モバP「……ケッコンカッコカリ?」 (122)

ちひろ「はい、そうです!」

P「ちひろさん、それ他所の話じゃ……」

ちひろ「いやぁ、私としたことが。あれは先んじられましたね」

ちひろ「レベル限界を押し上げる課金機能なんていいじゃないですか!他にも何か欲しいなって思ってたんですよね」

P「いやいやいや、モロパクリじゃないですか!?駄目ですよそれは!?」

ちひろ「いいんですよ、適当に文頭に『元祖』とかつければどうにでもなります」

P「なりませんから!」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1397321106


P「ともかくですね、そういうのは絶対にいけません!」

ちひろ「え~」

P「どう考えても、訴えられたら負けるじゃないですか……」

ちひろ「名前変えれば問題なんて無いですよ、どこでもやってることです」

P「どこでもやってるって言葉は、詐欺を行う人間がよく使うらしいですよ?」

ちひろ「見てくださいよこの笑顔!これが詐欺を行う人間の笑顔に見えますか?」ニコリ

P「私には消費者金融の受付嬢が見せる笑みに見えます」

ちひろ「Pさん、減給って言葉を知ってますか?」

P「冗談です、天使のような笑顔です!」


P「ああもう!ちひろさんは怖くないんですか!?」

ちひろ「私が怖いのは……JA○RACだけです」

P「……生々しすぎて反応に困るんですけど」

ちひろ「ともかく!目の前の金儲け……じゃなくて新機能は見逃せません!」

ちひろ「Pさんにもテスターとしてちょっと協力してもらいますよ!」

P「いやです」

ちひろ「協力してくれなかったら……」

P「いやですよ本当に。例え減給になろうがクビになろうが、流石にそんなことはできませんかr」

ちひろ「アカウント消します」

P「がんばります」


P「(断ったら減給とかクビとかじゃなくて、存在が消されるのか……)」

ちひろ「取り合えず、向こうの社員に金を掴ませて……ゲフンゲフン」

ちひろ「親切な方からいただいた指輪があります!」

P「もう深くは聞きませんよ……」

ちひろ「まぁゆくゆくは違う形になるでしょうが、今日のところはアイドルにこれを渡して調子を確かめてみてください」

ちひろ「もちろん、採用に向けては動きますが不調があったらいけませんからね。アイドルの皆さんが苦に感じないように調整していきましょう」

P「俺はもう苦に感じちゃってるわけですが」

ちひろ「モバゲのアカウント」

P「誠心誠意頑張らせて頂きます!」

ちひろ「はい、応援してますよプロデューサーさん!」ニコリ


P「……結局、話を受けてしまった」

P「よくよく考えれば、指輪ってかなり危ないよな?」

P「ケッコンカッコカリだぞ?どう考えても婚約指輪じゃないか……」

P「アイドルに結婚話は安部菜奈さんの実年齢並みに危険な話題だ」

P「……どうすればいい?考えろ、考えるんだ俺。きっと、きっと突破口はあるはずだ」

P「……そうだ、指輪をプレゼントっていう形でさりげなく渡そう」

P「この機能の名前を伏せて、ただのプレゼントとして渡せばいい。普通にお菓子とかおせちみたいなアイテムだと思ってくれるはずだ」

P「うん、そうだ。この指輪はいつも頑張っているアイドル達への贈り物ということにすればいい」

P「別に変な意味ではない、そうだ、ましてや結婚なんて話はない」

P「……って、よく考えれば自意識過剰じゃないか?アイドルだぞ?美少女だぞ?そして俺だぞ?」

P「思い出せ、過去の反省を顧みるんだ」

P「そうだ、中学、ラブレター、校舎裏、罰ゲーム。高校、告白、性的に無理」

P「……」

P「あ、やべ。何か死にたくなってきたわ」


ちひろ「忘れたことがあったと戻ってみれば……。何を一人で百面相していらっしゃるんですか」

P「知ってますかちひろさん?人間のプライドや心なんてね、言葉一つで簡単に粉々になるんですよ?」

ちひろ「そんな金銭価値皆無なものよりケッコンカッコカリですよ」

P「商魂がたくましすぎて、そこまでいくと尊敬の念すら覚えますよ。それでどうしたんですか?」

ちひろ「このメガネを渡す事を忘れていましてね」

P「えーと、この例のスカウターに似たメガネは?」

ちひろ「好感度とアイドルのもろもろを親愛とレベルという形で表示するアイテムです」

P「(うさんくせぇ……)」


ちひろ「あ、今胡散臭いとか思いましたね?わざわざ向こうの妖精さんに依頼した一品ですよ?」

P「よ、妖精ですか。ですがどうして晶葉に頼まなかったんですか?きっと晶葉なら」

ちひろ「依頼したら疑われること間違い無しじゃないですか。ただでさえこの前の……いえ、何でもありませんよ」

P「……頭痛くなってきたので、なんかもういいです。はい」

ちひろ「言っておきますけど、親愛とレベルがMAXでなければその指輪は付けられませんからね?」

ちひろ「ここ、重要なところですよ!」

P「き、気をつけます」

ちひろ「それじゃ、本当にお願いしますね?もし何もしなければ……BAN!」

P「」びくっ!

ちひろ「ですからね?」ニコリ

P「ハイ、チヒロサンハウラオモテノナイビジンデス」


P「(まぁ、まだ指輪ぐらいなら問題はないかもしれない)」

P「(アクセサリーのプレゼントだって最初に言えば、恐らく大きな問題は起こらないだろう)」

P「それじゃ、さっそくこれをつけてみますね」

ちひろ「あ、あとこれもアイドルに記入してもらってくださいね」

P「はいはい、もう何だってやりますよ」

ちひろ「お、やる気ですね。それじゃお願いします」

P「ところで、これ何の紙で……す……か?」

ケッコンカッコカリ証明書

P「……」

ちひろ「ちゃんと全部書かなくちゃ駄目ですよ、あと印鑑も忘れないでくださいね!」

P「え、あ、え?」

ちひろ「指輪も書類もそれ一セットしか手に入らなかったから、ちゃんと相手を選んでくださいよ?」

P「ち、ちひろさん?」

ちひろ「それじゃ、お願いしますよプロデューサーさん!」バタン


P「お、落ち着け自分。そうだ、もしかしたら極度の緊張から来る見間違いかもしれない」チラリ

ケッコンカッコカリ証明書

P「はい、そんなわけないですよね」

P「(いやいやいやいや、これは流石にシャレにならないぞ!証明書って何?この印鑑押してくださいと言わんばかりの印マークは何ッ!?)」

P「(まだ、まだ指輪だけならいくらでも誤魔化せるがこれはどう考えてもアウトだ!直球ど真ん中ストレートと同じくらい解りやすい地雷だ、もはや隠れている素振りすら感じられない!)」

P「あ、あはは。終わった。俺の社会生活が、両親への仕送りが、ローンを組んでまで見栄はって買った外車が」


P「に、逃げ道が完全に塞がれている。どう足掻いても絶望だ、アイドルからの信用がゼロ、ついでに会社の信用までゼロになりかねない」

P「この書類と指輪とメガネ、いったいどうしろっていうんだ。いや、やるしかないんだが……」

P「しかし、レベルはともかく親愛までが対象か。差別化を図る目的なのか?」

P「……ん?待てよ?」

P「確か、ケッコンカッコカリってレベルの上限をあげたような。それはつまりこの場合、好感度の上限も上がるって事じゃ……」

P「……」

P「そ、そんなわけないよな。うん、考えても辛いことしか思い浮かばないから考える事を止めよう」


P「指輪だけでもイメージがつきまとうっていうのに……」

P「加えて書類でさらにドンだ、裏ドラまでのって倍満まであるぞこれは」

P「未来に絶望しか感じられない。だがそれでも、もし自然な感じで頼めるアイドルが来てくれれば」

P「穏便に笑って冗談で済ませられる、そんなアイドルが来てくれれば……!」

コツコツ

P「!(これは、足音?こちらに向かっている!ちひろさんが出ている今、十中八九アイドル……!)」

ガチャリ

P「お、おはよう(神様……!どうか、どうか!)」

P「(この艱難辛苦を受けまくって胃がボロボロな俺に救いを!)」

和久井留美「おはようP君」

P「God is dead」

留美「え?」


P「はっはっは、おはようございます和久井さん」

留美「お、おはよう。随分と流暢な英語だったわ」

P「今日はちょっと天気が悪いですね、雨まで降ってるぐらいですから!」

留美「……そうかしら?私には雲一つ無い晴れ空に見えるわね」

P「それでわくわくさん、今日は何を作るんですか!」

留美「いろいろと言いたいことはあるのだけれど……」

留美「取り合えず……このハンカチを貸してあげるから。一回落ち着いてその涙を拭った方がいいわね」

P「あ、あはは。ありがとうございます」

P「すいません、取り乱してしまって」

留美「たまには休むことも必要よ、何か起こってからでは遅いのだから」

P「お、おっしゃる通りで」

留美「……ウェデイングイベントの時のこと、覚えているかしら?」

P「へ?」

留美「これからもエスコートをお願いできるかしら、そういった私の手をとってくれたのはPさん、貴方よ」

留美「私は他の誰でもない、貴方だからこそここまで来ることが出来た。そして私は貴方以外の手をとるつもりはないわ」

留美「あの式場で誓った『ずっと貴方のそばにいる』という言葉は……嘘ではないもの」

>>訂正:留美「これからもエスコートをお願いできるかしら、そういった私の手をとってくれたのはP君、貴方よ」

留美「お願い、無理はしないで」

留美「いつも貴方は私を心配してくれるけれども、私も貴方を心配していることを忘れないで」

留美「仕事で疲れているのであれば、私も一緒に仕事を手伝う」

留美「悩み事があるのであれば、どんな些細な事でも相談に乗るわ」

留美「何か失敗したのなら、私も一緒に謝りにいかせて。会社や他人に頼みたいことがあるのであれば、私も一緒に頼みに行くわ」

留美「……私が、何故そうするのか解る?」

P「和久井さん、流石に自分のアイドルに自分の尻ぬぐいをさせるようなことは……」

留美「これは全部、全部貴方が私にしてくれたこと。いえ、もう言葉に表せないぐらいに貴方は私を救ってくれた。私は少しでもそんな貴方の助けになりたい」

P「和久井、さん……」


留美「いつもいつも助けられてきたわ。本当に、いつも。もう返しきれないぐらいに貴方は私に与えてくれた」

留美「今度は、私が貴方の助けになりたい。貴方に私が与えられるものを与えてあげたい。ただそれだけよ」

P「(ん?何か数値が……あ、このメガネって確か)」

留美(レベルMAX・親愛MAX)「話せないのなら、私も無理して聞きはしない。でも覚えていて欲しい」

P「」

留美「私は、和久井留美はこれからもずっと貴方のそばにいるわ。それがプロデューサーとアイドルの関係でも、それ以上でも……」

P「アッハイ」

留美「それじゃ、私は仕事があるから行かせてもらうわ。そろそろ出ないと間に合わないかもしれないから」

P「そ、それじゃ送迎を」

留美「……疲れて、いるんでしょう?顔色が悪いわよ?」

P「ま、まぁ(顔色が悪いのは別のが原因なんですけども)」

留美「タクシーを使うから大丈夫よ。費用もばれないように私の方から出すから心配しないで」

P「ですが……」

留美「Pさん」

P「はい!」

留美「私は私が疲れるよりも、貴方が疲れている姿を見ている方が辛い。私を気遣う優しさは、そのまま自分に向けてちょうだい」

留美「何かあったらいつもで言って、私は必ずP君の力になるから。……貴方が、私の力になってくれたように」

バタン


コツコツコツ

P「……」

P「……ガハッ」

P「じょ、冗談でも指輪を渡して証明書を書いてもらう雰囲気ではなかった……」

P「たぶんあれだ。もしあそこで血迷って書いてくださいなんて言ったら、式場までまっしぐらな空気だったな」

P「このケッコンカッコカリを試せる相手が、もし和久井さんだけだったとしたら……」


例のBGM
ttp://www.youtube.com/watch?v=mbp_dnsa1GQ

留美『まさか……本当にあの時の責任をとってもらうことになるなんて』

留美『ねぇ、P君。あの時の私の言葉を覚えていてくれたかしら。瞳で語って、言葉はいらない……そう確かに私は言ったわ』

留美『でもごめんなさい、そうは言いながらも心のどこかでその言葉を待ち望んでいる私がいた。待っている私がいた』

留美『だからねP君、お願い。もう一度だけ、言ってくれないかしら』

留美『……ええ、これからもずっと。私は、和久井留美は貴方の側にいるから』ニコリ


P「おっふ」

P「これカッコカリじゃないよね?どう考えてもカッコホンバンだよね?」

P「こ、これで親愛の上限が上がったらさらに先があるわけで……」

P「……」

P「おかしい、どう足掻いても式場一直線な未来しか見えない」ガクガクブルブル


P「親愛・レベルMAXなアイドルなんて、そうそういるわけがないはずだ」

P「だが和久井さんはその条件を満たしている。もしかしたら唯一のケッコンカッコカリができるアイドルかもしれない」

P「ま、まずい。あの和久井さんはガチだ、やるといったら仮だろうが本番に持っていく凄みがあった」

コツコツコツ

P「(ま、また足音?だがこれは、和久井さんの足音とはテンポが違う!)」

P「(そうだ、まだこれを渡せるアイドルがいるはずだ!仮のままで笑って終わらせられるアイドルがいるはずだ!)」

ガチャリ

P「(頼む仏様、俺にお導きを……ッ!)」

P「(俺に、悟りを……ッ!)」


佐久間まゆ「うふふ……Pさん、おはようございます」

P「諦めるた方が心が軽くなるって悟りましたよこんちくしょう」

まゆ「どうやら事務所には私達だけのようですね……Pさんと二人っきり♪」


P「ま、まゆ?お前確か仕事は午後からの予定じゃ……」

まゆ「ええ、でも事務所にはPさんがいますから。まゆ一人だけの時間なんて……意味がありませんし」

P「そ、そうか。俺もまゆの顔が見られてとても嬉しいよ」

まゆ「私も、Pさんと会えてとても嬉しいです。何よりも、こうして二人っきりでいられることが……」

P「ソウダネー(どうして二人っきりを強調するのか)」

まゆ「最近は忙しくて、なかなかPさんとゆっくりお話しできませんでしたからね……。でも、離れていても私達はずっと繋がっている」

まゆ「むしろまゆはもっと深く、深く繋がり会うことができると思うんです」

まゆ「……Pさんもそう思いますよね♪」

P「あはは、これからもプロデューサーとアイドルとして、お互い支え合っていこう!」

まゆ「ええ、ずっと、ずっと支え合って……。まゆの全ては、Pさんのものですから当然ですよ?」

P「(何だろう、進めば進むほどに深みにはまっていくこの感覚は)」ゾクッ


まゆ「……Pさんは運命って言葉を信じますか?」

P「運命?」

まゆ「よく映画やドラマで、運命を打ち破るってセリフがありますよねぇ……」

P「あぁ、光なんかが特に好んでるな。あいつ戦隊やヒーローもの大好きだからなぁ」

まゆ「うふふ、光ちゃんらしいですねぇ。でも私、それは間違っているんじゃないかって」

P「うん?(あれ、数値が……)」

まゆ(レベルMAX・親愛MAX)「破られたり、砕けたり、千切れたりする運命って……運命じゃないと思うんです」

P「……え?」

ちょっと眠いので中断します。
お付き合いいただいてありがとうございました。

あと最初に忘れていましたが、艦これ要素があるので注意です。

まゆ「運命に軽いも、重いもない。ただそれはずうっと、一本の赤い糸で始まりから終わりまで繋がっているだけ。……ねぇ、Pさん?」

P「えぇと、なんでしょう」

まゆ「Pさんと出会ったあの瞬間。まゆはこれまでの自分が全て無くなっていくのが解ったんです」

まゆ「ああ、全てはこの時のためだったんだって解りました。Pさんと出会ってからが本当のまゆ、それまでのまゆはPさんと出会うためのまゆだったんです。」

まゆ「一回まっしろになったおかげで、余計なものは全てなくなりました」

まゆ「ここにいるまゆはアイドルになって今までPさんと歩んできたまゆ、全てPさんで染まっているまゆなんですよ?だからこの心も体も……全部全部Pさんのものなんです♪」ダキッ

P「あの、まゆ。腕にあれが当たってるんだが」

まゆ「他のアイドルに目が行ってしまうのも、まゆはもう気にしませんよ?だってPさんはプロデューサーですからね」

まゆ「……でもまゆとPさんはそんな些細なことよりももっと深くて、決して誰にも邪魔されない運命で繋がっているんです。絶対に切れない運命の、朱い、糸で」


P「(心なしか小指が締め付けられるように痛いような……)」ゾクゾクッ


まゆ「だからまゆだけを、見てくださいね?Pさんが他の誰にも見せない、私だけに見せてくれる……瞳で」

まゆ「もっと、もっと……幸せになりましょうね。……Pさん♪」

P「(え、なにこれ?体が、動けない?やばい、まるで見えない何かに縛られているような……ッ!?)」

まゆ「私達は、絶対に幸せになれるんですから」

P「(て、手が俺の意志に反して、指輪と、書類を隠したところに伸びてッ!?)」

まゆ「……うふふ、そう。絶対に」

P「(ま、まずッ!?)」

プルルルルル

P「……」

まゆ「……」ギリ


P「あ、え、はい!○○プロダクションです!はい!」

P「え、うちのまゆをですか?あ、解りました」

まゆ「……」

P「まゆ、午後からの仕事なんだが……午前中にいけるか?」

まゆ「……解りました、まだ、駄目なんですね。もう少し時間をかけろってことなんですね?」

まゆ「それはつまり、きっと。もっと、もっと……深くPさんと繋がりあえるということなんですね」アハッ

P「あー、まゆさん?」

まゆ「はい、心配なさらなくてもまゆは大丈夫ですよ。すぐに向かいます」ニコリ

まゆ「私一人で大丈夫です。Pさんは、ゆぅっくりここで休んでいてくださいね……♪」

バタン

コツコツコツ

P「……」

P「よ、よくは解らないけれど……助かったのか?」

P「……危なかった。もしあのまま電話が来なかったら、まゆにケッコンカッコカリ一式を渡してしまっていたかもしれない」

P「はぁ、あの状態のまゆにケッコンカッコカリなんて話をしたらどうなっていたことやら」

例のBGM
ttp://www.youtube.com/watch?v=mbp_dnsa1GQ

まゆ『まゆ、こうなることが解っていました……Pさんと出会ったあの瞬間から』

まゆ『全部、全部運命なんです。昔、今、未来にわたって赤い糸で繋がっているんですよ?』

まゆ『ああ、でも、この幸福は……この何ものにも代えることができない至福の時間だけは』

まゆ『まゆの考えていたものよりも、まゆが解ったつもりになっていたものよりも……ずっと……♪』

P「……はっはっは、妄想たくましいよな。うん、ないない」

P「む、向こうは16歳だしな。まだまだ子供だもんな。あれだ、俺に父性を感じているとかそんなんだろう」

P「実家から離れて都会に一人暮らしなんだ。家族が恋しいに違いない」

P「……うん、そうだといいんだがなぁ」(遠い目)


P「いやいやいや、あの二人にカッコカリを申し込んだら間違いなく終わりだ」

P「予感だが、俺のプロデューサー生命と独身生活がそう遠くない未来に断たれるような気さえする」

P「……」

P「だ、誰か。俺に第三の選択肢を……!」

タッタッタッタ

P「足音だ……」

P「三度目の正直……という言葉がある」

P「この流れがずっと続くはずがない。そう、チャンスは目の前にあるはずッ!」

ガチャリ

P「……お、おはよう(三度目の正直!頼む、今度こそ俺に救いをッ!)」

財前時子「……貴方、よくそんな死んだ魚のような顔で私に挨拶できるわね?いったい貴方の頭の中はどうなっt」

P「踏んだり蹴ったり、泣きっ面に蜂って言葉あるよね。P、忘れてた」

時子「はぁ?」


P「(いや、確かに流れは変わった。九十度変わったといってもいいぐらいだ)」

P「(しかし、だがしかし……!)」

時子「何?そのセンスが無い眼鏡は。まだ貴方よりはマシかもしれないけれど、ドングリの背比べほどの違いもないわよ」

P「(一向に事態が好転してねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!)」

P「はい、何かもう産まれてきてスイマセン」

時子「……」イラッ


時子「その態度。貴方……ずいぶんといらつかせてくれるじゃない」

P「あーいや、済まない。ちょっと軽く苦労が重なってしまってマイナス思考に」

時子「貴方、誰のプロデューサーなのか解ってるの?」

P「へ、あぁ。この○○プロダクションのプロデューサーで」

時子「はっ!」

P「(鼻で笑われた!?)」

時子「貴方はこの時子様のプロデューサーで下僕。それ以上でもそれ以下でもないわ」

P「いや、一応このプロダクションの所属で(下僕ッ!?)」

時子「私は貴方に口を開けとは一度も言って無いんだけど?」ジロリ

P「(はっはっは、胃が痛ぇ)」

時子「頭の中まで春。あまつさえ蝶々まで飛んでいる貴方は、下僕であって豚ではないのよ?」

P「ごめん、違いが見いだせないのだが」

時子「下僕には鞭で躾けができるけど、豚にはその価値すらない」

時子「貴方はいつから私の許可なく、勝手に下僕から豚に成り下がったのでしょうね?」

P「ちょ、確かに最近体重は増えているが、豚ってレベルでは」アセアセ

時子「……アァン?」グイッ

P「ぐえっ!?」

和久井留美(26)
http://i.imgur.com/4IAg2fV.jpg
http://i.imgur.com/vL9N43g.jpg

佐久間まゆ(16)
http://i.imgur.com/b8IT0AT.jpg
http://i.imgur.com/0g3mlek.jpg

財前時子(21)
http://i.imgur.com/haQgdIR.jpg
http://i.imgur.com/5b6xyB6.jpg

時子「聞きなさい、豚。貴方、勝手に私以外の誰に飼い慣らされようとしているのかしら?」

時子「私はその目が大嫌いなの。諦めて流され続けるくだらない人間がする目がね」

時子「仕方がないんだ、誰だってそうなんだ、諦めた方が楽になれる。抵抗することも止めたくだらない豚の妄言、そのまま顔に張り付けているわよ貴方」

P「ちょ、時子さん顔がちか」

時子「黙れ豚」

P「はい」

時子「そんな豚を躾けたところで、面白くも何も無いのよ。ましてやこの時子様の付き人である下僕が、そんな目をしていて私が許すとでも思った?」

時子「何のくだらない事に囚われているのか興味もないけど、もう一度貴方の存在する意味を教えてあげる」

時子「この私の下僕、それが貴方よP」

P「(母さん、いつの間にか俺の人生が書き換えられてました)」

時子「貴方のやるべき事は、私を楽しませる事、私を退屈させないこと、私を崇めること、私を有象無象を蹴散らして上に押し上げることよ。それ以外は考えなくていいの」

P「それは……(ん?またもや数値が)」

時子(レベルMAX・親愛MAX)「会社のためでもない、金のためでもない、他のアイドルのためでもない。貴方は私の下僕であるという自覚をしなさい」

P「」

時子「この時子様が、誰にも委ねなかった手綱を特別に貸し与えてあげた事を思い出しなさい。貴方はそれだけを考えていればいいのよ」

P「……もしかして、励ましてくれてヘブッ!?」バシッ

時子「貴方は私が飽きるまで遊んであげる。退屈しのぎにね。貴方がそんな顔をしていいのは、私が貴方を捨てた時だけよ……いい?」

P「は、はひ(前が見えねぇ……)」

時子「エックセレント、思い出したみたいね。自分が誰であったかを」

時子「そんな酷い顔の人間に運転されたら、私の品位が下がるわね」

P「(いや、これ貴方が叩いたせいなんですが……)」

時子「行きがけにタクシーを使うから、貴方の送迎は結構よ。早くその締まらない顔を治しなさい」くっくっく

バタン

タッタッタッタッタ

P「……ケッコンカッコカリを考える暇すら与えなかった時子様マジマイペース」

P「というか……あれで親愛MAX?嘘……だろ」

例のBGM
ttp://www.youtube.com/watch?v=mbp_dnsa1GQ

時子『……もしかして貴方、自分がこの時子様を選んだなんて考えているのかしら?』

時子『……へぇ、解っているじゃない。そうよ、貴方が私を選んだんじゃないわ。この時子様が貴方を選んであげたの』

時子『アイドルをやっているのと同じように、これだって所詮は暇つぶし。精々私に飽きられないように、全てを賭けて私を楽しませなさい』

時子『そう、貴方の全てを、生涯にわたって捧げ続けることが、愚鈍な貴方の出来る唯一の役割なのだからね』ニコリ

P「……」

P「あれ、ケッコンカッコカリっていつから主従契約になったんだっけ?」

P「ええと、なんていうか……。まぁ、意外とあの人は俺の事を信頼してくれるのだろうかもしれないな。信頼の形はちょっとあれだけれども」

P「うん、なんかもう時子さんのおかげで一周回って落ち着いてきたかもしれない」

P「しかしこれで三人か……。和久井さんにまゆに時子さん、みんな癖が強いというかなんていうか」

P「あれだ、お願いだから普通にケッコンカッコカリしたい。いや、普通にケッコンカッコカリっておかしいけれど」

P「もうこのまま帰りたい気持ちになってきたが、帰ったら存在が消されてしまうんだよな。ちひろさんに」

P「うーん、誰か問題無く渡せるようなアイドルが来ないだろうか」

P「下僕でもなければ婚約もしないような、もうこの際どれぐらい個性が強いアイドルでも良いから話がわかってくれるような」

P「まぁ、そんな都合の良いことが実際にあるわけがn」

カッカッカッカッカッ!

P「(えーと、何かやけに力強い足音がドアの外から)」

P「(流石にこれまでのアイドルのアクが強すぎたからな、もう並み大抵の事じゃ驚く気がしない)」

P「(重いアイドルでも、病んでるアイドルでも、ドSなアイドルでももう大丈夫。規格外のアイドルが来たってへっちゃらだ)」

ガチャリ

P「(さぁ、次は一体誰が……ッ!)」


ヘレン「待たせたわね……世界レベルのアイドルが来てあげたわ」

P「世界レベルは予想外でした」

ヘレン「日本レベルでも、アジアレベルでもない。世界レベルだもの、それもしょうがないわね」

P「(いや、確かに規格外が来ても大丈夫とは言ったけど、本当に来られても困る)」

P「いや、あの、何で来たんですかヘレンさん。貴方、今日は何も予定は無いでしょ?」

ヘレン「助けを呼ぶ貴方の声が聞こえた気がしてね、すぐに駆け付けてきたの。外を見なさい」

P「え?外?」チラリ

通行人A「何で街中にヘリがあるんだ?」

通行人B「俺、ヘリからあのヘレンさんが降りて来るところを見たけれど」

通行人A「そうか、ヘレンさんは世界レベルだもんな。仕方がないね」

通行人B「だよな、世界レベルだもんな」

P「……」

ヘレン「そう、つまりそういうこと」

ヘレン「私が来たからには全てが問題がノープロブレムよ」

P「(いえ、貴方と言う存在が世界レベルの問題児なのですが)」

ヘレン「さて、私に全てを話してくれて良いわ。ドラマチックに解決へ導いてあげる」

P「(貴方をスカウトしてから毎日が強制的にドラマチックです)」

P「そ、それでは最初に一つ質問をいいでしょうか?」

ヘレン「構わないわ」

P「私の助けを呼ぶ声が聞こえた気がした、とはいったい?」

ヘレン「世界が私に語りかけてきたのよ」

P「(これが……世界レベル!)」

ヘレン「なるほど……ケッコンカッコカリということね」

P「はい、それでいったいどうしたらいいものかと」

ヘレン「……P」

P「な、なんでしょう?」

ヘレン「私がその指輪をつけるわ」

P「」

ヘレン「ええ、何も心配はいらないわ。白銀の指輪はこの私の陶磁器のように滑らかな指に似合う、解るわね?」

ヘレン「これがケッコンカッコカリの書類ね?」スチャ

P「え、あ、はい(筆ペン?)」

ヘレン「なるほどね、年齢は24で出身は海の向こう……と」スラスラスーラ

P「うわ、スゴイ達筆ですね……ってそうじゃなくて!ヘレンさん、これいろいろと条件があってですね!?」

ヘレン「P、落ち着きなさい。貴方はトッププロデューサー、些細な事で心を揺らしては駄目。心は揺らすものでは無く、常に躍らせるものよ」

P「で、ですが」

ヘレン「それにどんな条件かは知らないけれど……」

P「(メガネに数値がッ!?)」

ヘレン(レベル:世界レベル・親愛:世界レベル)「私は世界レベル、そして宇宙レベルに達するアイドルモンスター。……そう、私の前ではベルリンの壁すらただの土壁に変わる」

P「(表記が変な事になってるッ!?)」


P「もういろいろツッコミどころがありますけど、ヘレンさんはアイドルです!」

P「仮とはいえ、このような書類に記入したと世間に知られてしまえば……」

P「(そうだ、こんな書類をアイドルのみんなに書かそうとしている事自体が間違いだったんだ!みんなの夢と希望を、俺の自分勝手で終わらせるわけには……!)」

ヘレン「……ふぅ」

P「もうこなったら俺の身はどうなってもいいですから、その書類を渡してください。元々全部私の優柔不断が招いたこと、こうなったら責任を全て取って……」

ヘレン「P、貴方は間違っているわ」

P「……え?」

ヘレン「こんな紙切れや指輪、メガネ程度でアイドル達の貴方に対する信頼と絆が計れる。そう本当に思っているの?」

P「それは……」

ヘレン「貴方の心にある私達の姿は、ケッコンカッコカリなんてものに収まるものでは無いはずよ」

ヘレン「ケッコンカッコカリしたからって私達との関係は変わらない。絆は変わりはしない。Pの中にあるアイドル達は変わらない」

ヘレン「そんなものに囚われているようじゃまだまだね。貴方の心にあるアイドル、それが全てよ」


P「……ですが、そうであれば尚更これを渡すわけにはッ!」

ヘレン「貴方は私と同じく世界レベルの器を持っている。アイドルの100人や200人、ケッコンカッコカリを例え数百人と結んだところで、貴方という存在は少しも揺るぎはしない」

P「いえ、それは流石に胃とか財布とかいろいろとキツイです」

ヘレン「それに貴方が消えてしまったら、誰が私の崇高な理想を理解出来るというのかしら」

ヘレン「P、貴方は私がトップアイドルになれると信じているわよね?」

P「もちろんです!ですからその指輪を捨てて……」

ヘレン「私も、自分と貴方を信じている。そして信じているというなら、もっとこの私を信じなさい。このヘレンという存在をね」サッ

P「ッ!(一瞬で、指輪がヘレンさんの手の中に…)」

ヘレン「P」

ヘレン「私は……世界レベルよ」スチャ

例のBGM
ttp://www.youtube.com/watch?v=mbp_dnsa1GQ

P「サクラの花弁が、ヘレンさんの周りに降りそそいで……」

ヘレン「綺麗ね、春に咲く桜の花弁は人をノスタルジックな気分にさせるわ」

ヘレン「でも……」ピシッ

P「指輪に……ヒビが!?」

パリンッ!

ヘレン「私は春だけに収まる女じゃないわ。四季全ての美しさを兼ね備えている、それが私」

P「ヘレン……さん」

P「(なんかいい話っぽいけれど、やっぱり全く意味が解らないです)」


ヘレン「P」

P「えーと、なんでしょうか」

ヘレン「今度私に、これの代わりに指輪をプレゼントして頂戴。次は貴方が本当の気持ちを込めてくれたものが欲しいわ」

P「ゆ、指輪ですか」

ヘレン「値段は気にしないわ。貴方がこのヘレンに似合うと思うものを選んでくれさえすれば」

P「……解りました。絶対に、ヘレンさんにこそ似合う指輪をプレゼントさせてもらいます!」

ヘレン「世界レベルでお願いするわね」

P「すいません、それは解りません」

P「ヘレンさん、その、いろいろとありがとうございました。おかげさまで助かった……のかな?(指輪は壊れちゃったから、言い訳できるし)」

ヘレン「ええ、貴方の力になれてよかった」

P「あ、でもまた試してくれって言われたら……」

ヘレン「大丈夫、ちひろの所には猫をたくさん送ったから。D○Mも今回は本当に怒ったらしくてね、次のイベントには一周年記念分の猫をそのまま送りつけてやるらしいわ」

P「(あれ?これとんでもないことにならないか?)」

ヘレン「それじゃ……いえ、帰る前に一つ聞いても良いかしら」

P「ええと、なんでしょうか?」

ヘレン「私は……貴方にとって信頼できる存在かどうかをね」

P「……ええ、信頼できるアイドルですよ。それも世界レベルの」

ヘレン「ふふ、当然ね」

ヘレン「じゃぁ、信頼できるPにこれをあげるわ」

P「へ?」

ヘレン「これ、ヘリの請求書よ。ジェット機と同じでね、あれも本当はレンタルなの」

P「え?」

ヘレン「あなたになら明かしてあげる真実パートツーよ、それじゃ帰りもお願いしているから」スタスタ

P「え、あのヘレンさん?ちょ、ヘレンさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!?」

おしまい

おまけ

提督「いやぁ、そう言えば新しいアイテム屋娘さんが任務に就いてくれたらしいですよ?」

提督「何でも東京の方からわざわざこんな辺境まで来てくれたとか」

扶桑「そう、そしてまた私は欠陥戦艦って陰口を言われるのね。不幸だわ」

提督「扶桑さんがいつも通りで安心しました。あ、もしかしてあれかな?」

ちひろ「提督さんよくいらしてくれました!今ならお得な女神セットと工廠セットがオススメです!これを買って大型建造も出撃もよし!他の提督さんに差をつけましょう!」

提督「」

扶桑「不幸だわ」

ちひろ「懲罰だか何だか知りませんが、異境の地でも売って売って売りまくってやりますからねっ!」

エラー娘「おいコラ待てや」

おしまい。


ちひろさんならきっとどこでも商魂たくましく生きていけるはずです。
そしてタダで回せる十連ガチャで、なんとSR八神さんがでてきました。ちひろさんマジ天使。
おかげで欲しかった納涼小梅……じゃなくて気がついたらヘレンさんをトレードしていました。きっと世界レベルだからだね。

長らくお付き合いいただきありがとうございました。

訂正>>7
P「アイドルに結婚話は安部菜奈さんの実年齢並みに危険な話題だ」
 ↓
P「アイドルに結婚話は安部菜々さんの実年齢並みに危険な話題だ」

ご指摘ありがとうござます。

訂正>>30
P「諦めるた方が心が軽くなるって悟りましたよこんちくしょう」
 ↓
P「諦めた方が心が軽くなるって悟りましたよこんちくしょう」

失礼しました。

ヘレン(24)
http://i.imgur.com/xF60Qv8.jpg
http://i.imgur.com/f9FIKLt.jpg

扶桑
http://i.imgur.com/H1lsP6H.jpg

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