注意事項
※前作、ナナバ「今日も大盛況だ」の続きのようなものです。
※前回付けそびれた上、今更ですが原作10巻までのネタバレ有り
※バナナは万能
※上記理由によるキャラ崩壊
エレン「どうしたんだよ、急に?」
ベルトルト「言葉の通りさ。ライナーを助けてほしいんだ」
エレン「ライナーは男子訓練兵の中では一番の成績だぞ。そんなに相手は強いのか?」
ベルトルト「いや、誰かに命を狙われているとか、そういうことじゃないんだよ」
ベルトルト「……説明するより、見てもらったほうがいいね。ライナーの部屋にいこう」
~ライナールーム~
ライナー「駄目だ、これじゃ……」カキカキ
エレン(ライナーの奴、勉強してるのか?すげえ量の紙だ)コソコソ
ライナー「ここでこうして……そうなると……駄目だ、これもうまくいかない!」グシャグシャ ポイッ
エレン(流石ライナーだな。俺も座学もう少し頑張んないと……)
ベルトルト(エレン、エレン。よーく聞いてごらん)
エレン(?)
ライナー「くそ、どうやったら、自然な流れで俺のバナナをクリスタに食べさせられるんだ!」クワッ!
ベルトルト(……わかってくれたかな?ライナーは最近、そのことしか考えていないんだ)
ベルトルト(このままじゃライナーは戦士…もとい兵士として使い物にならなくなる。それを止めて助けて欲しいんだ)
エレン(ライナーの奴、そんなことで悩んでたのか?簡単じゃないか、普通にクリスタに頼めばいいのに)
ベルトルト(そうだったね、君はそういう人だったよエレン……)
ベルトルト(ライナーが言うバナナは、甘いバナナじゃない。僕らの下半身についているバナナのことだ)
エレン(……ああ、なるほどそういうことか)
ベルトルト(随分と淡白な反応だね)
エレン(でもそれって、いいことなんじゃないか?)
ベルトルト(え?)
エレン(親父がよく母さんに下半身のバナナ食べさせてたけど、これは医療行為だ!分泌される謎の白い液体がうんたらかんたら――)
ベルトルト(……それは置いておこう。とにかく、ライナーがクリスタにバナナを食べさせるのは駄目なんだよ。犯罪なんだよ)
エレン(そうなのか。で、俺は結局どうすればライナーを助けられるんだ?)
ライナー「いきなり生の俺のバナナは刺激が強過ぎるだろうから、もっと俺のバナナに親しみやすさを持たせるのはどうだろうか」
ライナー「そう、例えば果物のバナナに似せて、俺のバナナにこのバナナの皮をかぶせる事によって、いつものバナ――」
ライナー「――ナニコレ気持ちいい」
ベルトルト(ライナァァァァァァ!?)
ライナー「ああっ!バナナの皮の内側が、こんなにぬるぬるして気持ちいいものだったなんて!クリスタ、クリスタァァァ!」ヌチャヌチャ
ベルトルト(これはひどい……)
エレン「……流石に今の光景を見たら、ライナーがやばいってわかったよ。ちょっとユミル達と相談してくる」
ベルトルト「ああ、とにかく頼んだよエレン。ああ、クリスタには内密にね」
ベルトルト(僕らの計画を実行するためにもね……)
~~~~
エレン「――ってことまでライナーがしていたんだ。ベルトルトも困っていたし、なんとかできないか?」
ユミル(ぶっ殺そ)
コニー「ライナーの奴……食べ物で遊んじゃいけないなんてこと、俺でもわかるぞ?」
エレン「だよな。バナナは美味しく食べ終えたら、皮はちゃんとゴミ箱に。いまじゃどこの子供も知ってる」
コニー「あいつもよくバナナ買ってるみたいだから、バナナ仲間だと思ってたのになー……」
ユミル「私らと違って、あいつは食欲や健康、身長目当てじゃなくてもっと不純な目的でバナナ買ってるからな」
ユミル「……いや、男はお前ら二人以外、ほぼ全員がライナーみたいなもんか」
コニー「いいよな、背が高い奴は。だが見てろよ、俺もしっかりバナナの力で身長は伸びてるんだからな!」
エレン「背もそうだけどよ、筋肉もかなりついてきたよな。立体機動訓練の時、かなり深く斬りこめるようになったし」
コニー「俺もだぜ!まったくバナナってすげえよ」
ユミル「そりゃよかったな。ま、それはともかく今はライナーの野郎だ。どうやってぶっ殺すよ?」
コニー「いや、流石に殺すのはまずいだろ。ライナーがクリスタに手を出しそうになったら止めればいい話だ」
エレン「そうだぞユミル。ほら、バナナの糖分で頭落ち着かせろ」ムギュッ
ユミル「んごっ!?……もっきゅもっきゅ……ふぅ。落ち着いた」
エレン「よし。折角だから俺も食おう」モッキュモッキュ
コニー「俺も食お」モッキュモッキュ
二人「「ふぅ。落ち着いた」」
ユミル「そうだな。あの野郎がクリスタにいやらしいことしそうになったら止めるだけでいいか」
エレン「だな。あいつもバナナ食ってれば、そのうち落ち着いて自分を見直してくれるはずだ」
コニー「一本バナナ食うだけで、こんなに満ち足りた気分になれるもんな」
エレン「そういや、ナナバさんに聞いたんだけどさ……今度、巨大バナナを試し売りするらしいんだよ」
コニー「俺はミケさんから聞いたわ。なんでもボートにもなって、川下りできるぐらい凄いバナナらしいぞ!?」
ユミル「マジかよ……」
エレン「それは面白そうだな。今度やってみようぜコニー!」
コニー「おう!折角だから、クリスタも誘うかー」
ユミル「クリスタが乗るなら、当然私もだな!」
エレン「川下り続けたら、壁の外にもいけるか?」
ユミル「おいおい、久々に死に急ぎか?巨人に出くわしたらどうするつもりだよ」
エレン「いや俺もユミルもバナナ食ったおかげで、巨人に成長できるようになっただろ?いざとなりゃその手で巨人駆逐するよ」
コニー「いいよなーお前らはバナナの恩恵特に受けてて。バナナと一緒に手を噛むとあのサイズまで急成長できるんだったか?」
ユミル(巨人化にバナナは必要ないんだが……いやでもそれだとエレンが巨人になれる説明が……)
ユミル(……やっぱり、本当にバナナには巨人化して且つ制御する力まであるのか?バナナマジすげえなおい)
コニー「俺もいつかお前らみたいに……いや折角大きくなれてもユミルみたいなブスには――」
ユミル「ああん?食われたいのか?」
コニー「悪かった」
エレン「それじゃあ、クリスタ探してバナナ川下り計画ちゃんと練ろうぜ」
ベル│壁(……バナナのせいで、ライナーの話が完全に忘れ去られてる。というより二人が巨人ってことにも驚きだよ)
~~~~
ベルトルト(エレン達はもう頼れそうにない。こうなったらやはり、アニに喝を入れてもらってライナーを……)
アニ「……アルミン?」
アルミン「やあアニ、どうした……のっ」
アニ「ん、どうしたのアルミン?そんなに顔を赤らめたりして」
アルミン「だ、それは……アニが……っ」
アニ「……全く、傷つくよ。一体、いつから……アルミン……あんたは私を、そんな目で見るようになったの?」
アルミン「いや、その、これは……アニ……何で、そんな……あ!?」
アニ「ふふっ、そんなにこれが気になる?」ピトッ
アルミン「あ、当たってるよアニ……!?」
アニ「当ててるのさ……(私が賭けたのは、ここからだ。さあ、どうするアルミン……!?)」
アルミン(ぼ、僕にはクリスタが、でも背中にアニのメロン、クリスタ、アニ、クリスタチッパイ、アニメロン……ああ、甘い女の子の匂いが……)
アニ「私が傷ついたのは、あんたがこそこそしてるからだ。正直になれば……あんたのバナナを挟むのも吝かじゃないよ……」ボソ
アルミン「」
アルミン「アニィィィィィィィ!」ガバッ!
アニ「きゃっ」ドサッ
ベル│壁(なんてこった)
アニ「あ、アルミン……!実は私、バナナの食べ過ぎで時々巨人にもなっちゃうんだけど……!」
アルミン「構うものか!エレンも実はその体質になったって言うし、そんな問題些細なことだよっ!」ハァハァ
アニ(やった!バナナのおかげでこのメロンも手に入れ、最大の問題点も些細なことに!ありがとうバナナ!)
アニィィィ! チョットオチツイテ…
ベルトルト「……ふぅ。……なんて言ってる場合じゃない。まさかライナーだけじゃなく、アニまでバナナにとりつかれてたなんて……」
ベルトルト「どうするつもりだ二人とも……!君らは戦士じゃなかったのか……!?」
ベルトルト「故郷に、揃って帰る約束はどうするんだよ……!」
ベルトルト「……僕がやるしかない。こんなことになった原因のバナナを、この世界から一つ残らず駆逐してやる……」
ベルトルト「バナナを、ついでに壁も、僕の力で全て吹っ飛ばしてやる……!そして故郷に……!」
~数日後~
ナナバ「やあ、流石に君達は来るのが早いね」
ゲルガー「目的はこれだろ?よっと……!ボートにもなるバナナ、名づけてバナナボートだ!」デンッ
エレン「そのままの名前じゃないですか」
ナナバ「味と大きさと実用性を兼ね備えた、私自慢のバナナさ。品種改良には苦労したよ」
ゲルガー「価格設定ばかりは、どうしようもなかったがな。ちょっと高いが、大丈夫か?」
コニー「へへ、買えなきゃわざわざこないっての」っ代金
ナナバ「うん、丁度だね。いつもいつもありがとう」
ユミル「ほぉ、改良されたって言うだけあるな」
クリスタ「いい匂い……」
ミケ「実はもう一つ、品種改良に成功した特別なバナナがあるんだが……」
コニー「お、それも気になるな。一体どんなバナナ――」
ズズゥゥゥゥゥゥゥン……!
エレン「な、なんだこの音は……!?」
ナナバ「これは……まさか!?」
ミケ「っ!私の鼻が反応しきれなかっただと……!?」
ゲルガー「あいつは……!」
エレン「……っ!」
超大型巨人「…………」フシュー…
コニー「あれが、超大型巨人かよ……!?」
ユミル「まずいな、あの出現位置は……」
クリスタ「門の……すぐ前だよ!」
ミケ「ゲルガー!店内の従業員を全員招集しろ!」
ゲルガー「了解!」
エレン「あの野郎……!今日こそ俺が……!」ギリッ
ナナバ「……エレンも、他のみんなもさがっているんだ」
ナナバ「ここから先は、立体機動装置の出番だ」
~壁外・門前~
超大型巨人「…………」
の中のベルトルト(アニ抜きじゃ、野良巨人を集めるのにも一苦労だった……)
ベルトルト(まったくバナナめ、余計なことをしてくれる)
ベルトルト(だがバナナは同時に、人類に致命的な損害を与えた。そこは評価するよ……)
ベルトルト(いまや調査兵団は壊滅状態、まともに戦えるのは団長や一部の分隊長程度)
ベルトルト(あのリヴァイ兵士長でさえ、バナナに溺れた。戦力不足の調査兵団なんて敵じゃない)
ベルトルト(駐屯兵団も、憲兵団も同じくだ。そう、僕がこの門を、蹴破るだけで……)
ベルトルト(壁内には巨人があふれ、バナナも人類も全て蹂躙する……!)
イタゾ! モクヒョウメノマエ!
ベルトルト(ふん、もう何人か兵士がやってくるとはね。だが君らでは、僕に打ち勝つことなどできない!)
ベルトルト(さらばだ、バナナに人類……!)
~~~~
エレン「離せ!立体機動装置がなくても、今の俺は巨人に……!」
コニー「やめろ馬鹿!あいつは推定60メートル近くあるんだぞ!?」
ユミル「……私は勿論、お前が巨人化しても、あいつのうなじは狙えっこない。一目でわかんだろ?」
エレン「それでも……!」
クリスタ「やめてエレン落ち着いて!ほら、バナナだよ!」ムギュッ
エレン「むおっ!?……もっきゅもっきゅ……悪いクリスタ、落ち着いたよ」
クリスタ「ほら、ユミルとコニーもバナナ食べて落ち着こう?」モッキュモッキュ
ユミル「……ふぅ。そうだな、冷静になろう」
コニー「落ち着いたぜ。大丈夫だ、超大型は動きが鈍いらしいからな」
クリスタ「エレン、ナナバさん達を信じようよ!」
ユミル「元とはいえ、調査兵団の精鋭さん方だ。他の兵士とはわけが違うだろうよ」
エレン「……わかった!」
~~~~
超大型巨人「オオオオオオォォォォォ!」
ゲルガー「ち、こいつ!前のバナナの巨人や獣の巨人と違って、バナナに見向きもしねえ!?」
ナナバ「そのようだね……っ!足を振り上げた!また門を蹴破るつもりだよ!」
ミケ「……今だ!総員、砲撃開始!」ドォン!
ベルトルト(馬鹿め、並の巨人の足止めにしかならない砲弾が、超大型の僕に効くか!)グワッ!
ズルッ
ベルトルト(え)
ゴスッ
超大型巨人「~~~~~~ッ!~~~~~~~~ッ!?」カタカタカタカタ
ゲルガー「よっしゃあ!ざまあみやがれ!見てくださいよミケさん、あいつ痙攣してますよ!」
ミケ「……ふっ」
ナナバ「超大型、私の改良した対巨人戦闘用バナナの味はどうかな?」
ナナバ「もし起き上がれたなら、私がもう一回ご馳走してあげようか……?」
ベルトルト(な……何が起きた……!?)
ベルトルト(た、倒されたのか!?この僕が……バナナの……皮で……っ!?)
ナナバ「本体の糖度こそ通常種と変わらないが、皮を踏んだ際の滑りやすさを極限まで高めた一品……」
ナナバ「たとえどんな地面でも転倒力の変わらない唯一のバナナ。超大型にも有効なようでなによりだよ」
ミケ「これは、アルレルト訓練兵の功績が大きいがな……」
ゲルガー「あいつが、バナナの皮の戦術価値を説きます!なんて乗り込んできた時は驚いたもんだぜ」
ナナバ「しかし彼の言う通り、作戦は成功した。後で訓練兵団宛に大量のバナナを送っておこう」
野良巨人a「アー!……」ツルッ ゴスッ
野良巨人b「ワー!……」ツルッ ゴスッ
ミケ「ふむ、普通の巨人は転倒した際、うなじも強打、損傷してそのまま絶命するようだな」
超大型巨人「オ……オォ……」グググ…
ミケ「……さすがに奴は一筋縄ではいかないようだが」
ナナバ「……起き上がるつもりかい?それなら」ドバッ
超大型巨人「……!?(なんだ、あの大量のバナナは!?)」ビクッ
ナナバ「私が、普段から品質向上のためにどれだけのバナナを食べているか、わかるかな?」モキュキュキュキュ
ナナバ「バナナの身の力が漲った状態で君のうなじを削ぎ落とすことも……」モキュキュキュキュ
ナナバ「バナナの皮を瞬時に量産して、君の足元を狙って撃ち続けることも可能だ」
ナナバ「ああ、バナナ切れはないよ。リーネ達のバナナ宅配技術を舐めない方がいい」
ナナバ「……どうする?」モキュゥ
超大型巨人「……!」ガタガタ ブシュゥゥゥゥ
ゲルガー「うおっ……蒸気!?」
ミケ「巨人の匂いも、姿も消えた……やはり奴も、元は人間なのか?」
ナナバ「そこまでは断定できない。しかしあの様子なら、もう門を破ろうなどと考えはしないだろうね」
ナナバ「――人類は、巨人に勝利したんだ」
~~~~
ベルトルト(無理だ……人類がバナナを持つ限り、巨人が人類に勝つことなんてできない……)トボトボ
ベルトルト(心を折られ、もう僕も戦士失格だ……ライナーもアニも、きっとこうなることがわかっていたんだね……)
ワイワイ
ベルトルト(ん?あれは……)
クリスタ「ナナバさん凄いです!」
エレン「ああ、あの超大型巨人を一瞬で倒すなんて!」
ナナバ「いや、君らの仲間、アルミンとバナナのおかげだよ」
コニー「やっぱアルミンはすげえよなぁ……ところでミケさんとゲルガーさんはどこいったんだ?」
ナナバ「ああ……あの作戦唯一の欠点、発射したバナナの皮の回収作業をまだしているよ」
ユミル「くっ…ははは!そりゃなんとも締まらない光景だわ!でも、ちゃんとゴミ回収すんのは偉いと思うよ」
ナナバ「ゴミ箱に捨てるように言った私達が、それを実行しないわけにはいかないからね。……万が一、人が踏むとあれだし」
コニー「超大型が卒倒するんだから……考えたくもねえや」
ナナバ「ははは……ん、君は……ライナーとよく一緒にいる?」
ベルトルト「あ……」
ユミル「おー、ベルトルさんじゃないか」
クリスタ「だ、大丈夫ベルトルト?頭押さえてるけど……」
ベルトルト「いや……さっき、いきなり超大型巨人が現れただろう?びっくりしてひっくり返っちゃって……」
コニー「へー、やっぱベルトルトでも驚くときは驚くんだな」
ナナバ「それは災難だったね。だが安心していいよ、あれは多分当分現れないと思うから」
ベルトルト「あはは……」
エレン「そんな顔すんなって。俺も前に見た時はびびったし。ほら、ベルトルトもバナナ食って気分変えようぜ」ムギュッ
ベルトルト「んん!?……モッキュモッキュ…………うっ……」ジワァ…
一同「「!?」」
ベルトルト「はは……(さっきは、皮はあんな暴力的な強さだったくせに……中身は……)」
ベルトルト「なんて……甘いんだろう……なんて……美味しいんだろう……!」ポロポロ
ユミル「おいおい大丈夫かベルトルさん!?泣くほど美味い当たりバナナを引いたのか!?」
エレン「あー、そういやベルトルトって今まであんまバナナ買ってないんだっけ?」
ベルトルト「そういえば……しっかり味わったのは初めてかもしれない。財布は何故かいつもライナーに奪われていたし……」
ナナバ「よしそれなら……これをあげよう」
ベルトルト「これは……無料引換券?」
ナナバ「私のバナナを気に入ってくれたなら、また来てくれるかな?」
ベルトルト「っ!……はい!」
エレン「よかったなベルトルト!」
コニー「お前もバナナの良さがわかる奴で、嬉しいぜ!」
ユミル「そういやベルトルさん、これからこのバナナで川下りをしようかと思ってるんだが……」
クリスタ「よかったら、ベルトルトも乗らない?もう一人乗るくらい大丈夫だと思うから」
ベルトルト「僕が……乗っていいのか……?君達と、一緒に……?」
エレン「何言ってるんだよベルトルト。俺達、友達だろ?」
ベルトルト「!!」
ユミル「それにこのバナナ結構重いからな。人手も欲しいと思ってたとこだ」
ベルトルト「ああ、僕なんかでよければ、喜んで運ばせてもらうよっ!」ガシッ!
エレン「うおっ!?すげえ、流石ベルトルト……あのバナナを一人で担ぐなんて……」
クリスタ「むしろ私達が置いていかれちゃいそうだよ!?早く行こっ」
――その後、超大型巨人が現れることは二度となかった――
ベルトルト(人類は巨人に勝利した)
ベルトルト(だからと言って、僕が過去に犯した罪が消えることはない。)
ベルトルト(このまま壁の中でできた友達と一緒に暮らそうなどという考えは、本来持ってはいけないのかもしれない)
ベルトルト(だからせめて、人類に精一杯の償いをしよう……)
エレン「ようベルトルト。何考えてるんだ?」
ベルトルト「いや、今日も平和だからね。……社会に貢献するいい方法はないかと考えてたんだよ」
エレン「すごいな。なにか思いついたのか?」
ベルトルト「うん。ナナバさん達に倣って、僕も食品販売会社を興してみようかなって」
ベルトルト「ゲルガーさん発案だけど、ベル印のレトルト食品とかいい感じじゃない?」
エレン「お、なんかベルトルトっぽい雰囲気出てるな。それじゃあさ、ロゴマークこんなんでどうだ?」カキカキ
ベルトルト「こ、これは……すごいよエレン、君にこんな才能があったなんて」
エレン「へへ。ところでさ、レトルト食品って具体的にはどんな感じのものなんだ?」
ベルトルト「ああ、かなりの技巧術が必要になるけど、熱を加えるだけで――」
――士気が上がった人類は、奪われた領土を奪還。さらに壁外への進出を開始――
ナナバ「うん、ここなら大丈夫そうだ。立派なバナナが育ってくれそうだよ」
ゲルガー「巨人に踏み荒らされて、だいぶひどい有様だが……」
ナナバ「このくらいなら、まだ元に戻せるよ。さあ始めようか」
ゲルガー「ふー……今日も重労働ってか……」
ナナバ「無駄口叩いてないで、正面の地面を叩く。ほら、ゲルガー用の農具一式」
ゲルガー「こりゃきついぜ……!」
ナナバ「終わったら、酒場に付き合ってあげるよ……!」
ゲルガー「そうこなくっちゃな……!じゃあ整地した面積で勝負だ。負けた方が奢りな……!」
ナナバ「いいだろう……!」
【ナナバ印のバナナ屋・壁外支店建設予定地 関係者以外立ち入り禁止】
ミケ「……よし」
ゲルガー「ミケさぁん!そんな看板立てる前に、手伝ってくださいよ!?」
――巨人は相変わらず存在し続けているが、人類はもう無力ではない――
アニ「聞いたよベルトルト。あんたも店をだそうとしてるんだって?本当に、変わったね……ずいぶんと積極的になったもんだよ」
ベルトルト「アニこそ、アルミンと共同で何か大きなことを考えてるって聞いたけど。お互い様じゃないかな?」
アニ「……まあね。私なんかが、どこまで人類のために頑張れるかわからないけど……」
ベルトルト「アニならできるさ。ほら、さっき買ってきたバナナだけど、食べる?」モキュモキュ
アニ「食べる」モキュモキュ
二人「美味い!」
アニ「てっきりあんたは、バナナ嫌いだと思ってたんだけど?」モキュモキュ
ベルトルト「まあ、過去の話さ。今では大好物だよ」モキュモキュ
アニ「どれくらい?」
ベルトルト「将来結婚したい女性像が、バナナみたいな人って思うくらいにかな?」
アニ「…………………ごめん、意味がわからない」
ベルトルト「普段はちょっとツンツン危険な感じで近寄りがたいけど、一皮剥ければデレデレに甘い――」
――かつて巨人に怯えていた人類は、今日も実に充実した日々を過ごしている――
コニー「おい聞いたぜベルトルト、お前バナナと結婚したいんだってな!」
ベルトルト「だ、誰だそんなこと言ったの!?」
アルミン「僕だよ。あれ、アニから聞いた話だから間違いはないと思ったんだけど?」
ベルトルト「微妙に違うよ、バナナみたいな人がいいなとは思ってるけど!」
エレン「なんだ、ちゃんと人間が対象かよ」
クリスタ「よかったぁ……みんなすごく心配してたんだからね?」
ベルトルト「なんでそこまで……」
ユミル「だってよぉベルトルさん?果物と結婚したいとか頭が普通におかしいと思わないか?」
エレン「なんかの病気かと思って、俺かなり医学書読み漁ったんだぞ?」
ベルトルト「す、すまない……けど、すぐにそんなこと冗談だとか、嘘だと思わないかい?」
エレン「いや、今でこそ感情豊かだけどさ、昔のお前って何考えてるか時々わからなかったし」
アルミン「なんでもそつなくこなすベルトルトだからこそ、なにをやっても不思議じゃないな……と」
ベルトルト「」
――明日への希望と、バナナに満ち溢れた日々を――
ベルトルト「ライナー!ライナー!聞いてくれライナー!」
ベルトルト「アニの悪戯か何か知らないんだけど、エレン達が僕を盛大にいじってくるんだ!」
ベルトルト「ライナーからも言ってくれないか?僕は至ってノーマルだという……こと……を……?」
ライナー「はぁはぁ……ああクリスタ……」
ベル│扉(またバナナを持ってるよ。そうだ、ライナー助けるの忘れてた。ってなんか書いてあるな……クリスタだって!?)
ライナー「今日もかわいいよ……さあ、服を脱ごうか」ムキムキ
バナナ「きゃっ……!もう、ライナーのエッチ!(裏声)」
ライナー「ふふ、どっちがエッチかなクリスタ?もう全身からいやらしい匂いがぷんぷんするぞ?」ムキムキ
バナナ「だ、だってそれはライナーが……やあ!?(裏声)」
ライナー「ほーら、全部脱げちゃったぞクリスタ?全部丸見えだ……」ハァハァ
バナナ「ライナー……私、もう我慢できないよ……私を、食べて……?(裏声)」
ライナー「ああ、もちろんだクリスタ……」ジュッポジュップズルズル……
ベルトルト「」
――人類は、今日も平和です――
ベルトルト「はぁ……!はぁ……!」
ユミル「うおぅ、どうしたよベルトルさん?」
クリスタ「顔色が真っ青だよ……?大丈夫?」
コニー「わ、わりぃ……からかいすぎたか?」
エレン「安心しろベルトルト。みんな本当はベルトルトは真面目だってわかってるからさ」
アニ「……ごめんなさい。バナナと結婚は嫌がらせでもなんでもなく、単純に私のミスだよ」
アルミン「いや、疑問に思わなかった僕の責任でもあるよ」
ベルトルト「いや、もうそれはいいよ……ところでさ、みんな」
一同「?」
ベルトルト「ライナーを助けてくれないか?」
―完―
短いけれどこれでおしまいです。
前回に続き読んでくださった方、どうもありがとう。
夏はバナナも傷みやすいからご注意を。
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