P「アイドルに嫌われよう」(12)
小鳥「は?」
p「いやあ、アイドルのみんなかわいいじゃないですか」
小鳥「そうですね」
p「そんな子達が僕に好意をもってくれるのは嬉しいんですけど」
小鳥(気づいてたんですね……)
p「ほら、僕にも好きな人がいますし、アイドルとプロデューサーというのもありますし」
小鳥「そうですねぇ」
小鳥(プロデューサーさんに好きな人……?誰かしら)
p「というわけでですね。みんなに嫌われようと」
小鳥「嫌われるって実際にどうするんですか?」
p「そこなんですよね……嫌われるためには多少嫌がることをしないといけない。でも、仕事をする上で気まずい関係にはなりたくないんですよ」
小鳥「難しいですね……嫌われる、というよりは好意が失われるようにする、という感じですか」
p「なるほど、その路線でいきますか」
小鳥「でも、せっかく抱いた想いを失くさせるって少し悲しいですね……」
p「……気づきながら優しくし続けるくらいならと思ったんです。これが俺の思い過ごしならいいんですけど」
小鳥「うーん、実際プロデューサーさんのことを好きな子かぁ。……実際、誰だと思います?
p「ええと……全員ではないですよ、もちろん」
小鳥「あら、そうなんですか。ではいったい誰なんですか?」
p「自惚れだったらそれでいい、という前提で話しますよ。いいですか?」
小鳥「わかってますよ。気にせず話しちゃってください」
p「まずは……春香から考えてみますか」
小鳥「いきなりド本命ですね。まあ、それは言わずもがな……」
p「ええ、多分……俺に好意を抱いてるんじゃないかと」
小鳥「間違いありませんね。プロデューサーさんを見つめるあの瞳、少し紅くなる頬、丁寧に作ったお菓子……ううん、パーフェクト」
p「気持ちは嬉しいんですよ、本当に……俺がプロデューサーじゃなかったらなあ……」
小鳥「あら、残念そうですね」
p「当たり前じゃないですか。春香みたいな可愛い子が彼女だったら……ねえ?」
小鳥「春香ちゃんとあんなことやこんなこと……私なら一生戦えますね!」
p「…………」
小鳥「あ、あら? プロデューサーさんの目が冷たいような……」
p「音無さん……少し、抑えましょうか」
小鳥「……はい、そうします」
p「次は千早なんですけど、言い方はアレですが大丈夫だと思います」
小鳥「大丈夫、と言い切りますか。どうしてですか?」
p「千早は純粋に歌手の頂点を目指すために日々を過ごしているんです。だから、俺はそのパートナーであり、それ以上にはならないと思うんです」
小鳥「なるほど。恋にうつつをぬかしている場合じゃない、ってことね」
p「そういうことです」
小鳥「うーん、でも本当にそうかしら……」
p「なにか気になることでもあるんですか?」
小鳥「いえ……なんでもないです。まあ、プロデューサーさんがそう言うならいいと思います」
p「では千早には特になにもしない、ということで。次は……美希なんですが」
小鳥「……美希ちゃん、ですか」
小鳥「美希ちゃん、オシャレでとっても可愛いですよね」
p「ええ、最近は男性だけでなく女性からも人気が出て来たみたいで」
小鳥「歌もダンスもメキメキ上達して、トップアイドルになるには十分な才能を持ってますよね」
p「はい。美希だけじゃないですけど、日々上達していくアイドルを手がけられてこっちもやりがいがありますよ」
小鳥「そんな可愛い可愛い美希ちゃんに『ハニー』、なーんて呼ばれてる人がいるみたいですねえ」
p「……音無さん、それは」
小鳥「隠さなくてもいいんですよ、プロデューサーさん。二人でいるときに美希ちゃんがそう呼んでるのを見ちゃったんです」
p「表には出ないようにしてたんだけどなあ……」
小鳥「大丈夫ですよ。気づいてるのはおそらく私だけですから」
p「それならいいんですけど……」
小鳥「でも、難しくありませんか? そこまで好きになってくれてる女の子に嫌われるなんて」
p「……正直に言えば、このままではマズイと思ってたんです」
小鳥「どういうことてすか?」
p「アイドルとプロデューサーという関係なのにそんな呼び方をされて、しかもそれが満更でもない自分がいたんです」
小鳥「……なるほど」
p「美希はもっともっと上へ行けるアイドルです。それなのに俺が今のままでいるのはマイナスでしかないと思うんです」
小鳥「そうですか……プロデューサーさんがそう考えたのであれば、私からはなにも言いません。でも、美希ちゃんって……」
p「……メチャクチャ可愛いっす」
小鳥「プロデューサーさん……可哀想な人……」
p「……切り替えていきましょう。次のアイドルなんですが、やよいについてですね」
小鳥「やよいちゃん……どうなんですかねえ」
p「まあ、さすがに大丈夫かなーって」
小鳥(若干やよいちゃんっぽい言い方なのが気になるわね……)
p「中学生ですからね。歳も離れてるしよくても兄妹位にしかなりませんよ」
小鳥「それもそうですね。それに、プロデューサーさんとやよいちゃんが付き合ってたら……犯罪ですね」
p「間違いないですね」
小鳥「ダメですよ? やよいちゃんにあーんなことやこーんなことをしたら……」
p「……ダメなのはそんは発言をする音無さんだと思うんですが」
小鳥「い、いいじゃないですか! 妄想するだけならタダだし罪にもならないんです!」
p「……くれぐれも表には出さないでくださいね」
小鳥「次は……じゃあ、雪歩ちゃんなんかはどうですか?」
p「雪歩は……大丈夫だと思ってます」
小鳥「それは男の人が苦手だから、というのが理由ですか?」
p「ええ、俺とは問題なくコミュニケーションをとれるようにはなりました。でも、他の人だとまだ少し難があるみたいですし」
小鳥「男の人との恋愛、なんてことを考える位までにはなっていないと」
p「そういうことです。男と付き合う、とか考えただけで穴掘って埋まりそうですから」
小鳥(となると、やはり女の子同士……相手は真ちゃんと……ふ、ふふふ……!)
p「……音無さん、邪な妄想をするのはせめて後にしてください」
小鳥「へえっ!? な、なにを言ってるんですかプロデューサーさん! 私は別にまこゆきとゆきまこのどっちがいいかなんて……あっ」
p「……聞かなかったことにしましょうか」
小鳥「……お願いします」
小鳥「で、ではその真ちゃんはどうなんですかねえ」
p「真は……女の子らしい考えをもっている、というのは音無さんもわかってますよね」
小鳥「ええ。王子様が迎えにきたらー、なんて話をしてましたね」
p「そうです。という訳で大丈夫なんですも」
小鳥「……はい?」
p「いや、憧れるのがイケメン、とか王子様、とかなら俺なんてぜんぜん外れてるじゃないですか」
小鳥「ああ、そういうことですか」
p「顔がよくも無く悪くも無い。普通の俺が好かれてるということはまずないでしょう」
小鳥「……本当にそうかしら?」
p「どういうことですか?」
小鳥「真ちゃんの言う王子様って、別に本当のイケメンとかじゃなくて好きになった人が王子様ってことになるんじゃないかなって」
p「はあ」
小鳥「だから、外見がどうあれ内面から好きになればもうその相手は王子様なんですよ」
p「……なるほど。でも、そうだとしても俺はそこまでの男でもないですから大丈夫でしょう」
小鳥「うーん、そうかしら?」
p「そうですって」
小鳥(春香ちゃんや美希ちゃんのような魅力的な女の子が好きになった男の人が内面的に優れていないことがあろうか、いやないわね)
小鳥(……まあ、この時点で既に怪しいポイントなんて沢山あるのよね。プロデューサーさんは気づいてないみたいだけど)
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