雪乃「・・・・・・」つ合鍵 八幡「は?」 (49)
由比ヶ浜が休みの奉仕部、活動といっても二人とも本を読むだけではあるのだが。
おもむろに雪ノ下が合鍵なるものを手渡してきた。
雪乃「私の部屋の合鍵よ、いつでも来てちょうだい」チャリン
八幡「え?え?」
雪乃「待っているわ」クルッスタスタ
八幡「???????」
これはあれか、罠だな。金に困ったとは考えにくい、だとするなら俺を社会的に抹殺しちゃおう☆って寸法か。
なるほど国語三位なだけあって数字を絡めなければあの言葉だけでそこまで見抜けるわけだ。自分の読む力が恐ろしいぜ!
八幡「つか俺が戸締まりすんのかよ」
甘いな雪ノ下よ、お前の考えなんぞまるっとお見通しだ。誰が行くかよそんな地獄に。戸締まりをして帰ることにする。
八幡「たでーまー」
小町「お帰りーお兄ちゃん」
八幡「おー」カチャン!
小町「お兄ちゃん鍵落としたよ?ってあれ?家の鍵と違う?」
八幡「あーそれか捨てといてくれ」
小町「自首しよっか、お兄ちゃん」
八幡「なんでだよ!?」
小町「いやいや、小町もよく知らないけどこのタイプの鍵ってピッキングとか出来ないやつだし、空き巣に入るために誰かから盗んできたんじゃないの?」
八幡「空き巣なんかするか!・・・雪ノ下のやつに渡されたんだよ」
小町「!?」
八幡「今日部活中によ、いきなり『私の部屋の合鍵よ、いつでも来てちょうだい。』っつって」
小町「ほうほう・・・」
八幡「ま、俺を抹殺するための罠だろうから捨てといて欲しいんだわ」
小町「お兄ちゃん鈍過ぎ!!」
八幡「何が?」
小町「これは雪乃さんが・・・」
八幡「?」ホゲー
小町「あー、もういいよ、小町が処理しとくから着替えてきて」シッシッ
八幡「おー分かった」スタスタ
小町「雪乃さんも大胆だなぁ、これは小町が一肌脱がねばならないですなぁ」ニヤニヤ
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小町「お邪魔しまーす」
雪乃「待ってたわ、比企谷・・・小町さん?」
小町「おー、雪乃さんエロエロじゃないですか!」ニヤニヤ
雪乃「/////」
雪乃さんはバスタオル一枚だけでソファーに座っていた。
雪乃「あの、彼は?///」
照れながらもお兄ちゃんを気にするあたり、お兄ちゃんも罪な男だなぁ。
小町「お兄ちゃんはいませんよ?」
雪乃「そう・・・」シュン
雪乃さん可愛すぎますよ!お兄ちゃんも瞬殺もんですわこれ!
小町「捻デレのごみぃちゃんは、雪乃さんのお誘いを『罠だー!』って言って鍵を小町に捨てさせようとしてたんですよ」
雪乃「・・・」
あ、雪乃さん怒ってる。
小町「小町がここに来たのは事実確認ともう一つありまして」
雪乃「!」
お兄ちゃんの前でもそう言う風に感情表現豊かなら簡単にオチると思うんだけどなぁ。
小町「聞きたいですか?」ニヤニヤ
さて、鍵は小町に捨てさせたし明日雪ノ下と顔を合わせても無くしたとか適当に誤魔化して八幡抹殺計画は御破算だな。確かあの種類の鍵って複製できないらしいし。
我ながら完璧、パーフェクト、エレガント三拍子揃えた作戦だな。おいそこ、完璧とパーフェクトの意味が被ってるとか言うな。
小町「ただいまー!」
お、愛しの妹が帰ってきたみたいだ。小町可愛いよ小町、小町だけだよ俺を破滅させようとしないのは。
小町「お兄ちゃーん」
ノックくらいしてくれよ
八幡「ん?どした小町、お帰り」
小町「ただいまー、ねえお兄ちゃん?小町に感謝してよね!」
藪からスティックになんのトークをしてんだこのシスターは
八幡「どういうこった?」
小町「教えてあげないよ、じゃん!」
などと、訳の分からない供述をしており・・・
いや、マジで何がなんやら分からん感謝?いつもしてるしな。
あれか?Vシネマよろしく誠意は形にせなわかりまへんで
みたいな?なにそれこわい部屋から小町が出ていった以上、多感な年頃の家族を労るネタを考えるはめになってしまった。
────────力が欲しいか?────────
────────いえ、これ以上孤立したくないので結構です────────
────────あ、そう────────
────────お疲れ様です、わざわざ俺みたいなぼっちのとこにまで来ていただいてすみませんね────────
────────あ、いえいえこちらこそ差し出がましい真似をして申し訳ない。お詫びをしておきますんで────────
────────お詫び?────────
────────目が覚めたら分かりますよ────────
────────え、ちょっと────────
雪乃「おはよう、比企谷君」
八幡「・・・」
雪乃「まだ寝惚けているようね、しゃんとしなさい、ひどい寝癖よ?」ワシャワシャ
八幡「うわあああああああああああああああああ!?」
小町「お兄ちゃーん朝からうるさいよ!」
八幡「ゆ、ゆゆゆゆゆ雪ノ下が・・・あ、朝!?俺の布団で・・・なんで・・・」
雪乃「何故と言われても、小町さんから鍵をもらったからなのだけれど?」チャリッ
間違いなく比企谷家の鍵だった、小町めどういうつもりだ?
雪乃「よだれを拭きなさい、歯を磨きなさい。朝御飯は出来ているわ」ゴシゴシ
母ちゃんかこいつは!?朝のはよからなんで小町以外の女に世話焼かれてんだ!?俺の青春はこんなハズじゃなかった!
小町「雪乃さーん!あとは小町が用意しとくんでお兄ちゃんはお願いしますね!」
雪乃「任せてちょうだい、夜までには決着はつくわ」
八幡「・・・なあ」
雪乃「なにかしら?」
八幡「俺がそんなに憎いのか?」
雪乃「憎い?」
八幡「寝込みを襲ってくるわ、小町から鍵をぶんどるわ、極めつけは決着をつけるってなると、もはや命を狙われてるとしか考えられんぞ」
この男は何を言っているのかしら?この私がこんなにも尽くしてあげているというのにまだ気付かないなんて。少しお灸を据えましょう。
雪乃「ねえ比企谷君」
八幡「んだよ、大人しく殺されたりしないぞ!?」
雪乃「ふふふ・・・」
八幡「まだ何か隠し玉があるってのか!?」
雪乃「そうかもしれないわね」
八幡「ぐっ・・・」
口から出任せなのだけれど、あなたには甘い思いよりも先に怖い思いをしてもらおうかしら。
雪乃「・・・」ズイッ
八幡「く、来るな!」
雪乃「あと数歩であなたに触れてしまうわよ?」クスクス
八幡「や、やめろ!謝るから!何か俺が悪いんだろ!?だったら出来る限りの償いはする!許してくれ!」
あら、言質が取れたわ、嬉しい誤算ね。これであなたも私に振り向いてくれると良いのだけれど。
雪乃「出来る限り?具体的には?」
八幡「そりゃあ・・・大金とかは無理だし死にたくないし・・・それ以外なら」
雪乃「契約成立ね」ニコッ
八幡「何か取り返しのつかないことをした気がする・・・」
雪乃「何かいったかしら?」
八幡「いえなにも」
それでいいのよ、比企谷君?
ふふふふふふふふふふ・・・・・・・・・
八幡「・・・」キコキコ
雪乃「ふふふ・・・」
無心でペダルを漕ぐ、雪ノ下を乗せてただただひたすらに。
このまま風になりたい、得体の知れない策に嵌まって、雪ノ下の命令を『出来る限り』聞く事になった俺は、雪ノ下の最初の命令である学校への送迎を余儀なくされている。
下手に喋ると雪ノ下の機嫌を損ねかねない、であれば無言で、無心で命令をこなすに限る。
俺は機械俺は機械俺は機械・・・
雪乃「ねえ比企谷君?退屈だから何か話してちょうだい」
八幡「・・・」
ぼっちに無茶ぶりすんな!
雪乃「つい数十分前、あなたは何て言ったかしら?」
八幡「出来る限りの償いはすると言いました・・・」
雪乃「出来る範疇だと思うのだけれど、何故しないのかしら?」
八幡「ぼっちだから、話題なんざないです」
雪乃「私は別に『楽しい』話題を求めていないわ、何でも良いから話をして欲しいの」
八幡「・・・お題は時蕎麦」
雪乃「落語じゃない・・・」
八幡「え?ダメ?」
雪乃「言い方を変えるわ、私とあなたの『会話』を成立させなさい」
八幡「じゃあ、最近どこ行った?」
雪乃「そうね・・・パンさんの映画を観に行ったくらいかしら」
八幡「そうか」
雪乃「ええ、そうよ」
八幡雪乃「・・・」
え?これで私と比企谷君の会話は終わり?そうはさせないわ
雪乃「比企谷君はどこかへ行ったのかしら?」
八幡「どこも、小町とサイゼに行ったくらいじゃね?」
ファミレス・・・良いことを思い付いたわ。
雪乃「比企谷君」
八幡「今度は何だ?」
雪乃「今日の放課後の部活は休みよ」
八幡「マジで!?よっしゃ!」
雪乃「代わりに付き合ってもらうわよ」
八幡「・・・」
あら、照れているのかしら?可愛いところもあるわね。放課後を楽しみにしてなさい、比企谷君。
放課後、雪ノ下を乗せてファミレスへと向かう。
雪乃「♪」
八幡「?」
こいつはなんだってこんなにうきうきウオッチングしてんだ?こちとら貴重な放課後を潰されてブルーなのによ。
行き先がサイゼじゃなけりゃ最悪逃げてたぞ?
雪乃「見えてきたわね」
八幡「おー」
とりあえず調子を合わせとくか、ドリアもいいけどピザとか悪くないな。ドリンクバーと足して・・・二人で、三千円もあれば無問題なのがより良い。
二人と店員に告げると禁煙席に問答無用で案内された。制服姿だし当たり前だよなあ?
ピザを注文したかったが、やはりドリアは外せないのでドリアとハンバーグを雪ノ下の分も合わせて注文をする。小町に飯は食って帰ることを伝えてあるので帰っても小言はなしだろう。
雪乃「やはり慣れないわね」
八幡「ま、ソムリエとか抱えてそうなレストランしか行かなそうだもんなお前」
雪乃「間違ってはいないのだけれど、こういうお店を馬鹿にするつもりはないのよ?」
ブルジョワめ、金持ちの酔狂なんぞに俺を巻き込みおって。
八幡「っと、ドリンクバー行くわ、お前は何がいい?」
雪乃「私も行くわ」
八幡「あっそ」
雪乃「・・・」
むすっとした表情で、雪ノ下が俺の後に続く。
俺はコーラ、雪ノ下は紅茶を入れていた。
席に戻る。
雪乃「待つ時間というのも楽しいわね」
八幡「そうか?」
よくわからんが、そういうやつもいるんだろう。
雪乃「食事を済ませたらもう少し付き合ってもらうわよ」
八幡「えー」
勘弁してくれよ、ブッ殺されたくないから付き合うけど。
雪乃「たまにはいいじゃない」
か、可愛いのが逆にムカつくなオイ
結衣「あれ?ゆきのん?ヒッキーも!」
助かるかもしれない!でかした由比ヶ浜!
結衣「まさかゆきのんとヒッキーと会えるなんてねー」
雪乃「偶然よね」
結衣「ねー!」
蚊帳の外といった具合で女二人で盛り上がっている。一つ文句があるとすれば、由比ヶ浜よ、何で俺の隣に座ってるんだよ。ドリンクバー行きづらいじゃねえか。雪ノ下の隣、空いてますよ?
結衣「でもさーゆきのん?」
雪乃「なにかしら?」
結衣「部活休んでどうしたの?」
そういやそうだよな、今までそんなことなかったのにな
雪乃「気まぐれよ、依頼もそうそうこないから気分転換よ」
結衣「じゃあさ、朝ヒッキーと二人乗りしてたのって何で?今こうしてヒッキーとサイゼにいたのって何で?」
がらりと雰囲気が変わった気がする、何かこう、マズイ方向に。
八幡「・・・」
喋ると面倒そうだから黙って様子を見ることにする
雪乃「朝は小町さんの頼みで彼を起こしに行っていたの、ついでに登校をしていただけよ、その時に世間話でサイゼリアの話題になって行きたくなったの」
結衣「ふーん、サイゼ行きたくて部活休みにしちゃうんだねー」
今日の由比ヶ浜はなんか妙な迫力があるな、つか雪ノ下に脅された時にも感じたが。近くにいると怖い。
雪乃「部長権限よ、それに、ちょくちょく休んでいるあなたに言われる筋合いはないわ」
あれれー?おかしいぞー?こいつら仲良しこよし立ったはずなのに犬と猿くらい仲悪くね?
八幡「ま、まあせっかく会ったんだし飯食おうぜ」
葉山よ、今だけはリア充のお前に同情するぜ、こんな修羅場も潜るんだからな。この場合の原因は不明だが。
結衣雪乃「・・・」
程なくして運ばれてきた料理を三人とも無言で平らげた
このSSまとめへのコメント
ちょっと!
期待するしかないじゃないですかッ!
更新ガンバ
ほんと続き待ち遠しいです‼︎
執筆頑張ってください!
続きいつぐらいになります?
なんでタグに完結って入ってんのに終わってないんだよ糞かよ