美希「雪歩がお休み?」 (37)


美希「……春香?」

春香「ん、美希、どうしたの?」

美希「それ、ペットボトルのお茶、だよね」

春香「……うん、そうだね」

美希「雪歩のお茶は飲まないの?」


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春香「今日、雪歩はお休みだし……」

美希「えっ?」

春香「だからお茶を買ってきたんだけど……やっぱり、何か落ち着かないかな」

美希「雪歩がお休み……知らなかったの」

春香「あれ、そうだった? って、今事務所に戻ってきたんだもんね」


美希「春香、そのお茶飲んでどう思う? おいしい?」

春香「うーん、微妙かな」

美希「そっか……じゃあ、早く雪歩に風邪、治してもらわないといけないね」

春香「そうだね、なんだか落ち着かないし」


美希「……よし」

春香「ん?」

美希「ミキ、看病しに行くの!」

春香「え?」

美希「春香っ! 雪歩のお家、教えて!」


ピンポーン

雪歩「……はぁい」ガチャ

美希「雪歩っ、こんにちはなの!」

雪歩「……ほえ」

美希「雪歩?」


雪歩「み、美希ちゃあああん!?」

美希「むっ、そんな驚かなくても」

雪歩「お、驚くよぉ! 一人暮らし始めてから、お家の場所教えてないのに……っ!」

美希「春香から聞いたよ?」

雪歩「ええっ!?」


美希「いや、だから春香に聞いたの」

雪歩「春香ちゃんにも教えてないのに!?」

美希「えっ、それは分かんないけど……」

雪歩「……とりあえず、立ち話も……けほっ、けほ」グラッ

美希「ちょっ、雪歩!」


美希「……平気?」

雪歩「うーん、平気じゃないかも」

美希「ご、ごめんなさいなの」

雪歩「ううん、大丈夫だよ」


美希「……顔色悪いね」

雪歩「熱、高いから」

美希「どれくらい?」

雪歩「えっとね、38度ちょっと」


美希「ケッコーあるね」

雪歩「うん……でも、こうやって寝てれば平気だよ? それより、うつしちゃうから……」

美希「雪歩っ」

雪歩「うん? どうし……ひゃっ」


美希「うーん、結構アツいって感じかな」

雪歩「美希ちゃんの手、冷たいね」

美希「ん、そう?」

雪歩「うん……今日、外は寒いの?」


美希「寒いよ、まだまだ春物は着られないかな」

雪歩「そうなんだ……体調崩しやすいと思うから、気をつけてね?」

美希「うん」

雪歩「だから美希ちゃん、私なんかと一緒にいないで、帰ったほうが」


美希「えっ?」

雪歩「えっ、いや、だから」

美希「ミキ、雪歩を看病しに来たんだよ?」

雪歩「そ、それはありがたいけど……美希ちゃんにまで、風邪をうつすわけには行かないよ」

美希「そんなこと気にしなくていいよ」


雪歩「…………じゃあ、お願いしちゃおう、かな」

美希「うんっ。雪歩も一人暮らしで心細いかな、って思ったの」

雪歩「あはは……美希ちゃんは何でもお見通しだね」

美希「本当にそうだった?」

雪歩「うん……ごめんね、美希ちゃん」


美希「もう、謝るのは禁止!」

雪歩「ごめ……っ」

美希「雪歩、謝るのクセになってる?」

雪歩「かも、しれないね」

美希「……そうだ。何か欲しいものとか無い? ミキ、ちょっと買ってくるの」


雪歩「えっと、モノじゃなくて……」

美希「え?」

雪歩「あの、そばに居てほしいかな……なんて」

美希「……あ、えっと」

雪歩「ご、ごめんね! 変なこと言っちゃって……でも、寂しくて」


美希「分かった、近くにいるの」

雪歩「あ、ありがとう……」

美希「ミキも雪歩の気持ち、分かるよ。風邪のときって心細くなるから」

雪歩「うん……美希ちゃんが来てくれて、嬉しかった」

美希「なら、良かったかな」


雪歩「それにしても、なんで来てくれたの?」

美希「そんなの簡単だよ」

雪歩「簡単?」

美希「うん。雪歩が居ないと寂しいから、早く治してほしいの」

雪歩「美希ちゃん……」


美希「それに、雪歩のお茶も飲めないでしょ?」

雪歩「お茶……そっか」

美希「ゆっくり治してね」

雪歩「ありがとう……ところで、美希ちゃん」

美希「なに?」


美希「それに、雪歩のお茶も飲めないでしょ?」

雪歩「お茶……そっか」

美希「ゆっくり治してね」

雪歩「ありがとう……ところで、美希ちゃん」

美希「なに?」


雪歩「お仕事は行かなくて良いの?」

美希「……あ」

雪歩「えっ」

美希「と、とにかく! 雪歩に元気になって欲しいから、ミキは来たの!」

雪歩「お仕事に行かなきゃダメだよう!」

美希「ひ、冷えペタ貼ろっか! ねっ!」


ペタッ

雪歩「ひゃうぅ……つめたい」

美希「お薬も飲んだし、ゆっくりしてれば大丈夫だよ」

雪歩「何から何までありがとう、美希ちゃん」

美希「気にしないで。雪歩には元気になってもらいたいし」


美希「どうして風邪引いちゃったの?」

雪歩「なんでだろう……最近は遅くまで帰れなかったりしたからかな」

美希「ちゃんと寝なきゃダメだよ!」

雪歩「うん。そうしたいけど……お仕事が」

美希「あっ……ごめん」


雪歩「美希ちゃんが謝ることじゃないよ。体調管理が出来てなくて……それに、看病してもらって嬉しいもん」

美希「……雪歩」

雪歩「うん?」

美希「ミキ、雪歩が体調悪くなったら、いつでもここに来るの」


雪歩「……ぇ」

美希「雪歩のお茶が飲みたいの、雪歩が事務所に居ないと、不安なの」

雪歩「……ありが、とう」

美希「ミキ、いきなり何言ってるんだろうね……ごめんなさい」

雪歩「ううん、すごく嬉しいよ…………美希ちゃん」


美希「な、なに?」

雪歩「寝てもいいかな」

美希「……う、うん」

雪歩「ありがとう、美希ちゃん。……帰っちゃっても良いからね」

美希「帰らないよ、今日は雪歩の面倒見るって決めたし」


雪歩「そっか……それじゃあ、おやすみ」

美希「うん、おやすみなさいなの」

雪歩「…………美希ちゃん、もうひとつだけ、良い?」

美希「ん、どうしたの?」

雪歩「子守唄、歌って欲しいかなって」


美希「こ、子守唄?」

雪歩「……その、眠れない時はお母さんに、時々歌ってもらってたんだけど…………最近は」

美希「うん、分かったの……それじゃ、目をつむって」

雪歩「うん、ありがとう……」

美希「ねんねん ころりよ おころりよ……」


 ――――
 ――

ピンポーン

春香「……ゆーきほー?」

春香「……って、鍵開いてる? 無用心なんだから……」ガチャ

春香「雪歩、春香だけど……鍵が開いてたよー?」


スタスタ

春香「ねえ、美希が来てないかな……って、寝てる?」

美希「…………くー……」

雪歩「……ん…………」

春香「…………ふたりとも、お疲れ様」

 おわり


 >>20は抜いて読んでください。
 お読みいただき、ありがとうございました。お疲れ様でした。

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