真「はぁ……」昴「どうしたんだよ、真?」 (38)

昴「ため息なんかついて、らしくないじゃん」

真「そうなんだけど……」

海美「なんか嫌なことでもあった?そういうときは、走って忘れるのが一番だよ!」

真「ありがとう、海美。実はさっき、エレナと一緒に撮影の仕事だったんだけどさ……」

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エレナ「どう?マコト!決まってる?」

真「わぁ、スゴいやエレナ!すっごく可愛いよっ!」

エレナ「えへへ!ありがとう、マコト!ホラ、マコトも早く着替えようヨ!」

真「あっと、そうだね!……へへー!ボクの衣装もエレナのみたいに可愛いやつだったりして!どれどれ……」

エレナ「マコト、すごく嬉しそうな顔してるネー!口が猫みたいになってるヨー」

真「あれ……?これって……」

エレナ「んー?どうしたのー?マ、マコト?こ、今度は鬼みたいに険しい顔になってるヨー……?」

ミリP「おーい、二人とも着替えたかー?入るぞー?」

エレナ「プロデューサー!ちょっと来て!マコトが変なんだヨー!」

ミリP「おっ!エレナ!似合ってるじゃないか、かわいいぞ。ん?真はまだ着替えてないのか?どうした?」

真「……どうした?じゃないですよ!プロデューサー!!これ!ボクの衣装!これって何かの間違いですよねぇ!ねぇってばぁ!」

エレナ「こ、この衣装……」

ミリP「あ、あれっ?言ってなかったっけ?今日の撮影、真には男役でいってもらうって……」

真「またですかぁ!?うぅ……今日は女性ティーンズ向け雑誌の撮影だって言うから、フリフリの可愛い服が着られるんじゃないかって楽しみにしてたのに~」

エレナ「この衣装、すっごくカッコイイネ!マコトならきっと似合うヨー!」

真「エ、エレナ!?」

ミリP「おっ、エレナもそう思うか!さあ、真、時間もあるから早く着替えてくれよー」

真「うぅ……あんまりだ……」

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真「結局、撮影自体はめちゃくちゃ誉められて大成功だったんだけどさ……」

昴「あちゃー、それは素直に喜べないな……」

真「エレナは『マコト、カッコイイヨー!』ってずっと抱きついてくるし……!はぁ……それもこれも全部、父さんのせいだー!」

海美「まこっちゃんも大変だねー。まあでも、私もカッコイイまこっちゃんは好きだけどなー、なんて……」

真「う、海美までそういうこと言う~」

海美「あ、あはは!ごめんごめん!」

真「そりゃあボクだってカッコイイって言われて悪い気はしないけど……ボクが目指してるのはキャピキャピでフリフリのアイドルなのにぃ!」

海美「カッコイイとカワイイじゃ、まったく逆だもんね」

昴「……そうか、そうだよな……」

海美「ん?どうしたの?すばるんまで難しい顔して」

真「なにかあったの?昴」

昴「いや、実はさっきオレもさ……」

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昴「んーなになに……今春のトレンドは……」

雪歩「昴ちゃん、はいお茶どうぞ」

昴「おっ、ありがとう雪歩!いやぁ、しかし難しいなー……」

雪歩「ふふっ、どうしたの?さっきから雑誌とにらめっこしてるけど……」

昴「うん、ファッションの勉強してるんだけどさ、オレにはまだ早かったかなー」

雪歩「どれどれ……『イチオシ!カワイイ系ファッション特集』……!?」

昴「でも、オレも少しは女の子らしくならないとって思っててさ……」

雪歩「そんなことない!!」

昴「へ?」

雪歩「昴ちゃん!女の子らしくなりたいって、それ本気で言ってるの!?」

昴「ゆ、雪歩?」

雪歩「昴ちゃんの魅了と需要は、そことはかけ離れたところにあるんだよ!?『女の子らしい永吉昴』……そんなの誰も得しないよ!」

昴「そ、そうなのか」

雪歩「そうなの!さあ、そうと分かったら昴ちゃん、これを着て!」

昴「え?え?」

雪歩「いいよー!昴ちゃん最高!むしろまだ物足りない感じだよー!」

昴「そ、そうかな?」

小鳥「はいこっち向いてー!もう一枚!今度は口元だけ笑う感じでー」

昴「こ、こう?」

雪歩「キャー!昴ちゃんカッコいいー!!」

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昴「いつの間にか撮影会が始まっちゃってさー」

真「ゆ、雪歩……」

昴「オレも気づいたらのせられちゃって……。『カワイイ』って言われたいはずなのに、『カッコイイ』って言われると何故かのっちゃうんだよなー」

真「『カッコイイ』と言われることに慣れてしまったんだね……その気持ち分かる、分かるよ昴」

昴「はぁ……オレも女の子らしくならなきゃな……」

海美「うーん、二人の話聞いてたら、私も思い当たることが……」

真「海美が?」

昴「海美は心配ないって。しっかり女の子らしいもん」

真「うん、ボクもそう思うよ」

海美「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、そうでもないんだよねー……」

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響「助かったぞー海美!ありがとねー!」

海美「ううん、私も犬美たちと遊びたいからさ!今日も楽しかったよ!」

響「一人だとみんなを散歩させるの大変なんだよねー……あっそうだ!はい!これ、いつものお礼さー!」

海美「えっいいの!?わーい!なになにー?」

響「じゃーん!響ちゃん特製サータアンダギーだぞ!」

海美「わっ!すごい!おいしそー!これ、本当に響が作ったの?」

響「だからそうだって!昨日時間があったから久々に作ってみたんだー」

海美「へーすごいなー!そういえば響って料理も出来るんだよね……いただきまーす」

響「ふふーん!自分、完璧だからね!料理だけじゃなくて、裁縫だってお手のものだぞ!」

海美「モグモグ……そういえば冬にマフラー編んでくれたっけ……ゴックン。それに比べて私はぶきっちょだからなー」

響「ふふーん!海美はずばり!女子力が足りないさー!自分を見習わなきゃねー」

海美「ぐぬぬ……言い返せない……美味しい……」

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海美「響にずばり言われちゃってさー」

昴「じょ、女子力……か……」

真「響は女子力高いからね……」

海美「確かに私は落ち着きないし、メイクのこととかもよくわかんないし……うー悔しいー!」

真「二人がボクと似たような悩みを抱えてたなんて……。なんか、仲間が出来て嬉しいような悲しいような……」

海美「私もこの悩みを話せてよかったけど……もやもやが晴れないよー!」

昴「なんかオレ、このままじゃいけない気がしてきた……!」

真「ボクも……。……そうだ!こうなったら、女の子らしくなるための特訓をするしかないよ!」

昴「おお、それいいな!」

海美「うん!それしかない!」

真「よーし!ボクたち三人は今から、『キャピキャピ女の子らしくなり隊』だ!」

昴「女の子らしくなるぞー!」

海昴真「「「おー!!!」」」

海美「で……『キャピキャピ女の子らしくなり隊』略して『キャピ隊』を結成したわけだけど……どうしよっか?」

真「まずは口調とか仕草とか、表面的な部分から女の子らしくしてみるってのはどう?」

昴「口調か……これがなかなか難しいんだよなぁ……。あっ、『難しいのよね』か」

海美「私に出来るかなあ?……いや、弱気になっても仕方ないもんね!よーし!やるぞー!」

真「じゃあスタートの合図で口調と仕草を女の子らしくしよう!いいね?」

昴「おう!」

海美「おっけー!いつでもいいよ!」

真「よーし、それじゃあ……スタート!」

海美「……」

昴「……」

真「……」

海美(……いつでもいいって言ったけど、女の子らしい口調ってどうしたらいいんだろう~!)

昴(オレ……じゃなかった。わ、わたし……永吉昴15才だぜ……なのよ……)

真(二人とも真剣な顔して悩んでる……切り出し方が分からないんだな……。よし、ここはボクから……!)

真「あーなんだかまこりん、のどが乾いちゃったナリなー!」

海昴「!?」

真「あれれ?ペットボトルのお水、全部飲んじゃったんだっけ!ヤダ!まこりんってばおっちょこちょい☆」

昴(真が先頭を切った……!よ、よーし、オレだって……!)

昴「そ、それならオレ……わたしが、お茶を淹れてくる……わ!」

海美(すばるん……!よし!私も負けてられない!)

真「えっホント!?すばるっちは優しいナリねー☆」

海美「い、いや!お茶はわ、わたくしが淹れてきますわ!ふ、二人は座って待ってらして!」

昴「それは海美……ちゃんに悪い……よ!わ、わたしがやるよ!」

海美「わ、わたくしにはおかまいなく!さあ、お、お座りなさいな!そ、それともコーヒーの方がよくって?」

真「まこりんはお茶の方がいいナリよ!まこりん、コーヒーは苦くて飲めないの☆」

昴「わ、わたしもお茶をもらう……わ!」

海美「そ、そう!わ、わたくしが淹れるお茶が飲めるなんて、光栄に思いなさることね!お、おーっほっほっほっゲホッゴホッ……!」

真「う、海美!?大丈夫!?」

昴「だっー疲れたー!もう無理だー!」

海美「ゲホッ……うん、大丈夫……!高笑いなんて、慣れないことはするもんじゃないね……」

真「うーん、やっぱり急に変わるのは難しいのかな」

昴「オレも人のこと言えないけどさ、海美はなんでそんなセレブの偽物みたいな口調にしたんだよ?それって女の子らしいか?」

海美「いや……なんかこの口調ならおしとやかに聞こえるかなって……。あはは、失敗だったかな……?そ、それよりもまこっちゃんだよ!何なのアレ!?」

真「へへっー可愛かった?ボク的には、なかなかイイ線いってたと思うんだけど!」

昴「可愛かったというか……独創的というか……」

海美「もー!なんか色々圧倒されちゃって緊張しちゃったじゃんかー!」

真「うーん、イマイチ伝わらないかな……」

真「ボクの中のイメージは『メルヘンの世界のまこりん王国からやってきたまこりん姫』だったんだけど……」

海美「そんな設定あったの!?」

昴「ま、まこりん王国……。いや、でも『設定』か……。それ、結構いいかも……」

海美「あ、そっか!始めに設定を決めておけば、その役柄になりきればいいんだ!演技と同じだね!」

真「へへっ!二人ともコツを掴み始めたみたいだね!」

海美「よーし!それじゃ、私も女子力高い設定を考えなきゃ!……うーん、そうなると、まこりん王国もあながち悪い設定じゃないかも」

真「そうでしょ!そうでしょ!」

昴「そうかもなー。女の子らしいし、アイドルっぽいし」

真「やーりぃ!……あっ!そうだ!まこりん姫の挨拶でさ、『まっこまっこり~ん!』ていうのもあるんだけど……」

海昴雪歩「それは却下」

真「えっ」

真「こ、この挨拶、そんなにダメなのかなぁ……」

昴「ああ、設定まではよかったんだけどな」

海美「うん……でもこの設定、どっかで聞いたことあるような気がするんだよねー」

真「えっ、そうかな……?」

昴「確かに……あっ!そうだ!まつりだよまつり!まつり姫!」

海美「あーそうそう!それだ!」

真「あっホントだ!そうか、まこりんはまつりをお手本にすればよかったのか……」

海美「そうだよ!劇場のみんなって女の子らしさのお手本の集まりじゃん!まずはみんなの真似をしていけばいいんじゃない?」

昴「そういえばみんながアイドルだってことすっかり忘れてたなー」

真「まつりの真似か……へへっ!なんだか楽しくなってきちゃった……!」

真「それじゃあボクはまつりをお手本にして……」

まこと姫『ほ?まことは姫なのですよ……ね?』

海昴「おお~!」

まこと姫『まことはフワフワしたものしか口にしないのです……ね?』

海昴「おお~!!」

真「ねえねえどうだった!?ボク、可愛かった!?」

海美「すごい可愛かったよ!まこと姫!」

真「本当!?」

昴「ああ!そうだな、可愛さレベルでいったら……レベル60はいってたな!」

真「そっかあ、ボクの可愛さレベル60越えかぁ~!……へへっ、やーりぃ!」

昴「よーし、次はオレの番だな!」

真「頑張れ!昴!」

海美「昴は誰を手本にするの?」

昴「そうだなー、ロコ……はなんか違うし……、うん!これだ!」

真「決まったみたいだね!じゃあ早速実演してみようか!」

昴「ええっ!?そ、そうか……実際にやらなくちゃいけないんだよな……」

真「当たり前じゃないか!さあ、昴!」

海美「なせばなる!だよ!昴!」

昴「よ、よーし……いくぞ……!」


すばるん『ね、ねえ?わ、わたしもこんなポーズしたら……モテるかな?み、見て見て~!』

海真「……!!」

昴「や、やっぱダメだ!恥ずかしいって~!」

海美「いやいや!すっごい可愛かったよすばるん!」

昴「ホ、ホント?」

真「うん!なんていうか……胸かキュンってなったよ!今のって翼をお手本にしたんだよね?」

昴「う、うん……でもちゃんとなりきれなかったよ……恥ずかしくて……」

真「その恥じらいが逆に良かったよ!ね、海美!」

海美「そうそう、背伸びしてる女の子って感じがさー!」

昴「そ、そうかな……」

真「いやー悔しいけど、今のは可愛さレベル70は固いなー」

昴(今度プロデューサーの前でもやってみようかな……えへへ……)

海美「さあ!最後は私の番だね!やるぞー!」

真「海美は誰をお手本にするの?さっきの感じだと……千鶴さん?」

海美「いやーさっきのはたまたまだから!セレブは私には無理そうだし……」

昴「選択肢はたくさんあるからな!さあ早くいこうぜ!」

海美「う~ん、迷うなー……。……うん、おっけー!これでいく!」

真「よし!それじゃあ、どうぞ!」


うみみ『……も~!ハニー!もっとうみみのこと見てくれなきゃ、や!なの!』


昴真俺(か、かわいい……!)

海美「……ギャー!恥ずかしい~!うぅ~!」

昴「すげー良かったよ海美!」

海美「あー!ダメ!私ちょっと走ってくる!」

真「ちょ、ちょっと海美!?ストップストップ!」

昴「ふぅ、少しは落ち着いたみたいだな」

海美「はー、まだ顔が熱いよー!」

真「しかし美希を選んでくるとは、なかなかやるね!海美!破壊力抜群だったよ!」

海美「いやー、莉緒ねぇとか美也ちゃんとか……いろいろ考えたんだけど、ミキの女子力を見習おうかなって思ってさ」

昴「さて、じゃあ次は……」

真「今までやってきたことを生かして、もう一度口調を変えてみよう!」

昴「ああ、そうだな!こうなったら徹底的にやってやるぜ!」

海美「うん、私もだんだん慣れてきたかも!今度こそ女の子らしく!燃えるきたー!」

真「へへっ、ボクも燃えてきちゃった!よーし!いくぞー!」

真「『キャピ隊』ファイッ!」

キャピ隊「「「オーッ!!!」」」

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小鳥「……ふぅ、なんだか疲れちゃいましたねー」

ミリP「すいません、音無さんまで巻き込んじゃって……」

小鳥「いいんですよ!ただでさえ人手不足なんですから、私に出来ることなら遠慮せずに言ってくださいね!」

ミリP「音無さん……ありがとうございます」

小鳥「ふふっ!……そういえば、事務所長い間空けちゃったけど、大丈夫だったかしら?」

ミリP「たしか真と昴と海美が残ってましたね」

小鳥「その三人なら心配いらないですね」

ミリP「そうですね、みんな良い娘達で助かってますよ。よし、ただいまー」


まこと姫「はいほー!なのです!」

すばるん「ねーうみみー!男の子がドキドキするような服ってこの中のどれかなー?」

うみみ「うーん、うみみ的には、これって感じかな!あはっ!」

すばるん「あっホントだ!これカワイイ~!」

まこと姫「らぶりー!なのです!まこと、かんどーしてしまったのです!……ね?」

うみみ「あふぅ、なの!」

ミリP「……」

小鳥「……」

すばるん「あっ!プロデューサー!お帰りなさい!……ど、どう?このポーズ!」

まこと姫「まことたち、可愛くなったのですよ!……ね?」

うみみ「ハニー!待ってたの!」

ミリP「……」

すばるん「プ、プロデューサー?」

ミリP「小鳥ィ!?お前の仕業かッ!?」

まこと姫「プロデューサー!?」

小鳥「……す、すいませんでしたぁ!!」

うみみ「なんで!?」


『キャピ隊』の戦いはまだまだこれからだ!!


ケツ

三人とサイクリングしたい

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