モバP「僕は、絶対に許さない」 (53)

※NTRもの

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「君には、今日から岡崎泰葉君を担当してもらう」

朝、事務所にきたら急に社長にこんなことを言われた。
僕はこの事務所に入ってから、本格的に一人をプロデュースする機会はなかったものだから、正直ビックリだ。

「岡崎泰葉……ですか?」

「うむ。知っているかね?」

知っているか。と言われると、そこまで知っているわけではない。昔モデルをしていた記憶が微かにあるだけだ。

「昔、モデルをしていたことくらいしか知らないです……アイドルになったんですか?」

「そうだ。私がスカウトしてな。まあ、仲良くやってくれたまえ。奥の待合室にいるからよろしくね」

肩にぽんっと手を置くと、社長室に戻ってしまった。相変わらず、なげやりな人だ。

「岡崎泰葉……か」

どんな人物なのだろう。


待合室に入ると、小柄な少女がソファに座っていた。姿勢もピシッとしていて、見るからに真面目そうな印象を受ける。

「おはようございます」

「おはようございます……岡崎泰葉さんですよね? 」

一応確認をとってみた。

「はい。今日からこちらのプロダクションでお世話になります。岡崎泰葉です。よろしくお願いします」

「今日から担当させてもらいます、Pです。よろしくお願いします」

はじめて話したけど、言葉遣いもしっかりしている。おそらく15、6歳だと思うけれど……

「貴方が私のプロデューサーですか? ……よろしくお願いします」

「ああ……プロフィールみたいなのは持ってるかな?」

とりあえず、プロフィールを見て、いろいろ話してみようかな。今日から担当するわけだし。


軽くプロフィールを見ながらこれからの活動について話した。

僕自身、入ってまもないわけだから、とりあえずはマニュアル通りにレッスンや、撮影といったことに少しずつ活動するようにした。

「うん。活動はこんな感じかな……」

「はい。わかりました」

プロフィールをみて気づいた、やはり16歳の少女だったが、年不相応な佇まいは、子供の頃から芸能界に入っていたからだった。

「それにしても、モデルなのは知っていたけれど、そんな昔から芸能界に入っているとはね」

「これじゃあ、岡崎は先輩だなあ」

「はあ、あまり気にしませんけど、そうかもしれませんね」

もうひとつ気づいたことがある。この子、かなり気難しい人みたいだ。これからうまくやっていけるだろうか……。


次の日、さっそくレッスンからスタートすることにした。

「いいか岡崎、まずはこの曲のDVDを見て、動きを覚えよう」

「はい。わかりました」

正直、僕もアドバイスできるか心配なんだけれど……

DVDが再生される。はじめてやるレッスンだし、曲も動きやすいリズムだ。

「……」

食い入るように岡崎は画面を見てる。やっぱり、真面目な子だ。


ひととおり見終わると、さっそく動きに入ってもらった。

「……」

岡崎は、DVDも巻き戻しながら動きを少しずつ覚えている。

うちはまだ小さいプロダクションなので、専属のトレーナーはいない。週3回来てくれるトレーナーさんも今日はいないので、完全に僕が動きを見るしかない。

……それにしても

「……」

まだまだ、気まずいなぁ


「はぁ……はぁ」

レッスンが始まってから、2時間くらい経った。そろそろ岡崎の顔に疲れが見えてきたな……。
今のところ順調に覚えていっているし、動きに問題はないのだけれど。

「よし、レッスンはここまでにしよう」

「はぁ……はい」

「お疲れさま。ほら、スポーツドリンクだ」

ドリンクを手渡す。岡崎はありがとうございますと言うと、こくこく飲み始めた。

「どうでしたか? 私……うまくやれていたでしょうか」

岡崎が聞いてくる。

「あぁ……とくに問題はないかな」

本当にないものは仕方がない。正直に答える他にない。

「そうですか……」


なにかないのか。と、そう言いたそうな顔だ。
しかし、今のところ動きに問題がないのは事実だ。

「今はまだ大丈夫だ。全部の動きが出来るようになってから、アドバイスするよ」

果たしてそのときアドバイス出来るのか。けど、なんとなく信頼してほしくて、そんなことをいってしまった。

「そうですか。では、明日までに完璧に動けるようにしますので、アドバイス、よろしくお願いします」

岡崎はハッキリと言った。意識が高すぎる……僕は呆気にとられてしまった。

「お願いしますね」

もう一度ハッキリと言われる。ちょっとプレッシャーが……

「あぁ……」

なんとなく返事をした。参ったな、見栄をはって変なこと言うんじゃなかった……


「さあ、どこか変なところがあったら言ってください」

次の日、岡崎は本当に一日で動きを覚えてきた。
まさかやってくるとは……

「あぁ……えと……」

言葉がでてこない。どうアドバイスしていいかわからないし、どこが間違ってて、あってるかも僕にはわからなかった。

「特に……ないかな」

「……はぁ……?」

岡崎は思い切りため息をはいた。刺すような視線が僕に降り注ぐ。

「ごめん……僕も最近入ったばかりだから、うまくアドバイス出来るかわかんなくて……」

なんとか出た言葉がこれ。今さらと言われても仕方がない。

「でもっ、よく一日で覚えてきたな! その調子なら……」

「最近入ったばかりだからとか、そんなこと言い訳にしかなりませんよ?」

重い言葉だった。まさか16歳の子にこんなこと言われるとは……


「私は、アイドルとして頑張っていきたいんです。プロデューサーがしっかりしてくれないと、私もレベルアップできません」

ごもっとも……確かに、岡崎をプロデュースしてるのは僕だし、僕が岡崎に頼られる知識をつけないといけないよな……

「ごめん、確かに岡崎の言う通りだ……僕がこんなんで、ごめん……」

謝ることしかできない。
一人の子を担当するのが初めてだから、ということを言い訳にしていたのかもしれない。

「本当に、お願いしますね。プロデューサー」

念を押されてしまった。
けど、ここまで言われちゃ男がすたる。岡崎に認められるよう、頑張ろう。


まずはレッスンの勉強をしなければ……。
研修で軽く習ったところを、さらに詳しく調べる必要があった。

「これは……大変かも」

目の前に、分厚いダンスに関する本の山。ボイストレーニングの本の山。さまざまなレッスンに関する本を集めた。

「けど、初めてできた担当アイドル。信頼してもらいたいなあ……」

よし、頑張るか!


「ありがとうございました」

レッスンが終わる。これで何回目だったか。ずっと僕からのアドバイスがないレッスンが続いていた。
今まではこのまま終了だったけど、今日はちょっと違う。

「岡崎、ちょっといいかな」

「……?」

ふふふ……キョトンとしてる岡崎が珍しくて、少し笑ってしまった。

「なんなんですか一体……」

呆れたような声で岡崎が言ってくる。ここで2週間、みっちり勉強した成果をだすぞ……

「さっきのところ、ちょっとズレてるぞ」

「……!?」

そんなに僕がアドバイスしたのが珍しいのだろうか。岡崎がビックリした顔でこちらを見ている。

「……ご指導、よろしくお願いします」

「任せてくれよっ」

初めて、担当プロデューサーらしいことをした気がする。


「なるほど……確かにズレてましたね……」

「ふふふ……ビックリしたか?」

「いえ、ようやくプロデューサーらしいことをしたなと……」

手厳しい子だな……まあそのとおりなんだけれど……

「でも、ありがとうございますプロデューサー」

「……うん」

感謝された……。
なんだか、いままでで一番嬉しかったかもしれない。

「レッスン、明日からもよろしくお願いしますねっプロデューサー?」

その日、僕は岡崎にちょっとだけ認められた気がした。


あの日から、岡崎はレッスンのことについて、よく僕に聞いてくるようになった。

「プロデューサー。ここのステップなんですけど……」

「あぁ、ここは音を聞いてから跳ねたら、タイミングが合うよきっと」

「なるほど……」

日中の仕事を終えたあと、家でも勉強していたおかげか、レッスンに関してはアドバイスが的確にできる気がする。

「頑張ってよかった……」

「へ……?」

「いやいや、なんでもない」


一週間後、初めて本格的な撮影の仕事が入った。
岡崎は元モデルだし、撮影に関しては本当になにも言うことがないかもしれないな……。

と、いうか僕自身撮影に関しての勉強はまったくしてないので、逆に助かるかもしれない。

「プロデューサー。来週の撮影ですけど……」

なんだか、岡崎が不安そうな顔をしている気がする。

「おう、なんだい?」

「実は……結構久しぶりなんです。撮影」

まさか……

「ご指導、頂けるとうれしいんです……」

頼られてしまった。担当アイドルに頼られたら、頑張るしかないよな……


「えーと、こんなもんかな……しかし、資料やビデオだけでも、相当あるなぁ」

このプロダクションには、僕と社長と、事務員が一人ずつしかいない。

「ここ、社長に聞こうかな……」

だから、プロデュースでなにかわからないことがあったら、現プロデューサー兼社長でもある、あの人に聞くか、自分で頑張るしかない。

「はぁ……忙しいだろうしなぁ。一週間で、これ覚えられるかな」

「けど、いままでずっと芸能界で頑張ってきた子に頼られてるんだもんな……」

望むことなら、プロデューサーとしてもっともっと頼られたい。
信頼関係がなければ、この業界はやっていけないから。

それに、頼られると、たまらなく嬉しくなるしな。


「泰葉ちゃん、はい、こっち向いて」

カメラマンが、岡崎のことをカメラで撮影している。今日が撮影の日だ。

「は、はい……」

やはり、久々にやると感覚を忘れるのか、少し岡崎は緊張しているように見えた。

「岡崎、ほら、もっと笑顔」

「はい……」

まだまだ固いなあ……よし

「ほら、社長の真似。ムッホン、岡崎泰葉君、頑張りたまえよ」

「ぷ、あはは……なんですかそれっ」

「君、なにやってんの……?」

カメラマンには不審な目で見られたけど、岡崎の緊張はうまくほぐれたかもしれない。

J( 'ー`)し おかあさんパソコン慣れてないけどたかしが毎日頑張ってなにか一生懸命なにか打ち込んでるから気になっちゃった

J( 'ー`)し これかしら……えすえす速報……ぶいあいぴー?

(`Д)>>1 ※NTR注意

J( 'ー`)し きっとこれね……たかしが書いてたのと同じ始まり方してるわ……英語の意味はわからないけど……


J( 'ー`)し 塞ぎ込みがちだったあの子が一生懸命書いてたものだもの……おかあさん、やっぱり気になるわ……

(`Д)>>1  「おはようございます。本日からお世話になります。――と申します」

J( 'ー`)し どんなお話なのかしら……?

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