モバP「パラドックス」 (47)



「パ」から始まるゆる~いシリーズです。ここからでもどうぞ。

前回 モバP「パンデミック」



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―アイドル寮・凛の部屋―



ハナコ「キュ~ン…」ブルブル

凛「どうしたのハナコ?具合悪いの?」ナデナデ

ハナコ「ク~ン…」ウルウル

凛「そ、そんな目で見ないでよ。明日家に帰してあげるから……」オロオロ






渋谷凛(15)
http://i.imgur.com/IbgFCIC.jpg






 コンコン



凛「ん?誰だろう?」スタスタ

凛「はい」ガチャ

まゆ「こんにちはぁ」ニッコリ

凛「まゆ?どうしたの?」キョトン






まゆ「実家からお菓子が送られて来たのでおすそ分けです。一緒に食べませんかぁ?」サッ

凛「え?いいけど今ハナコいるよ。まゆって犬大丈夫?」

まゆ「大丈夫ですよぉ。優さんのアッキーともよく遊んでいますし。お邪魔します」






佐久間まゆ(16)
http://i.imgur.com/68z8WLQ.jpg





―――



ハナコ「キャン! キャン! 」ハッハッハッ!!

まゆ「あらあら元気ですねえ。よ~しよしよし♪」ナデナデ

ハナコ「キュ~ン! キュ~ン! 」ペロペロ!!

まゆ「うふふ、くすぐったいですよぉ♪」



凛「……」ゴゴゴゴゴ…



ハナコ「 !? 」ビクッ!!






ハナコ「キャンキャン!! 」ダダダダダッ!! ←カゴに逃げ込む

まゆ「あらぁ?急にどうしちゃったんでしょう?」

凛「さぁね。はいお茶」コトン

まゆ「ありがとうございます。いただきます」ニッコリ



凛「私もいただきます。これ和菓子なの?洋菓子なの?」

まゆ「名前は和菓子ですが、カスタードクリームが入ったケーキみたいなものですから
   洋菓子ですかねえ。紅茶でも緑茶でも合いますけど」

凛「ほんとだ。コーヒーでもよかったかな」

まゆ「ちなみにコーヒーの種類は何ですかぁ?」

凛「え?ちょっと待って、ラベル見て来るから」スクッ

凛「ええと、ブルーマウンテンだね」



まゆ「うふふ、凛さんは徹底してますねえ」

凛「たまたまだよ。プロデューサーがいつも買ってるのを真似して選んだだけだし」

まゆ「……」

凛「あっ……」




まゆ「……うふ、そういえばそうでしたねえ。Pさんはブルマンがお好きでした」フフ

凛(え?スルー?)

まゆ「どうかしましたか?せっかく淹れたお茶が冷めちゃいますよ」

凛「う、うん、いただきます……」パク






―――



凛「……」チラ

まゆ「……」ズズ…

凛「……ねぇ、まゆ」

まゆ「なんですかぁ?」






凛「今日はどうしたの?お菓子くれたことなんて今まで一度もなかったじゃん」オソルオソル

まゆ「もしかしてご迷惑でしたかぁ?」

凛「いや、そんなことはないんだけどさ。なんかいつもと違うというか……」

まゆ「そうですねえ。まゆもどうしてこんなことをしたのかよくわからないんです。
   なんとなくそうしたかったというか、おかしいですねえ……」ウ~ン





凛「大丈夫?熱でもあるの?」

まゆ「凛さんこそ、どうして寮にハナコさんを連れて来たんですかぁ?凛さんは今まで
   一度もそんなことはしなかったはずですが」ジロリ

凛「え?そ、それは何となく落ち着かないからっていうか……」アセアセ





まゆ「うふふ、いよいよ明日ですものねえ。奈緒さんと加蓮さんのデビュー」クスクス

凛「……もしかしてそれでお菓子持って来てくれたの?私が2人の事を心配している
  だろうから、様子を見に来てくれたとか?」

まゆ「いえ、そんなつもりはありません。白状するとまゆも落ち着かないんですよぉ。
   まゆは裕子さんのことが心配で……」

凛「ああ、裕子ね。そういえば私達温泉の仕事で裕子と一緒だったよね」





まゆ「あの時は大変でしたねえ。まゆがPさんの部屋の個室風呂に入ろうとしたら、
   部屋を間違えた裕子さんが先に入っていてのぼせていたり……」ハア…

凛「それで礼子さんが暗証番号8ケタの電子キー付きの部屋にプロデューサーを移動
  させたのに、夜中に寝ぼけた裕子が一瞬で番号を解いてプロデューサーの布団に
  潜り込んだり。あの時礼子さんプロデューサーが裕子を部屋に引き込んだんじゃ
  ないかって激怒して大変だったよね……」ハア…

まゆ「まゆはあの夜礼子さんと同室にされて身動き出来ませんでしたから、凛さんが
   Pさんの無実を証言してくれて助かりましたよぉ。もし凛さんがいなかったら、
   Pさんはちひろさんと早苗さんにどんな目に遭わされていたか……」

凛「私もプロデューサーの部屋に入れなくて困ってたからね。裕子は変な所でエスパー
  だから何をするかハラハラするよ。普段はスプーンひとつ曲げられないのに」





まゆ「……」

凛「……」

まゆ「……どうしてくれるんですか。凛さんが裕子さんの話をするから不安になって
   きたじゃないですかぁ……」ソワソワ

凛「知らないよそんなの。私も裕子のことは考えないようにしてたのに、まゆのせいで
  不安になってきたじゃん。こっちは奈緒と加蓮もいるのに……」ソワソワ







***



凛「そもそもどうして私の所に来たの?裕子のことが心配だったら、同じ温泉の仕事を
  したフレデリカさんとか清美の所に行けばいいんじゃないの?」

まゆ「フレデリカさんは適当ですし、清美さんは相談する前に普段のまゆのPさんの
   接し方について説教してきますからねえ。礼子さんと洋子さんは寮じゃなくて
   マンションですし、消去法で凛さんに」

凛「さらっとひどいね。まぁわからなくもないけど。こんな言い方をしたら悪いけど、
  まゆはそういうことは全然気にならないと思ってたよ。いつもプロデューサーが
  一番で、それ以外の人間はどうでもいいみたいな感じだし」

まゆ「凛さんもはっきり言いますねえ。最近裕子さんと一緒にいることが多かったので、
   まゆのサイキックの悪影響を受けたのかもしれません」






凛「そういえばこの前、加蓮と裕子とまゆがファストフード店にいるのを見たよ。最近
  3人でよく一緒にいるみたいだね」

まゆ「そうだったんですか?凛さんも来てくれればよかったのに」

凛「私は仕事の移動中だったから。全然タイプの違う3人に見えるんだけど、いつも
  どんな話とかしてるの?」

まゆ「うふふ、加蓮さんのことが気になりますかぁ?」ニヤニヤ

凛「別に。ただ奈緒がいじけるんじゃないかなって思って」プイ





まゆ「奈緒さんがいじけるんですかぁ。それはよくないですねえ」

凛「うん。奈緒は寂しがり屋だからね。いつもトライアドで加蓮と一緒だったし、
  奈緒も加蓮のことが気になってると思うんだ」

まゆ「加蓮さんが言ってましたけど、奈緒さんは紗枝さんと輝子さんと楽しんでいる
   みたいですよ。2人が自分より小さいのが嬉しいとか」クス

凛「……そうなんだ。奈緒も加蓮も結構元気でやってるんだね」シュン…

まゆ「…………」





まゆ「はぁ、まったくあなたって人は……」ヤレヤレ

凛「なに?言いたい事があるならハッキリ言ったら?」ギロリ

まゆ「加蓮さんが言ってましたけど、最近凛さんは加蓮さんと奈緒さんを避けている
   みたいですねえ。凛さんは元々ニュージェネも兼任していてお忙しいですが、
   メールも全然返さないそうじゃないですか」ジロリ

凛「私がどうしようとまゆには関係ないでしょ。何か文句あるの?」





まゆ「いえ、ありませんよぉ。凛さんのことですから2人のことが心配で気になって
   構いすぎてしまいそうで、かえって2人の邪魔にならないように距離を置いて
   いるのでしょう?加蓮さんと奈緒さんもそれはよくわかってますよ」

凛「……」

まゆ「ですが凛さんが無理をされているんじゃないかって、2人は心配されてましたよ。
   2人だけじゃありません。卯月さんもそう言ってました。凛さんが寂しがり屋で
   強がりで不器用なのは、みなさんよくわかっていますから」ニッコリ





凛「……」

凛「……」ポロポロポロポロ

まゆ「あらあら、ハンカチ使いますかぁ?」サッ

凛「うっ、ううぅ……」ヒック、ヒック

まゆ「大きいのにまだまだお子様ですねえ。そんなに泣かれたらまゆもお姉さんとして
   ほっとけないじゃないですか。よしよし」ナデナデ






***



まゆ(それから少しして、泣きやんだ凛さんはハナコさんを実家に帰しに行きました。
   凛さんはハナコさんに迷惑かけてごめんねと謝っていました)

まゆ(凛さんはトライアドプリムスのリーダーとして、今まで奈緒さんと加蓮さんを
   引っ張ってきました。デビューが全員ほぼ同時で明確なリーダーがいなかった
   ニュージェネレーションと違い、凛さんが2人を心配するのも仕方ありません)

まゆ(ですが奈緒さんも加蓮さんもしっかりアイドルとして成長して、もう凛さんが
   引っ張らなくてもやっていけます。凛さんもそれはわかっていたはずですが、
   心のどこかで2人にそのままでいて欲しい気持ちもあったのでしょうねえ)






まゆ「2人のデビューを喜びたい気持ちと、いつまでも3人で一緒に活動したい気持ちが
   混ざり、それで2人を困らせないように自分から距離を置こうとするなんて可愛い
   ところがありますねえ。そうしてPさんも譲って戴けると嬉しいのですが」クス

まゆ「…………」

まゆ「どうしてまゆは凛さんを助けるようなことをしたのでしょうか?凛さんは恋敵
   なのに、加蓮さんから凛さんのことを聞いて放っておけなくなってしまったと
   いいますか。裕子さんの話がしたかったのも本当ですが……」ブツブツ






まゆ「まゆも色々と矛盾してますねえ。つい最近までPさんのことだけを考えていた
   はずなのに、気が付けばPさん以外の人達も気にかけるようになっていました。
   まゆは一体どうしちゃったんでしょうねえ……?」ウ~ン…



まゆ「考えても仕方がありません。ここは初心に帰ってPさんに会いに行きましょう。
   そろそろミーティングも終わる時間でしょうし」スタスタ








―会議室・第6弾CDメンバーミーティングにて―



P「ちょ、裕子離れろって!あたってる!胸が直にあたってるから!」グイグイ!!

裕子(上半身裸)「今プロデューサーから離れたら丸見えになります!裸を見られる
   くらいならこうして抱きついていた方が……!」ギュウウウウ…

奈緒「落ち着けって裕子!抱きついても何の解決にもなんねえから!」

紗枝「おすもうさんみたいどすなあ」

輝子「フヒ、変態エスパー……」

裕子「うわーん!もうお嫁にいけませーん!」ギュウウウウ…

P「いいから離れろって!普通は見られるより触られる方が嫌じゃないのか!? 」








 ギャーギャー ワイワイ



加蓮「バカじゃないの?さっさと裕子にマント羽織らせるなりPさんを目隠しするなり
   すればいいじゃん。こんな所もし凛かまゆに見られたら……」

まゆ「…………」ゴゴゴゴゴ…

加蓮「……いたの、まゆ」

まゆ「どういうことですかあ加蓮さん。説明してくれませんかねえ……?」ゴゴゴゴゴ…







堀裕子(16)
http://i.imgur.com/XsfwniO.jpg

神谷奈緒(17)
http://i.imgur.com/tpx3cVx.jpg

小早川紗枝(15)
http://i.imgur.com/iYDjEyT.jpg

星輝子(15)
http://i.imgur.com/BAJXxae.jpg

北条加蓮(16)
http://i.imgur.com/Ffb9kzn.jpg








~回想・5分前~



P『よし!明日のデビューイベントのスケジュールはこんなところだ!みんな他に何か
  質問とか気になる所とかあるか?』

裕子(衣装)『はいプロデューサー!イベント用の衣装がキツいです!』サッ

奈緒(ジャージ)『なんでもう既に着替えてんだよ…… 本番は明日だぞ?』ハア…

加蓮『奈緒のジャージ姿もどうかと思うけど。もっとマシな部屋着ないの?』ハア…




P『あれ?おかしいな?サイズはピッタリ合ってるはずだけど』

輝子『ユッコ、最近夜中にこっそりお菓子食べてる……』ボソッ

裕子『ぎくっ!? 』

紗枝『それはあきまへんなあ。さいきっくめたぼりっくどすかあ?』

裕子『そ、そこまで増えてませんよ!ちょっとウエストがキツイというか……』





P『おいおい、成長期もあるから多少は仕方ないけど、ある程度はコントロールしろよ。
  裕子の衣装は体にピッタリ合わせて作られてるから、スタイルが少しでも変わると
  キツくなるだろ。どこか緩めることは出来ないか?』マジマジ

裕子『うぅ、すみません。背中の留め具を少しずらしてもらえるとなんとか……』

奈緒『マント預かるよ。しっかし露出の高い衣装だな。あたしには無理だわ……』

加蓮『あんたちょっとヤバいんじゃないの?締め付けキツいと具合悪くなるよ』







 バチンバチン!! ←背中の留め具が外れる音



裕子『』ポロリ

P『』

裕子『ぎゃ―――――ッ!! 』ダキツキ!!

P『うおっ!? ちょ、待て裕子!俺に抱きついてどうする!? 』ギョッ!!







~~~



加蓮「……というワケなの。いつもの裕子のサイキックが炸裂したってことで」

まゆ「明日の本番中じゃなかっただけまだマシですねえ。一応様子を見に来て良かった
   ですよぉ」チクチク… ←ユッコの衣装修復中

裕子「ちょ、ちょっとまゆちゃん、このままの姿勢で直されるのは……」ビクビク

まゆ「少しでも動いたら背中に針が刺さりますよ。出来るだけ息も止めてください。
   完全に止めろとは言ってませんよ。出来るだけですからね?」ギロリ

裕子「さ、さいきっくアイスマン……」カチーン






P「すまんなまゆ、面倒をかけてしまって……」

まゆ「いえ、別に構いませんよお。そのかわり、今日ここで起きた事は完全に忘れて
   ください。Pさんは半裸の裕子さんに抱きつかれてませんし、何も見てないし
   何も触っていません。まゆも忘れますからいいですね?」ニッコリ

P「あ、ああもちろんだ。みんなもこのことは他言無用だぞ?」

奈緒「ていうかこんな事言えるかよ。間違いなく捕まるぜPさん」

紗枝「裕子はんのためやしなあ。うちも何も知らんかったことにしときます」

輝子「もし早苗さんに見られたら、親友コロされる…… フヒ」





まゆ「ああ、それから加蓮さん。凛さんですがもう大丈夫だと思いますよぉ」チクチク

加蓮「ん?凛と何か話でもしたの?」ピク

まゆ「ええ。先ほど偶然会いましたので。相変わらず可愛げのない人ですねえ」チクチク

加蓮「わかってないねまゆは。凛はそういうところが可愛いんだよ」ニヤリ





まゆ「まゆはわからなくてもいいです。少ししおらしいところを見せたかと思えば急に
   ふてぶてしくなりますし。凛さんはまだまだお子様ですねえ」チクチク

加蓮「まぁね。凛の相手してくれてありがと。きっとあの子も感謝してるよ」クス

まゆ「礼なんていりません。今回は特別ですからね」フン



おわり







 ここまで。デビュー前に一本かけて良かった。まゆの持って来たお菓子はクイズと
いうことで。宮城では笹かまぼこと同じくらい有名なあのお土産です。
 凛はもっと強い子だと思いますけど、こういう一面があってもいいんじゃないかと。
まゆもユッコのサイキック毒電波を受けて凛にちょっと優しくなっています。2人の
キャットファイトはまた別の機会に。では


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