訓練宿舎、女子寮裏――――――――


エレン「………真夜中にこんなとこに呼び出しやがって………何の用だよ」



エレン「サシャ！」


サシャ「………ふっふっふ」


サシャ「よくぞ聞いてくれました！」

サシャ「エレンには普段からお世話になってますからね…」

エレン「？」

サシャ「パンを頂いたり」

エレン「お前が奪ってんだよ」

サシャ「一緒に食糧庫に行ったり」

エレン「お前に連れてかれたんだよ。しかも見つかって営倉行き」


サシャ「………えーっと…」


サシャ「………とにかく！お世話になってます！」


エレン「…」

サシャ「そこでですね………」

サシャ「……私、エレンに普段のお礼を、と……」





エレン「おやすみ」ｽﾀｽﾀ

サシャ「ちょちょちょちょちょ!! ちょっと待ってくださいよ！」ｶﾞｼｯ

エレン（絶対ロクなことじゃねぇもん）



サシャ「と、いうわけで！私、サシャ・ブラウスから、エレン・イェーガーに、お礼をお贈りいたします！」

エレン「…」



サシャ「拍手！」

エレン（いんのかこれ……）ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

サシャ「………さて、ではエレン」

エレン「…」


サシャ「……跪きなさい」



エレン「…俺にそんな趣味はねぇ！」


サシャ「私にもないですよ。…言い方が悪かったですかね」




サシャ「……地面とキスしてください」



エレン「」

エレン「………新しい啖呵か？」

サシャ「違います！エレンに対人格闘挑む程バカじゃないですから、私」

エレン「……じゃあ何だよ」



サシャ「…ただ純粋に地面とキスして欲しいだけですけど？」ｷｮﾄﾝ



エレン「……帰る」ｽﾀｽﾀ

サシャ「はい待ってくださいねー」ｶﾞｼｯ

エレン「何だってんだ畜生！」

サシャ「さぁ遠慮なく！ぐぐっと！」ｸﾞｲｸﾞｲ

エレン「ふざけんな！大体、地面とキスするくらいなら俺は………」


サシャ「俺は？何です？」

エレン「」ﾋﾟﾀｯ


サシャ「……まさか、エレン？」



エレン「………地面とキスするくらいなら」



エレン「訓練するぜ！」ﾊﾞｰﾝ

サシャ「いつもしてるでしょう訓練バカ」ｸﾞｲｯ

サシャ「さぁ！いってまえエレン！」ﾄﾞﾝ

エレン「うわっ！」ﾄﾞｼｬ





サシャ「さぁ！どうです？どうです？」ｸﾞｸﾞｯ

エレン（上に乗っかってんじゃねぇ！色々当たってるって！）ｸﾞｸﾞｸﾞｯ




サシャ「…美味しいでしょう!?地面！」



エレン「………え？」

エレン（旨い…？）ﾍﾟﾛｯ

エレン（……いや、旨くはねぇぞ。旨いっていうか、しょっぱい……）







エレン（…………え？）



エレン「しょっぱいだと!?」ｶﾞﾊﾞｯ

サシャ「キャア！いきなり動かないでくださいエレン！胸が潰れます！」

エレン（いや、それはお前が悪い）

エレン「サシャ、ここで漏らしたのか!?」

サシャ「違いますよ！何変な想像してるんですか!?」


エレン「………ということは」


サシャ「はい、間違いありません…」






サシャ「ここには、塩があると思われます!!」

エレン「な、何ぃっ!!?」

エレン「塩って………超高級品じゃねーか!!」

サシャ「そうですよエレン！…というわけで」

エレン「で？」








サシャ「一緒に掘り起こしましょう」

エレン「は？」




サシャ「スコップどうぞ」つｽｺｯﾌﾟ

エレン「あ、サンキュ…………………………………じゃねーよ！」

エレン「てめぇ、要するに労働力が欲しかっただけじゃねーか!!」

サシャ「はいはい、掘りますよー」ｻﾞｸｯ



エレン「…………クソっ！」ｻﾞｸｯ!

エレン「………なぁ」ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ

サシャ「何ですかエレン。喋る暇があるなら掘ってください」ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ


エレン（食べ物が絡むと真剣になりやがって………）ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ


エレン「塩なんざ手に入れてどうするんだ？」ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ


サシャ「……決まってますよ」ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ




サシャ「芋にかけて食べるんです!!」ｻﾞｸｯ!




エレン（………いや、微妙だ）ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ

エレン（もっといい使い方があるんじゃねーか………？）ｻﾞｸｯｻﾞｸｯ

エレン（…巨人に塩は効かねぇか）ｻﾞｸｯｶﾞｷﾝ

エレン「ん？」

サシャ「い、今のは!?」


………………………ｧ

サシャ「何かにぶつかりましたよね!?」

エレン「………いや、待て」


……………………ｱｧ


エレン「………何か聞こえる」

サシャ「え？…………あ」


………………ｱｱｱｧｧｧ


サシャ「ほ、本当ですね」

エレン「だんだん近づいてくるぞ！」

ﾋﾞｷﾋﾞｷﾋﾞｷ…

サシャ「じ、地面にヒビが！」

エレン「この声は………下からか!?」


…………ｱｱｱｱｱｧｧｧｧｧ!



エレン「まずい！サシャ!!」ﾀﾞｷｯ

サシャ「え」

エレン「」ﾊﾞｯ

サシャ「キャア!!?」

次の瞬間、信じられないことが起きた。


まず、地面崩壊。

20メートル四方くらいの地面が吹っ飛んだんだ。…………水によって。


それだけでも驚きのことなのに、天は俺たちを落ち着かせてくれない。


次は、地面から勢い良く出続ける水流から、人が飛び出して来たんだ。


………サシャに付き合わされ、必要のない労働をし、更にはどっきり大会？



……神様。なんか俺がしたか？



俺と、俺の腕の中にいたサシャはただただ呆然とするしかなかった。

「なーはっはっはっは!!!!!」


エレン「なんだぁ…!?」

サシャ「よ、妖怪ですか!?」



「ぃよーっと!!!!」ｽﾞﾀﾞｯ



エレン「あ、あの高さから着地した」

サシャ「や、やっぱり妖怪ですぅ！エレン！」ﾀﾞｷｯ

エレン「ばっ、抱きつくな!!」ｱｾｱｾ

「あー死ぬかと思った!!!」

エレン「…変な奴」







ミカサ「………エレン？」

エレン「」ｷﾞｸｯ

サシャ「」ｷﾞｸｯ



ミカサ「…何してたの？………サシャと」


ミカサ「ふ　た　り　で」

エレン「み、ミカサ…」

サシャ「ふ、二人だけじゃないですよミカサ！」ｱｾｱｾ


ミカサ「………それはまだしも」


ミカサ「……なんで　だ　き　あっ　て　る　の」


エレサシャ「「!!!!!」」


エレン「」ﾊﾞｯ

サシャ「あ…」

エレン「……ごめん//」

サシャ「い、いえ…//」

ミカサ「」ｲﾗｯ

「？？？」

クリスタ「ど、どうしたの!?」

アルミン「エレン、ミカサ!?」

キース「何だあの水柱は!!!」


エレン（まずいな、一気に来たぞ）


エレン（……何がまずいって）ﾁﾗｯ



「？ どうした？」



エレン（……どう説明すりゃいいんだ）

「…何だお前ら」


エレン「いや、お前が何だ！」


「おれか？おれはルフィ！海賊だ！」


エレン「いや、そうじゃなくて………………………ん？海賊？」


アルミン「…………海賊？」


コニー「海賊って何だ？」

キース「これはどういう状況なんだ…」

キース「説明しろイェーガー」

エレン「ハッ」


エレン（…って言っても、何て言おう…………）

ルフィ「なぁー」

エレン「何だよ……。頼むから黙っててくれ」ﾋｿﾋｿ

ルフィ「腹減った」

エレン「は？」

ルフィ「メシ！なんかメシくれねーかなー」

エレン「………教官」

キース「バカを言うな！先ずはそいつの素性を聞いてからだ！」

エレン「……ですよね」



エレン「……はぁ」

エレン「じゃあ聞くから答えてくれよ」

ルフィ「おう！」

エレン「…名前は」

ルフィ「モンキー・Ｄ・ルフィ！」

エレン「…職業」

ルフィ「海賊だ！」

エレン「…歳」

ルフィ「19だ」

エレン「…所属組織」

ルフィ「そしき？……そしきって何だ？」

エレン「…アンタの海賊団の名前とか」

ルフィ「んー………麦わらの一味って言われてるなぁ」

エレン「…その他特筆すべきこととか」

ルフィ「仲間が八人いるぞ！」

ルフィ「ゾロだろ、ナミだろ、ウソップにサンジ。チョッパーと、ロビンと、フランキーにブルック！」

ルフィ「みんなおれの大事な仲間だ！」


ルフィ「おれたちが乗ってるのはサニー号だ！ちょ～カッコいいぞ！」



エレン（他にまだ言うことあんだろ…）



ルフィ「あ、最後に１つ」

エレン「……何だよ」




ルフィ「おれは」


ルフィ「海賊王になる男だ」ﾄﾞﾝ

エレン「海賊王………」

ルフィ「あぁ」


コニー「なぁ……」

ルフィ「ん？」

コニー「海賊って何だ？」


ルフィ「おまえ海賊しらねぇのか!?」


ジャン「俺も知らねぇ」

マルコ「僕も」

クリスタ「海賊………」

ｵﾚﾓｵﾚﾓ ｶｲｿﾞｸｯﾃﾅﾝﾀﾞ?

ルフィ「……じゃあ、おれが海賊を教えてやる！」

ルフィ「海賊はな……自由なんだ！」

ルフィ「自由に海を冒険するんだ！」

エレン「!!?」

アルミン「海!?」

アルミン（やっぱり、その海賊なんだ……）

コニー「……悪ぃ」

コニー「俺うみも知らねぇんだ」

ルフィ「……田舎モンだなー」

コニー「おう！おれは田舎モンだぞ！」


アルミン「……海っていうのはね…」

ジャン「知ってるのか？」

アルミン「この世界の大部分を覆っている………水だ」


「「「「「水!?」」」」」


アルミン「うん。しかも貴重な塩を山程含んでる」


サシャ「し、塩ですか!?」

コニー「すげぇ！」

クリスタ「おっきな池みたいなモノってこと？」


アルミン「うん。壁外にある……と思う」



「「「「「は」」」」」

ライナー「……おい、ちょっと待ってくれ」


ライナー「要するに、コイツは海から来たんだな？」

アルミン「……ですよね？」

ルフィ「おう！」


ライナー「……どこに海があるんだ？」

ライナー「いや、その前に………どうやって壁を越えた」


アルミン「……どうやってですか？」


ルフィ「ん…」

ルフィ「んー………？」



ルフィ「えーっとなぁ………」ﾎﾜﾎﾜﾎﾜ~ﾝ

時は遡り、真夜中の新世界海上。

サウザント・サニー号……………。




ルフィ「ふぃ～、腹減った！」

ルフィ「……食糧庫に入って夜食を食うか！」


「バカかお前は」

ルフィ「お、ゾロ」

ゾロ「全く………大体、コックの野郎が管理する食糧庫だぞ。お前が入れねぇようにしてあるだろ」

ルフィ「あ」


ゾロ「珍しく夜に起きてると思ったら……………やっぱりコレかよ」


ルフィ「だって腹へって起きちまったんだもんよー」

ゾロ「……今日の当番はあの魔女だぞ」

ルフィ「い゛!?」


ゾロ「アイツがお前の食費を更に嵩ませてくれると思うか？」


ルフィ「………」


ルフィ「いや！それでもおれは食糧庫に行く！」


ルフィ「いっくぞー!!!!」






「行くぞじゃないわよバカキャプテン!!!!」ｶﾞﾝ!

ルフィ「へぶ！」ﾀﾞｧﾝ!

ゾロ「よぉ」

ナミ「よぉじゃないわよ!!アンタもこのバカを止めなさい！」

ルフィ「げっ、ナミ！」


ナミ「ルフィも何普通に食糧庫行こうとしてんの！」


ルフィ「腹減ったからな！」

ナミ「……晩御飯あんなにたくさん食べたじゃない」

ルフィ「足りねぇ」


ゾロ「……諦めろナミ」

ナミ「……二年経っても変わらないわね、食に関しては」

ゾロ「残念なことにな」

ルフィ「しょうがねぇだろ、腹減るんだからよぉ」

ナミ「けど食糧庫に行くのはダメよ、サンジ君がちゃんと後々のことを考えて計画を立ててるんだから」



ゾロ「まぁそんなに腹減ったんなら釣りでもするんだな」



ルフィ「つりかー………」


ナミ「ちょっ、余計なこと言わないでよゾロ」

ゾロ「別に良いだろ？何かトラブルを起こせるわけでもなし」

ナミ「いや、でもルフィよ？あのルフィだったら何するかわかんないじゃない」

ゾロ「………いかん、何かそんな気がしてきた」

ナミ「でしょ？」

ゾロ「おいルフィ！その釣りちょっと待っ……………」



ｻﾞｯﾊﾟｧｰﾝ!


ルフィ「がぼがぼがば！」ﾊﾞｯｼｬﾊﾞｯｼｬ


ゾロ「げ」

ナミ「何で落ちるのよ！」



ルフィ「ブクブクブク…」ﾌﾞｸﾌﾞｸ



ゾロ「!! マズい!!」ﾊﾞｯ

ナミ「ルフィ！」ﾊﾞｯ




ｻﾞｯﾊﾟｻﾞｯﾊﾟｧｰﾝ!