凛「プロデューサーって彼女居ないよね」 (31)
凛「プロデューサーって彼女居ないよね」
モバP「うん? なんだ、いきなり」
凛「居ないでしょ、彼女」
モバP「どうして断定的なんだ」
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凛「だって、仕事に忙殺されて彼女作る暇も無いでしょ、プロデューサー」
モバP「この仕事につく前に、もう彼女が居たかもしれないだろう」
凛「たとえ居ても、休みも全然無いから会うこともできないじゃない。だから振られてるよ」
モバP「仕事に理解があるかもしれないだろう」
凛「じゃあ居るの、彼女?」
モバP「いや居ないよ」
凛「やっぱ居ないじゃん」
モバP「ああ。残念ながらな」
凛「どうして意地張ったの?」
モバP「男の子だからな」
凛「そういう意地って、女の子にはあまり受けないからね」
モバP「そっか……」
凛「なら、彼女が居ないプロデューサーに質問してもいいかな」
モバP「なんだ」
凛「もしこの事務所で付き合うなら、誰を選ぶ?」
モバP「凛、もしかして暇なのか?」
凛「まあね。だから少しだけ付き合ってよ」
モバP「まあ、いいか。そうだな。それは難しい質問だな」
凛「もちろん選べるのは一人だけだからね」
モバP「うーん……」
凛「そんなに悩まなくても、ぱっと思い浮かんだ人でいいんだけど」
モバP「いや、選べないというか、選んだらいけないというか」
凛「別にプロデューサーが選んだ人を贔屓してるなんて思わないよ。仕事には平等でしょ、プロデューサー」
モバP「もちろん。理解があって助かるよ」
凛「プロデューサーとは長いからね」
モバP「というか、凛がこういった質問をしてくるなんて、以外だな」
凛「私だって年頃の女の子なんだよ。こういう話だって興味あるよ」
モバP「そうかそうか」
凛「話を逸らさないでよ」
モバP「そんなつもりはないが……」
凛「範囲が広すぎるから答え難いんだね。なら絞ろうか。ニュージェネレーションの中なら誰を選ぶ?」
モバP「いや余計に選べないな」
凛「どうして? 三択だから簡単だよ」
モバP「そうじゃなくて。まず未成年と付き合うなんてありえないだろう。親御さんに絞められた挙句、刑務所行きだよ」
凛「度胸が無いよね、プロデューサー」
モバP「常識が無いよりは良い」
凛「じゃあ私達が二十歳だと仮定したらどう?」
モバP「同じだよ。そもそも事務所のアイドルとは付き合えないんだ。だからそういうことはあまり考えたくないな。空しくなるだけだからさ」
凛「どうして付き合えないの。プロデューサーだから?」
モバP「その通りだよ。まあ、まずそんな事態になることは無いんだけど」
凛「でも、本人同士が好き合ってるならいいんじゃないの?」
モバP「仮にそんなことが在ったとしても。俺と付き合うその人は、もうアイドルとしてはやっていけないだろう」
凛「でも、好きな人と付き合えるなら、アイドルとしてやっていけなくてもいいかもしれないよ」
モバP「本人同士は良いかもしれない。けど、俺がプロデュースしている別のアイドルにも疑いの目が向けられてくる。そうなれば俺はプロデューサー失格だ」
凛「じゃあ、アイドルを辞めて、それから付き合うのは?」
モバP「同じだよ。誰か好きな人が出来て、その人と堂々と付き合いたいって理由でアイドルを辞めるなら、それは良いんだ」
凛「ふーん。いいんだ、辞めても」
モバP「よくは無いんだがな……。けど相手がプロデューサーともなれば、話は変わってくる。
あの事務所は所属アイドルに手を出すのかと、そういう目で見られてしまう。そうなれば本人同士は良くとも、やはり事務所の信頼が損なわれてしまうんだ」
凛「なら、トップアイドルになって、引退してからならどう?」
モバP「それは年齢にも寄るだろうが……若いうちの引退となれば問題になるかもな。でも、歳をとってからなら、あるいは……。
まあ、それでも所属アイドルに手を出す事務所、という結果は変わらないよ。アイドルと言えるかどうかは、ともかくな」
凛「ふーん。プロデューサーは、どうしてもアイドルと付き合いたくないんだね」
モバP「そうじゃなくて、付き合えないんだよ。いろんな人を裏切ることになってしまう」
凛「そうだよね。プロデューサーは仕事大好き人間だから、そう言うよね」
モバP「そんな言い方をしなくても」
凛「だってそうでしょ。違うの?」
モバP「違わないが、俺だってな……」
凛「何?」
モバP「……なんでもない」
凛「結論としては、プロデューサーはこの事務所のアイドルとは絶対付き合わない。ってことでいいよね?」
モバP「なあ、凛。そういう話だっけ? これ」
凛「そういう話にしたのはプロデューサーだよ? 私もこんなこと知ることになるとは思わなかったよ」
モバP「そ、そうか? じゃあ話を戻そうか。要はどんな人と付き合いたいかって話だったよな」
凛「もういいよ、その話は。それより私、すこし外出てくるから。コンビニで買い物してくるけど、何か欲しいものある?」
モバP「いや、特には。ありがとう」
凛「そう。あと、プロデューサー」
モバP「なんだ」
凛「今の話、事務所の皆にしてあげなよ」
モバP「俺はアイドルとは付き合いませんって振れ回るのか? それはなんというか、自意識過剰じゃないか」
凛「アイドルとプロデューサーといっても、女と男だよ? 勘違いするかもしれないじゃない」
モバP「そ、そうか?」
凛「それも仕事だって思えば出来るんじゃないの、プロデューサーは。私はしたほうがいいと思うよ」
モバP「わかった。凛がいうなら、そうなんだろうな。恥ずかしいが、きちんと言っておこうか」
凛「うん。それじゃあバイバイ、プロデューサー」
モバP「ああ、気をつけてな」
HAPPY END
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