小鳥「伊織ちゃんを産みたいんですよ」 (37)
P「何言ってんだコイツ」
春香「気持ちは分かりますけど、心の中で考えてた台詞が外に出ちゃってますよ?」
P「えっ、ウソ!? そんなこと考えてるやつは死んでも独身だろ、
……って出ちゃってた!?」
春香「ああ、すいません。やっぱりなんでもないです」
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小鳥「それでやっぱり、伊織ちゃんの遺伝子情報からなんとかして精子を作ってですね?」
P「うわ、人の話、聞いてねぇ」
春香「今日の小鳥さんは手強いですね」
P「ああ、色んな物をかなぐり捨ててるんだろうな」
小鳥「体外受精で孕むのが一番手っ取り早いという結論に行き着きまして」
P「発想がマッドサイエンティストのそれだわ」
春香「こういう人が居るせいで研究者の地位が向上しないんでしょうね」
小鳥「そのためにはまず、DNAを採取できるブツが必須じゃないですか?」
P「春香、いつでも警察を呼べるようにしといてくれ」
春香「まさか、うちの事務所から犯罪者が出るなんて……」
小鳥「でも、伊織ちゃんの髪の毛はなかなか入手出来なくてですね……」
P「良かった、未遂か。立件しなくても済みそうだ」
春香「いや、待ってくださいプロデューサーさん、早計ですよ! そ・う・け・い!」
小鳥「……それで、困ってたら丁度、この前の合宿で
伊織ちゃんが濡れ濡れになったじゃないですか?」
P「音無さん、ストップ」
小鳥「はい」
P「なにそれ俺、聞いてない」
春香「ああ、プロデューサーさんは居なかったような……?」
P「なんで……? なんで俺、その場に居なかったの?」
春香「えっと、輝きの向こう側だったから……じゃないですか?」
P「どこそれ超行きたいんだけど」
小鳥「まだ間にあいますよ、東京ならシネ・リーブル池袋で上映中ですから(※5/5現在)」
P「上映? 映画なの?」
春香「プロデューサーさん、映画ですよ! え・い・が!」
P「待って、俺そんな仕事あるなんて聞いてなかった……というか、
俺でさえ現場に付き添ってないのに、なんで小鳥さんが現場に?」
小鳥「うふふ、なぜでしょうねぇ?」
春香「あれっ、そう言えば、小鳥さんも事務所で留守番でしたよね?」
小鳥「春香ちゃん、これだけは覚えといて?」ファサ
春香「は、はい……?(どうして髪の毛をかきあげたんだろ……?)」
小鳥「A secret makes a woman woman……(女は秘密を着飾って美しくなるものなの)」※耳元で囁くように
春香「何言ってんだコイツ」
P「おいダメ無、俺の春香に近づくな」グイッ
春香「ぷ、プロデューサーさん、俺の……って?////」カーッ
小鳥「ちっ……どうせ告る勇気も無いタマ無しのくせによう」
春香「タマとか言わないでください、成人指定されちゃうじゃないですか」
小鳥「カマトトぶらないで!! それくらいで成人指定されるなら
サザエさんなんか毎回[ピー]が入るじゃないのっ!?」
P「はいはい、それで、なんでしたっけ?」
小鳥「ああ、濡れ濡れになった伊織ちゃんが着替えたときに
インモラルな【お毛け】を入手したんです」
P「春香っ!!」
春香「おけk 任せてください、警察ですね!」スチャッ
P「ばッかやろうッッッ!!」スッパーンッ※携帯を叩き落としただけです
春香「ッ痛……!? プロデューサーさん、どうしてっ……!?」
P「小鳥さん……? ひとつ……聞いても良いですか?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
小鳥「ふふっ、なんでしょう? 次にプロデューサーさんは――――」」
P「インモ……」
小鳥「――――インモラルな【お毛け】ってもしかして……と、言うだろうッ!」
P「――――っ!? な、なぜそれをっ!?」
小鳥「ふふふ……良いでしょう。あえて答えてあげましょう!
インモラルな毛とはプロデューサーさんの想像通り……!!!」
小鳥「 陰 の 毛 の コ ト っ ! ! ! ! 」
小鳥「さあっ! 泣いて悔しがるが良いっ!!」
P「ぐっ・・・・! くそっ・・・・くそっ・・・・
何で、いつも俺たちばかりが辛酸を舐める・・・・っ!?」
小鳥「ぴ~よぴよぴよっ!! いいですよ、プロデューサーさん……
その苦痛で歪んだ顔、実にそそるッッッ!!」
春香「カイジさ、じゃなくて、プロデューサーさん、毛くらいなら私が」
P「……なーんて、悔しがるとでも思ったか?」
小鳥「ふふっ、負け惜しみですか……?
今、土下座すれば、1ミリくらいなら分けてあげても……」
P「ここでチェス盤をひっくり返すぜ!!」パチンッ
小鳥「!?」
P「これは交渉……いや、違うな……。これは圧力だ。
アンタは、この後、俺に泣いて許しを請うだろう」
小鳥「圧力……? ふふっ、悔しさのあまり、ついに頭がイカれたんですか?」
P「春香、千早、雪歩、真、美希、響、貴音、真美……そして、やよい、うっうー」
春香「……?」
小鳥「何を、言って……?」
P「くっくっくっ……分かりませんか?」
春香「まさか、プロデューサーさん……」
P「春香、千早、雪歩、真、美希、響、貴音……そして、やよい。
ほら、もう一人減りましたよ? うっうー」
小鳥「……?」
P「主導権を握ったと思い込み、情勢を見誤った時点で勝負は負けなんですよ、音無さん」
小鳥「プロデューサーさんはいったい何を言ってるんですか!?
主導権も何も、これは一方的な……」
P「春香、千早、雪歩、真、美希、響、……そして、やよい。また一人減った、うっうー!」
小鳥「だから、何を言ってるんですか!? ただ、うちの事務所の
みんなの名前を言っていってるだけじゃないですかっ!?」
P「春香、千早、雪歩、真、美希……そして、やよい。
……本当は、もう音無さんも気付いてるんじゃないですか?」
小鳥「気付く……?」
P「ただ、気付いたからこそ……。
取り逃がした獲物の大きさを前に、現実から逃げてるんですよね?」
小鳥「さっきから何を言ってるんですか!?
わっ、私は今からこの伊織ちゃんの陰m―――――」
P「――――春香、千早、雪歩、真、やよいっ! うっうー!」
小鳥「ぐっ……だから、なんなんですか、それっ!?」
P「竜宮のメンバーは、ガードがキツかったんですよ……。
だから、どうしても手に入れられなかった。ただそれだけなんですよ、うっうー」
小鳥「竜宮……?」
春香「やっぱり・・・・! プロデューサーさんは持ってる・・・・っ!
竜宮を除いた全員分・・・・! つまりこれは交換の譲歩・・・・っ!」
小鳥「――――っ!? ま・・・・まさか・・・・?」
小鳥「竜宮メンバーを除いた765プロの・・・・アイドルの・・・・・・!」
小鳥「陰毛を所持してるだとぉおおおおおおおお・・・・・・っ!!」
P「・・・・春香、千早、雪歩、やよいっ! うっうー!」
小鳥「いい加減、その、うっうー言うの、やめなさいっ!!」
P「春香、千早、やよい。・・・・うっうー!」
小鳥「もう止めて・・・・ぐすっ・・・・お願いそれ以上は・・・・」ポロポロ
P「音無さん」ニコッ
小鳥「っ!! プロデューサーさん、分かってくれ――――」パァァアア
P「 春 香 ! ! や よ い ! ! 」
小鳥「――――なんでっ・・・・!? どうして・・・・? 」ぐにゃあ~
P「圧力だって、言ったでしょう? 音無さんはただ、
『わかった』と、仰ってくれれば良かったんですよ・・・・?」ニヤァ
小鳥「――――っ!? あっ・・・・あっ、悪魔っ!! この人でなし!!」キッ
P「なんとでも仰ってください。ただ俺が、聞きたいのは
音無さんの『分かった』という、一言だけなんですよ?」
小鳥「わっ、分かりま――――」
P「 春 香 」
小鳥「――――えっ・・・・・・・・?」
P「残念・・・・。少し、ほんの少しだけ遅かったですね。
やよいの分は諦めてください」
小鳥「そ、そんな……っ!? せめて、やよいちゃんだけは……っ!」
P「まあ、音無さんの掛け金は一本だけ……だから、
交換なんて言いませんよ。俺は春香のインモラルを一本出します」
P「音無さんは伊織のインモラル、
その半分を俺に渡してくれたら良いですよ。ね?」ニコッ
小鳥「……はいっ!!」パァァアア
春香(プロデューサーさん……。なんて恐ろしい人……)チラッ
小鳥「ありがとうございます……あ゛り゛か゛と゛う゛こ゛さ゛い゛ま゛す゛っ!」
春香(完全に小鳥さんの人心を掌握してる……。小鳥さんには、
『 交 換 に 応 じ な い 』という選択肢もあったのに……!)
P「良いんですよ、小鳥さん。利害の一致ってやつですから。
むしろ、こっちが感謝したいくらいですよ!」
春香(むしろ、私のいんもゴニョゴニョだけになった時点で拒否さえしとけば、
少なくても、やよいのゴニョゴニョはプロデューサーさんから引き出せたはず)
春香(なぜなら、プロデューサーさんの口ぶりからすると恐らく、
各アイドルのゴニョゴニョを複数本所持してるはず……)
春香(下手すればモジャモジャ、なんてことも十分ありえる……)
P「そうだ、春香。ちょっと良いか?」コソッ
春香「あ、はい、なんでしょう?」
P(春香のインモラルを一本くれないか?)ヒソヒソ
春香(――――!? ちょっ、どういうことですか!?)ヒソッ
P(声っ! 声が大きい! だいたい、俺はプロデューサーなんだぞ?
バレる可能性もあるのに、みんなの毛を集めるなんて出来るわけないだろ!)ヒソヒソ
春香(じゃあ、私のモジャモジャは……?)ヒソッ
P(持って無いよ。だから、こうしてお願いしてるんじゃないか!)ヒソヒソ
春香「……私も、プロデューサーさんの思惑を見誤ってたんだ」ボソッ
P(春香……?)ボソッ
春香(見えないくらい小さな針穴に糸を通すように、
細い鉄骨の上を渡りきったんだ……)
春香(気を抜けば、簡単に谷底へと真っ逆さまの状況で……。
顔色ひとつ変えず、渡り切った……このギャンブルを!)
春香(この人は最初から大局が見えていた。賭けていた。
一点に! 私が断らないという可能性、その一点に!)
春香「私は、プロデューサーさんが怖いです」ボソッ
P「春香……今、なんて……?」
春香(だけど――――)
春香(この人が私のプロデューサーさんで良かったって、心からそう思えます)
春香「待っててくださいね、今――――抜いてきます!!」ニコッ
P「やった!!」グッ
伊織「あ……アンタたち何やってんの……?」
P「!?」
春香「伊織っ!?」
小鳥「伊織ちゃん、いつからそこに!?」
伊織「……小鳥が私を産みたいって言ったところから」
P「ストーリーが始まる前から……だと……?」
春香「それなら……それならどうして! 何も言わずに、ただ黙って見てたの……?」
伊織「なんて言えば良かったのよ……!」ギリッ
春香「伊織……」
伊織「事務所に帰ってくるなり、私を産みたいってキチガイ染みた会話が聞こえてきて……」
小鳥「…………」
伊織「今回のプロデューサーは真面目なのかと思ったら、やっぱり変態で……」
P「…………」
伊織「私は、なんて言えば良かったのよ!? 誰か私に教えなさいよっ!?」
シーン……
春香「そもそも、どうして小鳥さんは伊織を産みたいだなんて思ったんですか?」
小鳥「私はただ……最初に祝ってあげたかっただけ……」
P「祝いたかった……?」
小鳥「ただ、この世に生まれてきてくれて、ありがとうって……」ツーッ
春香「…………」
小鳥「だから、伊織ちゃんを産みたかった」ポロポロ
伊織「それなら何も、別に産まなくても……?」
小鳥「脇役の私はそうでもしないと最初に祝ってあげることなんて無理なのよ!」
伊織「小鳥……」
小鳥「うっ、うぅ……ふぐっ……ぅうう……」ヘタン
P(なんて悲しい事件だったんだ……)
春香(るるるーるー……るるるーるーるるー……)※コナンの例のあれ
伊織「だったら……今、言えば良いじゃない」
小鳥「え……?」
伊織「だって、今日は私の誕生日なのよ? だから最初に祝う権利をあげる!」
小鳥「でも脇役の私なんかが……」
伊織「いい、小鳥? この765プロに脇役なんか居ないっ!」
小鳥「――――っ!」
伊織「私だって、小鳥だって、プロデューサーだって、社長だって、み~んな主役なんだから!」
P「伊織……!」
伊織「ほら、主役なんだから顔を上げなさい、音無小鳥!」
小鳥「い゛お゛り゛ち゛ゃ゛ん゛っ……!!」ポロポロ
伊織「立てる?」スッ
小鳥「ありがとう……ぐすっ……」ギュッ
伊織「ぷっ……なんて顔してるのよ。綺麗な顔が台無しじゃない」
小鳥「ふふっ、ごめんなさい」
小鳥「お誕生日、おめでとう、伊織ちゃん」
伊織「ありがとう」
小鳥「産まれて来てくれて、ありがとう」ダキッ
伊織「こちらこそ、いつもありがとう」ギュッ
P「ええ、話や……」ウルッ
伊織(年齢のコトを気にしてるみたいだから、言わないようにしてたけど、
小鳥はこの765プロの親鳥みたいな存在だって、私は思ってる)
伊織(――――いつもありがとう、ママ。……なーんて、ね、にひひっ♪)
春香(こうして事件は無事に解決を迎えた)
春香(だけど、小鳥さんを抱きしめる伊織を見ながら、ふと芽生えた、ひとつの疑問)
春香(いったい小鳥さんは誰のゴニョゴニョを伊織のモノだと勘違いしたのだろう……)
春香(合宿中にお風呂で見た伊織のインモラルな部分は、オデコみたいにツルツルだったのに)
春香(私の心の中で産声をあげた、ひとつの謎)
春香(責任を持って私が育てていこうと思う)
春香(産まれて来てくれて、ありがとう。いつか、そう言える日まで)
【終】
以上で投下終了です。ここまで読んで戴いたかたへ。
産まれて来てくれて、ありがとう。
いおりん、産まれて来てくれてありがとう。ごめん。
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