女騎士「負けるものか!」 オーク「…」(14)

女騎士(騎士ともあろう私が、何故豚程度に苦戦するのだ)

オーク「………」フゴー

女騎士(アレは魔物の中でも低級の雑魚、実力が十全に出せれば一瞬で勝てる筈なのに)

オーク「グヘへ」 ガキーン

女騎士(何故身体がこうも重いのだ)

オーク「オマエ 武器 ナイ 降伏 スル」ガチャリ

女騎士「くっ、殺せ。」

オーク「魔王 殺ス 嫌イ」

女騎士「?」

オーク「捕虜 捕マエル 魔王 喜ブ」

女騎士「魔物なぞに捕まる恥辱と比べれば、私は殺された方が本望だ!」

オーク「騎士 偉イ 捕マエル 魔王 欲シイ」

女騎士(このオークは何をしているんだ?私の聞いた話では、オークというのは肉欲に生きるケダモノであり、女を捕まえれば…)

女騎士(おぞましくて吐き気がする。剣は弾かれて無いが、舌を噛んで死ぬこと位は出来るか)

オーク「対話 魔王 シタイ」

女騎士「対話…?」

女騎士(地位の高い人間と対話する機会を求めているのか?しかし、魔王とは破滅をもたらす災厄では無いのか?)


オーク「人間 話ス 魔物 送ル」

女騎士「結局は魔物を送り込む算段か!」

女騎士「例え戦えずとも、私は魔物には屈しない!」

オーク「魔物 送ル 帰ル 無イ」

女騎士(しかし、この豚はこの好機に手を出さないとは…)

女騎士(油断すると寝首をかかれると身をもって教えてやる)ジリジリ

オーク「姫 話ス 直接」

女騎士「やはり姫様が狙いか」ジリジリ

女騎士「だが残念だったな、姫様は別ルートで移動しておられる。」グッ

女騎士「そしてお前も油断し過ぎだ!」ブン


オーク「………」ガキン


女騎士「な、止めただと…!?」

女騎士(く、やはり力が入らない。奇襲を防がれてはもう…)


オーク「降伏 オマエ 弱イ」ブン


女騎士「うぐっ」ガシャン

女騎士(く、これまでか)


グシャッ

忍者「無事で御座るか?」

女騎士「お、お前は?」

忍者「拙者は忍者で御座る。」

忍者「いやはや、たまたま通り掛かってみれば、大変なところで御座ったな。」

女騎士「あ、あぁ。助かった。」

忍者「オークと言えば、肉欲に生きる悪鬼のようなもの。そなたのような美人ではどうなったことか。」

女騎士「美じッ…!!」

女騎士「か!からかうな!」

忍者「姫様の護衛ともなれば、容姿にも基準が有るので御座るかな?」

女騎士「…」

女騎士「…お前は城の者では無いよな?」

忍者「そうで御座るよ?」

忍者「今はたまたま居合わせただけで…」

女騎士「私が姫の護衛なのは公になっていない筈だが?」

忍者「あぁ…その…姫様に会ったので御座るよ。」

女騎士「今、姫様は私とは別ルートで城へ向かっている。」

忍者「うぅむ、まぁ、たまたま居合わせただけで御座るし」

女騎士「姫様の視察という一大イベントだ。
この一帯は通行が制限されている。」


女騎士「お前は一体何が目的だ?」

忍者「あーあ。まぁ、別にいいんだけどさ。」

忍者「まだマトモな騎士様が居たとはな。」

女騎士「貴様、何を言っている!」

忍者「お前さ、最近やけに低級魔族の頭が良くなったと思わない?」

女騎士(オークが喋ったことか?)

忍者「知らないかもしれないが、最近のオークは普通に喋れちゃう奴らが多いんだぜ?」

忍者「それを考えると、お前も、それも、天然記念物的に珍しいのかもな。」

女騎士「私が珍しい?」

女騎士「確かに、女の騎士はそんなに多くないが…」

忍者「この状態で受け答えするとか真面目かよw」

忍者「最近はそんな古い女騎士なんて求められて無いんだよ。」

女騎士「な、何が言いたい」

忍者「ガチガチのプレートメイルに真面目な性格。」

忍者「そんなんより、薄着のビッチの方がよっぽど需要があるって話だ。」

女騎士「そんなものは騎士では無い!」

忍者「だから、俺が、俺達が変えてやるんだよ!」

女騎士「なっ」

忍者「簡単な話だ。女騎士も人間、さらに言えば女だ。」

忍者「術に薬、色んな方法で人格から壊してやる。」


女騎士「外道め…」


忍者「人格を壊してからは、依頼に応じてちょちょいと改造してやるのさ。」

忍者「ガチガチで真面目な頃よりよっぽど強くなって、さらには主人公にまでなれるんだ。感謝して欲しいもんだぜ。」


女騎士「人道にもとる行いを行っておいて開き直るか外道!」

女騎士「この私が叩き斬ってくれる!」

忍者「本気で出来ると思ってるのか?」

忍者「さっきから力が出ないんだろ?俺の使った香が効いてるからだ。」

女騎士(脱力感の正体はそれか…)

忍者「だいたい、正義だなんだと小うるさいからいけないんだよ、お前らはさ。」

女騎士「何がいいたい。」

忍者「勇者だとか騎士だとかさ。そりゃ正々堂々と戦う奴らにはそれでいいのかもしれないが、それを俺達にまで押し付けるなって話だよ。」

忍者「最近は魔王までひよって穏健派が多い始末。まぁ、魔王は流石に手出し出来ないが…」

忍者「女騎士は壊せるし、勇者も幼い段階から矯正すれば…お前の嫌いな外道に出来る。」

女騎士「いったい何を企んでいる」

忍者「歴史を作ってるのさ。
堕ちた女騎士が増えれば、女騎士とは淫乱女の記号でしかなくなる。
勇者が任命される度に悪事を働けば、勇者を信仰する馬鹿も居なくなる。」

女騎士「その結果、貴様になんの利があるというのだ。」

忍者「隠密ってのは、世界が混沌とすれば仕事が増えるものさ。」

女騎士「人間に仇をなしてはいずれ貴様も滅ぶぞ。貴様とて人間なのだか

忍者「バランスくらいは管理してるさ。」

女騎士「管理…だと…?」

忍者「魔物に知性を与えるんだよ。」

女騎士「それでは魔物が強くなっているだけではないか」

忍者「判ってないな。民衆が考えるようになれば、反乱や革命なんてのは簡単に起きるんだぜ?」

忍者「そもそも魔王なんてのは力で纏めてるだけだ。人間並みの思考能力を得た魔物なんかを心の底から従順に従わせる力なんて無いさ。」

女騎士「そんな馬鹿な」

忍者「面白いことにオークの雌奴隷にされた魔王も居るんだと。お笑い草だな。」

忍者「知性を得た魔物は魔王の思い通りにはならず、平和だとか言い出す面倒な一団が現れたら勇者なりを送り込んで殲滅すればいい。」

忍者「まぁ、魔王が人間との協調とか言い出しても、知性を得たとて粗暴な魔物。魔王と反目する奴らが多くて勝手に潰れる。」

女騎士「どう転んでも、魔界は内輪揉めになるというのか…」

忍者「人の世界は何にもしなくても己が欲望を優先して団結なんて出来ないんだ。魔界も争い続ければいいのさ。」

あげ

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