春香「やばい真美と亜美の誕生日のお願い……勘違いしてた」 (46)


伊織『春香。聞こえてる? ちゃんと聞こえてるならマイクを一回叩いて』

春香「えっと……」トンッ

伊織『感度良好……良い?できるだけ援護するけれどあんたも接触しないよう細心の注意を払いなさい』

伊織『バレたら全部終わり。無線もバレないように』

春香「うん。ごめんね伊織」

伊織『まったく……2人で頼んできたならともかく』

伊織『亜美と真美別々にお願いしてきたにも関わらず』

伊織『3人で遊びに行くと思ってたなんてどういう頭してんのよ』ハァ...

春香「うぅっ……面目ないです」

伊織『まぁ良いわ。そんなあんただから私達は――ケホッケホッ』

春香「伊織?」

伊織『な、なんでもないわよ! 気にしないで』

春香「う、うん」

千早『もしもし、如月千早よ。聞こえてる?』

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伊織『千早、電話じゃないのよ?』

千早『そうなのね……』

春香「それでどうかしたの?」

千早『予定通り真美が来たわ。もうすぐ春香と接触するはずよ』

春香「も、もうそんな時間なんだね……上手く出来るかな」

伊織『出来なくてもやるのよ。せっかくの誕生日を残念な思い出にしたくないんでしょ?』

伊織『私達だって全力でサポートするから』

春香「伊織……」

千早『まずは死力を尽くしましょう。春香』

千早『相手のことを思うなら、やらないよりもやって後悔するべき。そうでしょう?』

春香「う、うん! 頑張るよ協力してくれるみんなの為に、なによりも、真美と亜美の誕生日の思い出のために!」グッ


真美「はる―――っと、お待たせ」

春香「そんなに待ってないよ。それよりもバレたら面倒だから呼び方変えないと」

真美「だよねーま――私は普通に呼びたいんだけど」

春香「仕方ないよ。私達ももう有名なアイドルなわけだし」

伊織『やっぱり今からでも全員エキストラに変えるべきじゃない?』

千早『そうしても真美や亜美が知らないから呼べないんじゃないかしら』

伊織『それもそうね……春香。頑張りなさい』

春香「それじゃいこっか」トンッ

真美「うん!」

真美「あ、やっぱりちょっと待って」

春香「え?」


――ギュッ


真美「手、繋いでいこーよ」

春香「真美……?」


真美「ほ、ほら!」

真美「遊園地って混んでるし」

真美「は、はぐれないよーにって!」

真美「そんだけ! そんだけだから!」

春香「あははっ、そんな慌てなくてもいいのに」

真美「うっ……」カァッ....

春香「はぐれると危ないもんね。真美は可愛いし」ボソッ

真美「ッ!」バッ

春香「ん?」

真美「な、なんで耳元で……」

春香「名前呼ぶならそうした方が良いかなって」

春香「くすぐったかったならごめんね?」

真美「そーいう問題じゃないっしょー……」ボソッ

春香「何か言った?」

真美「い、言ってない!」


真美「良いから行こ!」グイッ

春香「わっとと……」

春香「待ってよ~歩くの早いって」


――コソッ



千早「……春香は馬鹿なのかしら」

伊織『間違いなく』

千早「でも、春香がああいう子じゃないなら」

千早「私は歌うことの意味を今も履き違えていたかもしれない」

伊織『私達もいた事を忘れないで欲しいわね』

千早「ええ、大丈夫。ちゃんと覚えているし感謝もしているわ」

千早「とりあえず……私も中に入るわね」

伊織『ええ、お願いね』


真美「遊園地っていろいろあるから迷っちゃうよね~」

春香「でも……ん~」

真美「どったの?」

春香「いや、なんて呼べば良いのかなって」

真美「まーちゃんはーちゃんで良くない? シンプルだし」

春香「そうだね、まーちゃん」ニコッ

真美「っ」フイッ

春香「まーちゃん?」

真美「な、なに……?」

春香「なんで目を背けるの?」

真美「いきなりで恥ずかしかっただけ」

春香「あはは、ごめんごめん。代わりに私のことも呼んでいいよ」


真美「は、はーちゃん」

春香「なぁに? まーちゃん」ニコッ

真美「ッ!」カァァッ

春香「出来るだけ呼ばないほうが良い?」

真美「い、いや呼んじゃって良いよ! じゃんじゃん呼んじゃって良いよ!」

春香「う、うん?」

真美「耳元で言われるよりマシだし!」

春香「そっか。じゃぁ耳元まーちゃんは?」

真美「やったら噴火するよ?」

春香(それは流石に怒るかぁ……)

真美(頭で湯が沸かせちゃうよ……流石に)


真美「そ、それでさっきなんて言おうとしてたの?」

春香「まーちゃんは遊園地にはよく来てるだろうし」

春香「オススメとかあるんじゃないの? って言おうと思ったんだよ」

真美「ま、まぁ……たしかにそうだけど……」

春香「ここは初めて?」

真美「う、ううん。何回も来たことあるよ」

春香「ならオススメの所に行こうよ」

真美「で、でもそれって私の楽しめるところであって」

真美「はる……はーちゃんの楽しめる場所じゃないかもしんないし……」

春香「私はまーちゃんが楽しめる方が幸せかな」

真美「え?」

春香「今日はまーちゃんの笑顔を見に来たんだよ? それにまーちゃんの楽しいが私の楽しい」

春香「だからいこ? まーちゃんのオススメ」ニコッ


真美「はるるん……」ボソッ

真美「その代わり、はーちゃんが絶叫苦手とか言ってもしんないかんね!」

春香「望むところだよ!」


タッタッタッタ........


千早「問題なく進行中」

伊織『別にあんたも楽しんでいいのよ?』

千早「一人でどうやって楽しめばいいの?」

伊織『………………』

千早「………………」

千早「……亜美は?」

伊織『あと50分後よ。性格を考えてマイナス20~30ね。絶叫系なら乗ってすぐ離脱すれば間に合うわ』

千早「少し不安になってきたわ」

伊織『同感……だけどまだ始まったばかり。春香に任せましょ』

千早「了解」


春香「流石にコースター系は並ぶね~」

真美「でも運が良かったよ。これなら30分くらいでいけそう」

春香「いつもならどのくらい?」

真美「待つときは先行券があっても1時間以上だよ」

春香「先行……? 整理券?」

真美「あ、うん」

春香「ん~じゃぁ整理券なしで30分はすっごく運が良かったってことかな」

真美「うん」

春香「えへへっ、まーちゃんの日頃の行いが良いからかも」

真美「違う。はーちゃんの行いが良いからだよ」

真美「私は悪戯とかしてるし……絶対はーちゃんだよ」


春香「そ、そうかな……えへへっ」

春香「そんな真面目に言われるとちょっと恥ずかしい」

真美「………………」ジーッ

春香「………………」

真美「………………」ジーッ

春香「………………」カァッ

春香「な、何!?」

真美「照れてるはーちゃんも可愛いなーって」

春香「か、可愛いってそんな」

春香「わ、私は別に普通だよ」

春香「まーちゃんの方が可愛いって」

真美「ううん、はーちゃんだよ」


真美「いっつも笑っててさ」

真美「みんなに平等に優しくてさ」

真美「ちょっとあざといけど……はーちゃんは可愛いよ」

春香「あ、あざといって……」

真美「あははっだって本当のことっしょー?」

春香「ち、違うよ!」

真美「んっふっふ~嘘付いたらハリセンボンだよ~?」

春香「う、嘘じゃないもん!」プクー

真美「あははっ、頬が膨らんでフグみたい」

春香「もーっ!」

真美「あはははっ」

真美(ちょっと危なかったなぁ)

真美(最初っからクライマックスなんて、真美……焦りすぎっしょー)


「では、こちら並んでお座りください」

真美「はーい」

春香「はい」

真美「これ……帽子飛ばないかな」

春香「抑えとくしかないかな」

真美「でも……」

春香「ん?」

真美「なんでもない」シュン....

春香「………………」

春香「……あの、すみません」

「はい?」

春香「私達一番うしろの席に座ることって可能ですか?」

真美「え?」


「その座席のお客様がよろしければ……」

「あ、俺達はいいっすよ」

「前の方だし、景色はそっちの方が良いのに貴女達は本当に良いの?」

春香「あはは、乗るのはいいけどあまり得意じゃなくて」

「そう? それなら……ね?」

「ああ、交換するよ」

春香「ありがとうございます!」

真美「………どうして?」

春香「まーちゃんは手をつないでわーってやりたいんでしょ?」ニコッ

真美「そ、それは……」

春香「後ろなら帽子とっても見られにくいからね」

真美「はるるん……」

春香「こ、こらこら。それ禁止」

真美「あ、ご、ごめん」

春香「ほら、乗ろ?」

真美「うんっ!」ニコッ


ちょっと中断で


ガタンッ

春香「停まったね」

真美「んーあっ、見てみて! 街があんなにちっこいよー!」

春香「ホントだね。ふふっ」

ギッギッギ.......

真美「どったの?」

春香「んーん。どうもしてないよ」

春香「ただ、まーちゃんもまだまだ中学生なんだなぁって」

ギッギッギ…………ッ

真美「んっふっふ~」

真美「余裕ぶってるとはーちゃんを追い抜いちゃうかんね?」ニヤッ

春香「身長追いつかれた私としては笑えないなぁ」アハハ


真美「なら、さ」

春香「ん?」

ガタッ

真美「っ、はーちゃん」ギュッ

春香「!」ギュッ

ガタンッ

真美「わっほーい!」

春香「わっほーい!」


――ゴォォォォッ!


真美(……………………)

真美(……………………)

真美(……一緒に行こうよ。なんてね)


春香「んーちょっと座ろっか」ドサッ

真美「そだね」ドサッ

春香「いやー……ダンスでターンに慣れてるつもりだったけどさ」

春香「結構きついものなんだねぇ……縦回転」

真美「縦回転はダンスでも使ってないからねーちかたないねー」

春香「……バク転とか練習してみる?」

伊織『あんたがやるだけなら別に良いけど?』

春香「!」ビクッ

真美「はーちゃん?」

春香「む、虫が靴に登っちゃって……」トン

伊織『次は亜美に移りなさい。電話をするから出て』

春香(もうそんな時間かぁ……)トン


プルルルルルッ

春香「あっ、ごめん電話」ピッ

真美「………………」

春香「もしもし?」

P『あぁ、俺だけど』

春香「プロデューサーさん!?」

春香(きょ、協力お願いしたっけ……?)

P『話は伊織からだよ』

春香「え?」

P『良く解らないんだが、伊織達じゃ不味いらしくてな』

春香「んー?」チラッ

真美「?」


春香「それで、なんなんですか?」

P『あぁ、亜美との合流をするんだろ?』

春香「はい」

P『俺との緊急の話って言うんだ』

春香「え、でも……」

P『良いから。それ以外じゃ長い離脱は無理だろ?』

P『多分、伊織達じゃダメなのも多分それが理由だからな』

春香「……なるほど」

春香(とはいえ、プロデューサーさんにまで)

春香(すごく申し訳ないなぁ……)

真美「………………」


春香「ごめん、まーちゃん」

真美「……仕事?」

春香「緊急の話があるって……その」

真美「………………」

春香「………………」

真美「……仕事なら仕方ないっしょー」アハハ

春香「まー……真美」

真美「こらこら、それ禁止っしょ?」

春香「そ、そうだね! ごめん」

真美「でも……戻ってきてくれるんだよね?」

春香「それは約束するよ」

真美「そっか……じゃぁ、行ってらっしゃい。私はてきとーなとこで待ってるからさ」

真美「戻る時には連絡よろ~」

春香「ほんと……ごめんね!」タッタッタッタッ



………………………


………………


……

真美「……バーカ」


グスッ


千早「…………如月千早より、水瀬さん」

伊織『ん?』

千早「亜美の一回目のアトラクションの後、合流を推奨するわ」


伊織『どういうこと?』

千早「気づいてる……わけではないかもしれないけれど」

千早「やっぱり自分よりも仕事を優先されるのは辛いわ」

伊織『………………』

千早「………………」

伊織『………………』

千早「……どうするの?」

伊織『春香も結構辛そうだし』

伊織『誰かの為にやっていることが』

伊織『誰の為にもなっていないんじゃなんの意味もないわ』

千早「………………」

伊織『真美を回収して事情説明しましょう』

伊織『千早、お願いするわね』

千早「ええ、了解」


伊織『話は聞いたわね?』

春香「………………」

伊織『ごめんなさい』

伊織『真美と貴女に辛い思いをさせて』

春香「んーん……元はといえば私のせいだから」

春香「私は良いよ。でも、真美には本当に申し訳ないことしちゃったなって」

亜美「お~い!」

春香「亜美が来た……どうする?」ボソッ

春香「亜美にはもう事情説明した方が良いよね?」ボソッ

亜美「ボソボソ何話してんの?」

春香「べ、別に何でも……」

亜美「ふ~ん……」ジトー


春香「あ、亜美……?」

亜美「はるるんって困ってる時の顔も可愛いよね」

亜美「あ、はーちゃんって呼んだ方が良いんだっけ?」ニヤッ

春香「え?」

亜美「亜美と真美ってさ同じ家にいるんだよ?」

亜美「互いに知らないわけないっしょーはるるんとのデート」

春香「え……え?」

亜美「はるるんが勘違いしてそうだし、そのままでもいっかなーって」

亜美「でも、からかいすぎたかな。流石に困るを越えた辛い表情は嫌なんだよね」アハハ.....

春香「つまり……え?」

春香「初めから真美にバレてたの?」

伊織『ハァッ!?』

春香「!」キーン


―――――――

―――――

―――



真美「始めっから全部知ってたんだよね」

真美「もちろん、いおりん達の協力は知らなかったよ」

千早「あの時の悲しそうな顔は……?」

真美「はるるんがすっごく辛そうだったから」

真美「真美達バカだなぁって」

伊織「そういうことね……」

春香「っ……真美」

真美「ごめんねはるるん」

春香「ううん……私が勘違いしたせいだし」

亜美「それを使ってからかった亜美達も悪いよ」

亜美「あのさ……はるるん」

春香「……なに?」


亜美「こ、このあともデートしようよ」

春香「え?」

真美「はるるんが良いならだけど」

春香「…………」

亜美「…………」ゴクッ

春香「……2人が私なんかでいいなら良いよ」

春香「また変な勘違いしちゃうかもしれないけどね」エヘヘ

真美「うっ」

亜美「くっ」

伊織「ったく、余計なことしてくれるんだから」

千早「ふふっ良いじゃない。1年経ってもまだまだ真美と亜美ってことでしょう?」


伊織「あんたも甘いのね」

千早「そうかしら」

伊織「とぼけちゃって……まぁ良いわ」

伊織「問題なくなったし私達も遊園地で遊びましょ」

千早「そうね」フフッ

伊織「か、勘違いするんじゃないわよ?」

伊織「予定がなくなって暇だからってだけなんだから!」

千早「解ってるわ。3人の邪魔したくないし」

千早「いきましょう? 水瀬さん」


スタスタスタ............



亜美「そんじゃ、真美」

真美「解ってるよ」

真美「約束通り一つだけアトラクション譲ったげる」

春香「ん?」

亜美「最初にはるるんと真美がデートしたし……さ」

春香「真美は良いの?」

真美「じゃないと不平等だしね。良いよ」


春香「それじゃ……一応また人混みに戻るわけだし」

亜美「はーちゃんとあーちゃん、まーちゃんだね!」

春香「あははっそうそう」

真美「ん~……」

真美「私ひっだり!」ギュッ

春香「!」

亜美「あーっ、じゃぁ右!」ギュッ

春香「ちょ、ちょっと!?」

真美「デートだしやっぱこれっしょー」

亜美「そだねー」

春香「も、もうっ!」カァッ


真美「それであーちゃんはどこに行くの?」

亜美「んっふっふ~」

亜美「お化け屋敷」

春香「えっ」

亜美「あm……私の誕生日だし」

亜美「付き合ってくれるっしょー?」

春香「ま、まぁ……良いけど」

春香「私苦手だし」

春香「抱きついたりしちゃうかもしれないよ?」

亜美「付き合わせるわけだし」

亜美「そんくらい許由範囲っしょ!」

春香「許容範囲ね」

亜美「そーそれそれ!」

真美「ぐぬぬ」


「どうぞー」

亜美「そんじゃ行ってくんね~」

春香「まーちゃん、悪いけど……」

真美「うん。行ってらっしゃい」フリフリ

亜美「はーちゃん」ギュッ

春香「あ、あーちゃん」

亜美「いこ」グイッ

春香「う、うん」


タッタッタッタ.........


ォォォォォォォォォォ.......


春香「か、換気扇か何かの音だね」

春香「お、お化けの声じゃないよね!」ブルブル

亜美「だ、大丈夫だからそんな怯えなくても」

春香「お化け苦手なんだってぇ……」ダキッ

亜美「あはは」

亜美(はるるんあったかいなぁ)

亜美(それに柔らかいし)

亜美(涙目で可愛い)

亜美「大丈夫だよ。はるるん」

春香「ちょっ」

亜美「ここなら人には聞かれない」ダキッ

春香「あ、亜美……?」


亜美「でも」

亜美「……………………」

亜美「やっぱズルはダメっしょ」バッ

春香「え?」

亜美「色々楽しんだらさ」

亜美「最後に3人で観覧車乗ろうよ」

春香「乗ってどうするの?」

亜美「亜美と真美にプレゼントが欲しい」

春香「プレゼント?」

亜美「亜美も真美も大人になりたい」

亜美「それだけだよ」

亜美「いこっ、はるるん。それが話したかっただけだから」グイッ

春香「…………………」


それからしばらく遊んだ
楽しかったし、面白かった
亜美も真美も楽しんでて、嬉しそうで
でも私は少し迷いを抱えていて
そしてそのまま――時間はその時を迎え入れた


真美「ゆっくりだねー」

亜美「んっふっふー」

亜美「街が米粒のようだー」

春香「………………」

真美「どったのはるるん」

春香「え?」

真美「乗ってから大人しすぎない?」

春香「そ、そうかな」

真美「……亜美」

亜美「ん?」

真美「お化け屋敷で何かした?」

亜美「してないよ……話はしたけど」


真美「なんて話したの?」

亜美「大人になりたいって」

真美「お、大人って……」カァッ

春香「………………」

春香「2人はどんなことを望んでるの?」

亜美「え?」

真美「それは……」

春香「考えたけど……解らなかったんだよね」

春香「2人が望む大人への階段ってなんなのかがさ」

春香「私もまだ……子供だし」

亜美「そんなことないよ」

真美「はるるんは十分大人だよ」

真美「真美達の憧れだし……それに……その、さ」

亜美「亜美達ははるるんの事を……好きなんだ」


春香「え……?」

亜美「っ」カァァ

真美「っ……だ、だから!」

真美「はるるん!」

春香「はいっ!」

真美「その……」チラッ

亜美「……その、チューじゃなくて」

真美・亜美「キスってやつがしたいんだ」

亜美「好きな人と」

真美「ダメ?」

春香「………………」

亜美「………………」

真美「………………」

春香「――良いよ」


亜美「え?」

真美「え?」

春香「良いって言ったんだよ?」

春香「2人がそれでいいなら……だけどね」ギュッ

真美「はるるん?」

亜美「どったの?」

春香「真美と亜美どっちか片方だけっていうのは不公平だからさ」

春香「2人とも、同じ場所」

春香「それでいいなら……ね」ニコッ

真美「………………」

亜美「………………」

真美(この時、真美達は思ったのです)

亜美(はるるんって実は天然なんかじゃなく、魔女なんじゃないのかと)

春香「ふふっ……どうかした?」

亜美「ぁ……」

真美「ぁ……」

春香「お誕生日――おめでとう」


その時ちょうど、観覧車は頂点に達していた


終わり

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