スライム「歯が痛い」 (163)


バケネズミ「は?」

スライム「うん、歯」

バケネズミ「いや、そうじゃなくて」

スライム「え?」

バケネズミ「え?」

スライム「歯が痛いだけでそんな反応されても」

バケネズミ「は?」

スライム「うん、歯」

バケネズミ「スライムって歯あるの?」


スライム「え、普通あるでしょ? キミにもあるじゃん、歯」

バケネズミ「いや、俺はバケネズミだし。でもお前はスライムじゃん」

スライム「え?」

バケネズミ「え?」

スライム「歯があったらおかしいかな?」

バケネズミ「スライムって何にも食べないんでしょ?」

スライム「うん、空気中の栄養分を吸うだけ」

バケネズミ「じゃあ歯なんていらないじゃん」

スライム「え?」

バケネズミ「え?」


スライム「うーん、確かにおかしいかも」

バケネズミ「うん」

スライム「歯使ってないのに、虫歯なんておかしいよね」

バケネズミ「は?」

スライム「うん、虫歯」

バケネズミ「いや、そうじゃなくて」

スライム「?」

バケネズミ「生活に必要ないものが、身体についてるわけないでしょ?」


スライム「じゃあ、キミのそのきったないニキビは何に使うの?」

バケネズミ「えーと」

スライム「キミのその愚息は誰に使うの? 使う予定あるの?」

バケネズミ「えーと」

スライム「はい論破」

バケネズミ「ちょ、ちょっと待ってよ」

スライム「え?」

バケネズミ「え?」

スライム「待たないけどなに?」

バケネズミ「その歯、どうするつもり?」

スライム「病院に行くけど?」

バケネズミ「え?」

スライム「え?」


バケネズミ「だから、僕のニキビも愚息も必要ないものだけど」

スライム「自分で言っちゃ救いようないね」

バケネズミ「でも、スライムに歯はおかしいって」

スライム「スライム差別か?」

バケネズミ「そうじゃなくて」

スライム「歯はバケネズミの専売特許じゃないんだぞ」

バケネズミ「そうじゃなくて」

スライム「手がないのにどうやって歯磨きするのかってこと?」

バケネズミ「それも聞きたいけども」

スライム「歯磨きしてないから虫歯になったんだろヴァーカ」

バケネズミ「そうじゃなくて」

スライム「なによ」

バケネズミ「お前、もしかして希少種とかそういうのじゃないの?」


スライム「なに奇行種って。オネエ走りする巨人ってこと?」

バケネズミ「え?」

スライム「え?」

バケネズミ「希少種っていうのは、珍しい種類ってこと」

スライム「僕が特別なんじゃないの、ってこと?」

バケネズミ「そう」

スライム「ちょっと鼻が高いな」

バケネズミ「は?」

スライム「だから歯の話してるんだって」

バケネズミ「そうじゃなくて」

スライム「え?」

バケネズミ「え?」

スライム「じゃあ何よ」

バケネズミ「珍しい種類だと、人間が捕まえにくるよ」


スライム「人間? マジで?」

バケネズミ「研究とかされちゃうよ」

スライム「身体中ほじられる?」

バケネズミ「うん」

スライム「それはちょっと気持ちよさそうだな」

バケネズミ「え?」

スライム「え?」

バケネズミ「蒸発させられちゃうかもよ?」

スライム「すぐに元通りになるから大丈夫だな」

バケネズミ「え?」

スライム「え?」

バケネズミ「俺と、もう会えなくなっちゃうよ?」

スライム「それはちょっとやだな」

バケネズミ「え?」

スライム「え?」


バケネズミ「じゃあ、医者に行くのよしなよ」

スライム「でも、歯が痛い」

バケネズミ「そんなの放っておけば治るよ」

スライム「人ごとだな」

バケネズミ「そうかな」

スライム「スライムごとだな」

バケネズミ「うん」

スライム「でも、まだ僕が特別って決まったわけじゃないだろ?」

バケネズミ「うん」

スライム「どうしたものか」

バケネズミ「うーん」

スライム「うーん」

バケネズミ「じゃあお姉さんに相談してみたら?」


スライム「えー」

バケネズミ「どうしたの?」

スライム「だって姉貴ってへんなんだもん」

バケネズミ「は?」

スライム「歯じゃなくて姉貴」

バケネズミ「知ってる」

スライム「知ってるなら言うなよ」

バケネズミ「ごめん」

スライム「姉貴がどう変なのかっていうと」

バケネズミ「うん」

スライム「毛深いのにギャル」

バケネズミ「え?」

スライム「え?」

バケネズミ「マジで?」

スライム「そう、いわゆるギャルってヤツなんだよ、姉貴。びっくりだよね」

バケネズミ「そっちじゃねーよ」


スライム「何言ってるのキミ、池沼?」

バケネズミ「いやいやいや」

スライム「いや連呼とか怖い」

バケネズミ「ごめん」

スライム「許す」

バケネズミ「質問していい?」

スライム「うん」

バケネズミ「お姉さんとは血が繋がってる?」

スライム「血が繋がってないとかそれなんてエロゲ」

バケネズミ「え?」

スライム「え?」

バケネズミ「血は繋がってるんだね?」

スライム「だからそうだって言ってるだろ」

バケネズミ「ごめん」

スライム「許す」

バケネズミ「質問していい?」

スライム「どうぞ」

バケネズミ「お姉さんには毛が生えてるの?」

スライム「だからそうだって言ってんだろ」


バケネズミ「お姉さんはスライムなんだよね?」

スライム「うん」

バケネズミ「なのに毛が生えてるの?」

スライム「毛に過剰反応とか童貞だろ」

バケネズミ「だから愚息使う機会ないって言ってんだろ」

スライム「あ?」

バケネズミ「ごめん」

スライム「許す」

バケネズミ「どこから毛が生えてるの?」

スライム「全身」

バケネズミ「え?」

スライム「え?」

バケネズミ「それ、もうスライムじゃないじゃん」

スライム「いや、スライムだから。ぷにぷにしてるし」

バケネズミ「そうなの?」

スライム「うん」

バケネズミ「ご飯は食べるの?」

スライム「いいや、空気中の養分のみ」

バケネズミ「スライムだね」

スライム「だからスライムだって言ってんだろ、はっ倒すぞ」

バケネズミ「ごめん」

スライム「許さない」

バケネズミ「え?」

スライム「え?」


スライム「じゃあ、姉貴に相談してくる」

バケネズミ「うん」

スライム「また明日」

バケネズミ「また明日」






スライム「ただいま」

姉貴「ぉかぇり☆」

スライム「え?」

姉貴「ぇ?」

スライム「姉貴、歯って生えてる?」

姉貴「生えとらんプイプイ|*・ω・)ノ」

スライム「え?」

姉貴「ぇ?」

スライム「歯、生えてきたんだけど大丈夫かな?」

姉貴「知らんピー」

スライム「え?」

姉貴「ぇ?」


スライム「ダメだ、姉貴とは会話にならない」

姉貴「(´・ω・`)?」

スライム「隣のエルフちゃんに相談しに行こう」





エルフ「こんにちは、スライムくん」

スライム「やあ」

エルフ「今日はなんの用?」

スライム「暇だったから来てみた」

エルフ「暇だからってだけで来てんじゃねぇよウスラトンカチ。ファーック」

スライム「え?」

エルフ「何でもないよん♪ さ、上がって上がって」

スライム「うん」





エルフ「クッキーでよければあるけど?」

スライム「ありがとう」

エルフ「冗談なんだけど」

スライム「え?」

エルフ「スライムくん、空気以外食べられないんでしょ?」

スライム「あ、そうだった」

エルフ「池沼には毎回イライラさせられるぜ。マジで頭タンスにでもぶつけて死なねぇかな」

スライム「え?」

エルフ「なんでもないよん♪」


スライム「クッキーは食べられないんだけどさ、歯が生えてきた」

エルフ「え?」

スライム「え?」

エルフ「見せて」

スライム「はい」

エルフ「本当だー」

スライム「すごいでしょ?」

エルフ「歯あんのに消化器官ねェから食事できないとか。童貞のセンズリみたいでワロス」

スライム「え?」

エルフ「なんでもないよん♪」

スライム「バケネズミに聞いたら、希少種だとか言われたんだけど」

エルフ「えー、スライムくんってバケネズミくんなんかと仲良くしてんのー?」

スライム「え、そうだけど?」

エルフ「アタシ、あの子キラーイ。なんか臭いし。一週間洗ってない体操着の臭いするんだもーん」

スライム「そうかな」

エルフ「バケネズミってゆうかー、ドブネズミじゃーん」

スライム「……」


エルフ「どうしたの、スライムくん黙っちゃって」

スライム「えっと」

エルフ「なに?」

スライム「陰口ってあんまり良くないんじゃないかな…?」

エルフ「は?」

スライム「いや、歯は生えてきたんだけど。今はバケネズミくんの話」

エルフ「あ、ごめんピー♪ ちょっとぼーっとしてたで、もっかい言ってくれない?」

スライム「だから歯じゃなくて、バケネズミくんの話ってこと」

エルフ「あァああああああああ! 単細胞うぜぇえええええええええええええええええッッ!」

スライム「え?」

エルフ「なんでもないよん♪」

スライム「えーと」

エルフ「その前になんて言ってたか教えて」

スライム「陰口は、良くないよってこと」

エルフ「は?……あはは。そんなつもりで言ったんじゃないよー! エルフちゃん、みんなと仲良くしたいと思ってるょ?」

スライム「あ、うん、ごめん」


エルフ「歯が生えてきたってことはさ、引っ越すことになるんじゃない?」

スライム「それってどういうこと?」

エルフ「今は第三次勇者が、魔王さまに挑んでるじゃない?」

スライム「え?」

エルフ「え?」

スライム「そんな裏設定知らなかったよ」

エルフ「アニメしか見ないゆとり殺してぇ。鉈でザックザクしてぇ」

スライム「え?」

エルフ「なんでもないよん♪」

スライム「うん、でその第三次勇者っていうのはなに?」

エルフ「初代勇者の孫。魔王さまに性懲りもなく挑んでるってわけ」

スライム「それと僕が歯が生えたことに関係あるの?」

エルフ「歯が生えたってつまり、進化したってことじゃん?」

スライム「え?」

エルフ「え?」

スライム「そうなの?」

エルフ「うん」


スライム「だからバケネズミは、僕が人間に研究されるかも、とかほざいてたんだ」

エルフ「ドブネズミの話はもういいよ」

スライム「そんなこと言ったら、ドブネズミくん可哀想だよ」

エルフ「は?……あはは。そんなつもりで言ったんじゃないよー! エルフちゃん、みんなと仲良くしたいと思ってるょ?」

スライム「うん」

エルフ「ごめんピー、ごめんピー♪」

スライム「許すよ」

エルフ「わー、まぢスライムくん優しすぎ! サークルケーサンクス!」

スライム「え?」

エルフ「え?」

スライム「僕、どうなるのかな?」

エルフ「みんなに黙っておけば、ずっとこのままじゃない?」

スライム「そうかな?」

エルフ「うん。歯が生えた、ってバレなければ魔王さまから特別招集がかかることもないし、人間が研究しに来ることもないょ♪」

スライム「そっか。そうだよね、エルフちゃんありがと!」

エルフ「どういたしまして♪」

スライム「じゃあ帰るね」

エルフ「バイビー☆」





エルフ「あ、魔王さまですか? 隣に済んでるスライムくん、進化したみたいですぅ☆」

エルフ「はい、はい、そうですぅ♪ えへへ、エルフちゃん、チクリっ子、偉いっ子ですかぁ? えへへ」

エルフ「あはっ、魔王のおじさん、だいちゅき★ まったねー」

エルフ「…ふぅ。これで当分は小遣いに困んねぇな。エルフちゃん、頑張りっ子♪」

スライム「あーやっぱりエルフちゃんおっぱいおっきくていいなー」

死神兵「そのエルフちゃんとは、そこに住んでいるエルフちゃんのことか」

スライム「え、そうですけど。誰ですか?」

死神兵「私はテロリストだ」

スライム「てろりすと…? なんですか、それは」

死神兵「むむっ…確かになにかと問われれば、何でもないと答えるしかないな」

スライム「え?」

死神兵「え?」

スライム「服着てなくて、寒くないんですか?」

死神兵「貴様も、着ていないではないか」

スライム「あ」

死神兵「そのナリから、お前はスライムだと見受けられる」

スライム「スライムですけど?」

死神兵「ここらへんに、歯が生えたスライムがいると通報を受けたのだが、なにか知らぬか?」

スライム「は?」

死神兵「そうだ、歯だ」

スライム「いや、そうじゃなくて」

死神兵「なにか知っているのか?」

スライム「い、いえ……」

死神兵「そうか、ならいいんだ」

スライム「はぁ…」

死神兵「では、さらばだ」

スライム「えっと…おじさん。そこは、エルフちゃんちなんですけど?」

死神兵「おう、丁度近くに来たから一発抜いておこうと思ってな」

スライム「え?」

死神兵「え?」

スライム「エルフちゃんってそういうことしてるんですか?」

死神兵「なにを言うか、そう言うお前もエルフちゃんちから出てきたではないか」

スライム「それは違くて」

死神兵「はて、おかしいな。エロ議題に対する応答の端々から、童貞臭がするぞ?」

スライム「え?」

死神兵「え?」

スライム「で、では失礼しますね! エルフちゃんによろしくお伝え下さい!」

死神兵「うむ。道中気をつけるように」


スライム「エルフちゃんって…びびびびびビッチだったんだ…」

スライム「こういうの、なんて言うんだっけ? え、えんじょこう…いてっ」

勇者「いつっ…勇者は5のダメージを受けた」

スライム「ご、ごめんなさい」

勇者「スライム があらわれた!」

スライム「え?」

勇者「A?」

スライム「じゃ、じゃあ僕、先を急いでいるので」

勇者「スライム はにげだした! ダメだ! しょうぶの さいちゅうに あいてに せなかは みせられない!」

スライム「え? なんですか」

勇者「勇者 はちからをためている!」

スライム「ちょっと、どいてください!」

勇者「勇者 のこうげき! ミス! あたらない」

スライム「え?」 

勇者「A?」


スライム「な、なんなんですか! 警察呼びますよ!」

勇者「スライム のさわぐ! 勇者 にこうかはない」

スライム「どうしよう…変な人に絡まれちゃった…」

勇者「勇者 はせっとくをこころみた! どうだ ぼくのなかまにならないか」

スライム「なにそれ怖い」

勇者「スライム はけいかいしている!」

スライム「と、とにかく全力で逃げよう!」

勇者「スライム はにげだした」

明日早いんでそろそろ寝ます

続きは多分書きますので、読んでいただけたら嬉しいです

来ました
今夜もお願いします


スライム「はぁ…はぁ……」

スライム「なんだったんだ、あの人…」

魔王「すいません…あの…」

スライム「……え? 僕ですか…?」

魔王「そうです…。あの…」

スライム「なんでしょう?」

魔王「お金を…お金を恵んでいただけませんか?」

スライム「は?」

魔王「破ぁッ!」

スライム「ひぃっ!」

魔王「あ……すいません、職業柄で癖が出てしまいました…」

スライム「え、えーと…なんでお金が必要なんですか…?」

魔王「…私には養ってる女の子がいましてね……」

スライム「娘さんですか?」

魔王「いえいえ…わたしに娘などいませんよ…」

スライム「じゃあ誰ですか?」

魔王「今年で16歳になる子でしてね、親に先立たれたと言いますから、資金援助をしているのです…」

スライム「ご立派ですね…」


魔王「本当にいい子でね、彼女のためにはなんでもしてあげたいんですよ、わたしは」

スライム「はぁ…」

魔王「あの子は、褒められる、ということを知りませんから。先立たれた彼女の両親に変わって、私が彼女をうんと褒めてあげたい」

スライム「ええ…」

魔王「それで今日ね、その彼女がとても立派なことをしたんですよ」

スライム「おお!」

魔王「だから、ご褒美にたくさんお金をあげたんですけど…実は彼女、ガンだったみたいなんです」

スライム「…ええええっ!?」

魔王「私も驚きました。でも、ガンは今の時代、お金を払えば治せますからね」

スライム「医学の進歩ですね」

魔王「それで彼女のに入院に必要なお金を振り込んだら、今晩の夕飯代もなくなってしまったんです…」

スライム「そうでしたか…。あなたはとても素晴らしい方です」

魔王「いえいえ、魔王として当然のことをしたまでですよ」

スライム「え?」

魔王「エィリャァアアアアアア!」

スライム「ひぃっ!」

魔王「すいません、職業病です」

スライム「えと…えっと…少ないけど、これで足りますか?」

魔王「ありがとうございます…!」


スライム「では、また」

魔王「あ、そうだ、もしご存知でしたらでいいのですけど」

スライム「なんでしょう」

魔王「ここらへんにね、歯が生えたスライムがいるみたいなんですよ」

スライム「は?」

魔王「覇ァアアアアアアッッ!!!」

スライム「ひぃいいいいっ!」

魔王「すいません、持病みたいなもんです」

スライム「えーと、どこでその歯が生えたスライムがいる、という情報を?」

魔王「さっき話してた女の子が教えてくれたんです」

スライム「はぁ、そうですか」

魔王「ご存知ないのなら構わないですよ」

スライム「あ、すいません、お役に立てなくて」

魔王「いえいえ、ではお恵み、ありがとうございました」

スライム「いえいえー」


スライム「世の中には色んな人がいるんだなぁ」

スライム「でも、なんで僕の情報が出回ってるんだろ」

スライム「うーん、バケネズミとエルフちゃんにしか言ってないはずなんだけどなぁ…」

スライム「まぁ、いいや。帰って寝よう」




スライム「ただいまー」

姉貴「(*・∀・)ノ゙【おかえりんこぉ】」

スライム「…寝るね」

姉貴「(〃゚σ¬゚〃)ご飯食べるかにゃ?」

スライム「空気でも食ってろ」





スライム「ふぅ、寝よう」

スライム「おやすみ、世界」

なにこれ、
タダモンじゃねェ
才能溢れすぎだろ、
本業はなんだよ、

本職なら本業の方で使うだろ、
なのになんでこんなとこいるんだよ。
マジで何者なの?

もしかして学生か?、それならこのネタやらせてほしいわ、
ショートでいけそうだから

>>51
このコピペ初めて見ました


魔王の参謀(以下、参謀)「魔王さまー」

参謀「……あれ、いませんね。またわたしに言うこと無く、勝手に出歩いて……」

参謀「それに最近は、手長猿育英会とかいうところで見つけた女の子に相当入れ込んでらっしゃるご様子…」

参謀「魔王さまには一人の女の子より、一万の民を導いていただきたいのですがね……ふう」

死神兵「戻ったぞ、参謀」

参謀「おや、死神兵。どこかに出かけていたのですか?」

死神兵「むん? 魔王様から知らされていないのか?」

参謀「なにをです?」

死神兵「ついに、天然の進化したスライムが出たらしい」

まってた

>>54
ありがとうございます


参謀「…それは真ですか?」

死神兵「ああ…。情報ソースを魔王さまは開示してくれないが、確かに出たらしい」

参謀「ふむ…」

死神兵「魔王さまも直々に現地へ向かったのだが…まだ帰っていないのか?」

参謀「いえ、また外泊でもしておられるのでしょう。困った魔王さまですよ、本当に」

死神兵「ははは…そこもご愛嬌ということだろう。あんなに真っ直ぐなお方はそうそういないよ」

参謀「真っ直ぐ…ね。国を担うには厄介な性分ですよ」

死神兵「なぁに、今は国も安泰だ。気に病むのは無粋というものだろうよ」


参謀「それもそうですね……。そうだ、お茶でもどうですか」

死神兵「いいや、遠慮しておくよ。私の苦手な事務ワークのほうが、不本意にも溜まっているのでね」

参謀「そうですか。では失礼しますね」

死神兵「ああ」

死神兵「…………」

死神兵「…よし行ったか」

ピッポッパッポ…トゥルルルルー…

バケネズミ『はい、もしもし』

死神兵『私だ』


バケネズミ『ああ、死神兵さんですか』

死神兵『うむ…。目標の誘導は進んでいるか?』

バケネズミ『はい。ですが、目標に直接手を出すなと言われているので…正直、あまり効率良くは運んでおりません』

死神兵『なぁに、それでいい。あまり急激に進化されても困るでな』

バケネズミ『……体制側にバレるからですか?』

死神兵『あたりまえだ。だから今もこうしてわざわざ旧人間文明の遺物を使って連絡を取っているんだろう』

バケネズミ『はぁ…』

死神兵『なにせ私達はテロリストなのだからな』


スライム「目が痛い」

バケネズミ「は?」

スライム「いや、歯じゃなくて目」

バケネズミ「え?」

スライム「エィリャァアアアアアア!」

バケネズミ「な、なにそれ」

スライム「マイブーム」

バケネズミ「で、どこが痛いって?」

スライム「目だって言ってんだろ」

バケネズミ「いや、それは確実におかしいでしょ」

スライム「まぁたスライム差別か。目はバケネズミの専売特許じゃないんだぜ?」

バケネズミ「う、うん。ってそうじゃなくて…」

スライム「なんだよ」

バケネズミ「昨日の今日で、もうこれかぁ…」

スライム「は?」


バケネズミ「こっちの話」

スライム「童貞にこっちもそっちもあるか」

バケネズミ「お、お前だって童貞だろ!」

スライム「スライムにはちんちんはない。はい論破」

バケネズミ「ぐぐ……」

スライム「で、目医者に行こうと思う」

バケネズミ「いやいやいや…昨日言ったこともう忘れたの?」

スライム「僕は、友達との記憶が一週間で消えてしまうんだ…」

バケネズミ「昨日の今日だろ。七分の一週間フレンズじゃねぇか」

スライム「うるせえぞ」

バケネズミ「ごめん」

スライム「ゆるキャラ」

バケネズミ「それはつまんないわ」


スライム「つまんないのはお前の人生だろ」

バケネズミ「俺はお前のために言ってるんだぞ…?」

スライム「異種族間BLとか需要ないからやめて」

バケネズミ「そ、そういう意味じゃないよ…」

スライム「童貞怖い。僕はコンニャクじゃないぞ。コンニャクは食べるものでちんちんを突っ込むものじゃないぞ」

バケネズミ「最近、スライムの毒舌が酷い気がする」

スライム「話戻すと、もう目医者の予約取った」

バケネズミ「は?」

スライム「いや、歯も痛いんだけど、痛くて目が開かないのは深刻。外もうかつに歩けない」

バケネズミ「昨日まで、目なくても歩けてたじゃん」

スライム「うるせぇぞ」

バケネズミ「ご、ごめん」

スライム「しゅごキャラ」

バケネズミ「え?」

スライム「え?」

ちょっと落ちます

バケネズミ「ちょっと整理するね」

スライム「仕切んな、ウザい」

バケネズミ「……」

スライム「ゴメン、ちょっと言い過ぎたかも」

バケネズミ「いきなりデレんなよ」

スライム「童貞怖い」

バケネズミ「で、続けると、昨日は歯が生えてきて、今日は目が生えてきた。そういうこと?」

スライム「目が生えてきた、って言い方はなんだかな」

バケネズミ「ほっとけ」

スライム「ほっともっと」

バケネズミ「お前、思いついたこと言っただけでギャグになると思うなよ」

スライム「うむ」

バケネズミ「それで、目医者ってどこ行くの?」

スライム「手長猿病院」

バケネズミ「じゃあお姉さんと行ってきなよ」

スライム「いやだ、姉貴、へん」

バケネズミ「じゃあ行かないでいいよ」

スライム「うん」

バケネズミ「え?」

スライム「え?」

バケネズミ「行かなくていいんだ?」



スライム「もともと予約なんかしてないし」

バケネズミ「なんだよ」

スライム「うるさいぞ」

バケネズミ「めんご」

スライム「めんぼう」

バケネズミ「だからつまんないって」


スライム「じゃあ、そろそろエルフちゃんとこ行くから」

バケネズミ「……え、エルフちゃん?」

スライム「なんだよ、その反応」

バケネズミ「い、いや。エルフ様ってちょっと苦手で」

スライム「エルフ、様?」

バケネズミ「ああああ! なんでもない! なんでもない!」

スライム「変なヤツだな」

バケネズミ「ごめん」

スライム「じゃあ行くから」

バケネズミ「うん、ばいばい」

スライム「うむ」

バケネズミ「……」

バケネズミ「ふぅ……」

エルフ「あー! まさかそこにいるのってドブネズミくぅん?」

バケネズミ「……!!」

エルフ「うわぁ、ひっさしぶりぃー。最近、ガッコ来てないけどどしたの?」

バケネズミ「い、いやぁ、えと、えっと……」

エルフ「ダメじゃん、ガッコ来ないと。不良じゃん。無価値じゃん」

バケネズミ「…う、うん。ごごごゴメン…!」

エルフ「ごごごごごって何それ。チョーウケる」

バケネズミ「……こほっ、こほっ」

エルフ「うは、出たドブネズミくんの咳き込み。都合悪くなるとすぐ咳しちゃって。風邪ですかー? きゃははははっ!」

バケネズミ「別に、こほっ、そういう、わけ、じゃ…ごほっ、ごほっ」

エルフ「ぶっちゃけ、ガッコ来ないのはいいとしても、私への貢ぎに来ないのはおかしいじゃん?」

バケネズミ「ごごごごゴメン…。最近、お金なくて」

エルフ「はぁ?」

バケネズミ「い、いや歯じゃなくてお金がなくて……」

エルフ「はっ、つまんね。なにそれ。チョー白けんし。マヂてんしょんだだ下がり。なに、歯ってなに。クソかよ、死ねよ、死んじゃえよ」

バケネズミ「ごめんっ、ごめんっ……こほっ、こほっ、ごほっごほっ…」

エルフ「うっせ。わかったから、咳すんな。キモくて吐くわ。割りとガチで」

バケネズミ「ごほっ、ごほっ」


エルフ「5万」

バケネズミ「え?」

エルフ「今日は5万でいいっつの。金ない、とかいいながら持ってるオチだろ? あんた、どっから湧いてくんのかわかんないけど、いつもやたら金持ってんじゃん」

バケネズミ「そ、そんなことな…ごほっ、ごほっ…」

エルフ「早く出せェッ!!!」

バケネズミ「ひぃっ、ゴメン、出す、ゴメンっ!」

エルフ「チッ、持ってんなら最初から出せよ」

バケネズミ「一、ニ、三、四……ぴったり5万円。これでいい?」

エルフ「え?」

バケネズミ「え?」

エルフ「なに、普通に渡しちゃってんの。いつものやれよ、いつもの」

バケネズミ「……」

エルフ「早くやれ、ニキビデブッッ!!!」

バケネズミ「……ぼ、僕みたいな最低辺のクズが、お、恐れ多いながらも、貢がせていただきます……エルフ、様…っ」

エルフ「この金は、アタシに言われたから出したんじゃなくて、自分の意思で出した、そうだな?」

バケネズミ「こほっ、こほっ…う、うん」

エルフ「うわー、ありがとー! ドブネズミくんったら優しすぎ! エルフちゃん、マヂ嬉し過ぎて死んじゃうかも!」

バケネズミ「……こほっ、こほっ」

エルフ「ドブネズミくんが学校来てくれると、エルフちゃんはもっと嬉しいな! じゃあね! また学校で!」

バケネズミ「う、うん。じゃあね」

バケネズミ「…………こほっ」

バケネズミ「こほっ…こほっ、こほっ……ごほっ、ごほっ、がはッ…咳が、止まらない…」

バケネズミ「…うう、うううううううううううううう」


エルフ「スライムくーん」

スライム「あれ、エルフちゃん」

エルフ「歩いてたら、スライムくんの背中が見えたから、走ってきちゃった」

スライム「あ、そうなんだ。僕も丁度、エルフちゃんちに行こうかと思ってたんだ」

エルフ「なんで……って、は?」

スライム「いや、今日は歯の話じゃなくて…」

エルフ「目!? なんで、目!? え、どういうこと!?」

スライム「そうそう、目の話をしようと思ってて…」

エルフ「いつから、その目!?」

スライム「今日の朝起きたら、なんか目のあたりが痛くて…触ってみたら目があった」

エルフ「今まで、目という概念なかったのに、目のあたりが痛くて、っておかしいよね?」

スライム「え、どういう意味?」

エルフ「目と歯が生えても脳味噌は単細胞生物かよ、ヴァロス」

スライム「え?」

エルフ「なんでもないよん♪」

スライム「それで、エルフちゃんちにお邪魔していいかな?」

エルフ「ん? いいけど」

スライム「目の話以外にも、聞きたいことがあるんだ」

エルフ「……?」

すみません、酉抜けてました


スライム「お邪魔します」

エルフ「うん、それで話ってなにかな?」

スライム「え、えと、その…」

エルフ「?」

スライム「き、昨日もこの部屋でおじさんを相手にしてたの?」

エルフ「…は?」

スライム「歯とか言ってごまかさないで」

エルフ「……」

スライム「昨日、エルフちゃんちに行く、っていう人に会ったんだ」

エルフ「…なんのことかにゃ?」

スライム「と、とぼけても無駄だよ!」

エルフ「あー、それはきっとわたしのお父さんだよ☆ んもうっ、スライムくんたら、それもセクハラになるんだぞ♪」

スライム「そのおじさんはね、『一発抜いておく』って言ってたよ。お父さんならそんなこと言うかな?」

エルフ「…チッ」

スライム「なんで、そんなことしてるの、エルフちゃん……?」


エルフ「……スライムくんはさ、わたしが円交してるっていいたいの?」

スライム「…うん」

エルフ「……ふふ、ふ。あはははははははははっ!」

スライム「…エルフちゃん?」

エルフ「そうだよッ! おじさん相手に腰振ってるよッ! で、なに? なんか文句ある!? あんたに何か、影響あるッ!?」

スライム「……」

エルフ「馬鹿なんだよなぁ、ドイツもコイツもさぁッ! ガキ相手に真剣な顔して腰振ってさぁッ! しかも、ありがとうなんて言いながら万札を何枚も渡してくる」

スライム「それはね、悪いことなんだよ、エルフちゃん」

エルフ「は? なんで? なにが悪いの? あんた、身体の自由って知ってますかー?」

スライム「好きでもない人と、そういうことするのは、いけないことなんだよ」

エルフ「じゃあ愛があればいいの!? わたしにも愛あるよ! おじさんのこと好きで好きで堪らないから腰振ってんの! これでいい!?」

スライム「……わかんないよ、エルフちゃん。なんで、なんのために、そんなことしてるのさ」

エルフ「金のために決まってるじゃん!」


エルフ「世の中ねぇ、お金なのよ、お金、わかる? マネーよ、マネー」

スライム「……」

エルフ「サラリーマンの平均年収が今は大体400万円。月にすると一月で35万くらい」

スライム「……」

エルフ「でもねぇ、わたしは一日に数人相手にするだけで20万は稼げんの! 儲かり過ぎでしょ! それに、わたしは他にもたくさん収入源があるの。勝ち組なのよ!」

スライム「本当にそうかな?」

エルフ「…昨日は、この国で最も影響力のあるヤツを破産させたわッ、この手でッ! お金も、ガッポガッポッ、一生遊んで暮らせるくらいにッ! これが勝ち組じゃなくてなんだって言うのッ!?」

スライム「……」

エルフ「今日は、クラスで一番キモいヤツに、貢がせたわッ! どう、勝ち組でしょッ!? ねェッ、ネェッ、スライムくんッ!」


スライム「一生遊んで暮らせるくらいお金があるのに、なんで今日もお金をもらったのさ」

エルフ「……」

スライム「大金持ちのエルフちゃんには、もうお金なんて必要ないんじゃないの?」

エルフ「……くくッ…くははははははははははははッッ! あひゃひゃひゃひゃひゃッ! 凡人思想ッ! 底辺のクソ頭ッ!」

スライム「……え?」

エルフ「足りねぇよッ! これじゃあまだ、足りねぇッ!! アタシはまだ、満たされないッ! あひゃひゃッ! こんなんじゃ、満たされないッ!」

スライム「…足りない?」

エルフ「もっともっと、金が欲しいの、マネーが。こんだけじゃ、いつかなくなるかもしれない。そんなのね、嫌なのッ!! 今まで嫌というほどあったのに、朝起きたら全部夢だったってなりたくないのッ!!」

スライム「……エルフちゃん?」

エルフ「あああああああ、渇くッ疼くッ、金が、なくなるのは怖い怖いイヤダイヤダ嫌だぁああああああああッッ!! なくならないくらいの金ッ、くれぇえええええええッ!!!」

スライム「落ち着いてよ、エルフちゃんッ!」


エルフ「朝、起きたら、アタシの金がッ、エーちゃんのだいじなものがぜんぶ……ヤダヤダやめてこないでァアアアアア、お金、稼がなきゃ、生き抜くためには、マネー大事…ふふふ」

スライム「エルフちゃん、エルフちゃん! わかる、僕のことわかる!? 落ち着いて、エルフちゃん!」

エルフ「触るなキモブタ貢げアタシにズボン脱いでパンツ下ろして性器出してこすりつけてついてついてツイてツイてああああああああ痛い怖い怖くないお金お金マネーマネーいひひひひひひいひ」

スライム「……あ、あああ……」

エルフ「くふふふふふふふ……スラ、スライムくぅん」

スライム「エルフちゃん…大丈夫?」

エルフ「ひひひ一つだけ教えてあふぇるるるr。わたし、嘘ついてお金だまし取ったりしてたけれどねねねね。一つだけ、ある、ホントのこと」

スライム「本当のこと?」

エルフ「お父さんとね、おかああああああさんが……死んじゃってたのはホント。ガンとかははあははh全部ウソなんだけどぉおおおおおおおおひゃァアアアアアアアア」

スライム「なんのこと?」

エルフ「少女。朝起きたら真っ赤な部屋で隣にお父さんお母さん倒れるアタシ叫ぶタンス見る金庫見るなんにもないみんなで稼いだお金全部とられた大事なもの壊されて殺されて奪われて一日で全部なくなって虚無絶望心満たされ温かいもの全部冷えて渇く疼く金がないと生きていけないお金なくなるなくならないほど稼がなきゃお金ないとお金稼がなきゃ稼がなきゃお金をもっともっともっともっともっと稼がなきゃどうしよう熱い怖い挿されて突き上げられてもお金稼がなきゃなんでもして稼がなきゃお金マネーをもっとたくさん稼ぐ一日じゃ壊したり殺したり奪ったり出来ないくらいにたくさんまだ足りないもっとたりないどうしてなにがお金ないとお金お金お金お金お金お、かね…」


スライム「…エルフちゃん、僕、もう行くね……」

エルフ「…………」

スライム「じゃあ、ね…」

エルフ「…………」

エルフ「目」

エルフ「目だ……そうかそうだよねアレを売ればもっとお金稼げるよね。スライムくんみたいなスライム到底いないし、すごいレアだよね」

エルフ「ふふふ……だったら、準備が必要だよね。わたしが、わたしだけが利益をエられるように」

エルフ「人の手は借りない。わたし自身がスライムくんを捕まえて、売りさばく」

エルフ「ふふふ……あははははははっ☆ あひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ☆」

エルフ「エルフちゃん、頑張りっ子じゃんッ!」


スライム「…………」

スライム「エルフちゃん……今は一人にしておいてあげたほうがいいいよね…」

スライム「あああッ! 僕のバカッ! わざわざエルフちゃんに円交のこと聞かなくても良かったのに!」

死神兵「……ほう」

スライム「…あ!」

死神兵「また会ったな」

スライム「ええ、そうですね」

死神兵「なんだ、またエルフちゃんちの帰りか? キミも好きだなぁ」

スライム「そうですけど、そうじゃないです」

死神兵「ふはははッ、守るがいいぞ、自身の童貞を」

スライム「は、はぁ……」

死神兵「ふむん? ちょっとちゃんとこっちを向け」

スライム「はい?」

死神兵「…目か。キミ、昨日は目なんてついていたか?」

スライム「…つ、ついていましたよ。き、きっと髪の毛に隠れて見えなかったんでしょう」

死神兵「え?」

スライム「え?」

死神兵「……」

スライム「やっぱり無理がありましたかね…?」

死神兵「り、リーブ21に通うがいいぞ」

スライム「あ、あはは……」

死神兵「で、ではな……」

スライム「あ、エルフちゃんちに行くつもりですか?」

死神兵「ああ」

スライム「エルフちゃんなら、今日はお休みですって」

死神兵「なにかあったのか?」

スライム「僕のが凄すぎて、動けないんですよ」

死神兵「え?」

スライム「え?」

死神兵「そういうジョークは、一人前になってから言うんだな」

スライム「とにかく、今日はお休みですから」

死神兵「うむ、そこまで言うならキミに免じて行かないでおいてやろう」

スライム「ありがとうございます。では」

死神兵「うむ」

では、寝ます
明日も多分書きにきます


死神兵「そうは言ってもな…。収まりがつかないぞ、コレは」

死神兵「……あのスライムはああ言ってたが、アイツの勘違いかもしれんからな」

死神兵「やっぱりエルフちゃんちへ行こう」




ピーンポーン



エルフ「はーい☆」

死神兵「来たぞ」

エルフ「あ、おじさん! さ、入って入って」

死神兵「…何もおかしいところなどないではないか」

エルフ「ん?」

死神兵「いや、なんでもない。では邪魔する」

エルフ「はーい♪ どうぞ♪」


エルフ「おじさん、ちゃんとお金持ってる?」

死神兵「ああ、勿論。今日は各所への入金の仕事があったから、通帳まで持っているぞ」

エルフ「……へぇ、そっかぁ…」


エルフ「ちょっと色々準備あるから、待っててね」

死神兵「うむ」

死神兵「…しかしなんの準備だ? 今まで、準備などしたことがあっただろうか…?」

死神兵「……今日は期待出来るかもしれんな、ごくり……」

エルフ「はーい、準備終わったにゃぁー」

死神兵「おう、なんの準備だ?」

エルフ「い、言えないよ/// 女の子には色々、準備があるの!」

死神兵「おほぉ、おほぉ、そうかそうか」


エルフ「予行練習、今日はどうする?」

死神兵「うーむ…」

エルフ「手? 足? 胸? お口?」

死神兵「胸も捨てきれんが……今日は口で頼む」

エルフ「わかった……。あ、今日は服着てるんだね!」

死神兵「お偉い方と会う約束があったのでな」

エルフ「じゃあ、ズボン下ろして…?」


死神兵「……うむ」

エルフ「うわぁっ! これじゃあ予行練習必要ないんじゃない?」

死神兵「いや、してくれ」

エルフ「ふふふ、おじさんのえっち……。ぺろ…」

死神兵「おほぉ……」

エルフ「ちょっと、まだ一舐めしただけだよ?」

死神兵「つ、続けてくれ……」

エルフ「うふふ……死んじゃえよ、雑魚」

死神兵「――え?」

エルフ「ガブッッ!!!」

ぶしゅぅううううううううううう……!!

死神兵「――!?」

エルフ「お次はコレ☆」

ざしゅッ……ぶしゅううううううううううう…

死神兵「ぁ……ああ……ああああ…」

エルフ「えいっ、えいっ」

ぶしゅっ、ぶしゅっ

エルフ「死んだかな?」

死神兵「……」

エルフ「死んだみたいだね…」

エルフ「性器噛み切られたあとに、出刃包丁で頸動脈滅多刺し…あははははっ! エルフちゃん、残酷っ子じゃん!」

エルフ「どうだった、おじさん? 最期の情事は? 気持ちよかった?」

エルフ「準備した甲斐、あったかなぁ☆」


エルフ「どれどれ、おじさんのバックの中身見ちゃお♪」

エルフ「ふむふむ……これだね、預金通帳。へえ、いくつも口座作ってるんだぁ、律儀だね」

エルフ「預金は…合計で8000万くらいか…。あのオヤジ、一万値上げしたでけで払うの渋ってたくせに、結構持ってんじゃん」

エルフ「とりあえず、全額降ろすかな……ん?」

エルフ「なにこれ…機械? アンテナっていうのかな、これ…。なにに使うんだろう…? 売れるかな…」

エルフ「…『周波数を合わせてください』? よくわからない…。壊れたら嫌だし触らないでおこう…」

エルフ「他には……っと…。…え?」

エルフ「魔王さまの紋章……まさか、この人、政府高官だったの…? 金持ってるわけだな…、エルフちゃん、ラッキー!」

エルフ「…お、内ポケットになにか入ってるじゃん! どれどれ……」

エルフ「『第四次勇者育成計画』……?」


スライム「ふぅ…」

勇者「勇者 は うつ になった。勇者 は ひとりぼっち だ」

スライム「…うわ、昨日の変な人だ」

勇者「勇者 は いきるいみ がない! 勇者 は れぞんでーとる をなくした!」

スライム「……そぉーっ」

勇者「勇者 は なかまをさがしている! なかま をさがしますか? ざんねん! なかま はいないようだ」

スライム「さささーっ」



魔王「やあ、また会いましたね」
スライム「あ、どうも」

魔王「ははは…昨日はお世話になりました。 おかげで今日も生きていられるよ…」

スライム「物騒なこと言わないでくださいよ」

魔王「ははは……」

スライム「……」

魔王「……」

スライム「どうかしたんですか? 元気ありませんよ?」

魔王「いや…昨日言ってた子から、『入金ありがとう』とかそういう類の連絡が来ないんだ…」

スライム「……え?」

魔王「こちらからも連絡が取れなくなってるし……。ははは…」

スライム「……」

魔王「こういう世の中を変えてやろう、って魔王になったのになぁ…。私が魔王になっても、この世界は何も変わってなかったんだなぁ…」

スライム「……」

魔王「なんでだろうなぁ…。ははは…。はははははは…」

スライム「事情はよくわかりませんが、これ、どうぞ」

魔王「ああ、また恵んでくれるのかい…? 嬉しいな…でもお気持ちだけもらっておくよ」

スライム「……」

魔王「私みたいのは、死んでしまったほうがいいんだ」

スライム「…いくらでも、やり直しは効きますよ?」

魔王「いいや、そうじゃないんだ。そうじゃないんだよ」

スライム「……?」

魔王「詐欺にあっておきながら、私はその娘が、本当はガンなんかじゃなかったことに安堵しているんだ。心の底からね。情けない、自分が、情けないんだ……」


スライム「……」

魔王「情けないなぁ。その子が、今もどこかで苦しみなく生きていることが堪らないくらいに嬉しいんだ」

スライム「……そう、ですか」

魔王「良かった、詐欺で良かった。私は騙されたけど、娘が無事だったら、それでいいんだ」

スライム「……」

魔王「私はこれから、どうすればいいんだろうなぁ……」

スライム「……わかりません」

魔王「私にも、わからないよ。ただどうしてか、疲れだけが溜まっていく。なんなんだろうね、これは」

スライム「……」

魔王「虚無感、かな。大切な物を失った者特有の、さ」

スライム「……わかりません」

魔王「ははは…。こんな鬱のおじさんを見ていても、困るよな。どうぞ、キミはキミの行くところに行ってくれ」

スライム「…でも、いいんですか?」

魔王「いいんだ、一人になりたい気分なんだ」

スライム「……わかりました。では」

魔王「ああ」


スライム「……今日は…嫌なことが続くな」

スライム「昨日みたいなほのぼのした空気じゃなくて、殺伐とした空気が流れてるような……」

スライム「なんなんだろうな、これは…」



スライム「ただいまー」

姉貴「繧ィ繝?ぅ繧ソ縺後ヰ」

スライム「……」

姉貴「縺ゥ縺?@縺ヲ譁?ュ怜喧縺代′襍キ縺阪k縺ョ?繝舌き縺ェ縺ョ?」

スライム「……」

姉貴「鏤炊サ・Lシ・披 ケΤ6・・ア#・障ア8!!!」

スライム「姉貴も、今日は殺伐とした日だな……」



スライム「今日は、色々、悲しいことがあった」

スライム「昨日とは打って変わって、世界が狂ってしまったみたいだ……」

スライム「目も生えてきたし…」

スライム「明日は、いい日になるといいな……」

スライム「……本当に、いい日になりますように…っ!!」

スライム「おやすみ、世界」

あーまた酉抜けてました

と、こんな感じで今日は終わりです
明日も書きに来ます
感想とか支援もらえると嬉しいです

ではではノシ


参謀「……魔王さまが帰ってこない」

参謀「それに…死神兵との連絡がつかなくなってしまいました」

参謀「多分、二人が向かったのは歯が生えたスライムが出現した町…。そこでなにかが起こっているのかもしれません」

参謀「ですが…確証も取れないまま、緊急会議を招集するわけにもいきませんし…」

参謀「…わたしもいきますか。その町へ…」




バケネズミ「…おかしい」

バケネズミ「死神兵さんからの提示連絡がない…」

バケネズミ「…まあ、あの人のことだから忘れてるかもしれないし、こっちからかけてみよう…」

ピッポッパッポ…
スライム「歯が痛い」 - SSまとめ速報
(http://open2ch.net/p/news4vip-1397401513-112.png)

あ、なんか変なお絵かき入っちゃいました
すいません


プルルルルル…

エルフ「…!? なんの音!?」

プルルルルル…

エルフ「……この変な機械か。なんで鳴ってるんだろう…?」

エルフ「『コーリング…』? 電話が掛かってきてるってこと!?」

プルルルルル…

エルフ「…チッ。こんな変な機械のおかげで足がついて溜まるか」

ぎゅ…ガシャッッ

エルフ「…壊したら止まる…。 エルフちゃん、破壊っ子☆」





ドブネズミ「出ないなぁ……」

ドブネズミ「…ん?」

ザザザ……ガシャンッ

ドブネズミ「……」

プーップーップー……

ドブネズミ「…切られた?」

ドブネズミ「いや、違う。 『端末が圏外になりました』か…」

ドブネズミ「…誰かが、壊したんだ。死神兵さんから奪った携帯を…」

ドブネズミ「死神兵さんになにかあった……。そうとしか考えられない…」


エルフ「さっきの電話…」

エルフ「誰かがもう、このおっさんが死んだことを勘付いているってこと…?」

エルフ「……じゃあ、死体を早く処理しなきゃ…」

エルフ「…どうやるのが一番いいかな?」





スライム「髪ウザったるいし、そろそろ切りに行こうかと思う」

バケネズミ「もう突っ込みたくもない」

スライム「ということで」

バケネズミ「うん」

スライム「今日は髪が生えていました」


バケネズミ「歯、目、その次は髪の毛か…」

スライム「ハゲネズミのキミからしたら、フサフサで羨ましい?」

バケネズミ「俺はバケネズミだ」

スライム「でもハゲてるじゃん」

バケネズミ「ストレス性だ」

スライム「ストレス性でも、ハゲはハゲだよ」

バケネズミ「ぐぬぬ…」

スライム「髪の毛が目にかかって鬱陶しいんだよね」

バケネズミ「それで床屋に行きたいって?」

スライム「うん」

バケネズミ「床屋に行くくらいならさ…」

スライム「うん?」

バケネズミ「俺が切ってやるよ」


スライム「ハサミあるの?」

バケネズミ「100均でよければ」

スライム「なめてんの?」

バケネズミ「え?」

スライム「俺が髪の毛童貞だからってなめてんの?」

バケネズミ「いや、そんなつもりは…」

スライム「専門職が使うようなヤツ買いに行くぞ」

バケネズミ「どこに?」

スライム「町に」


エルフ「…このおっさん、確か政府の高官だったなぁ…」

エルフ「でも、そのナンバーワンの魔王さまは今、アタシのお陰で、路頭に迷いリングのはず」

エルフ「…あはっ☆ いいこと思いついちゃった☆」




バケネズミ「ふぅ、こういう都会っぽいとこ初めてだ」

スライム「ださ」

バケネズミ「お前もだろ?」

スライム「ほっとけ」

ざわざわざわ…

スライム「なんか騒がしいな…」

バケネズミ「うん…」

スライム「有名人でも来てるのかな?」

バケネズミ「広場のほうみたいだね」

スライム「ちょっと行ってみるか…」




ざわざわざわ……

スライム「なんの騒ぎだ?」

バケネズミ「どれどれ」

スライム「……え?」

バケネズミ「……あ」

スライム「……なんで…、こんな…」

バケネズミ「……あ、…ああああああ……ああああああああああああッ!!!」



バケネズミ「――死神兵さんッ!!!」


スライム「『この者は、政府に楯突く反逆者なり。よって公開処刑に処す。  魔王』だって……!?」

バケネズミ「…………畜生」

スライム「……バケネズミ?」

バケネズミ「畜生畜生畜生ッ畜生ぉおおおおおおおおおおお!!!」

スライム「……!?」

バケネズミ「殺したな…!! 俺を…俺の実力を認めてくれた…唯一の…唯一の…人を……よくも殺したなッ!!」

スライム「……」

バケネズミ「俺の……生きる意味をよくも……!! 俺を闇の中から救い上げてくれた…死神兵さんを…ッ! 魔王…絶対に許さない」

スライム「……」

バケネズミ「…殺す。なんとしてでも復讐する。魔王を……冷酷非情な、畜生を……この手で……ッ!!!」

スライム「…!! どこに行くんだ、バケネズミっ!?」

バケネズミ「殺す殺す殺す殺すぉおおおおおおおおおおおおあおあああああああああああああッッ!!!」


参謀「……なんですか、この異様な雰囲気は」

参謀「広場のほうからですね…」

とことことこ……

バケネズミ「殺す殺す殺す殺すぉおおおおおおおおおおおおあおあああああああああああああッッ!!!」

参謀「…!? キッチーさんですかっ!?」

参謀「…どうやら、なにかが起こっているようです…」

ざわざわざわ…

参謀「……ッ! 死神兵……ッ!」

参謀「『この者は、政府に楯突く反逆者なり。よって公開処刑に処す。  魔王』…!?」

参謀「魔王さまが、こんなことを…? ありえない、魔王さまは虫一匹すら殺せないほどに純粋な方…」

参謀「……なに者かがこの国で暗躍しているというのですか…?」


スライム「死神兵さんは、自分のことをテロリストだと言っていた…」

スライム「そのことが魔王さまにバレて、殺されたのか…?」

スライム「少なくとも、僕と別れるまでは死神兵さんは生きていて…。そう、エルフちゃんちに行きたいって…」

スライム「もし、僕と別れたあとに、僕の言うことを聞かずにエルフちゃんちに行っていたとしたら…?」

スライム「エルフちゃんに会いに行こう」


魔王「……死のう」

魔王「私に、この国を背負う資格はない。そもそも、食べていくお金がない」

魔王「ああ……悪くない人生だった。道を途中で踏み外すまで、全力で駆け抜けたなぁ」

魔王「優しい人々に恵まれて、それに応えられるように必死で頑張って…その結果がこのザマか…」

魔王「…さようなら、世界」

エルフ「――そういうワケにも行かないんだよね☆」

魔王「…!?」

エルフ「死ぬなんて、エルフちゃんが許さないんだから」

魔王「…止めないでください。私にはもう、生きている意味がない」

エルフ「……ふふふ、そんなことないよ? あんたには、まだまだやってもらわなくちゃいけないことがあるんだから」

魔王「……え?」

エルフ「魔王城に連れて行ってぴょん♪」

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