姉「おぅ、我が弟よ。モノは相談だ。」
弟「どんなこと?簡潔にかつ丁寧に述べて。」
姉「ねとり、とはなんぞ?」
弟「は…はぁ?」
弟「まず聞こう、どこでそんな言葉を学んだのか?」
姉「うーん…学校のどこかで聞いた…と言うか、言われた」
弟「言われたぁ?姉貴が?なんで?彼氏いないだろ?」
姉「そこで彼氏の有無を確認される意味がわからない…」
姉「ともかく、そもそもそのねとり、というものの意味が解らない」
姉「食えるのか?旨いのか?価格は?」
弟「食物じゃないから」
姉「なーんだ、じゃあ良いや」
弟「…誰に言われたの?」
姉「二年の男」
弟「いや、そういうアバウトな情報じゃなくてさ…名前わからない?」
姉「男の名前に興味を持つ必要があるかい?」ドヤァ
弟「そーでした。二年の男…?姉貴と同学年じゃないか」
姉「あんな奴いたっけー?って思ってさ、ねとりの意味もわからんし」
姉「で、我が弟よ。ねとり、とはなんぞ?」
弟「うーんと…そうだなぁ、ある所に男女の好きあっているカップルが居るとしよう」
姉「こ、国際結婚ですか?」
弟「いや、そこは重要じゃないよ」
姉「何言っているの!愛に国境はないのよ!」フンガー
弟「はいはい、男嫌いがそんなこと言ってもしょうがないでしょ」
弟「で、話を戻すよ?ちょっと想像してみて」
姉「はい。」
弟「そのカップルの、例えば女性の方にカップルの男より様々な面で優れた男が現れたとする」
姉「うむ」
弟「そうこうしているうちに、女性は様々なテクニックを駆使されカップルの男から離れる」
姉「うむ」
弟「で、あとから現れた方の男から見ればカップルの女性を奪い取った」
弟「様々なテクニックの内には性的な要素もあるから寝取る、っていうことになる」
弟「…理解できた?」
姉「うん」プシュー
弟「姉貴風に言わせれば…昼ごはんの唐揚げをひょいと摘まれて目の前で食べられた、に値する」
姉「…なに…」
弟「しかも、寝取りっていう展開だと大抵見方は皆無、お前が悪い!ってむしろ責められる」
姉「…。」
弟「姉貴風に言い換えれば、唐揚げを取られて文句を言おうとすれば、クラスメートから
『食うのが遅いから』『あなたが悪い』『魅力不足』とか理不尽なことを言われてしまう」
姉「…。」
弟「そういうのが寝取り、だね。…姉貴?」
姉「朕茲ニ戦ヲ宣ス」ゴゴゴゴゴゴ
弟「落ち着いてよ!あくまで想像だから!誰も姉貴から食べ物を奪ったりしないから!」
姉「ほんとう?」
弟「…、学校で弁当を取られて不良3人を追い掛け回して
窓ガラス2枚を砕き、ドアを粉砕し、防火扉を捻じ曲げ、コンクリートに拳大の穴を開けて
姉貴を止めようとした教師を投げ飛ばして、最終的に不良3人とその仲間7人を相手取って
一方的に打ちのめして転校仕掛けたのはみーんな知っていることだからね?」
姉「その件は反省している、しかし食料を不条理に奪われることが耐え難い、それだけ」
弟「…でも、そんな姉貴にちょっかいかける男が居たかなぁ…?」
姉「ねとり、っていうのはカップルの間にちょっかいかけるゲス野郎って事かぁ…、見つけたらぶっ飛ばしてやるー!」
弟「姉貴は誰とも付き合ってないんでしょ?…ねぇ、なんて言われたの?」
姉「なんて、って…『二年カップルの女の子で残っているのはキミだけさ、寝取ってあげよう』だって」
弟「ふーん、気障ったらしい奴、でも彼氏は居ないでしょ?…そいつの勘違いじゃない?」
姉「そんなことありえる?…私に彼氏なんてのが存在しないのは町内じゃ有名だよ?」
弟「……あ、もしかしてさ。」
姉「うむ。」
弟「二年に転校生いたよね?」
姉「………。居たっけ?」
弟「なんで、僕が知ってて姉貴が知らないの?」
姉「男に興味はない」ドヤァ
弟「そうだった。…で、確かに転校生はいい噂聞かないね、ミスターネトリーとかいうあだ名が付いてたはず、
それに二年のカップルも知っている限り4組、そいつが転校して来て破局してるし…」
姉「なっ…酷い奴ね!名前は?」
弟「…姉貴、そいつの名前はイケメン。クラス一緒のはずだよ?」
姉「」
弟「『もう少し他人の興味を持ちましょう』…小学校、中学校の担任の先生より」
姉「はぁーい、わかってますよーだ。」
弟(でも、誰を彼氏って思っているだろう?イケメンは)
弟「姉貴、誰か彼氏と思われている人に心当たりはある?」
姉「…うーん…、学校じゃアンタと授業中以外一緒だし…アンタの方が心当たりあるんじゃない?」
弟「生憎、僕も心当たりは無し。…弱ったなぁ…」
姉「…あー、もう考えたらお腹すいた!ごはんよ!ごはんー!」ドタドタ
弟「明日まわりを観察してみよう、もしかすればその姉貴の“彼氏”とやらが見つかるかもしれない」
ここまでです
続きは近日中に
姉はアホですが弟もアホです。
姉の好物は海鮮丼です。
夜のうち投稿しようと思ってたら朝だった。
ちなみに弟の好物は天衣うどんorハヤシライスです。
-翌日
姉「おはよう、弟よ。」
弟「おはよう、姉貴…」
姉「…なんでそんなに眠そうなのさ」
弟「低血圧だから朝は苦手だよ…ふぁぁ…、知ってるでしょ?」
姉「ならば、がっつり朝食を食べるのだよ!ほら、座った座った!」
弟「姉貴…作ってくれたのはありがたいんだけど、朝っぱらから厚さが5cmのサイコロステーキに
チーズをこれでもかとふりかけた代物と、1m位のフランスパンを細切りにしてバスケットに並べたパンに
牛乳が5リッター程…今日はバイキングの日だったかな?」
姉「ちょっと奮発してみたわ」
弟「…。姉貴の“ちょっと”と僕の“ちょっと”にはどうやら宇宙空間が2つほど横たわっているみたいだね。」
姉「だったらさっさと転移装置でも発明して私に追いつきなさいよ」
弟「僕は普通の人間でありたいよ」
姉「なら仕方ないわね。」
弟「うん。」
-学校
弟「良い?姉貴、ちゃんと授業を受けるんだよ?…このどう見ても15人前はあるお弁当は預かるからね…重い…」ズシィィ
姉「まっかせなさい、この忍耐の塊と言われた私が食欲を抑えられないと思っているの」ダラダラ
弟「…ヨダレ垂らしながら言われても説得力ないからね?」
姉「わかってるわよ、じゃあ行くわね」
弟(うわぁ、凄まじい眼力でまだ弁当箱を見てるや…)
イケメン「…フッ」
イケメン取り巻き「ザワ…ザワ…」
生徒会長「……」
-姉教室
姉「…そういえば、まだ話したことなかったっけ…、とりあえずどんな人物か尋ねてみよう」
姉「…という訳で、どんな人?機械少女ちゃん!」
機械少女「えぇ?今の今まで存在を認知してなかったのかい!?」
姉「うむ、どう思い返しても記憶の中に入っていないんだよ」
機械少女「頭は良いのに…なんでそう言う所で抜けているかなぁ…」
姉「四六時中機械をいじっているアンタに言われたらおしまいでしょ?大体アンタも頭いいでしょーが!」
機械少女「私が開発した学習装置があればどうという事はないのよ!」ドヤァ
姉「なるほど!…原理は分からないけど頭は良くなるのよね!原理は分からないけど」
機械少女「まあね!睡眠しながら勉強する、受験生に引っ張りだこ!な装置に仕上げる予定だよ。」
機械少女「…何年後になるか、まったくの未定だけどね…で、何の話だっけ?」
姉「なんだっけ?…あぁ、そうそうこのクラスのイケメンって人だよ」
周り「ザワ…ザワ…ザワ…ザワ…」
姉「?」
機械少女「あぁ、アイツか。…てっきりアンタも知ってて無視しているって思ったんだけどなー」
姉「どういうこと?」
機械少女「どういうこと…、ってアンタね…アイツが転校してきてからずーぅっと狙われてたんだよ?」
姉「……、気がつかなかった」
機械少女「あらゆる話題を振られても、完全に無反応だし。休みの時間ともなれば弟くんと一緒にいるでしょ?」
姉「そうだったんだ。…転校してきたのっていつごろ?」
機械少女「本当に興味がなかったんだね…。そうだなー、大体3ヶ月って所かな?」
姉「3ヶ月!そんなに?…あれ?でもさ、我が弟の話によればカップルの女の子に手を出しまくっているって話だけど…?」
機械少女「多分だけどさ、あんまりにも無視されすぎて…この場合は無視っていうより存在を認識してなかったってことかな?」
機械少女「ともかく、反応がないものだからほかの女の子に手を出しつつ、味方を作ってたんじゃないかな?」
姉「味方?そんなの必要なの?」
機械少女「いや、ほら…アイツさ、アンタを止めようとして肩掴んだらそのまま引きずられて階段で怪我してるんだよ」
姉「うわー、痛そう」
機械少女「そんな事があってクラスの女の子を味方につけて、アンタに圧力を掛けたかったんだろうね」
姉「圧力?…そんなの掛けられてたかなぁ?」
機械少女「え?」
姉「え?って何よ」
機械少女「気づいてなかったの?モノ隠されたり、画鋲仕込まれたり…アンタが来る前に仕込んだんだーって聞いてたのにさ」
姉「うわぁ、それ怖いー」
機械少女「本気で言ってるの?学校にある画鋲やらなんやら…隠されたものは動物的感性で即座に発見するし」
機械少女「画鋲は針ごとぺっちゃんこになっているし、悪口の意味も関せずだし…いや、見てて爽快だったりするんだよね。」
姉「記憶にございません、…って事は 報 復 して良いんだよね!」
周り「本気で気づいてなかったのか…」
実行犯ズ「」ガクガクガク
機械少女「死人が出るよ!…お弁当取られた時のあんなので襲われたら…怖いなぁ」チラッ
実行犯ズ「」ビクゥ
姉「大丈夫!死にはしない、って 思 う か ら 」
機械少女「多分それでも骨が一本か二本折れるんだろうなぁ」チラッ
実行犯ズ「」
機械少女「…まっ、そんなのは置いておいて」
姉「うん。」
機械少女「アイツは圧力には屈しない…というかそうとすら認識されていなかったって事だから」
機械少女「昨日、直接声をかけてほぼ無理やり宣戦布告したって事かー」
姉「そうなのかな?ってあれ?聞いてたの?」
機械少女「聞いてたっていうか、あの日朝からアンタが帰るまで休み時間を抜かしてほぼ言いまくってたからね」
姉「それでなんか喧しかったんだ」
機械少女「ねぇ、あの時何考えてたのよ」
姉「ふっふっふっ…よくぞ聞いてくれた。あの日、というより昨日、私はずぅっと考えていた。」
姉「駅前に新しくできた豪華海鮮料理店、オープン記念食べ放題、開店より一時間3600円で幾らでも!」
姉「私はそれを待った。その建設予定地に店ができると聞いた時からずっとずっと」
委員長「ちょっと良いかしら?」
姉「店舗が出来るまでおおよそ2ヶ月、少しづつ組みあがっていくそれを眺め続けた。」
委員長「ちょっと」
姉「完成して、そこに機材搬入とか、アルバイト募集とか…あらゆる情報を集め続けた。」
姉「そして開店するまで1週間を切ったの!私の人生で食べ物を提供する」
委員長「姉さん?話を聞いているの?」
姉「そんなお店が!いかに重要か!いかに大切か!」グググ
姉「私は待ち続けた、まって待って待った、カレンダーを縮めれば早く開店するかなと思った」
機械少女「…あぁ、だからタイムマシーンが欲しいって言ってたの」
姉「そう!この一週間、待ち続けた!夜もそんなに眠れなかった!夜の8時に寝て朝の6時に起きていた!」
機械少女「そりゃ健康的で素晴らしいね」キュィィン
委員長「ちょっと!聞きなさいって」机バーン!
姉「そりゃそうでしょ、健康的な生活は素晴らしい食事につながるのよ!」
機械少女「多分一般人は食事と生活を入れ替えるだろうね」キュイイイン
姉「食事のために健康になる、当たり前でしょう」ドヤァ
機械少女「へーへー」キュィィン
姉「ともかく!私はその開店する瞬間を待ちわびた!…そしてあの日!お店の開店時間を把握していた私は一瞬でも早く!」
姉「あらゆる事が終わるように、授業の圧縮に努めた!」
機械少女「あぁ、どうりで…教科書3pぐらいの内容を圧縮してひじょーにわかりやすく解説してたわね…あ、そっち押さえてくれる?」
姉「そう!その甲斐あって予定より30分早く帰れることになったのよ!…ok、ここね?」
委員長「……ギリリリ」ブルブルブル
周り(怒りに震えている…)
姉「そして、私は一週間前から財布に入っている3600円…あの日、一分おきに確認していたお金を握りしめて」
姉「そして!今まさに出発というところで…声をかけられたのよ!あー…」
機械少女「どうしたの?」
姉「ん?あの妨害がなければ…もっと食べれたのになぁ…って。」
機械少女「底なしはのは知っているけど、アンタが本気出したらお店の食材食い尽くすでしょ?」バチバチバチ
姉「この街の誇り高きフードファイター達の前に遠慮なんて無意味よ!私の食べっぷりに手を止めて観戦していた位だからね」ドヤァ
機械少女「多分その誇り高きフードファイター達とやらも驚いてフリーズしたせいだと思うよ」
姉「そうかなぁ?私なんてまだまだよ」
機械少女「……私からはノーコメントという事にしておいておくさ」
姉「?」
機械少女「そろそろ先生が来るね、席に戻りなよ」
姉「?」
委員長「」グギギギ
周り(怒りのあまりに顔が真っ赤だ。その上絶対目があっただろう機械少女にも無視されて…ちょっと可愛そうだ)
ここまで。続きは近日中に
駅前に新しくできた豪華海鮮料理店:初日大赤字
機械少女:ちゃんと人間です、四六時中機械いじりしてるからこの名前 好物:宇宙食orハンバーグ
委員長:イケメン取り巻き入り済み、しかし圧力(笑)状態
取り巻き:文字通り
イケメン:ミスターネトリー、ただのクズ
支援感謝です。
-休み時間
姉「……。」
機械少女「どうしたの?」
姉「お腹すいた」
機械少女「あのね…、まだ、一時限目がおわったばっかりだよ?…朝食は食べたんでしょ?」
姉「食事は時間を守って食べるものではなく、空腹を感じた時に食べるもの」キリッ
機械少女「そりゃ、アンタだけだよ。…なんで太らないんだろうね?」
姉「成長期だからでしょ、うんうん。」
機械少女「…、体質的にいくら食べても太らない人も居るって聞いたことがあるし、その類かもね」
姉「そんなものなの?」
機械少女「多分。…ってあぁ、次は選択授業じゃん、準備があるからもう行くね」
姉「美術ってのは、私は理解できないぞー」
機械少女「ふっふっふ…、なにも絵を描くだけが美術じゃないんだよ?当然工作の時間もあるんだよ?…ふっふっふ」
姉「あー、なるほど…。あー私も準備しなきゃ…」
周り(イケメン含むクラス中のグループに囲まれて何であんなに平気なんだろ?)
弟「……」
弟友「なぁ、弟。凄まじくいい匂いがするその塊はなんなんだよ」
弟「弁当、姉貴の」
弟友「やっぱり?…相変わらず普通の人間が食べる量の、そうだな四日分はありそうだなぁ。」
弟「アレを人間とカウントしていいものか…」ハァー
弟友「美人は美人、だまーっていれば相当モテるんだろうけどさ」
弟「本人がモテたくない…っていうか男嫌いだしさ」
弟友「嫌いすぎて認識すらしないんだもんなぁ、嫌がらせされても無視だろ?」
弟「隠してもなぜかすぐ見つけてくるし、机に落書き…はすでに姉貴がなにやら渾沌とした代物を描いてるらしいし」
弟友「渾沌としたもの…?なんだそりゃ」
弟「見た限り…なんていうか…“巨大な魚に足が生えたような異生物を崇める12人の狂人の集団が生贄を捧げる瞬間”そんな絵だったよ。」
弟友「なんだそりゃ…、落書きしようとした奴哀れだなぁ…」
弟「しかし姉貴曰くあの絵は“大勢の料理人が次々に料理を持ってくる絵”らしい」
弟友「…奇跡的な何かが起きた、そうしておこう。うん。」
弟「…そういえば姉貴来ないなぁ」
弟友「…そうだなぁ、いっつもふらーっと来るのに」
弟「ゆっくりできていいんだけどね」
弟友「姉さんが居ると、即座に訂正とか諸々で忙しいもんな。最初は羨ましかったけど今は同情しか浮かばない」
弟「……、もう慣れたよ。」
弟友「ま、学校としても暴れない方が安し――」
ドガァァン! バリバリバリ!
「うわぁぁ!」「ヤメロー!」「ギャー!」
弟「……。」
弟友「……。」
弟「最近落ち着いてきたと思えば…」
弟友「俺のフラグのせい?」
弟「んなわけないよ…、とにかく行ってみよう。姉貴が暴れてたら先生じゃ止めれないし」
弟友「軽く凄まじいこと言うんだな、お前」
弟「……、言わないでくれよ。わかってるんだからさ」
弟友「…。なんかすまん。ともかく行くぞー」
弟「………。そうだね。」
-三階工作室前
機械少女「……、だから言ったのに…。」
いじめ実行犯ズ「」ボロボロ死屍累々
モブ「ざわざわざわ」
弟「何この状況」
弟友「見た限り、6人の男女が倒れてる、そしてその中心に機械少女さんがぶたれたのか頬が赤くなってる」
弟「説明お疲れ様。…姉貴じゃなかった。だけどどうしてコンクリートの壁とか天井に穴があいてるんだろ?」
機械少女「ま、不思議なことは起きるもんだよ」
弟「そうですか、なら仕方ありませんね。」
弟友「姉貴で見慣れているからって、なに普通に対応しているんだよ」
姉「どうしたー!テロかー!火事かー!それともゲリラかー!」ガッシャンガッシャン
弟「よし、止まって。いろいろ誤解があるから」
姉「なによー!学校の危機よ!」
弟「姉貴の方が危ないよ。まずなんで消化用のホースを体に巻きつけているの?」
姉「テロだと思ったから、防御力は少しでも上げないと!」
弟「両手に握り締めた、野球部の優勝旗と消火器は?」
姉「武器!鈍器と槍よ、遠距離と接近戦を意識した装備!さらに消火もできる優れもの!」
弟「頭にかぶった鍋は?」
姉「これは火事だと思ったからよ!ほら、テレビで消防隊員の人がコレに似たの被ってるでしょ!」
弟「……。じゃあ、なんで長靴履いてるの?しかも左右逆な上に白と黒で色違うのを」
姉「ほら、消火後って水でビシャビシャでしょ?靴だと濡れちゃうでしょ?」
弟「テロでも火事でもないからそれ戻してきてよ。あとゲリラってなに」
姉「ゲリラは、…ほらアレよ。ジャングルにいて、マシンガン持っているの!」
弟「映画の見すぎだよ、そもそも、そんなゲリラがなんで学校に現れるの?」
姉「えーっと…勧誘?」
弟「宗教じゃないんだからさ…ともかく!さっさと戻してきてよ!」
姉「せっかく気合入れたのにー」
弟「入れるところが間違っている上に、なんでテロ対策だったり火事対策だったり装備がまちまちなのさ?」
姉「えーっと…そう!戦略的な理由と戦術的な理由を兼ね合わせたからよ!」
弟「行き当たりばったりに目に付いたものを片っ端から装備したって事だね?」
姉「……、戻してくるわ。」
弟「戻したら次の授業だよ?…もっとも姉貴のクラスは始まるか怪しいところだけどね。」
姉「?…結局何があったのよ」
弟「いいから!姉貴がいると問題が余計こんがらがる!」
姉「はいはい、わかりましたよー」ガッシャンガッシャン ダダダダダ…
弟「はぁ…疲れた…」
機械少女「姉あつかいが相変わらず上手いね。」ニヤニヤ
弟友「コントでもやってたのか?」ニヤニヤ
弟「うるさいよ…とにかく何があったんですか?機械少女先輩」
機械少女「あー…。まぁ、ほら!最近物騒でしょ?」
弟「そうですね、誘拐やら強盗やら」
機械少女「そこで、非力な女性でもそんな危険から逃れる術を模索して我が社が開発したのは…これ!
アルミチタン合金製!四本のアームに3枚の特殊合金製防弾シールド!脳波を感知し自動的に持ち主の安全を守ります!
四本のアームを使いどのような地形でも移動可能、防弾シールドは20mm機関砲すら防ぎます!
これさえあればどのような危険からも脱出可能!背負式の特性リュックに仕舞い込むことができ持ち運びに便利!
武装は人体に優しい衝撃砲!スタンガンより安全で完全に無力化可能!
そんな、自衛システムを装備していたら…こうなったの」
弟「戦場でも闊歩するつもりですか?」
機械少女「流石に戦場は無理ね。物騒だから最低限の防御策はねるものよ」
弟「…ちなみにその装備の重量は?」
機械少女「総重量26kg、オプションをつければもっといくわよ」
弟「一応暴れた理由を…」
教師「こら、お前ら!」
弟「……。おい友…ってあれ?」
機械少女「あぁ、さっき私が説明しだしたところで先生の気配がするって帰ったわよ」
弟「流石の危機察知能力、僕も欲しい」
教師「これは!誰がやったんだ?ここには居ないようだがまた姉か?」
弟「先生、少なくとも姉ではありません!姉はこんな器用に気絶させることなんてできません!」
教師「それもそうか。」
弟「それにコンクリートの天井と壁にここまで穴を開けることもできない…と思います。」
教師「それはどうかな。」
-返還作業中
姉「ヘクション!…なにかいま、私が人間扱いされていないような事を言われた気がする」
機械少女「弟くんがうまく言い訳してくれたおかげで何とかなったね」
弟「まぁ、機械少女さんがぶたれたのは本当ですし…」
機械少女「まぁ…ここだけの話、正当性をつけるためにわざと煽って殴らせたんだけどね。」
弟「なんで絡まれたんです?…もしかして」
機械少女「そう、お察しの通り。イケメン、あいつの差金よ」
弟「…なにを要求してきたんです?」
機械少女「姉への嫌がらせの参加、俺と付き合え。…要約すればそんなことを言われたの」
弟「……。」
機械少女「もちろんそんな巫山戯たことは拒否、というか…無視しようとしたら…あの集団が出てきたってわけ」
機械少女「あそこで囲まれてね。…まぁ、色々言われた、気にしちゃいないけど、目障りこの上ないからね。
まっ、ちょっと挑発したら目論見通り、殴ってきたから反撃ってわけ。」
弟「すいません、姉貴が色々苦労かけているみたいで」
機械少女「そう?見てるだけで面白いし、こんな変わり者の数少ない友人なんだ。面倒くらいかけて欲しいね。」ケラケラ
弟「そう言ってもらえて姉貴は喜びますよ。…ん?」
イケメン(取り巻き付き)「やぁ」
弟「…どちら様?」
機械少女「噂をすればってやつ?」
今日はここまでです。続きは近日中にでも。
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