モバP「小春、またするのか?」 (36)
事務所の一室
小春「Pさん、宿題終わりました~」
P「お、そうかえらいえらい、今日もばっちりみたいだな」
小春「はいーPさんに教えてもらってますからー!」
P「がんばってるのは小春さ、じゃ時間も遅いし送るから─」
ガシッ
小春「…それでー…えへへー」
P「………………」
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P「今日も、なのか?」
小春「勿論です~小春、毎日楽しみなんですから~」
P「全く…宿題の相手だけのはずなだがな」
小春「駄目ですか…?」
P「…まさか、断る理由が無い」
小春「それじゃ…うふふー」
ノソッ
P「っ」
隣に座っていた小春がこちらを向く
小春「じっとしててくださいね~」
P「あ、ああ…」
躊躇いも躊躇もせず、少々腰の引けている俺にもたれ、膝の間に座る
P「っ」
小春「よいしょ…よいしょ…?…どうしました?痛いですかー?」
P「いや、全然…くすぐったいだけだ」
小春「そうですかー良かったですー」
そう言ってさらに俺に体重を預ける
実に心地いい重さだ、このまま抱いていたい
…そう抱いてだけいたい
小春「それじゃ~いきますね~」
P「ああ、好きにしてくっ」
小春「んー」
P「むぐっ」
最後まで言えず口を塞がれた
………
……
…
『小春は本当にペロペロが好きだなー』
『はいですーペロペロすると幸せになりますー』
『ヒョウ君が羨ましいなハハハ』
『………そうなんですか…?それじゃあPさんにペロペロしますか~?小春もそうしたいと思ってましたしー』
『ほう?そりゃ嬉しいな、じゃあ頼むよ』
『はいー」
『ってそんな訳無い…えっ?』
『んー』
『…!?』
………
……
…
P「(少し前に交わしたただの世間話)」
P「(しかしそうして有無を言わさず唇を奪われた)」
P「(あまりにも急すぎて叫ぶ事も怒鳴る事も出来なかった)」
P「(それに俺に『ペロペロ』をする小春がとても幸せそうで)」
P「(結局拒むこともできず、受け入れる事になってしまった)
P「(それ以来小春は隙を見ては求めてくる様になった)」
湿った音が部屋に響く
小春「…ん~…っ…ちゅ…っ……」
P「…っ…………っく………」
小春のペロペロは小鳥が啄む様に軽くたえまなく
小春「ん…ちゅ…むぐ……はむっ…」
P「っ!……っぁ……ぐ……」
犬や猫に様に口周りを激しく舐めて
小春「…うー…むっ………れろっ…ちゅ…」
P「…は…………!」
ヒョウ君の様に舌を伸ばし、首辺りまで範囲を伸ばす事もある
…これにはビジュアル的にもショッキングで頭がクラクラする
小春「んむ…?どうしましたか~?」
P「な、何でもない…から、平気だから」
しかしコレは例えた通りに動物と同じ
そういう意味じゃない、ただの愛情表現なんだだ
小春「んふふー…Pさんペロペロですー♪」
P「ははは」
この無邪気な小春をそういう目で見ては決していけない
…誰がどう見てもこの行為が前戯のキスでしかなかったとしても
例え俺自身がそうとしか思えず
体が反応しようが、決してここで止まらないと駄目だ
理性で踏みとどまって…止まって…いつまで、我慢して…
小春「…Pさん?」
P「あっ…?」
小春「やっぱり…どうかしたんですかー?」
いかん、目の前に小春がいるのに、この相手をしてるのに呆けるとは
P「すまん、ちょっとぼーっとしてたみたいだ」
小春「………………」
疑うようにじっと目を見つめられる
…この距離だと何を考えているか全て見透かれそうだ
たまらず小春の頭に手を置く
小春「あ…♪」
小春「ん…ふふ~…」
ふわりと手に軽く押し返す栗色の毛を撫でてやると
身を捩り頭を手に押し付けてくる…本当に動物みたいだな
P「よ、よーしよしよし」
小春「えへへ~…小春、これも好きです~…」
P「それは良かった」
良かった、今日はこのまま誤魔化せそうだ
これで明日にまた繋げられ…
小春「でも」
P「えっ?」
押し付けてくる頭の感触が無くなり、小春が止まる
小春「…これじゃ、小春、足りないです」
小春「まだPさんが足りないです…」
P「…………………」
そうだな、もう毒を食らわば皿までだ
戻る事何て出来やしない…
P「あ、ああ、じゃあ続きを」
小春「だけど」
P「えっ?」
珍しくきっぱりとした口調で小春が言う
小春「…もうペロペロはやめようと思います」
P「!?」
P「…な、何でだ?!」
小春「小春、Pさんペロペロするの好きです…すごく…安心できますー」
P「…そりゃ嬉しいな」
小春「本当ですか…?」
P「え?とうぜ──」
小春「じゃあ…どうしてつらそうなんですかー?」
P「っ…!」
小春「Pさん、ペロペロの時…優しくしてくれますけどー…今日みたいに辛い顔しますー…」
P「そ、それは…」
小春「それは…?」
P「それ、は…」
それは…
小春のペロペロは人に見られれば問答無用でアウトな行為だ、そういう行為でしかない
けれど俺は無邪気な小春を拒むことが出来ない…
そんな風に思ってしまってるなどとても言えない、だから辛い
…あ、ひょっとしたら小春って解ってるんじゃないか?
俺を無邪気な振りして誘ってるんだ………あり得ない、最悪だ、最低か俺は
12歳だ、まだ12歳だ、俺がそのくらいはどうだった?
記憶の限りでは外で走り回って家ではゲーム三昧…うん、馬鹿だ
小春が誘い受けなど解ってやってるなど、天地がひっくり返るよりあり得ない、この考え自体が小春への侮辱だ
P「…………………ああ、もう駄目だな」
小春「…Pさん?」
全て吐いて楽になろう
P「小春。俺は実はな」
小春「…いいですよーPさん」
P「…え?」
小春「やっぱりペロペロは駄目だったんですねー」
P「いや、その理由は」
小春「いいですってば~小春、ずっとPさんに無理させちゃったみたいですし~」
P「………………」
小春「Pさんの独り占めが出来なくなるのは残念です…けど」
小春「それでもでもいいですよ~ペロペロできなくても、小春のプロデューサーはPさんですから~」
P「………………」
急にいつもの調子にもどる小春
俺に気を使ってくれたか、何を悩んでるかも言えなかった俺のために
…とことん情けない、だがこれで何もかも元通りになる
小春「今までペロペロさせてくれてありがとうございましたーでも、これからも小春の事はよろしくで」
P「待ってくれ」
…あれ?
小春「…はいです?」
P「そうじゃない」
俺は何を言っているんだ?
せっかく小春が気を利かしてくれてうやむやのまま流してくれるのに
黙ってれば全部終わるのに………
小春「…あう?ど、どーしましたかー?」
P「…こういう事だよ」
小春「え………んっ…」
P「……………」
小春「…んーっ!……むぐ……っ…」
思考とは逆に体は動き小春の唇を塞ぐ
P「………………」
小春「…ぷはっ…Pさ…っ!…む……」
そしてやっと気付く
ああそうか、辛い理由は小春じゃなかった、俺自身だ
小春に前戯とかそういう意味を教えたくないとかじゃない
そんな建前じゃなくて単純に俺が小春を欲しかったんだ
P「…そして、小春にされるがままじゃなくて」
小春「…あ、あうぅ…?」
こうして、自分から小春を求めたかったんだ
P「それが建前で小春の相手に付き合うだけで、自分からキスできず辛かった」
P「小春に止めると言われて惜しくなって、ようやく気付くとか…もうホントどうしようもない、情けない、みっともない」
P「ああ、だから小春、俺からの頼みだ、これから……も?」
小春「…………………」
キュウ
P「って、小春大丈夫か!?」
腕の中でぐったりしてる小春を解放する
かなり強く抱きしめていたしまってたみたいだ
小春「…っ……あ…うう…く、苦し…かったですー…」
P「…す、すまん」
小春「Pさん、酷いです…小春痛いの嫌いですよ…」
P「ごめんなさい!」
小春「……………だけど…えへへ~」
P「?」
小春「……小春、Pさんにペロペロされちゃいましたー」
P「……………」
小春「あは…一緒にペロペロできて幸せです~…」
P「…そうか、嫌じゃないのか?」
小春「え?そんな事無いですよ~小春ペロペロはするのもされるのも好きですから~」
P「…………………」
小春「それにPさんなら、もっと好きで…んっ…」
P「…っ…………」
小春「んった………ちゅ……えろっ……むぐ……♪」
結局、初めからこうしたかったんだな俺は
小春「ぷはっ……は、激しいですー…くらくらします…」
P「…なあ小春、頼みがあるんだ」
小春「…?」
P「これからはキスだけじゃなくて───」
だから、もう、取り繕うのはよそう
………
……
…
お疲れ様ー
お疲れー
ねー今日レッスン疲れたねー
ライブ近いからね、ちかたないね
一緒に帰ろー
ばいばーい
ビールビール!
私も仲間に入れなさいよー
P「……………」
小春「………………」
ちひろ「あら?プロデューサーさん、また小春ちゃんと一緒ですか?」
P「はい、宿題を教えて欲しいんだと」
小春「そうです~Pさんに教えてもらうとすっごくよくできます~」
ちひろ「うふふそうですか、ならしょうがないですね」
P「それではちひろさん、行ってきますね」
ちひろ「ええ、頑張ってくださいね小春ちゃん」
小春「はいです~」
P「…ああ、頑張らないとな小春」
晴「………………」
部屋前
P「さて…それじゃ今日も頑張るかー…の前に」
小春「?」
P「晴、何のようだ」
晴「…気付いてたのかよ」
P「初めっからな、で、こっそり後つけてどうした?お前も宿題か?」
晴「…なあP…お前、最近変じゃないか?」
P「んーまあ、そうかもな」
晴「…いや、そこは否定しろよ」
P「実際ちょっと心変わりした事もあるし」
晴「………とにかく…ちょっと顔貸せよ、そこらへんも聞きてー」
P「でも丁度いいか、俺も晴ならいいと思ってたし」
晴「あ?何の話だ?」
P「こっちの話、だ、でお前の要望は最近相手してくれないから構ってくれ、か?」
晴「…んなっ!?」
小春「わーそうだったんですかーうふふ…晴ちゃん寂しかったんですねー」
P「はははははは」
晴「な…が……っ!!!…そ…そうだよ!悪いか!?最近お前全然相手してくれないからたまにはいいだ…っ!?」
晴の頭に手を置く、撫でる
P「よーしよしよしよしよし」
晴「お、お前…やるならやるって…」
P「いや、撫でてるだけだしさー」
グワシグワシ
晴「うるせえよ!オレが気にするんだ!!」
P「…そう、撫でるだけなのになー」
晴「…P?」
以前からたまに晴にしていた頭撫で
一度何の気なしに試した所、面白いくらいに反応してくれた
そして実際には言わないがかなり気に入ってるみたいで
二人きりの時は、よくやれとねだられたりした物だ
P「………………」
晴「…おい、どうした?お前ホントおかしくないか?」
だが今は違う、前ならこんな晴に何も思わなかったのに
今はこの姿を見てると腹の奥底熱くなるような、こみ上げる物が沸いてくる
…いや違う、そうじゃなかったな、この熱に気付いていなかっただけだったな
P「晴、ちょっとこっち向け」
晴「…え?」
晴の顎を引き顔を向ける
P「………………」
晴「…お、おい?何だよ?何する気……え?」
パァン!
晴「……………っ!!」
P「…痛いぞ」
晴「あ、ごめ…って、ば、馬鹿野郎!!!オレに何しやがった!!」
P「嫌だったか?」
晴「当たり前だろ!!」
P「…そうか?晴ならいいかと思ったんだけどな…俺の事嫌いか?」
晴「ああ、お前みたいな野郎嫌………っ!っざけんな!!正気かよP!?」
P「正気正気、とにかく嫌われては無かったみたいだな良かった」
晴「く………ッ!!!!」
ダダダダダダダ
P「あ、逃げられた」
小春「いいんですかー?」
P「ああ、晴は他人に言いふらすような奴じゃない…ま、言いふらされたらそれも仕方ないが」
小春「小春はそうなっちゃ嫌ですよ…」
P「まあどうなろうと小春だけは絶対に離さないって」
小春「あ…えへへ~…なら、いいです…♪…でもPさん、ちゃんと小春の相手もして下さいよ~?」
P「勿論だ、それにこれからは小春にも協力して欲しい事がたくさんあるからな」
小春「そうなんですかー?小春、頑張りますー!」
P「ああ、それじゃ小春、今日も頼むな」
小春「はいです~Pさんペロペロです~♪」
おしまい
読んでくれた方ありがとうございました
小春ちゃん誕生日おめでとうございます
それとこの話は以前に書いたSS
モバP「俺が誰にキスしたって?」
で小春にペロペロされるオチの続きです
話自体はほとんど繋がってないですけど良かったらこっちもどうぞ、晴が出てきたのも関係してます
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