校長「明日でこの学校は廃校となります。 みなさん編入先でもがんばってください。 それではこの学院での最後の1日、悔いを残さないよう過ごしましょう」
「以上で理事長のお話を終わります。 次に生活指導の……」
穂乃果「……」
穂乃果「……は?」
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穂乃果「ちょ、ちょ、海未ちゃん」
海未「なんですか穂乃果。 今話してたら怒られますよ」
穂乃果「いや、ちょっと理事長がおかしなこと言ってたんだけどさ、私寝ぼけて聞き間違えただけなのかな?」
海未「あなたがそう思うんならそうなんでしょう。 あなたの中ではね」
穂乃果「そ、そっか。 寝ぼけてただけなのか……。 よかった」
ゾロゾロ
「今日ちゃんと袋持ってきたー?」
「あっ、忘れちゃった! ○○ちゃん二つ持ってない?」
「ふふふっ、そうだろうと思って持ってきてあげたよ。 感謝してね」
穂乃果「あ、あの……海未ちゃん?」
海未「なんです? あなた『いかのおすし』の約束を忘れたんですか?」
穂乃果「いや、それ避難のときのやつだよね。 今って教室に戻ってるだけだよね」
海未「あなたがそう思うんならそうなんでしょう。 あなたの中ではね」
穂乃果(なんか今日の海未ちゃん厳しい……)
穂乃果「えっと、あのさ。 ○○ちゃんたちが話してる『袋』ってなに?」
海未「袋ですか? 衣を代わりにかぶせて『袋』です」
穂乃果「へぇ、そうなんだ。 またひとつ賢く……って、漢字のことじゃなくて! 私が聞きたいのは……」
「高坂さん、ちょっといいですか?」
穂乃果「あ、先生。 どうしました?」
「1時限目を始める前に少しお話があるのよ。 だから今から一緒に職員室まで来てもらえる?」
穂乃果「? はい。 わかりました」
海未「もう、穂乃果。 今度は何をしでかしたんです?」
穂乃果「え、いや……。 昨日もちゃんと宿題は出したはずなんだけどな……」
ー職員室ー
「それで高坂さん、あとこの学校で決まってないのは高坂さんだけなのよ?」
穂乃果「あ、あの……。 決めてないってなんのことですか? それもこの学校って……」
「だから、編入先の高校決めてないのはあなただけなのよ?」
穂乃果「……」
穂乃果「……え?」
穂乃果「へ、編入先……? なんのことかさっぱり……」
「先月にHRで伝えましたよね? この学校はなんだかんだで廃校になってしまうと」
穂乃果「なんだかんだなんて理由で廃校になっちゃうんですか!? 今私、生きてきた中で一番びっくりしてますよ!」
「あなたと仲のいい園田さんや南さんも編入先は決まってるのよ? なのにあなただけ何も決まってなくて……このままじゃ先生、安心して寿退社できないわ」
穂乃果「……」
ー教室ー
海未「私は○○学院に弓道で呼ばれまして。 筆記の代わりに面接試験で編入が決まりました」
ことり「私も海未ちゃんと同じところにいくよ。 受験したら受かったから」
穂乃果「あの……どうして私に今回の件のことを教えてくださらなかったのでしょうか」
海未「教えてくれなかったも何も、先生が毎日HRで耳にタコができるくらい言ってたじゃないですか」
ことり「……もしかして穂乃果ちゃん、ずっと寝てたの?」
穂乃果「……」
海未「図星のようですね
穂乃果「……どうしよう。 どうしましょう。 私どうしたらいいんでしょう」
海未「もうこうなったら高校中退して実家を継いではどうでしょう。 お菓子の知識も、わざわざ専門学校まで行かずとも実際におじさんから教えてもらえるでしょう?」
穂乃果「そ、それはそうだけど……」
ことり「よかったね穂乃果ちゃん♪」
穂乃果「よかった……のかな? 私もっと青春というものを堪能してみたかったんだけど……」
海未「諦めも時には肝心です」
穂乃果「できれば慰めてほしかった」
ことり「退き際を見極めるのも大切だよ」
穂乃果「私の青春は高2の5月に手放さなくてはいけないものだったのか……」
穂乃果「ねえねえ、海未ちゃんたちがいく学校って今からでも編入試験受けられるかな?」
海未「無理だということはないでしょうけど……」
穂乃果「なら私も今日帰ったらそこに電話して……」
ことり「数理英はセンター試験レベルだけど大丈夫?」
穂乃果「……センター試験って?」
海未「諦めなさい穂乃果。諦めも時には……」
穂乃果「さっき聞いた!」
ー屋上ー
穂乃果「……ってことがあってさー、どう思う?」
凛『凛は穂乃果ちゃんが編入試験受けてなかったことに驚きだにゃ……』
穂乃果「だ、だって聞いてないものはわからないじゃんか! みんなしてひどいよ!」
凛『どう考えても授業中に寝てた穂乃果ちゃんが悪いのに……』
穂乃果「……ん? そういえば○○学院って凛ちゃんも通ってるとこだよね」
凛『うん、そうだよー。 明日からは先輩が増えて嬉しいな♪』
穂乃果「ちょっと待てよ……? 凛ちゃんでも入れる学校ってことは私でも……」
ブツン、 ツー ツー
穂乃果「ちょっといきなり切らないでよ!」
凛『あーごめん。 なんか失礼な言葉が聞こえてきそうだったから指が勝手に動いちゃった』
穂乃果「でも実際、成績も私とたいして変わらないでしょ?」
凛『ちょっと何言ってるかわからないですね。 私は英語以外学年上位なんですが』
穂乃果「うわ、なんか急に優等生ぶりだした!」
凛『だってほんとのことだもん。 穂乃果ちゃんは凛が英語苦手なの知ってて、毎回英語の点数しか聞いてこなかったから気づいて無かったのかもしれないけど』
穂乃果「……それ本当なの? 妄想の話じゃなくて……?」
凛『ほんとに失礼だね! それじゃあ教えてあげる!』
凛『4.7!!』
穂乃果「……4.7? それなんの数字?」
凛『凛の中学3年生の時の最終成績だよ。 主教科5科目に副教科5科目の5段階評価の平均。 ちなみに英語は2だよ。 これがどういう意味かわかるよね?』ドヤッ
穂乃果(英語なら私でも3だったのに)ブフッ
凛『今笑わなかった?』
穂乃果「まさか」
穂乃果「……っていうか4.7って……それことりちゃんより高いよ? いくらなんでも盛りすぎだって……」
凛『盛ってないし! それじゃあ今まで嘘なんか一度もついてきたことがないかよちんに聞いてみなよ! ほら、かよちん。 穂乃果ちゃんに凛が優等生だって証明してあげて』
『ふぇ!? ち、ちょっと待って……! ご飯飲み込んでからぁ……』
花陽『……も、もしもし。 おひしぶりです』
穂乃果「あ、花陽ちゃん。 久しぶりだね。 元気にしてた?」
花陽『はい、なんとか。 最近やっと高校生活にも慣れてきたんですけど、そしたら今度は余計にお腹が空くようになっちゃって困ってて……』
凛『かよちん! 今はそんなのどうでもいいから! とにかく凛が頭いいこと証明して!』
花陽『そ、そうだった……。 え、えっと……。 凛ちゃんは4月頭にあった学力テストで8位でした』
穂乃果「…………下から?」
ブツン、 ツー ツー
穂乃果「だから切らないでって!」
花陽『ご、ごめんなさい! 凛ちゃんが急に電話取り上げて通話終了をタップしちゃって……』
穂乃果「……んー、まぁとりあえずもういいや。 凛ちゃんが学力なんて小さなことに拘る人だとは思わなかったよ。 それじゃあお昼休みにごめんね。 バイバーイ」
凛『なんでほんとのこと言ってるのに呆れられてるのかわからないです』
ガチャ、 ツー ツー
穂乃果「……ってことがあったのさー」
絵里『へー、あの星空さんがね』
穂乃果「絵里ちゃんも○○学院で、しかもそこで生徒会長やってるんでしょ? だからちょっと凛ちゃんに嘘ついてはいけませんて言ってきてよ」
絵里『でも実際にあの子は頭良いわよ? うちの学校はテストが終わったら各学年の上位10名が廊下に貼り出されるんだけど、そこにもちゃんと載ってたし』
穂乃果「え……。 絵里ちゃんまで私に嘘つくの……?」
絵里『いや、ほんとよ? なんなら今から写メで送ってあげるわね』
プツン
ピロピロリーン
1位 西木野真姫 500点
2位 ○○○○ 486点
…………
8位 星空凛 437点
9位 ○○○○ 436点
穂乃果「あら本当」
絵里『ね?』
穂乃果「そしてちゃっかり2枚目に3年生の分送ってくるとことかゲスいよね」
絵里『あ、いや、もしかしたら私のも気になるかなーって思って……ね?』
穂乃果「そんなに自分が1位なのを見せびらかしたいのか」
絵里『反省してます……』シュン
穂乃果「今度お仕置きね」
絵里『おし……おき……!?』ハァハァ
ブツン、ツー ツー
穂乃果「これだからドMは困るんだよなぁ。 性格は真面目だけど性癖はひどいからな絵里ちゃん。 今度また調教しなきゃ」
ー教室ー
「うっ、うわあああん! ○○ちゃんと離れ離れになるのやだよぉ!」
「私もやだよー!! うわぁん! でも私の通うとこに入れるくらいの頭がなかったあんたが悪いんだけどね!」
「ちょ、ひどっ! 今だから言うけど私、あんたのそうやって人をバカにするところホントに……だ、だ、……大好きだったよぉぉおお!!」
「あだぢもー!!」
穂乃果「なんだこれ」
海未「あと2時間もすればこの学校での生活が終わってしまいますから。 当然皆が皆同じところへ編入するわけではないですし、ああやって別れを惜しんでいるのでしょう」
穂乃果「……へぇ」
ことり「うぅ……ほのかちゃん」
穂乃果「え、ことりちゃんも?」
ことり「私ね……? 高校生になったら穂乃果ちゃんとしたいことがあったの……。 それも今日が最後だから……言うね!」
穂乃果「な、なに? ……ていうか私はもう高校中退することになってるのね……」
ことり「私、穂乃果ちゃんを体育倉庫で犯してみたかったの!」
穂乃果「なにを言い出すんだこの人はぁ!?」
ことり「でもこの学校、体育倉庫なんてなかった……。 あるのは鍵もついてない小さな物置だけ……。 あそこじゃとても……穂乃果ちゃんを犯せない!」
海未「卒業は人を変えると言いますが、ことりはその典型的な例ですね」
穂乃果「卒業じゃない! まだ卒業じゃないよことりちゃん! だから正気に戻って!」
ことり「もうこの際教室で巡回の先生に見つからないように隠れて犯して……」ガサゴソ
穂乃果「ちょ、ストップ! や、やめ……、今人いっぱいいるからぁ///」
海未「なんと! 人がいなければ穂乃果はOKなんですね!?」ハァハァ
穂乃果「誰かこの百合豚どうにかして!」
ザワザワ
ゾロゾロ
穂乃果「ちょっとみんな! 空気読んで教室出て行かなくていいから! わっ、外から覗かれないように小窓に黒幕貼ってくれてる! そんな気遣いいらない!」
ことり「穂乃果ちゃん、優しくするからね? だからいっぱい声聞かせて……!」
海未「こーとほのっ、こーとほのっ、こーとほのっ。 ……やっぱりほのうみがいい!」
穂乃果「う、うそ……冗談でしょ? こんな昼間から……廊下にたくさん人もいるのに……」
ことり「愛があればそんなの関係ないよっ!」
海未「愛ゆえに……です!」
穂乃果「2人とも顔がマジになってるって、ちょっと、本当にシャレになってな……」
穂乃果「アーッ!」
その日、きっと青春の嘆きが、私には聞こえました。
ー放課後ー
穂乃果「ああ、袋って上履きを持ち帰る袋のことだったんだね」
海未「そうですよ。 なんだと思ってたんですか? もしかして袋と梟を間違えましたか?」
穂乃果「海未ちゃん、それは人をバカにしすぎ。 念のために梟を2匹持ってくる女子高生なんて聞いたことないよ」
海未「それもそうですね。 謝ります」
ことり「海未ちゃんも四捨五入したら二十歳なんだから、もう少し他人に気を使うことを覚えようね」
海未「四捨五入はしないで!」
海未「というかあなたたちも私と同い年でしょうに」
ことり「ことりは永遠の12歳だから♪」
海未「なにを言ってるんでしょうこの子は」
穂乃果「……はぁ。 明日からは社会人かぁ」
海未「そうなりますね。 寂しくなったらいつでも会いに行ってあげますから言ってくださいね」
ことり「私も! 実は穂乃果ちゃんのお家でしてみたいこともたくさん……」
穂乃果「ことりちゃん今日から出禁ね」
ー公園ー
穂乃果「……っという間に私の高校生活最後の日が終わっちゃったんだよ」
絵里「なんかもう哀れを通り越して憐れね」
穂乃果「それ意味同じだから。 って海未ちゃが言ってた」
絵里「こうなることがわかってたらあなたにも死ぬ気で勉強させてうちの○○学院に進学させたのに。 あなたの□□学院から編入してくる子たちによると、入試より断然編入試験の方が難しいらしいわ」
穂乃果「なら高校受験でならチャンスあったかもしれないんだね……」
凛「そうだ、高校に入り直そう(提案)」
穂乃果「君は唐突に湧いてくるなぁ」
凛「ラーメン食べに行こうとしたら公園でブランコ乗ってる2人が見えたから挨拶しにきたにゃ」
絵里「こんにちは星空さん。 今日は部活ないの?」
凛「こんにちはかいちょーさん。 そうですよ。 今日は編入してくる生徒たちの準備で忙しいって顧問が……ってこのことは会長も知ってますよね?」
絵里「あっ、そうだったわね。 そういえば今日は全部活動休みって先生方も言ってたような気がする」
穂乃果「しっかりしなよ会長」
絵里「だって私無所属なんだもん……」ショボン
凛「会長なんでバレー部に入らなかったんですか? ロシアにいたころやってたんですよね?」
絵里「バレーはやってなかったけど、バレエならやってたわ」
凛「あ、そっか。 うちにはバレー部はあってもバレエ部はないもんね」
絵里「そうなのよ……。 だからバレエのように自分をよく見てもらえて、しかも内申点ももらえる会長という職に仕方なく就いたのよ」
凛「仕方なくで会長候補の他3人を蹴散らしたのか……」
絵里「全校集会でみんなが私を見ている……。 そんな中でスカートを降ろしたらどんだけ快感なんだろうって考えたら会長に立候補するしかなかったわ……!」
穂乃果「本音がでた! 誰かこの人を会長の座から引きずりおろして!」
絵里「穂乃果にならスカート……ううん、下着までずり降ろされても構わないわ///」
穂乃果「なんで私の周りには変態ばっかりしかいないの!?」
絵里「私ね……? 高校生になったら穂乃果にしてもらいたいことがあったの……」
穂乃果「嫌な予感しかしないんでその話題はNGで」
絵里「私、蝋燭一本の明かりで照らされた部屋で穂乃果に鞭でメチャクチャにされた……」
穂乃果「はい、お口にガムテープ」ピリッ
絵里「んー!! んーんんんー!! …………んっ、んんっ///」
凛「……なんか喜んでない?」
穂乃果「他人を装おう。 さて、一緒にラーメン食べに行こっか」
凛「う、うん」
絵里(私も行くわ)
穂乃果「こいつ……直接脳内に……っ!」
凛「この人怖い! 早く行こ!」
絵里(ちょっと待ちなさいって。 穴場のおいしいラーメン屋知ってるわよ)
凛「えっ、どこですか?」ピタッ
穂乃果「釣られちゃったよこの子!」
絵里(あの細い路地を抜けた先にとてもデリシャスでゴージャスでスーパーでビューティフルでデストロイヤーなラーメン屋があるのよ)
凛「す、すごい。 会長がそんなに横文字を使うほどのラーメン屋ってことは……期待せざるをえない!」
絵里(ふふふ……。 星空さんのあのスラッと細いけど健康的な足、それで私の顔やお腹やあそこを踏まれたらどれだけ気持ちいいか……)ゾクゾク
穂乃果「だめだ凛ちゃん! その不審者についていっちゃいけない!!」
凛「ラーメンんめーなわゐうゑを」
穂乃果「りんちゃぁぁぁぁん!!」
絵里(大丈夫よ穂乃果。 私は絶対星空さんの足になんか……負けない!)
穂乃果「いや、あなたがハメようとしてるんですが!?」
絵里(これまでもこれからも……私を調教できるのは穂乃果だけよ)ニコッ
穂乃果「……帰ろ」
ー穂むらー
穂乃果「ただいまー」
母「おかえり穂乃果。 □□学院での最後の1日、どうだった?」
穂乃果「え、お母さんも知ってたの?」
母「当たり前でしょ? 新聞にも載ってたわよ」
穂乃果「どうして教えてくれなかったのさ……」
母「えっ? あんた知らなかったの?」
穂乃果「あ、いやっ! 知ってたよもちろん!」
穂乃果(昼寝ばかりしてて聞いてなかったなんて言えない)
穂乃果「えっと……お母さんも知ってたんなら、その、編入の相談とかしたかったなぁって……」
母「なに言ってるのよ。 おバカなあんたにはそんなの必要ないわ」
穂乃果「うぅ……、お母さんまで……」
母「ほら、早く手洗って晩御飯できてるから食べちゃいなさい」
穂乃果「はーい……。 ってあれ? お父さんは?」
母「お父さんなら野暮用で今帰ってくるところよ。 感謝しなさいね」
穂乃果「……?」
雪穂「あっ、おねーひゃん。 おふぁーりー」
穂乃果「ただいま。 あと食べ終わってから話そうね」
雪穂「ゴクン。 どうだった? □□学院での最後の1日は」
穂乃果「雪穂まで……」
雪穂「先月から学校の掲示板に貼り出されてびっくりしたよ。 でもよく考えてみれば生徒数もそんなに多くないし、仕方ないっちゃ仕方ないよね」
穂乃果「それは……そうだけど。 ところで今日の晩御飯なに?」
雪穂「ご飯? お赤飯だよ」
穂乃果「あんの母親ぁ、今度会ったらただじゃすまさない……っ!」
雪穂「生理なの?」
穂乃果「別に生理でイライラしてるわけじゃないよ」
雪穂「お姉ちゃんも難しい年頃なんだね」
穂乃果「まぁ……明日で突然学生生活が終わるとなれば少しくらいは荒れるでしょ」
雪穂「えっ? お姉ちゃん学校やめるの? 不良になるの?」
穂乃果「不良にはならないけど……ほら、私って馬鹿だからさ……。 これからは働かなくちゃいけないの」
雪穂「へー。 まあがんばってよ」ペラッ
穂乃果「冷たいなぁ……。 あとご飯食べながら雑誌見ないの」
ーーーー
父「ただいま」
母「おかえりなさい。 どうだった?」
父「うむ。 なんの問題もなかった」
母「よかった。 これであの子も……」
ーーーー
翌朝
ー厨房ー
穂乃果「おはよー」
母「あら、おはよう。 今朝はやけに早いわね?」
穂乃果「うん……。 今日から頑張りますのでよろしくお願いします」
母「な、なによ急に改まって」
穂乃果「私頑張るからどうか見捨てないでね……」
母「……? ま、まぁこれからは心を入れ替えてがんばるのよ?」
穂乃果「はい。 それじゃあまず何からしたらいい?」
母「それじゃあまずご飯食べて顔洗ってきなさい。 居間に制服あるからそれに着替えるのよ」
穂乃果「制服?」
穂乃果(あ、そうか。 割烹着じゃなくてもっとちゃんとしたものもらえるんだ)
母「わかったら行きなさい。 初日から遅刻したら恥ずかしいからね」
穂乃果「わかってるって。 それじゃあまた後でね」
雪穂「おはよ。 そこにあるご飯お姉ちゃんの分だから」
穂乃果「はーい」
モグモグ
雪穂「お姉ちゃんの新しい制服可愛いね。 私も着てみたいなー」
穂乃果「じゃあ少し着てみる? そこら変に掛けてあるってお母さんが…………ん?」
雪穂「どうしたの?」
穂乃果「……いや、なんかやけに……学生服っぽい仕事服だなって」
雪穂「え? 寝ぼけてるの?」
穂乃果「そんなことはないはずだけど……」
雪穂「とりあえずちょっと着させてね!」
ゴソゴソ
穂乃果「うわぁ! 可愛いよ雪穂! まるで高校生みたい!」
雪穂「そ、そう? 私もあと1年したらこの制服着れるのかなー」
穂乃果「……え、雪穂高校行かないの?」
雪穂「はい? そりゃ行くに決まってるでしょ」
穂乃果「でも1年後にはって……」
雪穂「……」
雪穂「……あ、わかった。 お姉ちゃん昨日から何言ってんのかと思ったら、どうやらすさまじい勘違いしてるみたいだね」
穂乃果「えっ? 勘違いって……」
ピンポーン
穂乃果「は、はーい!」
雪穂「ほら、制服返すから早く着替えて行きな?」
穂乃果「う、うん……?」
穂乃果「ごめんなさい! 今出ま」
ガララー
海未「おはようございます」
穂乃果「す……海未ちゃん?」
海未「はい。 なにを驚いた顔をしてるんですか?」
穂乃果「だ、だってこんな朝早くに来ると思わなかったし、それに海未ちゃんの新しい制服……私のとそっくり……」
海未「そっくりもなにも同じものですよ?」
穂乃果「え? じゃあ海未ちゃんもうちで働くの?」
海未「……? あなたは朝からなにを言ってるのですか?」
穂乃果「……へ?」
雪穂「そのことについては私が説明します」
穂乃果「雪穂?」
雪穂「実はですね、お姉ちゃんったらどうやら本当に自分は働かなくちゃいけないと思ってるみたいなんです」
穂乃果「ちょ、ちょっと待ってよ。 その言い方じゃまるで私が働かなくていいみたいじゃ……」
雪穂「その通りだよ。 だってお姉ちゃんはまだ高校生なんだし」
穂乃果「……は?」
海未「あなたは今日から私と同じ○○学院の生徒になるのですよ」
穂乃果「……あの、2人が何を言ってるのか私の方がわからないんだけど。 だってほら、海未ちゃんたちも言ってたでしょ? 私、編入試験も受けてないから新しい高校には行けないって……。 だから私はもう家で働かなくちゃいけないと……」
海未「穂乃果、よく考えてみてください。 高校に入る方法はほかにもあります」
穂乃果「えっと、まずことりちゃんの受けた筆記試験でしょ? それに海未ちゃんの面接試験……。 あとは……」
穂乃果「……なくない?」
海未「それがあるんですよ。 ですよね、雪穂」
雪穂「うん。 たまに漫画や小説で見るよね」
穂乃果「…………あ、もしや……」
海未「そう!」
雪穂「そのもしや、だよ!」
海未「穂乃果は○○学院に、」
雪穂「○○学院に、」
母「裏口入学ならぬ裏口編入したのよ!」
海雪「いいとこ取られた!」
こうして私たちは仲良く音ノ木坂学院に編入しました
めでたしめでたし
理事長「音ノ木坂学院は来年度を以って新入生募集を停止し、廃校とします」
穂乃果「……」
穂乃果「……は?」
メデタシメデタシ
終わりです。
ありがとうございました。
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海未「あなたと一緒なら」 - SSまとめ速報
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