DIO「トランプタワーを作ろう」 (22)

テレンス「そろそろ目標に届きそうだな」

ダービー「……イカサマ無しがこんなにキツイとは……ッ!」

テレンス「接着剤でも持ってくるか?」

ダービー「黙ってくれッ!気が散る!」

DIO「なにをしている?」ヌッ

テレンス「うわァ!?」

バラバラバラバラバラバラバラバラバラバラ

ダービー「うああああああアアアア――――ッッ!!?」

DIO「おっとすまない。 驚かすつもりじゃあなかったんだが」

テレンス「『ザ・ワールド』で時止めて入ってくるの、そろそろ止めていただけると嬉しいのですが」

DIO「こればっかりはどうしようもない……で、なにをしているんだ?」

テレンス「兄がトランプタワーの世界記録に挑戦するというので、その練習を」

ダービー「」

DIO「ほう……トランプタワーか」

テレンス「我々、ダービー兄弟が必要としているのは「技術」です。 新しい、古いに関係なく勝負事で大事なのは技術と絶対に動じない『精神力』なのです」

ダービー「」

テレンス「そこで……それらを鍛えるべくトランプタワーをしているわけです」

DIO「若干こじつけのような気もするが……」

テレンス「気のせいです」

ダービー「」

テレンス「おい、いつまで寝てるんだ?DIO様に挨拶を……」

テレンス「し、死んでる……」

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「トランプタワーを作ろう」

実況『さァ――――ッ!盛り上がってまいりましたァ!!トランプタワーギネス記録挑戦ッッ!!』

実況『本来のイベントを中断し昨日からこの東京ドーム上に特設されたステージの上で、しのぎを削りあっている2名の挑戦者ッ!』

実況『一人は空条承太郎選手!既に積み上げたトランプタワーは承太郎選手の背丈の数倍高くそびえ立っている!』

実況『そしてもう一人はDIO選手!DIO選手のトランプタワーも承太郎選手を追うようにして高さを増しているゥ―――ッ!』

実況『しかしッ!奇妙なことに両選手ともわずか1日でギネス記録7.71mの壁に近づいているのでありますッ!!』

実況『両選手とも開始時よりスピードはまったく落ちちゃあいないッ!!1ミリのズレもない完璧なトランプタワーが作られていくゥ――――ッ!!』

承太郎「……」

DIO「承太郎ォ!そろそろ精神力に限界がきてるんじゃあないか?」

DIO「所詮貴様のスタンドは我がスタンドの下位互換!越えられない限界があるのだァ――ッ!!」

承太郎「……しゃべくってる暇があるならタワーを積み上げるんだな」

DIO「フン、降参するならば今の内だぞ……!」



実況『おォ~~っとッ!!?ここで承太郎選手、一時離脱ッ!時刻は既に夜の12時、承太郎選手は睡眠を取るため一時離脱しますッ!』
実況『ここからはDIO選手の独壇場だァ――――!承太郎選手が起きてくるまで、どれだけ積み上げられるのでしょうか!?』

実況『改めて説明いたしますッ!このギネス記録挑戦は、トランプタワーを積み上げ現在のギネス記録7.71mをより高く超えた方が記録に残る、いわば勝者となるのですッ!』

実況『ゆえに、この戦いで求められるものは『精神力』ッ!トランプの崩壊を恐れない強靭な『精神力』を維持することが重要です!』

実況『さァDIO選手ッ!どれだけ承太郎選手にプレッシャーを与えれるかッ!!』

実況『え?あ、一旦CMです。この番組はスピードワゴン財団とご覧のスポンサーの提供でお送りしておりますゥ~』

DIO(……承太郎がプレッシャーなんぞに負ける男ではないことぐらい分かっている)

DIO(俺のスタンド『ザ・ワールド』は間違いなく『スタープラチナ』よりも強い……だがッ!!)

DIO(奴がこのDIOより少し高いトランプタワーを平然と作っているのに対し……)

DIO(俺のトランプタワーには承太郎ほどの安定感がないッ!!)

DIO(なぜだッ!?この、この俺が承太郎なんぞに……!)

DIO(俺からこの勝負に誘っておいて負けることだけは絶対に避けなくてはならない……ッ!)



3日前
空条家にて――

DIO「承太郎……一つだ……一つ、聞こう。俺の『ザ・ワールド』と貴様の『スタープラチナ』はどちらが上だと思う?」

承太郎「いきなり来たかと思えば……なんだ?その質問は」

DIO「質問を質問で返すんじゃあない……私は聞いているのだよ……『どちらが上か?』とな」

承太郎「スタープラチナだな」

DIO「WRYYYYYYYY!!マヌケがッ!どう考えたって『ザ・ワールド』が、このDIOが一番に決まっているッ!!」

承太郎「……じゃあ聞くんじゃあねー」

DIO「……フゥ……そういうと思ってな……勝負をしないか?」

承太郎「勝負?」

DIO「トランプをタワーのように積み上げる『トランプタワー』知っているよな?」

DIO「その塔を積み上げるのに必要なのは……『技術』!そして『精神力』ッ!お互いのスタンドの腕比べにはちょうどいいとは思わないか?」

承太郎「テメーは俺と比べることしか考えてねーのか……」

承太郎「それより、トランプタワーでいいのか?お前は……」

DIO「決まりだッ!そうと決まれば、どこか広いステージをスピードワゴン財団に用意させろ!分かったなッ承太郎!」バタバタ

承太郎「……やれやれだぜ」

ホリィ「あら?承太郎、ディオさん来てたの?」

承太郎「ああ。……おい、じじいかスピードワゴン財団に連絡してくれ」

承太郎「俺とDIOがトランプタワーのギネス記録に挑むって内容でな。テレビ局も呼ぶように伝えろ、場所は広い所ならどこでもいい」

ホリィ「承太郎が……ギネス記録?」

承太郎「アイツのプライドをへし折れば、もう押しかけてくることもねーだろうしな……」



DIO(スピードワゴン財団の協力でこの東京ドームというステージを借りることができたが、それにより発生した野次馬どもがッ!)

DIO(俺と承太郎の対決を全国区で放送するなどという話になったせいでッ!)

DIO(ヴァニラ達まで食いついてしまったんだッ!!)

DIO(クソッ……!奴らが見ている以上、この勝負は絶対に負けるわけにはいかんッ!!)

DIO「……」ピタリ

実況『DIO選手の手が突然止まったぞッ!どうしたDIO選手!?』

DIO「……YY……」

実況『?』

DIO「WRYYYYYYYYYY!!!」パパパパパパパ

実況『うおあァ!!?』

実況『DIO選手の手がものごすい速さで動いているッ!トランプタワーが!またたく間に積みあがっていくゥゥ――――ッ!!』

――次の日

承太郎「よく寝たぜ」

承太郎「……やるじゃあねーかDIO」

実況『承太郎選手の入場ですッ!昨晩のDIO選手、怒涛の勢いでトランプタワーを積み上げ、なんと!なんとギネス記録の一歩手前まで並んだところで中断してしまいましたッ!!これは承太郎選手に対する挑戦ととっていいのかッ!?』

承太郎「……」パパパパパパパ


実況『承太郎選手ものともしなあァ――――いッ!?まるでDIO選手をあざ笑うかのようにトランプを積み上げていくゥゥ~~~ッ!!!』



PM6:30

DIO「承太郎はどれほど積み上げられただろうか」

承太郎「よォ、DIO」

DIO「承太郎……?トランプタワーはどうした?まだ貴様の時間のはずだが」



DIO「バ……バカな……!?」

承太郎「今日は登場が早かったな」

実況『DIO選手が入場してきた途端に驚愕の表情を浮かべているッ!無理もありません!もう承太郎選手のトランプタワーはギネスの……一歩手前まで積み上げられておりますッ!!』

実況『わずか半日ですでに並んだッ!!しかしギネスは超えずに待機!!承太郎選手、DIO選手に対してプレッシャーをかけているのかァァ――――ッ!!!』

承太郎「テメーのトランプタワーはもう限界じゃあないのか?」

DIO「お、俺の……俺の『ザ・ワールド』は……絶対のはずだ……」フラフラ

DIO「……ハッ!」

――勝負事で大事なのは技術と絶対に動じない『精神力』なのです

DIO「これしきのことで……このDIOが動揺するわけがない……!」

DIO「最終的に勝てばいいのだ……!そして、オレは勝つ!なにがなんでも勝つッ!!」

承太郎「”マヌケが。どう考えたって『ザ・ワールド』が、このDIOが一番に決まっている”」

DIO「……!!」

承太郎「テメーのザ・ワールドは『この程度』なのか?」

承太郎「……」ニヤ

DIO「」プッツーン

DIO「『ザ・ワールド』」

DIO「時よ……止まれ」

ピキィーン

DIO「フフフフハハハ……」ダダダダ

バッ!

DIO「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーーーッ!!」バラバラ

承太郎「……てめー」

DIO「最高に「ハイ!」ってやつだアアアアハハハハハハーッ!!」

DIO「そして時は動き出す!」

実況『な、なんだァァ~~~ッ!!?突然、承太郎選手のトランプタワーが崩壊したァ!?このステージ上では風が入り込むことなどないはずだァ―――!!』

実況『このアクシデントにはたまらずDIO選手も喜びを隠せないかッ!声をあげて大笑いしておりますッ!!』

承太郎「おいDIO……てめーの部下たちはこの中継を見てるんじゃあねーのか」

DIO「過程や方法なぞ……どうでもよいのだァーッ!!」

*DIO館*


テレンス「ワールド使ってますねコレ」

ヴァニラ「……だがタワーとDIO様の距離はかなり離れている。 5秒であの位置に戻るのは身体能力やスタンドの使用を考えても難しいだろう」

テレンス「4日前、承太郎が『DIO様がこの対決で必ずイカサマを使ってくる』と連絡をよこしたんだが」

ヴァニラ「DIO様がそんなことするハズが無いだろうがこのド畜生がァーッ!!」

テレンス(……ヴァニラ・アイスだけだろうな。 この館内でイカサマをしていないと心から思っているのは……)

テレンス「ところでヴァニラ、君は何をしているのだ?」

ヴァニラ「見て分からないか。 ギネス更新のお祝いだからな、料理を作っているんだ」

テレンス「きみは専業主婦か何かか?」

ヴァニラ「ところで……ダービーはどうした」

テレンス「埋めました」

ヴァニラ「?」

承太郎「……DIO」

DIO「そんな養豚場の豚を見る目をしたところでこのDIOに精神的ダメージはないッ!」

DIO「キサマはそこで指をくわえて見てるんだな!アハハハハァ―――ッ!!」

実況『DIO選手がトランプタワーを完成させるために歩いていきます!』

DIO「この2枚だ……この2枚で俺は……勝つ!!」ソーッ

DIO「勝ったッ!第一話完!」パタ

DIO「……なっ……」

パタパタパタパタバラララララ

実況『く、崩れたァ――――ッッ!!!両者ギネス目前でタワー崩壊ッ!!この勝負引き分けだァァ――――!!』

DIO「なにィィィィッ!!?」

承太郎「……油断したなDIO」

DIO「このDIOが……このDIOが……」

承太郎「どうしてテメーは『トランプタワー』で勝負をしようなんざ思ったんだ?」

DIO「……テレンスが言ったんだ……トランプタワーに必要なのは精神力と技術、即ち『スタンドパワー』だとな……」

承太郎「なんでそうなる」

DIO「なぜだ……ラッシュで比べたらオレのほうが上だったのに……」

承太郎「……」

承太郎「トランプタワーは『精神力』と『スタンドパワー』がどーとか言ってたが……てめーの『ザ・ワールド』」

承太郎「精密動作性「B」じゃねーか」

DIO「あっ」

次の日――

DIO「ヌケサク、それはなんだ?」

ヌケサク「あッ!DIO様!おはようございますゥ~!」

DIO「質問に答えろ、それはなんだと聞いているのだ」

ヌケサク「かくし芸の練習をしているんですがァ……どうにもうまくいかないもんでして」

DIO「かくし芸……?腹踊りとか、そーいうヤツか?」

ヌケサク「それですッ!この能力を使って、腹と背中踊りの練習を……」


ヌケサク「……あれ?DIO様?」




DIO「承太郎ッ!かくし芸で対決するぞッ!」

承太郎「やれやれだぜ」


以上です。>>12で第一話完とか言ってますが第二話はぜんぜん考えてません
投下してみるとスゲェー短いっスね。もうちょい長いと思ってたんですが…。
今更ですがジョジョ三部アニメ化おめでとう!もっと三部SSが増えてくれるとうれしいな

ちょっとでも読んでくれた人、メルシーボークー(ありがとう)。

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