咲-Saki- 晩成高校のssです。
このようなタイトルですが阿知賀女子の面々は登場しない予定です。ご了承ください。
以上です。始めます
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ガヤガヤ
良子「くそ……」
紀子「……」
日菜「……」
由華「……」フルフル
やえ「……」
やえ(……ふう)スッ
やえ「監督が会議に出てるから、まずは団体戦メンバーだけでミーティングをします。全体ミーティングはその後」
やえ「……」キョロキョロ
やえ「あそこのスペースを使いましょう」
良子「ちょうど5つ席があるな……」
日菜「残りのメンバーは待たせておいて良いの?」
やえ「先に引き上げる支度をして貰っているから。支度が終わる頃に合流出来るようにするつもり」
日菜「そう……了解ー」
…………
……
…
……
…
やえ「……」
やえ「……今回は、こんな結果になってしまって、皆悔しいと思う」
日菜「……」
紀子「……」
やえ「私としても、あんな相手が出てくるのは正直予想外だった」
やえ「初戦に対する慢心も、どこかにあったかも知れない」
良子「……」
由華「……」
やえ「……だけど、今回は純粋に相手が強かったとも私は思う」
やえ「終わったことは仕方ない。個人戦も控えてるから、そこに切り替えていこう」
良子「……」
良子「……そうだな」
日菜「確かに、このまま個人戦に引きずるわけにはいかないわねー」
紀子「……名誉挽回に最も適した機会、とも言える」
やえ「そういうこと」
やえ「スタンドで応援してくれた他の部員も、個人戦での挽回を望んでいるはず」
由華(……)
由華「……そうですね」
良子「だな」
良子「よし、個人戦こそは王者晩成の力を見せつけるとするか」
紀子「……うむ」
日菜「そうしましょうー」
やえ「うん」
由華「……」
良子「しかし、あんな連中が奈良にいたとはな」
紀子「奈良の歴史上、唯一晩成を破った実績のある阿知賀女子……」
紀子「まさか、再びそこに屈することになるとは」
日菜「そうよねー……」
やえ「……」
良子「先鋒のドラ麻雀でなんか嫌な予感がしたんだよな……しょっぱなからあんな和了りされたらたまったもんじゃないぜ」
紀子「常にドラは彼女の手にあった。未だに信じ難い」
日菜「やえちゃん、あの状況でよくプラスにもっていけたわねー。改めて振り返っても見事だわー」
やえ「流石に最初は焦ったけど。初見だしなんの対策も立ってなかったから」
やえ「事前情報無しであれだけの異能とやるのは久しぶりだったな……」
日菜「それであの成績は立派なものよー」
良子「流石に、我らが晩成のエースだな」ニヤリ
やえ「たまたまよ、たまたま……」カァァァ
良子「ふふっ」
良子「しかしまあ……」
日菜「……強かったわねー」
紀子「うむ……」
良子「悔しさは確かにあるが……」
日菜「……どこか清々しさもあるわねー」
良子「……そうだな」
やえ「うん……私達は皆ベストの打ち回しが出来ていた。単純に相手がそれを上回っていた、というのが妥当なところだと思う」
良子「悔しいが、そういうことになるな」
日菜「今回は、阿知賀女子の皆さんに頑張って貰いましょうかねー」
やえ「うん」
やえ「……っと、そろそろ時間か。監督会議がもうすぐ終わるはずだから呼んでくる。皆はここで待ってて。監督と一緒に戻りましょう」
良子「おう」
日菜「おっけー」
紀子「うむ」
やえ「じゃ、行ってくる」スタスタ
…………
……
…
……
…
良子「……」
日菜「……」
紀子「……」
良子「やえのやつ、強くなったな」
日菜「そうねー。わたしたちの前だし、大泣きしちゃわないか少し心配だったけどねー」
紀子「晩成高校の部長としての責任感が勝ったのだろう」
紀子「……あの様子なら心配はいらない」
良子「ああ……そうだな」
良子「今までずっと一緒にやってきて、あいつの強い所や弱い所を見てきたつもりだが」
良子「本当に、立派になったよな……」
日菜「うん……」
紀子「……」コクッ
由華「……」
由華(……)
…………
……
…
やえ(……)スタスタ
やえ(……こんな感じか。部長の仕事も楽じゃなかったな)
やえ(ミーティング中も普段通り喋ったつもりだったけど……さすがに少し危なかったか)クスッ
やえ(なんにせよ、これで最後の役割も終了だ)
やえ(……これまでいろんなことがあったな)
やえ(……)
やえ(晩成の部長は思った以上に大変だった。プレッシャーもあった)
やえ(……試合中それでパニックになったりもしたな。今思えば情けない)ショボッ
やえ(……)
やえ(でも、皆文句ひとつ言わずついてきてくれた)
やえ(良子も、日菜も、紀子も、私のことを支えてくれた)
やえ(……本当に、仲間に恵まれていたな)
やえ(……)
やえ(それだけに残念でもあるけど)
やえ(……)
やえ(次の部長に、そこは託すことにしよう)
やえ(そうか、引き継ぎのことも考えないとな……)スタスタ
やえ「……」ピタッ
やえ「えーと……」
やえ「ここを左に曲がると監督室か」スッ
やえ「……ん」クルッ
やえ(右に行くと団体戦の選手控え室か……)
やえ(……)
やえ(……そうか)
やえ(……終わったんだ)
やえ「……」
やえ(本当に、終わったんだ……)
ギュッ
やえ「!」
やえ「誰!?」バッ
やえ「……!」
由華「……」
やえ「由華……」
由華「……」
やえ「な、なんでここに……皆と待っててくれないと……」
由華「……」
由華「……無理、しなくていいんです」
やえ「……!」
やえ「な……何言ってるの……?」
由華「……私は、気付きました」
やえ「無理なんて、してない」
やえ(皆に弱いところを見せない)
やえ(例えそれが、最後の試合だろうと)
由華「……私は」
やえ(部長として、それが一番と思って)
やえ(今だって、一緒にやってきた皆が気づかない位上手く出来てたはず)
やえ(なのに)
由華「私は気付きました」
ギュッ
やえ「!」
由華「いいんです。無理しなくて」
由華(試合の後、やえ先輩は泣く私をただ抱き締めてくれた)
由華「いくら晩成の部長でも」
由華(強く、抱き締めてくれた)
由華「先輩だって同じ高校生なんですから」
由華(だから今度は、私が先輩を抱き締めるんだ)
由華「先輩の言った通り、個人戦は思いっきりリベンジしましょう」
由華(強く)
由華「だから今だけは」
由華(強く)
由華「いっぱいいっぱい悔しがっちゃいましょう」
由華(もっと、強く)
由華「……」
由華「……」グスッ
由華「……やえ、先輩」ギュッ
やえ「……」
やえ「う……」
やえ「うあ、あ……」
やえ「ああぁ……」
やえ「ああああああああああ……」
………………………………
………………
…………
……
…
…………
……
…
実況『個人戦、決着!』
実況『優勝は晩成高校、小走やえ!』
実況『圧倒的な成績で見事一位抜けを勝ち取りました!』
解説『他の選手も健闘したとは思いますが、小走選手はレベルが少し違いましたね』
実況『団体戦で無念の初戦敗退を喫した晩成高校。部長の小走選手がその無念を見事晴らした形になりますね?』
解説『ええ。団体戦は阿知賀女子の衝撃が強すぎてその陰に隠れる形となりましたが、小走選手の麻雀はまさに熟練の打ち手のそれでした。個人戦優勝というこの結果が本来の彼女の実力を示していると言っていいですね』
解説『しかし全国出場だけで晩成高校部員の溜飲が下がる、ということは無いでしょう。全国の舞台でも勝ち上がって晩成高校の、ひいては奈良県の力を見せつけて欲しいですね』
実況『県勢が旋風を巻き起こすことになるか!阿知賀女子と共に、この選手にも大注目です!』
…………
……
…
…………
……
…
良子「やったな、やえ!」
日菜「最後くらいひと泡ふかせてやりたかったけど、やっぱり無理だったわー」
紀子「……完敗だ」
由華「強かったです。とっても」
やえ「誰にも手を抜かなかったし、抜けなかった。皆こそ私にとって手強い相手だったわ」
日菜「ふふっ、ご謙遜をー♪」
良子「最後まで勝てなかったのは悔しいが、やえを応援しようぜ。奈良県の代表なんだからな」
紀子「うむ」
日菜「もちろん♪」
由華「……はいっ!」
やえ(……)
やえ(みんな……)
やえ「……うん」
やえ(これが、本当に)
やえ「団体戦は悔しい思いをしたけど」
やえ(部長としての、最後の仕事)
やえ「代表になったからには、全国の連中に知らしめてやらないとね」
やえ(みんな……)
やえ(ありがとう)
やえ(みんなのおかげで今の私がある)
由華「頑張ってください、やえ先輩!」
やえ「うん」
やえ(由華……)
やえ(ありがとう)
やえ「……お見せしよう」
やえ(皆の無念は……私が、晴らす)
やえ「王者の、打ち筋を!」
カンッ!
終了です
ありがとうございました
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