ミカサ「私は至って普通の女の子」(28)
単行本最新刊までのネタバレあります
―――ミカサ、逃げなさい!!
え?え?
やだ…
お父さん…お母さん……
ああ、この世界は…残酷なんだ
―――
ミカサ「…う…」パチッ
サシャ「ミカサ、大丈夫ですか!?どこか痛いんですか!?」
ミカサ「え?」
サシャ「だって、さっきまで震えながら泣いてましたよ!?」
ミカサ「…ああ…」
ミカサ「大丈夫、気にしないで。ちょっと…嫌な夢を見てただけ」
―――訓練兵団 食堂
ミカサ「おはよう、エレン、アルミン」
エレン「おう、おはよう」
アルミン「おはよう、ミカサ」
サシャ「おはようございます!!」
アルミン「おはよう」
エレン「最近サシャと仲いいな」
ミカサ「うん。サシャは面白い」
サシャ「照れちゃいますねー」
エレン「今日は訓練休みだなぁ…なにする?」
アルミン「晴れてるし外に出たいね」
ミカサ「エレン、アルミン、三人で街に出掛けよう」
エレン「休みの日はいっつもだなぁ、お前」
アルミン「ははは、いいじゃないか。僕だってやっぱり三人でいるのが一番楽しいしね」
エレン「まぁな」
サシャ「いいですねぇ、私も混ぜて欲しいです」
ミカサ「サシャが来たいなら…」
サシャ「いえいえ、いいですよ。やっぱり幼なじみ三人でいるのが一番でしょうから!私はコニーと遊んで来ます!!楽しんできてくださいね!!」タッタッタ
ミカサ「うん」
エレン「あいつはいつも元気だな…誰とでも仲良くなれるし」
ミカサ「…たまにサシャが羨ましく感じる。私は、あんな風にはなれない…」
アルミン「僕はミカサも、ミカサだけのいいとこがあると思うけどね」
エレン「おう、誰だってそうだろ。お前はお前でいいんだよ」
ミカサ「ありがとう」
―――
エレン「ミカサ、何か欲しいもんは無いのか?」
ミカサ「エレンとアルミンの行くとこでいい」
アルミン「そういわずにさ、何かミカサが興味あるものか無いの?」
ミカサ「…じゃあ、あそこで服が買いたい」
エレン「そうだな、お前の服も古くなってきてるし…」
ミカサ「どんなのが似合うと思う?」
エレン「んん?お前が好きなの選べばいいだろ?」
ミカサ「うん」
ミカサ「…この服どう?」
エレン「似合うんじゃないか?」
ミカサ「じゃあ、これにしよう」
エレン「…あれ?アルミンは?」
ミカサ「近くの本屋に行くと行ってたけど…」
アルミン(…二人の邪魔したら悪いしなぁ…)
アルミン「あ、エレン、ミカサ、服は買い終わった?」
エレン「おう、腹減ったしどっか行こうぜ」
ミカサ「うん。…アルミン、この服似合う?」
アルミン「うん、よく似合ってるよ」
ミカサ「ありがとう」
アルミン「…あれ?」
エレン「どうした?」
アルミン「ミカサ、マフラーどうしたの?」
ミカサ「………あれ?」
ミカサ「あれ……マフラーが無い……」オロオロ
―――訓練所
アルミン「…どう?見つかった?」
ミカサ「どこにも無い…なんで?」オロオロ
エレン「何か覚えはないのか?」
ミカサ「…洗濯して干してたのは覚えてるけど……どこで無くしたんだろう」
ライナー「おい、ミカサ!!」
ミカサ「!」
エレン「ライナー」
ライナー「これ…お前のマフラーじゃないか?木に引っ掛かってたぞ」
ミカサ「あ!なんで…?」
ライナー「今日は風があったから…干してる時に飛んだんじゃないか?ミカサのだと思って取っておいてやったよ」
ミカサ「ありがとう、ライナー」
ライナー「おう、大事なマフラーだろ?もう無くすなよ」
ミカサ「うん」
女子寮
ミカサ「…木に引っ掛かってたせいか、マフラーがボロボロになってしまった…」
サシャ「ありゃりゃ…ちょっと穴も空いてますね……」
アニ「どうしたの?そんな落ち込んだ顔して」
ミカサ「アニ………マフラーがボロボロになってしまった…」
アニ「ああ、いつも大事してるよね……」
ミカサ「どうしよう」
アニ「はぁ…貸してみな」サッ
ミカサ「!」
アニ「見てらんないよ…治してやる」
サシャ「へぇ…アニって裁縫が得意なんですが?」
アニ「得意って訳じゃないけど……ちょっとは出来るよ」
ミカサ「すごい…ありがとうアニ。後で私にも教えて欲しい」
アニ「ん、別にいいけど」
ちなみにミカサは裁縫と料理得意って設定がある
―――立体機動訓練
キース「今回は二人ずつのペアになり訓練を行う。まずは…」
ズバッ ズバッ!!!
ミカサ「…ふう…」スタッ
ベルトルト「相変わらず凄いね、ミカサは…」
ミカサ「…ベルトルトも充分に凄い」
ベルトルト「はは、ミカサにはかなわないよ」
ミカサ「…」
ベルトルト「確かミカサも、エレン達と同じシガンシナ区出身なんだっけ?」
ミカサ「ええ」
ベルトルト「…やっぱり巨人が憎いかい?調査兵団に入りたいそうだし」
ミカサ「憎しみもあるけど……私が調査兵団に入りたい理由は、エレンを守りたいから」
ベルトルト「エレンが好きなのかい?」
ミカサ「か、家族だから」
>>15
それは知りませんでした…恥ずかしい…
ミカサ「……私は、小さい頃に両親を殺され、エレンに助けてもらって……それからエレンとおじさん、おばさんと一緒に暮らすようになった」
ベルトルト「…」
ミカサ「でも…あの日、超大型巨人が現れて…おばさんが死んでおじさんは行方不明になった。私にはもう…エレンしか家族がいない」
ベルトルト「…」
ミカサ「私は…ただ、エレンと…おじさんやおばさんと、普通に暮らしていたかった。それだけなのに…」
ベルトルト「………ごめん、ミカサ……」
ミカサ「え?」
ベルトルト「あ、いや、気にしないで。それより訓練の続きだ。辛い事を思い出させてごめん」
ミカサ「…大丈夫、行こう」
―――数年後
ズシンズシンズシン
女型「…」ガッ ガッ
アルミン「アニ…壁を登る気だ!」
ミカサ「!」
ギュイイィッ
女型「!」
バシュッ
ミカサ「…」
アニ(…)
ミカサ(アニ………)
ミカサ「…落ちて…」トンッ
―――
ベルトルト「ライナー…やるんだな!?今…ここで!」
ライナー「ああ!!勝負は今!!ここで決める!!」ザッ
ミカサ「…!」
ダッ
ライナー「!!」ザクッ
―――ははは、大事なマフラーだろ、もう無くすなよ。
ミカサ「…くっ!」ザクッ
ベルトルト「うああぁぁぁっ!!」
―――…ごめん、ミカサ……
ミカサ「……」
エレン「……っ」
ミカサ「エレン!!逃げて!!」ジャキンッ
ミカサ(早く…やらなきゃ、やらなきゃ駄目なのに……)
ライナー「ベルトルトっ!!」ドンッ
ミカサ「!!」ビュンッ
ミカサ(……できなかった…)
ドオッ!!!
―――壁の上
ハンネス「……俺は…あの日常が好きだ。エレンに言わせりゃそんなもんはまやかしの平和だったのかもしれんが…やっぱり俺は役立たずの飲んだくれ兵士で十分だったよ」
ミカサ「…」
アルミン「…」
ハンネス「あの何でもない日々を取り戻す為だったら俺は何でもする。どんだけ時間がかかってもな。俺も行くぞ…お前ら3人が揃ってねぇと俺の日常は戻らねえからな」
アルミン「…」
ミカサ「…」
バリッ ボリッ
巨人「…」
ハンネス「はは、こんな事があるか!?見てろよ、お前らの母ちゃんの仇を俺が、ぶっ殺す所を!!」
エレン「ハンネスさん!!」
ミカサ(私も行かなきゃ…ハンネスさんが…)グググ
エレン「そんな怪我じゃダメだミカサ!俺の腕をほどいてくれ!!」
ミカサ「…!」
バクンッ
ミカサ「あ…」
エレン「……はははははは!!!」
ミカサ「………」
ミカサ(嘘だ……ハンネスさんまで……)
リヴァイ班 隠れ家
ミカサ「…」
エレン「ミカサ、一人でなにしてんだ?」
ミカサ「…いつまで続くんだろう…こんなのが」
エレン「…急にどうしたんだよ?」
ミカサ「…」
ミカサ「私は、自分を完全に支配できる……でも、いつもそうしていられる訳じゃない…」
エレン「…」
ミカサ「私は、エレンやアルミンやおばさん達と…普通に暮らしていければ良かった…のに」
ミカサ「………ハンネスさんが死んで……ライナーやベルトルトやアニが裏切った……これからも、こんな事が起こるのだろうか」
エレン「……俺だって、皆の前じゃ見せてないだけで…頭の整理は全くついてないよ。色々ありすぎた…」
ミカサ「…」
ミカサ「私は…エレン…アルミン、皆にも…死んでほしくない…もうこれ以上は…」
エレン「………心配すんな、絶対に死なせないし、死ぬつもりもない。皆も…アルミンも、ミカサも守る。俺の力で……上手く出来るかわからないけど、やらなきゃいけないんだ…」
ミカサ「…」
エレン「…珍しく泣きそうな顔だな…」
ミカサ「色々あったから…」
エレン「ああ、そうだな…。今は俺しかいない、泣けばいいよ」
ミカサ「うん」
アルミン「…」
ジャン「…」
アルミン「今日はなにもしないんだね。いつもなら『うらやましい!』とか言って乱入しそうなのに」
ジャン「ったく、俺はそこまで馬鹿じゃねぇよ……今は二人で居させる方がいいだろ」
アルミン「うん、じゃあ僕達は邪魔しないように行こう」
サシャ「二人とも覗き見なんて趣味が悪いですよ」
コニー「エレンとミカサ何してたんだ?」
アルミン「いいのいいの、ほら行こう」
ヒストリア「うん」
ミカサ「…エレン、必ず皆で…最後まで生き残ろう」
エレン「ああ…そしていつか、皆で外の世界を探検するんだ」
ミカサ「うん」
―おしまい―
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