真姫「わたしの帰る場所」 (111)


※真姫ちゃん誕生日おめでとうございます
※内容はほのまきです
※ご都合主義ハッピーエンドが大好きです
※違和感はことりのおやつにしてください


以上のことを容認した上で、最後までお付き合い頂ければ幸いです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1397833203

穂乃果「真姫ちゃん、お願いがあります」

真姫「な、何よ、かしこまっちゃって」

真姫「というか、いきなり音楽室に乱入しないでもらえる?」

真姫「べ、別に来ないでって言ってるわけじゃなくて、せめてノックくらいしなさいよ」

穂乃果「えへへ、ごめんね?」

真姫「まあいいわ、それでお願いってなんなの?」

穂乃果「えっとね……」

穂乃果「真姫ちゃん、私の妹になってください!!」


真姫「……………え?」

真姫「ええええええええええええええ!?」

真姫「あ、あんた突然何言ってんの!?」

穂乃果「ね、いいでしょ?」

真姫「そ、そんなの認められないわ!」

穂乃果「えー!なんでー?」

真姫「いきなりそんなこと言われても困るでしょ!少しは考えなさいよ!」

穂乃果「むー……真姫ちゃんは穂乃果がお姉ちゃんだと嫌?」

真姫「穂乃果がお姉ちゃん……?」

~~~~~~~~~~

真姫「ちょっと、お姉ちゃん!私のアイス勝手に食べたでしょ!」

穂乃果「ふふ、真姫ちゃんは怒ってる顔も可愛いね」

真姫「な、何言ってんのよ///」

真姫「そんなことじゃ誤魔化されないんだからね!」

穂乃果「うーん、それじゃあね」

ギュッ

真姫「えっ!?」

穂乃果「アイスよりも甘い時間をあげようかな」ナデナデ

真姫「あ……お姉ちゃん……///」

穂乃果「ほら、もっと顔を見せて?」

真姫「や、だ、駄目……」

穂乃果「可愛いよ、真姫ちゃん。食べちゃいたいくらい」

穂乃果「ほら、目を閉じて?」

真姫「ん……」

~~~~~~~~~~

穂乃果「真姫ちゃん?」

真姫「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

真姫「お、驚かさないでよ!」

穂乃果「驚いたのは穂乃果の方なんだけど」

穂乃果「ね、それでどうなの?穂乃果お姉ちゃんだよ?」

真姫「……ち、ちょっとだけなら付き合ってあげてもいいわよ」

穂乃果「本当!?わーい、真姫ちゃんありがとう!」

穂乃果「それじゃあ今日から真姫ちゃんは私の妹だよ、よろしくね」

真姫「……よろしく」

ーーーー次の日

キーンコーンカーンコーン

凛「ふー、やっと終わった、かよちん、真姫ちゃん、ご飯食べよ!」

真姫「ご飯もいいけど、授業ちゃんと聞いてたの?次のテストも赤点とらないようにしなさいよ」

凛「も、もちろんちゃんと聞いてたよ!勉強の話はやめてお弁当食べようよ」

真姫「全く……花陽からも少しは言ってあげなさい」

花陽「あはは……」

ガラッ

穂乃果「真姫ちゃんいるー?」

真姫「ほ、穂乃果!?」

凛「穂乃果ちゃんだにゃー」

花陽「なにしに来たんだろう?」

穂乃果「あ、いたいた、真姫ちゃん、お昼一緒に食べよう♪」

凛「!?」

花陽「!?」

真姫「ち、ちょっと穂乃果!いきなり教室にまで来てなんのーー」

穂乃果「穂乃果?」

真姫「う……」

穂乃果「じー」

真姫「え、ええと……」

穂乃果「…………」

真姫「ほ、穂乃果……お姉ちゃん///」カァッ

凛「」

花陽「」

穂乃果「えへへ、どうしたの、真姫ちゃん?」

真姫「ど、どうしたのじゃないわよ!なんで一年の教室に来てるのよ!」

穂乃果「真姫ちゃんとお昼ご飯が食べたかったからだよ」

穂乃果「嫌だった?」

真姫「べ、別に嫌じゃないけど……」

穂乃果「本当!?それじゃあ中庭に行こうよ。天気もいいし、気持ちいいよ」

真姫「う、うん……」


ガラガラ パタン

花陽「……お姉……ちゃん?」

凛「いつから真姫ちゃんは穂乃果ちゃんの妹になったんだろう」

凛「それに真姫ちゃん、顔が真っ赤だったし」

花陽「これは……許されない恋、姉妹百合!?」

凛「本当の姉妹じゃないけどね」

凛「あれ?でも穂乃果ちゃんって妹がいたような気が」

花陽「そ、そういえば……」

凛「どういうことだにゃー?」

ーーーー中庭

パクッ

穂乃果「うん、やっぱり授業後のご飯は美味しいね」

真姫「まだ午後の授業が残ってるわよ」

穂乃果「う……真姫ちゃんの意地悪」

真姫「本当のことを言っただけじゃない」

穂乃果「傷ついた穂乃果ちゃんを癒すには、真姫ちゃんのお弁当が必要です」

真姫「なんでそうなるのよ」

穂乃果「真姫ちゃんの卵焼き美味しそう、一つちょーだい?」

真姫「な、なんであげなくちゃいけないのよ」

穂乃果「ねえ真姫ちゃーん、おねがーい!」ギュゥ

真姫「ひゃぅ!?いきなり抱きつかないで!」

真姫「わかった、わかったから!だから離れて!」

穂乃果「えへへ、ありがとう♪」

真姫「全く、調子いいんだから」

真姫「ほら、早く食べなさーー」

穂乃果「あーん」

真姫「」

真姫「な、なにしてんのよ///」

穂乃果「あーん」

真姫「ぅ……///」

スッ

パクッ

穂乃果「ん~~美味しい♪」

真姫「なにさせんのよ!」

穂乃果「ん?なにが?」

真姫「あーん、なんて恥ずかしい真似させたことよ!」

穂乃果「だって真姫ちゃんにあーんしてもらうと幸せの味がするんだもん」

真姫「意味わかんない!」

穂乃果「それよりこのお弁当、真姫ちゃんが自分で作ったの?」

真姫「うぇっ!?」

真姫「え、えーと……そ、そうよ、もちろん私が作ったのよ」

穂乃果「すごい!真姫ちゃん料理上手なんだね!」

真姫「あ、当たり前じゃない、私を誰だと思ってるのよ」

穂乃果「ねえねえ、それなら今度穂乃果のお弁当も作ってよ!真姫ちゃんなら楽勝だよね?」

真姫「当然よ!穂乃果のお弁当くらい朝飯前……うぇぇ!?」

穂乃果「やったー!真姫ちゃんのお弁当、楽しみ♪」

真姫「あ……えーと……あの……」

穂乃果「楽しみにしてるね、真姫ちゃん」ニコッ

真姫「……っ//」

真姫(料理の練習、しておかないとね)

穂乃果「そうだ、真姫ちゃん、今週の土曜日って空いてる?」

真姫「空いてるけど……どうしたの?」

穂乃果「うーんとね、星を見に行かない?」

真姫「星を見に?天体観測ってこと?穂乃果ってそんなーー」

穂乃果「むー」

真姫「……穂乃果お姉ちゃんって星に興味とかあるの?」

穂乃果「うん、だってあんなに綺麗に輝いてるんだもん」

穂乃果「それに、真姫ちゃんと星を見るのってとっても楽しそうなんだもん」

真姫「し、しかたないわね、それならこの真姫ちゃんがいろいろ教えてあげるわ」

真姫「こっちも楽しみにしてなさいよ!」

ーーーー土曜日

真姫「……遅い」

真姫「迎えに来るって言った時間はとっくに過ぎてるのにどこほっつき歩いてるのよ!」

真姫「べ、別に楽しみにしてるわけじゃないけど、私のお姉ちゃんならしっかりしてもらわないと」

真姫「…………」

真姫「お姉ちゃん……か」

真姫「最初に言われた時はどうなるのかって思ってたけど、凄い変化はなかったわね」

真姫「変わったことといえば、一緒にお昼食べたり、一緒におでかけしたり」

真姫「前よりもよく喋るようになったことくらい……かな」

真姫「…………」

真姫「これってまるで……姉妹というより……こ、恋人みたいじゃ///」

ピンポーン

真姫「ひゃぁぁぁ!?」

ガチャ

穂乃果「こんばんは、真姫ちゃん!」

穂乃果「……あれ?ちょっと顔が赤くない?どうかしたの?」

真姫「な、なんでもないわよ!」

真姫「それより遅いじゃない!なにしてたのよ!」

穂乃果「それはね……ジャーン!」

真姫「これは……自転車?」

穂乃果「うん!ちょっと遠くなるって言ってたから持ってきたの」

穂乃果「ただ、あんまり使ってなくて、結構汚れたたから綺麗にしてたんだ」

穂乃果「でも、気づいたのが真姫ちゃんの家に行こうって時だっから遅れちゃったんだよね」

穂乃果「ちゃんと考えて用意しておけばよかったんだけど……」

穂乃果「ごめんね?」

真姫「……別にいいわよ」

真姫「私のために自転車を用意してくれたんでしょ?」

真姫「それなら謝る必要ないわ」

真姫「そうやってすぐに謝る癖はやめて、もっと自分に自信を持ちなさいよ」

真姫「……私のお姉ちゃんなんでしょ?」

穂乃果「……うん!」

穂乃果「それじゃあ真姫ちゃん、後ろに乗って」

真姫「……事故は起こさないでよ」

穂乃果「大丈夫大丈夫!」

ガタッ

穂乃果「よーし、それじゃあしっかり捕まっててね」

真姫「う、うん」ギュ

穂乃果「いくよ!それ!」

ヒュオオオオオオ


ーーー
ーー

ザッザッザッ

穂乃果「真姫ちゃーん、まだつかないのー?」

真姫「もうちょっとよ」

穂乃果「その台詞、さっきも聞いた気がするよぅ……もう30分くらい歩いてない?」

真姫「その台詞は5分前に聞いたし、まだ10分くらいしか歩いてないわよ」

穂乃果「そ、そうだっけ?」

真姫「はぁ…本当にもう少しでつくから、楽しみにしてなさい」

穂乃果「はーい」

穂乃果「それにしても、まさか丘に来るなんて」

穂乃果「どっかの公園にでも行くかと思ってたよ」

真姫「……街中だと、明かりがあるせいで星が見にくいのよ」

真姫「だからあんまり光のない所に行くの」

穂乃果「へぇ~」

真姫「……ねぇ」

穂乃果「ん?」

真姫「本当に、重くないの?」

穂乃果「あ、これ?」

穂乃果「えへへ、心配してくれてありがとう」

穂乃果「でも大丈夫だよ、穂乃果お姉ちゃんは力持ちだから、真姫ちゃんの望遠鏡くらい軽々だよ!」

真姫「……ありがとう」

真姫「無理だけはしないでね」

穂乃果「わかってるよー。そんなに信用ないかな~?」

真姫「…………」ザッ

穂乃果「真姫ちゃん?」

真姫「向こう、見てみなさい」

穂乃果「え?」

穂乃果「…………わぁ」

穂乃果「すっごく綺麗……」

真姫「どう?真姫ちゃんのお気に入りの場所は」

真姫「ここは人もほとんどこない穴場だから、天体観測には最適よ」

真姫「そんな場所を教えてもらえるんだから、真姫ちゃんに感謝しなさいよ?」

穂乃果「……うん、ありがとう、真姫ちゃん」

真姫「うぇっ?わ、わかればいいのよ」

真姫(なんか調子狂うわね)

真姫(お姉ちゃん、ちょっと元気がない?)

穂乃果「ねえねえ、望遠鏡使おうよ!これどうやって組み立てるの?」

真姫(考え過ぎかしらね)

穂乃果「あの星知ってるよ、確かデネブだよね?」

真姫「あれはしし座のデネボラね」

穂乃果「あれ?じゃあ、あれはアルタイルとベガ?」

真姫「……それはスピカとアークトゥルスよ」

穂乃果「えー、夏の大三角じゃないの?」

真姫「今は春よ!どうして夏になるのよ!」

穂乃果「最近暖かいから?」

真姫「……穂乃果お姉ちゃんはもうちょっと勉強したほうがいいんじゃないの?」

穂乃果「星はあんまりやらないし……」

真姫「これは常識でしょ!」

穂乃果「そうだっけ?あ、あっちの白色の星はなにかな?」

真姫「全く……あの星はりょうーー」



キラッ

真姫「!」

穂乃果「流れ星!」

ヒュン

真姫「…………流れ星なんて、久しぶりに見たわ」

穂乃果「穂乃果も……何年ぶりだろう」

真姫「…………」

穂乃果「…………」

穂乃果「ねえねえ、真姫ちゃんはなんてお願いしたの?」

真姫「うぇ!?わ、私は、別に何もお願いしてないわよ」

穂乃果「えーもったいないよー、せっかく見れたのに」

真姫「流れ星くらい、そんなに珍しいものでもないじゃない」

穂乃果「あれ、さっき見るのは久しぶりって……」

真姫「う、うるさいわね!それならお姉ちゃんはなんてお願いしたのよ!」

穂乃果「穂乃果?穂乃果はね」


穂乃果「真姫ちゃんと、ずっと一緒にいれますようにって」

真姫「……っ///」

穂乃果「えへへ、言葉にするとちょっと恥ずかしいね」

穂乃果「でも本当だよ。穂乃果は、真姫ちゃんとずっと一緒にいたいの」

穂乃果「だから真姫ちゃんには遠慮してほしくないんだ」

真姫「遠慮……?」

真姫「私は別に遠慮なんてしてないわよ」

穂乃果「もう、わかんないかなぁ」

穂乃果「穂乃果お姉ちゃんの前では、素直になってってことだよ」

真姫「素直にって……私はいつも自分に正直よ」

穂乃果「そうやって嘘ついちゃうの、真姫ちゃんの悪い癖だと思うよ」

真姫「う、嘘なんてついてないわよ」

穂乃果「ついてるよ、だってさ」

ギュッ

真姫「っ!?」

穂乃果「ほら、こんなにも体が冷たくなってるもん」

穂乃果「春って言っても、夜はまだ冷えるもんね」

穂乃果「本当は寒かったんでしょ?」

真姫「……どうしてわかったの?」

穂乃果「だって、穂乃果は真姫ちゃんのお姉ちゃんなんだもん」

穂乃果「可愛い妹のことなら、なんだってわかるの」

穂乃果「だからさ、お姉ちゃんにならもっと甘えていいんだよ」

穂乃果「どんな真姫ちゃんだって、絶対に受け止めてあげるから」

真姫「…………」

真姫(暖かい……)

真姫(こうやって誰かに抱きしめられるのって、いつ以来だっけ)

真姫(いつも人の目を気にして、両親にも強がってみせて)

真姫(常に人との間に壁をはって生きてきた)

真姫(だから、私のことをきちんと見てくれてる人なんていないと思ってた)

真姫(それに、弱みを見せるなんて恥ずかしいこと、できるわけがない)

真姫(ましてや、甘えられる人なんて)

真姫(……でも)

ギュゥ

穂乃果「!」

穂乃果「真姫ちゃん……?」

真姫「…………なさいよ」

穂乃果「え?」

真姫「覚悟、しなさいよ」

真姫「わがままとか、たくさん言っちゃうんだから」

真姫「……よろしくね、お姉ちゃん」

穂乃果「…………うん!」

ーーーー次の日

ガラッ

穂乃果「真姫ちゃんいるー?」

凛「また穂乃果ちゃんが来たね」

花陽「あはは、今日も真姫ちゃんを呼んでるね」

凛「はぁ……ほら、真姫ちゃん、穂乃果ちゃんが呼んでーー」

真姫「お姉ちゃん!いるよー!」

凛「」

花陽「」

穂乃果「急いで来たんだけど、待たせちゃったかな?」

真姫「ううん、今授業終わったとこ」

穂乃果「それならいいタイミングだったかな。ちゃんといい子にしてた?」

真姫「子供じゃないんだから大丈夫よ。お姉ちゃんこそ、授業中に寝てたりしてないでしょうね?」

穂乃果「う……」

真姫「もう、仕方ないんだから。それなら今度、真姫ちゃんの家で勉強会をしましょう。家庭教師をしてあげるわ」

真姫「こんなことしてあげるの、お姉ちゃんだけなんだからね?」

穂乃果「真姫ちゃん家でお泊まり会かぁ、楽しみだね」

真姫「お泊まり会じゃなくて、勉強するのよ」

穂乃果「えー、真姫ちゃんが可愛すぎて勉強に集中なんてできないよ」

真姫「もう、お姉ちゃんたら///」

真姫「そうだ!今日はお姉ちゃんにお弁当を作ってきたの!」

穂乃果「本当!?真姫ちゃんのお弁当、すっごく楽しみにしてたの!」

凛(どうせ黒コゲだにゃー)

花陽(凛ちゃん……)

カパッ

穂乃果「わぁ、すっごく美味しそう!」

真姫「はい、お姉ちゃん、あーん」

穂乃果「あーん」

パクッ

穂乃果「美味しい!やっぱり真姫ちゃんは料理の天才だよ!」

真姫「えへへ、喜んでもらえてよかった」

真姫「でも……本当はこのお弁当、ママに手伝ってもらったの」

真姫「本当は私、料理なんてしたことなかったから……この間はお姉ちゃんに嘘ついちゃった」

真姫「ごめんなさい……」

穂乃果「いいんだよ、真姫ちゃん」

穂乃果「そうやって強がっちゃう所も、お姉ちゃんは大好きだから」

穂乃果「それに、料理をしたことがなかったのに、私のために一生懸命作ってくれたんだよね?」

穂乃果「それなら、ありがとう……だよ」

真姫「お姉ちゃん……」

真姫「大好き!」ダキッ

穂乃果「わっ!真姫ちゃん!?」

真姫「えへへ、お姉ちゃーん」スリスリ

穂乃果「もう、真姫ちゃんは甘えん坊さんなんだから」

真姫「甘えん坊な私は嫌い……?」

穂乃果「ううん、どんな真姫ちゃんも大好きだよ」ナデナデ

真姫「よかったぁ」

花陽(胸焼けおこしちゃいそう……ダレカタスケテー)

凛(チョットマッテテー)

真姫「あ、お姉ちゃん、口元にケチャップがついてる」

穂乃果「え、本当?」

真姫「うん、ちょっとまってて」

ペロッ

穂乃果「ま、真姫ちゃん!?」

真姫「こ、こっちの方が早くとれそうだったから///」

穂乃果「あ、ありがとう///」

真姫「う、うん……///」


凛「うがー!もうやめるにゃー!」


穂乃果「!?」

真姫「!?」

穂乃果「どうしたの、凛ちゃん?」

凛「どうしたの、じゃないよ!教室を見回して見てよ!」


「駄目……お弁当食べられそうにない」

「甘すぎる……暫くチョコレートはいいや」

「口から角砂糖吐きそう……」


凛「二人のせいで皆まいっちゃってるんだよ!?」

凛「ちょっとは周りのことも考えて!」

真姫「お姉ちゃん……怖いよ」ギュッ

凛「言ったそばから何してるの!?だいたい、真姫ちゃんはそんかキャラじゃないでしょ!?」

凛「どうしてそんな甘えん坊さんになっちゃってるの!週末の間に何があったの!?」

真姫「ぅぅ……」

穂乃果「凛ちゃん、真姫ちゃんを虐めちゃだめだよ」

穂乃果「真姫ちゃんは強気な子に見えるかもしれないけど、本当は心の優しい寂しがりやさんなの」

凛「穂乃果ちゃんも優しい笑顔で真姫ちゃんを見ないでよ!」

凛「二人ともどうしちゃったの!?」

真姫「お姉ちゃん……かばってくれて、ありがとう」

穂乃果「ううん、真姫ちゃんを守るなんて当然のことだよ」

穂乃果「何があっても、お姉ちゃんが守ってあげるからね?」

真姫「お姉ちゃん……」

穂乃果「真姫ちゃん……」


凛「……もう嫌だにゃ」

花陽「あはは……」

穂乃果「そうだ、今度、真姫ちゃんの誕生日だけど、何か欲しいものとかある?」

真姫「んー……私はお姉ちゃんがいてくれたらそれでいいかな」

穂乃果「えへへ、嬉しいな。でも、遠慮しなくていいんだよ?」

真姫「うーん、それじゃあ、誕生日に天体観測に行きましょう」

穂乃果「もう一度?」

真姫「うん……流れ星をもう一度、お姉ちゃんと見たいの///」

真姫「いい……かな?」

穂乃果「いいよ、私も真姫ちゃんと一緒にいたいし」

穂乃果「流れ星、一緒に見つけようね」

真姫「うん!」


凛(明日からは別の場所でご飯食べよっと)


ーーー
ーー

凛「というのがここ最近毎日起きてるんだよね……」

希「凛ちゃんも大変やな」

凛「凛はまだましだよ。かよちんが……」

絵里「花陽がどうしたの?」

凛「うん……お昼の度に激甘トークと惚気話に曝されて……」チラッ


花陽「お、お米……?う、口の中が甘く……」


凛「お米恐怖症になっちゃいそうなの」

絵里「完全にトラウマになってるじゃない!?」

凛「クラスの皆も、最近はお昼が始まると教室から出て行くようになっちゃってるし……」

にこ「全く、なにやってんのよあの二人は。皆の前でイチャつくなんて、スクールアイドルとしての自覚が足りてないんじゃないの?」

にこ「スキャンダルにでもなったらどうする気なのよ」

凛「スキャンダルよりも凛達を気にして欲しいよ」

絵里「そんなに可愛い真姫なら、一度見てみたいものね」

絵里「……あら、この書きかけの楽譜……真姫のじゃない」

絵里「音楽室にいるわよね?ちょっと行って届けてくるわ」

ーーーー音楽室

真姫「うーん……」

真姫「お姉ちゃんの曲にしてはちょっとおとなしいかな?」

真姫「でもでも、こういう真面目な曲を歌うお姉ちゃんもカッコいいし……」

真姫「もしも『この曲は、真姫に向けて歌うよ』なんて言われたら真姫ちゃん困っちゃうっ」

真姫「二人だけの思い出の曲にしちゃおうかしら♪」

真姫「やんやん♪」


絵里(入り辛い……!)

絵里(ちょっとまって、今音楽室の中にいるのは本物の真姫なの!?)

絵里(まだ宇宙人って言われた方が信じるわよ!?)

絵里(いや、というかあの子、新曲を完全に私物化してるんじゃないの……?)

絵里(凛が少し大袈裟に喋ってるのかと思ってたけど、これは本当に凄いわね……)

絵里(…………)コンコン

真姫「うぇぇぇぇぇ!?」ガタガタッ

絵里「…………お邪魔するわよ、真姫」ガラッ

真姫「えええええええ絵里!ど、どうしたのよ!?」

絵里(あなたこそどうしたのよ)

絵里「いえ、楽譜が落ちてたから届けに来たのよ」

真姫「そ、そうなの、ありがとう」

絵里「……これ、穂乃果の曲よね。もしかして、歌詞も自分でつけたの?」

真姫「え、ええ、たまには自分で書いてみるのもいいかなって」

絵里「へぇ、そうだったの」

絵里「うん、とってもいい曲だと思うわ」

真姫「……ありがとう」

絵里「最近は真姫も穂乃果も元気になってきたみたいで安心したわ」

真姫「べ、別に私は元気とかそういうの……ん、お姉ちゃん?」

真姫「お姉ちゃん、元気なかったの?」

絵里「ええ、ちょっと前までね」

真姫「ど、どうして?」

絵里「確か、妹と喧嘩をしたのが原因なはずよ」

真姫「わ、私!?」

絵里「違うわよ、真姫じゃないわ」


絵里「本物の妹とよ」

真姫「っ!」

絵里「私の妹が穂乃果の妹と仲がよくてね、そこから聞いたんだけど、すごい大喧嘩をしたらしいわよ」

絵里「穂乃果、妹さんのこと好きだったから、すっごいショックを受けてたみたい」

絵里「皆の前では平気な振りをしてたけど、心の中では凄い悩んでたと思うわ」

絵里「でも、最近はよく笑うようになってるし、もう大丈夫そうね」

絵里「それじゃ、私は部室に戻るわ。曲作り、頑張ってね」

バタン

真姫「…………」

真姫(穂乃果に……妹?)

真姫(そうだ、確かにいた。どうして今まで忘れていたの……?)

真姫(そして、その妹と大喧嘩をして、私に妹になってって頼みにきて……)

真姫(これって……つまり……)



真姫「私は、代用品として使われたの……?」

ガラッ

穂乃果「真姫ちゃーん、いるー?」

穂乃果「ごめんねー、先生に呼び出されてさ、いろいろ話してたら来るの遅くなっちゃった」

穂乃果「ねえねえ、今日もなんか歌ってよ、穂乃果、真姫ちゃんの歌大好きなんだ」

穂乃果「…………?」

穂乃果「真姫ちゃん?」

真姫「…………よくも」

真姫「よくも……私を騙したわね」

穂乃果「え?」

穂乃果「ま、真姫ちゃん?いきなりどうしーー」

真姫「私の名前を呼ぶな!」

穂乃果「!?」

真姫「騙したくせに、ぬけぬけと私の名前が呼ばないでよ!」

穂乃果「ま、真姫ちゃん、落ち着いてよ、一体なんの話をしてるの?騙すってなんなの?」

真姫「……そう、あくまでもとぼけるつもりなのね、それなら教えてあげるわ」

真姫「私を妹にしたいって話よ」

穂乃果「別に騙してないよ!穂乃果は本当にーー」

真姫「あなたには妹がいるのに?」

穂乃果「!」

真姫「それも、随分と仲がいい、可愛い妹が……ね」

真姫「そんな人が妹を欲しがるわけがないものね?」

穂乃果「……違うの、お願い、話を聞いて」

真姫「聞く話なんてないわ。だって私を妹にした理由はわかってるんだもの」

穂乃果「え……?」

真姫「あなた、妹と喧嘩したんですって?」

穂乃果「っ!?」

真姫「図星……ね、やっぱりそうだったのね」

真姫「その寂しさを紛らわすために、私を妹の代用品にした!」

穂乃果「違う……」

真姫「それ以外になにがあるっていうのよ!?」

真姫「まともな人間なら、妹と喧嘩した時に新しい妹をつくろうだなんて思わないわ!」

真姫「私が騙しやすいから、都合のいい妹扱いしたんでしょ!」

真姫「私が照れて、喜んで、一喜一憂する姿を見て、心の中で笑ってたんでしょ!?」

穂乃果「そ、そんな……穂乃果は……ただ、真姫ちゃんと」

真姫「まだとぼけるの!?それなら説明してよ!なんで私を妹にしたいって言い出したのか!どうして本物の妹と喧嘩したタイミングで言い出したのか!」

穂乃果「…………っ」

穂乃果「そ、それは…………」

真姫「…………」

穂乃果「…………」

真姫「……なんとかいいなさいよ」

穂乃果「…………」

真姫「ねぇ、黙ってないで、何か言ってよ、否定してよ」

穂乃果「っ……」

真姫「なんで何も言わないのよ」

真姫「その沈黙を私は答えと受け取らなければならないの!?」

穂乃果「……ごめん」

真姫「そんな言葉が聞きたいんじゃないわよ!」

真姫「…………もういいわ」

真姫「ここまで馬鹿にされたのは始めてよ」

真姫「それに、こんな屈辱もね」

真姫「私は絶対にあなたを許さない」

真姫「だから、これでさようならよ」



真姫「二度と私に話かけないで」

ーーーー真姫の部屋

パタン

真姫「…………っ」グスッ

真姫「なんで……なんでよ……」

真姫「なんでこんな酷いことするのよ……穂乃果ぁ……」ポロポロ

真姫「楽しかったのに……私でも、普通の女の子みたいに笑ってもいいって思えたのに……」

真姫「私の甘えられる場所が出来たと思ったのに……!」

真姫「私に言ってくれた言葉も、全部嘘だったの?」

真姫「ずっと一緒にいたいって言ってくれて、とっても嬉しかったのに……」

真姫「それなのに……どうして……」

真姫「……胸が痛いよ……こんなの、耐えられないよ」

真姫「こんな、こんなにも苦しい思いをするなら……」

真姫「最初から知りたくなんてなかった!」

真姫「お願いだから助けに来てよ……」

真姫「いつもみたいに私を守ってよ」

真姫「流れ星を見てくれるって約束したじゃない……このままお別れなんて絶対嫌よ」

真姫「私の心に気づいてよ……」

真姫「このままじゃ、私、本当に壊れちゃう」

真姫「お姉ちゃん……」


『くだらないわね』


真姫「!?」

真姫「だ、誰!?」

『こんなことで泣くなんて、無様以外の何物でもないわ』

真姫「な、何よ……何処にいるの……」

『たった一人の人間に心を奪われて、一喜一憂して、無意味な時間を過ごす』

『まるで普通の女の子みたいね』

真姫「だったらなんだって言うのよ!好き勝手言って……一体何者なのよ!?」

『わからないの?本当に?それなら教えてあげるわ』

真姫『私は西木野真姫』

真姫『あなたがあるべき姿よ』

真姫「なっ!?」

真姫(もう一人の……私?)

真姫(そんなこと……あるわけがない)

真姫(西木野真姫は私……二人目なんていない)

真姫(それなら、この私は……)

真姫(まさか……統合失調症……?)

真姫「……一体、もう一人の私がなんの用よ」

真姫『あまりにも見るに耐えなくなったから、文句を言いにきたのよ』

真姫「余計なお世話よ、とっとと帰りなさい」

真姫『はいそうですか、って帰るわけないでしょ』

真姫『単刀直入に言ってあげるわ、今のあんたは、西木野真姫として相応しくないの』

真姫「っ!あんたに人格を否定されるいわれはないわ!」

真姫『あるわよ、だって、今のあなたは何も見えていないもの』

真姫『いい、教えてあげるわ』

真姫『西木野真姫は完璧な存在じゃなくてはならない』

真姫『医学部に入って、医者になるための学力』

真姫『誰にも弱みを見せない、感情のコートロール』

真姫『選ばれた人間ゆえに、他人からは一目置かれる存在』

真姫『そうでなくてはならない』

真姫「勉強なら……きちんとやってるじゃない」

真姫『ええ、そうね、きちんとやっていたわ』

真姫『だから私は我慢してあげてたのよ、医者になることが、西木野真姫の最低条件なのだから』

真姫「…………っ」

真姫『でも、今のあなたはどう?』

真姫『大好きな人に裏切られて、悲しみに沈んで』

真姫『頭の中がぐちゃぐちゃになって、勉強にも手がつかない』

真姫『こんなみっともない姿、見逃せるわけないでしょう』

真姫『他人と触れ合いすぎたせいで、あなたは弱くなったのよ』

真姫「違う!私はーー」

真姫『何が違うの?今の自分の姿、見てみたら?μ'sなんてくだらない仲間と触れ合う暇があったら、勉強でもしなさい』

真姫「皆のことを悪く言わないで!」

真姫「私は……皆に大事な物をもらったのよ。一人じゃ絶対に手に入れられないーー」

真姫『綺麗事を並べるのはやめなさい』

真姫『いい?西木野真姫には『友達』なんてものは枷でしかないのよ』

真姫『スクールアイドルなんて遊びのせいで、人生を踏み外しては駄目』

真姫「スクールアイドルは遊びじゃない!」

真姫『遊びよ。あんなもの、将来何の役にも立たないわ』

真姫「だったらなんだっていうのよ!なんでそこまで否定されなきゃいけないの!?」

真姫『…………醜いわね』

真姫『感情の起伏が激しすぎて、冷静な思考もできないなんて』

真姫『こんなのが私なんて、頭が痛くなるわ』

真姫『これも全部、高坂穂乃果が悪いのよ』

真姫「え……?」

真姫『あの女がいなければ、あなたはμ'sに入ることなんてなかった』

真姫『他人と関わることなんてなかった』

真姫『こんな風になることはなかった』

真姫『お姉ちゃん?甘える?何を馬鹿なことを言ってるの』

真姫『そんなもののせいで、西木野真姫は壊れた』

真姫『全てあの女が悪いのよ』

真姫「違う!お姉ちゃんは悪くない!」

真姫『あの女をかばうの?どうして?』

真姫「お姉ちゃんは……私に優しくしてくれた。私に温もりをくれたの。だからーー』

真姫『何処にあるのよ?』

真姫「え?」

真姫『その温もりは、何処にあるのか聞いてるのよ』

真姫「そ、そんなの……」

真姫『答えられないわよね?自分で捨てたんだから。二度と話しかけないでってね』

真姫『わかる?あなたにはもう帰る場所なんてないの』

真姫『いい加減目を覚ましなさい』

真姫「いや……いや……!」

真姫「助けて……お姉ちゃん!」

真姫『その頼りになるお姉ちゃんは、自分のためにあなたを代用品として使ったわよね』

真姫『止めて……何も言わないで……もう許してよ……」ポロポロ

真姫「お願い……もう耐えられない……」

真姫『…………そう』

真姫『それなら、思考を停止しなさい』

真姫『あなたの目的は医者になること』

真姫『それ以外は、全てゴミよ』

真姫「そ、そんなの……」

真姫『それとも、このまま生きてみる?』

真姫『勉強に手を付けられず、大切な人に裏切られた、絶望のルートを』

真姫『終わりのない地獄への道を』

真姫「……ぁ」

真姫『さあ、選びなさい』



真姫『生か死か』



ーーー
ーー

凛「真姫ちゃーん」

真姫「何?」

凛「えっと、今日の帰りにラーメンを食べにいかない?」

真姫「いかないわ」

凛「えー!一緒にいーー」

真姫「用はそれだけ?それなら帰るわよ」

凛「あっ…………」

バタン

凛「真姫ちゃん、どうしちゃったんだろ……」

花陽「最近、穂乃果ちゃんも来なくなってるよね……」

スタスタスタ

真姫「…………」

穂乃果「…………あ」

真姫「…………」スタスタスタ

穂乃果「ま、真姫ちゃん……」

真姫「…………」スタスタスタ

穂乃果「……っ!真姫ちゃん!」

真姫「…………」ピタッ




真姫「何か用ですか、高坂先輩?」

穂乃果「っ!?」

真姫「用がないなら、引きとめないでください」

真姫「私は先輩と違って忙しいので」

真姫「それでは」クルッ

スタスタスタ

穂乃果「…………ぁ」

穂乃果「ま、待って……」

穂乃果「……真姫……ちゃん」

ーーーー部室

凛「最近、真姫ちゃんが冷たい気がするの」

海未「確かに、感情を押し殺しているようにみえますね」

凛「うん……それに、誘っても全部断られて……真姫ちゃんは、どうしちゃったんだろ」

海未「わかりません、ですが、なんとかしていつもの真姫に戻って欲しいですね」

絵里「そうね、それも早急に」

海未「絵里?」

海未「どういうことですか?」

絵里「このまま行くと、真姫が壊れるかもしれない」

凛「な、なんで!?」

絵里「……真姫は元々、感情を表にださず、自分の中に溜め込むタイプだった」

絵里「それが少しずつだけど、改善されてきて、ちょっと前には自分の甘えたい心まで出すようになった」

絵里「感情を出すことに慣れてしまった人が、急に感情を抱え込んだらどうなると思う?」

絵里「…………確実に壊れるわ」

絵里「今はまだ大丈夫だけど、ふとしたきっかけ、なにかの弾み、それでダムが決壊したら……二度とあの頃の真姫には戻れないでしょうね」

凛「そんな!?」

希「かなりまずい状況……か」

海未「なんとか助けてあげられないんですか?」

絵里「……心を閉ざしてしまってる真姫に、私たちが何を言っても無駄よ」

絵里「もし、助けられるとするなら……」

「「「「………」」」」

穂乃果「…………」

ーーーー真姫の部屋

真姫「…………」ペラッ

真姫「…………」カリカリ

真姫「……ふぅ」コトン

真姫「…………」

真姫「……まだ0:00時。少し休憩してから、もっと頑張らないと」

真姫「私は、医者にならなくちゃいけないんだから」

真姫「そういえば、今日は私の……」

真姫「…………」

真姫「いえ、関係ないわ。少し風にあたりましょう」

ガラッ

真姫「……いい風ね」

真姫「天気もいいし、天体観測をするなら絶好のーー」

真姫「天体……観測?」



穂乃果『流れ星、一緒に見つけようね』



真姫「っ!?」

真姫「な、なんで今さら……」

真姫「あんな約束、無効になってるに決まってるじゃない」

真姫「行った所で、徒労に終わるだけ」

真姫「それに、天体観測なんて……医者になるのに必要ない」

真姫「そのはずなのに……」

真姫「…………」

真姫「気分転換に、少し風にあたるだけ」

真姫「それだけよ」

スタスタスタ

真姫「……静かね」

真姫「時間が時間だし、それも当然か」

真姫「それでも……こんなにもひと気がないと、まるで……」



真姫「世界に一人だけ取り残されたみたい」

真姫「…………っ」

ダッ

真姫(なんで私は走ってるの?)

真姫(人がいないのが心細いから?)

真姫(自分で人との関わりを否定したのに?)

真姫(私はどうしたいの?何がしたいの?)

真姫(わからない、わからないよ、でも……)

真姫(誰かに……会いたい)

タタタタタタ

真姫「もう少し……」ハァハァ

真姫(苦しい)

真姫(なんでこんな思いをしてまで走ってるの?)

真姫「もうちょっとだから……」ハァハァ

真姫(こんなの無意味なことじゃないの?)

真姫「そこに……いてよ」

真姫(私は……)



真姫「穂乃果ッ!」

真姫「…………」

真姫「いない……か」

真姫「当たり前よね、私が拒絶したんだから」

真姫「二度と話しかけないでって……突き放したんだから」ポロッ

真姫「……ぐすっ」

真姫「悲しくなんて……ない……」

真姫「だって……っ……これは、私が医者になるのに……ぅ……関係ない……」

真姫「そのはずなのに……なんで」


真姫「なんで、こんなにも涙が溢れてくるのよ……」ポロポロ

真姫「もう嫌よこんな世界……」

真姫「誰かと親しくなったら傷ついて」

真姫「傷つくのが嫌だからって距離をとると孤独になる」

真姫「こんなのどうしようもないじゃない!」

真姫「なんで皆はこんな世界で生きていられるのよ!」

真姫「どうして笑っていられるのよ!」

真姫「医者にならなきゃならない!?なんで!?」

真姫「皆が遊んでいるのにどうして私だけ勉強しなきゃいけないの!?」

真姫「私だって皆と一緒に笑いたいのに!遊びに行きたいのに!」

真姫「私は一体何をしてるの!?何がしたいの!?何をするのか正しいの!?」

真姫「わかんない……わかんないよ!私は何をすればいいの……誰か教えてよ……」

真姫「私を助けてよ……」

真姫「穂乃果ぁ……」


ギュッ


真姫「え……?」

穂乃果「ごめんね、遅くなって」

真姫「嘘……穂乃果……?」

穂乃果「うん、穂乃果だよ、真姫ちゃん」

真姫「なんで、穂乃果がここに」

穂乃果「真姫ちゃんが悲しんでるから」

真姫「……っ!私は、あなたに、あれだけ酷いことを言ったのよ!?」

真姫「それなのにどうしてまだ私に優しくしてくれるの!?」

穂乃果「……酷いことをしたのは穂乃果の方だよ」

穂乃果「雪穂と喧嘩して、寂しい思いをしてる時に、真姫ちゃんが妹だったらって考えちゃったの」

穂乃果「人と人とを比べるのが良くないことだってのはわかってたのに……ね」

穂乃果「それでも、真姫ちゃんにお姉ちゃんって呼ばれて、一緒に過ごして、甘えられて」

穂乃果「穂乃果は本当に幸せだったの」

穂乃果「この時間が永遠に続けばいいのにって思っちゃうくらい」

穂乃果「自分の妹から目を背けて……ね」

穂乃果「結局、穂乃果は駄目なお姉ちゃんだったってこと」

穂乃果「妹を悲しませる、最低なお姉ちゃん」

穂乃果「だから、真姫ちゃんに謝りたかったんだ」

穂乃果「穂乃果のせいで、真姫ちゃんを傷つけちゃったから……」

穂乃果「ごめんなさい」

真姫「……お姉ちゃんは、最低なんかじゃなかったわよ」

穂乃果「え?」

真姫「私も、穂乃果がお姉ちゃんになってくれた時間はとっても楽しかったの」

真姫「ご飯を食べさせあったり、放課後遊びに行ったり、天体観測をしたり」

真姫「こんな私に、普通の女の子みたいな時間をくれた」

真姫「それに、素直になれない私を引っ張ってくれて……」

真姫「ねぇ、知ってる?私があんな風に甘えるの、穂乃果お姉ちゃんだけだったんだよ」

真姫「もちろん、甘えるのは恥ずかしいけど、優しくて、暖かくて、私の全てを受け入れてくれる……」

真姫「そんな風に安心できたの」

真姫「私の方こそ、謝るべきなのよ」

真姫「穂乃果の気持ちも考えずに、感情を爆発させて、穂乃果に酷いことを言った」

真姫「穂乃果はきちんと私のことをみてくれてたのに」

真姫「だから、ごめんなさい」

真姫「自分勝手な私を、許して」

穂乃果「真姫ちゃん……」

真姫「ねえ、穂乃果、最後に一つだけ、わがままを言うわ」

真姫「これは、西木野真姫が、高坂穂乃果に向かって言うもの」

真姫「絶対に、私に遠慮しないで」

穂乃果「…………うん」

真姫「…………」



真姫「私は、穂乃果のことが好き」

真姫「私と……本当の家族になってください」

真姫「こんなの、いつもの私じゃないってわかってる」

真姫「でも、駄目なの、もう止められないの」

真姫「穂乃果と一緒にいた時の思い出が、溢れ出て止まらないの」

真姫「穂乃果の温もりを感じたいの、穂乃果に真姫ちゃんって呼んで欲しいの」

真姫「穂乃果に……甘えたいの」

穂乃果「真姫ちゃん……」

真姫「……ごめんなさい、いきなりこんなこと言われても困るわよね」

真姫「依存症みたいで、嫌よね……」

穂乃果「そんなこと……ない」

真姫「え……?」



穂乃果「だって、穂乃果も真姫ちゃんのことが好きなんだから」

真姫「……嘘」

穂乃果「嘘じゃないよ、穂乃果は真姫ちゃんが大好き」

穂乃果「最初に会った時は、歌がとっても素敵で、何時でも聞きたいなって思ってて」

穂乃果「気づいたら、いつも真姫ちゃんのことを目で追うようになってて」

穂乃果「だから、真姫ちゃんが妹になってくれるって言った時は本当に嬉しかったの」

穂乃果「真姫ちゃんと、もっと親しくなれるって」



穂乃果「だから、こんな私でよければ、もらってください」

穂乃果「不束者だけど、よろしくお願いします」

真姫「穂乃果……」

穂乃果「えへへ、姉妹から恋人になっちゃったね」

真姫「……なんだか、夢の中にいるみたいだわ」

穂乃果「そうだとしたら、とっても幸せな夢だね」

真姫「ええ、そうね」

穂乃果「ねえ、真姫ちゃん」

真姫「どうしたの?」

穂乃果「穂乃果からも一つだけ、わがままいいかな?」

真姫「いいわよ、なにがしたいの?」

穂乃果「それはね……」

ギュッ

穂乃果「真姫ちゃん、目を閉じて」

真姫「!」

真姫「そ、それってまさか……」

穂乃果「…………」

真姫「…………ぁ///」

ギュッ

穂乃果「……真姫ちゃん、とっても可愛いよ」

穂乃果「大好き」

チュッ

穂乃果「えへへ、穂乃果のファーストキス、真姫ちゃんにあげちゃった」

真姫「わ、私もファーストキスよ///」

穂乃果「それなら、穂乃果と真姫ちゃん、お揃いだね」

真姫「は、恥ずかしいこと言わないでよ」

穂乃果「照れてる真姫ちゃんも可愛いよ」

真姫「ぁぅ……///」

真姫(暖かい……)

真姫(さっきまで、一人で悩んでたのが嘘みたい)

真姫(やっぱり、穂乃果の隣はとても安心できる)

真姫(…………)

真姫(ねえ、見てる?もう一人の私)

真姫(私にも、きちんと見つけられたわよ)

真姫「わたしの帰る場所」

穂乃果「え?どうかしたの?」

真姫「ううん、なんでもないわ」

真姫「穂乃果の隣が、暖かいってことよ」

穂乃果「もう、褒めても何もでないよ?」

真姫「いいわよ、穂乃果がいてくれれば」

真姫「ねえ、穂乃果」

穂乃果「どうしたの、真姫ちゃん」


真姫「私と、ずっと一緒にいてね」



End

以上で終了となります。ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
それでは皆様、良い週末をお過ごしください。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom