モバP「楓さんに告白する」 (76)

モバP 「楓さんのすきなうたって何ですか?」 楓「えっ」 の続きです。

前スレ:モバP 「楓さんのすきなうたって何ですか?」 楓「えっ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396623915/)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396969336

「そう決めてからもう三ヶ月か......」

昼休みに一人屋上のベンチで呟く。

自分は雪の降ったあの日に楓さんに自分の気持ちを伝えると決めた。

フラれてもいい。そう決めた。

が、自分はそれを行動に移せていない。

何故か。それは楓さんのスケジュールだ。

楓さんは人気アイドルだ。

彼女のライブチケットは即日完売で、CDは必ずオリコン上位。

そんな彼女はテレビ、雑誌、ラジオなどでひっぱりだこでハードスケジュールなのだ。

楓さんに休みの日がないわけではないのだが。

要は二人でゆっくり話す時間がないのだ。

......違うか。

それは単なる言い訳だ。

本当の理由はまだ告白の言葉が決まってないからだ。

楓さんのことは好きだ。しかし、この気持ちを表現する言葉が見つからないのだ。

「俺、理系だしな......」

「理系がどうかしたんですか」

「あ、ちひろさん」

声がしたので後ろ向くと、黄緑色の事務服を着たちひろさんがいた。

「あと5分で昼休みが終わるから呼びに来たらいきなり理系って......どうしたんですか?」

「いや~その......」

「告白の言葉ですか?」

「ハハッ......お察しのとうりです」

そう言ってベンチから立ち上がる。昼休みあっという間だったな。

「プロデューサーさん、三ヶ月前に諦めないって私にいいましたよね」

「はい......すいません」

「はぁ~それでも男ですか」

「うっ、返す言葉がございません」

「それじゃ私も諦められないじゃないですか.......」

「何か言いましたか? ちひろさん?」

「ひゃっ、い、いや何もありませんよ。あはは......」

「?」

「ほ、ほら、早く仕事に戻ってください。愛しの楓さんが待ってますよ~」

「あまりいじらないでくださいよ」

そう言われて少し急いで事務所に戻る。

事務所のソファーにその愛しの彼女はいた。

「プロデューサー遅いですよ」

そう言って楓さんは頬を膨らませる。その姿はまるで子供のようだ。

「すいません。考え事をしていて」

「考え事?」

「楓さんのことです」

「私?」

「ええ。 たった一年で人ってこんなに変わるんだな~って」

「三年じゃなくて」

「一年です。 ほら、雑誌の撮影いきますよ」

「はい」

つくづく思う。

自分は本当に嘘つきだと。

「お先に失礼します」

そう言ってからスタジオを出る。

「予定より早くに撮影終わちゃいましたね。プロデューサー」

「そうですね」

楓さんがそう言ってくる。

雑誌の撮影は楓さんの言ったとように早く終わった。

しかも、今日の仕事はもうない。

いやな予感がする。

この時間に暇ができるということは......

「プロデューサー飲みに行きましょう!」

「やっぱりそう来ますか~」

彼女は満面の笑みでそう言った。

「やっぱりって何ですか」

「だって楓さんいつもこの時間になると飲みに行こうって言うんで」

「いいじゃないですか! 最近忙しくて二人で飲む機会がなかったじゃないですか!」

「確かにそうですけど.......」

「行きましょうよ!」

そう言われて少し考え込む。

明日は楓さんはオフだ。

なら.......

「はぁ~もう飲みすぎないでくださいよ」

「やった!」

そうやって無邪気に笑う彼女の横で自分は覚悟を決めていた。

次は明日。

モバP 「楓さんの答えは?」

「プ、プロデューサー? よ、酔ってるんですか」

楓さんはどうやら混乱しているようだ。

それもそうだろう。

いきなりあんなことを言ったら。

楓さんの頬はさらに赤く、紅く染まっていた。

「いや、酔ってないです」

「で、でもい、一人称が」

「元々俺の一人称は『俺』です」

「そ、そうなんですか......」

「あ、ドッキリ! ドッキリですねこれ!」

「いや、違いますけど」

「ち、違いますか......」

「驚かせてすいません。 でも、今の言葉に嘘は一つもないです」

「好きです。 楓さん」

そうもう一度言うと楓さんは頭を下げてしまった。

どうやら俺と目も合わせたくないらしい。

「それが答えですか楓さん」

......返事はない。

フラレたか。

それもそうか。

楓さんには好きな人がいるわけだし。

「仕事はちゃんとするんで気にしなくていいですよ」

「楓さんと飲んでて楽しかったです」

「さようなら楓さん」

俺だって子供じゃない。

この世界には叶う恋より叶わない恋の方が多いのだ。

あきらめよう。

伝票を持って帰る。

最後くらい格好つけさせてくれ。

家に帰ると心の奥底に抑えていた感情がこみ上げてきた。

この感情はなんだ?

怒り?哀しみ?悔しみ?

いや、違う。

これは感情じゃない。

感情なんてない。

あるのは虚無だ。

だから、ここから先の人生には希望なんてない。

絶望さえない。

ただ無意味に時間を浪費していく。

ああ、人を本当に好きになるってこういうことか。

もう寝よう。

意識があるのは辛いから。

「プロデューサー」

聞きなれた声が後ろから聞こえ振り向く。

声の発信源である彼女は幸そうに男と手を繋いでいる。

「私、結婚します」

彼女は男の人と手を繋ぎながらそう言った。

「楓、行こ」

男は彼女ににそう言う。

「うん!」

彼女は嬉しそうに返事をする。

待ってくれ

待ってくれ

「待って、楓さん!」

「ッ!ゆ、夢?」

全身が汗まみれで起き上がる。

「ハァハァ......」

「クソ!」

「諦めれてないのかよ......」

「俺」

深夜にそう呟く声は彼女には届かない。


自分はまた屋上にいた。

楓さんが休みでも自分は休みじゃない。

一人称を元に戻し、いつもどうり出社した。

「............」

終わったのか。

全部。

全部、全部終わった。

「なに全部終わったみたいな顔しているですか」

「ちひろさん」

彼女はまた後ろにいた。

「そんな顔してますか自分?」

「してます」

どうやらもう得意の嘘もつけないようだ。

「なにかあったんですか?」

「......」

そう言われ答えるか迷った。

言ったら何かが崩れる気がしたからだ。

「楓さんに告白したらフラれた......ですか」

「......」

言葉にはしないがちひろさんは察したようだ。

「それで落ち込んでいると」

「女ですか」

「まぁわからなくもないんですけどね」

「......」

「死なないでくださいよ」

「あなたが死んだら悲しむ人がいるんですから」

そう言い残してちひろさんは去っていった。

そうだ、自分はもう一人じゃない。

仕事を終えて家に帰る。

帰り道がいつもより長く感じる。

そうすると考え事も多くなる。

これからどうするか。

そればかりが気になる。

しかし、そんな思考を止める出来事が起こった。

それは

(ん?)

(家の前に誰かいるぞ)

そう家の前に誰かいるのだ。

(誰だ?)

そこにたのは

(楓さん!?)

急いで家に向かう。

「あ、プロデューサー」

「楓さんなんでここにいるんですか!?」

「いや、その......」

楓さんはそわそわしていた。

その姿を見て

「何か言いに来たんですか?」

「......はい」

急いで家に向かう。

「あ、プロデューサー」

「楓さんなんでここにいるんですか!?」

「いや、その......」

楓さんはそわそわしていた。

その姿を見て

「何か言いに来たんですか?」

「......はい」

「何ですか楓さん?」

ちゃんとフラれるのか。

そのほうがいい。そしたら、諦められる......と思う。

そんなことを考えていると、楓さんは声を振り絞って、

「プ、プロデューサー」

顔を赤らめて、

「私もあなたのことが」

「す、好きです」

「私を幸せにできるのもあなただけです」

と言った。

..................

.........

......

はぁ?

言葉の意味がわからなかった。

「ずっと一人だった私を救ってくれたあなたが好きです」

「だから、その」

「ちょ、ちょと待ってください」

「昨日、自分のことフリましたよね?」

「えっ」


「いや、だって自分と目を合わせなかったじゃないですか」

「あ、あれはいきなり過ぎてその」

はぁ?

「じゃあ、それが答えですかって聞いたときに返事しなかったのは」

「それ私聞こえてないです......すいません」

はぁ?

「自分が帰っても何も言わなかったのは」

「気づきませんでした......すいません」

驚きの事態に頭は完全にショートしている。

というか

「楓さん好きな人いましたよね?」

「はい......それプロデューサーです」

唖然。言葉が出ない。

つまり

「フラれたっていうのは自分の勘違いってこと......」

「そうなりますね......」

「そして、楓さんも自分のことが好きだと」

「言わないでください......恥ずかしいですから」

そう言って楓さんは頬を紅くする。

そうすると何かとおかしい。

「え、楓さん自分に恋をどうしたらいいか聞いてきましたよね」

「は、はい」

「好きな人にどうしたらいいか聞いたんですか」

「そうです......」

「アハハハハ......」

楓さんは照れを隠すように笑った。

そうするいろいろと辻褄が合うのだが......

......

なんだこれ。

全部、自分の勘違いか。

心が満たされていくのがわかる。

幸せだ。

ほんの少しだけ不満はあるが

それは

「早く言ってくださいよ楓さん」

「う、うるさいです......プロデューサーだって言ってくださいよ」

楓さん不満そうに頬を膨らませた。

その姿は子供みたいだ。

まぁ、二人とも人見知りなのだ。

仕方ないか。

「楓さん」

「何ですか......プロデューサー」

「好きです。 誰よりも」

「な、何ですかいきなり」

「いや、なんとなく」

「......」

「......」

「「プッ、アハハハハハ!!」

二人で顔を合わせると笑いが起きた。

しかし、

「どうしますこれから?」

そう。楓さんはアイドルの恋愛は御法度なのだ。

「そうですね......駆け落ち?」

「それは無しで」

「ロマンチックなのに.....」

「どうしましょうか」

悩みに悩んだ末に行き着いた答えは。

「楓さんが総選挙で一位に、シンデレラガールになったら」

「結婚しましょう」

「えっ」

「それまでは二人とも頑張るってことで」

「でも......」

楓さんは不満なようだ。

「『結婚』はです」

「付き合うのはバレないようにしましょう」

楓さんは一瞬だけ驚いた顔をしたが、また、いつものように

「おぬしも悪よのう」

と返してくれた。

だから自分もこうやって返すのが筋だろう。

「いえいえ、楓さんほどでは......」

「でも、できるんでしょうか私なんかに......」

ボケてはいたが、楓さんは将来が不安のようだ。

だから励ましの言葉をかける。

夢を叶えるために。

「できますよ」

「俺達なら」

できる。楓さんと俺なら

「そう俺達が」

「No.1です」

そう言って人差し指を上にあげる。

「......」

楓さんは俺のテンションに戸惑ったようだが、少しして

「......はい!」

楓さんの返事はまた子供のように元気だ。

さすが25歳児。

そんなことを思っていると

「プロデューサー」

「これからもプロデュース」

「お願いします!」

そう言われ俺も子供みたいに

「はい!」

って返す。

ああ、これからどうなることやら。

でも、幸せな人生が待っていそうだ。

To the final story?

いつもどうり、じゃなくていつも「どおり」

これでとりあえず......終わり?
次は楓さんが総選挙で本当に一位になったら書きたいと思います。
みんな短い間ありがとうございました!
みなさんのおかげでいろんなことを知ることができました!
また、会えることを楽しみにしてます!
それでは!

またここで会えると良いな

高垣楓(25)
http://i.imgur.com/nrmd3Bw.jpg
http://i.imgur.com/WWMOUkE.jpg

>>70さん

最後の最後にすみません......

>>72さん

そうですね! またここで会えるといいですね!

>>73さん

画像ありがとうございます! 嬉しいです!

>>70さん
最後の最後にすみません......

>>72さん
そうですね! またここで会えるといいですね!

>>73さん
画像ありがとうございます! 嬉しいです!

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom