう。く、クリーチャー?私達、あー、あなたの主人のハニーがそれを必要としてるの。見せてもらえないかしら?」
クリーチャー「……出来ません」
ハニー「……命令で」
クリーチャー「逆らうつもりはありません。ですが、不可能なのです。今、この屋敷にはあのロケット……おぉ……レギュラス様のロケットは、ありません」
ロン「はぁ?君、さっき言ったじゃないか。自分が、捨てられそうになるのを……」
クリーチャー「クリーチャーの失態です……こんなバカな赤毛に話すのは屈辱の極みだクソが」
ロン「……ぶん殴るのは話を聞き終わってからにしようかな。マーリンの髭」
ハニー「いい子よ、ロン。どういうことなの、クリーチャー!回りくどいのは嫌いよ!ロケットは……」
クリーチャー「マンダンガス・フレッチャー!」
ハニー「……」
ハーマイオニー「……」
ロン「……あのグズ野郎」
クリーチャー「あの男が!家紋入りのゴブレッドも!旦那様のマーリン勲章も!ミス・ベラやミス・シシーの写真も!見る目がない!!レギュラス様のお写真こそ一番の――」
ハニー「戻りなさい」
クリーチャー「それに、それに!!あぁ!!クリーチャーの失態です!レギュラス様のロケットまで……あの盗人が全部、もっていってしまった!!!おぉ、おぉ……クリーチャーは、クリーチャーは悪い、クリーチャーめは……!」
ハニー「! ロン、押さえつけて!!!自分を傷つけるつもりだわ!」
ロン「任せてよハニー!おら!!!」バキャッ!!
ハーマイオニー「ここぞとばかりにさっきの仕返しで殴りかかったら結果一緒でしょやめなさい!!!!」
ハニー「あなたは今、『レギュラス様のロケット』って言ったわね?彼はあれにどう関係しているの?」
クリーチャー「……レギュラス様の、ものだからです」
ハニー「そう。クリーチャー、あなたが知っていることを全部、教えなさい。あれを、彼がどこで、どうやって手に入れたのか。全て。さぁ」
クリーチャー「……時は、レギュラス様がまだショタっ子だった折にさかのぼります」
ハニー「……流してあげるわ、続けなさい」
クリーチャー「……シリウス様は、家出をしました。皆が精々しました。悪い子でしたし、奥様の心を破った人です。つるんでいたクソ眼鏡はクソのような行いで屋敷を――」
ハニー「『眼鏡』も禁止よ、あとでそのあたりはじっくり聞くわ」
クリーチャー「……それに比べて、レギュラス様はきちんとしたプライドを持ったお方でした。純血の期待に答え、ブラック家の家名と尊厳のために、成すべきことをご存知でした」
ロン「誇り高き名誉あり~、ってね。アホくさ」
クリーチャー「てめぇん家とは違うんだ黙ってろポコポコ数だけ増えやがって」
ロン「ねぇ僕本当こいつぶっ飛ばしていいかいそろそろ」
ハーマイオニー「お、抑えてロン、後にして、できれば原形とどめる程度にしてあげて」
クリーチャー「坊ちゃまは、何年も闇の帝王について語ってらっしゃいました」
ロン「ついに『坊ちゃま』ときたよ。こりゃ一人称は『僕ちん』とかだったんだろうな」
ハニー「……大人になったらきっと『我輩』とか言い出す童貞ね」
ハーマイオニー「そこに食いつかなくていいでしょ……気になるけど」
クリーチャー「闇の帝王こそ、隠れた存在だった魔法使いを日の当たるところに出し、マグルを支配するんだ!と、目を輝かせながら……輝いておられました」
ハニー「……隠れた先が日陰だなんて、それこそ被害妄想もいいところだわ。今で十分、マグルに対して有利すぎるくらいな立場にいるのに。何にも分かってないのね」
ロン「自称純血誇り高き一族様()はこんなもんだよきっと」
ハーマイオニー「その続きは魔法史とかでやりましょう……それで、あー、配下になったの……?」
クリーチャー「十六歳の時でした……レギュラス坊ちゃまはとてもご自慢でした……あの方の右腕となるのだ、と」
ハニー「腕フェチだものね」
ハーマイオニー「……ハニー、多分、色々違うわ」
クリーチャー「夜遅くまで、時にはマグルの本を屈辱的に読みながら、お辞儀の角度を練習してらっしゃいました」
ハニー「……嫌な日課だわ」
ロン「その点僕達豚は毎夜ハニーへの感謝の祈りを天に向かって高らかにヒンヒン鳴くだけさ、幸せだよな」
ハーマイオニー「頭がね」
クリーチャー「一年が経った、ある日……レギュラス坊ちゃまはクリーチャーのもとを訪ねてこられました。坊ちゃまはいつだってクリーチャーに親切で、優しく、丁寧で、可愛がってくださいました……あぁ、レギュラス様」
ロン「顔赤らめんなS.P.E.Wが出る」
ハーマイオニー「あんまりしつこいと反吐まみれにするわよ、ロン」
ハニー「レギュラスはあなたに、何を頼みに来たの?」
クリーチャー「……『闇の帝王が、しもべ妖精を必要としているんだ』と」
ハニー「……」
ロン「?なんだろうな、『あの人』の屋敷の召使が足りなくなったとか?」
ハーマイオニー「……屋敷しもべ妖精をありがたがる人には、思えないわ」
ハニー「クリーチャー。あいつは、もしかして……あなたをつれて、洞窟に、行ったんじゃ……」
クリーチャー「その通りにございます」
ハニー「……」
クリーチャー「レギュラス坊ちゃまは仰いました。『これはお前にとっても我が家にとっても名誉なことだ』と。闇の帝王の言いつけを守り、役に立って、それから『帰ってこい』と。クリーチャーは、闇の帝王と向かいました……洞窟へ」
ハーマイオニー「それって……ハニーと、ダンブルドアがあのロケットをみつけた……」
クリーチャー「闇の帝王は仰いました……『俺様の偉大な仕事の一つの 手伝いをさせてやろう』と……クリーチャーは、誇らしかった。何も疑わず、小船に乗りました。小さな島にたどり着き、そして……薬で満たされた、水盆がありました」
ロン「……ダンブルドアが飲んだ、あれが?」
クリーチャー「闇の帝王は、クリーチャーに……『飲め』と、っ、おっしゃいました」
ハニー「っ、あいつ……絶対……絶対に……そんなものを作る前にだって、できたはずなのに……」
クリーチャー「クリーチャーは恐ろしいものを見ました……ご家族みんなが、殺される様を……シリウス様だけが笑って暮らす様を」
ハニー「……同情ひっこむわよいらないこと言うと」
クリーチャー「内臓が焼けました……思わず、レギュラス坊ちゃまに、奥様に助けを求める声をあげました……闇の帝王は……」
ハニー「……」
ハーマイオニー「……」
ロン「……」
クリーチャー「笑いながら、こう言いました……『全て飲み干せ その幻覚を現実にされたくなければ』」
ハニー「……どこまでも、だわ。豚以下の黒豚」
クリーチャー「クリーチャーが全て飲み干すと、闇の帝王は空の水盆にロケットを落とし……また、薬で水盆を満たしました」
クリーチャー「クリーチャーは、喉が渇きました……ですが、闇の帝王に水が欲しいなどとは言えません。恐れ多いことは言えません」
クリーチャー「クリーチャーが身もだえ、していると……闇の帝王は、クリーチャーを島に残して、帰ってしまいました」
ハニー「……」
ハーマイオニー「……」
ロン「……」
クリーチャー「クリーチャーは水が欲しくなり、島の端まで這っていき……そこで、黒い手に水の中へとひきずりこまれました」
クリーチャー「そして……意識が、失われる瞬間」
クリーチャー「レギュラス坊ちゃまのところへ、帰りました」
ハニー「……?今、ちょっと、何か省かれたわよ?」
クリーチャー「省いてはおりません」
ハニー「……?だって……あの場から、どうやって……?」
クリーチャー「レギュラス坊ちゃまがクリーチャーに『帰って来い』とおっしゃいました」
ハニー「だから……どうやって?あの空間は、姿くらましなんて……」
クリーチャー「『帰って来い』と命令され、クリーチャーはそれを承諾しました。クリーチャーは帰らなくていけません。ですから、帰ったのです。何度も言わすな頭大丈夫かこいつ」
ロン「ぶっ飛ばすぞ。ハニー、屋敷しもべ妖精はほら、僕らが『姿あらわし』できないホグワーツでもバチッっとやってただろう?同胞のドビーとかさ」
ハニー「あぁ……そういうことね。でも、あいつは……ヴォルデモートが生きて返すようなまね、するかしら……」
ハーマイオニー「……きっと、屋敷しもべ妖精の魔法にそんな力があるなんて、思いつきもしなかったのよ。自分が、純血主義者たちが動物扱いするような相手のことなんて……」
クリーチャー「レギュラス坊ちゃまは心配なさいました……介抱してくださって、なんとか喋れるようになったクリーチャーに、事の次第を聞き」
クリーチャー「『隠れて屋敷から出ないように』と命令されました……それから……数日後です」
クリーチャー「レギュラス坊ちゃまは……ぐすっ、クリーチャーに言いました……闇の帝王がロケットを置いた、っ、洞窟に案内せよ、と」
ロン「……うーわー、むかつくぜ」
ハニー「それじゃ……そこで、レギュラスはまた!あなたに、また、薬を……!?」
ハーマイオニー「……あぁ……違うわ……クリーチャー、まさか……」
クリーチャー「……いいえ。レギュラス様は……っ、ぁぁっ、おっしゃいました」
クリーチャー「自分がどんなに抗っても、この液体をなんとしても自分の口に流し込み続けるんだ、と……あぁ、レギュラス様!!レギュラス、坊ちゃま!!」
ハニー「……」
ちょいメシ
21時には戻る
クリーチャー「レギュラス坊ちゃまは命令なさいました!自分にこの薬を――あぁ!飲み干させろと――!」
クリーチャー「どんなに暴れても、嫌がっても、空になるまで飲ませつづけろと!」
クリーチャー「クリーチャーは!あぁ――!なんと、いう、クリーチャーは――!」
クリーチャー「クリーチャーはしたくはありません!ですが、坊ちゃまの命令です――命令で」
クリーチャー「奥様には決して――自分のしたことを言うな、と――空になった水盆にはこのロケットを入れろ、と――そして、最初のロケットはなんとしても――破壊しろ、と」
クリーチャー「そして――全てを、飲み干して――レギュラス様は、苦痛に悶えておりました――奥様にすまない、と――何故か、何故かあの畜生の兄上、シリウス様に――もっと早く気づけば、と――!!」
ハニー「……」
クリーチャー「クリーチャーが、ロケットを入れ替えると――レギュラス様は、レギュラス、様は」
ハーマイオニー「……あぁ……!」
クリーチャー「水の方へ――そこで」
ロン「……」
クリーチャー「クリーチャーに、来るな、と――ここから脱出して、早く破壊を、と――そして、クリーチャーは……最後に、見ていました……レギュラス坊ちゃまが水の中に、引きずり込まれていくのを――」
ハーマイオニー「あぁ、クリーチャー……なんて、なんて!」
クリーチャー「うわっ!やめろ!!!穢れた血がクリーチャーを抱きしめようとするなんて!レギュラス様の生まれ変わりになってから出直せ!!!!!」
ハニー「ロン」
ロン「なんだいハニー」
ハニー「一回落として」
ロン「もちのオラァアアアアアアアア!!!」バキャァァァッ!
ハーマイオニー「や、やめて、やめてあげて!これ以上虐げるのはやめて!!!」
ロン「こいつの減らない口が減ったらそうするよ、もちのロンで」
ハニー「それで……あなたは、ロケットを破壊しようとしたのね?けれど、出来なかった」
クリーチャー「ひゃい」ドクドクドクドク
ロン「ちゃんと喋れよハニーの前だぞ」
ハーマイオニー「あなたが血まみれにしたんでしょ! クリーチャー、これを食べて頂戴。鼻血は止まるわ」
クリーチャー「……けg」
ロン「怪我増やしたくなかったらさっさとそれ貪って話進めろよ」
クリーチャー「……モグモグ……クリーチャーは、何度も試しました。知っている呪文は全部やってみました。でもどれも、うまくいきません……」
ハニー「……妖精の呪文でも、なのね」
クリーチャー「外側のケースには、あまりにも多くの強力な呪文がかけられていました……破壊するには中のものを出すしかないと、クリーチャーには分かっていましたが……それも、かないません」
クリーチャー「クリーチャーは言いつけを守れない自分を罰し、また開けようと試み、また罰し……体中どこにも、罰する場所がもうないくらい、それを続けました」
ハーマイオニー「あぁ……なんて……」
クリーチャー「……レギュラス坊ちゃまに折檻されていると、思い、ながら」
ロン「あー、分かる分かる。どんなに辛いことでもハニーからの命令だと思えばとたんに天国だしな」
ハニー「違いないけれど今は流しなさいロン。結局、ロケットはそのまま……?」
クリーチャー「クリーチャーは命令に従うことは出来ませんでした!そればかりか……旦那様が亡くなり!レギュラス様がいなくなり嘆き悲しみ、狂わんほどに泣き叫ぶ奥様に!!レギュラス様の最期さえ、伝えることができませんでした!!」
ハニー「……」
クリーチャー「クリーチャーは、命令されていたのです……あの湖のことは誰にも、と……クリーチャーは……クリーチャーは、それから……一人で」
ハニー「……」
ロン「……マーリンの……いや、うん……」
ハーマイオニー「……ぐすっ」
ハニー「……クリーチャー……私は、わたしは、あなたが分からないわ」
クリーチャー「……」
ハニー「どうして……ヴォルデモートは、あなたにそんな酷い目にあわせたのに、どうして」
クリーチャー「……?」
ハニー「どうしてあいつの、味方をしたの……?どうして!シリウスのことをヴォルデモートに売ったの!?どうして!!レギュラスだって!!あいつを倒したくて、命を捨てたのに!!!」
クリーチャー「どう、し……?」
ハーマイオニー「ハニー!!やめて!!違うわ!!」
ハニー「違う!?何が違うの!?こいつ、こいつは――」
クリーチャー「クリーチャーは、闇の帝王に酷いことは、されておりません」
ハニー「……え?」
クリーチャー「確かに、あの薬を飲むのは大変苦しいものでした。ですが、主人が命令を聞くべきと言われた魔法使い様の命令を聞くのは当然の事です――死ねと、言われたら。クリーチャーは死ぬのです」
ハニー「……」
クリーチャー「レギュラス様が、闇の帝王を……?何が仰りたいのか、クリーチャーには分かりません」
ハニー「……なに、を」
ハーマイオニー「ハニー、あなたはいつか言ったわ……この妖精たちは、この不幸に慣れきってしまってる!もう、不当な扱いにも残酷な扱いにも、慣れる……それどころが、それが当然だと思ってしまってる。普通の扱いと、ただ、変わらなくなってしまっているのよ」
ハーマイオニー「だから、えぇ、だからこそ、親切にする人に仕えるのが嬉しかった……レギュラスが間違いなくそうだったし、そして、えぇ……ミス・シシーもそうだったんでしょう。だから、あのときあちらに協力した」
ハーマイオニー「だって、レギュラスはクリーチャーに『自分の真意』を伝えなかったから……それが、っ、知られたら……家族全員が!ヴォルデモートの側についているから安全なのを!危険に晒してしまうから!!」
ハニー「……っ」
ハーマイオニー「レギュラスは家族全員を救おうとしたんだわ!クリーチャーのことも!だから……クリーチャーがその事情を知らないのは、当然なのよ。レギュラスにとって、彼も守るべき……家族だったのでしょうから」
クリーチャー「……ぅぅっ、ぅうううっ、ぐっ、ぅう……」
ハニー「……」
ハーマイオニー「シリウスは……クリーチャーに対して、酷かったわ。そんな顔しても可愛いだけよ、分かってるわね」
ハーマイオニー「もし、シリウスがクリーチャーに――ええ、どんなに、この屋敷で過ごした事が彼にとって辛かったんだとしても――もし、少しでも親切にしていたら。他の屋敷しもべ妖精に対するように、丁寧に扱っていたら……」
ハニー「……レギュラスの残した想いで……クリーチャーは、裏切らなかった、かもしれない」
ハーマイオニー「そう……残念な、ことだけど」
ハニー「……クリーチャーは……何も、知らなかった……そっか……そう、よね……ロケットの中身のことも……その、意味も」
ハーマイオニー「……えぇ」
ハニー「ただ……少しの、愛に……愛が、欲しくて」
ハーマイオニー「孤独だったんだわ……この屋敷で、ずっと」
ハニー「レギュラスのことだけを想って……私の、義弟の」
ハーマイオニー「……えぇ……えっ!?あ、えぇ、うん……うん?」
ハニー「……彼の想いには、シリウスに代わって、応えなきゃ……そうでしょ?」
ハーマイオニー「……理屈はいまいちわからないけど、そうね」
ハニー「……クリーチャー?落ち着いて、私の言葉を聞いてくれるかしら」
クリーチャー「ぐすっ、えぐっ、なん、です、女主人様……ノッポウィーズリーの背中に踏ん反りかえる主人様なんだそれ、ぐすっ」
ロン「空気かと思った?残念、しっかりハニーの椅子さ、もちの僕はね」
ハニー「泣き止んだわね?あのね、あー……お願いが、あるのだけれど」
ハーマイオニー「その調子よ、ハニー」
クリーチャー「……なんでしょう」
ハニー「マンダンガス・フレッチャーを探してきて欲しいの。私達、ロケットを見つけなくちゃいけないわ。レギュラスの」
クリーチャー「様をつけやがれデコ傷女」
ロン「お前のデコを傷まみれにしてやるぞこの野郎」
ハニー「私達は、レギュラス様のロケットを見つけ出したいの」
ロン「僕、なんでレギュラスじゃないのかな」
ハーマイオニー「様付けで呼ばれたいわけ?」
ロン「……あ、だめだ。恐れ多すぎて爆発する未来が見えた」
ハーマイオニー「犯人はきっと私ね、それ」
ロン「だろうね」
クリーチャー「……どうして、あなた方が?」
ハニー「私達がやろうとしてることは、レギュラス様のやりかけた仕事を成し遂げることなの。これは、ヴォルデモートの行動に反することよ……えぇ、あなたの元のご主人様は、勇気ある、とても気高いことをしようとしていたの」
クリーチャー「……レギュラス、様の」
ハニー「えぇ……私たちは、レギュラス様の死が、無駄にならないようにしたい。やって、くれる?」
クリーチャー「……そういう、ことでしたら……フレッチャー……レギュラス様のため、レギュラス様……」
ハニー「それから……あー、そうね。ご褒美……あー、お礼もあげるわ。あなたにはいつも無理を言うもの。これ……」
ジャラッ
クリーチャー「…………!!!!」
ハニー「この、レギュラスがすりかえるために用意したロケット……きっと、彼はあなたにこれを持っていて欲しいと思うはずだわ。あなたへの、感謝の気持ちに」
クリーチャー「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンン!!!!!」
ハニー「」ビクッ
ハーマイオニー「」ビクッ
ロン「お?」
クリーチャー「ウワアアアアアアアアアァアアアアン!!あああああああ!!あなたさまは、それを!?それを、くり、クリーチャーに!?そんな宝物を!!!あぁ!!あぁあああああ!!!」
ハニー「え、えぇ……私が持っていても、意味がないものだし……」
クリーチャー「なんと、なんと、アァ、あああああああああああああああああああああああ!!これまでの無礼をどうか、あぁ、あああああああああ!!ハニー・ポッター!!!ハニー・ポッター様!!」
ハニー「……」
ロン「ハニーさん、やっちゃってください」
ハニー「……ヒンヒンお鳴き、この豚?」
クリーチャー「ヒンーーーーーーーーーン!!しもべ豚!!しもべ豚と、お呼びくださいいいいいいいいい!!」
ロン「ウエルカム、同胞!」
ハーマイオニー「……字面最悪ね」
ハニー「……豚と呼んだけれど、えぇ、クリーチャー?私、あー、わたしは出来れば、あなたとは対等に近い立場でありたいわ」
クリーチャー「なんと心優しい方でしょう、まるでレギュラス様のよう」
ロン「……なんかクリーチャーが豚化してからやけにこの部屋綺麗になり始めたんだけどさ」
ハーマイオニー「……屋敷しもべ妖精の本気、ということかしら……見もせずに汚れに向かって魔法が使われてるわ」
クリーチャー「ありがたく、ありがたく……本当にいただいてしまっても?本当に?」
ハニー「そう言っているじゃない……それ、衣服扱いにはならないわよね?」
クリーチャー「えぇ、クリーチャーの、体の一部にいたします……」
ハニー「……そ、そう」
クリーチャー「クリーチャーは、あぁ……クリーチャーはレギュラス様とお別れしてから初めて幸せな気持ちになりました……そう、またレギュラス様のためにお仕事が出来るなんて!あぁ、ハニー・ポッター様、あなたはなんて素晴らしい、レギュラス様のごとく」
ハニー「賞賛の言葉は高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的で模範的から受け付けるわ」
クリーチャー「高貴で可憐で儚げで伝説的で道徳的で家庭的で模範的でレギュラス様的?」
ハニー「……あなた限定で、えぇ、そう呼べばいいわ」
ロン「これでどうかな?高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的でブラック家の嫁、って……痛い!!ありがとう!!ヒンヒン!!」
クリーチャー「では、行ってまいります」
ハニー「えぇ、期待してるわよ?」
クリーチャー「もちのそちらの素晴らしく暖かなご家族の下で生まれた赤毛の青年です。よっ!このモテ期!式には呼べよ!」
ロン「露骨に態度かえるなよ、なんか今までのことがあるから喜べないよ僕ぁ……あと式ってなんだよ!!」
クリーチャー「それはそちらの生まれなぞひっくり返してお釣りがザックザクなほど素晴らしい才能に恵まれた女性に決まっておりますでしょう。クリーチャーは何でも知っている。夜中にあなたがた二人が交わした言葉も知っている」
ハーマイオニー「わーーー!?わーーーーーーー!!!」
ロン「なっ!?おい、この、おい、同胞……!」
ハニー「クリーチャー!!聞かせなさい!!!!!」
クリーチャー「『ねぇ、ロン……?今日はその……ハニーに腕枕、していない、のよね?背中貸してる、だけで』」
クリーチャー「『だったらどうしたのさ……あー……』」
クリーチャー「『あ……ち、ちが!その……手、握って、もらえないかしら、って……あなたの手、安心、する、から』」
クリーチャー「『……手だけで、いいなら。ほら』」
クリーチャー「『えぇ、いいわ……今は、えぇ……あり、がとう……スーッ』」
クリーチャー「『…………キャノンズが――』」
ロン・ハーマイオニー「「クリィイイイいイいイチャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」」
ハニー「出来る豚ね、クリーチャー!」
クリーチャー「ヒンヒン!」
三日後
ハニー「あれからのここでの快適さと言ったらないわね……部屋は隅々綺麗だし」
ロン「あぁ……あー、朝、昼、夕と、クリーチャーがマンダンガス捜査の合間に一瞬で帰ってきて一瞬でご馳走を用意、してくれるし」
ハーマイオニー「……そう、ね。それに……屋敷の外に連中が現れたけど、ここには絶対に入ってこれないようだ、と分かったし……」
ハニー「あと、あなたたち二人がすっごく意識してドギマギしているのが見られるし、ね?」
ロン「マーリンの髭!!髭!!!!髭!!!!!」
ハーマイオニー「ニヤニヤしないで、ハニー!!!」
ハニー「私は?いいのよ?寝るのはシリウスの部屋でも?えぇ?」
ロン「マーリン!!髭!!髭!!!髭!!!!」
ハーマイオニー「ニ!ヤ!ニ!ヤ!しないで!!!」
ハニー「ふふっ、ごめんね……だって、とっても嬉しいんだもの」
ロン「……君のそんな顔が見られるならさ、あー、うん、そんな誤解もまぁ悪くないけどさ?なぁハーマイオニーさん」
ハーマイオニー「そ、そうね。えぇ、ハニーの素直な笑顔に免じて、許すわその誤解」
ハニー「あなたたちほんと素直じゃないわよね」
ロン「すっかりシリウスに首っ丈骨抜きさを素直にさらけだしまくりな君とちがってn痛い!ありがとう!ヒンヒン!!!」
ハニー「それにしても……思ったより時間がかかってるわね、クリーチャー」
ロン「あんな同胞解任しようぜハニー!そうしよう!」
ハニー「同胞でしょう、仲良く出来ない豚は嫌いだけれど?」
ロン「あんにゃろう!いい後輩だぜまったくマーリンの髭!」
ハーマイオニー「いくら妖精の魔法が魔法使いの想像にも及ばないものだからって、早々見つけられないと思うわ。だってきっと、マンダンガスは『騎士団』から逃げているようなものだもの」
ロン「あぁ、ビルが『絶対に見つけて話を聞かないと』って言ってたしな……あいつ、裏通りじゃ顔がきくみたいだし、コソコソ隠れまわってるんだろ」
ハニー「けれど、痕跡は見つけた、って今朝言ってたわ……だから、そろそろ」
パッ!
ドサッ!
マンダンガス「いてぇ!!いてぇ!!!なあんだってんだよぉ!なんだよおめぇー!このおいぼれしもべ!!」
クリーチャー「黙れ!!!ハニー・ポッターの御前だぞ!!!ハニー・ポッター様、盗人をしょっぴいて参りました!」
ハニー「あら、噂をすればだわ」
ロン「ヒンヒン!君って僕ら豚の行動を察するのが飼い主の鑑だよねハニー!」
ハニー「私だものね、えぇ。こんにちは、マンダンガス?」
マンダンガス「ヒェッ、え、ぅぇっへへ、よ、よう!ヒンヒン!ハニー……っ!」
ハーマイオニー「『エクスペリアームス』」
マンダンガス「あっ!」
ロン「!このやろ、今杖に手をかけようとしやがって。ハーマイオニー、さっすg――」
ハーマイオニー「『インペディメンタ』」
マンダンガス「う、げ――」
ロン「……ハーマイオニーさん?」
ハーマイオニー「『ロコモーターモルティス』『インカーセラス』『シレンシオ』」
マンダンガス「」
ハーマイオニー「……『結膜えn――」
ロン「もうやめてやろうよ、うん。マンダンガスちびっちまってるよとっくに。ハーマイオニーさん?は……お、鬼ーさん?ちょっと?」
ハニー「クリーチャー、よく連れて来てくれたわ……ありがとう」
クリーチャー「お礼なぞ申さず。クリーチャーは貴方様ひいてはレギュラス様のためにお仕事をさせていただき本望です。さぁ、お茶を淹れましょう。何がよろしいですか?」
ハニー「タンポポジュースを、四つ。えぇ、この人にもあげましょう、聞きたい事は山ほどあるもの」
クリーチャー「左様で。おいこの汚い盗人うんこたれ、ハニー・ポッター様の優しさのおかげで無傷でここにいられることを幸運に思えクリーチャーはお前なんて簀巻きにしてテムズ川にポーイしてやりたいんだ、です」
マンダンガス「無傷ってなんだっけ……いや、はい」
ロン「縛られてるくらいで済んでよかったろ。ヘイ、ダグ。ハニーが言ったとおりさ、聞きたいことがあるんだ」
マンダンガス「うろたえっちまったのよう!わりぃかよお!俺はよお、あんな作戦じゃ足をひっぱっちまうって最初から何度も言ってんだ!なのによお!」
ハーマイオニー「お言葉ですけど、あなた以外にはだーれも途中で投げ出したりしなかったわ。恥ずかしくないの?」
マンダガス「へっ!!俺ぁ誇りより自分の命の方が惜しい!死んだあとの名誉より明日のお飯を味わえたほうが幸せだ!ちげぇか!?」
ハニー「あなたがどうして裏切ったのかは、もういいわ。むしろ、そうね。巻き込んだのは私だもの……その気持ちも、分からなくはないわ」
マンダンガス「……ハニーって天使だ」
ロン「何言ってんだ、女神だろ」
ハニー「知ってるわ。ただ、マンダンガス。みんなにきちんと謝って、それで……ムーディのことだけは、忘れないこと。いいわね?」
マダンガス「ヒンヒン!」
ハーマイオニー「返事は真面目に」
マンダンガス「おめぇ、モリーに似てきたな」
マンダンガス「まぁた、あのゴブレッドのことか?もうひとっつものこっちゃいねーよ。大体、あの時ほとんどおめーさんたちにとられたんだ!商売あがったりだ!」
ロン「その他にもたんまりもってってたんだろ、ネタはあがってるぞ」
マンダンガス「へっ、元の持ち主のシリウスだって『ガラクタばっかりだ』って言ってたぜ?俺ぁよう、それを――」
クリーチャー「おーーーっとタンポポジュースを入れようと思ったけどここは最初の一杯は温かいものにしようかなと思ってよかれと居間までもってきたヤカンを手に持っていたクリーチャーが謎の物体に転んでぶちまけてしまったー」バッシャアアアァァァ
マンダンガス「あああああっっつああああああああああああ!?!?!?!?!?」
ロン「いやぁ、まさかこんなところにマーリンの髭が落ちているとは」
クリーチャー「豚もビックリ、驚き桃の木」
ハーマイオニー「無駄に息ピッタリにならなくていいのよそこで」
ハニー「気持ちは分かるけれど押さえなさい、クリーチャー。その仕事は、マンダンガスが喋り渋った時に存分にやらせてあげるわ」
クリーチャー「はい!女主人様!」
マンダンガス「何でも喋る!喋るからよぉ!ヒンヒン!あんまりだ!俺、何も悪い事してないのに!」
ロン「君ってとっても清潔で素直で嘘を知らない男だよな、あぁ。もちのロンで」
ハニー「えぇ、そうね。質問に答えさせてあげるわ?マンダンガス、盗人豚?」
マンダンガス「へぇ!ハニー!」
ハーマイオニー「盗人豚ってどうなのよ……」
ハニー「あなたが手当たり次第にこの屋敷から貴重品を盗んだ時、クリーチャーの部屋にあるものも持っていったわね?」
マンダンガス「へぇ!」
ハニー「その中に……ロケットは、あったかしら?」
マンダンガス「ロケット……あー……あぁ!へぇ!ありやした!!あったあった!でけぇやつだった!」
ハニー「!」
ロン「やったぜ!」
ハーマイオニー「っ!これで!」
クリーチャー「レギュラス様万歳!」
マンダンガス「な、なーだよぉその反応……いや妖精はマジでなんだそれ……レギュラス……あー!シリウスよりかっちょ悪いあいつかぁ!」
クリーチャー「おぉっとヤカンが滑った」ジュゥウウウウウウウウウウウ!
マンダンガス「あああああっつうういいいいいいほんとあつやめろヤーーーーめろ!!やめ!あつい!!!!」
ハニー「クリーチャー、話を続けたいから下がって……やっと、だわ。やっと……マンダンガス、それは、今どこにあるの???」
マンダンガス「し、しぬかと思った……どこに、ってぇ?なんでだ?あれぁ、値打ちもんか!?」
ハーマイオニー「! まだ持ってるのね!」
ロン「いいや、違うね。このクズ、ここまで来ても『あの時もっと高く売りゃぁ良かった畜生マー髭!』って思ってんのさ。おいクリーチャー、ヤカンかせよ」
クリーチャー「はい。クリーチャーはこのマグカップで……」
マンダンガス「やーめろ!やーーーーめろ!!高く売る!?そうさな、そりゃあどえらく簡単だったろうよ!あれぁ、タダでくれてやっちまったんだからよお!やーーーーめろ!!!!」
ハニー「……タダで、あげた?」
ロン「冗談やめろよ、笑えない。君がタダで譲る?その日は空からマーリンが降っただろうよ」
ハーマイオニー「観測所もびっくりね、えぇ」
マンダンガス「本当だって!俺ぁよ、ダイアゴンで売りさばいてたんだ。そしたらそのアマが来てよお、こう言ったわけよ。『魔法製品を売買する許可を持ってるか』ってよぉ」
ハニー「……魔法省の人、って、こと?」
ロン「うへぇ……また、よりによって」
ハーマイオニー「まだ、まだ分からないわ……あちらに陥落する前のことなら、その相手次第で……一体、誰なの?名前は?」
マンダンガス「さぁな、知りたくもねぇよ、あんな、うぇっぷ、気持ち悪ぃ魔女……ありゃ人か?うぇっぷ」
ハニー「……え?」
ロン「……うん?」
ハーマイオニー「……その人、ひ、ヒト?は……何と、言っていたの?」
マンダンガス「あー、許可がないなら罰金だ、とかよお。けんど、俺がもってたそのロケットに目ぇつけて……ロケットをよこせば、見逃してやるってよぉ。きんもちわりぃ笑顔で、咳払いしやがって……ああ?」
ハニー「」
ハーマイオニー「」
ロン「」
クリーチャー「……ハニー・ポッター様?ご友人様?どうなさいました?お顔色が優れなく……おい盗人存在そのものが犯罪野郎何を言ったこの――」
ハニー「いいの、クリーチャー……ま、マンダンガス?その、魔女……その、人……?は……どん、な……咳払い、を……ちょっと真似して、みせられる、かしら?」
マンダンガス「あー?いいけどよお、特徴的だったし。姿見もな……うっぷ、思い出したくもねぇ、全身まっピンク……頭の天辺にリボンつけた、ババァ。きんもちわるい、ガマガエルみてぇな……そうだ!そうだ!名前も、うっぷ、言ってた!」
マンダンガス「『エヘン、エヘンッ! ドローレス・ジェーン・アンブリッジの出番ですわ♪』って、よお――」
ハーマイオニー「イヤーーーーーーー!!!!」
ハニー「嘘よ!!嘘よ!!!!う、『嘘をついてはいけない』だわ!!!いや!!!!絶対嫌ぁあああ!!」
ロン「うっぷ、そ、想像だけで、うぇ、ま、マーリンの髭ぇえええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」
ちょっと順番を変えて今日はここまで
次は来週の土曜夜から日曜にかけて
じゃあの!
禁書キチガイが湧いたのには>>1にも問題あるとおも
禁書厨がキチガイ揃いなの分かってるのにアクポタ書いてる途中で逃亡
別のSS書き始めたのにそこに禁書ネタ入れたら禁書SS催促する馬鹿が湧くに決まってる
アクポタも禁書SSも書くつもりがないならハッキリ言うべき
禁書厨は頭悪くて空気なんて読めないから続きは書かないって言わない限り分かんないだろ
>>468へのお便りはこっちの方へどうぞ
【ハリポタ二次創作】豚定例会議場 10ヒン目【ハニーシリーズ専用】
>>468
だよな~
でも>>1が途中でバックレた理由が一方通行が新約3巻でクズイ地金を晒したのが原因だってんなら同情の余地あり
あれらの一方マンセーSSは>>1にしても黒歴史なんだろうぜ
胸糞悪い責任転嫁野郎を美化マンセーするSSを書いてましたなんてお笑いだしな
支持してるのも一部の過激な一方信者だけだし、虚しくなったんじゃね?
>>469
以後気を付けま~す
>>470
禁書キチガイっておまえのことなんだけど?
ハ _
___ ∥ヾ ハ
/ ヽ ∥::::|l ∥:||.
/ 聞 え | ||:::::::|| ||:::||
| こ ? | |{:::::∥. . .||:::||
| え | _」ゝ/'--―- 、|{::ノ!
| な 何 | / __ `'〈
| い ? ! /´ /´ ● __ ヽ
ヽ / / ゝ....ノ /´● i
` ー―< { ゝ- ′ |
厶-― r l> |
∠ヽ ゝ-― `r-ト、_,) |
レ^ヾ ヽ>' ̄ LL/ 、 /
.l ヾ:ヽ ` 、_ \\ '
l ヾ:ヽ ト`ー-r-;;y‐T^
| ヾ `ニニ「〈〉フ /∥.
この辺にしといてやるか
騒がせたね
あんたの一方マンセーSSは反吐が出る程大嫌いだけどこのシリーズは本当に好きなのよ
頑張ってネ鹿児島くン★
>>473
それ何処のAAだっけ?
どっかで…
>>475
「え?何?聞こえない」でググってみ給え
【おまけ】
一方厨クラーーーーーーーーッシュ!!!!
./{//ノィ_
/{ ノl/ ∠ _ _
_ト{ レ´ _ハ____ . ̄/ /^/ / / )
\ //+ ±_±} フ ノ / ./ / /
/ γ {// / ⌒ヽ、〈 , .――――――――― ´ /
.∠_ ,ゝ `./ _ _ __ l > / (____
/ 〉_ノ fヾヾヾヾゝ.lN .___ / _____________)
∠ 从 .) ゝ、___ノ::::::::::::::::::ヽ / ´
ム ゞ、`ヽ. ゝ、_ \:::::::::::::::::::::::::::::::} /
从ノVN从__ \ .\ \:::::::::::::::::::::::::} /
>ー::::: ̄ .:::::≧x .\ .\:::::::::::: ,::ノ/
/:::::::::::::::::::\\:::::::::::::><´\ /{./{_/l__//ノ/l___
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./ .`>- 、__人:::::::::::::::::::::::::::::lノ::::∠////////////////////////> !
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| | V :::::::::::::::ヽ}:::::::::::::_::::ゝ=::/ / ,:' \
| l 》___:::::::::::::::::::::/ \:::/ / .,' \
| | ハ__ \:::::::::::::::\_/:::l /:::〉 ___ノ \
` , .r⌒ヽ l ハ、:::::::::`ヽ}::::::::::::::::: :::::::!./::::::/ _, - ´---=三__ \
l , ┤ }l ハ  ̄ ̄ \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/, '´ / / \
} / l .ハ ゞ ̄ ̄ ̄`ヽ}::::::::::::___::::::::::::::::::li / /\ \
ノ/ ∧ }ゝ、 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ 〉::::::::::::::::{ / l \ \
/. , / .l ノ \ />x:::::::::::::::::::::::::::::::\/ :::::::::,:::<マ .{ { \ \
.i | .{ ゝ- ´ ` ̄ ̄ ̄) ≧ュ::::::::::::::::::::::::::::::x≦ ∧\ ) ) \ \
.} { \ γー-´ `¨¨¨¨ l}¨¨¨¨¨´ ∧ \ / ./ .\ \
/ ., ,\ \ _ノ / l} ∧ \ / ./ γ´ ハ
.〈 { { \_ノ---<´ ./ l} ∧ \/. / / }
ゝ__\_\_ノ / /⌒\ ∧ \ /.`ヽ、/ /
九月
ギィィッ
バサッ
ハニー「……」
ザァァァッ
ハニー「あなたを殺したのは私じゃない。いい加減しつこいわよ、埃のダンブルドア。埃豚」
埃豚「ヒンヒン!」
サァァァッ
ハニー「……外から戻る度に顔を合わせていたら、いつのまにか豚になっていたわね、まったく……戻ったわ!」
バタバタバタッ!
ロン「ハニー!おかえり!ヒンヒン!君がいない間この屋敷ん中はすっかり綺麗になったはずなのに前みたいなうすぐらーい陰気な風に戻っちまったみたいだったよ!マーリンの髭!」
ハニー「えぇ、私っていうなにより綺麗な存在がなかったものね、当然だわ」
ロン「違いない。連中、まーた外で見張ってるかい?マグルの町のど真ん中でマントなんて羽織ってる、死喰い人〈)はさ?」
ハニー「えぇ、相変わらず。玄関の外であろうと、この屋敷の敷地ないであれば私の姿は見えないようだけれど」
ロン「一生分の損をしてるよな、君の存在が見えないなんてさ……収穫は、どうだった?あぁ、ハニーがもたらす情報は空模様一つであっても僕らの希望と支えになるけどね」
ハニー「ハーマイオニーと一緒に聞かせるわ……クリーチャー、もういいかしら?」
クリーチャー「はい、女主人様。貴方様が敷居を跨いだ瞬間から妖精ヘッドスライディングで音も無く跪いたクリーチャーは、ハニー・ポッター様のお靴をしっかり磨き上げて存じます。さぁ、お脱ぎください。そしてこちらの、シリウス様がお使いになられていたスリッパを」
ハニー「……ロンとハーマイオニーの進展は?」
クリーチャー「眼を合わせてしばらく見詰め合ったあとハッと我に返りお互いに『ななな、なんでもないわ!』『ま、マーリンのパンツどこにしまったっけ!』と言う始末で」
ロン「ほんと、君って、無駄に使える豚になったよなちくしょう!マーリンの髭!」
ハーマイオニー「あぁ、ハニー……お帰りなさい。魔法省入り口の様子は、どうだったかしら」
ハニー「怖いくらい、普通よ。実状を知らなければ、この数週間であんなことが起きたなんて少しも感じさせないくらいに……アンブリッジは、現れなかったわ」
ロン「そりゃ、ハニーの気分を害するもんがなくてよかったよ……高官のほとんどはあの公衆トイレの入り口じゃなくて煙突飛行ネットワーツを使うってパパが言ってたし、多分あの婆はそれだろうな」
ハニー「あぁ、そういえば。お父様は見たわよ、ロン。お元気そうだったわ」
ロン「……良かった。あぁ、うん。きっとほら、おでこは広がってただろうけどね?いい報せだよ」
ハーマイオニー「髪の話はやめてさしあげて……『預言者』の方には?」
ハニー「……喜ばしくないニュースが、あったわ。アンブリッジの存在と、同じくらい……『セブルス・スネイプ、ホグワーツ校長に確定』」
ロン「! まさか!」
ハーマイオニー「!? 『歴史あるホグワーツ魔法魔術学校における一連の人事異動で、最重要職である校長が本日任命された――スネイプ氏は長年ホグワーツで「魔法薬学」教授として勤めた人物である」
ハニー「そして人殺しね」
ロン「まったくだ……コメントまで、偉そうに述べてやがるぜ。オホン。『我が校におけるー、最善の魔法の伝統と価値を高揚する機会をー、わぁがはいは歓迎する――』どうだい?嫌味ったらしいドブみたいな声まねできてたかな?」
ハーマイオニー「『最善の魔法』ですって!?『伝統と価値を高揚』!?えぇ、そうでしょうよ、殺人とか人の耳を切り落とすような――本当、本当、もう!」
ロン「あぁ、マーリンの――」
ハーマイオニー「マーリンのパンツ!!!」
ハニー「」
ロン「」
ハーマイオニー「……………」
ハニー「あー……えっと?」
ロン「おい、え?ぷっ、くっ、ハーマイオニーさん?いま?うん?」
ハーマイオニー「……いい機会だわ、ロン。ちょっと忘却術の練習、させてもらえるかしら」
ロン「いーや、忘れてやらないね。永久保存さ、もちのロンで」
ロン「あー、笑った笑った。一生もんのネタが出来たよ」
ハニー「ハーマイオニー、顔を真っ赤にして行ってしまったわ。可愛い……あなたが口走ったことを真似したんだとしたら、私としては微笑ましいけれど?」
ロン「よし、ツンパのことは忘れよう……やぁハーマイオニーお帰り。それで?マーリンの猿股がなんだって?」
ハーマイオニー「忘れろと言っているの……この額縁を押し込むのを手伝って頂戴。これ、フィニアス・ナイジェラスの肖像画よ」
ロン「なんだい?不意な野宿になったときの薪にでもするのかい?」
ハーマイオニー「スネイプが校長になったと言うことは、あの校長室に入れるということよ。つまり、歴代校長の肖像画に指示を出すことができる……フィニアスをスパイとして送り込みかねないわ」
ハニー「あの強情屋が、そう簡単に使われるとは思えないけれどね」
ロン「冴えてるぜ、ハーマイオニー。おら、さっさとこのハンドバッグに入っちまえ!クリーチャー手伝え!」
クリーチャー「御意に! おら! かつてお世話させてもらった方であってもレギュラス様の命の前にはオラ!」
ハーマイオニー「心強いわ、えぇ……魔法省の方も大分、情報が集まってきたわね」
ハニー「えぇ、そうね。この数日交代で、一人が数時間程入り口を見張ってきたおかげで……たまに私とハーマイオニーだったけれど」
ロン「何故だかその時は得られた情報が少ないんだよな。あ、不満を言ってるつもりはないよ?全然?つづけて?次の日そのナニかあったマント羽織らせてもらってるだけで僕ぁ大満足だから、どうぞ」
ロン「スネイプ校長、字面から不快だよなまったく。あのフニャチン野郎に校長だって?」
ハニー「フニャ……?」
ハーマイオニー「……弱虫、という意味よ、ハニー」
ハニー「そう、物知りねハーマイオニー」
ロン「マーリンがツンパ脱ぐはずだよな」
ハーマイオニー「黙らせるわよ本当に……様子がおかしかった年寄りの魔法使いと、濃紺のローブを着た魔女は、今日現れた?入り口は使っていたけど、怪しいあの二人……」
ハニー「年寄りの方は、今日もノイローゼ気味だったわね……ブツブツ言うのを今日、ようやく聞けたわ。『またアンブリッジの小間使い、また今日も、あの一階の執務室、ウェップ……』って」
ロン「哀れな魔法使い、せめて僕らにいい情報をくれたってことを教えてやりたいね。あの婆の部屋は一階か。もっと地下にぶち込めばいいのに」
ハーマイオニー「ロケットを取り戻してからね……取り戻して、それで」
ハニー「えぇ、そうね。明日にも、決行しないといけないわ」
ロン「オーケーハニー!よーしクリーチャー!今日の晩餐はとびっきり精のつく奴にしてくれよな!」
クリーチャー「ちょっとリーエム狩ってくる!」
ハーマイオニー「即答しないの!!!は、ハニー!?明日!?」
ハニー「そうよ。必要なことは大体わかったじゃない?これ以上、一ヶ月もあの入り口を見張ったってなんの進展もないわ。だから、明日」
ハーマイオニー「だからってそんな、急に……」
ハニー「私は私のしたいようにするの。先延ばしにして、いい結果は生まれないわ……アンブリッジがロケットを捨ててしまったとしたら?あれは、開かないんだもの」
ロン「開け方を見つけてたら、あのババァに『あの人』が取り憑いてる状態ってわけか。ウゲェー……あんまり変わらないやどうしてだろうね、まったく」
ガチャッ
ギィィィィッ
ロン「よし、明日決行するとしてさ。その役目はやっぱり、僕一人に任せてもらうべきだと――今の音、玄関ホールか?」
ハーマイオニー「ロン、その話はもう済んだはずで――誰かが、入ってきたわ」
ハニー「馬鹿を言うんじゃないわよこの豚。飼い主無しで何が出来ると言うの――!」
バタバタバタバタッ
バンッ!
埃豚「セェェェブルスか?セェェェェブルス?」
リーマス「あんな泣きミソと一緒にしないでください。あなたを殺したのは、私じゃない」
ザァァアァッ
ハニー「誰なの!」
『血を裏切る者どもが蔓延っている!それに!汚らわしい人狼!!あのバカな野蛮な男の同類!!』
クリーチャー「奥様、おしずかに」
リーマス「……色んな意味ですっかり見違えたね、ここは。私だ!リーマスだよ!」
ロン「お菓子と言ったら!?」
リーマス「チョコレートだ」
ハーマイオニー「学生時代のあだ名は!」
リーマス「ムーニーと呼ばれていたよ」
ハニー「トンクスのことは!」
リーマス「愛して――ハニー、違う、だから、君のはちょっと違うよいつも」
リーマス「読みが当たってよかった。君達なら――と言うか、ハニーなら此処に来るだろうと思っていたよ」
ロン「ハニーってわかりやすいからn痛い!ありがとう!!おいクリーチャー!追撃しなくていい!脛蹴るな!僕はマゾじゃないぞ!」
リーマス「元気そうで何よりだよ……それでは、セブルスが来る気配はないのかい?外にはお仲間がいるようだが」
ハニー「えぇ、あの童貞は現れないわ……リーマス、どうなってるの?みんなは?」
ハーマイオニー「私達、アーサーおじさまから守護霊で連絡をもらったっきりで……」
リーマス「大丈夫、本当だ。だが、みんな監視されている。私も本当はここに三日前に来たかったのだがね……連中の追跡を振り切らなければならなかったんだ」
ロン「トンクス抱えて?あれ?そういえばまだ傘立て倒す音が聞こえないけど……」
リーマス「……彼女は、一緒じゃないよ。あぁ、私一人だ、見てのとおり。それより、君達はあれからどうしたんだ?まっすぐ、ここに来たのか?それとも、あー、やはり聖マンゴに……?」
ハーマイオニー「必死で止めたわ」
リーマス「うん、君がいてくれて本当に良かったと思うよ私は」
リーマス「……マグルの通りで、すぐさま君達に追っ手が……?」
ハニー「……私の美貌が目立ちすぎるせい、ね」
ロン「変身も溶けてたしなぁ」
リーマス「二人とも、真剣に。どういうことだ……?姿を消す瞬間に捕まえていなければ、『姿くらまし』をした者を追跡するのは不可能だ」
ハーマイオニー「私達、疑ったの。もしかしてまだハニーに匂い……じゃなくて、『臭い』がついてるんじゃ、って」
リーマス「いや、それは無い。だとしたら連中は、ここに君達がいると確信もって、もっと大勢でここを取り囲むはずだろう」
ロン「そんじゃ、今はとりあえずハニー所縁の地を見張ってるってだけなんだね?世界各所にあるけどさ」
ハニー「眠る暇もないわね、ハーマイオニーみたいに……リーマス。私達が行った後のことを話して。あそこに現れたのは……死喰い人だったの?それとも……洗脳された、魔法省の……?」
リーマス「両方だ。そして今や、両者にほとんど差は無いといえる……私達も尽力したが、何人か、あの場に残して行ってしまった。いや、誰も死んではいない。君の居場所を聞き出すため、尋問を受けたそうだがね……」
ハニー「……」
リーマス「そう、アーサーが聞いた噂だが……連中は『隠れ穴』に君がいることを知らなかったそうだ。とにかく君と縁のある人間が集まる場に乗り込むことが目的だった、と」
ハニー「……けれど、その前には魔法省は陥落していた、そうでしょう?だったら、私がいることを……あの人が」
リーマス「スクリムジョールはね、ハニー。こう言ったそうだ」
リーマス「『あの娘の居場所を貴様らに教えるくらいなら、私はここで魔法省と共に滅びる道を選ぶ』と」
ハニー「…………」
ロン「あぁ、うん。いいぜハニー。背中がちょっと乾いてた頃だしね、だろ?クリーチャー?」
クリーチャー「えぇ、わき腹あたりにタオル生地を縫い付けておいて正解でした」
ロン「すごいな君」
ハーマイオニー「……あの人は最後に、守ってくれたのね」
ハニー「……もっと違う、時に……知り合いたかったわ」
リーマス「連中は結婚式を滅茶苦茶にした後、『隠れ穴』を上から下までひっくり返した」
ロン「あぁ、そりゃ、双子が大暴れした日の次くらいにはめっちゃくちゃになっただろうよ……」
リーマス「その後は、騎士団の関係者の各家に乗り込んで尋問をしたそうだ……大丈夫だ、誰も、死んでいない。表向きは、魔法省の健全な捜査、という名目だったから」
ハニー「……けれど、あいつらが『磔の呪い』を躊躇するとは、思えないわ」
リーマス「……あぁ、新魔法省はその類の強力な呪文を使用する許可を出した。だから、騎士団の守りの多くも破られたんだ……トンクスの両親も、尋問された。無事だよ、本当だ。ショックを受けてはいるがね」
ハーマイオニー「そんな、非人道的なことを!健全な捜査!?なんの理由もこじつけずに、そんなこと許されるわけが……」
リーマス「理由なら、作られたのさ。この号の『預言者』を読んでいなかったかい……ここだ」
ハニー「……『アルバス・ダンブルドアの死にまつわる疑惑 ハニー・ポッターを指名手配』」
ロン「……ハニーが一面飾ってるってのになんだよこの文面、もっと褒め称えて新聞に跪きたくなることを書き連ねろよまったく!マーリンの髭!」
ハーマイオニー「……新聞社まで」
リーマス「乗っ取られた、そうさ……スクリムジョールの死も、単なる辞任と報道している。後任はバイアス・シックネス。当然、そうだ。以前から服従の呪文で、あちらに操られて居ることが分かっている」
ロン「なんで、れ、あー、ヴォルデモートは自分が大臣だ!って名乗らなかったんだい?」
リーマス「影で操っている、そう皆が感じていれば奴にとっては十分なんだ。むしろ、その方が都合がいい。魔法界皆が思って居るだろう、何せ省の方針が百八十度変わったのだから」
リーマス「だが、だれも確信を持てない。囁くだけだ。下手なことを言えば、この誰を信用していいか分からない段階でどこで聞かれているか分からない。自分と、家族が狙われることを恐れる……黒幕に留まることで、人々の噂に存在を覆わせることで不安を煽り、恐れを、混乱を引き起こしたんだ」
ハニー「……前にシリウスが言っていた、通りだわ」
リーマス「あぁ……今言ったのは私なんだがね……あーもう本当……彼は何をしてるんだ名前を口にするだけでこの子はこんなに微笑んでるのに……とんだねぼすけめ」
ロン「いたい!ありがとう!ヒンヒン!」
ハーマイオニー「……本当なら世の中の大勢がヴォルデモートへの抵抗のためにハニーに味方するはずだった、のを……ダンブルドアの死と関連づけさせることで、疑いと恐れの種を撒いたのね」
リーマス「そういうことだ。昨今の、ダンブルドアそのものへの不信にも便乗してね」
ハーマイオニー「……あのコガネムシ、今度会ったら羽むしってやるわ」
ロン「手伝うぜ……なぁ、リーマス。このハニーが一面な素晴らしい新聞の……二面に書かれてる、胸っ糞悪いこの単語、こりゃなんだい?『マグル生まれ登録』だって?」
ハーマイオニー「……」
ハニー「……『魔法省はいわゆる「マグル生まれ」魔法使いの調査を始めた――神秘部の最近の研究によれば、魔法は魔法使いの子孫によってのみ受け継がれるものであり――それ故、「マグル生まれ」は窃盗または暴力によって魔法を得た可能性が――魔法省はこれらの不当な強奪者を根絶やしに――』なによ……なによ!!!これ!!!」
ロン「まともじゃない!魔法を『盗む』!?そんなことが出来るなら、どうしてスクイブなんているってんだ?こんなの、みんなが許すもんか!」
リーマス「……残念だが、ロン。今この瞬間にも、魔法省では『マグル生まれ狩り』が進んでいる……近親者に少なくとも一人、魔法使いがいることを証明できなかった者をね」
ロン「……おいハーマイオニー、君、ぼくん家の家族になれよ」
ハーマイオニー「……えぇ……えぇっ!?!?あ、え、えぇ!?!?!?」
ハニー「クリーチャー!例のものは!!」
クリーチャー「ばっちり図面通りに純白のものを縫い上げてございますハニー・ポッター様!!」
ロン「僕が君はいとこって言い張るかrおいクリーチャーなんだよそのヒラッヒラがたくさんついたドレスは!?ま、マーリンの髭!!」
ハーマイオニー「あ、ああああの、ふ、ふつつつ不束者で、えーっと」
リーマス「……平和だなぁ、平和じゃないけど」
リーマス「……ハニー。これから言うことを、認められなくても構わない。だが私は、シリウスの代わり、ではないが……それに近い者として、君に提案したい」
ハニー「……なぁに?」
リーマス「騎士団は、ダンブルドアが君にある使命を残したのではないかと考えている」
ハニー「……そうよ。それに、ロンとハーマイオニーも。一緒にいてくれる、手伝ってくれる、って……約束、させられたわ」
ロン「僕達ハニーがいないとどうしようもないからね。逆もまたしかり」
ハーマイオニー「決まりきってたことだわ、えぇ」
リーマス「……それがどういう使命か、私に教えることは?」
ハニー「……」
リーマス「……」
ハニー「……他の答えが、出来たら良かったのだけれど。ごめんなさい、リーマス。ダンブルドアがあなたに話していないのなら、私は話すべきではないわ」
リーマス「……はーっ。そう言うだろうと、思っていたよ……ハニー、君の勇敢さは素晴らしい、そうだね……だが、どうだろう。打ち明けてくれなくてもいい、目的も聞かない。君達に同行させてはくれないか?」
ハニー「……え?」
ロン「リーマスが一緒に?そりゃいいや!物凄い戦力アップだよ!ハニーの何分の一力かわかんないけど!」
リーマス「ははっ、そうだろうね。私が何者で、何が出来るかは知っているだろう、ハニー?役に立てると思うのだが」
ハーマイオニー「……」
ハニー「……えー、っと」
リーマス「道中、学生時代の話もたくさんしてあげられるよ」
ハニー「……ほ、本当に?」
リーマス「あぁ!だから……」
ハーマイオニー「リーマス」
リーマス「あぁ、ハーマイオニー。君も何かとスルーするのも限界だっただろう?私が加われば少しは――」
ハーマイオニー「トンクスのことは、どうするつもりなの?」
ハニー「……」
ロン「……」
リーマス「…………トンクスが、どうしたって?」
ハーマイオニー「だって、だってあなたたち二人は、あー、夫婦じゃない?」
リーマス「確かに、そうだね」
ハニー「あなたが私達と一緒に行ってしまったら……トンクスは、一人?」
リーマス「いいや、完全に安全だよ。実家に帰ることになる。新しく保護を用意しなおした。危険は及ばない」
ハーマイオニー「そんな……冷たい言い方って……えっと、リーマス?トンクスとはその……上手くいって、ないの?」
リーマス「あの惚気っぷりを見て、そういえるかい?」
ハーマイオニー「そうよね……でも」
ハニー「……」
リーマス「……上手くいっているとも。ああ、何せ……彼女は今、あー……うん」
ロン「? 何さ」
リーマス「……彼女は実は、ね……あー……妊娠、したんだ。二ヶ月が過ぎたかな……これでいいかい?」
ハーマイオニー「まぁ……!素敵!!……あまりに早すぎる気はするけど」
ロン「いいぞ!!……本当、狼なんだなぁリーマスって」
ハニー「コウノトリが! おめで……リーマス?」
リーマス「……言いたいことは分かるよ、ハニー。だがね、あー、ほら私もほら、私はほら、狼で――」
ハニー「…………そんなトンクスを実家に置いて、私達に、着いてきたいの?」
リーマス「……あぁ。何せ君たちのやろうとしていることは、とても重要なことだ」
ハニー「……」
ハニー「……トンクスのことが重要でないわけが、ないわ」
リーマス「……彼女も分かってくれる。ダンブルドアだって、そうだ」
ハニー「……」
リーマス「彼が承知してくれないとは思えない。何せかつてあの人が私を『闇の魔術に対する防衛術』の教師として招いてくれたのだからね。厨房専属パティシエでなく」
ハーマイオニー「候補にあったみたいな言い方よして」
リーマス「それに、言っておくが。ハニー、君達の成し遂げようとしていることが何であれ、ほとんど誰も出会ったことがなく、想像もしたことがないような魔法と対決することになるだろう」
ハニー「……」
リーマス「そんな場に、君達だけを。君だけを行かせるなんて、きっと……リリーは望まないだろう」
ハニー「…………」
リーマス「ジェームズは言うだろう、私に『勇気を出してハニーについていって欲しい』、とね」
ハニー「………………」
ロン「あ」
ハーマイオニー「? なに?」
ロン「グーだ」
ハーマイオニー「?」
リーマス「そう、シリウスの代わりと言っただろう?私が君をしっかり守ってみせよう」
ハニー「……」
リーマス「リリーに感じた恩を、今こそ君に返したいんだ。そうさせて欲しい」
ハニー「……」
リーマス「さあ、ハニー。ジェームズもきっと、喜んでくれる。彼なら間違いなく、私に、君と行ってほしいと――」
ハニー「……さぁ、どうかしら」
リーマス「うん?」
ハニー「ハッキリ言わせてもらうわ、リーマス」
ハニー「歯ぁくいしばりなさいよ、このフニャチン!!!!」
リーマス「!?と、トンクスが妊娠してるんだからそんなこtああああああああああああっ!?!?」
バキャァアアアアア!
ロン「いったーー!いったーーーーーー!ハニー姐さんの黄金の右ストレートやーーーー!!」
クリーチャー「フニャチン飛んだーーーーー!そしてそのまま……壁に激突だーーーーーーー!!!」
ハーマイオニー「は、ハニー!?!?ちょ、そ、そういうのは私、あぁ!ちょっと!?」
まさかドラコ以来の右ストレートぶちこみ相手がリーマスだなんて
うらやまヒン
リーマス「ぐっ、がっ、ふっ、ふーっ、ハニ、ぃ?何を……」
ハニー「何を、じゃないわよ。何よ……何よ!!!パパや!ママやシリウスのことを!!あなたの汚い言い訳のために使わないで!!」
リーマス「言い訳、などでは……」
ハニー「言い訳だわ!!何故自分の子供と一緒にいないの!?どうして!!ママは!パパは!シリウスは!そのわけを知りたいはずだわ!!」
リーマス「……君には分かってない。大人になれば――」
ハニー「くだらない!!!くだらない!!!!!いつからあなたはそんな弱虫になって――」
リーマス「っ、私は――過ちを犯したんだ!重大な過ちを!」
ロン「うん、確かに早すぎるよな」
リーマス「そっちじゃなくて!!そこ今突かなくていい!!黙っててくれ!!!へこむから!!!」
ロン「はい」
リーマス「トンクスとはそんな仲になるべきではなかったのだんだ!!子供なんて!!結婚だなんて!!!!自分の良識に逆らう事を!!ずっと、後悔していた!!」
ハニー「それで!?だから、トンクスと子供を!!!捨てて!!!自分のくだらないウジウジした後悔のために!!!!二人を捨てて逃げ出すっていうわけ!?!?」
リーマス「分からないのか!?私は……わたしは……!!!!!妻にも、まだ生まれてもいない子供にも!!!私が何をしてしまったのか!!!!あのみんなの中で輝く笑顔を!!!!光を!!!わたしは!!!!のけ者にしてしまったんだぞ!!!!!!」
ハニー「あなたのどこがのけ者だって――」
リーマス「だから君は子供だと言うんだ!!!何も分かっていない!!!何も!!!分かって!!!いない!!!」
リーマス「君はわたしのことを受け入れてくれる者の中にいるわたししか見たことがない!!」
リーマス「普段のわたしが!!世間でどんな扱いを受けているか知っているのか!?」
リーマス「世の中の大多数がわたしのような生き物をんな目で見るのか知っているのか!?!?」
リーマス「わたしが背負っている病がわかると途端にどんな態度をとられるか知っているのか!?!?!?」
リーマス「わたしの同類は普通、子供を作らない!前例もない!自分と同じ病に犯される、そうに違いないと恐れているからだ!!」
リーマス「自分が受けてきた扱いを!!!向けられてきた目を!!!とられてきた態度を知っている者が!!!罪も無い子供にそんなものを押し付けるなんて!!自分が許せない!!わたしは、わたしは!!」
リーマス「例え子供が人狼にならなかったとしても!!!こんな愚かな父親は!!恥に思うような父親は!!!!その子のために!!!いないほうがいいんだ!!!!」
ロン「お、おいおいリーマス、それはさぁ」
ハーマイオニー「そ、そうよ、あの、あなたのことを恥に思う子供なんて――」
ハニー「そうね!そうよ!私なら、わたしならとっっっても恥ずかしいわ!!こんな人!!!」
リーマス「っ、そうだ!だから――」
ハニー「迫害が分かってないですって!?世間の目を知らないですって!?」
ハニー「当たり前でしょ!!!そんなの、あなたしか分からないわよ!!!」
ハニー「あなたしか分からないのに!!!!!!!」
ハニー「どうして子供を、そんなものの中に置き去りにしようとするの!!!それを!!!トンクスに全て押し付けて!!!逃げようとしてるのよ!!!!!」
ハニー「それから二人を守れるのはあなたでしょ!?戦ってきたあなたでしょ!?!?」
ハニー「人狼でも、嫌われても、避けられても!!人と触れ合うことを諦めないで!!!!!」
ハニー「私のパパとママと!シリウスと出会って!!!立派な魔法使いになった、あなたでしょ!!??」
ハニー「あなたしかいないじゃないの!!」
ハニー「世界で、あなたしか!!父親のあなたしか!!!トンクスが愛した、あなただけじゃないの!!!」
ハニー「パパとママは!わたしを守るために死んだわ!わたしは、わたしは二人を誇りに思う!!!」
ハニー「そんなパパがあなたに、わたしに着いて行けって言うと思うの!?!?」
ハニー「バカにしないで!!あなたみたいな腰抜けと!!一緒に、しないで!!」
ハニー「出て行って!!!!早く!!!クリーチャー!!」
クリーチャー「オラ!この腰抜け!!キビキビ歩け!!!」
リーマス「っ……!」
ガチャッ!! バタンッ!!
ハーマイオニー「ちょ、っと、ハニ……リーマス!待って、リーマス!!あぁ……ハニー、あれは言いす……あぁ」
ハニー「っ、ぇっ、っ、バカ、リーマスのバカ!大バカ、だわ!」
ロン「うん、分かる分かる。僕サンドバック、君の拳を受け止める唯一無二の存在だぜ、今締め技くらってるけどね。もちの僕で」
なんでリーマスが豚になる理屈に繋がるのか……ハニー泣き損じゃねーか
リーマス「……あぁ」
(君が今立っている場所にどれだけの人間がたどり着けるか知っているかい?)
リーマス「……ジェームズ。君が、教えてくれたんだった」
(狼人間でありながら、人に忌み嫌われながら、闇の誘惑に日夜晒されながら。君のように健やかで、人を思いやり、闇の力を退けられる人間がどれだけいるか)
リーマス「君達は、どこまでも」
(君は僕の誇りだよ、リーマス。僕の友人たる者だけある。僕が人を褒めるなんて、魔法史に残る重大事件だよ)
リーマス「……」
(さぁ、リーマス。勇気を出せ。僕を巻き込め。でないと、そうだな。力づくで噛まれてやるぞ)
リーマス「……勇気、を」
ガチャッ
トンクス「……あっ!あぁっ!!リーマス!よか、よかった!どk」
リーマス「ニンファドーラ!」
トンクス「うん?」
リーマス「結婚してくれ!!」
トンクス「してるよね!?!?!?落ち着いて!?リーマス!?リーマス……なんで泣いてるの?」
リーマス「――懐かしい友人に、確かに、また出会えたからさ」
眼鏡がマジで眼鏡眼鏡してる
夜
ハーマイオニー「……ハニー、眠れそう?」
ハニー「……頭がガンガンするわ」
ロン「そりゃ、あれからあんだけ大泣き痛い!怒り狂ってリーマスに対する怒号を延々続けてりゃね、そりゃそうさ、ハニーがなるんだ誰だってそうなる」
ハニー「当然ね……親は、子供から離れるべきじゃないわ……絶対、絶対に」
クリーチャー「親から離れて行く子供はおりましたが。ハニー・ポッター様、糖蜜パイにございます」
ハニー「一言目が余計よ、クリーチャー……ありがとう……頭が、痛いわ……頭、と言うより……額、かしら」
ハーマイオニー「……ハニー、また……」
ロン「責めてやるなよハーマイオニー。何もハニーは、見たくて蛇面拝んでるわけじゃないんだぜ?」
ハーマイオニー「それはそうだけど、ダンブルドアはこういうことはやめた方がって……」
ハニー「分かってる、の。けれどね、わたし、どうしても『閉心術』が……あぁ……あいつが、また……誰かを……手にかけたわ……グレゴロビッチの……昔の住居に住んでいたって、だけで」
ハーマイオニー「っ……杖職人の、グレゴロビッチね」
ロン「連中、そんなに杖が足りないのかな。だって、もうオリバンダーはとっ捕まえてるわけだろ?」
ハニー「杖を作ることそのものじゃ、ないわ……何か」
ハーマイオニー「探るのは駄目!もう!そんなつながりは、早く……きゃぁ!?」
ハニー「えぇ、そうね、ハーマイオニー……もっともっと、素敵な繋がりを探るほうが、とってもイイわ……そうでしょ?」
ハーマイオニー「あっ、ハニー、ちょ、ちが、そういう意味、じゃ、あぁ、そんなの、石化してもあなたに気づいてもらえるように手紙を口に入れて信じてたこと、思い、だし、あぁ……」
ロン「明日の突入前に景気がいいね!つづけて!」
クリーチャー「どうぞ!!!!」
翌日
ロン「おはよう! ハーマイオニー、君、凄い顔してるぜ。眠れなかったのかい?」
ハーマイオニー「……ご想像の通りよ。ハニーは元気だけど」
ハニー「期待の通りにね、そうでしょ?」
ロン「ヒンヒン!それもだけどさ、ほら、なんていうのかな……あ!そうだそうだ。試験前の君みたいな顔してるよ、懐かしい」
ハーマイオニー「……試験というか、試練だわ」
ロン「違いない。ハニーの前にはオールスルーな関門もいいとこだけど」
ハニー「えぇ、そうね。全ての障害なんてそれごとひれ伏すわ……アンブリッジなんかに、いつまでも遅れはとらないわよ」
ハーマイオニー「意気込みはいいけど、準備と最終確認よ、ハニー……ポリジュース薬、透明マント……おとり爆弾なんかは、各自二個ずつもっておきましょう」
ロン「伸び耳とか、ゲーゲートローチとかも。アンブリッジを拝んで吐かされっちまう前にこっちが吐かしてやろう……かくじつに、もらうけどさ」
ハニー「……あとは、覚悟だけね」
ハーマイオニー「振るえを止めるのと、ね」
ロン「知ってるぜハニー、それ、武者震いって言うんだよね。もちのロンで」
ハニー「当たり前でしょう、この私だもの……クリーチャー?留守をお願いね?」
クリーチャー「はい、ハニー・ポッター様。お出かけ用のお履物はそろえてございます。ご昼食は?」
ハニー「きっと、戻る時間はないと思うわ」
クリーチャー「でしたら、こちらを。タンポポジュースの入ったポットに、えぇ、ウィーズリー様、コーンビーフでないサンドウィッチにございます」
ロン「あんがと。ほんと、いい奴だよな。ちょっと前まで首を引っこ抜きたいと思ってたのが嘘みたいだ」
ハーマイオニー「あなたの屋敷しもべ妖精に対するイメージが改善されたようでよかったわ、えぇ」
クリーチャー「晩餐には、成功を祝ってステーキ・キドニーパイをご用意しておきます。ハニー・ポッター様、どうぞご武運を」
ハニー「……えぇ、クリーチャー。特別大きいのを、頼むわよ」
クリーチャー「ヒンヒン!!」
魔法省入り口近く
路地裏
ロン「ヒヒンっという間に、とりあえず三人の魔法省役人をとっつかまえて縛ったけどさ」
ハーマイオニー「上出来よ。魔女1、魔法使い2、ね……ハニー、今回は男の人に変身することになるけど、我慢して。いい?」
ハニー「少しでも怪しまれないように、でしょう?はい、はい……気は進まないけれど、分かったわ。髪の毛を貰うわね?魔法使いさん」
魔法使い「んーーー!んーーーーー!!!!」
ハーマイオニー「手荒な真似でごめんなさい、でも大切なことなの」
魔女「ん~~!!ん~~~!!」
ロン「悪く思うなよ……うん?結構縛り上げたつもりだけど、こいつやけに平然と……」
魔法使い2「……んっ」
ロン「ねぇ僕こいつに変身しなきゃいけないの?本当いやなんだけどさ。僕、変態じゃないよ」
ハーマイオニー「驚きの事実だわ」
ロンモール「僕はカターモールって奴か……冴えない奴だよ、ハニーの豚には相応しくないnぐぇっ!」
ハニコーン「私は、ランコーンね……あぁ、ロン。そうだったわね。この魔法使いは相当体が、大きいんだったわ」
ロンモール「そ、それでもそれがハニーなら僕ぁささ、ささえ、ヒン髭!」
ハーマカーク「ラベンダー達しか喜ばなさそうな光景になるからやめて。私は、ホップカークね……いい?省の中に入ったら、それぞれの変身相手として不自然がないように振舞うの」
ロンモール「そんで、アンブリッジを見つけてぶっ飛ばしてやればいいってわけだな。簡単簡単、腕が鳴るよ」
ハーマカーク「穏、便、に!済ませるのよ!いいわね!」
ハニコーン「ハーマイオニー?あの女がそう簡単に、自分の持ち物を譲るとは思えないけれど」
ハーマカーク「その時は……どこか目のつかないところで、ステューピファるだけよ」
ロンモール「穏便ってなんだっけ、マーリンの髭」
小休止
6時頃には再開
魔法省内
アトリウム
ロンモール「職員入り口の場所は知ってても本当に入ってみたことはなかったもんだからごめんよハニー僕ぁ君になんて真似をマーリンの髭!髭!」
ハニコーン「声を抑えなさい……えぇ、まさか、この私が自分をトイレに流すことになるなんて、屈辱だったけれど。魔法って凄いわね……流された先が、この暖炉だなんて」
ハーマカーク「二人とも、止まっていないで早く行きましょう。悪目立ちして……あぁ、あの趣味の悪い像ほどじゃないけど……なんてひどい」
ハニコーン「像?あぁ、噴水の……大きな魔法使いと魔女が座った玉座の下に……たくさんの人が折り重なってる」
ロンモール「あれがマグルだとでも言いたいんだろうな、胸糞悪い」
ハーマカーク「『魔法は力なり』ですって……行きましょう。エレベーターに乗って、アンブリッジの――」
「カターモール!」
ロンモール「あぁ、あのババァに会うんだと思うとエレベーターが下る先は正に地獄だよな――」
「カターモール!おい!無視をするなこの出来損ない!!」
ロンモール「うわっ!いきなりなん……あぁ!僕、僕かぁ!そうだ、僕だよそうそうカターモールで、それでそっちは……ヤックスリーだ!?」
ヤックスリー「教えてもらわなくとも結構!俺の部屋の窓が未だに雨模様なのはどういうことだ!?今日の朝までに晴れにしておけと言っていたな!?え!?」
ロンモール「あー、そう、そのような、うん……」
ヤックスリー「自分の立場がまだ分かっていないのか、カターモール!俺は今からお前の女房の尋問に行くんだぞ!出来損ないなお前に相応しい、マグル生まれの疑いがある汚物のようn女のな!!」
ロンモール「」
ハーマカーク「っ、なんて……!」
ヤックスリー「あぁ、マフォルダ。こいつはなんて愚かだろうな!次は純血と結婚すればいい。いいか!まだ見捨てるつもりがないなら、一時間以内に対処しておけよ!」
ロンモール「もちの、あー、分かった。やっておくよ、ご苦労さん。ところで、ヤックスリー」
ヤックスリー「なんだ!!」
ロンモール「大声上げさせたお詫びのしるしに、トローチでもどうだい」
ハーマカーク「ゲーゲーやってたわね、ヤックスリー……ロン、あまりいい行動だったとは……」
ロンモール「あれで少しでも時間が稼げれば儲けだろ。それより、あー、ハニー……」
ハニコーン「行ってきなさい。目的とは違うけれど、見殺しにするなんてことできないわ。そうでしょ?」
ロンモール「優しい君ならそう言うと思ってたよ!あぁ、行ってくる。君達はあのババァんとこに……けどさ、雨を止めるなんてどうやって……」
ハーマカーク「『フィニートインカーターテム』を試してみて。呪いや呪詛の影響ならそれで対処できるはずよ。それでも駄目なら、きっと『大気呪文』がおかしくなってるんだわ。その場合はとっても複雑だから、まずは先に『防水呪文』で――」
ロンモール「ゆっくり言ってくれ……あと、移動しながらさ……ほら、エレベーターが来たぞ」
ハニコーン「ヤックスリーの部署は、二階の魔法法執行部ね。それまでは、途中まで……」
魔法使い「おーい、アルバート!そのエレベーター乗せてくれ。いやぁ、参った。尋問の準備に手間取ってしまった」
ハニコーン「えっ……あ……あぁ、乗るといいわ。じゃなくて、乗れ」
魔法使い「ありがとう。今日の尋問はどいつだ?え?ダーク・クレスウェルか?あいつが引っ張られたと聞いて心が躍ったね!これで、次の小鬼連絡室の室長の地位は私のものだ!」
ハニコーン「……」
魔法使い「君のおかげで……あ、アルバート?あの、ら、ランコーンさん?君にその、に、睨まれると、は、はは、あの、な、なんかすいません……」
ハーマカーク「ハニー、今は抑えて、今は」
ロンモール「なぁあんた、トローチはどうだい?」
ポーン!
『二階、魔法法執行部でございます』
魔法使い「うっぷ、ウェップ、何、だろう、まだ、あのヒト……?の顔を見たわけでもないのに、うっぷ、あ、アルバート、これで、ウェェップ」
ロンモール「そういやあいつがいるなら魔法省の奴らってゲーゲートローチなくても吐き気催しぱなしだろうな……僕もここで。ハニー、ハーマイオニー、また」
ハニコーン「上手くやりなさい、ロン。私の豚さん」
ロンモール「ヒンヒン!」
ハーマカーク「私たちしかいないからって迂闊なやり取りやめて」
ガシャンッ
ゴウンゴウンゴウン……
ハーマカーク「次が、一階ね。まずは、アンブリッジの執務室をあたってみましょう。探れればいいけど、もしも、本人がいたら――」
ハニコーン「えぇ、そうね。どうやら私が変身したこのランコーンって、例の尋問に関わってるみたいだもの。話をあわせて、それで――」
ポーン!
『一階でございます。魔法大臣、ならびに次官室がございます』
「ウェップ、うっ、それでは、ドローレス。そのように」
アンブリッジ「えぇ、大臣♪私にお任せくださいな!万事解決ですわ!おや、マフォルダ!アルバート!」
ハニコーン「」
ハーマカーク「」
アンブリッジ「どうしましたの、固まって。あーらあら、見惚れるのはかまいませんわ、でも今日は忙しいはずでしょう?アルバート?このお、ね、ぼ、う、さん♪」
ハニコーン「……相変わらず、だな。あー、ドローレス」
アンブリッジ「何がですの?」
ハーマカーク「あー、えーっと、見た目とか、のことよドローレス。えぇ、きっと……そのロケット、とか」
アンブリッジ「あぁ!すっかりわたくしのトレードマークになりましたでしょ?おほほ!シューシュロロッ!」
ハニコーン「……っ」
ハニコーン「……ハーマイオニーはあのまま、アンブリッジに連れられて行って……私は怪しまれかねないから、分かれることになってしまったわ」
ハニコーン「……ロケットのありかが分かっただけでも収穫だけれど……少し、魔法省の内部を探っても損は無い、はずよね」
ハニコーン「自由に動けるのは、私だけなんだから……透明マントを羽織って、っと……」
ハニコーン「……アンブリッジの、執務室へ」
カツッカツッカツッカツ……
ペラッペラッ、ガタンッ。
ペラッ、ペラッガタンッ。
ペラッ、ペラペラッ、ガタン、ガタンッ
ハニコーン「……なんの音かしら」
ハニコーン「この廊下の、向こう……っ」
ハニコーン「ホールみたいな、空間で……何人も魔法使いや魔女が、何かの……パンフレットを、作ってる?」
ハニコーン「……」
ソーッ……
魔法使い1「『穢れた血――平和な純血社会にもたらされる危険について』 あぁ、なんでこんな趣味の悪いもの、作らなくちゃいけないんだろう」
魔法使い2「よせよ、聞かれたらこんなもんじゃないひどい仕事をやらされるぞ」
ハニコーン「……」
魔女「あの鬼ババァ、一日中『穢れた血』を尋問してるの?誰か知ってる?」
魔法使い2「だから、よせって」
魔女「なによ?『魔法の目』だけじゃなくて『魔法の耳』まであの扉についているっていうわけ?」
ハニコーン「……えっ……ぁ、っ!」
魔法の眼 ギョロッ!
ハニコーン「アンブリッジの部屋の、扉……あれ……ムーディの……っ、なんて……っ」
ハニコーン「何のために、こんなこと……見張ってるって、思わせるため?」
ハニコーン「それより……ムーディは……ムーディは……」
ハニコーン「っ……いくら作業をしていても、目の前の扉が開いたら、誰かが気づくわよね」
ハニコーン「……『おとり爆弾』……使わせてもらうわよ、フレッド、ジョージ」
カチッ シューーーっ
ボーーーーーン!!!モクモクモクモク
パーーーパラッパーーーーーー!!!
魔法使い「うわぁあああ!?なんだ!?何の煙だ、これ、ゴホッ!!ゴホッ!!!」
魔女「きゃぁああ!なに、これ、臭い!目に染みるわ!ひどい!せっかくあのババァが目にはいらなくなったのに!」
魔法使い「ら、ラッパ!?何の音、おい、どこだ!?どこからだ!?」
バタバタバタバタ!
ドサァァァ!
キャー、キャーーー!
ギィィッ、バタンッ
ハニコーン「……まるで、あの時のホグワーツの部屋にタイムスリップしたみたいね。悪趣味な、ピンクの部屋だわ」
ハニコーン「……ムーディの眼がはめられていた反対側……望遠鏡みたいなものが、取り付けられてる。監視、していたのね……趣味が、悪いわ」
ハニコーン「……『マグル生まれ登録委員会会長』……ほんと、何もかも」
ハニコーン「悪趣味だわ……極めつけは……あぁ、本当……えぇ、気があうだろうと、思っていたわよ」
ハニコーン「……机の上に広げられた、これ……『アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘』」
ハニコーン「……現物を見るのは、初めてね。読んでる暇はないけれど」
ハニコーン「……さて」
ハニコーン「……」
ハニコーン「……ムーディを……弔うことも出来ていないのに。彼の一部がここに、ここで、アンブリッジなんかに利用されるなんて……許されないわ。そう、よね……」
ハニコーン「……」
・
・
・
・
・
・
シックネス「何事だ!何事だ、この騒ぎは!」
魔法使い「はぁ、それが、『実験呪文委員会』からここまで逃げてきた魔法道具のせいじゃないかと。あそこはいつだってだらしないですから」
魔女「この間だって毒アヒルがもうそこらじゅうひっかきまわして!」
シックネス「わかった、分かった!早く片付けろ!仕事をしろよ!眼が見ているぞ!眼……おや……眼は……どこにいったんだ……?」
ゴウンゴウンゴウン
ロンモール「あぁ、やっとこさ雨の野郎を片付けて君達はどこに行ったんだろうと思った矢先に君に出会えるなんて僕はなんて幸運なんだろう!ヒンヒン!これで君が筋骨隆々じゃなきゃぁなぁ!」
ハニコーン「本当、いいタイミングだったわ、ロン……ハーマイオニーは、アンブリッジと一緒に法廷よ。きっと、カターモール夫人が尋問されるのと同じ席だもの。あなたをわたしが連れて行っても、不自然じゃない」
ロンモール「世界って君中心に回ってるよな……あ」
ポーン!
ガラガラッ
アーサー「ワカンダ、残念だが加わることは出来ないんだ。分かってくれ。それで……あぁ」
ハニコーン「あ……おz」
アーサー「やぁ、おはようレッジ。奥さんのこと、災難だったね」
ロンモール「ハニーを無視するなんt、あー、あぁ、アーサー……そう、そうなんだ。それで今から、ランコーンと」
アーサー「……ランコーン。君はダーク・クレスウェルだけじゃ飽き足らず、どれだけ無実の者に尋問させる気だ」
ハニコーン「……ごめんなさい」
アーサー「えっ。あ、あぁ、そうだ、いや、私に言うな。アズカバンから彼らが戻ってきたら、彼らに……」
ポーン!
ガラガラッ
パーシー「ここの書類がこうなって、あぁなって……クラウチさんならこうしてた……ここで、こうして、よし、お昼はきっとビーンズひとかけらくらい食べる時間があるぞ。今日は何味かな、はは、はは、眼鏡味かな」
アーサー「」
ロンモール「」
ハニコーン「」
パーシー「……あ」
アーサー「……」
ロンモール「……」
ハニコーン「……」
パーシー「……」
ハニコーン「……親子なら、喋ればどうだ」
アーサー「ランコーン、今日の君は悪い物でも食べたのか?え?」
ガラガラガラガラッ
ロンモール「パーシーの野郎、やつれてたな……パパも随分、あー、薄くなってた」
ハニコーン「みんな、神経をはりつめているんだわ。少しでも早く終わらせないと……お父様にあんな目で見られるの、私嫌よ」
ロンモール「たしかに、こっわかったなぁ……考えてみたら、みんながあんなに怖がってた今の君にあんな啖呵を切れるのって、もしかしてパパって、凄い……」
ハニコーン「えぇ」
ロンモール「凄い鈍感なのかな……?」
ハニコーン「そこは褒めておくべきだと思うけれど……さぁ、こっちよ。こっちの地下に降りる石段で、法廷に……っ」
ロンモール「『神秘部』に遊びに行くのは今度にしようよ、ハニー。あぁ、君は二度とごめんだって思うだろうけど。僕もさ。モークセーあの場所にはね」
ハニコーン「そう、ね。急がなきゃ。ハーマイオニーが、待ってるわ」
ロンモール「吐き気押さえながらね……なんか、地下ってやっぱり冷えるんだなぁ。君っていう暖かな存在があるにしても、なんだか……」
ハニコーン「えぇ、そうね……そう、だったかしら……前回、ここに来たときはこんなに……こんなに、寒気や……なんだか無気力になってしまうような、感覚、なん、て……」
ハニコーン「……っ!!吸魂鬼、だわ!あいつらが、近くに……!」
ロンモール「……マーリンの髭。法廷前の廊下で……ベンチに座ったマグル生まれたちを取り囲んでら」
ハニコーン「……パパを……」
ロンモール「後にしよう、ハニー。あと、守護霊だよね?うん?まぁ君が言うなら全て事実だろうけど!ヒンヒン!」
ガタンッ!
ハニコーン「!法廷の、扉が……」
「違う!違う!私は半分純血だ!父は有名な箒設計士のアーキー・アルダートンだ!調べてくれ!本当だ!」
アンブリッジ「捏造された記録を調べてどうなりますの?連れていきなさい!」
アルダートン「いや、いやだ!違う!私は半純血の、うわ、うあぁ!」
アンブリッジ「抵抗すればキスさせますわよ?良い子にしていれば、わたくしからのキスを差し上げてもいいですわ♪」
アルダートン「詰んだ」
ハニコーン「っ、酷いわ、本当に……」
「あぁ、あなた!あなた、来てくれたのね!レッジ!」
ロンモール「はい僕ですレッジです!あー、君は?あ、いや、そうか。うん、メアリーだね、メアリー・カターモール。僕の奥さんだ」
メアリー「えぇ、えぇ、そう、あぁ、あなたがいてくれたら、心強いわ。手、握ってくれるわよね?お願い、あなた……
ロンモール「あー……」
ハニコーン「そうしてあげなさい、ろ……逃げ出さないようにお前が責任持って連れて来い、カターモール」
ロンモール「……あいよ、ボス」
ハニコーン「ゴホン……ドローレス!次はカターモールを取り調べて欲しいが、かまわないか?」
アンブリッジ「あらあら、またあなたの獲物ねぇアルバート!いいでしょう、どうぞ?あなたもこちらに座ればどうかしら?あたくしの可愛い猫ちゃんが、あの汚い生き物の寒さから守ってくれますわ♪」
守護霊『ニャーゴ』
ハニコーン「……いや、いい。ここで、この二人が逃げ出さないように見張っておこう」
ロンモール「うっぷ、くそったれ、自分に影響が少しでも来ないようにあれを、うっぷ、うぇっ」
ヤックスリー「おいカターモール!俺の部屋の雨は片付いたようだが、尋問は甘くしてやらないぞ!いいな!?」
ロンモール「すっかり元気で本当に良かったよな、あぁ、まったく」
アンブリッジ「エヘン、エヘンッ!メアリー・エリザベス・カターモール!あなたがここに呼び出された原因は、分かっていますわね?」
ハニコーン「……」
メアリー「何がなんだか!わかりません!だって私は、魔女です!魔女なんです!」
アンブリッジ「預かった杖を調べましたわ。二十二センチ、桜の木、芯はユニコーンのたてがみ。さぁ、これを誰から奪ったんですの?」
ロンモール「……」
メアリー「奪った?違います!私は十一歳の時にそれを買ったんです!その、その杖が、わたしを、選んでくれたんです!」
ヤックスリー「魔女ではないお前をか!ハハンッ!」
ハーマカーク「……」
アンブリッジ「えぇ、ヤックスリー!お笑いですわ!オホホッ!」
メアリー「本当、本当なんです、本当、あぁ、酷い、なんて……酷い顔」
アンブリッジ「巻きで行きますわ。調査票による判定で、あなたの親族には魔法使いまたは魔女はいないと確定しました。両親は青物商、そして――」
ハニコーン「ロン」
ロンモール「なんだいハニー」
ハニコーン「いい加減、限界よ。そうでしょ?」
ロンモール「もちのロンさ」
ハニコーン「ハーマイオニー」
ハーマカーク「えぇ」
アンブリッジ「うん?ランコーン?何を?立ち上がって……杖?まぁ、まぁ、何もここで拷問をおっぱじめなくとも!あなたも好きねぇ」
ヤックスリー「……今……っ!!こn」
ハーマカーク「『ステューピファイ』!!」
バーン!
アンブリッジ「キャアアアアアアアア!?ま、マフォルダ!?!?いきなり、ヤックスリーになに――」
ロン「うるせぇガマガエル眠っとけ!『ステューピファイ!』」
アンブリッジ「」ボテッ
ハニコーン「『エクスペクト・パトローナム!守護霊よ、きたれ!』 カターモール夫人から離れなさい!この豚以下ども!!」
守護霊『三秒だけ待ってやる、とっとと消えろ。その後は無事で帰れると思うなよ?もれなくお前たちの汚い面にスニベルスカラーのパンツをかぶらせて送り返してやろうじゃないか』
吸魂鬼「」ヒィィィッ!!!
吸魂鬼「」キャーーーッ!
ロンモール「さすがハニーパパ。法廷にいた吸魂鬼を追っ払って、そのまま廊下にいた連中まで追撃していくんだもんな」
ハーマカーク「お父様って呼ばないで、えぇ、ハニーがたとえそう呼んでいたとしても……」
ハニコーン「私のイメージだけれどね。さぁ、行くわよ。カターモール夫人?立てる?」
メアリー「なにが、なんだか……ら、ランコーン、どうして助けてくれたの……?あと、なんで女の子言葉で……私の夫の背中に……?」
ハニコーン「あら、ついくせで」
ロンモール「僕も慣れっちまったからさ」
ハーマカーク「迂闊にすぎるわよね、あなたたち……ちょっと待って……『ジェミニオ、そっくり!』」
ロンモール「……アンブリッジに、元のロケットそっくりのものを?そんなもの贈る価値ないだろ、こいつに」
ハーマカーク「せっかく私たちの記憶を抜き取ったのよ?目的がなんだったのかも隠しておくべきだわ」
ハニコーン「えぇ、そうね。そうなると、あれを盗み出すために私たちがここに来たんだ、って、結論づけてくれるはずだわ……」
ハーマカーク「あれ?」
ハニコーン「……なんでも。ロケット、しっかり持ったわね?行きましょう」
バタンッ!
ザワザワザワザワ!
今眼鏡が!眼鏡が出た!?
なんで眼鏡が!?
しかも銀色だった!?
死んでも頭おかしいあの人!!!
吸魂鬼おっぱらったけど今度は悪魔が!!!
ハニコーン「全員、続きなさい……続け!お前たちは全員無実だと判断した。ここから連れ出す!」
「え、でも、みんなあんたがほとんど捕まえた奴らで」
ハニコーン「そうなの!気が変わったんだ!ほら、早く!!吸魂鬼が戻ってきてもしらないわよ!」
アトリウム
ザワザワザワ!
ガヤガヤガヤガヤ!
ポンッ! ポンッ!
ハニコーン「全員家に戻り、家族と共に隠れるように!出来れば国外で!いいな!それが魔法省の新しい、えーと、立場だ!あー、お前たちを見逃す代わりに、今後――何の騒ぎ、これ」
ハーマカーク「出口が、封鎖されていってる……どうして……」
ロンモール「マー髭……へ、へい、ボブ!」
ボブ「いやぁーな時代になっちまったぜ、おかげでマックも買えねぇ……よう、ジョズ!それじゃ、奥さんは無罪放免か!よかったな!俺ならカミさんを喜んで差し出すがね――HAHAHA!冗談さ!」
ロンモール「あ、あんがと。こりゃなんの騒ぎだい?え?」
ボブ「なんでも、あのイカレたババアかえるの部屋の穴から何かが盗まれた、だとさ」
ハニコーン「……」
ハーマカーク「……穏便に、って言った、ってことはあとでじっくり教えるわ……ど、どうしましょう……」
ハニコーン「っ……作業をやめろ!!!」
ザワザワザワザワ
魔法使い「ら、ららランコーン!どうしたんだ!?その連中は!?尋問の!?何事だ!?」
ハニコーン「こいつらを、出口が閉鎖される前に外へ出さなければならない。アンブリッジの決定だ、そこを退け!どいて!」
魔法使い「だ、だが、誰も外に出すな、と、シックネス大臣の、命令――」
ハニコーン「わた――俺の言うことが聞けないのか!?え!?この豚以下!お前の家計図を調べてやってもいいんだぞ!」
魔法使い「ひ、ひぃっ!どうぞ、どうぞ!!」
ロンモール「どうぞるとは分かってるじゃないか、うん」
魔法使い「ど、どうぞる……?ジョズ、お前……」
ハーマカーク「行って!さぁ、みなさん暖炉に! 急いで家族とどこかへ身を隠して、いい!?行って!」
ボォォッ!ボォォッ!
ロンモール「何さ?僕の顔がどうかしたかい?冴えない、豚とはいえない顔が……」
魔法使い「いや……うん?お前はそんなにソバカスが多くて……うん?あれ? 赤毛……だったか?毛先、だけ?」
ロンモール「」
ハニコーン「」
ハーマカーク「!!行って!早く!!!!それで……あぁ、もう、時間が……!」
ガラガラガラガラッ
ヤックスリー「出口を封鎖しろ!!侵入者だ!それも、おそらく――」
ハニーン「あぁ、背が伸びたのは悪くなかったのに、もう……っ!」
ハーマイーク「ハニー、そんな問題じゃなくて、ほら、尋問を受けていた人たちは逃がせたから、私たち……あ!」
ロンール「豚に戻れるのはいいけどこりゃちょっとタイミングが……う、げ。タフすぎるぜ、アイツ……」
ヤックスリー「ポッタァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ザワザワザワザワ!!!
ハニー「っ!」
ロン「出番だぜ、フレッド・ジョージ!の新製品!」
カチッ、シューッ
ボンッ!!! モクモクモクモク!
パッパラパーーーーーァ!
ヤーーイ、コノチュウニシュウダーーン!
カックイー!プレティーンゼンカイダー!
ヤックスリー「ゴホッ、ゴホッ!くそっ、煙、それに、ごほっ!やめろ!ごほっ!ちゅう、ウォゴッホ!!くそぉおおおおお!」
パッ
ドサッ
ハニー「っ、魔法省入り口の、公衆トイレね……」
ハーマイオニー「閉鎖前に飛び込めて、よかった……二人とも!姿くらましは、魔法省の敷地から出ないと!」
ロン「つかまれ!ほら!あいつが来るぞ!」
ボォォッ!
パッ、ドサッ!
ヤックスリー「待て!!待てっ、ポッタァァアアア!貴様を逃がしてたまるか、ここで、貴様を!ウィーズリー!出来損ないの!!血を裏切る――!!」
ガシッ!
ロン「はなせ、こんちくしょう!!!」
ハニー「っ、ロン!!」
ハーマイオニー「ロン、手を!!!」
ロン「と、どけ……!」
ヤックスリー「アァアアバアアアダアアアアア――」
ガシッ
グンッ!
ヤックスリー「!?」
グルングルングルングルン
・
・
・
・
・
・
ハニー「(姿くらましに、入ったのね……一番得意なハーマイオニー主導で。大丈夫、大丈夫だわ)」
ハニー「(でも、何故かしら……何かしら、この感覚)」
ハニー(むりやり、こじ開けるような……いつも以上に、圧迫される、ような)」
ハニー「(あぁ、けれど――見えてきたわ)」
パァァァッ
ハニー「(グリモールド・プレイス十二番地の、扉――)」
ヤックスリー「――見つけた!!!見つけたぞ――お前たちの――隠れ家を!!!!!」
ハニー「……え……」
・
・
・
・
・
・
ドサッ!
ハニー「ん、ん……こ、こ……なん、で」
ホー、ホーッ
ザァァァァァッ
ピピーッチチチチチッ
ハニー「森の中……?こんなところに、どうして……」
ハーマイオニー「ヤックスリーが、ロンを掴んでいたの……あの人まで一緒に、屋敷の扉まで移動してしまった、のよ。ハニー」
ハニー「ハーマイオニー!えぇ、そう、そうなるわね……けれど、だからって」
ハーマイオニー「ハニー、私、あぁ……私とロンは、ダンブルドアが亡くなってからあの屋敷の『秘密の守人』になっていたの。だから……あぁ、ハニー……ごめんなさい……ごめんなさい」
ハニー「……ヤックスリーが……知って、しまった?」
ハーマイオニー「そうなって、しまうわ。もう、あの屋敷は安全じゃない……入れるのはヤックスリーだけでしょうけど……内部から、あの屋敷の保護を良い様に変えてしまうでしょう……ごめんなさい、ハニー……私が、私が焦って、すぐに姿くらましなんてしなければ」
ハニー「っ、バカ言わないで!あなたが謝ることじゃない!あなたのおかげで逃げてこられたんじゃない。謝るのは……私の、ほうよ。これ……アンブリッジの部屋から盗んで警戒させたのは、私だもの」
ハーマイオニー「……ムーディの、魔法の眼……それこそ、ハニー……我慢ならないことだわ。だから」
ロン「誰かが謝るとしたら、僕さ……僕があいつの手を振り払えなかったのが、いけないんだ……でも、さ」
ハニー「ロン!そんなこ……と……ロン……ロン!!!」
ハーマイオニー「!?は、ハニー!私のバッグから『ハナハッカのエキス』の大瓶を!あぁ、あぁ!なんて、あぁ!ロン!『バラケ』て……!」
ロン「左腕、が、ないなら、もう、つ、掴まれることも、ないよな……は、ハハ……ハニー……ロケットは?」
ハニー「っ、ここよ!ちゃんと、あるわ!ロン、しっかりしなさい!ロン!」
ロン「よか、った……無駄じゃ、なかったんだ……一つ目の、分霊箱……良かったよ……これで、僕、も……」
ハーマイオニー「気が散るから末期の言葉っぽく喋らないで!!お願い!!!『バラケ』はそれは出血もするけど処置でなんとかなるってあなた何年も前に身をもって体感してるでしょ!!もう!!!!」
ロン「なんだよハーマイオニー!せっかくハニーになきついてすがり付いてもらえるかとおもtt痛い!!痛い!!ありがとう!!!ヒンヒン!!!!」
ロン「ここ、クィディッチワールドカップがあった森だよな?ハニーのあの頃の美しさと一緒に覚えてる」
ハーマイオニー「『サルビオ ヘクシア……プロテゴ トタラム……』えぇ、最初に思い浮かんだの。ロン、あまり動かないでね?骨が生えるまでは苦痛よ」
ロン「あぁ、何せ処置をしてくださった方の包帯さばきがそりゃもう芸術的だったからね……」
ハーマイオニー「もう片方も『バラけ』させていいのよ?」
ロン「経験済みさ、そっちは。ハニー、テントはどうだい?君を働かせるなんて豚にあるまじき愚行をごめんよハニー!ヒンヒン!」
ハニー「いいから休んでいなさい、ロン……『エレクト!立て!』」
ググググッ、バサッ
ハニー「……これも、あのワールドカップの時のテント、かしら」
ハーマイオニー「えぇ、おじさまが私に使ってもいいって持たせてくれたの……今後は、ここが隠れ家になるわね。保護魔法も、張り終わったわ……あのお屋敷級の守りは不可能だけど」
ハニー「……クリーチャーは今頃、どうしているかしら」
ハーマイオニー「……呼び出すわけには、いかないわね。もう、あちらの手にかかっているかもしれない」
ロン「良い同胞だったのになぁ。マーリンの髭」
ハニー「……パイを、って。約束、していたのに……クリーチャー……またあいつに酷い目に合わされるなんてこと、ないといいのだけれど。あいつ……ヴォr」
ロン「やめてくれ!!」
ハニー「!?」
ハーマイオニー「ろ、ロン!?」
ロン「……あ、ご、ごめん、ハニー!君に口答えなんてさ……でも、ほら。あの人の魂だかなんだかが入った……これが、すぐ近くにあるのにあの名前を呼ぶのは、なんだかさ……縁起が悪い気がして」
ハニー「……分かったわ。あなたが、つけているんだもの。そうしてあげる」
ハーマイオニー「ねぇ、ロン。本当にいいの?あなたが首からかけて預かるなんて……それは、手元にないと何かあったら困るでしょうけど」
ロン「いいんだよ、僕はほら、今こんな状態だし。ほかに役に立つこともないしね?そうだろ?」
ハニー「私のマットになるくらい、ね。えぇ」
ロン「その通りさ!ヒンヒン!!」
ロケット ……
小休止
13時には再開
夜
ハーマイオニー「スーッ、スーッ」
ロン「キャノンズが……うーん」
ハニー「……すっかり、眠るときは手を繋ぐのがお決まりね、あの二人」
ハニー「見張りは、交代で行うことになっているけれど……このまま眠らせていてあげたいわ」
ハニー「とくに、ロンは……あんな状態だし、それに……満足に食事もとれていないもの」
ハニー「……野宿、なんて、やったことないものね。どの薬草が食べられるのか、どの茸が安全かなんて、知らないわ」
ハニー「……」
ハニー「やっと、分霊箱は見つけられたけれど」
ハニー「……まだ、たった、一つ」
ハニー「これから先のヒントも、糸口の端も、見えていない」
ハニー「……どうすれば、いいのかしら」
ハニー「……額が、痛いわ」
ハニー「……グレゴロビッチ……グレゴロビッチを、えぇ……見つけたのね、ついに」
ハニー「何か、指し出せって……何を?杖を、作らせるんじゃ……」
ハニー「……盗まれた、って……誰……あぁ、グレゴロビッチの、記憶……」
ハニー「盗んでいった、男……ハンサム、って、呼んであげるわ……手元、に……なに」
ハーマイオニー「ハニー!!ハニー!!!起きて!!ハニー!!!」
ハニー「っ、あ……ハーマイオニー」
ハーマイオニー「あなたったら!また、ヴォr――」
ロン「おっと!」
ハーマイオニー「っ、『例のあの人』と繋がっていたでしょう!?もうやめてって、何度言えば!」
ハニー「……けれど、これが何かヒントになるかも、しれないじゃない?」
ロン「誰かが殺されたりとかね、そりゃいいや。いい情報だよ」
ハニー「……ロン?」
ロン「……ん?あ、いや!ご、ごめん!なんだかさ、腹減ってボーっとして!それだけだよ!うん!もちのロンさ!」
ハニー「あいつ所縁の地を、危険だろうと探るべきだわ。他に何かいい案がある?」
ハーマイオニー「えぇ、そうでしょうね……ハニーが知っている、孤児院とか……あとは、そうね……リドルの屋敷……アルバニア」
ロン「アルバニアにしようぜ。午後一杯あれば、あの国中探し尽くすなんて楽勝だもんな。ところで、ご飯はどうする?」
・
・
・
ガサガサッ、ガサッ!
「さがせ!さがせ!どっかこのへんだ!さーがせ!」
ハニー「……ハーマイオニー、あなたが張った保護魔法、しっかり機能しているみたいよ」
ハーマイオニー「……目と鼻の先なのに、気づいていないわね。あぁ、良かったわ……でも、どうしてこの場所が……この人たちがいなくなったら、すぐに移動しましょう」
ロン「それで、次はどこ?頼むから、ベーコン・サンドウィッチが容易に手にはいるとこにしてくれよな」
・
・
・
ハニー「今ある分霊箱の破壊を先にしたほうが、いいんじゃないかしら……けれど」
ハーマイオニー「バジリスクの鱗を押し付けたところで、なんともならないわね……うーん」
ロン「……おいおい、結界の外、まーたあの連中がうろついてるぜ?ハーマイオニー、君の保護魔法、本当に大丈夫なんだろうね?マズイのは料理の腕だけにしてくれよ?マーリンの髭!」
・
・
・
ロン「断っておきますが、僕が生意気な口を聞く度にハーマイオニーからは本の角でどつかれる等の制裁を受けています、念のため」
ハーマイオニー「何に話かけてるの、ロン。さぁ、行きましょ。移動しなきゃ」
ロン「あぁ、次じゃあのへんな連中がついてこないといいよな。それで?どこ行くのさ。ハニーがいれば、そりゃ、どこだって楽しい遠足に違いないけどね」
ハニー「……」
ホーーッ、ホーーーッ
ハニー「……この数週間、なんの進展も、ないわ」
ハニー「ただ漫然と、歩き回って……テントを移動させて、話し合って」
ハニー「その話し合いも、なんだか……なんだか、ピリピリして」
ハニー「……」
ハーマイオニー「スーッ、スーッ」
ロン「……グーッ」
ハニー「……手、つながなく……なっちゃった」
ハニー「……どうしたら上手くいくのかしら」
ハニー「……」
パキッ、パキパキッ
ハニー「!」
ザワザワ、ボソボソ
ハニー「……ロン!ロン! ハーマイオニー!起きて!!」
ハーマイオニー「……なぁに……なに!?何があったの!?」
ロン「なんだい、ハニー。また連中かい?おっかしいな、あいつらがコソコソ出てくるとなんだか傷とか右腕がムズムズするはずなんだけど、今はそうでもないよ……」
ハニー「分からないわ。向こうの木立、川岸に何人か……人なのかどうかも。『伸び耳』は?」
ハーマイオニー「あるわ……気づかれないと、いいけど」
スルスルスルスルッ
『――それでは、グリップフック。君達小鬼は、逃亡中ということかい?』
ハニー「これ……テッド!テッド・トンクスだわ!トンクスのパパ!」
グリップフック『――六週間ほど前のことだ。ダークやゴルヌックと共に……仲間が居てよかった、あなたがたと合流できたのも幸運だ』
ダーク『テッド、君はどうして家を出たね?』
テッド『私はマグル生まれだ。マグル生まれ登録の連中が、我が家の近くをかぎまわっていると聞いてね。妻はブラック家の人間だし、娘には頼りになる婿がいる。だから、最終的には私が一人であの家から離れる決断をしたということさ」
ハニー「……」
ハーマイオニー「……」
ロン「……」
テッド『そこで、この二人に出会った。二人とも、キングズクロスで特急を待っていたところを、連れていかれそうになったらしい。逃げ出せたのは運が良かった、そうだろう?ディーン、ジャスティン』
ディーン『えぇ。僕、父のことはなーんにも覚えてないから、つっこまれちゃ危ないと思ったんです』
ジャスティン『僕は、マグル生まれでしたから……他にやらないといけないこともあったし、好都合でしたよ』
ロン「!同胞だ!」
ハニー「っ、あぁ、二人とも……!」
ハーマイオニー「……感動するのはいいけど、ヒンヒン言わせないでね、お願いだから」
ジャスティン『小鬼と知り合えて、良かったです。あなたたちはどちらかと言えば、『例のあの人』側の種族なんだとばかり……』
グリップフック『それは大きな間違いです。我々は、どちら寄りでもありません。第一、これは魔法使いの戦争です』
ダーク『それでも、不当な理由で投獄されるとなれば話は別だ。ドーリッシュだったか、奴に連行されそうになって失神させてやった……どうにも、奴は「錯乱」を受けているように思えたね』
ゴルヌック『我々を屋敷しもべ妖精のように扱うのは許せません。グリップフック、君のやった最後の復讐は痛快だった!』
ディーン『復讐?』
テッド『連中を、金庫の中にでも閉じ込めてやったのかい?』
グリップフック『あぁ、それでもよかったでしょうな。あの剣では金庫を破ることは不可能だったでしょうし』
ジャスティン『剣……?』
ダーク『この話は、まだしていなかったか。学期が始まって、すぐのこと。ホグワーツの、スネイプの校長室から「グリフィンドールの剣」を盗み出そうとした生徒の集団が、いたそうだ』
ハニー「!」
テッド『それはまた……新聞にも載っていないだろう?どうして知っているね?』
グリップフック『同僚の、ビル・ウィーズリーが。その集団の一人は、彼の妹だったのでね』
ロン「っ……ジニー」
グリップフック『その子と、おいかけてきたカロー兄妹の鼓膜を破りかけた男子生徒、それに何か毛むくじゃらのものを投げつけて笑っていた女の子は、酷い罰則をくらったそうだ』
ハーマイオニー「なんて、無茶を……」
テッド『なんと、まあ。剣をどうしたかったのだ?スネイプに使ってやろうと?それとも、『あの人』に?』
ダーク『さあ。どうあれ、スネイプはあの剣を校長室に置いておくのは安全ではない、と考えた』
グリップフック『そこで、グリンゴッツに運び入れるまでの仕事を私がしたのですがね――あぁ、滑稽だった。贋作ですよ、あれは。まったくのニセモノです』
ディーン『え!?』
ジャスティン『ニセモノ!?』
グリップフック『いかにも。伝承によれば、あれは小鬼製の剣であるはず。しかし、あの日持ち込まれた剣は魔法使いが真似て作っただけの模造品にすぎません。誰が、いつ、なんのために摩り替えたのかは知りませんが』
テッド『……そして、君たちはわざわざそれを死喰い人に教えてやることはしなかった、と。ハハッ、確かに、いい復讐だよ』
ハニー「……」
ディーン『詳しく聞きそびれたけど、ジニーはどうなったの?それに……』
ジャスティン『その面子なら、きっと、ネビルとルーナも……』
グリップフック『私の知る限りでは、傷害が残るほどではないにしろ厳しく罰せられた、とだけ』
テッド『そうか……スネイプのこれまでの経歴を見て見れば、命があっただけ幸運だと思おう』
ゴルヌック『それでは、テッド。あなたはやはり、ダンブルドアの死はあの男が関わっていると?』
テッド『もちろんだ。君、まさか、ハニー・ポッターがそれに関わったなんて世迷いごとを信じてるんじゃなかろうね?』
ゴルヌック『……それは、ハニー・ポッターのことを信じたい者は大勢います』
ダーク『しかし、今は何が真実なのか分からない』
ディーン『僕ら、ハニーのことも知ってるよ。同胞だから。僕らの優しい飼い主で、それに』
ジャスティン『うん。ハニーこそ「選ばれし者」だ、そう思う』
ダーク『そのバッジの「チャンピオン」でなくていいのか? しかし、どうやらポッターは逃げてしまったじゃないか。いまこそ正々堂々と戦うべきなのに、「預言者」ではどんどんポッターが不利な証拠を……』
テッド『ダーク、まだあの日和見新聞をあてにしているのかね。あんなものを読むくらいなら、『ザ・クィブラー』を読む方がずっとマシさ……いいや、これは一昔前の冗談の文句ではなく、本当にね』
グリップフック『では、本当に?ゼノ・ラブグッドは紙面で、堂々と「『あの人』に反抗する魔法使いはハニー・ポッターを助けることを第一にするべきだ」と、書いていると……?』
テッド『あぁ……怖い者知らずだよ、ゼノは……さあ、食事にしよう』
カチャッ、カチャカチャッ……
ロン「……色んな意味であっちに混ざってきたいなぁ」
ハーマイオニー「黙って。それより……剣!剣が!」
ハニー「えぇ……っ!ハーマイオニー!フィニアスの肖像画!あれを、出して!!」
ハーマイオニー「あっ!そうよね!そうだわ!彼なら、その時のことを!」
ロン「ヒンヒン!君は冴えてるねハニー!さすがは僕の、ハ……っ」
ロン「……」
カサカサッ、カサッ
ロン「……あぁ」
ロン「……やっぱりか」
ハーマイオニー「えーっと……フィニアス?フィニアス・ナイジェラス?」
額縁『』
ハニー「……眠っているのかしら」
ハーマイオニー「それでも、話さないと。えーっと……ブラック教授?お願いですから、お話しできませんか?どうぞ、お願いします」
額縁『……どうぞ、は。常に役に立つ』
スルッ
フィニアス『この伝統と格式あるブラック家の知恵が詰った私に、なんの――』
ハーマイオニー「『オブスクーロ!目隠し』」
フィニアス『なっ!?なんだ、これは!目を隠すな!おい!なんたる侮辱だ!今すぐこの描き足しを消したまえ!!ここはどこだ!?え!?何度もここに顔を出しても、暗い納屋のような場所になっていたが!クリーチャーは何をしている!』
ハニー「いい判断だわ、ハーマイオニー……ここがどこかは気にしないで頂戴、フィニアス」
フィニアス『……おやおや、その声は。ついに逃げを打った、あの小娘か?』
ハニー「そうかもしれないわ。フィニアス、質問があるの。グリフィンドールの剣のことで」
フィニアス『あぁ、実に分かりやすい。そうくるだろうと思っていた。どうだ?自分は安全な立場に身をおいて、下の者に行動をさせるのは?その不始末も押し付けられて、さぞ悦に浸っていたのだろう?』
ハニー「誰が、そんなこと!!」
フィニアス『世間の一部はそういう目で見る可能性があることを肝に銘じておくのだ、いつまでも逃げ出して隠れているのならば。貴様らがどこで何をして居るのかなど、汲み取ってくれる者はごく一部だぞ』
ハニー「……見えていないくせに」
フィニアス『あぁ、だが、君が英雄面で悲劇の苦労人であるかのような顔をしていることくらいは想像がつく。クソくらえ』
フィニアス『あぁ、そうだな。あのバカな小娘はそっちの小娘と同じくらい軽率で愚かな行動をとった。赤毛繋がりだな』
ロン「妹のことも、ハニーのこともそんな風に言うな燃くぞ」
フィニアス『無礼千万だというのだ、校長の部屋で盗みを働くとは』
ハニー「あれはスネイプの持ち物じゃないわ。だから、盗んだことには――」
フィニアス『スネイプ教授の学校に属するものだ。ウィーズリー家の娘にどんな権利がある?ロングボトムのヌケサクにも、変人のラブグッドにもだ』
ハーマイオニー「二人はそんな風に言われる人じゃないわ!」
フィニアス『うるさい!うるさいと言えばロングボトムだ!なんだあのほら貝は!!どうしてほら貝なのだまったく!!』
ハニー「……それは私達も常々謎よ、えぇ……みんなは、どんな罰則を?」
フィニアス『三人を、「禁じられた森」に送ってハグリッドの手伝いをさせた。厳しい罰則だ」
ハニー「……それ、だけ?それだけ!あぁ、検討違いもいいところよ!『禁じられた森』がなんだって言うの?三人とも、今までもっと大変な目にあってきてるわ!」
ロン「……」
ハーマイオニー「ブラック教授、あの剣が最後にケースから取り出されたのはいつですか?つまり、ジニーたちが持ち出そうとする、前……教えてください」
フィニアス『あれは、そうだ。確か……ダンブルドアが、指輪を開く折、使っていたはずだ』
ハニー「!!」
ハーマイオニー「!!」
ロン「……」
フィニアス『結局、「そういえばこれはまだじゃった、うっかりうっかりー。のう、フィニアス。わしも歳かのう?これよーく覚えといてくれるかのう、いやぁうっかりじゃったー、まだ足りんのじゃったー」とかのたまって、ケースに戻していたが、あれはなんだったのだ……』
ハニー「ダンブルドア……そう、だから、だから剣を!私に!」
ハーマイオニー「っ、ブラック教授!そのことは、スネイプには!?スネイプにはそのことを話しているの!?」
フィニアス『スネイプ「校長」は多忙でもって、ダンブルドアの奇行の一々まで耳に入れている暇などない!失礼しよう、こんな扱いを受けたのは初めてだ!いや、二百回目かもな!』
スッ
ハニー「……さすが、人望が無さ過ぎる校長ね。でも、すごい収穫だわ!あぁ、あの剣が!」
ハーマイオニー「そう、そうだわ、ハニー!小鬼製の物質は、自らを高めるものを吸収するの!きっと……バジリスクの、毒を!!」
ハニー「えぇ、剣に吸収させれば!分霊箱を壊すことが出来るんだわ!」
ロン「……」
ハニー「ダンブルドアがこのことを遺言書に書かなかったのは当然だわ。そんなことを知って、連中が私にわたすはずがないもの」
ハーマイオニー「だから、ニセモノを作ったのね!ダンブルドアなら、小鬼以外なら誰だって騙せるものを作り上げることは容易よ!」
ハニー「そして、ガラスケースにニセモノを!それから……それから、どこに移すのかしら」
ハーマイオニー「考えて、考えて、ハニー!ホグワーツの内部では、ないと思うの。ホグズミードは?」
ハニー「……『叫びの屋敷』!あそこなら、誰も近寄らないわ!」
ハーマイオニー「あぁ、あなたって最高!大好き!」
ハニー「わたしだって!!」
ハーマイオニー「あっ、でも、スネイプはあそこへの入り方を知ってるわ……危ないんじゃ」
ハニー「ダンブルドアはスネイプを信用していたんだもの、有り得なくないじゃない?」
ハーマイオニー「えぇ、そうね!でも、剣のすり替えのことを話すほどには、信用してなかったんだわ!」
ハニー「そう!それよ!ダンブルドアは……あぁ、どこに隠したのかしら!ねぇ、ロン!あなたも考えなさい、ロン!私の……ロン?」
ロン「――あぁ、考えてたよ、ハニー。当然さ」
ロン「君がすこっっっしも気にもとめなかった、ジニーとかネビル、ルーナの心配をね。ろくでもない探し物がまた増えたことを考えるよりは、よっぽどマシさ」
ハニー「……え」
ハーマイオニー「……ロ、ン……?」
ハニー「……誰に口を利いてるの、ロン」
ロン「君にさ。いいか、僕はもう我慢の限界だ。豚にだって堪忍袋があるんだぞ――君は、ジニーたちがうけた罰則を『そんなこと』で流したんだ」
ハニー「っ、ハグリッドが一緒だった!それで安心するのの、何が悪いって――」
ロン「一年生の時。奴さんとマルフォイとネビルと僕らで入った禁じられた森の遠足は、楽しいだけで終わったのか?」
ハニー「っ、けれど、それは……」
ロン「剣?それがどうしたって言うんだ。君の知らないものリストにまた一つ項目が増えただけじゃないか。君達が何を小躍りしてクルクル回ってハグしてるのか、僕には全く理解できないね」
ハニー「……私が、何を知らないですって?」
ロン「知らないことだらけじゃないか。大人の話題とか、それに――この旅そのものだってそうだ。ハニー、僕は君が――」
ハーマイオニー「ロン!やめ――」
ロン「もっと何か計画をもって始めるものかと思ってた。当たり前だろ?だって、『使命だ』って言い張るんだから。まさか、当ても無くただ歩くだけなんてね」
ハニー「……っ、それは……何度も、言ったはずよ。ダンブルドアから聞いたことは、全部あなたたちに伝えてあった。なのに、今更……」
ロン「あぁ、それでも君にはわけがわかってるんだと思ってたよ。君だからね。高貴で可憐で儚げで、伝統的で道徳的で家庭的で模範的な。それで」
ロン「それで?ハニー、教えてくれよ。次はどこに行くんだ?どこにあてがあるんだ?ホグワーツじゃ僕の妹や僕らの友達が酷い目にあってるかもしれないけど、君には関係ないよな。だってこれは『大事な使命』なんだから」
ハニー「っ、わたしが、わたしが!!!ジニー達を心配していないはずないでしょう!!どうして……!」
ハーマイオニー「ロン、もうやめて!ロン!!!っ、分霊箱!それ、外して!!ロン!!!」
ロン「あぁ、してるだろうよ。でも、分からないだろうな。家族がいないんだから」
ハニー「……今、なんて言ったの」
ザァァァァァァァァァッ……
ロン「そのまんまさ。君はほら、優しい愛溢れる人だけど、家族愛はてんで疎いんだよ、きっと。だから、あぁ、しょうがないのかもね。悪かったよ、言い過ぎた」
ハニー「……ロン」
ロン「でも、豚の僕だって言いたいことはある。なーんにも分からないまま歩かされて、腕まで滅茶苦茶、おまけにご飯はまともに食べられない」
ハニー「ロン」
ロン「いい加減、もう懲り懲りだよ。ほら、次はどこだ?さっさと行こうよ、そしたら何か新しい発見が見つかるんだろ?」
ハニー「じゃぁ、行きなさいよ……」
ロン「うん?」
ハニー「どこにでも、行きなさいよ……着いてきてくれる、って、言って、くれて……わたし、幸せだったのに……とっても、嬉しかったのに……」
ロン「おいおい、なんだよ。また、泣くのか――」
ハニー「っ、この……この……腕を上げる、価値もないわ!!出て行って!!!!!どこかに行って!!!ロン!!!顔も、見たくない!!!首輪は置いて!どこかに!!!っ!!」
バサバサッ!!
ハーマイオニー「っ!?ハニー、テントを畳んで、ちょっと、ハニー!ロン、あなた本当、なにを……」
ハニー「いいわ!行ってやるわよ!!着いてこないで!!もう会うこともないでしょうね!さよなら!!行くわよ、ハーマイオニー!!」
ガサッ、ガサッ、ガサッ、ガサッ
ハーマイオニー「っ、ハニー!!待って!!!ロン!!!」
ロン「行けよ」
ハーマイオニー「っ、あなた、一体……」
ロン「言っただろ、我慢の限界なんだ。そうだな、ママんとこでも帰ろう。そしたら、もっと美味しいご飯が食べられる。せいせいするね」
ハニー「ハーマイオニー!!!!」
ハーマイオニー「……ロン。言っておくわ」
ロン「なんだい?とびっきりの呪詛でも、残していってくれるのかい?」
ハーマイオニー「……私は、ハニーに勝てないところがいくつもあるけど。でも、これだけは負けないの」
ハーマイオニー「ハニーはあなたの背中にいることが多いから、見抜けなかったかも、しれないけど」
ハーマイオニー「あなたの眼を、ずっと見てたから……いい、ロン。あなた、嘘をつく時、目が細くなるの」
ロン「………だからなんだよ。いけよ、ほら。ハニーとヨロシクしとけって。せいせいする」
ハーマイオニー「……バカ」
ザクッ、ザクッ、ザクッ……
バチンッ
ロン「……行ったか。はーぁ」
ロン「……あーぁ……嫌われたなぁ」
ロン「死にそう。いや、死んだほうがいいと思うよ、本当。あんなこと言うなんて」
ロン「……でも、さ」
ザクッ、ザクッ、ザクッ
ロン「本気で嫌われないといけなかった。僕を置いて、どこかに行ってもらわないといけなかった」
ザクッ、ザクッ、ザクっ
ロン「僕に行き場所を知らせないまま。僕一人に……あぁ、ディーンやジャスティンやテッドが、無事だといいけど」
ロン「……おかしかったんだ、ずっと。どこに移動しても、しばらくしたら薄汚い『人さらい』の連中がやってくる」
ロン「最初の時とは違う。何かを確認しながら、導かれるみたいにしながら、僕らを探してた」
ロン「……」
サァァァッ
ロン「……保護魔法の外は、ここだよな」
ロン「……おい、出て来いよ!いるんだろ!!お前たちが探してた、赤毛のノッポだぞ!!」
ガサガサガサッ、ガサガサッ
ザッザッザッ!
「やーっとだ!やーっとみつけた、この野郎!」
「今までどこに隠れてやがった!何度も何度も、すぐ近くだったはずなのによお!」
「これが引き合って、絶対にいるってことは分かってたんだ!ついに見つけたぜ、ポッターのお仲間!」
ロン「それは……やっぱりか」
ロン「……」
ロン「僕の……両腕」
「ヒャッハー!マルフォイ家の坊ちゃんがボージンの家にあるなんだか変な腕をてめぇのそれだと気づいてくれてラッキーだったぜ!」
「それに!この間の魔法省でもう片方も手にはいったから探索能力二倍だぜー!ヒャッホー!」
ロン「……屋根裏お化けとかなんだったんだろう。マーリンの髭」
閻婦wwwwwww
まさかの伏線wwww
ロン「マー、リー、ンー、ノー、髭……五人か」
「観念しやがれ!ノッポ!」
「お前をとっ捕まえて、『あの人』に渡して賞金がっぽりだー!そんで、正式に死喰い人いりだぜー!」
「おい、『あの人』ってのは呼んでいいんだったか?」
「おぉ、禁句はたしか、あの、ヴォル……の方だろ。オォーこえ、これ以上言っちまったら『あの人』の配下が直々にすっとんでくんだからよぉ」
ロン「へぇ……?あ……そうか、それで。あんがとよ、良いこと聞いた。じゃあ」
「待て待て待て待て、逃がすわけないだろう」
ロン「えー。僕、今物凄くやる気がないんだよ。だってハニーにあんな、ボロックソに言っちまったんだぜ?もう僕のアイデンティティは崩壊しまくりだよ、もちのロンで」
「何の話だ!抵抗しないのはいいけどな」
「話に聞いたとおりだな!え!?」
「あぁ、こいつはあのウィーズリーの中でも、さらに出来損ないな奴だってよぉ!」
ロン「……」
ロン「……」
ロン「……へぇ」
ロン「僕が出来損ない、か」
ロン「そうだろうなぁ。否定はしないさ。でも、さ」
「おい!くっちゃべってねぇで、さss」
ロン「『ステューピファイ』」
「うがっ……て、てめぇっ!!い、いつのまに、杖……」
ロン「例えば、君達の誰かの中に、ビルよりカッコイイ、クールな奴がいるのか?」
「この!!『ステューピファイ!!』」
ロン「例えば、チャーリーより運動神経がいい筋肉ダルマがいるのか?」
「よ、よけ!この……うわぁ!!お、俺に、っが」ドサッ
ロン「パーシーより頭が切れる堅物がいるのか?」
「と、とまれ!こい……うわっ!な、なんだこれ!?俺の、杖!?どうして、ゴム製の鱈にっ!?」
ロン「フレッド、ジョージよりイカしたおかしい奴らがいるのか?」
「この……あが、がががががががががががなんだこうがががく、口の中、こ、コウモリ、の」
ロン「ジニーより怒らせると怖い、頼もしい奴がいるのか?」
「な、なんだ、こいつ!こいつ!!」
「俺達ゃ五人だぞ!い、一斉に、かかれ!始末しろ!!こんな、こんなやつに!!」
ロン「確かに、僕は兄貴たちやジニーに比べりゃパッとしないさ」
ロン「だからってな」
ロン「ウィーズリー家をバカにするなよ!!!マーリンの、髭!!!」
バーーーン!!バーーーン!
ギャァアアアアア!!ウワアアアアアアアアアアア!!
髭ってなんだーーーーー!!
翌日
チュンチュンッ、チュンッ
ハニー「……おはよう、ハーマイオニー」
ハーマイオニー「……えぇ、ハニー……ねぇ、もう寒いもの……とりあえず……服を着ましょう?」
ハニー「……まだ、起きたくないわ」
ハーマイオニー「……そうね、ハニー。泣き腫らした目が、まだ真っ赤だわ」
ハニー「……黙らせるわよ」
ハーマイオニー「はいはい」
ハニー「……あんなこと言う人だなんて、思わなかった」
ハーマイオニー「……えぇ」
ジャラッ
ハニー「……このロケットをつけていて、もしかしたら何か、悪影響を受けてたのかも、しれないわ」
ハーマイオニー「……ありえない話じゃ、ないわね。だって試しにかけてみたら……凄く、いやな気分になったもの。ロンはそれを、この数週間……ずっと」
ハニー「……だからって、あんなの……許さないわ……旅のことは、私も悪いけれど」
ハニー「……家族、だって」
ハーマイオニー「そうね……私たちが家族みたいなもの、そう言ってたはずなのに」
ハニー「……土下座したって、許してやらないんだから」
ハーマイオニー「最低条件ね、えぇ」
ハニー「……命を救ってくれたら、考えることは、してあげようと思うけれど」
ハニー「ダンブルドアの所縁の場所……嘘八百だらけでも、あの本が手元にあれば……」
ハーマイオニー「魔法使いの町に入るのは危険すぎるわ。私たちの知っている情報だけでも、考えましょう」
・
・
・
ハーマイオニー「……」
ハニー「……ロンがいなくて、寂しい?」
ハーマイオニー「……当たり前だわ」
ハニー「……そう、よね」
・
・
・
フィニアス『こうして、哀れスネイプ校長はまたしても反乱分子の騒動に頭を抱えておるわけだ。まったく』
ハニー「ネビルと私の豚さんたち……無理しすぎないといいけれど」
ハーマイオニー「ピーブズがどれだけ張り切ってるか、ちょっと見ものね……」
フィニアス『あれは暇さえあれば校長の耳もとで「なーきむーしスニベルス」とか歌っておる』
ハニー「……それはやめてあげてと伝えて」
フィニアス『いいだろう、君達がどこにいるのかを教えるならば――あ!待て!しまうな!こら!もう現れんぞ!いいのか!』
ハーマイオニー「そう言いつつ数日おきに顔を覗かせてくれてどうもありがとう、はいはい」
・
・
・
ハニー「(……あれから……どれだけ、経ったのかしら)」
ハニー「(ロンがいなくなってしまってから、あそこに、置いていってから)」
ハニー「(結局、ロンの言ったとおりだわ。わたし……何も知らない。あれから少しも、前に進めてない)」
ハニー「(ロンが、怒ったのも……当然よね)」
ハニー「……」
ハニー「私はそれより、もっと、怒っているけれど」
ハーマイオニー「ハニー、何か言った……あー……ここの、訳は……」
ハニー「なんにも……」
ハニー「(ハーマイオニーは、いやな顔一つしないで……もう何度も読み込んだはずの『ビードルの物語』をまた広げてるわ)」
ハニー「(たまに、そうね……眠る前に、寂しい顔をみせるけれど、それは、えぇ、すぐに慰めてあげられるわ)」
ハニー「(……慰めているのがどちらかは、分からないけれど)」
ハニー「(……駄目よ、これじゃ)」
ハニー「(やっぱり、また、言ってみなくちゃ……反対されるのは、当然だけれど。でも、きっと今の何も手がかりがない状態よりは、事が動くわ)」
ハニー「……」
ハニー「ねぇ、ハーマイオニー」
ハーマイオニー「なぁに?」
ハニー「ロンの、どこが好きなの?」
ハーマイオニー「髪の……違うでしょ、ハニー。あなたもう少し今真剣な話題を振ろうとしてたはずでしょ、何を、何を言ってるの!もう!!」
ハーマイオニー「まったく……ねぇ、ここを見てくれる?このマーク、どこかで見た覚えがないかしら」
ハニー「私、古代ルーン文字は習っていないわよ……あら……これ、ルーナのパパが、首からかけていた印と同じ……?」
ハーマイオニー「そうなの!各物語のタイトルの上に小さな絵が描かれているのだけど、これだけが意味が分からなくて……」
ハニー「あぁ、それはグリンデルバルドの印よ。クラムが、そう……そう、言ってたわ……え……?」
ハーマイオニー「グリンデルバルド!?ダンブルドアと対決した、あの……変だわ。この印が闇の魔術のものなら、子供の本と何が関係しているの……?」
ハニー「確かに、そうね……でもビクトールはハッキリ言ってたわ。『グリンデルバルドが学生時代、ダームストラングの自分の寮にこのマークを刻んだ』って」
ハーマイオニー「それに、これは魔法省が検閲してるはずよ。闇の印の類なら、スクリムジョールが気づいてる……ビクトールが嘘をつくとは、思えないし……あー……」
ハニー「結論は出ない、わね……ねぇ、ハーマイオニー。それなら私、提案があるんだけれど」
ハーマイオニー「なぁに?」
ハニー「……ゴドリックの谷に、行かない?」
ハーマイオニー「……そう、ね。そうしなければいけないって、私も、ここのところ考えていたの」
ハニー「気があうようで嬉しいわ」
ハーマイオニー「何を今更……グリフィンドールの剣を手に入れることが重要になった以上、ゴドリック・グリフィンドールの生まれ故郷は外せない、そういうことよね?」
ハニー「……あぁ、それも、えぇ。あるわ」
ハーマイオニー「……ダンブルドアのことは二の次よ?いい?」
ハニー「紛らわしいあの豚が悪いのよ、もう」
ハーマイオニー「『古くからマグルと魔法使いの混合住地として名高いゴドリックの谷』彼がマグル擁護の先駆けとなったのは、愛すべき隣人たちに恵まれたからかしらね」
ハニー「バチルダ・バグショットの『魔法史』ね……当然、そこにはダンブルドアのことなんかは……?」
ハーマイオニー「書かれていないわ、知っているでしょう?この本は十九世紀までのことしか記述されていないもの」
ハニー「そう、よね。ダンブルドアと仲良しだったバチルダなら、何か……ハーマイオニー」
ハーマイオニー「ねぇハニー、だから、ダンブルドア本人のことは二の次に……」
ハニー「違う、違うわ……ミュリエルが言ってたの……バチルダはまだ、あの谷に住んでる、って」
ハーマイオニー「えぇ、そうでしょうね……まさか」
ハニー「仲良しの、バチルダに……私が、あそこに立ち寄る事をみこして……それで」
ハーマイオニー「剣を彼女に任せていたら……!ありえない話じゃないわ!あなたのご両親とも仲が良かったんだもの!あぁ、ハニー!」
ハニー「……行きましょう、ゴドリックの谷へ。私の……生まれ故郷へ」
今日で上巻最後までの予定が、ちとキツイな
区切りも考えて、ここまでで
明日の夜から火曜までぶっ通して上巻を締める
じゃあの!
一週間後
夜
ゴドリックの谷
ハニー「……即日出発するものだとばかり思っていたわ」
ハーマイオニー「そんなわけにいかないわよ。罠が仕掛けられている可能性を無視したわけじゃありませんからね!この――マグルの夫婦の変装が準備できるまでは、決行できなかったわ」
ハニー「そうね。夫婦っていうのが大事よ、えぇ。ハーマイオニー……ねぇ……今日、クリスマス・イブだったのね」
ハーマイオニー「……えぇ……すっかり、忘れていたわ……雪もこんなに降って……」
ハニー「……綺麗な街だわ……石畳……綺麗なお家……大きな教会も、向こうに」
ハーマイオニー「……このまま、全部投げ捨てて、二人でここで暮らす?」
ハニー「……とても、魅力的だわ。それも、いいかもしれない。絶対に、幸せだもの」
ハニー「……けれど」
ハニー「……見て、この広場の中央……さっきまで、戦争記念碑があったはずの、ところ」
ハーマイオニー「まぁ……きっと、魔法力がある人が近づくと反応するんだわ……これ……三人の、家族の像……」
ハニー「パパにママ……傷跡もない……幸せそうな、赤ん坊の、わたし」
ハーマイオニー「…………あなたのところに大量の花やら何やらが置かれているのがともすれば献花のようにも見えてなんだか複雑だけど」
ハニー「可愛い豚さんたちの仕業ね、えぇ……やらなくちゃ。帰って、きたんだもの」
教会
~~♪
ハニー「聖歌隊が歌ってるわね……ゴドリックの歌も歌われないかしら」
ハーマイオニー「……ここの墓地、よね?ハニー?あなたのご両親がいらっしゃるところ」
ハニー「いるのはもっと素敵で温かいところでしょうけれど、そうね。ここに、二人のお墓があるはずよ」
ハーマイオニー「あなたの胸とか?……これ、アボット家のお墓だわ。ハンナの親戚かしら」
ザクッ、ザクッ、ザクッ
ハニー「随分古いお墓もたくさんあるわ……見たことのある名前も、いくつか」
ハーマイオニー「代々有名魔法族の多くを輩出してる、伝統ある村だもの……あ……ハニー!これ!」
ハニー「! 見つけたの!?パパとママ――あ」
ハーマイオニー「ううん!でも、見て!これ――ダンブルドアのお母様と、妹さんのお墓だわ……」
ハニー「……『ケンドラ・ダンブルドア そして娘のアリアナ』」
ハーマイオニー「引用文も、その下に――『なんじの財宝のある処には、なんじの心もあるべし』」
ハニー「……ダンブルドアが、考えた言葉かしら。昔から、回りくどかったのね」
ハーマイオニー「財宝、というのが剣ということではない、わよね……?」
ハニー「そこまで見越しているはず……ありえそうでいやだわ。さぁ、もっと探しましょう。こっち、は……ハーマイオニー?これ……」
ハーマイオニー「なに?……!ビードルの本にあった、あの印!じゃぁ、これは、あー……ぐ、グリンデルバルドのお墓ということ!?」
ハニー「……どうやら違うみたいだわ。凄く古い、何世代も前の墓石だもの……名前も、ほとんど……えーっと」
ハーマイオニー「イグ――イグノタス、ね」
ハニー「……この人が闇の魔法使いだったりしたら、共通点になるかもしれないけれど」
ハーマイオニー「それ以外の文言は、読み取れないわ……」
ハニー「……ヒンヒン書いてくれればよかったのに」
ハーマイオニー「……つっこまないわよ」
ザクッ、ザクッ、ザクッ
ザクッ、ザクッ、ザクッ
ザッ
ハニー「……」
ハーマイオニー「……」
ハニー「……あったわ」
ハーマイオニー「……えぇ、ハニー……手を」
ハニー「……あり、がとう……っ……」
ハニー「『ジェームズ・ポッター――1960年3月27日生――1981年10月31日没』」
ハニー「……そう……パパは……っ、三月生まれ、だったのね……」
ハニー「っ、ぅぅ、っ」
ハーマイオニー「ハニー……」
ハニー「っ、だい、じょうぶ……ぐっ、すっ、……」
ハニー「『リリー・ポッター――1960年1月30日生――1981年10月31日没』」
ハニー「……二人、とも……たった、っ、二十年……それで……それ、で」
ハニー「……これ……この言葉、って……どういう、意味かしら……」
ハニー「……」
ハニー「『最後〈いやはて〉の 敵なる死もまた 亡ばされん』」
ハーマイオニー「……死喰い人や『あの人』の言う死を打ち負かす、とはまた違うわ。これは、きっと……」
ハニー「……」
ハーマイオニー「――死を越えて生きる、そう言いたいんだと思う」
ハニー「……死を越えて……生きる」
ハーマイオニー「えぇ」
ハニー「でも……二人は、この下だわ。この下で、眠ってる」
ハーマイオニー「……そうね、ハニー」
ハニー「わたし、帰ってきたのに――こんなに近くに、立ってる、のに――」
ハーマイオニー「……これを置いてあげて、ハニー……クリスマス・ローズを」スゥゥゥッ
ハニー「あり、がとう……っ」
パサッ
ハニー「ねぇ、パパ……っ、わたし、成人したのよ……もう大人、よね……っ、あの頃よりもっともっと、飛べるんだから」
ハニー「ねぇ、ママ……っ、好きな人、大事な人が、とってもねぼすけで、困っているの……ママも、知ってる人……仲良し、だった人……」
ハニー「……ずっと見ていてほしかった」
ハニー「ぅ、ぅあ、あぁ……駄目よね、っ、泣いてる暇……ぁ」
ギューッ
ハーマイオニー「……いいのよ、ハニー」
ハニー「ぐすっ、あり、がと……ぅ、ぅぅぅ」
ハーマイオニー「……よしよし」
ザクッ、ザクッ、ザクっ
ハーマイオニー「ハニー、本当にいいの?もう少しいても……」
ハニー「っ、あれ以上いても、泣くことしか出来ないわ。いいの、いいのよ……さっきも言ったけれど、パパとママはもっと――」
ハーマイオニー「どうしたの、ハニー?誰かいた?あぁ……考えてみたらあなたの両親の墓に花を手向けるマグルなんて、怪しすぎるわよね。もし、見張られていたら!」
ハニー「そうじゃ、なくて……ねぇ、ハーマイオニー……あそこを見て……『忠誠の術』は……パパとママが死んで、消えてしまったのかしら」
ハーマイオニー「『忠誠の術』?なんの……あぁ……あれ……壊れた家……じゃあ」
ハニー「……」
ザクッザクッザクッ
ハニー「……わたしの、お家」
ハーマイオニー「……一部が壊されて、瓦礫に……どうして誰も立て直さなかったのかしら」
ハニー「……闇の魔術の傷と同じで、元には戻せないんじゃないかしら。出来るなら、ダンブルドアがやっているはずだもの……上の階の半分と、一階の一部の壁が、崩れ落ちてる……」
キィィッ
ハーマイオニー「マグルには見えないんでしょうね……ハニー、中には入らないほうがいいと思うわ。安全とは、言えなさそうだもの」
ハニー「分かってる。ちょっと……近づいて、見てみたいの。立って、触って、それで……っ!」
ザザザッ
グルグルグルグルッ!
ハーマイオニー「! 伸び放題だった生垣から、大きい掲示板が……あなたが門に触れたのがきっかけだったようね」
ハニー「……粋なことをしてくれるわ」
『1981年10月31日 この場所でリリーとジェームズ・ポッターが命を落とした
娘のハニーは「死の呪い」を受けて生き残った唯一の魔法使いである
マグルの目に見えないこの家は
ポッター家の記念碑として、さらに
家族を引き裂いた暴力を忘れないために
廃墟のまま保存されている
スタンプ台はこちら→』
ハーマイオニー「不謹慎にも程があるでしょ誰よスタンプラリー企画したの」
スタンプwwwww
ハニー「全部集めると、首輪でも手にはいるのかしらね……」
ハーマイオニー「ハニー、怒っていいとこよこれは……そういえばさっきの銅像のところにも似たようなものがあったような……」
ハニー「いいのよ、パパとママのことを覚えてくれる人が訪ねてくれるなら、それで……それに」
ハーマイオニー「えぇ……あなたのこともね、ハニー。この掲示板の周りに書かれたのって……きっと、ここ最近ここを訪れた人たちのもの、だわ」
ハニー「……」
『ハニー、今どこにいるのか分からないけど、幸運を祈る』
『ハニー!これを読んだら、私たち、あなたのことをみんなで応援してるわ!』
『ハニー!君が勝つことに残りのシックルぜーんぶ賭けよう!さぁ、はったはった!』
『ハニー・ポッターよ永遠に!』
『ヒンヒン! ←ヒンヒン?ヒン! ←ヒン!ヒヒン!ヒンヒン! ←ヒ――』
ハーマイオニー「最後のは読めないわよ。読むもんですか」
ハニー「嬉しいわ、みんな……」
ザクッ、ザクッ、ザクッ
ハニー「ねぇ、ハーマイオニー……さっきはあぁ言ったけれど、この家の中に、私が近づいた時だけ現れる何かで、剣を隠していたり……?」
ザクッ、ザクッ、ザクッ
ハーマイオニー「……ありえないことではなさそうね……慎重に、探ってみましょうか」
ザクッ、ザクッ、ザクッ
ハニー「あいつが私に呪いをかけたのは、おそらく二階よ。だから……」
ザクッ、ザクッ、ザクッ
ハーマイオニー「えぇ、一階を中心に。そもそも二階はほとんど吹き飛ばされているから行き様がないけど……」
ザクッ、ザクッ、ザクッ
ピタッ
ハニー「……」
ハーマイオニー「……」
「……」
ハニー「……ねぇ、ハーマイオニー……この家の門の前でピッタリ立ち止まってこっちを見てる、ってことは……あのおばあさんはただのマグル、ではないわよね?」
ハーマイオニー「えぇ……バチルダよ。バチルダ・バグショット。随分……やつれていらっしゃるけど」
バチルダ「…………」
ザクッ、ザクッ、ザクッ
バチルダ「……」
ハニー「……手招きされるまま、バチルダの行く方へ着いていっているけれど……あの人本当に大丈夫かしら」
ハーマイオニー「ご高齢、ということを踏まえても健康とは言えなさそうね……あの、バチルダ?バグショットさん?お手を貸しましょうか?」
バチルダ「……」ブンブン
ハニー「……いらない、ですって……うー」
ハーマイオニー「あんなに不安定な足取りなのに……ハニー?どうしたの?」
ハニー「ほら……あのロケット、今は私がかけているでしょう?なんだかね、さっきから……脈打つような……変な感覚が」
ハーマイオニー「何かを察知しているのかしら……代わりましょう、ここに着いてからずっとあなたがかけているもの」
ハニー「いいわよ、離れるまでは私で……それより、バチルダのお家みたいよ……荒れ果てているわね」
ハーマイオニー「……庭のお手入れをする人も、その暇も、なかったのかしら」
キィィッ
バチルダ「……」
クイッ、クイッ
ギイッ、ギイッ……
ハニー「……こっちにおいで、ですって……奥の部屋に、消えていったわ」
ハーマイオニー「……なんだか、変な臭いが……埃と……饐えた食べ物のような……ハニー、なんだかおかしい……変よ」
ハニー「いざとなったら、あんなおばあさんですもの。杖で……」
バチルダ「『こっちにおいで!』」シューッ、シューッ
ハーマイオニー「! い、今の、何!?」
ハニー「? バチルダが呼んだ声でしょう?やっと喋ったと思ったら、ぶしつけな態度ね。誰に物を言ってるのかしら、もう」
ハーマイオニー「???」
シュッ、シュッ
バチルダ「……」
シュッ、シュッ
ハニー「……ミセス?あー、ミス?バグショットさん?蝋燭に火をつけるなら、えぇ。私がやるわ。マッチを貸していただける?」
バチルダ「……」
ハーマイオニー「真っ暗ですものね、この部屋……暖炉もずーっと、使っていないんじゃ……バグショットさん?あの、それまではどうやって、暖を……?」
バチルダ「……」
ハーマイオニー「……だんまりだわ」
ハニー「ここと、ここ、っと。あとの蝋燭は……あら、たくさん写真立てが……ほとんど埃まみれで、見えないけれど」
ボッ
ハニー「これで、少しは見えるかしら?明るく……あか、る、く……バグショットさん!?ミセス・バグショット!?」
ハーマイオニー「!?ど、どうしたの、ハニー!?それが……大きな写真立て?」
ハニー「この男の人は、誰!?えぇ、ハーマイオニー!あいつよ!あいつがグレゴロビッチに問い詰めていた時――あいつが求めているものを、グレゴロビッチのところから盗みだした男!この写真の人!こいつだわ!」
ハーマイオニー「それって……!だ、ダンブルドアと、肩を組んだ写真が!ハニー!こっちにも!こっち、にも!」
ハニー「本当!?そんなにたくさ……あー」
ハーマイオニー「待って、こっちにも……えーっと、これ……あの、バグショットさん」
バチルダ「……」
ハーマイオニー「……ご親戚に、ブラウン姓がいらっしゃらないかしら」
ハニー「バグショットさん、これは誰なの?」
バチルダ「……」
ハニー「教えて!これは――あなたは私たちにどうして一緒に来るよう言ったの?このことを教えるため?それとも……」
ハーマイオニー「ねぇ、ハニー……この人、本当に私たちだって分かっているのかしら……眼もうつろで……さっきから……」
ハニー「そうでないと、あの場に現れたのがおかしいじゃない?ねぇ、バグショットさん」
ハーマイオニー「……私たちに何か、話したいことがあったのですか?」
バチルダ「……」
クイッ、クイッ
ハニー「! 二階を指差して……一緒に来い、そういうこと?」
ハーマイオニー「いいわ、行きましょう」
バチルダ「……」
ブンブンッ
ハニー「……どうやら、私一人に来て欲しいみたい。ハーマイオニー、待っていれくれる?」
ハーマイオニー「……気をつけてね。その間、私、薪を探してくるわ。寒すぎるもの、この部屋……バチルダさん、なるべく早くお願いします」
バチルダ「……」
ハニー「……さっきみたいに少しでいいから、喋ればいいのに」
ハーマイオニー「……ハニー?」
ガタッ、ガタッ
ガチャッ……
ハニー「……酷い、悪臭……ここ、バチルダの寝室かしら……ねぇ、あなた、バグショットさん?どうしてこんな暮らし……」
バチルダ「……」
ハニー「あぁ、ここも真っ暗だわ……『ルーモス、光よ!』これで……きゃっ!?」
バチルダ「……」
ハニー「い、いつの間にそんなに近くに……あの、バグショット――」
バチルダ『ポッターか?』シューッ、シューッ
ハニー『あぁ、やっと……そうよ』シューッ、シューッ
ハニー「(……何かしら……この人の近くだと……また、分霊箱……さっきより、はっきり……)」
ハニー『私に、何か渡すものがあるの?』シューッ、シューッ
バチルダ「……」
ハニー「……『無視は――」シューッ
ハニー「……」
ハニー「(何なの、かしら、この感覚――こんなに暗いのに、こんなにおかしな場所なのに――喜び?どういう……)」
ハニー『よく やった こいつを捕まえろ!』シューッ、シューッ
ハニー「……」
ハニー「……えっ?」
バチルダ「……」ニタァァァァッッ
ブチブチブチッ、ズルッ
ハニー「あっ……ぁ、バチルダの、首、が……」
ハーマイオニー「ハニー!!!ハニーーーー!!逃げて!!!バチルダはここで、死んでるわ!!!それは!!!そこにいるのは!!!!」
ナギニ『つーーーかまーーーーえたぁああああああああ!!!』シューーーッ!シューーーーッ!
ハニー「っ、蛇語、あぁ、なんて……!っあ!!」
シュルシュルシュルッ!
ハーマイオニー「ハニー!?返事、して!ハニー!!」
ハニー「こい、つ……胸、に……からみ、ついて……あぁ」
ハニー「息、が……っ、くっ」
ハニー『そぉぉうだ こいつを 捕まえろ』シューッ、シューッ
ナギニ『はーい!』シューッシューッ
ハニー「あぁ……なに、これ……気が、遠、く……額……痛……」
ハニー「遠く……どこ、か、遠い……空」
ハニー「飛んでる……近づいて……捕まえた……ナギニには……褒美を」
バーンッ!
ハーマイオニー「ハニ――あぁ!!!」
ナギニ『!』
シュルシュルッ! バッ!!
ハニー「かっ、はっ、ほ、どけ……ハーマイオニー!!避け、て……!」
ハーマイオニー「っ、『ステューピファイ!!』」
ナギニ『痛い!!』シューッシューッ!
バーンッ!
ハニー「っ、あっちの壁に、吹き飛んで、いったわね……は、ハーマイ、オニー……」
ハーマイオニー「ハニー!ハニー!大丈夫!?立てる!?」
ハニー「えぇ、それより、それより、逃げなきゃ、あいつが来る、ハーマイオニー!あいつが、来るの!飛んで、こっちに来る!!」
ハーマイオニー「あい、つ……?」
ハニー「あぁ……『あと、少しだ あの場で 今度こそ あの娘の命を ナギニよ 捕らえておけ』シューッ、シューッ
ナギニ『むーっ!怒った!僕怒った!』シューッ、シューッ
ハーマイオニー「っ、あの蛇、失神呪文も効かないのね……」
ハニー「っ、逃げ、ましょう……ハーマイオニー、逃げ……痛い、額が、額が、割れる……あぁっ!」
ハーマイオニー「えぇ、ハニー!掴まって!」
パリィイイン!
バリィイイン!
バキバキバキッ!
ハーマイオニー「っ、あの蛇、部屋中の家具をなぎ倒して、こっちに……じゃぁ、これよ!!『コンフリンゴ!!』」
ボガァアアアアアン!!
ナギニ『!!』
ハニー「っ、あぁっ、ハーマイオニー!外、外へ!あの、窓から!早く……熱っ、爆発、火、何をしている ナギニは 小娘は」
ハーマイオニー「あっ、や、やりす……ハニー!」
バリィィンッ!
バチンッ!
グルグルグルグル……
ハニー「あぁ、『姿くらまし』を……ぁ」
ハニー「ああぁ」
ハニー「額……傷……割れ……」
ハニー「っ、ぁ…・・・あああああああ」
ハニー「――」
『どこだ!どこへ、行った!』
ナギニ『窓!ご主人様!窓!窓に!僕頑張ったのに!頑張ったのに!』シューッシューッ!
『またも 逃がすだと!? この場で! この村で』
『俺様が この俺様があああああああ!!!またも、あの小娘を!!!』
ハニー「あぁ、あっっ、あぁああああああああああ!!」
ハーマイオニー「っ、ハニー、ハニー!?しっかり、ハニー!?」
ハニー「――」
『またも、この場所で! 前回取り逃がした、この場所で!』
『あの家が見えるこの場所で なんたる屈辱 俺様の眼前で』
『そうだ あ奴らは ポッターは 小娘は そして』
『ジェームズ・ポッター 憎い、あの男にも 何度も それをまたあの小娘に 何度、俺様を怒らせれば』
『何度、俺様の 邪魔を――』
――
『人狼が魔法使いの暮らしに溶け込むことなど不可能だ リーマス・ルーピン こちら側に来い お前は俺様たちと同類で――』
ジェームズ『ふざけるのはあなたのその面と馬鹿らしいプレティーン全開な名前だけにすればどうだい、この蛇面不審者』
ジェームズ『愚かで弱虫で闇しか逃げ場が無かったあなたが、この僕の友人を同類と思うだなんて虫酸が走る。黙れ。口をつぐめ。中指ついて土下座してさっさと闇に消えるといい』
――
『俺様と組め ジェームズ・ポッター』
ジェームズ『ヒトモドキなのは見た目だけかと思ったら、頭まで蛇並みか?何度だって言ってやる、僕はあなたとは違う。闇に逃げる道連れなら、もっと弱い奴を誘えばどうだ?」
――
『万事休すだ、ポッター 死に頭を垂れる、準備はいいな?』
ジェームズ「どうかな――ん、なっ!?」
ブロロロロッ!バーーーンッ!
リリー『見つけた!!やっと見つけたわよ、この、この!!』
ジェームズ『り、リリー!?どうして!シリウスに、君のことを見張っておくよう、頼んだはずで――』
リリー『そこのサイドカーで伸びてる駄犬がなんですって!?』
ジェームズ『……友よ』
リリー『それより!あなたよ!あなたのことよ、ジェームズ・ポッター!私を置いて!何も言わず!この状況はどういうこと!情けない!敵に囲まれて!?ヴォルデモートの御前だなんて、どうして誘ってくれないのか不思議ね!!』
ジェームズ『っ、君をこんなところに連れてこられるわけないだろう!これは僕の戦いだ!こいつは、僕は、君を――』
リリー『逃げるな!!』
ジェームズ『!』
リリー『私はとっくに決めてるわよ!逃げないわよ!あなたの隣から!!逃げてやらない!!』
リリー『――男なら、愛する命、二つくらい!守りきってみせなさい!ジェームズ!!』
ジェームズ『それって――』
ジェームズ『それ、って――?』
リリー『……後見人は、頼りないけどそこのあなたの友人で、いいかしら?』
ジェームズ『……』
『茶番は終わりだ、ポッター……っ!!?』
ジェームズ『あぁ、ヴォルデモート卿。あなたはとても不幸だ』
ジェームズ『だって、僕は今、この瞬間――』
ジェームズ『世界最強の魔法使いになってしまったんだから』
――――
眼鏡ウザカッケェェェェェェ
そして安定のシリウス
ハニー「――」
『そして あの夜』
『俺様が死に限りなく近づいたその夜 肉体が引き裂かれる耐え難い痛みを受けた晩』
『全てが片付くはずだった あの夜』
『全てが始まってしまった 俺様の苦痛の始まりの あの夜』
――
『ゴドリックの谷 ここにおったとは ダンブルドアのお膝元 なるほど』
『あぁ この感覚 この時を待ち望んでいた 俺様を何度も煩わせた者共』
『小うるさいマグルどもも 今日は目に入らん [ピーーー]のは容易い だが』
『今日の殺しは もっと極上のもののために 取っておくとしよう』
ザッ、ザッ、ザッ
『「忠誠の術」は 既に破られた』
『通りの 外れ あの生垣はなんだ?』
『「地図になかった」あの家はなんだ?』
『そうだ やっと 見つけたぞ』
ジェームズ『天使だ!天使がいる!我が家に天使が二人もいる!』
リリー『ジェームズ、うるさい。ハニーが起きるでしょ』
キィィッ
ジェームズ『そうしたら僕が目一杯遊んであげるだけだけれどね。さぁ、ハニー?僕の天使?あぁ、こんな野暮なものは置いてしまおう』
ポイッ
『どこまでも 愚かだな 不抜けたか、ポッター 杖を手放すとは』
バーーーーーンッ!!!!!バラバラバラバラバラッ……
ハニー「――」
『そして あの夜』
『俺様が死に限りなく近づいたその夜 肉体が引き裂かれる耐え難い痛みを受けた晩』
『全てが片付くはずだった あの夜』
『全てが始まってしまった 俺様の苦痛の始まりの あの夜』
――
『ゴドリックの谷 ここにおったとは ダンブルドアのお膝元 なるほど』
『あぁ この感覚 この時を待ち望んでいた 俺様を何度も煩わせた者共』
『小うるさいマグルどもも 今日は目に入らん [ピーーー]のは容易い だが』
『今日の殺しは もっと極上のもののために 取っておくとしよう』
ザッ、ザッ、ザッ
『「忠誠の術」は 既に破られた』
『通りの 外れ あの生垣はなんだ?』
『「地図になかった」あの家はなんだ?』
『そうだ やっと 見つけたぞ』
ジェームズ『天使だ!天使がいる!我が家に天使が二人もいる!』
リリー『ジェームズ、うるさい。ハニーが起きるでしょ』
キィィッ
ジェームズ『そうしたら僕が目一杯遊んであげるだけだけれどね。さぁ、ハニー?僕の天使?あぁ、こんな野暮なものは置いてしまおう』
ポイッ
『どこまでも 愚かだな 不抜けたか、ポッター 杖を手放すとは』
バーーーーーンッ!!!!!バラバラバラバラバラッ……
ハニー「――」
『そして あの夜』
『俺様が死に限りなく近づいたその夜 肉体が引き裂かれる耐え難い痛みを受けた晩』
『全てが片付くはずだった あの夜』
『全てが始まってしまった 俺様の苦痛の始まりの あの夜』
――
『ゴドリックの谷 ここにおったとは ダンブルドアのお膝元 なるほど』
『あぁ この感覚 この時を待ち望んでいた 俺様を何度も煩わせた者共』
『小うるさいマグルどもも 今日は目に入らん 殺すのは容易い だが』
『今日の殺しは もっと極上のもののために 取っておくとしよう』
ザッ、ザッ、ザッ
『「忠誠の術」は 既に破られた』
『通りの 外れ あの生垣はなんだ?』
『「地図になかった」あの家はなんだ?』
『そうだ やっと 見つけたぞ』
ジェームズ『天使だ!天使がいる!我が家に天使が二人もいる!』
リリー『ジェームズ、うるさい。ハニーが起きるでしょ』
キィィッ
ジェームズ『そうしたら僕が目一杯遊んであげるだけだけれどね。さぁ、ハニー?僕の天使?あぁ、こんな野暮なものは置いてしまおう』
ポイッ
『どこまでも 愚かだな 不抜けたか、ポッター 杖を手放すとは』
バーーーーーンッ!!!!!バラバラバラバラバラッ……
ジェームズ『ゴホッ、ゴッ、ホッ……リリー、ハニーを連れて上へ!あいつだ!あいつが、来たんだ!』
リリー『っ、ジェームズ……!杖が……!』
ジェームズ『行け!その顔はなんだ?僕を誰だと思ってる?あぁ、あいつは僕が食い止める!行け!』
リリー『ジェームズ、私――』
ジェームズ『あぁ』
リリー『っ、わたし、絶対後悔しない!後悔、しないわ!!ジェームズ、愛してる!』
タタタタタタタッ……
ジェームズ『……あぁ、僕だって、って、答えも聞かず、行っちゃうんだもんな』
ジェームズ『聞くまでもないからか。それで?』
ジェームズ『誰が来たのかは、聞くまでもないよな。僕らの家の居間を吹き飛ばしてくれた下世話な奴の名前なんて』
『終わりだ ポッター』
ジェームズ『会話のクァッフルをちゃんと受け取ればどうだ、ヴォルデモート卿。やっぱり、あなたか……驚いた、どうやって「忠誠の術」を破ったんだ?ダンブルドアの渾身の策だったのに』
『それは、貴様がよく分かっているはずだろう? なぁ ワームテール』
ジェームズ『……』
スッ
チチチッ!チーッ、チチッ!!
ジェームズ『……彼を放せ』
『ほう? 自らの命乞いでなくて、よいのか?』
ジェームズ『いいから放すんだ。ピーター、逃げろ!絶対に見つかるな!シリウスと、リーマスに――!』
チチーーッ!?チチーッ!!
『いいだろう、この席には こやつはふさわしくない ワームテール、俺様の帰りを待つのだ』
ポトッ
ダダダダダダダダダッ!
ジェームズ『……』
『お優しいことだな、ポッター? 裏切った男にも情けをかけるか? そのくだらん友情が、貴様を追い詰めたと言うのに』
ジェームズ『なに、彼の勇気を讃えたくてね。この僕を裏切るなんて、とんでもない勇者だよ、そうだろ?』
『違いない さぁ 終わりだ』
ジェームズ『どうかな』
『アバダ――』
ジェームズ『僕にとっては』
『――ケダブラ!』
ジェームズ『はじまりで――』
バーーーーーン!
バタッ
ジェームズ『』
『なんとも容易い なんともあっけない 死は全ての終わり そうだろう、ポッター? 永遠に、己が愚かさを嘆くが良い』
リリー『あぁ、どうか――ハニーだけは!ハニーだけは!お願い!』
『どけ!バカな女め 退けば殺さないと言っている』
リリー『お願い、お願い!ハニーだけは!私が、私が代わりに……!』
『これが最後の忠告だぞ どくんだ!』
リリー『私を殺して!だから、ハニーだけは許して!私は、どうなっても構わない――!』
『されば 貴様も 諸共 殺すまでよ 「アバダケダブラ!」』
バーンッ!!
リリー『』
『……愚かな 死ぬ必要は無かったと何度言ったか ヴォルデモート卿は約束を守るのだ 今回は 仕方あるまい』
『さて』
ハニー『ふぇ、ぇぇぇっ、ぇぇぇぇ!ぇえぇええぇぇぇ!!』
『これが、俺様の脅威になるだと? こんな赤子が ベッドの中で泣き喚く あの孤児院のうるさいガキどもと変わらぬような これが』
『なんたる屈辱 だが それも全て滅びる』
『さぁ お辞儀もできん貴様には もはや話す言葉も無い』
『「アバダ ケダブラ」』
バーーーーン!!
――
『俺様は 無になった あらゆる苦痛がいつまでも続く 無に』
『俺様が 敗北の記憶に 突きつけられるとは』
『なんたる苦痛 屈辱が 俺様の企てを どいつも、こいつも』
『どいつも こいつも』
『――この写真は なんだ』
『この 男 は』
ハニー「駄目、あぁ、あの写真、落として……パパ、ママ……駄目」
ハーマイオニー「ハニー、ハニー!あぁ、意識が戻ったのかと思ったらまたうなされて……ハニー!……んっ……」
ハニー「……んっ、っは……あぁ……ハーマイ、オニー……?」
ハーマイオニー「気がついた?良かった……あなた、随分眠っていたのよ」
ハニー「そう……とっても、いい、目覚めだわ……見ていたものが、吹き飛ぶくらに、ね」
ハニー「逃げおおせた、のね……本当に、危機一髪だったわ。あいつは……あいつは、私たちが窓から飛び出した次の瞬間、あの部屋にたどり着いたのよ」
ハーマイオニー「まるで見ていたかのようにそんな……えぇ、危なかった。その後も大変だったわ……分霊箱が、あなたからひきはがせなくて」
ハニー「はがせなかった……?」
ハーマイオニー「あなたの胸の下あたりに、張り付いていたの……ごめんなさい、綺麗に切断しようと思ったんだけど……痣が、残ったわ……ごめんなさい、あなたの綺麗な肌に……」
ハニー「いいのよ、そうしてくれなかったら今頃、私……けれど、そうね。後で違う痣でお返しはするわ」
ハーマイオニー「望むところよ……分霊箱は、しばらくバッグに置いておきましょう。本当に危険だわ……分かっていたことだけど」
ハニー「……ゴドリックの谷も、ね。罠が絶対に仕掛けられてるって、分かっていたのに……ごめんなさい」
ハーマイオニー「私も同意した上で行ったんだもの、謝らないで……それじゃ、あの蛇は……バチルダの、中から……?」
ハニー「えぇ……そう、ずっとバチルダの声だと思ってたのは、蛇語だったんだわ……全然、気づかなかった。もう」
ハーマイオニー「どうりであなたにだけ聞こえたのね……あの家の様子、それに、うー、本物のバチルダの、その、遺体からみて……かなり前から、待ち伏せていたみたい」
ハニー「……ハーマイオニー、いやなものを見たわね。それに……私が眠ってる間、ずっと見張りをしていてくれたんでしょう?休んで。私の杖はどこ?」
ハーマイオニー「いいえ、すぐにこれからどうするかを話し合わなk……あ、あ、そ、そうね……ちょっと、そうね……眠っていようかしら、三日くらい」
ハニー「? 途中で無理やりでも起こしてあげるけれど……あら?ハーマイオニー?私の、杖は……?」
ハーマイオニー「……」
ハニー「私の……わたしの」
ハーマイオニー「……ごめんなさい、ごめんなさい、ハニー……」
ハニー「杖……あぁ」
スッ
カタカタッ
ハーマイオニー「あの、爆発呪文……私、無我夢中で……そこらじゅうに跳ねたのを、覚えてる?その時……あ、あぁ、ハニー……なんて、私……」
ハニー「あなたは、あなたに出来る最良のことをしたわ。気に、しないで……けれど」
杖/豚「」
ハニー「……これから……どうすれば、いいのかしら」
ハーマイオニー「ごめんなさい、ごめ……きゃぁ!?っちょ、ハニー!謝らせてよ、あやま、あぁ、そんな、あぁ、あの時の箒での喧嘩も私が悪くて、その、後は、あぁ……」
杖/豚「」カタカタッ、カタッ
小休止
8時には再開
チュンチュンッ
ハーマイオニー「スーッ、スーッ」
ハニー「……」
ガサガサッ
ハニー「……私の、杖」
ハニー「……今までのどんな傷より、怪我より……痛手だわ。えぇ、ハーマイオニーは、悪くないけれど」
ハニー「……この杖は、ただの杖じゃない」
ハニー「あいつとの、兄弟杖で……同じ芯を、使っていて」
ハニー「これまで何度も、あいつの杖と繋がったり……居場所を突き止めたり……金色の炎を吹き出したりした、優秀な……豚だったわ」
ハニー「……他の杖じゃ、こんなことできっこない。理屈は、分からないけれど……確信があるわ」
ハニー「……オリバンダーなら……直せる、かしら」
ハニー「……どこにいるのかも、わからないけれど」
ハニー「……『アクシオ、ハーマイオニーのバッグ』」
ググッ、ヘタッ、パサッ
ドサッ
ハニー「ほとんど、反応しないわね。あぁ……あら?」
ハニー「椅子から倒れ落ちたハーマイオニーのバッグから、いけないわ。本が、飛び出て……」
ハニー「……」
ハニー「『アルバス・ダンブルドアの真っ白な人生と真っ赤な嘘』???」
ハーマイオニー「ふーっ、ふーっ、ねぇ、ハニー、あのね、起こすときは、ふーっ、普通に、起していただけない?」
ハニー「昨日のあなたの真似をしただけよ。それで……どこで、これを?」
ハーマイオニー「あぁ……バチルダの家に、置いてあったの。リータ・スキーターのメモ書きと一緒にね。『ありがとざんした』って……まだ一度も開かれていないようだったわ」
ハニー「取材に答えて、この本が送られてくる頃にはもう……ということね……ねぇ、ハーマイオニー……もし、バチルダが」
ハーマイオニー「……あの写真を、リータに提供していたら。えぇ、私もそれが気になって、この本を開いたの。あなたが、『あの人』がグレゴロビッチの記憶で見たって言っていた、男の写真……ずっと後ろの、ページよ……」
パラパラパラッ
ハーマイオニー「……ハニー、まず言っておきたいの。これを書いたのはリータだし、それに、ダンブルドア本人にしか分からない理由も、きっと……」
ハニー「いいから、見せて。どの……あぁ、ダンブルドアとあの男が、ことさら仲が良さそうに写ってるわね。バチルダって、本当……ほん、と……」
ハニー「……」
『アルバス・ダンブルドア 母親の死後まもなく 友人の ゲラート・グリンデルバルドと 大笑いする様子』
ハニー「グリンデルバルド……グリ、グリンデルバルド……!?」
ハーマイオニー「一番の隠し玉は、これだったんだわ……この章に詳しく、書いてあるみたい……『より大きな善のために』」
ハニー「……」
パラパラパラッ
『十八歳の誕生日が近づき、アルバス・ダンブルドアは魔法界のあらゆる栄誉に輝いてホグワーツを卒業した』
『首席、監督生、バーナバス・フィンクリー賞、ウィゼンガモット最高裁英国青年代表、カイロにおける国際錬金術会議における革新的論文の金賞受賞、エトセトラ、エトセトラ……』
ハニー「……」
『のろまながらも献身的なドージと共に伝統の卒業世界旅行に向かう寸前のことである。二人の若者が旅立つ準備をしていたギリシャに、一羽のふくろうがダンブルドアの母、ケンドラの訃報を運んできた』
『のろまなドジのドージが悲劇的で感傷的で同情を煽るその当時の一文を公開しているとおり、ダンブルドアはすぐさま旅行を中止し、ゴドリックの谷に戻ることとなる』
『母がいなくなり面倒をみなければならなくなった、弟アバーフォースと、妹ケンドラのためである』
『しかし、実際のところ、彼はどれだけ弟妹の面倒をみていたのであろうか。近隣の住民は語る』
『「アバーフォースはあれくれで、あの頃はそれが一際だった!なんどヤギの糞を投げつけられたことか!アルバスの弟でなかったら、あんなのは谷から追い出してやったのに! アルバスのためにも、それが良かったかもしれない。あの二人が並んで歩いているところなんて、一度も見たことがなかったよ」』
『弟をなだめもせず、ダンブルドアは何をしていたのであろうか?』
『そう、先の章でも触れた、妹、アリアナの監禁に勤めていたのである』
『当時をよく知る人物として、今ではパッとしないバチルダ・バグショットが筆者に語ってくれた』
『それもこれも、筆者の類稀な取材能力と気の利いた手土産、そして「真実薬」の賜物であろう』
ハニー「……下衆なことを、隠しもしないわね」
ハーマイオニー「顔が語っているものね、えぇ」
『ダンブルドアは、実は、妹の面倒さえ満足にしていなかったかもしれない』
『と言うのも、問題があるためこの田舎に送られバチルダの家に住む事となった彼女の遠縁の甥と、ダンブルドアが意気投合したからである』
『才気に溢れたダンブルドアは、同じくこの片田舎に閉じ込められたこの若者と才能を分かち合ったのである』
『「私には魅力的な少年に見えたねぇ」バチルダはこう語る「二人並ぶと、もう涎が止まらないくらい絵になって……ウォッゴホン」筆者はその手の話も大歓迎ざんす(詳しくは次回作で!)』
ハニー「宣伝してるんじゃないわよ」
『「彼があの後どういうふうになったかは別にして、あの頃は、アルバスと同じく、才能も若さもあるのに同じ歳の友人がいない、不憫な子に見えてね……アルバスに紹介したのよ」』
『「アルバスとは、彼が学生時代に『異種間変身』の素晴らしい論文を学会に出した頃からのお友達でしたから……すぐに、彼らは親友になりました。アルバス・ダンブルドアと――ゲラート・グリンデルバルドは」』
『グリンデルバルドの名は有名である。一世代後に現れた『例のあの人』にお株を奪われるまでは、歴史上最も危険な闇の魔法使いのトップの座に君臨していたと言えよう』
『その恐怖の手はイギリスにまで及んだことがなかったため、勢力台頭の過程についてはわが国では広くしられていない。その理由も、この過去が原因となっているのである』
『闇の魔術を容認するダームストラング校でさえ放校処分を下さざるを得ないほど、その才能を歪んだ試みでしか活かさなかったグリンデルバルド』
『そんな彼が なんともはや 我らが英雄、ダンブルドアと親交を結んでいようとは』
『読者のみなさまが眼からコガネムシが転がり落ちそうなほど目を見開く様子が想像される』
ハニー「……」
ハーマイオニー「羽をむしって……いいえ、虫ピンで……あの女」
『バチルダが、その当時の――どういう経緯で入手したのやら筆者はこの老婆を師匠と仰ぎたい衝動に駆られた――ダンブルドアとグリンデルバルドの間でやり取りされた手紙を残していた』
『「一日中、魔法理論や社会の熱い議論を繰り広げたその後にだよ――才気溢れる若い二人は、それでもまだ火が収まらないみたいでねぇ!夜中にゲラートの部屋の窓をアルバスのふくろうがコツコツと叩く音が聞こえたものだったわ」』
『「アルバスに何か考えが閃いたのだろうね!そうすると、すぐにゲラートに知らせずにはいられなかったのでしょう!」』
『考えが、聞いて呆れる。ダンブルドアのファンにとっては衝撃であろう、我らのヒーローが後の極悪魔法使いに宛てた手紙は、以下の通りである』
[ゲラート
魔法使いが社会を支配することは、マグル自身のためだという君の論点だが
僕はこれこそが肝心な点だと思う
確かに我々は力が与えられており、そしてたしかに、その力は我々に支配する権利を与えている
同時にそのことは、被支配者に対する責任も我々に与えているということを理解しなくてはいけない
このことこそが、僕らの打ち立てるものの土台となるだろう
僕らの起こそうとすることに反対が抵抗は必ず生じることと思う。しかし、反論の基礎はここにあるのだ
僕らは、誰も気づかない『より大きな善のために』支配権を掌握する
そのための行動する力があり、権利があり、そしてその責任を全うするのだ
全てが終われば皆が気づくはずだろう。反対する者も、その者自身のためにも我々が行動していたのだと
このことからくる当然の帰結だが、抵抗似合った場合は力の行使は必要最低限でなければならない
そこのところを、君はダームストラングで間違えてしまったのだ
あぁ、文句は言わない。なぜなら、君が退学にならなければ僕らは出会うことがなく
この社会はいつまでも変わる機会が訪れることは無かっただろうだから
愛じゃよ アルバス]
ハニー「……」
ハーマイオニー「……」
ハニー「……最後」
『多くのダンブルドア崇拝者にとってなんたる衝撃!なんたる打撃!』
『マグルの権利を主張してきた彼の演説が、この確たる証拠の前にはなんと空しく響くことか!』
『母親の死悼み、家族の世話をしていなくてはならないはずのその時期に!』
『自らが権力の座に上り詰める画策に励んでいたダンブルドアが、いかに見下げ果てた存在に見えることか!』
『それでも彼を擁護したい諸兄は、こう納得するのだろう』
『ダンブルドアも若かった。それに結局行動に移さなかったのだから、ダンブルドアは考え方が変わって正気に戻ったのだ、と。グリンデルバルドにたぶらかされただけだ、と』
『しかし、どうやら真実はこれよりも衝撃的なのである』
『すばらしい友情から二ヶ月と立たないうち、二人は別れ、あの伝説の決闘に至るまでお互いに二度と顔を合わせることはなかった(決闘については22章)』
『この時、ダンブルドアは正気に戻って彼に反論したのか?グリンデルバルドに対してもう計画に加わりたくないと言ったのか?そうでは、なかった』
『「アリアナが死んだ時、ゲラートは随分とうろたえていてねぇ」バチルダはこう語る』
『「その時ゲラートはアルバスの家にいて、ショックを受けた顔で帰ってきたよ。それで、故郷に帰ると言ったきり、それっきりだねぇ……アリアナの葬儀にも戻らなかったのは、アルバスも残念だっただろう……」』
『アリアナの死、そう、その数時間後にグリンデルバルドはイギリスから逃げ去り、そしてダンブルドアは魔法界の懇願に応えて彼と対峙するに至るまでは二度と、探そうともしなかった』
『アリアナの死は――彼らの、恐ろしい――「より大きな善」の、最初の犠牲者だったのかもしれない』
ハニー「……」
ハーマイオニー「……」
ハニー「…………」
ハーマイオニー「……ハニー」
ハニー「……」
ハーマイオニー「えぇ、この本は……あまり、読んで楽しいものでは、なかったわね」
ハニー「……そうね。最悪の、気分だわ……信じていたものが、何も」
ハーマイオニー「ハニー、さっきも言ったじゃない。これを書いたのは、リータ・スキーター。捏造なんて気にする人じゃないってこと、分かってるでしょ?」
ハニー「……手紙は、本物だわ。写しも載ってる……この字は、ダンブルドアのものよ」
ハーマイオニー「それは……そう、そこのところが、最悪の部分だとは思うの……『より大きな善のために』は、グリンデルバルドが後年の自分の残虐行為を正当化するための、スローガンに使われていたもの……」
ハニー「……」
ハーマイオニー「自分に敵対する人間を収容した監獄、ヌルメンガードの入り口にも書かれているそうよ……ダンブルドアに破れてからは結局、自分が入ることになったけど……あぁ、そんなのは、どうだっていいわ」
ハニー「ダンブルドアは、グリンデルバルドの権利掌握を……手伝おうとしてた?」
ハーマイオニー「その思想の、一部に同意した!それだけよ!ハニー、リータだってこの部分は否定できないはずだけど、二人は出会って分かれるまでたったの二ヶ月で、その間に行動に移したと呼べるものは何も残っていないし、それに……二人は、若くて」
ハニー「若さは言い訳になんかならないわ。だって、この二人は今の私たちと同じ年頃よ。私たちは――必死になって、闇の魔術と戦ってる。それなのに――この頃のダンブルドアはこの人と組んで、マグルの支配者になる企みをしてたって言うのよ!?」
ハーマイオニー「ダンブルドアの書いたことを全て擁護しようとは思わないわ!支配する権利、だなんて!馬鹿げてる!『魔法は力なり』とおんなじよ!でも、ハニー、ダンブルドアは母親が死んで、そう、きっと寂しくて、一人で……」
ハニー「一人なもんですか!弟もいた!!妹がいた!!!大事な家族が、二人も!!それさえないがしろにして!監禁何て……」
ハーマイオニー「ハニー!怒っているせいで、何もかもダンブルドアが悪い思考になってるわよ!そんなもの、信じられると思う!?あのダンブルドアが、私たちの校長先生が、実の妹をそんな扱いするだなんて――」
ハニー「わたしの知ってるダンブルドアは!知ってると思ってたダンブルドアは!!!!力ずくでマグルを支配しようなんて考えなかったわ!!!!!!!!」
ハーマイオニー「ハニー!ダンブルドアは変わったの!変わったのよ!!」
ハニー「っ……」
ハーマイオニー「十七歳の時は、こう考えていたかもしれない!そうかもしれない!だけど!あの人はそれ以後の人生全てを闇の魔術と戦うことに捧げてる!これは憶測でもなんでもなく、事実よ!!」
ハニー「……」
ハーマイオニー「ダンブルドアこそグリンデルバルドを挫いた人!マグルの保護と、マグル生まれの権利を常に支持した人!どれだけの名族って言われる魔法族を敵に回しても、そのことは絶対に譲らなかったわ!それに、それに……」
ハーマイオニー「最初から『あの人』と戦って、打倒して、そして、命を――」
ハニー「じゃあダンブルドアがやればよかった!!!!!!」
ハーマイオニー「……ハニー、それは……」
ハニー「ハーマイオニー!!あの人が!!!あの人が私に!わたしに何を命じたか教えてあげる!!!」
ハニー「命を賭けるのだ、ハニー!何度でも!何度でも!!!何度、でも!!!!!」
ハニー「わしが何もかも君に説明することなど期待するな!!けれど君はわしを信じろ!!!!わしが君を信じなくとも!!」
ハニー「真実なんて一度も!!!一度だって!!!こんな滅茶苦茶な状態に置き去りにして!!!!!!」
ハニー「グリンデルバルドの方がよっぽどあの人のことを知ってる!!!素顔を知ってる!!!!」
ハニー「っ、ダンブルドアが、そういう考えだったこと、それが、それで、怒ってるんじゃ、ない!」
ハニー「っ、わたしに、わたしには、一度も!!若い、時のことも!!!あの谷のことも!!!!!なんにも!!!なん、にも!!!」
ハーマイオニー「……ハニー……あなたは、ダンブルドアに愛されていたわ。それだけは……」
ハニー「っ、あたり、前よ!わたし、私は、っ、だったら、どうして!!!」
ビリビリッ!!
ハニー「わたしに、あなたのことを教えて、くれなかったの……アルバス」
ハーマイオニー「……写真のダンブルドアが……物凄く、首ふってるわ」
ハニー「ハーマイオニー?確か、薪が足りなかったわよね?違う?」
翌日
ハニー「……雪はまだ、やまないわね……おはよう、ハーマイオニー。見張り、替わるわ」
ハーマイオニー「おは、よう……えぇ、でもその前に、場所を変えましょう?なんだか……誰かが近くにいるような気がするの」
ハニー「……ここのところ、減っていたように思うけれど……死喰い人?」
ハーマイオニー「分からないわ……そうにせよ、マグルにせよ、獣にせよ私たちの姿は向こうからは見えないけど……用心に越した事はない、わよね?」
ハニー「えぇ……二人しか、いないんだもの」
ハーマイオニー「……」
ハニー「……そういえばあなた、昨日の寝言で、名前を呼んでたわよ。誰の、とは言わないけれど」
ハーマイオニー「さっぱりだわ」
ハニー「あなたさえ寂しいなら、そうね、私は?本気で謝って、何か、こう?一生の忠誠を誓うようなものを見せてくれれば?許す事もやぶさかではないけれど」
ハーマイオニー「あなたもあなたで素直じゃないわよね久々に……移動、しましょう。今度は……ディーンの森に行きましょう」
ハニー「いいところなの?」
ハーマイオニー「えぇ……一度パパとママと、キャンプに来た事が……あ」
ハニー「……ごめんなさい」
ハーマイオニー「わ、私こそ……さ、行きましょう……焚き火の跡は消して、と……」
ハニー「ダンブルドアは髭の先まで燃えきったわね」
ハーマイオニー「容赦なかったわねあなた……さ、ハニー。手を……握って!握るだけ、どこ、ちが、そこじゃ握る違いで、ちょ、っと、ハニー!」
バチンッ!
ガサガサッ、ガサ
「――う、ぞ……」
ホーッ、ホーッ
ハニー「……すっかり、夜だわ……ハーマイオニーの言っていた通り、ここ……ディーンの森って、とっても素敵ね」
ハニー「雪が綺麗に積もって、星もよく見えて……」
ハニー「……あそこに光ってるのは……大犬座……えぇ、天文学は得意、だもの。だから、分かるわ」
ハニー「……シリウス」
ギューッ
ハニー「……今頃みんな、どうしてるかしら……定期的に覗いてた、『忍びの地図』も……クリスマス休暇でみんないなくなってから、覗く、意味も……」
ハニー「ジニーは、『隠れ穴』に帰ったのね、きっと……『隠れ穴』……」
ハーマイオニー「……ロン……ん……うーん……」
ハニー「……ハーマイオニー、また寝言だわ……そろそろ……!」
パキッ、パキパキッ
ハニー「何か、向こうに……動物かしら……あぁ、本当、夜の森ってこれだから」
ハニー「もし、人だったとしたら……」
「―――、――」
ハニー「!誰……!今、声…………っ!?」
パァァァァァッ
ハニー「光……なぁに?これ、銀色の……あれって……」
スゥゥゥッ
ハニー「……音もなく、近づいてくる」
「――」
ハニー「……わたしに、会いにきたの……?」
「――」
ハニー「……銀色の……牝鹿」
牝鹿「――――」
クルッ
スゥゥゥッ
ハニー「あっ、あぁ!待って!いかないで!あなたは、あなたは……!?」
牝鹿「――」
ハニー「あなたはなんなの!?戻ってきて!待って……!」
牝鹿「――」
ハニー「着いてこい、そういうこと……?保護の範囲の、外に……あぁ」
ハニー「けれど、あれは……あれはきっと……いいえ、絶対、闇の魔術じゃないわ……だって」
ハニー「牝の、鹿……待って!今、今行くわ!ハーマイオニーは……いいえ、あの鹿は私に、会いにきたのよね」
ハニー「待って!」
ザクッザクッザクッザクッ!
サァァァァァッ
「うわ、なんだあの派手な生き物。そんで……そんで……うわあ……何故だろう……自然と涙が溢れてくる……は、にー、だ……長かった……これまで長かった……マーリ……ん?」
「ハニー……どこに、行くんだ……?」
スゥゥゥゥゥッ
ザクッザクッザクッザクッ
ハニー「ねぇ、あなたはなんなの?どうしてわたしに会いにきてくれたの??」
牝鹿「――」
ハニー「だんまり?ねぇ、わたしに何を教えるつもりなの?ねぇ!」
牝鹿「――」
ハニー「いいわ、黙って案内して頂戴。目的の場所に着いた、なら。止まって、わけを……」
ピタッ
ハニー「!そこ?そこに、何かあるの!?」
タタタタタタッ!
スゥゥゥゥッ……
ハニー「あっ……あぁ!ちょっと、待って!消えないで!教えて!あなたは、あなた、は……誰の!」
パッ……
ハニー「……消えちゃったわ……一気に、辺りが暗く」
ハニー「罠……だったのかしら。その割には、何も襲ってこないわね」
ハニー「……」
ハニー「『ルーモス、光よ』」
パァァッ
ハニー「……いつの間にか、湖の近くに来ていたんだわ」
ハニー「あの牝鹿……私に、何を……?」
ハニー「! あそこで今、光……!……あぁ」
ハニー「湖が、凍っているのね……この寒さだもの、当然……」
ハニー「……」
ハニー「……湖の……氷が少しだけ割れてる、ところ……あれ」
ハニー「うそ……うそ!!」
ザザザザッ、
パキパキッ、パキッ
ハニー「やっぱり……嘘でしょ……あの鹿は、あれは守護霊じゃなくて、この湖の精か、なにかなの……?」
ハニー「氷の、下……湖の、底に」
ハニー「……グリフィンドールの、剣!!!」
ハニー「……」
ハニー「ハーマイオニーの杖は、借りてきているわ……」
ハニー「『アクシオ、剣よこい!』」
剣
ハニー「……駄目ね……前に、私があの剣を手に入れた、時は……」
ハニー「……」
ゴソゴソ
ハニー「サラザールの鱗……『スリザリン!わたしはあなたを――』って、こんなことしても、無駄よね。組分けも、いないんだから」
ハニー「ダンブルドアは、何と言っていたかしら……あそこに用意したのが、もしも、あの人なら」
ハニー「……」
ハニー「真のグリフィンドール生だけが、帽子から剣を……」
ハニー「真の、グリフィンドール生」
ハニー「……勇猛果敢な騎士道で 他とは違う、グリフィンドール」
ハニー「……ハァ……やって、やろうじゃない」
ハニー「分かってたわ、正直ね……こうなるだろうという事は……潜って、取ってくる。そうなんでしょ?」
ハニー「……あぁ……いやだわ」
ハニー「……」
ハニー「これだけグズグズしていて、なにも襲ってこないんだもの……敵はいないと、思っていいわね」
ハニー「……騎士……女の子が、分かるわけないじゃない」
ハニー「騎士っぽさ……」
ハニー「……」
ハニー「服は、脱いだほうが……?」
スルスルッ、シュルッ……
ブシャァァァァッ!
ダバダバダバダバッ!
ハニー「!?な、何の音……寒いわ、本当……気休めにもならない、けれど……下着一枚だけは、穿いて、おきましょう……えーっと……他のものは、服と一緒に……ロケットは……無用心に置いていくわけには、いかないわね」
ハニー「さぁ……あぁ……本当、いや」
グンッ
ザパァァン!
ゴポゴポゴポゴポ……
「ごっふ、ぐ、と、とまれ、こんにゃろ、そうだ、フレッジョの鼻血ヌルヌルヌガーの止めるほう、で……あ、あぁ!?なんでロケットつけたまま、それじゃ、それじゃ、彼女の柔肌の一部が隠れっちまうことnオラァッ!」バキャッ!!
やっぱりロンさんは死んだ方がいいと思うんだ
ゴポゴポゴポゴポ……
ハニー「(冷たい!!冷たい!!!!目が開けられない!!怖い!!いや!!無理!!!いや!!!!)」
ハニー「(っ、しっかりしなさい、わたし!)」
ハニー「(すぐ、済ませて……!それで……剣は、あそこ!)」
ゴポゴポゴポゴポ
ハニー「(あと、ちょっと……もう、少し)」
グッ
ハニー「(! 届いた! これで、これで――)」
ギリギリギリギリギリッ!!!
ハニー「!?!?!!?」
ハニー「(な、ぁに!?なに!?首、が、何かに、締められ……あの僕っ娘が、また……?)」
ハニー「(あ、ち、がうわ……これ……ロケットの、鎖)」
ギチギチギチギチギチ ググググッ!
ハニー「ゴパッ、ゴポポポッ……」
ハニー「(首、絞めて、わたしを、底の方、に)」
ハニー「(あぁ、なんて――なんて、馬鹿、なの)」
ハニー「(このまま、じゃ――あぁ――)」
ハニー「――」
ドポォオオオオオン!!
ゴポポポポポポポポポポッ!!!
ハニー「……?」
グイッ!!
ハニー「(腕、が……あぁ……きっと……天使さん……が……)」
グググッ
ゴポゴポゴポゴゴポ……
バシャッ!!!
ゴロゴロゴロゴロッ!
ハニー「――ッッハ、ゴホッ、ゴホッ、ッハ、ッ、あぁ、息、これ……こ、氷、の、ゴホッ!!上……なん、で」
「正気か!?!?どうしてそのロケットをつけたまま潜っちまったんだ、ハニー!君らしくもない!あぁ、そうだなまったく!!夢中になると変なとこがおろそかになるのはまったく君らしいけど!!」
ハニー「嘘……今日は、なん、なのかしら……変な鹿が、出たと、思ったら……あぁ、そんなの、なんてことない、わ」
ハニー「ロン……ロン、なの……?」
ロン「もちのロンさ!!ハニー、ちょ、ほら!あんまり見ないからロケット貸して!!よぉし!そんでこの剣を同胞蛇の鱗にくっつけてみましてーっと!!!」
ロケット ブルブルブルブルゥ
ロケット バッ!!
ロケット『――お前の心を読んだぞ、ロナ――あ。やばい。こいつ。迷いなくぶっ壊す気だ。心に余裕ない』
ロン「当たり前だろ僕が今さっきなななななにを見ちまったと思ってんだ!!なんだお前!!!喋る無機物なんて珍しくもないんだよ!!この!!!」
ロケット『待て!待て待て待ってぇええええええええ!!!』
ロン「マーリンの髭ぇええええええ!!」
ガキンッ!! ブシャアアアアアアアアアアアッ!!!
ロケット『アァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああ!!!こんな、こんな、ことがぁああああああああああああ!!!』
カランッ、カランカラン……
ロケット「」
瞬殺どころの騒ぎではないwwwww
ハニー「ロン、ろ、ン……」ガタガタガタガタ
ロン「やったぜ!ざまぁみろ!どうせ幻覚かなんかを見せるつもりだったんだろうけどな!僕にはそんなの効かないぜ!多分!何せ僕ぁ、ハニーの……は、ハニー!!」
ハニー「あり、がとう……あぁ、でも、さむ、さむく、って……」
ロン「あ、当たり前だよそんな、こんな真冬にそんな、あぁ!服、服を!それより、あっためないと!体を!『インセンディオ!』……ぎゃぁ!!?ハニーの服が!!誰だ燃やしやがったのは!!!マーリンの髭!?!!?!?」
ハニー「ロ、ン……冷たいわ……氷……あぁ」
ロン「あぁ、僕……ハニー……は……」
ロン「……っ」
ロン「屠殺で結構!!!」
ババババッ!
ギューーーーーッ!!
ハニー「ロ、ン……」
ロン「絶対見ないから!感覚も殺してるからさ!!うん!あの!!だから……僕なんかが、君をこう、上半身裸で抱きしめるその、無礼をお許しください」
ハニー「いいの、よ……ロン……帰ってきて、くれたのね」
ロン「……そりゃそうさ。本当は、最初から……」
ハニー「……嘘は無し、って……四年生のときに、誓ったはずよね……?」
ロン「あぁ、ごめん……ごめんよ、ハニー。でも、僕は。僕はね、ハニー」
ロン「君に嫌われたって、憎まれたって、君が無事ならそれでいいんだ……僕は君のためなら、本物の嘘つきになる」
ロン「でも、駄目だった。ハーマイオニーにはすぐ、バレてたし……この首輪が、すごく、痛かった」
ロン「ハニー……本当に、ごめん……話すと、長くなるけど……僕、僕を、最下層からでいい……君の、豚に……」
ハニー「……」
ハニー「駄目よ」
パチンッ
ポトッ
ロン「! 僕の、首輪……あ、あぁ……」
ハニー「あなたは、豚失格よ、ロン……」
ロン「そう、だよね……むしがいい、こと言って……ごめ」
ギューーーッ!
ロン「!?!?は、ハニー!?ハニーさん!?あの!?あんまりききき君の方から抱きしめられますと!?あの!」
ハニー「豚じゃ、もったいないわ。いい男に、なったわね。ロン……私の大事な、大事なお友達……おかえり、ロン……ロン!!」
ロン「……ただいま、僕のハニー……絶賛これからのことで寒気がする君の一番の、親友。ロナルドだよ、もちの僕で」
パチパチッ、パチッ
ハニー「……大分、身体があたたまったわ……本当にありがとう、ロン」
ロン「お安いごようさ。それでさ、お礼はもう何遍も言われてるからいいけどさ、ハニー?もう離れていいんじゃないかなと」
ハニー「なぁに?いいじゃない、このくらいの距離は今まで何度でもあったでしょう?」
ロン「こうなったから言わせてもらうけどね、ハニー。君には危機意識ってもんが……は、ハーマイオニーに、申し訳が」
ハニー「そう、そのことよ、ロン。私を、えぇ。わたしを思って行動するのはいいけれど、ハーマイオニーを泣かせては駄目よ。分かってる?」
ロン「そりゃもう……泣いてたのかい?僕と別れる時は、どちらかと言うと、怒ってたというか呆れてたけど」
ハニー「それはもう、私が毎夜慰めるくらいに」
ロン「……そっか……そんじゃ」
ロン「ハーマイオニーに、謝らない、と……」
ハーマイオニー「えぇ、そうね。ロナルド・ビリウス・ウィーズリー」
ロン「」
ハーマイオニー「末期の台詞は、聞いてあげるわ」
ロン「……チガウンデス」
ハーマイオニー「何が? あぁ、ハニー。いいわ、杖は返してもらわなくて。さっき、あなたたち二人の様子が目に入った瞬間立ちくらみがしたんだけど、謎の鹿に『気付け薬ですぞ、さぁ』って差し出されたものを飲んでから、力が溢れてるから」
ハニー「なにそれ……あ、あのね、ハーマイオニー?これは……」
ハーマイオニー「大丈夫、ハニー、分かってるわ。あなたはこのオタンチンを歯牙にもかけていないもの。あなたから誘ったわけがない、この……この!!!ロン!!!私!!!怒ってるわよ!!!!」
ロン「はいっ!!!」
ハーマイオニー「ずっと待ってたのよ!!!!なのに!!!なによ!!!なによ!!!!!!!」
ロン「はい!!!すいません!!!!!!」
ハーマイオニー「と、とにかく、服を、着てよ!!!!!二人とも!!!!そっちを、み、見れないでしょう!!!もう!!!!!馬鹿!!!!!!!!」
ハニー「……可愛い」
ロン「……あ!ピーンとね!ずっと半裸でいれば僕無事なんじゃ」
ハーマイオニー「杖が戻り次第雪の中に永遠に埋めてさしあげるけど、それでいいならね」
謨呎肢wwwwwwwwww
テント
ロン「――って、わけで。僕はね、ハニー。『人さらい』五人を出し抜いて逃げおおせた、ってわけさ。イテテッ、あの時よりよっぽど怪我してら。マーリンの髭!いてて」
ハニー「原型とどめていてよかったわね、ロン。座り心地も変わっていないようで、何よりだわ」
ハーマイオニー「まったく、まったく!……首輪外してもそこの習慣は変わらないのね?」
ロン「ハニー馬鹿なのは変わらないしなぁ……君達は、なんだって?ゴドリックの谷に?」
ハーマイオニー「えぇ、貴方様のハラハラドキドキのご活躍には及びませんけど!あの人がすぐ近くにきて!大蛇の罠からなんとか逃げおおせたわ!」
ロン「そりゃ良かった……ハニーの杖は、その時に?」
ハーマイオニー「……うるさいわよ、オタンチン」
ロン「聞いただけだろ失礼だなそれやめろよマーリンの髭!」
ハニー「それより、ロン。あなたはどうやってここを見つけたの?」
ハーマイオニー「!そう、それよ!それさえ分かれば、えぇ!ハニーを狙う不審者の訪問の対策ができるかもしれないわ!」
ロン「僕が狙ってるのはハニーじゃないけどさ……」
ハーマイオニー「えっ……」
ロン「それで、さ。『灯消しライター』がね……」
ハーマイオニー「ちょ、ちょっと!ちょっと、待って……いいえ!ま、待たなくてよかったわ!続けて、えぇ!うん!『ライター』がどうしたの!?」
ハニー「……灯りを消すことが、居場所を突き止めることに繋がるとは思えないけれど」
ロン「うん、そうだ。こいつはさ、灯をつけたり消したりするだけのものじゃないんだ……どういう仕組みかは、分からないけど」
ロン「君達と離れてからもずっと、君達のところに戻りたくて……クリスマスの朝、さ……君の声が聞こえたんだ、ハーマイオニー」
ハーマイオニー「なっ、あっ、それ……え?」
ハニー「……えっ?惚気?いいけれど」
ロン「ち、違う違う!あのさ、その日……僕の名前を呼んだ?本当に、ハーマイオニーの声そのものが……この灯消しライターから、聞こえたんだよ」
ハニー「……あぁ、寝言で呼んでいたわね、そう言えば」
ハーマイオニー「……悪夢ね!!きっと!!!!間違いないわ!!!!」
ロン「なんだって良いけどさ……それでしばらく、こいつをいじって、カチッと点けてみたんだ」
ロン「いつもの通り、周りの灯りが全部消えて……でも、その時はそれだけじゃなかった」
ロン「窓の外に、なんて言うのかな……移動キーの周りの光みたいな、あれ。あれの丸い奴が、浮いてたんだ」
ロン「『連れて行ってくれるのかい?』って聞いたら……」
ハニー「……」
ハーマイオニー「……」
ロン「『愛じゃよ』って」
ハニー「絶対言うと思った」
ハーマイオニー「絶対言うと思ったわ」
ロン「だろうね……そんで、僕の胸のあたりにその光が入ってきて……君達の居場所が分かった。『姿くらまし』して、一日中そのあたりを探してたんだ。あぁ、ハーマイオニー。君の保護魔法ってすごいな、まったく分からなかったぜ」
ハーマイオニー「ま、まぁね……あぁ!じゃあ、あなただったんだわ!あの日、近くで何かが動いてると思ったのは……」
ロン「姿を見てくれなかったのは残念だったな、あぁ」
ハニー「けれど、私たちは移動してしまった……それで」
ロン「あぁ、それで、立ち往生しちまったんだけど……また君が、僕の名前」
ハーマイオニー「寝つきが悪くていけないわ!ええ!!」
ロン「何だっていいけどさ、呼んでくれるなら……」
ロン「それで、この森にきてウロウロしてたら、あの銀色の鹿と、それにその後に女神、どっこい、ハニーが」
ハーマイオニー「……守護霊が出たということ?誰かがハニーを、剣のところまで導いてくれたの?」
ハニー「えぇ。あと、ロンのところへ……結局、誰だかわからなかった、けれど」
ハニー「その人には、お礼を言わなくっちゃ……ね、ハーマイオニー?」
ハーマイオニー「文句9割、剣のお礼を1割、ね!」
ハニー「素直じゃ、ないんだから……ねぇ、こっちに。ロンも、こっちに立って」
ロン「もちの僕さ、ハニー。いつだってここに」
ハーマイオニー「……えぇ、ハニー……あなたのそんな顔が見られて、嬉しいわ」
ギューーーーッ!
ハニー「……大好きよ」
ロン「知ってる」
ハニー「一緒にいてくれて、幸せだわ」
ハーマイオニー「私たちもよ、ハニー」
ハニー「一日遅れだけれど、クリスマス・パーティをしましょう」
ロン「そりゃいいや。実はね、そのつもりで、たらふく食料をもってきたんだ。ほら、そのことでまた不機嫌になるのをみせるのは申し訳なかったし」
ハニー「えぇ、素敵だわ……けれど、豪華じゃなくってもいい。三人で、祝いたい。二人がダンスしてるのを見たいわ。わたし、演奏するから」
ハーマイオニー「一曲だけ、一曲だけね?もう、恥ずかしくって……なんでもない!」
ハニー「ふふっ……良かった、本当に」
ギューーーッ
ハニー「もう何もかも、上手くいくわ。ふふっ、そう思えて、仕方ないの」
ハニー「私たちの旅は――」
ハニー「まだまだ、これからだけれど」
ハニー「分霊箱を、探す旅は……きっと、上手くいくわ」
ロン「君がいるからね、ハニー」
ハーマイオニー「あなたといるからよ、ハニー」
ハニー「みんな一緒だから、よ。ロン。ハーマイオニー……愛してる!」
上巻、完
トンクス「……ね、ねぇ、リーマス~?」
リーマス「テッドは無事だろうかハニーは無事だろうか子供の名前はどうしよう男の子だったらカカオ女の子ならショコラでどうだろうあの犬は何をやってるドロメダの視線が痛いハニーは無事だろうかあの時の謝罪をしないと」ブツブツブツブウ
トンクス「あ、あのさぁー?隠れる事になって心配事も多いんだろうけど、ちょっとは休もうよー?ねー?」
リーマス「うん?なんだい?二人目かい?」
トンクス「リーマス!?ちょ、あ、しまった、今夜、満月近い、ちょ、リーマ――」
リーマス「――伏せ、ニンファドーラ」
今度こそ、完
上巻はここまで!
出来れば連休中頃には最終巻を始めたいところやで!
予定は未定やけどな!堪忍な!
ラドクリフお大事に
じゃあの!
ハリー・ポッターシリーズ
一巻~七巻
世界的大ヒット発売中!
ハリー幼少期の物語
演劇版ハリー・ポッター
2014年始動!!
ハリー・ポッター指定教科書 『幻の動物とその生息地』原作スピンオフ映画
2015年上映決定!!!!
2014年 7月15日!!
USJにて !!!
『ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター』
オープン決定!!!!
このSSまとめへのコメント
ヒンヒン!