エレン「アニが頭をぶつけた?」(241)


以前書かせて頂いた『エレン「クリスタが頭を打った?」』の続きです
ネタバレ前提で書いてるのでお嫌な方は回れ右推奨

~前回のあらすじ~

クリスタが頭を打って幼児退行してエレンの妹になったけど、なんやかんやで元に戻りました

戻った後もなんやかんやでエレンと仲が良いらしいよ

爆ぜればいいのに


エレン「今度はアニかよ!?」

ライナー「あいつがそんなヘマやらかすなんてなぁ……」

アルミン「それで、容体は?」

ミーナ「それが……その……なんて言ったらいいか……とにかく来てっ!」

エレン「お、おう。わかったよ」

アルミン(面倒なことにならないといいなぁ……)

~医務室~

コンコン

ミーナ「アニー、入るよー」

アニ「…………」

エレン「なんだよ。起きてんじゃん」

ライナー「見たところ怪我もないみたいだな。安心したぜ」

アルミン「心配したよ(ほっ……これならクリスタみたいなことにはならないかな?)」

アニ「あの……どちら様ですか?」

エレアルライ「「「!?」」」


アルミン「自分の名前はわかる?」

アニ「……いえ」

アルミン「ここが何処だか知ってる?」

アニ「……いいえ」

アルミン「そして、僕たちのこともわからない、と」

アニ「……すみません」シュン

アルミン「うーん……これは……」


エレン「なぁアルミン!アニの奴はどうしちまったんだ!?」

ライナー「やっぱり、あれか?」

ミーナ「記憶喪失ってやつ?」

アルミン「……多分、ね」


ミーナ「そんなっ!?」

エレン「つってもクリスタみたいにすぐ治るんじゃねぇの?」

アルミン「どうだろうね。こういうことは僕も簡単には断言できないから……」

アニ「すみません……」

ミーナ「アニは悪くないよっ!!」

ライナー「…………」

ライナー(……まぁ、目的も忘れているようなら逆に心配ないか。もとより、今は動くつもりはないし)

ライナー(だがこの状況……利用出来るかもしれん……!)ニヤァ


ライナー「おい、アニ」

アニ「あ、えと、私のことですよね?」オドオド

ライナー「ああ、言ってなかったな。お前はアニ。アニ・レオンハートだ」

アニ「アニ……」

ライナー「俺はライナー。こっちの金髪はアルミン。そこの女の子はミーナ。みんなお前の仲間だ」


ミーナ「改めてよろしくねっ!」

アルミン「あ、えと、よろしくね」

ライナー「そして、そいつはエレン・イェーガー。お前の恋人だ」

エレン「よろ……はぁ!?」

ミーナ「そうだったの!?」

アルミン「!?」

アニ「こ、恋人……!?」カァッ


エレン「おい、ライナー!どういうkもがっ!?」

ライナー「いいから、そういうことにしておけ」ボソボソ

エレン「ぷはっ……どうしてだよ?」ボソボソ

ライナー「お前、どうせあのアニを放っておくなんて出来ないんだろ?」ボソボソ

エレン「当たり前だろ!アニは大切な仲間なんだ!」ボソボソ

ライナー「それなら、そういうことにしといたほうがサポートしやすい」ボソボソ


エレン「なんでだ?」ボソボソ

ライナー「クリスタは精神年齢が幼くなっていたから懐いてくれたかもしれんが、今のアニは精神的には普段のアニと変わらない」ボソボソ

エレン「確かに。受け答えもしっかりしてるもんな」ボソボソ

ライナー「しかし、俺たちはあいつからしてみれば見知らぬ他人。否が応でも不安になるだろう」ボソボソ

エレン「そ、そうなのか」ボソボソ

ライナー「ならば、恋人という信頼関係にあると説明しておけば、不安も軽減されるはずだ」ボソボソ

エレン「……すまん。途中までは何となくわかったんだが、最後でよくわからなくなった」ボソボソ


ライナー「クリスタのときも兄貴のフリをしたろ?それと同じようなもんだ」ボソボソ

エレン「あれは……いや、ん?いいのか?そういうもんか?」ボソボソ

ライナー「そういうもんだ。よろしく頼むぞ」ボソボソ

エレン「ああ、うん……わかった……」ボソボソ

アニ「あの……」


エレン「お、おう!なんだ!?」

アニ「……本当なんですか?」

エレン「な、なにが?」
アニ「恋人って……」

エレン「あ、ああ。本当だ」

アニ「……そうなんですか」ニコッ

エレン「っ!?」カァッ


ミーナ(きゃー!きゃー!そうだったの!?)

アルミン(ライナー……一体何を考えて……はっ!?まさか!?)

ライナー ニヤッ

アルミン(アニをエレンの恋人に仕立て上げることにより、他の女性陣……いや、クリスタをエレンから引き剥がそうとしているのか……!?)

エレン「だ、だから……なんでも頼ってくれ!こ、恋人の頼みは聞くもんだからなっ!」マッカッカ

アニ「は、はいっ!」マッカッカ

アルミン(だけど、わかっているのかライナー……その作戦には重大な欠点があるということを……!)


アルミン「それじゃ、僕とライナーは教官に報告しにいくから、みんなは先にご飯食べに行っててよ」

ライナー「お?おう」

エレン「わかった。頼んだぞ」

ミーナ「ほらっ!行こっアニ!」

アニ「え、ええ……」


アルミン「……ライナー」

ライナー「……気付いたか」

アルミン「そうだね。良い考えだとは思う。少なくともクリスタはエレンに近寄りづらくなるかもしれない」

ライナー「だろう?」ニッ

アルミン「でも、それじゃ甘いんだよ」

ライナー「どういうことだ?」

アルミン「それは……っと。先に教官に報告しちゃおう。話は後だ」


アルミン「なんだかんだで教官は話をわかってくれるから助かるよ……」フゥ

ライナー「俺はお前の話術の凄さを痛感したがな。『一部記憶を無くしているようですが、肉体的、精神的にも比較的安定しており、訓練を続けるのに支障はないかと思われます』か」

アルミン「流石にみんなのサポートが必要だけどね。それと、アニの成績の良さもあるんだ。成績上位組はおいそれと手放したくはないはずだからね」

ライナー「なるほどな……。それで、話は戻るが甘いっていうのは……?」

アルミン「ああ、それはね……アニをエレンの『恋人』ということにしたことだよ」

ライナー「それの何がまずかったんだ?そのほうが手っ取り早いと思ったんだが……」


アルミン「ミカサのこと、忘れてるんじゃない?」

ライナー「いや、ちゃんと考えたぞ。クリスタがエレンにべったりでも、ミカサは寛容だったじゃないか。案外すんなり受け入れるんじゃないか?」

アルミン「違うんだよライナー。クリスタは『妹』だったんだ。『恋人』とは違う」

ライナー「……いや、そんな……いやいや……まさか……」

アルミン「『妹』だからミカサは許容できたんだよ。アニが記憶を失ってることを考えても、ミカサが『恋人』だなんて聞いたら……」

キィィ

ミカサ「………………」ゴゴゴゴゴゴゴ

アニ「………………」ゴゴゴゴゴゴゴ

アルミン「……まぁ、こうなるよね」ハァ


ミカサ「アニ……今なんて言ったの……?……よく……聞こえなかった……」

アニ「……あなたがどこのどなたかは存じませんが……私はエレンの恋人だと……言ったんです……」

ミカサ「……何を言っているのか……理解できない……とにかく、エレンから離れて……」

アニ「……お断りします」

エレン「おーい、落ち着けお前ら……あ、アルミン!助けてくれ!」

アルミン「はぁ……なんとなく想像はつくけど、どうしてこうなったの?」

エレン「あぁ、あのな……」


クリスタ『あ、エレン!遅かったね……アニも倒れたって聞いたけど、大丈夫?』

アニ『え、ええ……』

クリスタ『よかったっ!』ニコッ

ミーナ『ただ、ちょっと問題が……』

クリスタ『問題?』

エレン「ああ、飯食ったら説明するよ。とりあえず腹減った」


ミカサ『エレン、こっち……今日はアニも一緒?アルミンは?』

エレン『アルミンとライナーは教官のところだ。ほら、アニも座れって』スッ

アニ『あ、ありがとうございます……』

ミカサ『……?何かしてしまったの?それと、アニの様子が……』

エレン『後で説明するって。お、今日のスープは味が濃いめで美味いな』ズルズル


ミカサ『……エレン、頬に付いて……』

アニ『エレン、ほっぺについてますよ』フキフキ

エレン『お?おぉ……悪ぃ……』

ミカサ『なっ!?』

アニ『いいですよ。恋人のお世話をするのも彼女の務めでしょう?』ニコッ

ガッシャーン

エレン『うわっ!?ミカサ、何やってんだよ!スープこぼれちゃったぞ!?』


ミカサ『……ごめん。今アニが、よく分からないことを言っていた気がして……。』

ミカサ『……エレン、申し訳ないけどスープを一口でいいからくれる?』

エレン『ん?しかたねぇなぁ、ほれ』ヒョイ

ミカサ『あーん……うん、おいしい』チラッ

アニ『……』ムッ


アニ『エレン、彼女の私には食べさせてくれないんですか?』

エレン『えっ?でも、お前の分あるじゃn』

アニ『あーん』アー

エレン『えー……ほらっ』ヒョイ

アニ『あーん……ふふっ、美味しいです』

メキャ

エレン『ん?おいミカサ!スプーン折るなよ!大事な備品だぞ?』


ミカサ『ごめん……それよりアニ……さっきからなにかふざけたことを言っているようだけど……』

アニ『ふざけたことってなんでしょう……?あなたこそ、人の彼氏に何をさせているんですか?』

ミカサ『彼氏?アニは付き合ってる人がいたの?それならその人の為にエレンから離れなくては……』

アニ『だから……さっきから言っているでしょう?……私の恋人はエレンです』

ミカサ『………………』ゴゴゴゴゴゴゴ

アニ『………………』ゴゴゴゴゴゴゴ


エレン「って感じだな」

アルミン「はぁ……なんで先に説明しないのさ……」

エレン「腹減ってたんだよ……すまん」

ライナー「クリスタはどうしたんだ?」

エレン「最初の方でユミルがあっちに避難させた」

ユミル「おっかねぇ……」ガクガクブルブル

クリスタ「なに?なんなのユミル?手をどけてくれないとなにも見えないし聞こえないよー」ジタバタ

携帯にメモった分おわた。あとでpcからまとめて投下します。

今更だけど、題材の性質上、キャラ崩壊注意なのよね。

今日はもう寝ます。

なんかめっちゃ下がってる……
今日pc使えないくさいので、また最後まで投下できないかも
風呂入ったら少し投下しますー


アルミン「まぁ、アニがいるところじゃ説明できないから仕方ないか……僕からみんなに説明しておくから、アニを連れてどこかに行ってきてくれない?」

エレン「ごめんなアルミン、助かる。おーい、アニ!」

アニ「…………は、はい!なんですか?」

エレン「ちょっと外行こうぜ」

アニ「はい、わかりました」フッ

ミカサ「っ!!待って!まだ話はっ!!」

アルミン「僕が説明するから、まず落ち着いて……みんなも聞いて欲しいんだ」


エレン「なんでいきなり喧嘩腰なんだよお前ら……」

アニ「……あの人とは、いずれ殺し合いをするような気がして……」

エレン「……なんのこっちゃ」

アニ「いえ、なんでもありません…………あの人は、エレンの……その、何なんですか?」

エレン「なにって言われてもなぁ……ミカサは家族だよ」

アニ「姉弟では……ないですよね」

エレン「似たようなもんだな。ずっと一緒に育ってきたんだ」


アニ「……私は、エレンの恋人なんですよね?」

エレン「お、おう!もちろんだ!」

アニ「……ならあまり不安にさせないでください」ギュッ

エレン「(抱きつかれた!?)あ、あぁ、すまねぇ」

アニ「他の女の子にああいうことしちゃ、めっ、です」ギュウ

エレン「う、うん。もうやらねぇ……」

アニ「約束ですよ?」クスクス

エレン「あぁ……(可愛い)」


アニ「……では、そろそろ私は寝ますね」スッ

エレン「ん……そ、そうか。わかった」ドキドキ

アニ「お休みなさいエレン。また明日」ニコッ

エレン「ああ、お休みアニ」

アニ「~~♪」スタスタスタ

エレン(やっべ、あれ本当にアニかよ……可愛すぎるだろ……)

エレン(ん?あいつ女子寮の場所わかんのか?……まぁいいか)


~翌日~

アルミン「おはようエレン」

エレン「アルミンおはよう。昨日あの後どうなった?」

アルミン「……一応は説明したんだけどね」


アルミン『ってことなんだ』

クリスタ『そんなことが……』

ユミル『ぶはっ、ははっ……簡単すぎんだろお前らの頭』ケラケラ

アルミン『……』

コニー『エレンとアニは付き合ってたのか!?』

マルコ『コニー、今のアルミンの説明聞いてたの?』


ミカサ『…………』

アルミン『ミカサもわかってくれた?』

ミカサ『……理解はした。けど、ごめんなさい。私は手助けできそうにない』

アルミン『……やっぱり?』

ミカサ『私にも譲れないものがある……冷静でいられる自信がない』

アルミン『仕方ないね……。みんなは大丈夫?』


クリスタ『少し寂しいけど……アニの為なら私も手伝うよ!』

ユミル『めんどくせーけど、クリスタがやるっつーんだったら、手を貸してやってもいいぜ?』

サシャ『仲間の為ですからねっ!』ドヤァ

コニー『なにすりゃいいんだ?』

アルミン『いつも通りに接して、わからないことは教えてあげるくらいでいいよ。……エレンと恋人だって前提はあるけど』


クリスタ『むぅ……』プクー

ユミル『どーせすぐ元に戻るって』

コニー『おう!天才の俺様がなんでもおしえてやるぜ!』

ジャン『なぁ、マルコ。これってチャンスじゃないか?』

マルコ『君の考えてることは大体わかるけど、寝言は寝て言おうね?』


ミカサ『ちなみにその案を出したのは誰?』

アルミン『ライナーだよ』

サシャ『ライナーの晩御飯もらいますね』モグモグ

ライナー『もう食ってんじゃゲフゥ!?』ゲシッ

ユミル『悪ぃ、足が滑った』ヘラヘラ


ライナー『てめぇ……クリスタもなにか言ってくれ!』

クリスタ『ライナーのばーか』プックゥ

ライナー『はぅ!?』ガガーン

ミカサ『小便は済ませた?神様にお祈りは?部屋の隅でガタガタふるえて命乞いする心の準備はok?』ゴゴゴゴゴ

ライナー『や、やめろミカサ!流石に洒落にならんっ!!やめっ』

アッー

昨日寝落ちしちゃった(テヘペロ

今日もpcいじれないので、昨日投下しようと思ってた分あげちゃいます


アルミン「……まぁ、みんなわかってくれたよ。……ミカサは協力できないかもだって」

エレン「ん、そっか」

アルミン「ずいぶん聞きわけがいいね?」

エレン「まぁ、ミカサも複雑だと思うぜ?俺も、演技とはいえミカサがジャンと付き合ってますとか言われたらゾッとしないしな」

アルミン「それって……」


アニ「エレン!」タッタッタッ

エレン「おお、アニ。おはよう」

アニ「おはようございます。アルミンもおはようございます」ニコッ

アルミン「おはようアニ」

エレン「やっぱりまだ思いだせないか?」

アニ「……ええ……」


エレン「ま、ゆっくり思いだしていこうぜ!」

アニ「……はい」

アルミン「…………」

クリスタ「おにいっ!……こほんっ。エレン、アルミン、アニ、おはよっ!」

エレン「おうクリスタ、おはよ」

アルミン「おはようクリスタ」

アニ「……おはようございます」


クリスタ「アニ、事情は聞いたよ。私はクリスタ。困ったことがあったらなんでも言ってね」キラキラ

アニ「え、ええ……ありがとうございます(眩しい……)」

アルミン(やはり天使か……!)

エレン「今日の訓練は立体起動に対人格闘、んで座学か……朝飯がもうちょっと力がつくもんだといいんだけど」


~立体起動訓練~

教官「では、行けっ!!」

アニ「こ、こうでしょうか?」バシュ

エレン「おお!上手いもんだな!」

ミーナ「あまり速度出てないとはいえ、アニは凄いね!やっぱり持って生まれたセンスなのかなぁ……」

エレン「努力すれば出来ないことなんてねぇよ!続くぜミーナ!」

ミーナ「う、うん!」


~対人格闘訓練~

ライナー「アニ、俺と組もうぜ」

アニ「は、はい。あの……お手柔らかに」オドオド

ライナー「ははっ、大丈夫だ。ちゃんと手加減するさ。……行くぞ!」ダッ

アニ「フッ!!」ドゲシッ

ライナー「すねえぇぇぇぇええええぇ!!?」

アニ「ああ、すみません……つい……」

エレン「体が覚えてるってやつか?」

アルミン「……かもね」


~座学~

教諭「巨人はいくら傷をつけても瞬時に再生する……レオンハート!」

アニ「は、はい!」

教諭「巨人の弱点はどこだ?」

アニ「えっと……うなじ部分です」

教諭「そうだ。うなじを削げば再生することはない。では、死亡した巨人はどうなる?」

アニ「え?……えっと……」

マルコ カキカキスッ

アニ「!……蒸発して、消滅します」

教諭「その通りだ。調査兵団のハンジ分隊長は巨人の研究を行っているが~」

アニ ペコッ

マルコ グッ


エレン「なんとかやっていけそうだな」

アニ「……そうですね。皆さんよくして下さるので、助かります」

エレン「これなら、このまま記憶が戻らなくても大丈夫かもなー、なんて」アハハハ

アニ「……!…………」キュッ

エレン「ん?どうした?」

アニ「……いえ、なんでもありません……」

とりあえずここまでー

明日か明後日までには終わらせられると思いたい

おやすミン

>>1です。お待たせしました。
最後まで投下していきます。

~一か月後~

ライナー「もうひと月か。なかなか戻らないな……」

アルミン「そうだね……そろそろあっちも限界みたいだし……」チラッ

ライナー「あっち?」チラッ

ミカサ「エレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレン」ブツブツブツブツ

ライナー「なんだあれ……」ゾッ

アルミン「記憶喪失のアニの気持ちを酌んで、アニとエレンの関係を黙認した結果だよ。ミカサなりの最大限の譲歩なんだろうね」


ライナー「……そろそろやめさせるべきだな」

アルミン「あ、やっぱりライナーもそう思う?」

ライナー「多分、だけどな」

アルミン「珍しくミカサは気付いてないみたいだけどね。やっぱり冷静じゃないみたいだ」

ライナー「どうする?」

アルミン「僕が話しに行くよ。失礼だけど、ライナーはこういうの向いてなさそうだから」クスッ

ライナー「ぐっ……だが、その通りだ。頼んだぞ」

アルミン「うん。だけど、あくまできっかけを作ってあげるだけだよ。そのあとは、エレンに任せよう」


アニ「アルミン、話ってなんでしょうか?しかも、ひとりで来てだなんて……」

アルミン「大切な話だからね。エレンには聞かれない方がいいと思って」

アニ「そんな……ダメですよ?私にはエレンがいるんですかr」

アルミン「アニ、もうやめよう」

アニ「……何を、ですか?」

アルミン「記憶喪失のフリなんて、もうやめようよ」


アニ「…………いつから気付いてたの?」スゥ

アルミン「最初から。って言いたいところだけど、半分は賭けだったよ。やっぱりフリだったんだ」

アニ「……ブラフだったか。可愛い顔して、なかなか汚いことするねアンタ」

アルミン「褒め言葉として受け取っておくよ……。まぁ、最初から疑ってはいたんだけどね」

アニ「……どうして?」


アルミン「クリスタのときに色々調べたんだよ。過去に訓練兵で記憶障害を引き起こした事例は少なくない。とはいえ数年に1人くらいなんだ。それが、立て続けに記憶を失うなんてちょっと不自然じゃない?」

アニ「……そういうこともあるかもしれないじゃない」

アルミン「そうだね。だから言ったでしょ、賭けだって」

アニ「……チッ」

アルミン「みんなの話を聞いてると、ちょこちょこボロも出てたみたいだね。みんなは気がつかなかったみたいだけど」フフッ

アニ「アンタは気付いたんだろ。なら意味がないさ」


アルミン「ねぇ、アニ……どうしてこんなことしたの?」

アニ「どうして、ねぇ……羨ましかったのかな」

アルミン「羨ましい?誰が?」

アニ「クリスタが。誰かに素直に甘えるなんて、私のキャラじゃないだろ……」

アルミン「『誰かに』じゃなくて、『エレンに』、でしょ?」クスッ

アニ「うるさいっ」カァッ

アルミン「それで記憶喪失ってことにしたんだね。それなら、最初からエレンに『おにいちゃーん』って言って抱きつけばよかったのに」クスクス

アニ「それは……流石に恥ずかしいから……。私は私なりにやろうと思ったんだ。ライナーが変なこと言ったせいで方向転換はしたけどね」


アルミン「その割にはノリノリだったじゃないか」クスクス

アニ「なっ!?」

アルミン「アニはもっと自信をもっていいと思うよ?」

アニ「………………」

アルミン「少しの勇気でいいんだ。鈍感だって言われてるけど、人の気持ちをないがしろにするような人じゃないから」

アニ「…………そんなの、わかってるよ」


アルミン「……僕の話はこれでおしまい。やめようって言ったけど、どうするかはアニ次第だよ」

アニ「………………」

アルミン「ミカサも限界みたいだから、出来れば早めに解決してほしいんだけどね。それじゃ」スタスタスタ

アニ「………………」

エレン『これなら、このまま記憶が戻らなくても大丈夫かもなー、なんて』

アニ(あいつは……どういうつもりで、言ったんだろ……)


アニ(……普段の私より、今の私の方がいいってことなんだろうか)

アニ(このまま、何もわからないままフリをしていれば……あいつらを裏切らなくて済む)

アニ(でも、そうするとライナーやベルトルト達を裏切ることになる)

アニ(…………悩むくらいなら、最初からやるなって話だよね)

アニ「はぁ……どうしよう……」


エレン「どうしたアニ。ため息なんかついて」

アニ「え、エレン!?な、なんでもないです!」

エレン「そ、そうか……隣いいか?」

アニ「え、ええ……」

エレン「…………」

アニ「…………」


エレアニ「「あのっ!」」

エレン「あー……」

アニ「あっ、その……なんですか?」

エレン「あ、ああ……実はさ……」

アニ「はい……?」


エレン「本当は俺とお前は恋人同士じゃないんだ!」

アニ「えっ?」

エレン「すまん!ライナーがそうした方がいいって言うからそうしちまったが、よくよく考えたらおかしいと思ってさ」

アニ「…………」

エレン「いつ言おうか迷ってるうちにズルズルと……。騙すつもりはなかったんだ!本当にすまん!」

アニ「…………」


エレン「……怒ってる、よな?結果的に騙してたことに変わりはないわけだし……。でも、お前の為に何かしたかったのは本当なんだ!信じてくれ!」

アニ「……怒ってませんよ」

エレン「本当か!?」

アニ「えぇ、知ってましたから」クスッ

エレン「え゛っ」


アニ「エレンは嘘が下手みたいですから」クスクス

エレン「マジかよ……。なんで気付いてるって黙ってたんだ?」

アニ「それは……その……」カァッ

エレン「?」

アニ「ま、まぁいいじゃないですか!」

エレン「お、おう……。あ、アニもなんか言いかけてたよな?なんだ?」


アニ「えー……あの……記憶を失う前の私って、どんなでした?」

エレン「んー……別に今と変わらないんじゃね?」

アニ「え……いや、そんなことはないと、思いますけど……?」

エレン「?」

アニ「あ、なんでもないです!」アセアセ


エレン「あー……そうだな、印象で言えば、無愛想だな」

アニ「…………」イラッ

エレン「いっつも怖い顔してるし、あんま喋んねぇから孤立気味だし、訓練のときも痛いからやめろつってもやめねぇし……」

アニ「…………」イライラ

エレン「最初は怖いだけの奴かと思ってたよ」

アニ「…………」イライライラ

エレン「全然違ったけどな」

アニ「……えっ」


エレン「よく見りゃ結構色んな表情するんだよな」

アニ「あ、あの……」プスプス

エレン「みんながバカやってるときとか、呆れながらも微笑んでたりするし」

アニ「いや、その……」プスプス

エレン「意外と周りをよく見てて、さりげなくみんなのフォローしたりしてるし」

アニ「や、やめ……」プスプス

エレン「基本的に優しいんだよな、アニは」

アニ「あぅ……」プシュー


エレン「うわっ!?どうした!?」

アニ「な、なんでもないです……」クラクラ

エレン「そうか……?あー……アニはアニだからな。記憶があろうとなかろうと本質は変わらねぇよ」

アニ「エレン……」


アニ(……そうか。ちゃんと見ててくれてるんだ)

アニ(私は私。なにがあっても変わらない。こいつはわかってくれてる。演技なんてする必要ないんだ)

アニ(……ミカサにも、悪いことしちゃってるし……もう、いいかな。私は満足した)

アニ(本当のことを言おう。本当の私で、素直な気持ちを伝えよう……!)

アニ「え、エレン!」


エレン「あ、でも対人格闘のやつは本当にやめて欲しいな」

アニ「……はっ?」

エレン「あれ、マジで痛いんだよ……やっぱり少し暴力的なのは直すべきだよなぁー」

アニ「…………」ゴゴゴゴゴ

エレン「ん?どうしたアニ?」


アニ「痛いのは、嫌?」ガシッ

エレン「そりゃそうだろ。つか、なんだよいきなり掴んで……」

アニ「アンタは……」グイッ

エレン「あだだだだだだだだっ!?」

アニ「もう少し女の子との話し方を覚えるべきだね……!」ギリッ

エレン「……!アニっ、記憶がっ!?って痛い痛い!!やめろ腕はそっちにはまがらな……」

ギャー

アニ記憶喪失事件は、エレンの腕と引き換えに終結したようです

アニは最初から演技だったってことはみんなには内緒にしてるみたい

それを言いふらそうとしたライナーがアニに殴られすぎて、「ぼくどうちてこんなところにいゆの?」などと指を咥えながら言った時には殺意すら覚えました(もう一発殴ったら戻ったけど)

最近は、また前みたいに少しエレンとも距離を置いてるようにも見えるけど、こっそりエレンの自主練に付き合ってるのを僕は知ってます

リア充め

アニの意外な一面が見れたということで、この事件も悪くはなかったんじゃないでしょうか

●月△日 アルミンの日記より抜粋


おしまい

いやいや、一週間以上待たせてしまって申し訳ない
一応次回予告は書いてんだけど、本当に次回書くかは未定なんだよね
気が向いたら、思い出した頃にまた書くかも
読んで下さってありがとうございました



「ご馳走様でした!」

その一言に、食堂に居た者は皆自分の耳を疑った。

普通に生活していれば、何気ない食後の挨拶である。おかしな点などひとつもない。

しかし、それを発した人物と、タイミングが、異常だった。

彼女の皿には、まだ半分ほどの食料が残っていたのである。

彼女ならば、それはありえない。普段ならば、他人の皿に手を伸ばしていてもおかしくない。

食堂が静かなざわめきに包まれるなか、彼女は涼しい顔をしている。

クリスタ「ど、どうしたの?具合悪いの?」

クリスタの心配ももっともである。普段の彼女ならば、食事を残すことなどありはしないのだから。

しかし、彼女の次の一言で、さらなる喧騒が食堂を襲った。



サシャ「そんなことないですよ?もうお腹いっぱいです!」


次回『エレン「サシャ、頭でも打ったのか?」』

to be continued...?

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