光「くんくん……くんくん……」
凛(あれは市場で高く取引される、エスパーよりも貴重とされるウィザード級スメルシャツ! そうだって私のゴーストが囁いた!)
凛(あんな高級品を、どうして光が? いやそもそも何で光が?)
凛(346は恋の大戦国時代。世紀末の真っ只中、戦線に加わることすら疑問視されてたスーパー純情ヒーローの光が、どうして突然参戦したの?)
光「……だめだぁっ!」ポイッ
凛「あっ! MOTTAINAI!」キャッチ!
光「えっ? 凛さん?」
凛「そう、私だよ。……あっ」
光「…………」
凛「…………」
光「……見られたぁぁ!」ウワァァン!
凛「待って! 話をしよう!」
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光「恥ずかしいだろ! あぁぁぅぅ……」
凛「大丈夫、人生という旅の恥は掻き捨てだよ。私にこれをくれたら、黙っておくから」
光「じゃああげる」
凛「……えっ、軽くない?」
光「だっていらないし」
凛「私だったら殺してでも奪い返すところなんだけど」
光「殺す!? 凛さんは何を考えてるんだ! こんな臭い布切れにさ!」
凛「わからないよね。純情すぎる光には、シャツを通して出るフレグランスは」
光「フレグランスだとっ!? そんなもの感じられないよ!?」
凛「私はそれを表現出来る鼻を持っていて……待って。臭いものを、どうして買ったの?」
光「……それ渡したんだし、黙っててくれる?」
凛「いらないものじゃないの?」
光「高かったし……」
凛「それもそうだね。交渉成立」ピシガシグッグッ
……………………………………………
凛「仕事を増やす為?」
光「うん」
凛「全然繋がりが見えないんだけど……」
光「えっとさ、アタシにあんまり仕事が来てない、って話はしなくていいよな」
凛「うん。ダンスのキレいいし、発声も良いのにね」
光「まだまだ弱くて小さいよ、アタシ。……でさ、最近気付いたんだ」
凛「何に?」
光「Pから仕事を貰ってる子ってさ、本人の能力は勿論だけど……Pとの仲がすっごく良くないかな、って」
凛「プロデューサーがそんなに、仕事に私情を持ち込むタイプに見える?」
光「美優さんに膝枕された日の能率上がってるし、よく『これがあるから仕事捗るんだよなー』って言ってるよ?」
凛「あの年増はぁ!」(それは確かに、持ち込んでるような、いないようなだね)
光「美優さんの前では言っちゃダメだよそれ? 本音と建て前が逆転してるし」
凛「えっ、逆転してた? ……待って、何で心の声が聞こえるの」
光「なー、話逸れてないか?」
凛「……ごめん、なんでもない」(光は読心術が使えるの?)
光「あとはまぁ、モチベーションが違うと思うんだ」
凛「確かに……プロデューサーにご褒美貰えるって思うと、能率が当社比72億倍だし」
凛(ご褒美ありきで仕事をしたことが無いわけじゃないとは、流石に言えないよね……)
光「それは凄いな! それにさ、まゆさんがよく言ってるんだ。『色恋も芸事の肥やし』だって」
凛「一つ。それはただの方便だよ。二つ、まゆの言葉に耳を貸さないで」
光「わかった! 凛さんの言うことはちゃんと聞くからね!」ニコッ
凛「うん、ありがと」
凛「というかさ、光はプロデューサーと仲悪いの?」
光「むしろ友情はあるって信じてる! 仕事をたまにくれて、それをこなす相棒なんだから!」
凛「それってビジネスパートナーじゃ」
光「相棒じゃないか! でまぁ、とりあえずシャツを買ってみたんだけど……」
凛「全然効果が無かった?」
光「うん。ただの不衛生なシャツだよね。洗って返そうかって思ってた」
凛「そんな罰当たりなマネ、よくやれるね」
光「まぁ、なんでも、いいんだけどさ。このまま仕事少ないの、嫌なんだ……」
凛(……光は完全に仕事以外に興味が無いみたい。警戒はしなくて良さそう)
凛(悩める後輩に道を示すのは、先輩としてやるべきこと、だよね。光なら例えプロデューサーの大親友になったとしても、恋愛的な意味でパートナーにはなり得ない。いやむしろ味方にしたら利用価値があるかもしれない)
光「……ダメか……?」ウワメヅカイ
凛「ううん。じゃあ、プロデューサーと仲良くなる方法を教えてあげる」
光「やったぜ!」ガッツポ
……………………………………………
凛「甘える……というか、小さな我儘は試してみた?」
光「甘えるって?」
凛「ディナー誘ってとか、そういうの」
光「迷惑じゃないか? それに、プロデューサーとアイドルでやることじゃないだろ」
凛「まずその考えから治さないと。光はいい子過ぎるよ」
光「えへへー」
凛「褒めてない。自分から誘うのもありだよ」
光「それも迷惑じゃないか?」
凛「光は遠慮しすぎ。仮面ライダー? の映画のCMを最近よく見るし、誘ってみたら?」(もちろん時間の比率は私が優先だけどね)
光「うーん……でも、Pは特撮あんまり興味が無さそうなんだよな。水爆怪獣の話したらドン引きしたし」
凛「それは仕方ないんじゃないかな」
光「そっかー……」ショボーン
凛「というか、そんなにプロデューサーに甘えたくないの?」
光「うん! Pに頼りになるカッコいい姿を見せたいし、常にカッコよくありたいからな!」
凛「よく今の今まで鬱にならないで生きてこれたね。そのメンタルの強さは褒めるよ」
光「アタシが……強者?」
凛「うん、一応」
光「やったー! ……でも、まだまだだ! 頂点への道は遠いぜ……!」
凛「そうだね、でも、きっと光ならなんとかなるよ」(私も目指すよ。プロデューサー以外誰にも頼らない、大事なものは誰にも渡さない、信じられるのは自分だけなんだ……)
凛「あと、これは私の感想だけど……仕事ありきで恋を考えるのは、恋への冒涜だよ」
光「ぼーとく?」
凛「その気持ちが残ってるうちは、まだ光に恋は早いと思う」
凛(まぁ、その方がありがたいんだけどね。光が仕事優先の気持ちを捨てられると思えないけど、後顧の憂は絶たないと。手段は選んじゃダメなんだ)
光「うー……わかった!」
凛「どこ行くの?」
光「特訓だよ特訓! 恋をぼーとくしないで、トップを目指す方法が、きっとあるはずなんだ! だから、走りながら考える!」タッタッタッ
凛「行ってらっしゃい」
凛「変なこと考えないといいんだけど……」
……………………………………………
数ヶ月後
凛「そういえば、最近光を見ないね……。何処まで走ったんだろう」
バタン!
光「聞いてよ凛さん! アタシ、仕事を手に入れたんだ!」
凛「良かったね。プロデューサーとは仲良くなれた?」
光「その必要はもう無いよ。アタシ、移籍することにしたんだ!」
凛「はい!?」
光「よく考えたら、トップを目指すのに、Pが一緒である必要なんか無いんだ! P以外にも優秀なプロデューサーはいる!」
凛「待って」
光「Pがみんなと一緒にいるのが楽しいなら! アタシ一人で目指せばいいんだよ!」
凛「ストップ。私が教えたこと無視してる?」
光「手段を選ぶな、誰にも渡さない誰にも譲らない信じられるのは自分だけって、凛さんが教えてくれたんじゃないか!」ニコッ
凛「いつもの100点スマイルやめて。完全に教育間違えた感じするからなおやめて。てかナチュラルに読心してたんだ!?」
光「アタシ、大事なことをすっかり忘れてたんだよ! ヒーローは孤独だってことを忘れてちゃいけないんだ!」
凛「やめよう。すぐにやめよう」
光「凛さんの教えに近いプロダクションがあってさ、そこの人に誘われたんだ。仕事が欲しいなら、やっぱり自分から進んで変わらなきゃなんだよ、凛さん!」
凛「理屈は正しいけど!?」
光「ところでその人いつもウィーウィー言ってるんだけど、任天堂が好きって解釈でいいのかな?」
凛「確実にブラックだよそこ。絶対やめたほうがいいよそれ」
光「それともう一つ! Pの私服が取り引きされてたとか、いつもPとみんなが仲良くしてた所とか、写真もセットでそのプロダクションの記者さんに送っておいたから!」
凛「なんじゃとて!?」
光「手段は選ぶなって、教えてくれたのは凛さんだろ?」
凛「正々堂々は何処行ったの?」
光「お互い手段を選ばないんだから、これはフェアだよ、凛さん!」ニコッ
凛「そのりくつはおかしい」
光「まぁとにかく、トップ極めるまで絶対諦めない! 沢山の人を笑顔にしてみせるからね! 正義に向かってゴーっ!」タッタッタッ
凛「まって、ストップ! ストップ!」
光「足止めてる暇なんか無い! アタシは、前に進むしかないんだぁぁー!」
オイ、ニュースミロ!「346プロデスキャンダル」ダトデモイウノカ!マヤカスナ!オイ、Pヲ呼ンデコイ!アイドルモダ!ミンナヨベェェ!
おわり
(こんなオチで)本当に申し訳ない
光が闇落ちしたらこんな感じだと思って書きました。ファンを笑顔にしたい、もっと上手く歌って踊りたい。その為に人を犠牲にする、芸の修羅と化すと思うのです。依頼出してきます。
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