かな「へ?」モッサリ
みはる「はい?」タプーン
せいか「ひ」ブヨヨーン
すみよ「ほお」ズォォォォォォォォォォォォォォォォォォ
みほこ「・・・」
すみよ「・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
みほこ「・・・ごめんなさい・・・」
みはる「その日わたし達は思い知らされた・・・」
かな「言い返すようで悪いんですけど、キャプテンもその・・・」
みほこ「・・・」ドタプーン
みはる「わたし達がふくよか≪デブ≫だという事を・・・!」
~~~~~~
とよね「はろはろーみやもりのとよねだよー」
とよね「この作品は『咲』とある作品のクロスになるよー」
とよね「その作品を知らない人にも分かるようにしてるつもりだよー」
とよね「あとあとー元ネタが分かっちゃった人も黙っててくれると嬉しいなー」
とよね「最後の重大なネタバレになっちゃうよー」
とよね「みやもりのとよねからのおねがいだよー」
とよね「みやもりのとよねって言いづらいかなー」
とよね「じゃあじゃあーお化けのとよねでいいよー」
とよね「わたしって大きくておばけみたいだしー」
とよね「ぐすん」
みほこ「かな、あなたにはいもうとさんがいるのよね」
かな「いますよ。ひな、し、しろな。あと・・・なず、な」
みほこ「今どこにいるかわかる?」
かな「それは・・・」
みほこ「わたしね、ダイエットしようと思うの・・・」
せいか「ええっ!もったいないですよ。ご飯こんなにおいしいのに」
かな「うめぇ」ガツガツ
みはる「うめぇ」ガツガツ
すみよ「うめぇ」ガツガツ
俺「世界の山ちゃんうめぇ」ガツガツ
友「よー食うなー」
みほこ「おなかが膨れるとボーっとしてしまって・・・」
みほこ「なんだか大切なことまで忘れてしまいそうで恐いの」
みほこ「しかも走れなくなってしまうし・・・」
みはる「ひょっとしてあの巨人のことですか?」
せいか「大丈夫ですよ。あいつらは壁のこっち側に入ってこれません」
かな「キャプテンは心配性だナァ」
みほこ「みんなわたしの前のキャプテンって覚えてる?」
かな「?」
みはる「?」
せいか「?」
すみよ「?」
みほこ「池田ァァ!!」
かな「にゃっ!?」ビクッ
~~~
みほこ(やっぱりかなはなんとなくでもおぼえているのね・・・)
みほこ(わたしでも覚束ないことが多いのに・・・)
みほこ(もしひさが言っていたことが本当だとしたら・・・)
みほこ(かな、あなたはわたし達のほんとうの希望なのかもしれないわ・・・)ブリブリ
みほこ(そのためにはまずわたしが痩せなくちゃ・・・)ブリブリ
~~~
~~~~
かな「肝試ししよう!」
みはる「肝試し?」
かな「壁のそばで出来るだけ長くいた方が勝ち!」
みはる「でも巨人が・・・」
かな「だからこその肝試しだし!」ピュー
みはる「ああ、もう行っちゃった・・・」
みはる「ぜえぜえ」タユンタユン
かな「みはるんはだらしないナァ」
みはる「かなちゃんがはやすぎるんだよぅ」
みはる「それより巨人は?」
かな「まだ居ないみたいだし」
みはる「こんなことしてキャプテンに叱られないかな」
かな「多分大丈夫だし」
みはる「壁にピッタリ張り付いてれば巨人にも見つからないよね」
かな「おおーみはるん頭いいし!」
ズシン
ズシン
ズシン
ズシン
ズシン!
かな「言ってるそばから来たみたいだ(汗)」
みはる「恐いよかなちゃん」
かな「大丈夫。みはるんはあたしが守る!」
みはる「かなちゃぁん・・・」
かな「大丈夫・・・大丈夫・・・」
かな「ここなら死角のはず・・・」
みはる「かなちゃん・・・」ギュッ
かな「大丈夫・・・」ギュッ
ズシン!!
ズシン!!!
巨人「ニイー」
みはる「キャアアアアアアアアアアア!!」
かな「うわっ!壁の上から覗きこんできやがった!」
みはる「あわわ目があった・・・」
かな「みはるん逃げろ!」
みはる「う、うん・・・!」ユッサユッサ
かな「みはるん絶望的におしりがおっきいな」
みはる(そういうかなちゃんも大きくて美味しそうだよ・・・)タッタッタ
かな「やーいやーいここまで来てみろニヤけた巨人め!おしりペンペン!」
みはる(でもかなちゃんのはいやらしい意味じゃなくて文字通りなんだけど)タタタ
みはる(なんでだろ?)
なんだこりゃ
~~~
~~~~
かな「はぁ・・・はぁ・・・面白かったし!」
みはる「はぁ・・・はぁ・・・もうこんな遊びやめようよ・・・」
みはる「命がいくつあっても足りないよ・・・」
かな「大丈夫!あたしは巨人なんかに負けない!」
みはる「かなちゃんは大丈夫でもわたしが死んじゃうよ」
しずの「うわあ!どいて!どいて!」
みはる「あわわわ」
かな「ギニャ!」
しずの「おおっと!ギリギリセーフ!」ズザー
みはる「空から誰か降ってきた!」
しずの「空からじゃありませんよ」
しずの「この壁の向こうですよ」ニパー
かな「壁の向こう?」キラキラ
みはる「巨人から逃げてきたの?」
しずの「西と東の壁は北や南と違ってずっと低いでしょう?」
みはる「うん」
しずの「そっち側はここみたいにいろんなひとたちがいるんですよ」
かな「うわぁ伝説のとおりだ」
しずの「ここはかぜこしですよね?」
かな「そうだし」
しずの「はじめまして!あちがのしずのといいます!ずっと西の方から来ました!」
~~~
しずの「巨人あそび?」
みはる「できるだけ巨人に近づくっていう遊びなの」
かな「スリル満点だし!」
しずの「やめたほうがいいですよそれ」
かな「大丈夫だし。あいつらどうせ何にもできないし」
しずの「知ってますか?巨人がわたし達をどうするつもりなのか」
みはる「?」
かな「?」
しずの「あいつらわたし達を食べるんですよ」
みはる「」
かな「」
しずの「それに・・・」
みはる「まだあるの?」
しずの「わたし達を『生むキカイ』にするとも言われてます」
みはる「なにそれキモい」
かな「かなちゃんにいたずらするつもりでしょう!エロ同人みたいに!」
みはる「かなちゃん・・・サイズが違いすぎるよ」
今日はここまでまた明日
~~~
かな「キャプテンお客さんだし!」
しずの「こんにちわ!あちがのしずのって言います!」
みほこ「あらあらこれは珍しいわね」
みはる「しずのさんは西の壁を超えて来たんだよ」
すみよ「!」
せいか「本当に!?」
かな「ホントだし!」
みはる「なんでかなちゃんが誇らしそうなの」クスクス
すみよ「キャプテンこれは・・・」
みほこ「そうね・・・まずは話を聞きたいわ」
かな「歓迎会だ!たらふく食べるし!」
しずの「ありがとうございます!じゃ、こんだけ」
みはる「そんなちょっぴり?」
しずの「わたしが壁を超えて旅をしてるのもいろんなひとに話を聞いてもらいたいからなんですが」
しずの「この食事には毒が入っています」
かな「!」
みはる「!」
せいか「!」
みほこ「・・・」
かな「そんな・・・」
みはる「じゃあなにを食べればいいの・・・」
せいか「」
しずの「わたし達は食べないと生きていけない」
しずの「でも食べればいずれ・・・」
しずの「あ、暗くなっちゃいましたね!ごめんなさい!」
すみよ「今食べてもすぐにどうなるわけではない」
しずの「その通りです。でもできるだけ食事は控えてください」
せいか「誰がこんなことをするんですか?」
すみよ「巨人・・・」
しずの「そうです。巨人です」
かな「こんなものにまで巨人の手が入ってたなんて・・・」
しずの「・・・」
みはる「しずのさんは何か目的があるんですよね?こんなこと言いまわっているだけじゃなく・・・」
しずの「そうです!」
しずの「今は東西にしか移動していませんが・・・」
いずれ「南の壁を超えて外の世界へ行きます!」
かな「おおお・・・」
せいか「無理ですよ!特に南の壁の外は巨人がわんさかいるのに・・・」
みほこ「大局を見据えるためには大きな危険も辞さない・・・だったかしら」
しずの「さすがみほこさん!あこの言ってたとおり!」
せいか「キャプテン有名なんですねー」
しずの「わたしは必ず外の世界へ行きます!何があっても!そして皆さんを開放します!」
かな「おおおおおお・・・」キラキラ
みはる「しずのさんはあちがに友だちを残してきたんですか?」
しずの「あちがにはもう誰も居ませんよ」
みほこ「えっ」
しずの「かなさんはさっき巨人は何もできないって言ってましたが」
しずの「アイツ等簡単に壁を超えて入ってきますよ」
しずの「私の仲間もみんな巨人にさらわれました・・・」
しずの「ゆうさん・・・くろさん・・・あらたさん・・・」
しずの「あこはわたしを庇って捕まっちゃった・・・」
かな「なんか・・・浮かれちゃってゴメン・・・」
しずの「いえ!こちらこそごめんなさい!暗くなったところで何も変わらないですよね!」
みほこ「辛かったのね・・・」
みほこ「ここにいる間は全て忘れてゆっくりしなさい・・・」ギュッ
しずの「ありがとう・・・ございます・・・」グス
しずの「あこお・・・ごめんね・・・」スウスウ
みはる「寝ちゃった・・・」
みほこ「きれいな手ね・・・」ナデナデ
みほこ「この子はこのきれいな手でどんなものをさわってきたのかしら・・・?」
~~~
~~~~
みほこ「しずのさんが来てからみんな大分刺激を受けたようね」
みほこ「特にかなは目つきがずいぶん変わったわ」
みほこ「これがいい方向に向かえばいいんだけど」ブリブリ
みほこ「やはりあの伝説は本当のことなの・・・?」
みほこ「伝説の・・・自由の両手・・・!」ブリブリ
~~~
みはる「かなちゃん・・・」
かな「・・・」zzz
みはる「外の世界に行きたいの・・・?」
かな「・・・」zzz
みはる「ホントは応援しなきゃいけないと思うんだけど・・・」
かな「・・・」zzz
みはる「わたしは反対だな・・・」
かな「・・・」zzz
みはる「かなちゃんがいなくなっちゃうなんて・・・」
みはる「わたし堪えられない・・・」
かな「・・・」
~~~
~~~~
しずの「ではみなさんありがとうございました!」
かな「もっとゆっくりしていけばいいのに」
しずの「そうも言ってられません。わたしはこの狭い世界から出て行って・・・」
しずの「巨人のことをもっと調べます!」
みほこ「そうね。わたし達は知らなすぎる・・・」
すみよ「巨人のこともわたし達自身のことも・・・」
しずの「待っててくださいよ!必ず迎えに来ますから!」
かな「ああ!しずのん待ってる!」
しずの「行ってきますかなさん。わたし達の『ほんとうの希望』!」
かな「へ?」
しずの「ここは残酷でどうしようもない世界だけど・・・」
しずの「ここにいるひとたちは気持ちのいいひとばかりだ・・・!」
しずの「だから・・・諦めるわけがない!!」ドーン
しずの「うおりゃあああああああ!!」ダダダダ
せいか「速い!」
かな「なんてスピードだし!」
しずの「だああありゃあああああ!」シュバー
みはる「すごいジャンプ!」
みほこ「あっという間に東の壁を超えたわね・・・」
\
アワワワワワドイテクダサイー
ナンダヒトガフッテキタジェー
/
~~~
~~~~
~~~~~
みはる「最近キャプテンぜんぜんご飯たべないね」
かな「でもスラっとしててカッコイイし!」
みはる「なんだか暗い顔してることもあるよ」
かな「キャプテンはみんなのこと考えてるからな。いろんな悩みもあるんじゃないか?」
みはる「何か力になれることないのかなあ」
かな「ちょくちょくすみよには相談してるみたいだし」
みはる「本当?」
かな「そりゃ、ちょっとは淋しいけど、今のあたし達じゃできないことなんだよ」
かな「その時がきたらきっと一緒にキャプテンを支えよう!」
みはる「うん!」
~~~~
~~~~~
純「衣・・・見ててくれ・・・オレは必ずこの壁を超えてみせる・・・!」
智紀「純、後のことは心配しないで」
純「ああ・・・透華と一を頼む」
智紀「まかせて」
純「じゃあ・・・ちょっくら行ってくるわ・・・」ニヤリ
純(あの巨人の行動パターンを見破ったのは衣だ・・・)
純(だが衣は巨人にさらわれちまった・・・)
純(透華は心労でダウンしちまうし・・・)
純(一は透華につきっきりだ・・・)
純(オレがついてやりながらなんて不甲斐ないんだ・・・)
純(だがオレがこの世界の壁を突破して・・・)
純(衣の生きてきた意味と・・・)
純(オレ達の世界の意味ってやつを・・・)
純(探し出してやる!!)
~~~~
純(オレは今空を飛んでるのか・・・?)
純(自由の両手の伝説は本当だったんだ・・・!)
純(巨人があんなに下に・・・)
純(これでオレは・・・)
純(自由だ!)
~~~
智紀「透華・・・純は行ったわ・・・」
智紀「純なら・・・きっと・・・」
純「智紀!聞こえるか!」
智紀「純なの!?どこにいるの!?」
純「壁の外だ!オレァあいつらに、巨人に一杯食わされた!」
智紀「どういうことなの!?純!」
純「壁の外は・・・」
純「夜だ!!」
智紀「壁の外が夜・・・?どういうこと?こんなに明るいのに・・・」
純「オレも何がなんだかわからねえ!ちくしょう、よく目が見えねえ」
智紀「早く逃げて純!もし巨人が来たら・・・!」
純「もう遅いよ・・・智紀・・・もう・・・」
智紀「まさか・・・」
純「じゃあな・・・透華と一によろしくな」
智紀「純・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
友「中華とくれば青島だな」
俺「棒々鶏うめぇ」ガツガツ
友「あっこら俺の分まで食うな!」
~~~
~~~~
久「誰か!誰かいないの!?」
みはる「東の壁の向こうから声が」
かな「お前は誰だし?」
久「その声は華奈ね?お願い!美穂子を呼んできて!」
かな「?わかったし!みはるんはここで待ってるし!」
みはる「うん!」
久「急いで!」
みはる「あなたは誰ですか?かなちゃんのことを知ってるんですか?」
久「わたしは清澄の久よ。その様子じゃ覚えてないのね・・・無理もないわ」
みはる「キャプテンに何か用なんですか?」
久「ええ。といってもあなたは覚えてないかもしれないけど、純がやられたらしいわ」
みはる「じゅん?ですか」
久「龍門渕の純よ。ほら、衣なんかと一緒だった・・・」
みはる「ごめんなさい・・・覚えてません・・・その言い方だとわたしもそのじゅんってひとを知ってたんですね?」
~~~
美穂子「久?もしかして久なの?」
久「美穂子?美穂子ね?よく聞いて!」
久「純が言ってたそうなんだけど壁の向こうは夜らしいわ」
美穂子「壁の向こうは夜?」
久「たしかにそう言ったらしいの」
美穂子「どういうことかしら・・・?」
久「いい?美穂子。あまり時間がないの」
久「咲・・・覚えているわね?あの子も捕まってしまったの」
美穂子「咲さんが?」
久「咲は・・・和が捕まりそうになった時にね・・・和を庇って・・・」
美穂子「まさか和さんも」
久「和は発育が良かったからね。一番に狙われたの」
久「あの子は咲と仲が良かったから・・・半狂乱で巨人に立ち向かったわ」
まこ「久、早うしんしゃい!もう持ちこたえられんぞ!」
久「とにかく東ブロックの戦力はガタ落ちよ!あとはあなた達が頼り!」
まこ「このドグサレ巨人め!ゆーきを離さんかい!」
久「あたし達はもう終わり!後はお願いね!」
まこ「ギギギ」
久「こんなことになってゴメン!今までありがグエッ」
美穂子「久!!」
美穂子「久!」
美穂子「久ぁ・・・」
かな「・・・」
みはる「・・・」
美穂子「・・・」
美穂子「・・・う」
美穂子「うわああああああああああん!!」
かな「キャプテン・・・」
みはる「キャプテン・・・」
~~~
かな「あの久ってひとはキャプテンのしりあいだったのかな」
みはる「うん・・・口ぶりからすると私たちのことも知ってたみたい・・・」
かな「なにか・・・おかしいな・・・」
みはる「最近急にいろんなことがあったね・・・」
かな「ちょっと前までみんな幸せに暮らしてたのに・・・」
みはる「きっと何も変わってないんだよ」
かな「みはるん?」
みはる「わたし達が忘れてただけで」
みはる「きっと何も変わっていないんだ・・・」
かな「大丈夫だし!しずのんが迎えに来てくれるし!」
みはる「しずのさんはもう来ないよ・・・」
かな「えっ」
みはる「しずのさんはね」
みはる「巨人に殺されたんだって」
かな「うそ・・・」
みはる「だまっててごめんね・・・」
みはる「あの時、キャプテンをかなちゃんが迎えに言ってる時にね・・・」
みはる「久ってひとが言ってたの・・・」
みはる「あのきれいな両手を折られて・・・」
みはる「痛みで動けなくなったところで首を折られたんだって・・・」
かな「うそだ・・・」
みはる「ごめんね・・・」
かな「うそだ!!」
みはる「かなちゃん・・・」
みはる「ごめん・・・」
~~~
~~~~
美穂子「みんな集まってくれるかしら」
かな「キャプテン、どうしたんですか。こんな時間に」
せいか「ううん~眠い」
みはる「・・・」
すみよ「・・・」
美穂子「話しておきたいことがあるの」
美穂子「みんな伝説は知っているわね?」
せいか「りばいぶの伝説ですか?」
かな「そりゃ有名だし。キャプテンが毎日話してくれるし」
美穂子「わたし達が巨人と戦うならば」
美穂子「噛み付くか、体当りするかしかないわよね?」
みはる「武器も何もありませんからね」
かな「すみよならキックがすごそうだし!」
美穂子「そうね。でもわたし達にはこの両手があるのよ」
みはる「どういうことですか?」
美穂子「普段はそれ程気にするまでもないのだけれど」
美穂子「巨人と対峙した時この両手は大きな武器になるわ」
美穂子「穏乃さんは覚えているわね?」
美穂子「彼女のあのきれいな両手を思い出して」
かな「・・・」
みはる「・・・」
美穂子「なんで彼女はこの高い壁をひと飛びで超えることができたのか」
美穂子「そのことを考えながら伝説をおさらいしましょう」
とよね「はろはろーとよねだよー」
とよね「せっかくの狂言回しの役を貰ったのにあんまり出番がないよー」
とよね「くすん」
とよね「かぜこしのみんなが話し合ってるりばいぶの伝説の説明をするねー」
とよね「もうずっと昔のことだけれど世界はやっぱり壁に囲まれていたんだー」
とよね「その中でくらすのは簡単だけど」
とよね「どうしても外の世界に興味は出ちゃうよねー」
とよね「だから勇気を振り絞って外の世界に出よう、探検しようってひとたちがでたんだ」
とよね「そのひとたちは自分達を調査兵って呼んでたんだー」
とよね「外のせかいを調査するからねー」
とよね「シンボルマークは自由の両手!かっこいいよねー」
とよね「以来わたし達はりばい兵長が帰ってくるのを待ってるんだよー」
とよね「りばい兵長は必ずわたし達を助けに来てくれるんだ」
とよね「夢かなー?」
とよね「だからこの世界のひと達は自由の両手っていうものにすごく憧れているんだよー」
とよね「自由の象徴でもあるしー」
とよね「なによりりばい兵長率いる調査兵というのが救世主ぽく思えてしょうがないんだー」
とよね「長くなっちゃったねー。狂言廻し失格かなー」
美穂子「私の見立てでは近々巨人の侵攻があります」
せいか「」
かな「」
みはる「」
すみよ「・・・」
美穂子「今までは自由にしていたけど来るときに備えてこれからは食事の時間と量を制限します」
せいか「そんなあ!」
美穂子「もし何かあった場合あなたの体重では逃げるのも助けるのも不可能になってしまうの」
せいか「ううう。しかたないですね」
美穂子「本当にごめんなさい。そのかわりどんなことがあってもあなた達を助けてみせるから」
かな「・・・キャプテン・・・」
みはる「自分でばっかり背負わないでください!」
かな「そうです!あたし達も協力します!」
すみよ「うん。みんなで生きのびよう」
美穂子「ありがとう・・・わたしは良い仲間をもったわ・・・」
美穂子(不甲斐ないキャプテンでごめんなさい・・・)ウルウル
~~~
美穂子(みんな順調に体重は落ちてきてるようね・・・)
美穂子(ここまではいい具合に事を運べてる・・・)
美穂子(せいかさんが夜中にご飯を食べて純代さんにどつかれたくらいかしらね・・・)
美穂子(ごめんなさい。ここをしのげたらお腹いっぱいご飯を食べさせてあげるから・・・)ブリブリ
美穂子(なんとか今だけでも耐えて頂戴・・・)ブリブリ
~~~
かな「なんです?キャプテン、こんなところに呼び出して」
美穂子「薄暗いところでごめんなさい」
かな「クサッ何ですかここ?」
美穂子「///」
かな「?」
美穂子「その・・・わた、わたしの・・・///」
美穂子「ト、トイレ・・・///」
かな「」
美穂子「ごめんなさい・・・向こうに行きましょうか・・・///」
美穂子「変なもの見せてごめんなさい・・・」
美穂子「わたし達は何かを記録するにも方法がないでしょう?」
美穂子「だからああやってう、う、うん・・・ちを並べて///」
美穂子「日にちを数えていたの///」
かな「」
~~~
美穂子「お陰で色々なことが判ったわ」
美穂子「まず巨人は一度現れると次の日、また次の日と現れる数が増えていくの」
美穂子「それを3日続けるとその次の日は全く現れない」
美穂子「そしてまたはじめから繰り返し・・・」
かな「ちょっと待って下さいキャプテン。それってすごい発見じゃありませんか?」
かな「壁の外に出る日も巨人の居ない日を狙って選べるってことでしょう?」
美穂子「そうね。でもその巨人の居ない日は別な意味で危険だわ」
かな「別な意味?」
美穂子「壁の外に出た龍門渕の純さんっていうひとの話だと壁の外は夜だったとか・・・」
かな「壁の外は夜?」
美穂子「そう」
美穂子「いくらなんでもこの世界がずっと夜と言うのは考えにくいから」
美穂子「その日だけは本当に夜だったんでしょう」
美穂子「つまり本当に夜の時と偽りの夜があるということになるわね」
美穂子「同じように本当の昼と偽りの昼もあるのでしょう」
美穂子「そして龍門渕の衣さんというひとはとても聡明な方だったから」
美穂子「この3日と1日のサイクル、というのもおそらく気がついていたはず・・・」
美穂子「とすると純さんはこの巨人の居ない日を脱出の日に決めていたと思うわ」
美穂子「でもその日は本当の夜だった・・・」
美穂子「巨人たちがいないということは巨人たちも休んでいるのでしょう」
美穂子「暗いとわたし達も何も見えないから・・・」
美穂子「脱出のチャンスのあるのは一番巨人が多い日の巨人が最後に現れた後、ということになるわね」
美穂子「まだ明るいうち且つ巨人が現れなくなる、そのタイミングを見逃さないことが重要ね」
かな「さすがはキャプテンだ・・・もうそこまで考えていたなんて」
美穂子「そして明日はその、一番巨人が多い日よ」
かな「やるつもりですか!?」
美穂子「いえ、明日は脱出作戦はやらない」
美穂子「そもそもわたしには脱出作戦は無理だわ・・・」
かな「でもキャプテンあたしより速く走れます・・・」
美穂子「それはわたしが無理なダイエットをして痩せているからよ」
美穂子「かな。あなたなら今のわたしよりずっと速く走れるようになるはずよ」
美穂子「だから脱出は暫くおあずけ・・・」
美穂子「明日はわたしの全霊を持ってしてでも巨人のことを調べてみるわ」
美穂子「穏乃さんが来た時、二人で色々話し合ったのよ」
かな「はい」
美穂子「その時穏乃さんにもかなの事を話したわ」
かな「しずのんそういえば変なこと言ってましたね。希望がどうとか」
美穂子「かな」
かな「なんです?」
美穂子「わたしにも妹が居たのよ。いえ、いた筈と言ったほうがいいのかしら」
かな「ホントですか?初耳ですよ?」
美穂子「でもわたしはそのことを忘れてしまった・・・」
かな「・・・」
美穂子「かなとはずいぶん違うわね」
かな「そんなことは・・・」
美穂子「いえ、あなたとわたしとでは大分違うわ。あなたには純さん、いえ、りばい兵長にもない力がある」
かな「とんでもないですよ!伝説の兵長とあたしを比べるなんて」
美穂子「かな。これは誇っていいことなのよ?」
美穂子「あなたはかなり昔のことでも本能的に覚えていることができる」
美穂子「わたしでも忘れてしまうくらい昔のことを・・・」
美穂子「わたし達は皆忘れっぽいの」
美穂子「りばい兵長が戻ってきても外で知り得たことを忘れてしまっては苦労も台無しよ?」
美穂子「かな。あなたは本能的に記憶を維持できる」
美穂子「外の記憶を持ち帰ることが出来る、」
美穂子「最後の『ほんとうの希望』・・・」
美穂子「かな。力の使い方を覚えなさい」
美穂子「両手の力の使い方を」
美穂子「あなたの希望の力は壁の外に出ないと意味はないの」
美穂子「だからまずは両手の力を信じなさい」
美穂子「両手の力を支配しなさい」
美穂子「その両手の力はそれ自体であなたの活力源になる」
美穂子「その両手の力は貴女自身の存在理由でもあるの」
美穂子「自由の両手のほんとうの意味を今教えるわね」
美穂子「自由の両手・・・本当はね・・・」
美穂子「自由の翼って言うの・・・」
美穂子「かな。わたし達本当は・・・」
美穂子「飛べるのよ」
純代「キャプテン、かなは?」
美穂子「うふふ。寝ちゃった」
純代「みんな話したんですか」
美穂子「この子は心根の強い純粋な子だから」
純代「本当、罪のない寝顔ですね」
美穂子「そうね。明日は頼むわね」
純代「何があっても守りますよ。キャプテンもかなも」
美穂子「お互い不運よね」
純代「そうですね」
美穂子「わたしは摂生して鍛えても体力がない・・・」
純代「わたしは体力は問題ないけれど摂生しても重すぎる・・・」
美穂子「お互い悔いの無いようサポートに努めましょう」
純代「はい」
~~~
~~~~
~~~~~
未春「その日私達は思い知らされた」
未春「壁に囚われている屈辱」
未春「壁に囚われている恐怖」
未春「壁に囚われている絶望を」
~~~~~
~~~~
~~~
せいか「なんですかこの音」
かな「地震か?」
みはる「恐いよ・・・」
純代「キャプテン!」
美穂子「いけない!みんな壁から離れて!バラバラになって!」
美穂子(まさか巨人達がこんな手を使ってくるなんて・・・)
美穂子(久も穏乃さんもこの事を言わなかったのは悪戯に私達を怖がらせないためだったのね)
純代「壁が・・・」
純代「開いていきます!」
かな「チャンスじゃないか?」
かな「今だったら楽に壁の外に出られるんじゃ」
美穂子「ダメよ!外に出てはダメ!おそらく外は巨人でいっぱいのはず!」
みはる「ええっ!」
せいか「いやだ・・・いやだ・・・」
美穂子「走り回りなさい!一箇所に留まっちゃ駄目!できるだけ動きまわって!」
純代「キャプテン!」
美穂子「あなたはかなのサポートに回って!」
純代「分かりました!」
みはる「ああ・・・」
せいか「巨人たちが・・・」
かな「入ってくる・・・!」
巨人「ニマニマ」
巨人「アー」
巨人「ムー」
美穂子「三体も・・・!」
美穂子「いずれ巨人が入ってくるとは想定していたけど!」
せいか「いやあああ!来ないでー!」
みはる「かなちゃん!」
かな「みはるん!そっちに思い切り走れ!」
純代「よし!ダイエットが効いてる!」
美穂子「逃げちゃ駄目よ美穂子!ここでできるだけ巨人のことを分析する!」カイガン
美穂子(ただ闇雲に追いかけまわしているだけではない?)
美穂子(なにかこう・・・見定めしているようだわ・・・)
美穂子(その基準は・・・一体ギョエッ)
かな「ああっ!キャプテン!」
純代「かなはそのまま走れ!私が行く!」
みはる「キャプテンが・・・」
せいか「捕まっちゃった・・・」
純代「このぉ!」ドシン
巨人「アー?」グイッ
純代「ギャン」
かな「チクショー!!」
未春「駄目!!」ドカッ
かな「痛っ」
未春「逃げてかなちゃん!」
未春「こっちだ!この巨人め!」
未春「ここまで来てみろ!」
かな「みはるん!」
星夏「かな先輩逃げてください!」
かな「せいかまで・・・」
未春「ここは私達で時間を稼ぐから!」
星夏「壁の外へ!」
未春「逃げて!」
星夏「ドフッ」
未春「ゲェッ」
美穂子「かな。力の使い方を覚えなさい」
美穂子「両手の力の使い方を」
美穂子「両手の力を信じなさい」
かな「ドチクショー!!」
美穂子「両手の力を支配しなさい」
かな「うおおおおおおおおお!!」
美穂子「その両手の力は貴女自身の存在理由でもあるの」
美穂子「自由の両手のほんとうの意味を今教えるわね」
華菜「あああああああああああ」
美穂子「自由の両手・・・本当はね・・・」
美穂子「自由の翼って言うの・・・」
美穂子「かな。わたし達本当は・・・」
美穂子「飛べるのよ」
ばさっ
その時華菜の両手は風を掴んだ
掴んだ風は大地に叩き付けられ
華菜の体重をいとも軽く持ち上げた
華菜はそのまま巨人たちの上空を旋回し
仲間達の無残な最期を見届けてから
南の大空へ旅立った
華菜の目には遥か遠くの夕日に照らされた山々が見えた
その山々も今まで目にしたものではなかったが
壁の中に比べれば
安寧の生活が保証されているように思えた
華菜は目指した
緑の大地
青い風
冷たい水
暖かい太陽
自由な日々
華菜は確信した
仲間達の犠牲は決して無駄ではなかったことを
華菜が戻ってくる頃には
また新しい仲間達が
華菜を迎えてくれるだろう
華菜は確信した
仲間達の犠牲は決して無駄ではなかったことを
華菜が戻ってくる頃には
また新しい仲間達が
華菜を迎えてくれるだろう
華菜が再び目指すべき山々に目を移した時
華菜は鶏舎のガラス窓に激突にして首を折って死んだ
はろはろー お化けのとよねだよー
お察しの通りもうわたしは死んでるんだー
かなさんは空を飛んでいったけど
私達の筋力じゃ長時間飛ぶのは無理かなー
くるみやさえ、しろは捕まって「生むキカイ」にされちゃったよー
ちなみにエイスリンさんははじめからみやもりにはいなかったよー
いちおうみなさんの名誉のために言っておくとー
食事には毒は入っていないんだー
ただわたし達にはちょっと栄養過多かなー
すぐ太ってしまったりー病気になってしまうひとも多いんだー
わたし達をあなた達は食べる
おいしいですか?
巨人さん?
俺「ケンタうめぇ」ガツガツ
友「それ、にわとりじゃないんだぜ」
俺「えっ」
あ、すいません。終わりです
チクショー最後の最後で二重投稿しちまった
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