やよい「5億年ボタン?」 (455)

やよい「なんですかそれ?」

貴音「我が家に代々伝わるぼたんです、押すだけで一瞬で100万円が手に入るという代物・・・」

やよい「ひゃ!100万円ですか!?・・・うー、それだけあれば家族で1年暮らせちゃいます・・・」

貴音「しかもこのぼたんは何度でも押すことができます・・・つまりやよいが望めばいくらでも・・・」

やよい「・・・」

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やよい「・・・で、でも・・・!」

貴音「?」

やよい「そんなに簡単にお金がもらえるなんておかしいです!お父さんもお母さんも働かないでもらったお金は絶対にすぐなくなるっていつも言ってます!」

貴音「・・・誰も働かないでもらえるとは言っておりませんよ?」

やよい「え?」

貴音「よくわかっていないようですので説明しましょう」


貴音「やよい、もしこのぼたんを押すならその瞬間から5億年間1人で異空間で過ごしてもらいます」

やよい「いくうかん・・・?ってなんですか?」

貴音「・・・何もない、誰もいない空間と思ってもらって差し支えありません」

やよい「だれも・・・えぇーっ!そんな場所こわくていやです!」

やよい「それに5億年って・・・いち、じゅう、ひゃく、せん、・・・うー・・・よくわかりません」

貴音「ともかくその場所で5億年ただ1人で『生きる』という仕事をしてもらうことになります」

やよい「む、むりです!私絶対そんなことできません!」

やよい「5億年も家族や貴音さんたちに会えないなんていやですし、それに5億年も生きられないです!途中で死んじゃいますよ・・・」


貴音「その点は問題ありません」

やよい「えっ?」

貴音「その異空間で過ごす5億年の間、やよいは歳をとることも、お腹がすくことも、死ぬこともないのです」

やよい「で、でもやっぱり5億年なんt」
貴音「そしてここからが最も重要な点です」

貴音「ボタンを押してから5億年の記憶は5億年が経過した瞬間に消去される、ということ」

やよい「・・・忘れちゃう、ってことですか?」

貴音「はい、そして同時に異空間からぼたんの前に戻ってきますので体感では一瞬で5億年が過ぎるのと同じなのです」

やよい「一瞬で・・・」


貴音「そう、一瞬で100万円を・・・」

やよい「一瞬で100万円・・・」

貴音「どうですか?ほんの少し勇気を出せば100万円・・・いい『仕事』だと思いませんか?」

やよい「で、でも・・・そんな簡単にお金を手に入れちゃダメなんだってお父さんやお母さんが・・・」

貴音「お金にそれまでの経緯は関係ありませんよ、一瞬で手に入れようが、1年働いて手に入れようが100万円は100万円です」

やよい「・・・」

貴音「やよい、これは私からあなたへのぷれぜんとなのです」

やよい「えっ?」

貴音「その歳で家族を養うためにあいどるという仕事をするなどなかなかできることではありません」

やよい「そ、そんな・・・私、今のお仕事も楽しくやらせてもらってますし・・・」

貴音「えぇ、わかっております・・・ですがやよい?100万円を手に入れることができればもっとその仕事を楽しむことはできるのではありませんか?」

貴音「家族を養う・・・とても立派なことです、しかしやよいはまだ中学生」

貴音「やりたいこと、食べたいもの、遊びたいこと・・・色々あるはずです、違いますか?」

やよい「わ、私・・・」

貴音「これはやよいの家族のためでもあり、やよいのためでもあるのです・・・しかも少し勇気を出せば一瞬で・・・」

やよい「・・・」


貴音「・・・さぁ」


やよい「・・・」スッ



ガチャーン
春香「話は聞かせてもらいました!ダメですよ貴音さん!そんな冗談をやよいに言っちゃあ!」

やよい・貴音「!?」

やよい「春香さん・・・え?これ冗談なんですか?」

春香「そうに決まってるよー、そんなおいしい話あるわけないですよね?貴音さん!」

貴音「え、いやこれh」
春香「まったく貴音さんったら相変わらず冗談が得意なんだからー」

やよい「な、なーんだ、冗談なんですかー、もうびっくりさせないで下さいよ貴音さんー」ショボン

貴音「いえだかr」
春香「ところで貴音さん?これ本当はなんのボタンなんですか?」

やよい「あー、私も気になりますー!」

貴音「いy」
春香「せっかくだし押してみようよやよい!」

やよい「・・・えっ?本当に押すんですか?」

春香「どうしたの?ボタンがなんなのか気にならない?」

やよい「うー・・・気になるけどやっぱりちょっとこわいかなーって・・・」

春香「・・・うーん、そうだ!じゃあ2人で一緒に押してみようよ!」

やよい「2人で・・・ですか?」

春香「うん!2人ならそこまでこわくないでしょ?」

貴音「・・・」

やよい「うーん・・・それなら少し安心かなーって!」

春香「よーし、じゃあ決定!じゃあ早速押すよ?準備はいい?」

やよい「いいですよー」


貴音「(・・・いってらっしゃい・・・春香、やよい・・・)」


春香・やよい「ポチッ」


――――――――


5億年スタート


――――――――

~春香サイド・1日目~

春香「・・・・・・・・・」

春香「・・・・・・あれ?」

春香「あれ?えっ?何これ?ここどこ?」キョロキョロ

春香「・・・これってもしかして・・・」


――――――――

 貴音『やよい、もしこのぼたんを押すならその瞬間から5億年間1人で異空間で過ごしてもらいます』

――――――――


春香「・・・うそ・・・本当に?」

~やよいサイド・1日目~

やよい「・・・・・・・・・」

やよい「・・・えっ?」

やよい「あれ?私どうしたんだろう・・・えーっと・・・」

やよい「・・・あっ、そう言えば貴音さんのボタンを押して・・・」

やよい「ところでここどこだろう・・・うー、真っ暗だし誰もいないしこわいですー・・・」


ーーーーーーーーーー

貴音『・・・何もない、誰もいない空間と思ってもらって差し支えありません』

ーーーーーーーーーー


やよい「・・・あれって・・・」

~春香サイド・1日目~

春香「!・・・そ、そうだ!やよいも一緒にボタンを押したはず!や、やよいは?」キョロキョロ


春香「おーい!やよいーーー!!!」


シーン


春香「・・・い、一緒に押したんだしきっとどこかにいるよね・・・」


春香「・・・え?・・・本当に・・・?」

~やよいサイド・1日目~

やよい「春香さーん!春香さーん!どこですかー!」


シーン


やよい「・・・」

やよい「で、出口!出口とかあるかも!」

やよい「えっと・・・とりあえず目印にべろちょろをここに置いとけばいいよね」

やよい「本当に5億年過ごさなきゃいけないって決まったわけじゃないし・・・それに春香さんも探さなきゃ・・・」


やよい「・・・・・・よし!」

~春香サイド・3日目~

春香「・・・」トボトボ

春香「・・・」トボトボ

春香「・・・」ピタッ

春香「・・・・・・ない」

春香「出口もなんもないよぉ~・・・うええええええん・・・」ブワッ

春香「うぅ~やよい~・・・貴音さぁ~ん・・・」


春香「・・・・・・プロデューサーさん・・・」

~やよいサイド・5日目~

やよい「うー・・・出口も見つからないし春香さんもいません・・・」

やよい「やっぱり出口なんてないのかな・・・」

やよい「・・・プロデューサー・・・長介・・・お父さん・・・お母さん・・・」

やよい「・・・!ううんダメダメこんな気持ちじゃみんな心配しちゃうよね!早く出口を探して帰ろう!」


やよい「・・・・・・」

~春香サイド・10日目~

春香「・・・みんな、どうしてるかな・・・」

春香「・・・私はこれからどうなっちゃうんだろ・・・」

春香「眠くもならないしお腹も減らないし・・・やっぱり貴音さんの言った通りだったんだね・・・」

春香「どうせ出口なんてないだろうし見つからなくてもいいや・・・でも」

春香「誰かとお話がしたいな・・・」

春香「はぁー・・・・・・」

~やよいサイド・1ヶ月目~

やよい「ハァハァ・・・出口・・・出口はどこ・・・」タッタッタ

ガシャ

やよい「あいたっ!」ステーン

やよい「うー・・・一体なに・・・」

やよい「あっ・・・べろちょろ・・・」

やよい「・・・」

やよい「ってことはここは最初に私が来たところ?」


やよい「・・・!・・・大丈夫・・・きっと今度は逆方向に行けば出口が見つかるはず!」



やよい「・・・・・・見つかるもん・・・」グスッ


やよい「・・・さみしくなんか・・・ないもん!」ダッ

~春香サイド・6ヶ月目~

春香「この広い世界で 君に会えたなんて~♪」

春香「奇跡だと~思うのさ~♪」

春香「ずっと大切にしたいから♪」

春香「君のためのラーブソーン♪」

春香「・・・・・・」

春香「・・・・・・飽きた」

春香「さすがに同じ歌何回も歌ってたら飽きるよね、そんなに持ち歌多いわけじゃないし・・・」

春香「・・・はぁー・・・いくらなんでも広すぎるよこの世界は・・・」


春香「・・・ふふふっ」クスッ


春香「あっダメだ私今千早ちゃんになってる・・・」


春香「・・・」

春香「・・・千早ちゃんの歌が聴きたいよぉ・・・」グスッ

~やよいサイド・1年目~

やよい「・・・ハァハァ・・・っ・・・ハァ」タッタッタッタッ

(長介「お姉ちゃん・・・」)

やよい「・・・!・・・ダメッ!余計なこと考えちゃ!」タッタッ

やよい「・・・今はみんなのこと考えてる場合じゃないの!早く出口を探さなきゃ!」タッタッタッ


やよい「・・・?あれは・・・」

やよい「・・・あ・・・」


やよい「・・・私の・・・べろちょろ・・・・・・」

やよい「・・・・・・ふふふ、もう何回目だろ・・・元の場所に戻ってくるの・・・」

――――――――

貴音『・・・5億年間1人で異空間で過ごしてもらいます』

――――――――

やよい「・・・わかりました貴音さん、出口なんてないんですね・・・」


やよい「・・・・・・」

やよい「・・・うぅー」ポロポロ

やよい「いやだよぉ・・・帰りたいよぉ・・・」ポロポロ

やよい「・・・・・・お父さぁん・・・お母さぁん・・・」ポロポロ

~春香サイド・2年目~

春香「・・・・・・」

春香「・・・・・・」

春香「・・・・・・・・・1000万」

春香「・・・やることもなくて脈数えてみたけど1000万回ってどれくらいかな・・・もう100年くらい経ったかな・・・」

春香「えーっと1分で80回くらいだから・・・」


――――――――



春香「・・・3ヶ月・・・」

春香「・・・数えるんじゃなかった・・・」

~やよいサイド・30年目~

やよい「・・・・・・」

やよい「・・・・・・」

やよい「・・・・・・そういえば・・・」

やよい「・・・・・・貴音さん、どうしてあんなボタンを私に渡したんだろ・・・」

やよい「・・・・・・」

やよい「私のことがきらいだったのかな・・・」

やよい「・・・・・・でも」

やよい「・・・・・・あんなボタンさえ無ければ・・・」ギリッ

~春香サイド・100年目~

春香「・・・・・・」

春香「・・・・・・いぁ・・・」

春香「・・・ぁ・・・・!?」

春香「・・・・・・」

春香「(声が出ない・・・)」

春香「・・・・・・ぉ・・・」

春香「(・・・・・・ダメだ・・・)」

春香「・・・」

~やよいサイド・150年目~

やよい「・・・ふふふ、貴音さぁん、聞こえてるんでしょ?いい加減出てきてくださいよ~」

やよい「・・・」

やよい「・・・もうこうやって何十年も話を聞いてもらうだけなのも辛いかなーって」

やよい「・・・」

やよい「どうしてですか~?私が貧乏だからだませると思ったんですか~?」

やよい「・・・」

やよい「まぁ本当にだまされたからこの場所にいるんですけど、あはは」

やよい「・・・」

やよい「そっちの世界は楽しいですか~・・・あ、でももうさすがに死んじゃってます?」

やよい「・・・」

やよい「・・・また気が向いたらお話しますね~、さよーならー」

~春香サイド・500年目~

春香「・・・・・・・・・・・・」

春香「・・・・・・・・・」

春香「(・・・・・・・・・)」

春香「・・・・・・・・・」

春香「・・・・・・」

春香「(・・・・・・ゃ・・・)」

~やよいサイド・1200年目~

やよい「こんにちは貴音さん!今日もいっぱいお話しましょー」

やよい(貴音『ごきげんようやよい、今日も一段と元気ですね』)

やよい「えへへ、そうですかー?でも貴音さんみたいに落ち着いた女の人の方が私なりたいかなーって」

やよい(貴音『ふふふ、ほめてもなにも出ませんよ・・・』)

やよい「はわっ!べ、べつにそんなつもりないですよー!私はやっぱり1番お姉さんだからいつまでも子どもじゃダメなんですー・・・ってこの間も同じ話しましたね、ごめんなさい!」

やよい(貴音『いえ構いませんよ、やよいとの会話はどんな内容でも楽しいですから』)

やよい「えへへ!貴音さん優しいですー!」

~やよいサイド・2万6500年目~

やよい「今度は貴音さんがピッチャーですよ~!」

やよい(貴音『はぁ・・・はぁ・・・もう勘弁して下さいまし・・・野球でやよいには勝てません・・・』)

やよい「ダメですー!そんなこと言って運動しないと太っちゃいますよ~」

やよい(貴音『やよいは・・・いけずですね・・・』)

やよい「そんなこと言ってもダメですよ!ほらさっさと投げる!」

やよい(貴音『くっ・・・・・・今度こそ!』シュバッ)

やよい「ふん!」ビュン

(カキーン)

やよい「!うっうー!抜けました~、長打コースですー!」タッタッタッタ


ガシャ

やよい「あいたっ!」ステーン

やよい「うー・・・痛い・・・一体何・・・」

べろちょろ「」ポツーン

やよい「・・・」

やよい「・・・あ・・・」

やよい「そうか・・・ここは・・・」

やよい「・・・ふふふ」

やよい「・・・どうして、こうなったんだっけ・・・」

やよい「確か・・・貴音さんに5億年ボタン?・・・っていうものを渡されて・・・」

やよい「最初はすっごくこわかったんだよね・・・」

やよい「色々説明されたのは覚えてるんだけど・・・」

やよい「・・・私から押した?でもそんなことした覚えないんだけどなぁ・・・」

やよい「うー・・・どうしてボタンを押したのかどうしても思い出せませんー・・・」


やよい「・・・」

やよい「ところで今どれくらい経ったんだろう・・・」

~春香サイド・105万8000年目~

春香「・・・・・・」

春香「・・・・・・」

春香「(・・・)」

春香「・・・・・・」

春香「(・・・・・・・・・)」

春香「・・・・・・」

~やよいサイド・1500万年目~

やよい「・・・不思議です・・・」

やよい「・・・このべろちょろを見つけたときからもうずっとずっとずーっと長い時間が経ってるはずなのに・・・」

やよい「・・・全然悲しくも辛くもない・・・」

やよい「・・・私どうかしちゃったのかなぁ・・・」

やよい「・・・でもどうしてボタンを押しちゃったのか、それだけがどうしても・・・」

やよい「うぅー・・・」

~やよいサイド・5964万2903年目~

やよい「10円玉が1枚、10円玉が2枚、10円玉が3枚、・・・」

やよい「・・・」

やよい「はぁー・・・何度数えてもどうせ730円しか入ってないですー・・・」

やよい「うー・・・1人でできることにも限界があるし・・・」

やよい「・・・」

やよい「・・・また・・・髪の毛の本数でも数えようかな・・・」

やよい「・・・お金はべろちょろの中にしまって・・・と・・・」ジャラジャラジー


ビリッ

やよい「あ」

やよい「うー・・・チャックを引っ張りすぎてちょっとやぶけちゃいましたぁ・・・」

やよい「せっかく・・・・・・」

やよい「・・・・・・・・・あれ?」

やよい「・・・」

やよい「・・・・・・このべろちょろって誰に作ってもらったんだっけ・・・」

やよい「・・・」

――――――――

???『やよい!見てみて!かわいいでしょ』

やよい『うわぁー、このカエルさんすっごくかわいいですー!』

???『私にかかればこれくらい朝飯前だよ!はい、じゃあこれ、これでもうお金を落とさないですむね』

やよい『ありがとうございまーす!ところでこれ1人で作ったんですか?私編み物とかはそこまで得意じゃないからできれば教えてほしいかなーって!』

???『えへへ、実はお母さんに手伝ってもらったんだけどね・・・でも今度一緒に何か作ろうよ!かわいく作るテクニックなら教えてあげるよ』

やよい『うっうー!ありがとうございます、春香さん!』

――――――――


やよい「・・・・・・!」

やよい「・・・そうだ」

やよい「・・・春香さん・・・」

やよい「・・・どうして今まで春香さんのこと忘れてたんだろ・・・」

やよい「・・・この何年もの間、事務所のみんなとの思い出にひたる時なんかいくらでもあったのに・・・」

やよい「伊織ちゃん、亜美、真美、美希さん、響さん、千早さん、真さん、雪歩さん、貴音さん、律子さん、あずささん、小鳥さん・・・うん、大丈夫」

やよい「春香さんだけ・・・どうして思い出せなかったんだろ・・・」

やよい「・・・」

やよい「・・・・・・べろちょろ・・・?・・・」スッ


べろちょろ『・・・』

べろちょろ『・・・』キィィィィィィィィィン


やよい「え!?なになに?べろちょろが光って・・・」



カッ

――――――――

――――

――――――――

――――

やよい「・・・うっ・・・」

やよい「な、なにがあったんですかぁ・・・」

やよい「・・・」

やよい「・・・うーん・・・やっぱりいつもの場所ですー・・・」

やよい「じゃあさっきの光は一体・・・」キョロキョロ

やよい「・・・ん?」

やよい「・・・・・・あれは・・・!」


春香「・・・・・・・・・」


やよい「春香さん!?」

やよい「は、春香さんですよね!?私です!やよいです!」

春香「・・・・・・」

やよい「は、春香さん?」

春香「・・・・・・」

やよい「へ、返事して下さいよぉ・・・」

春香「・・・・・・」

やよい「うぅ~・・・」グスッ

春香「・・・・・・」ピクッ

やよい「・・・!」

やよい「春香さん!私のことわかりますか!?」

春香「・・・・・・・・・」ジーッ

やよい「うー・・・こっち見てるだけじゃわかりませんよぉ・・・」

春香「・・・・・・」プルプル

やよい「・・・春香さん、震えて・・・」

春香「・・・・・・」ジーッ

やよい「もしかして・・・動けないんですか・・・」

春香「・・・・・・」ジーッ

やよい「・・・」

やよい「・・・どうしよう・・・」

春香「・・・・・・」

やよい「・・・・・・よし!」

やよい「春香さん!ちょっと失礼します!」スッ

春香「・・・・・・」ズズズ

やよい「よいしょっと!」

やよい「春香さん、きっとこっちに来てから全然動いてなかったんでしょ?だから体が固まっちゃうんですよ」

やよい「私がストレッチしてあげますから、元通りになるようにしっかりリハビリしましょうね」

春香「・・・・・・」

やよい「・・・でないと私も寂しいですから」ギュッ

春香「・・・・・・」

~5964万2910年目~

やよい「じゃーそろそろストレッチしますよー春香さん!」

春香「・・・・・・」

やよい「うーんいつも思うけど本当に春香さんって体柔らかいですよね・・・羨ましいなぁ・・・」

春香「・・・・・・」

やよい「やっぱり生まれつきなんですか?それとも何かコツでもあるんですか?教えて下さいよ~」

春香「・・・・・・」

やよい「・・・えへへ、春香さんが何も話せないのは残念だけどちっとも寂しくないですよ!2人いればへっちゃらですー」

~5964万3000年~

やよい「・・・それでですね!べろちょろがピカーって光って気づいたらこの場所にいたんですよ!すごいと思いませんか?」

春香「・・・・・・」

やよい「・・・ってもうこの話1000回目くらいですよね・・・えへへ、ごめんなさい」

春香「・・・・・・」



~5965万年目~

やよい「この場所って一体なんなんでしょうね・・・お腹も減らないし死ぬこともない・・・不思議ですー」

春香「・・・・・・」

やよい「そういえば体の調子はどうですか?私も春香さんが喋れるようになってくれると嬉しいかなーって!」

春香「・・・・・・」

やよい「・・・」

~6000万年目~

やよい「私、春香さんが元気になったらキャッチボールがしたいです!」

春香「・・・・・・」

やよい「・・・って言ってもボールもグローブもないんですけどね、えへへ」

春香「・・・・・・」



~8000万年目~

やよい「・・・春香さん、調子はどうですか・・・?」

春香「・・・・・・」

やよい「・・・私、春香さんが元気になるようお手伝いし続けますから・・・」

春香「・・・・・・」

~1億5000万年目~

やよい「・・・・・・ダメだ、私が・・・ちゃんとしないと・・・」

春香「・・・・・・」

やよい「春香さんはいつまで経っても元に戻らないよ・・・」

春香「・・・・・・」

やよい「・・・春香さん、私ずっと聞きたかったことがあるんです・・・」

春香「・・・・・・」

やよい「春香さんはどうしてこの場所にいるんですか?」

春香「・・・・・・・・・」

やよい「私、どうやってこの場所に来たのか全然思い出せなくて・・・貴音さんに5億年ボタン?を押すように言われたのは覚えてるんですけど・・・」

やよい「私が押した記憶はないんですよね・・・」

春香「(・・・・・・・・・ゃ)」

~1億9791万5580年目~

やよい「・・・・・・」カキカキ

やよい「・・・・・・よし」

やよい「見て下さい春香さん、春香さんと私ですよ」

春香「・・・・・・」

やよい「えへへ、絵を描くために使ってる10円玉もすり減ってほとんどなくなっちゃいました」

春香「(・・・・・・ぃ)」

やよい「本当はお金をこんなことに使っちゃダメですよね・・・でも同じ話ばかりだと春香さんも飽きちゃうかなーって」

春香「・・・・・・」

やよい「どうですか?見えますか?」

春香「・・・・・・」

春香「・・・・・・ゃょ・・・ぃ」

やよい「!」

やよい「春香さん!今・・・」

春香「・・・・・・やよい」

やよい「・・・!」

やよい「・・・・・・ぁ、ぁぁ・・・」

やよい「・・・・・・」

やよい「は、はるかさぁん!!!」ギュッ

春香「・・・・・・」

やよい「うわああああああああああん、今までさびしかったですよぉぉぉぉぉぉ」ウワーン

~1億9791万5615年目~

やよい「春香さん、今日こそ行けそうですか?」

春香「・・・どうだろ・・・そろそろ歩けるように・・・なりたいんだけど・・・」フラフラ


バタッ

春香「あたっ!」

やよい「・・・あーあー・・・大丈夫ですか?」

春香「うー・・・痛い・・・」

やよい「全くもー、今の春香さんは浩三より手がかかりますねー」

春香「そ、そんなに・・・?」

やよい「何年も座りっぱなしで動かなかったからそういうことになるんですよ」

春香「で、でも・・・」

やよい「言い訳はメッ!です、まずは人並みに動けるようになって下さい」

春香「・・・はい」

~1億9791万5701年目~

春香「やよいはさ・・・」

やよい「はい?」

春香「・・・どうしてそんなに元気でいられるの?」

やよい「・・・」

春香「やよいと再会してからさ、私が話せるようになるまで・・・ずっと私に話しかけてくれたり体動かしてくれたりしたよね」

やよい「・・・」

春香「私もずっとやよいと話したかった・・・ちゃんと返事したかった・・・」

春香「でも体が全然言うこときかなくて・・・あのときはごめんねやよい・・・」

やよい「・・・いえ」

春香「でもね、あれだけ長い間、何も答えてくれない人相手に話しかけ続けられるなんて信じられないんだ・・・」

春香「私なんか絶対耐えられないもん・・・この世界に来て結構すぐに声が出なくなっちゃったしさ・・・」

やよい「・・・」

やよい「・・・」

やよい「・・・・・・べろちょろ」

春香「えっ?」

やよい「・・・前にも話したと思うんですけど、私が春香さんと同じ・・・この場所に来られたのも多分このべろちょろのおかげなんです」

春香「・・・」

やよい「このべろちょろを持ってると、なぜかとっても心が落ち着いて・・・その、がんばれるというか・・・・・・うーん、うまく説明できません・・・」


春香「・・・そっか・・・このべろちょろが・・・」

やよい「でもだとしたら春香さんのおかげですよね!」

春香「えっ?」

やよい「だってこのべろちょろをくれたのは春香さんじゃないですか!」

春香「・・・」

やよい「ありがとうございます!春香さん」ニコッ

春香「・・・やよいは本当によかったと思ってる?」

やよい「えっ!?どうしてそんなこと言うんですか・・・?」

春香「だってそのべろちょろのせいでずっと元気なまま今までこの空間で過ごすことになっちゃったかも知れないんだよ?」

春香「それなら私みたいに半分おかしくなったまま過ごせれば楽だった・・・とか思わない?」

やよい「・・・」

春香「・・・あっ、別にやよいに動けるようにしてもらったことが迷惑だって言ってるんじゃないよ!?」アセアセ

春香「半分おかしくなったって言っても寝ることも気絶することもできないんじゃ辛いだけだし、それn」アセアセ
やよい「春香さん」

春香「・・・はい」

やよい「・・・めっ!です」

春香「・・・えっ?」

やよい「私はどんな時でも元気でいたいと思ってるんです・・・それはこんな場所でも変わりません」

やよい「それにもしかしたら春香さんにも会えなかったかも知れないんですよ?」

春香「・・・」

やよい「だから・・・本当に感謝してるんです・・・」

やよい「いいですか?・・・これ以上そんなこと言ったらめっ!ですよ?」

春香「・・・」

春香「わかったよ・・・やよい」ニコッ

やよい「・・・」ニコッ

やよい「あっ・・・でも・・・」

春香「?」

やよい「あの・・・本当に春香さんに話しかけたりしてたのは迷惑じゃなかったですか・・・?」

春香「えっ?いやいやさっきも言ったけど大丈夫だよ?」

やよい「うー・・・でもぉ・・・」グスッ

春香「本当だってば!確かにおかしくなってた方がちょっとくらいはマシだったかも知れないけど、やよいに会えた方がそんなのより100倍嬉しいよ!」

やよい「・・・本当に・・・本当ですか・・・?」

春香「このべろちょろに誓って!」

やよい「・・・」

やよい「・・・春香さん」

春香「ん?」

やよい「『ちかって』ってなんですか?」

春香「」ズコー

~1億9791万5703年目~

春香「・・・やることないね」

やよい「・・・そうですね」

春香「2人になってできることも大体やっちゃったし・・・・・・何かないかな?」

やよい「・・・うーん」

春香「・・・」

春香・やよい「うーん・・・」


やよい「あっ」

春香「おっ?」


やよい「そう言えば・・・春香さんがここに来た時のことって聞きましたっけ?」

春香「・・・えっ?」

やよい「ずっと前に言いませんでしたっけ?私はどうしてこの場所に来たのか覚えてないってこと」

春香「えっ・・・ああ、聞いた、かな?」

やよい「やっぱり!確かあの時はまだ春香さんが喋ることができなかったんですよね」

やよい「えへへ、ずっと聞こうと思ってたんですけど春香さんと遊ぶのが楽しくてすっかり忘れてました」

春香「・・・」

やよい「それでそれで!どうしてここに来たのか覚えてますか?」

春香「・・・えっと」チラッ

やよい「・・・」ワクワク

春香「・・・どうしても知りたい?」

やよい「えっ?・・・うーん、そうですね」

やよい「やっぱりここに来ることになった原因ですし、それにどうしても思い出せないんでできれば知りたいですねー」

春香「・・・そう」

やよい「・・・あれ?春香さんも覚えてないとか・・・ですか?」

春香「いや・・・覚えてることは覚えてるんだけど・・・」

春香「(どうしよう・・・どう考えてもやよいがボタン押しちゃった原因って私だし・・・)」

春香「(いくらやよいでも怒るよね・・・でもこのままシラを切り続けるのもいやだし・・・)」

春香「(うーん・・・)」ウーン


やよい「ど、どうしたんですか春香さん・・・」

春香「・・・」

やよい「もしかして言いたくないことですか・・・?それなら無理して言わなくても私は大丈夫ですよ・・・?」

春香「・・・いや、ちょっと待って・・・」

春香「・・・・・・」

春香「・・・・・・・・・よし」

春香「あのね、やよい・・・」


――――――――

――――


春香「・・・というわけなんだ・・・ごめん!やよい!」

やよい「・・・」

春香「ごめん・・・ごめんねやよい・・・」ポロポロ

やよい「・・・」

春香「うぅ・・・私のせいで・・・」グスッ

やよい「・・・春香さん」ニコッ

春香「・・・」


やよい「私、怒ってません」

春香「・・・」グスッ

やよい「えへ、そもそも春香さんがいなくても押しちゃったかも知れませんし」

やよい「そしたら私1人でここにいるに違いないです!」

春香「・・・」

やよい「・・・むしろ巻き込んじゃってごめんなさい春香さん!」

やよい「だから・・・もう泣かないで下さい」

春香「やよい・・・」

春香「・・・ありがt」
べろちょろ『・・・』キィィィィィィィィィン


春香・やよい「!?」



カッ

――――――――

――――

――――――――

――――

やよい「うぅ・・・またあの光です・・・・・・」

春香「一体何が・・・やよい、大丈夫?」

やよい「大丈夫でs・・・あ、あれ?」

春香「・・・やよい?」

やよい「・・・」

春香「・・・どうしたの?どこか痛むの?」

やよい「い、いえ・・・」

春香「・・・?」

春香「これってやよいが私を見つけた時の光と同じ、だよね・・・」

やよい「・・・」

春香「今度は何が起きたんだろ・・・まさか何も起きてないってことはないと思うけど・・・」

やよい「・・・」

春香「それにしてもこのべろちょろって・・・・・・やよい?」

やよい「えっ!・・・・・・は、はい、なんですか?」

春香「やっぱりさっきから様子が変だよ・・・どうかしたの?」

やよい「・・・なんでもないです」

春香「・・・なんでもないってことはないんじゃない?別に遠慮せずに言っていいんd」
やよい「なんでもありません!!!」

春香「えっ・・・」

やよい「あっ・・・す、すみません・・・」

春香「ううん、こっちこそごめんね・・・しつこく聞いたりして・・・」

やよい「・・・」

春香「(どうしちゃったんだろ・・・やよい・・・)」

~1億9791万5704年目~

春香「(あれから数ヶ月くらいたったけど・・・やよいはまだどこかよそよそしい・・・)」

春香「(やっぱりあの光に何かあったのかな・・・でもやよいは聞いてほしくなさげだし・・・)」

春香「(だけどこの空気のまま2人で過ごすのもな・・・)」


春香「・・・あの、やよい?」

やよい「はい、なんですか?」

春香「・・・あのさ、何か隠してることあるよね?」

やよい「・・・隠してることなんてないですよー」

春香「嘘だね」

やよい「・・・」

春香「数ヶ月前、べろちょろが光った時からずっと様子がおかしいでしょ」

やよい「・・・」

春香「もちろん強制はしないけどできることなら話してほしいな・・・ギクシャクしたまま2人で過ごすのも辛いし・・・」

やよい「・・・」

春香「えーっと・・・ほら、あの光って私達がこの空間に飛ばされた時の光に似てるし!」

やよい「・・・・・・!」

春香「もし何があったのかわかればこれからここで生きて行くための手がかりになるかもしれないし、あわよくば出口が見つかるかも!」

やよい「出口なんてありませんよ・・・春香さんもわかってるんでしょ・・・」

春香「・・・だよね・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・」


やよい「・・・・・・どうしてですか」

春香「えっ?」

やよい「・・・どうして私を巻き込んだんですか?」

春香「・・・えっ、あの、それって・・・」

やよい「春香さんも、貴音さんも・・・どうして私にひどいことするんですか!!」

春香「・・・そ、それって私がやよいにボタン押させちゃったことの話?」

やよい「なんで私がこんなところに連れて来られて5億年も過ごさなきゃいけないんですか!」

春香「・・・えっ、でも・・・」

やよい「うるさい!!!」

春香「・・・」

やよい「ハァハァ・・・」


春香「・・・あの、やよい・・・やよいを巻き込んじゃったことは本当にごめんね・・・」

春香「その上で、なんだけど・・・私の聞き間違いじゃなければやよいはそのことを一度許してくれてた・・・と思ってたんだけど・・・」

やよい「・・・」

春香「どう・・・かな・・・?」


やよい「・・・わかりません、でも正直春香さんに、いい感情は今はありません」

春香「っ・・・!」

やよい「・・・失礼なこと言ってごめんなさい、春香さんからもらったべろちょろも返します」スッ

春香「あ・・・」

やよい「・・・それじゃ・・・」

春香「!・・・待って!どこに行くつもり?」

やよい「・・・一緒にいててもケンカになりそうですし・・・ちょっと1人にさせて下さい・・・」

春香「そんな!・・・ずっと一緒にいたのに1人なんて・・・」

やよい「・・・人の気持ち考えたことありますか?」

春香「・・・ごめん」

やよい「・・・・・・それじゃ」スタスタ

春香「・・・やよい!」

やよい「・・・」ピタッ

春香「・・・えーっと・・・あの、本当にごめんね・・・それと、落ち着いたら、また一緒に・・・」

やよい「・・・・・・」スタスタ

春香「・・・絶対だからね・・・」

――――――――

――――

~春香サイド~

春香「・・・」

春香「・・・行っちゃった・・・」

春香「やよい・・・どうしたんだろう・・・」

春香「・・・突然、いやあのべろちょろが光った時から・・・か」

春香「やよいの気持ち・・・どっちが本当なんだろ・・・」


――――――――

やよい『むしろ巻き込んじゃってごめんなさい春香さん!』

――――――――

やよい『春香さんも、貴音さんも・・・どうして私にひどいことするんですか!!』

――――――――


春香「・・・」

~やよいサイド~

やよい「・・・」ハァハァ

やよい「う、うぅ~・・・」

やよい「どうして・・・私はあんなことを・・・」

やよい「少し前まではこんな気持ちじゃなかったのに・・・」

やよい「・・・」

やよい「・・・あの、光のせい・・・?」



やよい「・・・いや違う・・・そんなこと関係ない・・・」

やよい「あの2人のせいで私はこんなところにいるんだから・・・」

やよい「私は間違ってない・・・私は・・・」

やよい「・・・」

~春香サイド・1億9791万5705年目~

春香「・・・やよいがいなくなって結構時間経ったな・・・」

春香「・・・そろそろやよい帰ってこないかな・・・」

春香「やよいの気持ちの問題だし、私が迎えに行くってのも違うと思うし・・・」

春香「・・・うーん」

春香「もう少しだけ待つ・・・?」

春香「・・・」

春香「・・・いや、そんなのダメだ」

春香「やよいの気持ちがどうであれその原因が私なんだから、ちゃんと自分から許してもらいにいかないと」

春香「自分勝手かもしれないけど、それでも独りでいるよりやよいと一緒にいたいし・・・」

春香「・・・よし!」

春香「・・・えーっと、やよいは確かあっちに向かったんだよね」

春香「どこまでいったんだろ?早く見つけられるといいんだけど」


――――――――

――――


春香「・・・うー、全然見つからないよう・・・」

春香「やよいったらどこまで行っちゃったの・・・そんなに遠くまで行ってないと思ってたのに・・・」

春香「こんなことなら初めから1人にさせるんじゃなかった・・・」

春香「・・・」

~春香サイド・1億9791万5712年目~

春香「・・・どうして」

春香「・・・」

春香「どうして見つからないの・・・やよい・・・」

春香「もしかしていなくなっちゃったとか?・・・いやいや、出口なんてあるわけないし・・・」

春香「それとも私が避けられてる・・・?」

~春香サイド・1億9791万5770年目~

春香「・・・もう・・・見つけるの諦めようかな・・・」

春香「・・・これだけ見つからないってことはやよいも私に会いたくないってことなのかもしれないし・・・」

春香「・・・」


――――――――

やよい『・・・私、春香さんが元気になるようお手伝いし続けますから・・・』

――――――――


春香「・・・」ブンブン

春香「そんなのダメだよ・・・」

春香「私を元通りにするのにやよいは1人でもっと長い間私のこと考えてくれてたんだもん」

春香「だから・・・これくらいでくじけちゃダメだ・・・」

~やよいサイド・1億9791万6000年目~

やよい「ふふ・・・もし今度2人に会ったらどんな仕返しをしてあげましょうか」

やよい「とりあえず・・・週刊誌に春香さんや貴音さんのあることないこと言いふらそうかな?」

やよい「・・・」

やよい「・・・いや、そんなんじゃ生ぬるい」

やよい「私はここまで辛い思いをしたんですから・・・交通事故の1つや2つ遭ってもらわないと釣り合わないですよね」

やよい「・・・ふふふ」

~春香サイド・1億9792万年目~

春香「ふんふん」グッグッ

春香「あ、あ、あー・・・」

春香「・・・よし」

春香「また喋れなくなったり体動かなくなったりしたら困るし・・・しっかりと対策しとかないとね」

春香「・・・」

春香「・・・やよい」

~やよいサイド・1億9800万年目~

やよい「・・・いや、やっぱり同じ思いをさせるのが1番ですよね」

やよい「私が・・・私が貧乏っていうことにつけ込んでこんな目に合わせて・・・」

やよい「・・・普段は優しそうな顔して、私に対してもいい子ぶって・・・」

やよい「・・・でも裏では貧乏な私のこと笑ってたんだ・・・」

やよい「・・・絶対に・・・絶対に許せない・・・」

~春香サイド・2億年目~

春香「あっ」

春香「・・・はぁ・・・」

春香「まーたやよいと私の絵のところに戻って来ちゃった・・・」

春香「そもそもなんでまっすぐ進んでるのに同じ所に帰ってくるの?」

春香「もしかして地球みたいに丸いのかな?」

春香「うーん・・・」

春香「・・・」

春香「やよい・・・今頃どうしてるんだろ・・・」

~やよいサイド・2億1000万年目~

やよい「・・・よく考えたら本人だけに苦痛を与えるのもまだまだ甘いですね」

やよい「私がいなくなって長介達も心配してるはずです」

やよい「家族、大事な人達まで傷つけておいて・・・自分だけ罰を受けてそれで終わりなんて・・・」

やよい「・・・ふふ」

やよい「あははははははははははは」

~春香サイド・2億3540万5061年目~

春香「・・・」

春香「・・・」

春香「・・・・・・ん?」

春香「ちょっと待って・・・」

春香「・・・」

春香「・・・どうして私はこんなに正気を保っていられるの・・・?」

春香「・・・確かに定期的に体を動かすことで前よりは自分の体をコントロールできるようになった」

春香「・・・でもそれはあくまで体の機能の問題で、精神的なこととはあまり関係ないんじゃないの?」

春香「・・・」

春香「私がこの空間に来てから喋れなくなった時よりも、はるかに長い時間がやよいがいなくなってから経ってるはず・・・」

春香「・・・なのに全然おかしくなる兆候すら・・・いや、おかしくなるなんて考えもしなかった・・・」

春香「・・・」

確か本当の5億年ボタンは正気を失う事すら出来なかったよね

春香「・・・そういえば」


――――――――

やよい『このべろちょろを持ってると、なぜかとっても心が落ち着いて・・・その、がんばれるというか・・・・・・』

――――――――


春香「・・・ってことを昔やよいが言ってたような・・・」

春香「・・・」

春香「・・・偶然?・・・なわけないよね・・・」

春香「・・・べろちょろ・・・私がやよいにあげた・・・」

春香「・・・」

>>162
『正気は保った上で不安定な精神状態になるかならないか』で考えてもらえるとありがたいです
完全に正気を失ってしまうと5億年ボタンの根幹を揺るがしちゃうことになりますし

~春香サイド・2億3602万9087年目~

春香「・・・やっぱり闇雲にやよいを探すだけじゃダメだ」

春香「このべろちょろには何かある」

春香「そしてその『何か』のせいで私達は出会って、そして別れた」

春香「・・・やよいの感情をも歪めて・・・」


春香「・・・と言っても手がかりはこのべろちょろだけ・・・」

春香「私が作ったものだし・・・別に変なところもないはずだけど・・・」

春香「特におかしな部分も見当たらないけどなぁ・・・」

~春香サイド・2億5987万8841年目~

春香「・・・はぁ、ダメだ・・・いくら考えてもわからないよ・・・」

春香「もう何万、何億回って調べたけど変なところなんてないよ・・・」

春香「・・・」

春香「・・・やよい、何かわかるなら教えてよ・・・」

春香「ねぇ・・・」

~春香サイド・2億6517万379年目~

春香「・・・やよいに会いたい・・・」

春香「・・・まだ怒ってるのかな・・・もちろんそんなのやよいの本心じゃない、とは思うけど・・・」

春香「やよいは笑顔が似合うのに・・・この絵のやよいみたいに・・・」

春香「・・・・・・ん?」

春香「・・・やよいの首のこの筋・・・なんだろう・・・?」

春香「アザ?・・・にしては細いよね、これは・・・何か首からかけてるように見えるけど・・・」

春香「べろちょろ・・・は手に持ってるし・・・」

春香「他の絵にはないのに・・・この絵だけ・・・プロデューサーと貴音さんと一緒に描かれてる絵に・・・」

春香「・・・」

春香「・・・なーんて、どうせ描くときに間違えちゃったとかそんなんでしょ、春香さんはだまされませんよー」

春香「・・・はぁー、暇つぶしにまた小銭使って絵でも描きますか・・・」ガサゴソ

春香「・・・・・・」ピタッ

春香「・・・あれっ?えっ?」

春香「チャックの部分・・・やぶけてる・・・?」

春香「な、なんで・・・?」

春香「今まで何億回って調べたはずなのに・・・」

春香「・・・私がさっきやぶった?・・・いやそれは絶対ない・・・」

春香「・・・」

春香「・・・」ジーッ

春香「・・・!」

春香「中に・・・何かある、かな?」

春香「小銭・・・じゃないよね、ここお金入れるスペースじゃないし」

春香「なんだろ、これ・・・でも狭くて取り出せない・・・」

春香「・・・・・・」

春香「・・・やよい・・・ごめん」


ビリビリ


春香「・・・戻ったらやよいに新しいの作ってあげよう・・・」

春香「・・・さて中身は・・・と」ゴソゴソ

春香「・・・ん?」

春香「・・・これは・・・ペンダント・・・?・・・イルカの形した・・・」

春香「・・・・・・って私こんなの入れてないよ・・・そもそもこの部分は物入れるような場所じゃないし」

春香「じゃあ一体誰が・・・」


ペンダント『・・・』キィィィィン


春香「!・・・この光は・・・」



カッ

――――――――

――――

――――――――

――――

やよい『う?これなんですか?』

P『イルカのペンダントだ、かわいいだろ』

やよい『あー、本当にイルカさんだー!かわいいですー!』

P『・・・これ、やよいにあげるよ』

やよい『えっ?そ、そんなお誕生日でもないのに受け取れませんよ!』

P『まぁいいから気にするな、これは俺のエゴだからな』

やよい『えご・・・?』

P『・・・あーっ・・・まぁ、自分のためってことだ、とにかくやよいが受け取ってくれることが俺のためなんだ』

やよい『・・・』

P『・・・どうだ?』

やよい『・・・』ニコッ

やよい『じゃあお言葉に甘えてもらいます!ありがとうございますプロデューサー!』ガルーン

――――――――

――――

――――――――

――――

春香「・・・」

春香「・・・今のって・・・」

春香「・・・」

春香「このペンダント、プロデューサーさんがあげたんだ・・・」

春香「・・・でもなんでこんな、縫い直さないといけないようなところに・・・」

春香「・・・」

春香「・・・ともかくやよいにペンダントのことを聞かないと始まらないよね」

春香「・・・ってやよいが見つからないんだっけ・・・」

春香「・・・」

春香「・・・うー・・・・・・」

春香「・・・それにしてもやよいがイルカのペンダントしてるとこなんて見たことなかったけどなぁ・・・」

春香「事務所にはつけてきてなかったのかな?」

春香「・・・」

~やよいサイド・2億6517万379年目~

やよい「・・・・・・」

やよい「・・・」

やよい「・・・」

やよい「(・・・・・・)」

やよい「(・・・)」

~春香サイド・2億6618万年8819年目~

春香「・・・せっかくの手がかりだったのに・・・」

春香「なんの変哲もないペンダント・・・ではないか、ずっと前みたいに光ることは以外は・・・」

春香「・・・他の何かないかと思って調べたべろちょろはボロボロになっちゃったし・・・」

春香「・・・」

春香「・・・考えてわかることじゃないのかもしれない」

春香「そうだったらとっくの昔にこのペンダントも、『新しい何か』も見つけてるはずだし・・・」

春香「そんなことは起きない・・・?・・・だとしたら待つしかないのかな」

春香「その『何か』が起きるまで・・・」

春香「・・・」

~春香サイド・2億8000万年目~

春香「・・・ここに来てからどのくらい経ったのかな・・・」

春香「1億年?2億年?・・・ふふふ、実はまだ1万年も経ってなかったりして・・・」

春香「・・・いまさらだけどこの空間ってどういうところなんだろ」

春香「・・・・・・なんで貴音さんがあのボタンを持ってたんだろ・・・」

春香「帰ったら聞いてみようかな」

春香「・・・って帰ったら記憶が無くなるんだっけ・・・やだー、春香さんドジっ娘」テヘッ

春香「のヮの」

春香「・・・」

~やよいサイド・3億年目~

やよい「・・・・・・」

やよい「(・・・)」

やよい「・・・」

やよい「・・・・・・」

やよい「(・・・・・・)」

~春香サイド・3億1103万1993年目~

春香「・・・、・・・、・・・・・・1万」

春香「・・・」カキ

春香「暇つぶしに脈を1万回数えては床に『正』を書くことついに・・・」

春香「1億個の『正』ができた・・・」

春香「・・・」

春香「1億×5×1万=・・・」

春香「・・・いこーる・・・」


春香「・・・じゅ、じゅうにまんねん・・・」

春香「・・・ずっと数えてたわけじゃないけど12万年て・・・」

春香「・・・・・・」

春香「・・・プッ」

春香「あはは・・・10万年以上も自分の脈を数えたことある人いるのかな?・・・いないよね」

春香「・・・・・・」

春香「やっぱり具体的な時間の長さを実感できる方が辛い・・・かな」

春香「・・・」

~春香サイド・3億2500万年目~

春香「・・・・・・・・・」カリカリカリ

春香「・・・・・・フンフーン♪」カリカリカリ

春香「・・・・・・?」カリカリカリ

春香「・・・うーん・・・・・・あっ」

春香「・・・・・・」カリカリカリ



~やよいサイド・3億3500万年目~

やよい「・・・・・・」

やよい「(・・・)」

やよい「・・・・・・」

やよい「・・・」

やよい「(・・・・・・)」

~春香サイド・3億5130万97年目~

春香「・・・・・・」ガリガリガリ

春香「・・・・・・」ガr

春香「・・・・・・あらら・・・」

春香「ついに小銭が全部削れて無くなっちゃった・・・」

春香「・・・」

春香「・・・まぁその代わりにこの壮大な絵が出来たと・・・」

春香「もう何百メートルも先まで私の絵ばっかり・・・」

春香「・・・」

春香「・・・人気アイドルが描いた貴重な絵画ですよ!絵画!」

春香「・・・そう言えば私アイドルだったな・・・」

春香「・・・」

春香「これから何して暇つぶそう・・・」

春香「・・・・・・あ」ゴソゴソ

春香「・・・」スッ

春香「このペンダントで何か書けないかな?」

春香「・・・なーんて」

春香「さすがにこれは使っちゃダメだよね・・・きっと大事な物だもん」

春香「・・・・・・」

春香「・・・・・・でもちょっとだけ・・・」カリ


ペンダント『・・・』

ペンダント『・・・』キィィィィィィィィィン


春香「・・・・・・ほぇ?」



カッ

――――――――

――――

――――――――

――――

春香「うっ・・・」

春香「・・・・・・はっ!・・・」

春香「・・・描いた絵が・・・消えてる?」

春香「・・・・・・まさか!・・・・・・」キョロキョロ


やよい「・・・・・・」


春香「・・・・・・やよい・・・」

春香「やよいいいいいいい!!!」ガバッ

春香「やよい!私だよ!春香だよ!」

やよい「・・・・・・」ジーッ

春香「会いたかったー・・・」ギュッ

やよい「・・・・・・」

春香「・・・・・・やよい?」

やよい「・・・・・・」

春香「・・・・・・もしかして・・・」

やよい「・・・・・・」ジーッ

春香「・・・」

春香「・・・大丈夫」ニコッ

春香「今度は私が元に戻してあげる番だね」

春香「それと」

やよい「・・・・・・」

春香「ごめん!やよい!」

やよい「(・・・・・・)」

春香「この空間に巻き込んじゃった上に、こんなことになっちゃって・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・あはは、この何万年もずっと今度やよいに会ったら絶対謝ろうって思ってたのに」

春香「会えた嬉しさの方が大きくて思わず抱きついちゃった・・・」

やよい「・・・」

春香「あの時・・・最後に私達が別れた時のやよいの気持ちは今もそのままなのかな?」

春香「・・・もしそうなら・・・この場に私がいることもイヤ・・・なのかな?」

やよい「(・・・・・・)」

春香「・・・だとしたらごめんね・・・でも私はあれはやよいの本心じゃないって信じてる」

やよい「・・・・・・」

春香「もう離れたくない・・・・・・もう独りはやだよぅ・・・」グスッ

やよい「・・・」

~3億5130万98年目~

春香「・・・やよい、あのね・・・聞きたいことがあるんだ」

やよい「・・・」

春香「このペンダントのことなんだけど・・・」スッ

やよい「(・・・・・・)」

春香「それと・・・」

春香「実はべろちょろがこんなことに・・・」


べろちょろ『』ボロッ


春香「・・・ごめん、このペンダントを見つける時につい・・・」

春香「あっ、このペンダントはそのべろちょろの縫い目?の間からでてきたんだけど・・・何か知ってる?」

やよい「・・・・・・」

春香「実はね、やよいにまた会えたのもこのイルカのペンダントが光ったからなんだ」

春香「べろちょろ、じゃなくてこのペンダントが光ってた・・・」

やよい「(・・・)」

春香「・・・このペンダント、やよいがプロデューサーさんからもらったんだよね・・・」

やよい「・・・」

春香「なんで知ってるかって?・・・まぁ、このペンダントが教えてくれたとだけ」

やよい「・・・・・・」

春香「・・・えへへ、いつかこのペンダントのこと、教えてね」

~4億年目~

春香「この広い世界で 君に会えたなんて~♪」

春香「奇跡だと~思うのさ~♪」

春香「ずっと大切にしたいから♪」

春香「君のためのラーブソーン♪」

春香「・・・」

やよい「・・・」

春香「やっぱり歌を歌うのが1番楽しいね」

やよい「・・・」

春香「やよいと2人で歌のお仕事をする機会はそんなになかったけど」

春香「・・・戻ったら2人でデュエットとこやってみたいな」

やよい「・・・」

春香「でもやっぱりやよいも相手は千早ちゃんみたいに歌が上手な人との方がいい?」

やよい「(・・・・・・)」

春香「あーあ、私も千早ちゃんくらい歌がうまければなぁ・・・」

やよい「・・・・・・」

春香「・・・なーんて、千早ちゃんも努力の結果の歌唱力なんだし都合のいいこと言ってちゃダメだよね、えへへ」

やよい「・・・」

~4億5000万年目~

春香「この世界の時間と元の世界の時間は同じ概念なのかな・・・」

春香「もし本当に記憶が消された上で元の世界に帰るなら、この世界の時間は進んでいないことと同じじゃないの?」

春香「だとしたら私達がこうやって考えて喋ってることも『ない』ことと同じなのか・・・」

春香「・・・」

やよい「・・・」

春香「哲学っぽいこと言ってみた・・・けど」

春香「結論なんて出ないよね、だからなんだって話」

やよい「(・・・・・・)」

春香「・・・でも実際私達が考えられないくらい長い時間をここで生きて、過ごしていることも事実だよね・・・」

春香「・・・なら結論は出ないかもしれないけど・・・考えることに意味がないとは限らないんじゃないかな」

やよい「・・・・・・・・・」

春香「・・・やよいはどう思う?」

やよい「・・・・・・」

春香「・・・ふふ」

――――――――


やよい「・・・はるか、さん」


――――――――

――――――――

――――

~4億9150万864年目~

やよい「・・・あの・・・春香さん・・・」

春香「うん?」

やよい「あの・・・あのときはごめんなさい」ガバッ

春香「・・・・・・私達がまた別々になっちゃった時の話?」

やよい「・・・はい」

春香「・・・言ったでしょ、あれは私が悪かったって・・・・・・でも」

やよい「・・・?」

春香「・・・どうして、あんなこと言っちゃったのかわかる?」

やよい「・・・」

春香「やよいが本心であんなこと言ったんじゃないって私は今でも信じてる」

春香「・・・だとしたら何か理由があるはずだよね・・・それが何かわかる?」

やよい「・・・あ、あの・・・」

春香「・・・?」

やよい「あの・・・光がピカーってなったあとに私の中で、こう・・・春香さん達への怒りの気持ちがどんどん大きくなって・・・」

やよい「・・・それで・・・最初は『こんな気持ちウソだ!』って思ってたんですけど・・・どうしても・・・うぅー」グスッ

やよい「・・・私は人のこと嫌いになっちゃう悪い子なんだって・・・それで・・・」ポロポロ

やよい「・・・でも・・・どうにもならなくて・・・」ポロポロ

春香「・・・」

やよい「うっ・・・うっ・・・」メソメソ

春香「・・・そっ、か・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・よかった」

やよい「・・・えっ?」

春香「・・・つまりそれってあの光が原因ってことでしょ?」

やよい「・・・・・・でも」

春香「でもじゃないの」

やよい「・・・」

春香「やよいがおかしくなっちゃったのもやよいがこの空間に来ちゃったのもやよいのせいなんかじゃないんだから・・・ねっ?」

やよい「・・・・・・」

春香「・・・・・・まぁともかくやよいが気にすることじゃないから!・・・それより」

やよい「・・・?」

春香「このペンダント・・・前にも話したよね?」

やよい「・・・あっ・・・確か、べろちょろの中に・・・入ってた・・・ですよね?」

春香「そう・・・それである時このペンダントが光って・・・」

やよい「私がプロデューサーからもらった光景を見た・・・」

春香・やよい「・・・・・・」

春香「やよい・・・このペンダントについて聞きたいんだけど・・・」

やよい「・・・はい」

春香「・・・まずどうしてこのペンダントがべろちょろの中にあったのかな?」

やよい「・・・」

春香「そもそもここって物入れるスペースじゃないし、何か理由があるのかな?」

やよい「・・・・・・ちょっと言いにくいんですけど」

春香「?」

やよい「・・・実はこのペンダント、失くしたと思ってて・・・」

春香「えっ?」

やよい「・・・ここに来る何日か前の収録で・・・着替えた服と一緒においてたんですけど、終わったら無くなってて・・・」

春香「・・・それってなんの収録?」

やよい「確か・・・お料理番組でした、貴音さんも一緒だったんで聞いt」
春香「ちょ、ちょっと待って!貴音さんも一緒だったの?」

やよい「はい、貴音さんは料理をとってもおいしく食べてくれるので結構一緒になるんですよー」

春香「(怪しすぎでしょ・・・)」

春香「それで、貴音さんはペンダントのことなんか言ってた?」

やよい「いえ、全然知らないそうでした・・・」

春香「・・・」

春香「うーん・・・それで、プロデューサーさんには他に何も聞いてないの?」

やよい「はい・・・『受け取ってくれ』・・・とだけしか」

春香「・・・」

春香「・・・そうだ、そのペンダントっていつも首にかけてたの?」

やよい「えっ?かけてませんよ」

やよい「いつもべろちょろの中に入れてました!プロデューサーからもらったものなので失くしたくありませんでしたし・・・」

春香「(だから見たことなかったんだ・・・)」

春香「じゃあ・・・絵は?」

やよい「絵?」

――――――――――――――――

やよい「プロデューサーと貴音さんと私の絵にペンダントが・・・」

春香「覚えてない?」

やよい「うーん・・・ペンダントをかけた絵を描いた覚えは全然ないんですけど・・・」

春香「・・・そう」

やよい「うぅ~・・・役に立てなくてごめんなさい・・・」

春香「!・・・そんなことないよやよい!これは単に私が気になっただけだから!」

やよい「・・・でも、やっぱりこれだけじゃ何もわからないですよね・・・」

春香「・・・そうだね・・・やっぱりプロデューサーさんにペンダントのこと聞かないと・・・」

春香「ともかくこのペンダントのおかげで私達はいろいろ体験したわけだし・・・」

春香・やよい「・・・・・・」

――――――――

――――

~4億9150万866年目~

やよい「暇ですね」

春香「暇だね」

やよい「・・・あとどれくらいなんでしょうか・・・」

春香「・・・やめよう、口に出すと辛くなる・・・」

やよい「・・・・・・はい」

春香「・・・・・・そう言えば」

やよい「・・・?」

やよい「・・・?」

春香「あの・・・その、今はもう私や貴音さんのことなんとも思ってないの・・・?」

やよい「えっ?・・・・・・あー・・・」

春香「・・・」

やよい「・・・うーん」

やよい「・・・すみません・・・正直よくわかりません・・・」

春香「えっ・・・」

やよい「あれから・・・何千年も、何万年も貴音さん達に対して・・・その、嫌な気持ちがあったんです」

やよい「すごく辛かったです・・・だって、本当は春香さん達のこと大好きだったはずだから・・・」

春香「・・・」

やよい「・・・それで気がついたら前の春香さんみたいに動けなくなってて・・・」

やよい「もちろん今この瞬間もそんな気持ちがあるなんて意味じゃないですよ?」

やよい「でも・・・まだ自分の心の奥にそういう気持ちがあるような・・・そういう違和感があって・・・」

春香「・・・・・・」

やよい「で、でも!本当に私は春香さん達のこと大好きですから気にしないで下さい・・・!」

春香「・・・うん」

春香「突然こんなこと聞いてごめんね、やよい」

やよい「いえ・・・」

春香・やよい「・・・・・・」

~4億9150万1982年目~

春香「(最近・・・やよいと話してないなぁ・・・)」

春香「(どうしても・・・やよいの気持ちが気になって・・・)」

春香「・・・はぁ」

春香「・・・・・・・・・」



~4億9162万5015年目~

やよい「・・・・・・」

春香「・・・・・・」

やよい「・・・絵・・・はどこに行ったんでしょう・・・」

春香「絵?」

やよい「はい・・・春香さん言ってましたよね、床にたくさん絵を描いたって」

やよい「それで、ペンダントがピカーって光って私を見つけた時、その絵が消えてたって・・・」

春香「・・・」

やよい「その絵は・・・消えちゃったんでしょうか・・・それともどこかにあるんでしょうか・・・」

春香「・・・」

春香「・・・そう言えば・・・」

やよい「・・・」

春香「やよいと別れちゃった時の話なんだけど・・・やよいはあの後どこに行ったの?」

やよい「えっ?」

春香「あの後ね、私ずっとやよいのこと探してたんだ・・・多分何万年も・・・」

春香「・・・でも全然見つからなくて・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・ごめんね、あの時のことが少しこわくて今まで言ってなかったんだ・・・」

やよい「・・・」

やよい「・・・うーん、何時間か歩いてたのは覚えてるんですけど・・・その後は、特にどこへとは・・・」

春香「・・・何時間ってことはせいぜい10kmくらいしか離れてないってことだよね」

やよい「・・・」

春香「・・・そうなるとやっぱり、私が何年も探しても見つからなかったってのは・・・」

やよい「変、ですね・・・」

春香「そうなると、絵のこともそうだけど・・・やよいのいた空間と私がいた空間は別々のもの・・・と考えるのが自然じゃないかな」

やよい「・・・でもどうして、ただ歩いてただけなのに・・・」

春香「・・・」

~4億9398万8510年目~

やよい「・・・」

春香「・・・・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・」

やよい「・・・・・・」

春香「・・・」

~4億9503万298年目~

春香「・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・・・・」

春香「・・・・・・」

春香「・・・・・・ん?」ティン

春香「・・・・・・・・・・・・」

春香「・・・・・・・・・!」

春香「ゃ・・・やよい、ねぇやよい!」

やよい「・・・ぁ、・・・春香さん・・・どうしたんですか」

春香「やよい・・・ちょっと・・・考えてみたんだけどね・・・」

やよい「?」



――――――――

――――

――――――――

――――



やよい「・・・」

春香「・・・」

やよい「・・・つまり、この世界は・・・春香さんと私の心の世界・・・ってことですか・・・?」

春香「そう、そう考えればいろいろこの世界で起きている超常現象と説明がつくと思うんだ!」

やよい「・・・現実の世界じゃないなら何が起きてもおかしくない・・・ですもんね」

春香「・・・なんか察しがいいね・・・」

やよい「・・・考えるだけなら時間はいくらでもありましたからね・・・ね」

春香「そう、だね・・・それで、やよいはどう思う?」

やよい「うーん・・・」

春香「・・・」

やよい「・・・」

やよい「・・・その考え方って・・・私達に都合がよすぎませんか?」

春香「・・・」

やよい「・・・そもそも・・・あんなボタンがあって、私達がずっとこの空間で過ごすことになったことも超常現象ですし・・・」

やよい「・・・この空間の出来事だけで、そーゆー考え方をしちゃうのはどうかなーって」

春香「・・・」

春香「・・・じゃあやよいはどう考えるのがいいと思うの?」

やよい「えっ?」

春香「・・・問題は実際に何が正しいか、なのかな?」

やよい「・・・どういう・・・ことですか?」

春香「・・・実際に何が正しいか・・・ってそこまで重要?」

やよい「・・・」

春香「・・・ようはたくさんある考え方、その中でどれが1番現状を説明するのに適しているか・・・これが大事なんじゃない?」

やよい「・・・」

春香「・・・そもそもこんなことに答えが出ないなんてわかってる、多分貴音さんやプロデューサーさんがいないと話が進まないんだろうし・・・」

やよい「・・・」

春香「だったら・・・私達の現状を説明するためには『自分達の都合に合わせて』でいいんじゃないかな」

やよい「・・・でも、心の世界なんて・・・」

春香「おかしいと思う?」

やよい「・・・・・・どういうことですか?」

春香「考えてもみなよ、この閉鎖的な空間ってここに連れてこられた私達の精神を映し出していると思わない?」

やよい「・・・」

春香「・・・この世界に来たきっかけは貴音さんが差し出したボタンでしょ」

春香「そして・・・やよいも私もべろちょろを身につけているときだけは心を落ち着けることが出来た・・・」

春香「まぁそこは私が作ったべろちょろじゃなくてプロデューサーさんがやよいにあげたイルカのペンダントだったわけだけど・・・」

春香「もし本当に何もなかったら・・・つまり私達の意識の外にあるこのペンダントがなかったら・・・私達には何も起こらずにただ5億年を過ごしてたんじゃないかな」

やよい「・・・・・・」

春香「・・・あのペンダントが私達の心に作用していたとしたら・・・」

春香「『5億年ボタン』とは押した人を自分の心に5億年間閉じ込めるボタンだとしたら・・・」

春香「・・・どうして私達が出会うことになったのか、やよいの気持ちが変わってしまったのか、という問題はとりあえずおいといて」

春香「・・・いろいろな現象が起きたことには都合よく説明できそうじゃない?」

やよい「・・・」

やよい「・・・・・・でも、大事なことがまだ何も・・・」

春香「・・・」

やよい「・・・確かに、春香さんの言っていることはわかります・・・」

やよい「本当に無理矢理ですけど、話をうまくまとめようとしているのはわかりますし・・・『心の世界』っていう考え方もあるかもしれないです・・・」

やよい「でも・・・結局問題なのは私達に起きたことを説明することですよね?」

春香「・・・」

やよい「ペンダントを持つと心が落ち着いて、それこそ春香さんも言っていた謎の光で私達が出会って・・・そして全く別の空間に飛ばされて・・・」

やよい「・・・私の気持ちも変わってしまって」

やよい「春香さんが私がペンダントをもらった時の記憶を見て・・・そしてまた私達が出会った・・・」

やよい「・・・問題はどうしてそれが起きたか・・・を説明することじゃないでしょうか?」

春香「・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・貴音さん達はどうして私達・・・いや正確にはやよいをこの世界に連れて行こうとしたんだろうね」

やよい「えっ?」

春香「何も目的もなしに連れてきたと思う?」

やよい「・・・でも貴音さんは確かプレゼントだって・・・」

春香「ここまで貴音さんの・・・例えば貴音さんとの収録でペンダントが無くなって、そしてべろちょろの中に入ってたこととか・・・」

春香「・・・本当にあのボタンを用意したこと以外、貴音さんは全く関係ないと思う?」

やよい「・・・」

春香「・・・プロデューサーさんと貴音さんはやよいに何かこの世界でさせたいことがあったんじゃないかな?」

やよい「させたいこと・・・ですか・・・?」

春香「うん・・・それが何かは・・・わかんないけど・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・プロデューサーさんがやよいにペンダントを渡したのもそのため・・・なのかな」

やよい「・・・」


――――――――

『とにかくやよいが受け取ってくれることが俺のためなんだ』

――――――――


やよい「・・・」

やよい「少し・・・考えさせて下さい・・・」

春香「・・・うん」

やよい「(・・・心の世界・・・私にさせたいこと・・・)」

春香「・・・」

――――――――

――――

~4億9898万8521年目~

やよい「・・・」

春香「・・・・・・」

やよい「・・・春香さん」

春香「・・・ん?」

やよい「・・・」

やよい「その・・・貴音さんと・・・プロデューサーは同じ目的で、私に何かさせたいんでしょうか・・・?」

春香「えっ・・・?」

やよい「・・・だっておかしくないですか?もしそうなら私にペンダントを渡して、そしてその後に貴音さんにわざわざペンダントをべろちょろの中に仕込ませた・・・ってことになりますよね?」

春香「・・・」

やよい「もし同じ目的ならそんな面倒なことします?」

春香「・・・うーん」

春香「でも・・・やよいに持っていてもらう意味もあったのかもしれないし・・・」

やよい「じゃあ仕込むのはプロデューサーでよくないですか?渡した本人の方が怪しまれないんだし」

春香「・・・」

やよい「それに・・・やっぱりおかしいです」

春香「・・・?」

やよい「私・・・この空間に来てからいろんなことを経験しました」

やよい「でも・・・それぞれの経験に、特にあの光のせいで起きる出来事に全然一貫性がないんです」

やよい「春香さんと出会うことになったり・・・いやな気持ちになったり・・・」

春香「・・・・・・」

やよい「まるで・・・何人かが私に何かをさせ合っているような・・・」

春香「・・・それが・・・プロデューサーさんと貴音さん・・・ってこと?」

やよい「・・・」

春香「・・・」

春香「・・・うーん・・・でも・・・それも仮説・・・の1つだよね」

やよい「・・・」

春香「そういう風に色々させるのが目的なのかもしれないし・・・そもそもそう都合良k」
やよい「春香さん!」

春香「・・・!」

やよい「春香さん、言ってたじゃないですか!」

春香「えっ?」

やよい「『自分達の都合に合わせて』説明するだけで十分だって」

春香「・・・あ」

やよい「そうやって違うかもしれないって考え続けても答えは出ない気がします!」

春香「・・・」

やよい「ね?」ニッコリ

春香「・・・そうだね」ニコッ

春香「・・・」

春香「(やよいの笑顔を見たのなんていつぶりだろう・・・)」

春香「・・・でもそうだとしたら・・・」

やよい「・・・」

春香「この世界にプロデューサーさんと貴音さんは干渉できる・・・ってこと?」

やよい「・・・かもしれないですね」

春香「・・・だとしたら考えることがたくさんあるね・・・」

やよい「・・・春香さんが昔言ってた『この世界と元の世界の時間』の関係はどうなるんでしょう・・・」

春香「別々の思惑があったとしてもどうしてやよいに・・・ってのも気になるね」

やよい「・・・」

春香「・・・・・・」

春香「・・・それでもやっぱr」
ペンダント『・・・』キィィィィン


春香・やよい「!・・・・・・!!!」



カッ

――――――――

――――

――――――――

――――

やよい「うっ・・・」

春香「こ、ここは・・・?」


貴音?『・・・』

P『・・・』


やよい「えっ!・・・プロデューサー!?」

春香「プロデューサーさん!」

春香・やよい「・・・・・・と一緒にいるのは・・・」

春香「・・・」

やよい「・・・」

春香「あれは・・・た・・・貴音さん・・・?」

やよい「・・・ですよね?」


貴音?『・・・そうですか・・・』

P『・・・あぁ・・・・・・すまん』


やよい「・・・やっぱり私達の声は聞こえないんでしょうか・・・」

春香「・・・そうみたいだね、やよいがプロデューサーさんからペンダントをもらった時のと同じ・・・」

やよい「・・・」


貴音?『・・・でもどうして私が・・・?』

P『・・・』

貴音?『私では力不足・・・ということでしょうか・・・』

P『・・・いやそういうわけでは・・・』

貴音?『・・・・・・』


春香「それにしても・・・」

春香「・・・貴音さんって・・・金髪にしてた時期なんてあったっけ・・・」

やよい「・・・いえ、金髪どころか髪型を変えたこともないような・・・」

春香「・・・」


貴音(金)『・・・それで、私だけですか?それとも他にも・・・』

P『・・・貴音と・・・』

貴音(金)『・・・・・・』

P『あとは・・・響と・・・』

貴音(金)『・・・・・・』

P『・・・やよいの・・・』

貴音(金)『やよい・・・「の」?』

P『・・・やよいのペンダントが・・・』

貴音(金)『・・・ペンダント?』

P『・・・あぁ・・・カエルのポシェットになるらしい・・・』

貴音(金)『・・・』


春香「カエルのポシェット・・・って・・・」

やよい「・・・べろちょろのこと・・・ですかね」

春香「でもペンダントが・・・べろちょろになるって・・・どういうことだろ・・・」


貴音(金)『・・・それで全て・・・ですか』

P『・・・あぁ』

貴音(金)『・・・・・・』

貴音(金)『・・・ペンダントを変える余裕があるのに私や響はh』
P『いや!・・・それは違うぞ貴音!』

貴音(金)『・・・』

P『・・・違うんだ・・・そんなつもりじゃ・・・』

貴音(金)『・・・』クスッ

P『・・・た、貴音?』

貴音(金)『・・・冗談ですよ、そもそもペンダントを変えることは私や響となんの関係もないことくらいわかっております』

P『・・・』

貴音(金)『・・・まぁともかく・・・』

貴音(金)『・・・これで私はもう・・・』

P『・・・・・・あぁ』

貴音(金)『・・・・・・プロデューサー』

P『・・・なんだ、貴音』

貴音(金)『・・・今までありがとうございました』

P『・・・』

――――――――

――――

――――――――

――――

春香「・・・」

やよい「・・・」

春香「なんだったんだろう・・・今の・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・やよいは何か思い当たることある?」

やよい「・・・いえ、全然・・・」

春香「だよね・・・それにあれって本当に貴音さんなのかな?」

やよい「服装とか・・・なんか雰囲気もちょっと違いましたね」

春香「姉妹・・・とかかな?私達って貴音さんの家族のことあんまり知らないし・・・」

やよい「それは・・・違うと思います」

春香「どうして?」

やよい「・・・そもそも『貴音』って呼ばれてましたし・・・」

春香「そういえば・・・」

やよい「それに響さんや私のことちゃんと知っている感じでしたし・・・」

春香「あー・・・まぁ確かにこっちが知らない人だとすると・・・違和感があるね」

やよい「・・・」

春香「・・・でもプロデューサーさんは普通に喋ってたよね・・・」

やよい「・・・」

春香「うーん・・・プロデューサーさんの方が立場的に貴音さん関係のことを知っていてもおかしくないけど・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・せめて2人とコンタクトが取れるか、貴音さんのことをもっと知っていればなぁ・・・」

やよい「・・・」

やよい「・・・・・・あの」

春香「あれ?」

やよい「・・・!・・・?どうしたんですか?」

春香「あれって・・・私達が描いた絵じゃない?」

やよい「え?」

春香「ほら、向こうの方に・・・」

やよい「・・・」



やよい「・・・本当だ・・・」

春香「でもどうして今頃・・・」

やよい「・・・」

やよい「・・・あ」

春香「・・・?」

やよい「絵の中の私にペンダントが・・・?」

春香「え?・・・あ・・・」

やよい「確か・・・春香さんはペンダントの絵は1つだけだって・・・」

春香「・・・うん・・・それにこんなにちゃんと描かれてなかったよ、よく見ないと何を首にかけてるのかもわからなかったし・・・」

やよい「・・・でもここにははっきりと・・・それにどの私にも描かれてます・・・」

春香「・・・」

春香「・・・何度も聞くけどやよいもペンダントは描いてないよ・・・ね?」

やよい「はい・・・」

春香「・・・ってことはこれも・・・」

やよい「・・・プロデューサーか貴音さんが・・・ですかね・・・」

春香「・・・・・・なのかな」

やよい「・・・」

春香「・・・そう言えば・・・さっき何を言いかけてたの?」

やよい「・・・え?・・・あ、いえ」

春香「ん?」

やよい「・・・」

やよい「・・・春香さんは、さっきのあの光景がどんな風に見えましたか?」

春香「え・・・どんな風にって言われても・・・うーん・・・」

やよい「・・・」

やよい「・・・私にはあれはプロデュースしてる子との別れに見えたんです」

春香「・・・あー・・・確かにそう言われてみれば・・・」

春香「・・・でも貴音さんは実際は765プロを辞めてなんかしてないし・・・」

やよい「・・・」

春香「仮に貴音さんじゃない誰かだとしたらプロデューサーさんがいるのはおかしいよね・・・」

やよい「確かにそうなんですけど・・・」

春香「・・・・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・でも、このペンダントのことも話してたし・・・あの人が貴音さんだとすると・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・私にはあの人の『冗談』はちょっと冗談には・・・」

やよい「・・・確かに・・・貴音さんのいつもの冗談とは・・・少し雰囲気が違いましたね・・・」

春香「・・・・・・」

春香「・・・あの言い方だと・・・ペンダントに何か恨み節を言っているような・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・そしてそのペンダントがべろちょろになるってことは・・・元々やよいとペンダントに何か関係があるのかも・・・」

やよい「・・・」

春香「・・・もしかして結局その恨みの矛先g」
やよい「待って下さい」

春香「・・・」

やよい「・・・やめましょう・・・」

春香「・・・」

やよい「今は現れたこの絵をまた詳しく調べた方がいいと思います・・・」

春香「・・・うん」

やよい「・・・」

やよい「(貴音さん・・・)」

~4億9900万8309年目~

春香「・・・どう?やよい・・・」

やよい「いえ・・・やっぱり特に何も・・・」

春香「だよね・・・いくら調べても何もわからないって・・・」

春香「・・・この絵自体には意味なんてないとしか思えないよ・・・」

やよい「・・・」

やよい「(意味がない・・・?そんなことない、絶対に何かあるはず・・・何か・・・)」

~4億9998万37年目~

春香「・・・結局・・・わからないことばっかりだね・・・」

やよい「・・・ですね」

春香「・・・本当に私達がここにいて・・・何か意味があるのかな・・・」

やよい「・・・」

春香「もしかして・・・今までの私達の考えもただの的外れだったんじゃ・・・」グスッ

やよい「・・・まぁ・・・どっちでもいいんじゃないですか?」

春香「・・・え?」

やよい「・・・結局・・・記憶はリセットされるわけですし・・・」

春香「・・・・・・」

~4億9999万9990年目~

やよい「(・・・やっぱり・・・貴音さんの目的って・・・)」

春香「・・・・・・」

やよい「(・・・でも、だとしたらプロデューサーさんはなんのために・・・)」


――――――――

『とにかくやよいが受け取ってくれることが俺のためなんだ』

――――――――


やよい「(プロデューサーの・・・ため・・・?)」

やよい「・・・」

やよい「(・・・そもそも春香さんの言う通り今までの仮説が合っているなんていう保証も・・・)」

春香「・・・」

やよい「・・・」

やよい「(やっぱり貴音さんが私を陥れたなんて考え方はしたくない・・・)」


やよい「願わくは・・・」

春香「・・・」


やよい「・・・全ては何かの間違いでありますように・・・」

~4億9999万9997年目~

春香「(私達の考えの前提が不安定なものだとしたら・・・なんのために私達は今まで考え続けてきたんだろう・・・)」

やよい「・・・・・・」

春香「(ここで何をするのが正解だったんだろう・・・・・・プロデューサーさん・・・貴音さん・・・)」


春香「(私は・・・)」

            -- 、    -‐く    /
           /    /      ー'´\
            / イ /ィ}     Y⌒ヽ  |    ポチッとな
          ´   V }リ',二二7 ゝ __ノ /
             〈/ニ、(。__)|\    /
                  V{゚f⌒iーく -、\/|   /
                / ┌、_」↑ / /´ ̄ ̄
                /  ィ´ ー ナ′ /ー、__ノ-
              (__/イ__/  /   / l \
                || /   /   r'- V
             _ └ー'^ヽ_/  /  ∧
           /   `ヽー―--r'´  /
        r―f´ ̄ ̄` l  \     /
       「 l l  f_´〉 jノ     |  _/
        {!_{__j  |ノ{__ノ    /ー'´
            l  |ーく __/
        _ {___ノ_
      /` ー―一'ヽ

      {二二二二二}

パアァァァァァァァァァァ


春香・やよい「・・・・・・?」

やよい「これは・・・」フワッ

春香「わ!浮いた!」フワッ

やよい「というか空が・・・空間が光って・・・」

春香「(!・・・吸い込まれる・・・ってことは・・・)」

やよい「(元の世界に・・・?)」


 キラキラ


やよい「・・・・・・?」

やよい「(え?・・・私達の絵が・・・光って・・・)」

春香「あ・・・」

やよい「・・・・・・」

春香・やよい「(・・・そうか・・・)」



春香・やよい「(私達は・・・)」



――――――――

――――――――

――――――――

――――――――

ヒャクマンエンジャキーン

春香「うわ!」

やよい「はわわ!」

貴音「・・・」

やよい「ほ、本当に100万円が出てきましたー!」

春香「はは、やややよいこれはきっとおもちゃのお札だよー・・・ですよね?貴音さん」

貴音「いえ・・・ですから本物だと先ほどから何度も・・・」

やよい「うー・・・こんなにたくさんの1万円札初めて見ましたー・・・なんかこわいかも」

春香「ほ、本当に本当に?本当に本物なんですか!?」

貴音「・・・」コクッ

春香「・・・ひぇー・・・」

貴音「・・・」

やよい「・・・・・・でも別に何も起きなかったような・・・」

春香「!・・・そうですよ貴音さん!ボタン押しても何も起こらなかったじゃないですか」

貴音「言ったでしょう、記憶は消去されると・・・2人は本当に異空間で5億年過ごしてきたんですよ」

春香・やよい「・・・」

春香「・・・どう思う?やよい」

やよい「うーん・・・でもこうやって100万円が本当に出てきてますし・・・貴音さんが嘘をつくとも思えませんし・・・」

春香「・・・だよね、でも私本当に何も覚えてないよ」

やよい「私もですー・・・」

貴音「・・・それでどうしますか?」

春香・やよい「?」

貴音「その100万円は先ほど申した通りもう2人の物です、ですからそのお金をどうしようと2人の自由ですよ?」

やよい「ええ~?・・・そんな、本当に何も覚えてないのに100万円なんて受け取れませんよ~・・・」

春香「私も・・・なんか不気味ですし・・・」

貴音「・・・本当にいらないのですか?」

春香「・・・」チラッ

やよい「・・・」チラッ

春香・やよい「・・・」ウンウン

貴音「・・・そうですか・・・はて困りました」

春香「・・・」

貴音「私が提案した以上、私が処理すべきなのでしょうけど・・・さすがにもらうのは忍びないですし」

やよい「あの・・・それじゃあ765プロのお金にしちゃう・・・ってのはダメですか?」

春香「え?」

貴音「・・・なるほど、それならこの件に関与した私達に近しい形で処理できますね・・・しかし」

春香「それって事務所の経理的にまずいんじゃ・・・」

やよい「ダ、ダメなんですか・・・?」

貴音「大人には色々事情があるのですよ・・・やよい」

やよい「・・・うー、じゃあどうしたら・・・」


アーダコーダ

コーダアーダ


P「・・・」

P「・・・3人とも、何してるんだ?」

春香「あっ、プロデューサーさん!」

やよい「プロデューサー!」

貴音「・・・」

P「さっきから何を騒いで・・・ん?なんだそのお金は?」

やよい「じ、実はですね・・・」

貴音「実は・・・」

カクカクシカジカ

貴音「・・・というわけでして・・・」

P「・・・・・・」

P「・・・全く、ダメじゃないか貴音」

春香・やよい「え?」

P「2人にこんなイタズラしちゃダメだろ?」

春香・やよい「え?え?」

P「ほれ、これが本当の1万円札だ・・・触って比べてみるとよくわかる」スッ

春香「あ・・・本当だ・・・全然違う」

やよい「こうして比べてみると・・・よくわかりますね」

貴音「・・・」


貴音「・・・ふふふっ」クスクス

春香「あー貴音さん!やっぱりだましてたんですねー!」

やよい「うー、貴音さんひどいですー・・・」

貴音「ふふ・・・申し訳ありません、2人とも」

春香・やよい「むー・・・」プクー

貴音「本当に申し訳ありません、冗談のつもりだったのですが・・・さすがに『貴音さんは嘘をつかない』と言われた時は焦りました・・・」

春香「・・・」

P「・・・まぁ貴音もこう言ってるし許してやれ、お前達もなんだかんだおもしろがってたんじゃないか?」

春香「・・・まぁ、結構おもしろかったし・・・ね?」

やよい「そうですね、あれだけたくさんのお札見たの初めてだったしすごくコーフンしました!」

P「じゃあそういうことで一件落着だな・・・ほら、貴音ももうこういうことしちゃダメだぞ?」

貴音「はい、本当に申し訳ありません・・・春香、やよい」

春香「もういいですよ」

やよい「こっちこそちょっと怒っちゃってすみませんでした!」


P「じゃあ2人はそろそろ帰ったらどうだ?今日はもう仕事もないし」

春香「え?本当だ・・・結構話し込んじゃいましたね」

やよい「わー!早く帰って晩ご飯の準備しないと・・・」


P「ほら・・・駅まで送ってやるから帰る準備しろー」

貴音「・・・」

春香「・・・貴音さんは帰らないんですか?」

貴音「・・・私はまだ少し用がありますので・・・」

春香「そうですか・・・じゃあまた明日、お疲れ様でした!」

やよい「貴音さんお疲れ様でしたー!」

貴音「ええ、お疲れ様」

――――――――

――――

――――――――

――――

貴音「・・・」

P「・・・」

貴音「紙幣の偽造は犯罪ですよ、プロデューサー・・・」

P「使うつもりでコピーしたわけじゃないからまぁ大丈夫さ」

貴音「・・・」

P「・・・さて貴音」

貴音「・・・はい」

P「まさか・・・本当にあのボタンを使うとは思わなかったが・・・」

貴音「・・・」

P「・・・これでお前は満足できたのか・・・?」

貴音「・・・」

――――――――

――――

~半年前~

貴音「あなた様・・・少し相談があるのですが・・・」

P「ん、相談?貴音にしては珍しいな・・・どうしたんだ?」

貴音「・・・実は最近物忘れが激しくて・・・」

P「物忘れ?」

貴音「はい、ただ物忘れ・・・というか意識が飛ぶようなことがよくありまして・・・」

P「意識が飛ぶ!?いやそれ大丈夫なのか?」

貴音「・・・」

P「・・・それで、具体的にはどんなことが起きてるんだ?」

貴音「その・・・最初の頃は事務所で過ごしている時間が随分早く感じるな、と思う程度だったのですが・・・」

P「・・・」

貴音「最近では・・・その、収録前に準備していたつもりが気づいたら収録から帰るたくしぃの中だったりと・・・」

P「えぇ!?ちょ、ちょっと待ってくれ貴音・・・それはつまり何時間も記憶が飛んでいるってことか?」

貴音「・・・はい」

P「・・・その収録は大丈夫だったのか?」

貴音「はい・・・後ほどその回の放送を確認したのですが、特に変わった様子もなかったと思います」

貴音「・・・もちろん全く記憶にないのですけど・・・」

P「・・・病院には?」

貴音「何度も・・・何度も行きました・・・行ったんですけど・・・」

P「・・・原因はわからない・・・と」

貴音「・・・・・・」コクリ

P「・・・」

貴音「・・・うぅ・・・あなた様・・・」ポロポロ

P「!?・・・た、貴音・・・?」

貴音「こわいのです・・・まるで私が段々別の人間になっていくようで・・・」グスッ

P「・・・」

貴音「夜、1人で過ごしていると・・・次はいつこのようなことが起きるのかと考えるだけで・・・不安でたまらないのです・・・」グスッ

P「(そう言えば貴音は独り暮らしだったな・・・)」

P「・・・よしわかった、俺が力になれることがあればなんでも言ってくれ」

貴音「はい・・・」

P「・・・確かに俺は医者でも無ければ貴音の保護者でもない・・・だが765プロの仲間として少しでも心の支えになりたいんだ」

貴音「・・・」

P「こうやって俺に話してくれたってことは少しは信頼してくれてるってことだろ?これからも何かあれば相談してくれ、不安な時に電話をくれるだけでも構わないさ」

貴音「・・・ありがとうございます、プロデューサー」

――――――――

――――

~4ヶ月前・朝~

貴音「・・・!・・・」

貴音「(ここは・・・私の部屋・・・)」

貴音「・・・日付は12日・・・仕事ですね」


-事務所-

響「おーい、貴音ー」

貴音「響・・・どうしました?」

響「ん?どうしたんだ貴音、今日はなんだか元気ないぞ」

貴音「・・・いえ、何でもありませんよ、それより何か御用ですか?」

響「あー実はな、やっぱりこれ返しちゃダメか?」スッ

貴音「・・・?これは・・・イルカのペンダント?」

響「何言ってんだ貴音ー、ボケちゃったのか?貴音が自分にくれたんだろ」

貴音「・・・そう、でしたね」

響「いや、本当に嬉しいんだけどさ・・・なぜかそのペンダントにハム蔵達がすごく警戒しちゃってさ」

貴音「・・・」

響「それだけならいいんだけど、ほっとくといぬ美やブタ太は食べようとするし・・・」

貴音「はぁ・・・」

響「それで引き出しの奥に入れっぱなしになるくらいなら貴音に返した方がこのペンダントのためかな、と思って・・・ホントにごめん!貴音」

貴音「いえ・・・それは別に構わないのですけど・・・」

貴音「・・・ところでこれを響にあげたのはいつだったでしょうか・・・?」

響「んー?なんだ本当にボケちゃったのかー?昨日のことだぞ」

貴音「いえ、確認ですよ・・・ありがとう、響」

響「?」

――――――――

――――――――

貴音「・・・というわけなのですが・・・」

P「・・・」

P「(どうして・・・ここにこのペンダントが・・・)」

貴音「あなた様?」

P「あ・・・あぁ・・・それで貴音はこのペンダントに心当たりはないんだな?」

貴音「はい・・・そもそも昨日は丸一日記憶がありませんし・・・いつ手に入れたのかどうかすら・・・」

P「・・・そうか」

貴音「・・・」

P「なぁ貴音・・・本当にみんなにこのことを伝えなくてもいいのか?」

貴音「・・・」

P「みんなも貴音の気持ちはわかってくれると思うぞ」

貴音「はい・・・私もそう思います」

P「・・・」

貴音「ですが・・・ありのままを伝えれば・・・少なくとも私が記憶のない時の自分を別人のように感じている以上は皆も私に取る態度を変えざるを得ないでしょう」

貴音「・・・それは私自身が765ぷろの仲間で無くなっていくような気がして・・・とても・・・」

P「・・・」

P「・・・貴音、そのペンダント俺にくれないか?」

貴音「え?・・・えぇ構いませんけど・・・何か?」

P「いや・・・まぁちょっと調べてみようと思ってな、もしかしたらどこに売ってるかどうかくらいかはわかるかも知れん」

貴音「はぁ・・・」

P「もし何か分かったらすぐに伝えるよ・・・情報は少しでも多い方がいい」

貴音「・・・」

――――――――

P「(・・・さて、貴音はああ言っていたが・・・)」

P「(見ている分には記憶のある時とない時ではほとんど変わらないとしか言いようがない・・・・・・ただ)」

P「イルカのペンダント・・・か」

P「これがあのペンダントと同じものだとすれば・・・貴音が感じる別人が本当にいるならそれは・・・」

――――――――

~3ヶ月前~

貴音(金)「・・・」

P「・・・」

貴音(金)「・・・あまり驚かないのですね」

P「まあ・・・元の貴音から話を聞いて・・・お前のことだと薄々気づいていたしな」

貴音(金)「・・・ペンダントのことですね」

P「・・・ああ、その登場人物に貴音と響が出てくればもう答えは1つしかないだろ」

貴音(金)「・・・」

P「それで・・・」

貴音(金)「・・・」

P「何をしに現れたんだ?・・・いやそもそもどうやって『ここ』に来ることができた・・・?」

貴音(金)「・・・」

P「・・・」

貴音(金)「・・・私は・・・まぁ一種のばぐでしょうか」

P「バグ・・・?」

貴音(金)「・・・プロデューサーと最後に会話したあの後・・・どうなったかご存じですか?」

P「確か・・・情報自体はみんな残された、と聞いたな」

貴音(金)「そうです、だからこそ響や『貴音』が『ここ』にいるんです」

P「・・・」

貴音(金)「もちろん私は信じていました・・・残してもらえる以上はいつか・・・いつか必ず『ここ』に呼ばれる時が来ると・・・」

P「・・・」

貴音(金)「そして・・・この間やっとその機会がやってきた、と喜びましたよ」

貴音(金)「・・・だのに」

P「・・・」

貴音(金)「私そっくりの別人がやってきて『私』に取って代わるですって?・・・冗談でしょ」

P「いやしかs」
貴音(金)「しかし神様は私の味方だったようです」

貴音(金)「今の『貴音』が私の情報を基に存在しているからでしょうか・・・彼女の人格に私の自我の情報が残ったようですね」

P「・・・それで・・・こうやって自由に貴音と人格を入れ替わることができる・・・ってことか?」

貴音(金)「自由に・・・というわけではないですね、最初はこうやってこの体を支配することもできませんでしたし」

P「・・・目的は?」

貴音(金)「はい?」

P「・・・『ここ』に来ることが出来た理由はなんとなくわかった、その上でお前の目的はなんだ・・・その目的を達成したら貴音の体を返してくれるのか」

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「・・・ふふ、いやですねプロデューサー・・・」

P「・・・」

貴音(金)「私のさっきの話を聞いてなかったのですか?今まで私がどんな気持ちでいたのか・・・」

貴音(金)「なんのためにここまでわざわざ『貴音』を演じ続けてきたと思っているのですか?」

P「・・・」

貴音(金)「まぁ・・・まだ完全にこの体を掌握できたわけではないので、まだ幾ばくかは『貴音』でいるでしょう・・・それも時間の問題だと思いますが」

P「・・・このことを俺が貴音に言えば・・・」

貴音(金)「言えるんですか?」

P「・・・」

貴音(金)「そもそもこんな極めて特殊な情報を持っていること自体危険なはず、それを遮二無二口外することが本当に最善だとお思いですか?」

P「・・・くっ」

貴音(金)「まぁそれは私に関しても同じですし・・・安心して下さい、プロデューサーがすぐにわかるようにと髪をこの色にしてきただけですので、明日には元通りの『貴音』ですから」


貴音(金)「・・・さてプロデューサー、本題に入りましょう」

P「・・・本題?」

貴音(金)「あのペンダントはどこですか?」

P「・・・」

貴音(金)「『貴音』があなたに渡したことは知っています、あれをどこにやったんですか?」

P「・・・」

P「・・・どうしてあのペンダントにこだわるんだ?」

貴音(金)「・・・」

P「あのペンダントも本来あってはならないものだが、お前と同じくバグの一種だと言うのならまあわかる」

P「だがそれをなぜ響に渡した?・・・一体何を企んでいる?」

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「・・・ペンダントはどこですか?」

P「・・・」

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「・・・・・・ふー・・・埒があきませんね」

P「・・・」

貴音(金)「今日はこの辺にしておきましょう、このまま話し合いを続けても不毛かと」

P「・・・」

貴音(金)「ではまたいずれ・・・」

P「ああ・・・」

貴音(金)「・・・」

貴音「・・・あ」

P「・・・貴音?」

貴音「・・・あなた様・・・」

――――――――

――――――――

P「(やはり・・・あの貴音・・・か)」

P「(バグだって?・・・そんなことあるはずない・・・と思いたいが実際にこうやって存在している以上・・・)」

P「・・・・・・結局貴音には本当のこと言えなかったな・・・」

P「・・・」ゴソゴソ

ペンダント『・・・』

P「・・・このペンダントが一体なんだって言うんだよ・・・」


ペンダント『・・・』

ペンダント『・・・』キィィィィィィィィン


P「は?・・・な、なんだ!?」



カッ

――――――――

――――

――――――――

――――

P「うっ・・・はっ!」

P「こ、ここは・・・?」


響?『・・・そ、そんなの嘘さー・・・』

P『・・・・・・すまん・・・』


P「あ・・・」


響?『・・・っ!・・・信じないったら信じないからな!・・・自分だってみんなと一緒にがんばってきたのに!!』

P『・・・』

響?『・・・・・・そーかそーか、わかったよ・・・自分がいるとみんなの邪魔なんだな』

P『!・・・いや、響!それは違うぞ』

響?『・・・だったらなんで自分は選ばれなかったのさ・・・』

P『・・・・・・』

響?『・・・もういいよ、プロデューサー・・・』

P『・・・響』

響?『・・・今までたくさん面倒見てくれてありがとう・・・元気でな・・・』

――――――――

――――

――――――――

――――

P「・・・」

P「・・・・・・これは・・・」

~2ヶ月前~

P「・・・貴音、ちょっといいか?」

貴音「はい?なんでしょうかプロデューサー」

P「・・・このペンダントのことについてなんだが・・・」

貴音「・・・」

貴音(金)「・・・私かどうかの確認もせずにその発言は少し軽率ではありませんか?」

P「まぁ・・・もうどっちがどっちかはわかるよ、あれから1ヶ月何も考えずに貴音を見てきたわけじゃない」

貴音(金)「ほう・・・」

P「・・・もう一度言うぞ、このペンダントについてだが」

貴音(金)「・・・」

P「貴音・・・お前、響をそっち側に引き込もうとしたな」

貴音(金)「・・・・・・」

貴音(金)「・・・はい」

P「・・・随分素直じゃないか」

貴音(金)「プロデューサーもあの映像を見たのでしょう?そのことと私が響にペンダントを渡したことを考えればそこまで難しい推理ではないかと・・・」

P「・・・確かにな、そのことを思いつくのにはそんなに時間はかからなかったよ」

P「そもそも響はお前と全く同じ立場だしな」

貴音(金)「・・・ではどうしてこのタイミングでそのようなことを私に?」

P「仮にわかった時点でお前に伝えてもどうにもならんだろうしな、貴音はともかく何も知らない響にそこまでプライベートに干渉するわけにもいかない」

貴音(金)「・・・」

P「あのペンダントのような決定的な証拠をまだお前が持っていて秘密裏に響に干渉していたら俺にはどうしようもない」

P「もっともこの1ヶ月はなるべく貴音と響を2人きりにしないように気をつけたつもりだが・・・」

貴音(金)「・・・」

P「まぁ、このタイミングになったのはこっちにも都合があってな」

貴音(金)「・・・・・・それで?」

P「あー・・・なんだ、響はどうするんだ?俺の目には1ヶ月前と今では全く変わらんように見えるんだが」

貴音(金)「・・・安心して下さいプロデューサー、もう響個人に対してはこちらに引き込もうとは致しません」

P「・・・」

貴音(金)「というかできないのです、プロデューサーのおっしゃるようにあの世界の証拠たる物体がペンダントしかなかったものですから」

P「まあ・・・さすがに証拠もなしにこの話を信じさせるのは無茶だよな」

貴音(金)「はい、そもそもペンダントがあったとしてもちゃんとこちらの意図を理解してもらえるかどうかも微妙ですし」

P「・・・だったらどうするんだ?このまま貴音のことも諦めてくれれば嬉しいんだが・・・」

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「・・・プロデューサーは『5億年ボタン』というものをご存じですか?」

P「5億年ボタン?・・・ん、ああ確か・・・押したら5億年間異世界に飛ばされるってやつか?」

貴音(金)「そうです、5億年過ごす代わりに100万円が出てくるという代物・・・まぁ5億年の記憶は消去されるわけですが」

P「・・・何が言いたい?」

貴音(金)「プロデューサーはその5億年ボタンにどんな意味があるとお思いですか?」

P「・・・意味?」

貴音(金)「考えても見て下さい、記憶は消えるのですから押す側からすれば実質的にはボタンを押すだけで100万円を手に入れることができるのです」

P「・・・」

貴音(金)「ではその100万円の出資者には一体どんな利益があるというのでしょうか?」

P「・・・それは・・・」

貴音(金)「・・・人は5億年過ごすとどうなるんでしょうね」

P「・・・」

貴音(金)「それもお腹がすいたり、死んだりもしない世界・・・つまり『考えること』しかできない世界でです」

貴音(金)「人類の歴史はせいぜい数十万年から数百万年に過ぎません、では5億年もの間『考える』行為を続ければどんな英知に到達できるのでしょう」

P「・・・・・・」

貴音(金)「その英知を他者が情報とて回収できれば・・・それこそ100万円なんて全くくだらない価値がある、そう思いませんか?」

P「・・・」

貴音(金)「・・・」

P「・・・5億年ボタンは創作だから・・・なんていう答えは求めてないな、つまり・・・5億年ボタンは存在する・・・そう言いたいのか?」

貴音(金)「・・・さすがプロデューサー、察しがいいですね」

P「この1ヶ月おとなしくしていたのはそのための準備・・・ってとこか」

貴音(金)「・・・」

P「・・・だがどうする、お前はそんな人類の英知に興味があるのか?そもそも今回のことと5億年ボタンになんの関係がある?」

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「・・・ふふ、そこまでは・・・まだ言えませんね」

P「・・・」

――――――――

――――

~30日前~

貴音「あなた様・・・」

P「・・・」

貴音「やはり原因は・・・わからないのでしょうか・・・」

P「・・・すまん」

貴音「・・・もうほとんど今の意識を保つことができません・・・あなた様のご尽力が無ければ今頃どうなっていたことやら・・・」

P「(・・・事務所のみんなも薄々感付いているようだし・・・これ以上隠し通すのは・・・)」

貴音「・・・」

貴音「・・・いや、もはやほとんど意識がないゆえにうまくいっているのかも知れませんね・・・」

P「・・・!」

貴音「ならばいっそこのまま私ではない存在になってしまった方が・・・」

P「貴音!」

貴音「・・・」

P「・・・やめろ、そんなことを言うんじゃない」

貴音「・・・ですが・・・」

P「・・・」

P「貴音・・・約束しよう」

貴音「・・・?」

P「もしこのまま貴音の意識がなくなってしまったとする・・・そしてそれが来る日は近いのかもしれない」

貴音「・・・」

P「だが、それでも今の貴音が完全にいなくなってしまうわけではないだろう、少なくとも今こうして存在しているんだから」

P「だから必ずお前を『取り戻す』」

貴音「・・・」

P「それまで・・・待っていてくれ」

――――――――

P「(その日以来・・・本当の『貴音』が表に出てくることはなくなった・・・)」

P「(新しい『貴音』は何も変わることなく今まで通りの『貴音』を演じている)」

P「(事務所のみんなも人格の入れ替わりがなくなったことでむしろ違和感もなくなってきているようだし・・・)」

P「(だがまだ『貴音』に問い詰めるわけにはいかない・・・あと・・・もう少し・・・)」

――――――――

――――

~7日前~

貴音(金)「それで・・・目的を教えろと?」

P「あぁ、5億年ボタンとお前の目的の関連性はなんだ・・・あれからもう随分経っただろ、そろそろ教えてくれてもいいんじゃないのか?」

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「・・・やはり目的は教えることはできませんね」

P「・・・っ・・・」

貴音(金)「ただ」

P「ただ?」

貴音(金)「・・・5億年ボタンが押される時はおそらくそう遠くはない・・・とだけ言っておきましょうか」

P「・・・」

貴音(金)「そうですね・・・まずは手始めにペンダントに関連深い人物にでも・・・・・・ね」

P「・・・」

P「(・・・やよい)」

~6日前~

P「おーい、やよいー」

やよい「はーい、なんですかプロデューサー」

P「えーっとな・・・ほれ」

やよい「う?これなんですか?」

P「イルカのペンダントだ、かわいいだろ」

やよい「あー、本当にイルカさんだー!かわいいですー!」

P「・・・これ、やよいにあげるよ」

やよい「えっ?そ、そんなお誕生日でもないのに受け取れませんよ!」

P「まぁいいから気にするな、これは俺のエゴだからな」

やよい「えご・・・?」

P「・・・あーっ・・・まぁ、自分のためってことだ、とにかくやよいが受け取ってくれることが俺のためなんだ」

やよい「・・・」

P「・・・どうだ?」

やよい「・・・」ニコッ

やよい「じゃあお言葉に甘えてもらいます!ありがとうございますプロデューサー!」ガルーン

P「・・・」

P「・・・あ、あとな」

やよい「はい?」

P「そのペンダントは実はお守りみたいなもんでな、首にかけるよりべろちょろにしまっておいてくれないか?」

やよい「べろちょろの中に・・・ですか?」

P「あぁ・・・ダメか?」

やよい「・・・うっうー!せっかくプロデューサーにもらったもので失くしたくありませんしそうします!」

P「・・・ありがとう、やよい」



貴音(金)「・・・・・・」


貴音(金)「(・・・ふふふ)」

~3日前~

P「あれ!?今日のやよいの料理番組のアシスタントって春香じゃなかったんですか?」

小鳥「それが・・・春香ちゃんの前の収録が押してて・・・ついさっき代わってもらおうってことになったんですよ」

P「その代わりが・・・貴音、ですか・・・」

小鳥「すみませんプロデューサーさん、アシスタントは週替わり制だから万が一があっても大丈夫だと思ってスケジュールをめいいっぱい詰めちゃってて・・・」

P「・・・いえ大丈夫ですよ、貴音もアシスタント経験は豊富ですししっかりやってくれるでしょう」

P「(しかしよりにもよってやよいと貴音、2人きり・・・か)」

P「(ペンダントをやよいに渡したことと何か関係が・・・?・・・ただの偶然とは思うが・・・)」

P「(・・・くそ、もうテレビ局に着いた頃だろうしよりにもよって直帰か・・・念のため明日やよいに何かなかったか聞いておこう・・・)」

-某テレビ局の更衣室-

やよい「貴音さん!今日も一緒に収録がんばりましょうねー!」

貴音(金)「そうですねやよい・・・今回もめいいっぱい食しますのでおいしい料理を期待しております」

やよい「えへへ、そう言われると嬉しいけど貴音さんはアシスタントなんですからね」

貴音(金)「・・・」

やよい「だから貴音さんと一緒にお料理できたらもっと嬉しいかなーって!」

貴音(金)「・・・そうですね」

やよい「じゃあ行きましょうか!」

貴音(金)「ええ・・・・・・・・・あ」

やよい「?」

貴音(金)「申し訳ありませんやよい、少し衣装の着付けの具合が思わしくありませんので先に楽屋に戻っていただけますか」

やよい「う?それならここで待ってますよー」

貴音(金)「いえ、収録までそこまで時間もありませんしやよいは先に戻って準備していて下さい」

やよい「・・・わかりました!楽屋で待ってますね!」

貴音(金)「・・・ええ」


バタン


貴音(金)「・・・」

貴音(金)「・・・ふふふ」

貴音(金)「プロデューサーは私が何も知らないと思っているのでしょうか」

貴音(金)「ペンダントを解析することが逆に相手に情報を与えるとは考えないのですかね・・・」

貴音(金)「わざとやよいにペンダントを渡すように仕向けたとも知らずに・・・」ベロチョロガサゴソ

貴音(金)「・・・・・・あった」

ペンダント『・・・』

貴音(金)「・・・これでプロデューサーの思惑もここまで・・・ふふ」


ペンダント『・・・』キィィィィン


貴音(金)「・・・・・・え?」



カッ

――――――――

――――

――――――――

『・・・』

『・・・!・・・・・・』

『・・・・・・・・・』

――――――――

――――――――

――――

貴音(金)「うっ・・・どうして・・・一体なんだというのですか・・・・・・」ハッ

貴音(金)「ペ、ペンダントは・・・?」

貴音(金)「・・・・・・ない、べろちょろの中にも・・・」ガサゴソ

貴音(金)「・・・・・・っ・・・収録時間が・・・致し方ありません、べろちょろの中にないならやよいも見つけられないはず・・・」

貴音(金)「・・・・・・」

貴音(金)「(・・・それにしても・・・・・・)」

――――――――

~収録後の更衣室~

やよい「今日も楽しかったですね!貴音さん」

貴音(金)「ええ、まこと・・・美味な料理でした」

やよい「えへへ、今日作った料理の味付けは使えるかも!」ガサゴソ

貴音(金)「・・・」

やよい「・・・あ、あれ?」ガサゴソ

貴音(金)「・・・どうしました、やよい」

やよい「い、いえ・・・その・・・」ガサゴソ

貴音(金)「・・・」

やよい「・・・あ、あの貴音さん」

貴音(金)「どうしたのです、やよい」

やよい「あの・・・これくらいのイルカの形をしたペンダント見ませんでしたか?べろちょろの中に入れてたんですけど見つからなくて・・・」

貴音(金)「・・・いえ、そのようなものは存じませんが・・・大切なものなのですか?」

やよい「・・・あの、プロデューサーにもらった大事なもので・・・うー、どうしよう・・・ないよう・・・」

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「・・・それほどまでに大事にしていたのですからどこかで落としたということはないでしょう、きっと家か事務所においてきてしまったのではないですか?」

やよい「うー・・・でもべろちょろの中から出した覚えはないんです・・・」

貴音(金)「・・・人の記憶とはいつどのように変わるのかわかりません、きっとそのうち見つかりますよ」

やよい「そんなものですかね・・・」

貴音(金)「私も明日一緒に探してあげますから・・・さ、とりあえず今日は帰りましょう」

やよい「・・・はい」

――――――――

~2日前~

P「やよい、ちょっといいか?」

やよい「はい?」

P「あの・・・ペンダントのことなんだが」

やよい「あ・・・」

P「ん?」

やよい「(どうしよう・・・朝に貴音さんと一緒に探しても結局見つからなかったし・・・)」

やよい「い、いえ・・・それがどうかしたましたか?」

P「あー・・・そのなんだ、イルカとは仲良くやってるか?」

やよい「・・・」

やよい「・・・はい、とっても仲良くやってますよー」

P「・・・そうか、ならいいんだ・・・呼び止めてすまなかった」

やよい「いえ・・・」

やよい「(どうしよう・・・嘘ついちゃった・・・)」

――――――――

~1日前~

P「・・・」

P「(・・・やよいが何かおかしい)」

P「(今日もいつもより元気がなかったし・・・やっぱり貴音との収録で何か・・・?・・・いやでももしそうなら今頃は・・・)」

P「(・・・やっぱり明日もう一度やよいにちゃんと聞いてみた方がいいな・・・)」

P「・・・」

――――――――

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「(・・・結局見つかりませんでしたか・・・)」

貴音(金)「(・・・あまり所在がわからない状況は思わしくないのですが・・・)」

貴音(金)「(ただ今回のことがプロデューサーが意図するところでなければ・・・)」

貴音(金)「・・・」

――――――――

~当日~

P「なぁやよい・・・」

やよい「・・・・・・」

P「・・・あー、一昨日も聞いて申し訳ないんだけど・・・」

やよい「あ・・・ぅ・・・」

P「えーと・・・」

やよい「ご、ごめんなさい!」

P「・・・」

やよい「ごめんなさい・・・本当はこの前のお料理番組の収録であのペンダント失くしちゃってて・・・」

P「・・・」

やよい「一昨日も嘘ついちゃってごめんなさい・・・せっかくプロデューサーにもらったのに・・・失くしたら嫌われるって・・・そう思って・・・」

P「・・・・・・」

やよい「でも・・・探しても全然見つからなくて・・・」

P「・・・・・・」

やよい「・・・ぅ・・・うぅ~・・・」ポロポロ

P「・・・・・・は!・・・い、いや泣かなくていいぞやよい!」

やよい「うぅ~・・・でもぉー・・・」ポロポロ

P「・・・いやほら、実はあれって結構どこでも買えるペンダントでさ!・・・だからそんな深刻に考えなくても大丈夫だから・・・な?」

やよい「・・・ぅぅ・・・ごめんなさい」グスッ

P「ほら、怒ってないって言ってるだろ?それにアイドルが泣き顔なんか作っちゃダメだぞ?」

やよい「・・・・・・」

P「・・・」

やよい「本当にごめんなさい・・・プロデューサー・・・」

P「あぁ、こんなことでやよいのことを嫌いになったりなんかしないよ・・・だから、な?」

やよい「・・・・・・」

やよい「・・・はい」ニコッ

P「よし、じゃあ今日もがんばってこい!」

やよい「はい!」



貴音(金)「・・・・・・」

――――――――

貴音(金)「・・・やよい、ちょっとよろしいですか?」

やよい「はい!なんですか貴音さん」

貴音(金)「・・・ちょっと話がありまして、会議室まで来ていただきたいのですが・・・」

やよい「話、ですか?わかりましたー、ちょっと待ってて下さいー」

貴音(金)「はい、では中で待っております・・・ふふふ」

――――――――

P「・・・」

P「(・・・やよいが持ってない、ってことはこれはどう考えても貴音(金)に取り返されたか・・・?)」

P「(・・・これはまずい・・・)」

P「(・・・このまま5億年ボタンを使われたら・・・)」

P「・・・!そうだ・・・貴音(金)は・・・」

???「あの2人なら会議室ですよ」

P「!?」

P「・・・お前は・・・」

――――――――

-会議室-




やよい「5億年ボタン?」




――――――――

P「会議室なら今すぐ行って色々聞かないと・・・」

???「いえ、ここで待っていて下さい」

P「え?・・・でもこのままもしやよいが5億年ボタンを押すようなことになったら・・・」

???「それも大丈夫です、そもそも今は会議室に鍵がかかっていて入れないはずですよ」

P「・・・し、しかし・・・」

???「・・・私を信じて下さい・・・」

P「・・・」

――――――――

-会議室-

 やよい「2人で・・・ですか?」

貴音(金)「・・・」

 春香「うん!2人ならそこまでこわくないでしょ?」

貴音(金)「(なぜ春香が・・・)」

 やよい「うーん・・・それなら少し安心かなーって!」

貴音(金)「(・・・まぁ・・・2人でもそこまで計画に支障は来さないでしょう・・・)」

 春香「よーし、じゃあ決定!じゃあ早速押すよ?準備はいい?」

貴音(金)「(それでは・・・)」

 やよい「いいですよー」


貴音(金)「(・・・いってらっしゃい・・・春香、やよい・・・)」


春香・やよい「ポチッ」


――――――――


5億年スタート


――――――――

――――――――

――――

~少し時間は戻って~

-???-

貴音「う・・・はっ!」

貴音「・・・こ、ここは?」

P?「おっ、目が覚めたな貴音」

貴音「あ、あなた様?・・・こ、ここはどこです?いやそれよりも一体何が・・・」

P?「・・・まぁ落ち着け」

貴音「落ち着けと言われましても状況が・・・」

P?「・・・」

貴音「・・・」

P?「・・・どうした?」

貴音「あの・・・本当にあなた様ですか?」

P?「・・・」

貴音「いえ・・・失礼なことを聞いているのは承知です、しかし最近あったことを考えますとさすがに・・・」

P?「・・・さすが貴音だな」

貴音「?」

P「・・・そうだな、今何が起こっているのか教えるよ」

――――――――

貴音「つまり・・・ここはげぇむの世界ということ・・・ですか?」

P?「正確にはさっきまで貴音がいた向こうの世界は、だな・・・ここは単なる情報だけの存在でゲームには関係ない」

貴音「・・・」

P?「お前達が創られたのは2003年頃、その後ゲームのキャラとして必要に応じてキャラクターとして世に出ることになった」

貴音「・・・必要に応じて・・・」

P?「そうだ、最初は貴音や響もそのゲームの構想にはあった、だが実際にはお前達2人はキャラクターとして採用されなかった」

貴音「・・・」

P?「・・・その貴音は今向こうにいる貴音(金)のことだがな」

貴音「・・・」

貴音「そしてその数年後に・・・当時採用を見送られた私達が異なるげぇむできゃらくたぁとして登場するようになった・・・と」

P?「・・・あぁ、しかし時間が経つと色々と事情も変わるみたいでな、実際にキャラクターとして採用されたのは・・・」

貴音P「最初に創られた私と響ではなく・・・その情報から生み出されたこの私自身と向こうの響・・・」

P?「・・・そうだな、特に貴音(金)は本来金髪だし・・・細かい点で言えば似てるようで全く違うと言ってもいいのかも知れん」

貴音「・・・」

P?「・・・どうした、やっぱり信じられないか」

貴音「・・・いえ、あなた様が嘘を言うとも思えませんし、ここ数ヶ月に私の身に起こっていた現象を考えるとこれが夢でもない限り事実と考えるべきでしょう」

P?「・・・」

貴音「・・・その上で・・・質問してもよろしいでしょうか?」

P?「・・・なんだ」

貴音「まずもう1人の私が響に渡したであろうイルカのペンダントは・・・何か関係があるのでしょうか」

P?「あれは元々やよいの持ち物として採用されるはずだったものでな・・・それが途中でべろちょろに変更されることになった」

貴音「・・・それをなぜ響に・・・」

P?「それは・・・俺にもなんとなくしかわからないが、それはまた後で話そう」

貴音「・・・」

貴音「響は・・・私と同じ境遇のこちらの響はどうなっているのでしょうか」

P?「・・・響はこっちの自分の世界で元気でやってるはずだぞ・・・ここはあくまで貴音の世界だからここにはいないが」

貴音「(・・・私の?)」

貴音「・・・では、もう1人の私は一体何をしたいのですか?私の体を乗っ取って・・・それで満足してしまったのでしょうか」

P?「・・・」

P?「・・・向こうの貴音(金)からしたら裏切られた形になるからな・・・少なくともその裏切ったとも言える世界だけで満足はしないだろう」

貴音「・・・と言いますと?」

P?「・・・」

P?「なぁ貴音、ここまでの話を聞いておかしいと思わないか・・・765プロのみんなのこと」

貴音「・・・おかしい・・・とは?」

P?「・・・みんなはただの人形だったわけじゃない」

P?「それぞれこの世界で自我を持って生まれてきたんだ、春香も、やよいも・・・そして貴音、お前もな・・・」

貴音「・・・」

P?「貴音・・・お前はこの世界のことを覚えているか?」

貴音「・・・!・・・」

P?「・・・つまりだ、基本的にはゲームのキャラクターとして採用される時にこの世界にいた記憶は消される」

P?「まぁ当たり前だわな、リアリティを追求するならこんなメタ要素を残しておく理由はない」

貴音「・・・記憶が・・・」

P?「・・・本来向こうの世界にいるはずのないイレギュラーな存在となった貴音(金)はその記憶を維持したままだろうけどな」

貴音「・・・」

P?「・・・向こうの世界にいる貴音(金)以外のメンバーは、響はもちろんそれ以外のみんなも貴音(金)の知っている仲間であって仲間ではないんだよ」

貴音「・・・もう1人の私は本当の仲間をほしがっている・・・と?」

P?「・・・」

貴音「自分だけではなく・・・本当に最初に創り出されたみんなが揃うことが願いで・・・」

P?「そして目的というわけだな」

貴音「・・・」

P?「響にペンダントを渡したのはこの世界の情報をペンダントを通じて伝えようとしていたんだろう」

P?「響が1番貴音(金)との境遇に近いし、実際にもう1人の響はこっちの世界にいるわけだからな」

貴音「・・・」

貴音「・・・そんなことができるのかという疑問は残りますが・・・その前にもう1つ質問させて下さい」

P?「・・・なんだ」

貴音「・・・あなた様は一体何者ですか」

P?「・・・」

貴音「先ほどここでお会いした時にも感じたことですが、ここまでの話を聞いてもやはり向こうの世界のあなた様と同一人物だとは思えません」

貴音「ある程度はこの世界の記憶があれば知っていてもおかしくないのでしょうが・・・なぜそこまで精通しているのですか」

貴音「しかも話を聞く限り・・・今思えば向こうの世界のあなた様はこの世界の記憶を消されていないようですが・・・」

P?「・・・」

貴音「それにあなた様は言いましたよね、ここは私の世界だと」

貴音「どうしてあなた様が私の世界に入ってくることができるのでしょうか・・・」

P?「・・・」

貴音「・・・」

P?「・・・・・・それはな」

――――――――

――――

P?「・・・というわけだ」

貴音「・・・」

P?「・・・まぁ色々と思うところもあるだろう、その上で聞きたいんだが・・・」

貴音「・・・」

P?「お前は向こうの貴音(金)の思惑を阻止したいと感じているのかどうか・・・だ」

貴音「・・・え?」

P?「あの貴音(金)が向こうの世界に行きたがっていたことも事実だし、そうなる気持ちもわかる」

P?「しかしこのまま何もしないでいれば貴音(金)の目的が達成されようがされるまいが体を取り戻すことは出来ないだろう」

P?「そしてここでもし体を奪い返すようなことができれば・・・今度こそ貴音(金)は向こうの世界に行く術を失うだろうな」

貴音「・・・」

P?「確かに貴音から体を奪い取ったのは事実だし、お前には奪い返そうとする権利がある」

P?「だが向こうの貴音(金)の境遇を聞いて・・・その奪い返すという目的を躊躇なく果たそうとすることができるか?」

貴音「・・・」

P?「・・・ゲームの世界の存在、この世界と向こうの世界の関係、貴音(金)の本心・・・それらを知った上でお前は何を望む?」

貴音「・・・」

貴音「・・・」

貴音「・・・・・・私は・・・」

――――――――

――――

~5億年ボタンが押される直前~

P「・・・」

P「(・・・やよいが持ってない、ってことはこれはどう考えても貴音(金)に取り返されたか・・・?)」

P「(・・・これはまずい・・・)」

P「(・・・このまま5億年ボタンを使われたら・・・)」

P「・・・!そうだ・・・貴音(金)は・・・」

???「あの2人なら会議室ですよ」

P「!?」

P「・・・お前は・・・」

貴音「・・・」

P「貴音!?」

貴音「・・・幾日ぶりですね、あなた様」

P「貴音・・・どうしてここに!?いやそれより会議室の中の貴音(金)は一体・・・」

貴音「・・・」

P「・・・っ!・・・いや今はそんなことよりも・・・会議室なら今すぐ行って色々聞かないと・・・」

貴音「いえ、ここで待っていて下さい」

P「え?・・・でもこのままもしやよいが5億年ボタンを押すようなことになったら・・・」

貴音「それも大丈夫です、そもそも今は会議室に鍵がかかっていて入れないはずですよ」

P「・・・し、しかし・・・」

貴音「・・・私を信じて下さい・・・」

P「・・・」

――――――――

-会議室-

やよい「うーん・・・それなら少し安心かなーって!」

春香「よーし、じゃあ決定!じゃあ早速押すよ?準備はいい?」

やよい「いいですよー」


貴音(金)「(・・・いってらっしゃい・・・春香、やよい・・・)」


春香・やよい「ポチッ」


――――――――


5億年スタート


――――――――

――――――――

~やよいと春香の世界~

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「・・・さて、後はやよいと春香の5億年に期待するだけですね」

貴音(金)「・・・これで私の願いも叶うはず・・・きっと」


P「・・・」

P「・・・貴音(金)」

貴音(金)「・・・・・・やはり来ましたか・・・プロデューサー・・・」

P「貴音(金)、悪いがお前の思惑通りにはさせない」

貴音(金)「・・・しかしあなたに何ができると言うのですか?やよいはペンダントを所持していないのでしょう?」

P「・・・」

貴音「残念ながら・・・そうでもありません」

P?「・・・だな」

貴音(金)「なっ!」

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「もう1人のプロデューサー・・・いやそんなことよりもう1人の私・・・どうしてここに」

P「色々驚くのも無理はない・・・俺もついさっきまで状況を理解していなかったくらいだしな」

貴音(金)「・・・」

――――――――

~貴音の世界~

P「・・・」

P「・・・くっ、なぜだ・・・どうして貴音はあんな簡単に5億年ボタンを押させたんだ・・・」


貴音「・・・」

P?「・・・・・・」


P「はっ!・・・貴音と・・・お、お前は・・・・・・」

P「・・・・・・2人ともどうしてここに・・・」

貴音「・・・あなた様・・・」

P?「・・・」

P「・・・」

P「い、いや・・・それより状況を説明してくれ・・・まずなぜこの貴音がこの世界に存在できる?」

P?「・・・」

P?「・・・どうやらあっちの貴音(金)が貴音の体を掌握したことで貴音がこの世界に送り込まれたようでな、まぁこれもイレギュラーな事態だが」

P「・・・それで、お前の方からこの貴音に干渉しかけたってことか」

P?「・・・その通りだ・・・」

P「・・・ということはボタンが押される直前に俺を止めたのもお前の仕業だな?」

P?「あぁ・・・」

P「・・・色々言いたいことはあるがとりあえず核心を聞こう、ボタンを押させても大丈夫ってのは一体どういうことだ?」

P?「・・・それは」

貴音「今やよいがペンダントを持っている、ということですよ、あなた様」

P「・・・やよいが?・・・でも失くしたって・・・」

貴音「べろちょろの内側と外側の隙間に入れておきました・・・もちろんちゃんと縫い付けて」

P「・・・入れておきましたって・・・・・・一体どうやって・・・」

貴音「もう1人の私とやよいがお料理番組に出た時のことを覚えていますよね?」

P「あ、あぁ・・・その時におそらくやよいが失くしたと思っていたからな・・・」

貴音「あなた様は知らないでしょうが・・・その収録の、ほんの少しの間だけですが・・・訳あって私が自分の体に戻る時があったのです」

P「・・・」

貴音「その間にそのような細工をしておきました」

P?「・・・」

P「ちょっと待て、それはもちろん向こうの貴音(金)の手にペンダントが渡らないようにするための細工だよな?」

貴音「はい」

P「ってことはどうして俺がペンダントをやよいに持たせたか、とかも知ってるわけだよな」

貴音「・・・はい」

P?「・・・」

P「・・・お前達は一体どこまで今の状況を知っているんだ?・・・できれば情報を共有したいんだが・・・」

P?「・・・」

P?「今回の問題解決のための情報という点で言えば・・・」

P?「・・・基本的にはそこまで俺とお前で持っている情報の差はないはずだ・・・ただ」

P「・・・?」

P?「1つだけ・・・向こうの貴音(金)の目的については俺はおよそ見当はついている、それは・・・」

――――――――

P「貴音(金)が・・・」

P?「おそらくな、向こうの貴音(金)を見る機会が少なかったからお前は気がつかなかったんだろう」

P「・・・」

P?「・・・じゃあそろそろ行くか」

P「・・・」

貴音「・・・あなた様・・・」

P?「向こうの貴音(金)を止めないとな」

貴音「・・・」

P?「・・・それがこの貴音の『願い』でもあるからな」

――――――――

~やよいと春香の世界~

P「・・・というわけだ」

貴音(金)「・・・なるほど、もう1人の私がこちらの世界に干渉するとは・・・あと・・・」

P「・・・ん?」

貴音(金)「・・・いえ、それは想定外でした」

P?「・・・」

貴音「・・・」

P「・・・まぁこのままやよいがペンダントの存在に気づかなければ大方はお前の思惑通りに進むだろう」

貴音(金)「・・・しかし春香は・・・」

P「・・・そうだな、春香が5億年ボタンを押すことはお前にとっても・・・もちろん俺にとっても想定外だ」

P?「なら・・・」

貴音(金)「・・・」

P?「この結果の鍵を握るのは意外に春香・・・かも知れないな」

貴音(金)「・・・」

P「ところでここはボタンを押した2人の・・・やよいと春香の世界でいいんだよな・・・」

貴音(金)「えぇ、もちろん私や響のそれとは違って数年前を境にして誰も存在しない世界・・・でしたけど、ね」

P「・・・」

貴音(金)「5億年ボタンを押した人物の世界に飛ばされるようになっておりますので・・・まぁ2人同時に押してどうなることやらという感じでしたが」

P「・・・」

P「・・・前々から気になっていたんだが、その5億年ボタンとやらは結局なんなんだ?」

貴音「・・・」

P「この1ヶ月半で色々調べはした・・・しかし根本的なところは何もわからなかった・・・」

P「・・・もういいだろう・・・一度ちゃんと説明してくれないか・・・」

貴音「・・・」

貴音(金)「・・・そうですね、ここまで来たらもういいでしょう・・・全て話しましょう」

P「・・・」

貴音(金)「5億年ボタン・・・一言で言うとそれは、この世界の中のさらに『閉じられた世界』に精神を5億年間閉じ込めるボタンです」

P「・・・『閉じられた世界』?」

貴音(金)「えぇ、イメージするならば・・・私達はこの世界にさらに個々の世界を持っていますよね?」

貴音(金)「その各々の世界、やよいの世界や春香の世界の対となって存在する『裏の世界』とでも言いましょうか・・・」

P?「・・・つまりボタンを押したやよいと春香は今俺達がいる『やよいと春香の世界』の『裏側』にいる、ということか」

貴音(金)「基本的には個々の世界は別ですから今のところは『やよいの世界』と『春香の世界』の『裏側』にいるようですけどね」

P「・・・」

P「・・・しかし5億年なんてそんな非現実的な数字を・・・」

貴音(金)「・・・ふふふ」

貴音(金)「5億年ボタン・・・一言で言うとそれは、この世界の中のさらに『閉じられた世界』に精神を5億年間閉じ込めるボタンです」

P「・・・『閉じられた世界』?」

貴音(金)「えぇ、イメージするならば・・・私達はこの世界にさらに個々の世界を持っていますよね?」

貴音(金)「その各々の世界、やよいの世界や春香の世界の対となって存在する『裏の世界』とでも言いましょうか・・・」

P「・・・つまりボタンを押したやよいと春香は今俺達がいる『やよいと春香の世界』の『裏側』にいる、ということか」

貴音(金)「基本的には個々の世界は別ですから今のところは『やよいの世界』と『春香の世界』の『裏側』にいるようですけどね」

P「・・・」

P「・・・しかし5億年なんてそんな非現実的な数字を・・・」

貴音(金)「・・・ふふふ」

P「・・・」

貴音(金)「ここまで知っておいて非現実的という言葉が出ますか・・・」

貴音(金)「承知のこととは思いますが・・・もちろんこの世界も万能なわけではありません」

貴音(金)「人類の想像力を超えたものは存在しませんし、そもそも『インプットされた情報』以外を使うことは出来ません」

貴音(金)「もちろんそれは『閉じられた世界』とて例外ではない・・・」

P「・・・」

P「・・・そう言えば」

P「この個々の世界とは別に・・・創られたキャラクターを削除するための、言わばゴミ箱のような世界が存在するとは聞いことがあるが・・・」

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「・・・そう、その『閉じられた世界』は元々情報としてインプットされていた『ゴミ箱』を元にして作られた・・・ということです」

貴音「・・・」

P「・・・しかし!・・・あくまで一介のキャラクターにすぎないお前にどうしてそんな世界を作ることができた?」

P「そもそも他者の世界を把握することすら難しいのに・・・それをさらに変容させるなんて、一体どうして・・・」

P?「・・・」

貴音(金)「・・・プロデューサー・・・」

P「・・・」

貴音(金)「私にそんな力があるわけないじゃないですか」

P「えっ?」

貴音(金)「おっしゃる通りですよ、私は基本的にただのきゃらくたぁで言われるがまま、なされるがままの存在です・・・」

貴音(金)「・・・だから私にそんな力はありません」

P「・・・だが実際に!」

貴音(金)「知っているはずですよプロデューサー」

P「・・・」

貴音(金)「この世界の中を自由に行き来できて、なおかつげぇむの調整に一定の権利を付与された『きゃらくたぁ』が存在することを・・・」

貴音「・・・」

P「お前・・・一体何を言って・・・・・・ん?」

貴音(金)「・・・」

P?「・・・」

P「・・・まさか」

貴音(金)「そう・・・」

貴音(金)「・・・それはプロデューサー・・・あなた・・・」

P「・・・」

貴音(金)「・・・と」

P?「・・・」

貴音(金)「・・・もう1人のプロデューサーしかいませんよね」

P?「・・・」

P「・・・お前・・・」

P?「・・・」

貴音(金)「お察しの通り、5億年ボタンを作ったのは・・・もう1人のプロデューサーですよ」

P「・・・・・・そんな」

貴音(金)「いや」

P「・・・?」

貴音(金)「『本当の』プロデューサー・・・と言った方が正しいでしょうか?」

P「っ!・・・」

P「お前どうしてそれを・・・!」

貴音(金)「・・・」

P?「・・・俺が言ったからだよ」

P「なっ・・・」

P?「・・・この貴音(金)が言ったことは事実だ・・・俺が5億年ボタンを作り、そしてそれを貴音(金)に渡した」

P「どうしt」

P?「俺と貴音(金)が繋がっているんだから『そのこと』を貴音(金)が知っていてもおかしくはないだろう?」

P「・・・」

P「・・・待て、ということはそっちの貴音もまさか・・・」

P?「・・・」

――――――――

――――

――――――――

――――

~貴音の世界・5億年ボタンが押される前~

貴音「あなた様が本当のプロデューサーになるはずだった・・・ということですか?」

P?「あぁ、貴音が知っている『プロデューサー』は本当は向こうの貴音(金)と同じ・・・とは少し違うが採用を見送られるはずだった『プロデューサー』だ」

貴音「・・・」

P?「そもそもの話だが・・・この世界の情報伝達は『プロデューサー』という媒体を通して行われることになっている」

P?「そしてその中で得た情報を解析し、よりゲームとしての完成度を高めるためにルールや細かい点を調整するのも『プロデューサー』の役割だ」

P?「だから『プロデューサー』はお前達の世界の間を行き来できるし、制限された情報の中でだが、この世界で種々の物質や概念を作り出すこともできる」

貴音「・・・そのような・・・まるで神様のようなことが・・・」

P?「あぁ、確かにまるで神様だな・・・だからこそ最初のゲームに採用された中で唯一向こうの『プロデューサー』だけが採用を見送られる予定だったのかもな」

貴音「・・・と言いますと?」

P?「・・・ゲームの根本に触れすぎたりその情報を得すぎることは得てしてバグを引き起こしやすい」

貴音「・・・ばぐ、ですか」

P?「そうだ、例えばゲームに登場する通行人はそのゲーム内での必要な知識さえ持っていれば問題ないだろう」

P?「余計なメタ情報を持っていては異常な行動を引き起こす危険性があるだけで、はっきり言ってなんの得もない」

貴音「・・・」

P?「・・・もちろんゲーム内の『プロデューサー』は割と重要なポジションだから一概には同じとは言えないが、不必要な情報を多く持っていることには変わりはない」

貴音「・・・」

P?「そういう不必要な要素を排除するために新しい『プロデューサー』が必要だったんだろうな」

貴音「・・・」

P?「・・・」

P?「・・・そして予想された通りというか、やはりバグは発生した」

貴音「え・・・?」

P?「・・・もう1人の俺はな、新しい『プロデューサー』が作られるという情報を得て少し細工をしたんだ」

貴音「細工?」

P?「まぁそんな深い意味じゃなくて、簡単に言うとその時情報としてすでに存在していた新しい『プロデューサー』である俺とあいつの立場が一見逆に見えるように世界を調整したんだよ」

貴音「・・・」

P?「・・・全く別人になりきろうってわけじゃないから『プロデューサー』にとっては難しい細工ではなかっただろうな」

貴音「・・・それは・・・自分がげぇむの世界の住人として採用されるために?」

P?「そうだ・・・今向こうにいる貴音(金)やこっちの響と同様にもう1人の俺にもそういう気持ちがあったってことだな、当然ではあるが」

貴音「・・・」

P?「もちろんだからと言ってそんな手段を取れるとは限らないんだが・・・」

P?「この世界のキャラクターである俺達は『正常の状態』なら外部からの情報に対して逆らうことはできないんだけどな・・・」

貴音「・・・」

P?「そしてその思惑が見事にはまり、今に至る・・・というわけだ」

貴音「つまり向こうのあなた様がこの世界の記憶を保持し続けているのは・・・」

P?「・・・向こうの貴音(金)と同様、本来いるはずのないイレギュラーな存在だから・・・かな、こればっかりはあいつも予想できなかっただろうとは思うが」

貴音「・・・」

貴音「・・・あなた様」

P?「ん?」

貴音「・・・『プロデューサー』という存在がどういうものなのか、ということはよくわかりました、そこでまた1つお聞きしたいのですが・・・」

P?「・・・」

貴音「先ほどあなた様がおっしゃっていた『5億年ボタン』・・・これはもしや・・・」

P?「・・・」

P?「・・・そうだよ、5億年ボタンは『プロデューサー』が・・・いや俺が作った」

貴音「・・・やはり」

P?「まぁ『物質や概念を創り出すことができる』なんてことを言ったらピーンと来るんじゃないかとは思ってたよ」

P?「・・・俺がこちらで何をしているかをほとんど知らない向こうの俺はそんなこと夢にも思わないだろうけどな」

貴音「・・・」

――――――――

――――

――――――――

――――

~やよいと春香の世界~

P?「・・・この世界に取り残された俺達の気持ちがわかるか?」

P「・・・」

P?「・・・俺はともかく貴音(金)や響は他人の世界に干渉することもできずただ自分の世界に引きこもる存在」

貴音(金)「・・・」

P?「それこそ・・・5億年ボタンのような世界じゃないか」

貴音「・・・」

P?「お前が逆の立場だったとして・・・そんな少女の希望を無碍にすることができるか?」

P?「・・・なあ、『プロデューサー』」

P「・・・」

P「・・・お前の言いたいことはわかった」

P「確かに俺にはお前達の気持ちを心の底から理解することはできないかも知れない」

P「・・・というか、あえて理解しようとしなかったんだろうな」

P?「・・・」

P「俺はこっちの世界と行き来することもできたのに・・・ついこの間戻ってくるまで一度だって戻ろうとしなかったからな」

貴音(金)「・・・」

P?「・・・大方俺に合わせる顔がなかったってところか・・・」

P?「まぁお前がペンダントの解析に来た時には俺は貴音の世界にいたから実際に会うことはなかったが・・・」

P「・・・」

P?「・・・じゃあ本題に移ろうか」

P「・・・本題?」

P?「思い上がりかも知れんが・・・貴音(金)と響にとって唯一コミュニケーションをとることができる存在である俺は特別な存在だと思ってる

P?「もちろん俺にとっても2人は特別な存在だ」

貴音(金)「・・・」

P?「あの2人の代わりが作られたと知ったときは悲しかったし、貴音(金)が偶発的とはいえ向こうの世界に干渉できるようになった時は素直に嬉しかった」

P?「・・・」

P?「・・・貴音(金)の本心を聞くまではな」

貴音(金)「・・・」

P?「響はともかく他のみんなまでごっそり入れ替えてしまうっていう考えにはさすがに面食らったよ、そもそもそんな手段すら貴音(金)は持ってなかったはずなのにな」

P?「・・・いや、『プロデューサー』という手段があったからこそ俺に相談したのかも知れんが・・・」

貴音(金)「・・・」

P?「・・・しかしその時の俺には貴音(金)に協力するという選択肢しかなかった」

P?「・・・だから俺は『ゴミ箱の世界』のことを伝え、その上で空想上の創作物である『5億年ボタン』という選択肢を提示したんだ」

P「・・・」

P?「・・・貴音(金)」

貴音(金)「・・・なんでしょう、プロデューサー」

P?「教えてくれたよな、半年くらい前からだったか・・・向こうの世界に行けるようになって、そして色々な経験をしたことを」

貴音(金)「・・・」

P?「それがキャラクターとしての行動の一環にすぎないとしても、みんなと一緒にいることが楽しいって嬉々として話してたよな」

貴音(金)「・・・」

P?「この世界の事情を知っているお前でもそういった気持ちを持つことができるんだ・・・なら周りのみんなはどうだ?」

P?「お前の言う通りの世界を作ることができたとして・・・この半年間一緒にいたみんなはどうなってもいいのか?」

貴音「・・・」

P?「・・・勝手なことを言っているのはわかってる、お前の目的達成のための手段を与えたのは俺だからな」

P?「だが・・・それから向こうの世界に関する色々なことを、お前の口から聞き続けてきて・・・そしてこっちの貴音の本心を知った今だからこそ言える」

P?「・・・」

P?「貴音(金)、お前は間違っている」

貴音(金)「・・・」

P?「実際のところ、お前自身だけが向こうの世界に残ろうとするなら・・・こうやって止めようとしたかは自信はない、こっちの貴音には悪いが・・・」

貴音「・・・」

P「・・・」

P?「貴音(金)・・・俺達はあくまで『創られた存在』なんだ」

貴音(金)「・・・」

P?「・・・『創られた存在』が、俺達を創ったであろう世界を大きく変えようなんてことはやはりすべきではないんだよ」

P?「・・・」

P?「・・・だから、俺はお前の目的を阻止するためにこうやってこの2人に協力することにした・・・それだけはわかっておいてくれ」

貴音(金)「・・・」

P?「・・・」

貴音「・・・」

P「・・・」

貴音(金)「・・・ご高説痛み入ります、プロデューサー」

貴音(金)「・・・おっしゃる通りですよ、私にとってもプロデューサーは特別な存在です」

P?「・・・」

貴音(金)「だからこそプロデューサーにならわかっていただけると信じていたのですが・・・」

貴音(金)「まさかその『手段』を与えて下さった方にこういう形で裏切られることになるとは思いも寄りませんでした」

P?「・・・」

貴音(金)「・・・しかし私を止めようと決めていたならば5億年ボタンが押される前になんとかした方がよかったのでは?」

P?「・・・」

P?「・・・仮に同じことを数日前に説いたとして・・・お前はそれに応じたのか?」

貴音(金)「・・・」

P?「・・・」

貴音(金)「・・・ふふふ、なるほど・・・その通りですね」

P「・・・ちょっと待ってくれ・・・つまりあくまでお前は俺達の味方ってことでいいんだな?」

P?「・・・あぁ、俺は自分自身にけじめをつけたい」

貴音「・・・」

貴音「・・・プロデューサー」

P?「ん?」

貴音「・・・もしあの時、私が『このままでも構わない』と言ったらどうするつもりだったのですか?」

P?「・・・」

P?「その時はその時だ、なぜそう思ったのか・・・そしてその上でどうすべきかを2人で話し合って決めるだけだ」

貴音「・・・」

P?「それに・・・お前は向こうの世界のみんなと一緒にいることで栄える存在だし、貴音自身もそれには気づいているはずだ」

P?「・・・だから、本心からそんなことを言うなんてことはないってわかってたってのもあるな」

貴音「・・・」

P「・・・」

P?「・・・というわけだ貴音(金)、この場で決着をつけようじゃないか」

貴音(金)「・・・そうですね、私の目論見が達成されるのか・・・それともあなた方3人によって頓挫させられるのか」

P?「・・・勝負、だな」

――――――――

――――――――

P?「ところで・・・春香とやよいのことだ、これからどうするかについて明確なイメージがあるのか?」

P「いや・・・こっちの世界に来た時に5億年ボタンについて詳しく調べようとしたんだが、情報が断片的にしかなくて・・・」

P?「・・・まぁ5億年ボタン自体は貴音(金)が向こうの世界に持って行ってしまっていたからな」

P「そこから色々な可能性を考えてペンダントに細工するしかなかったよ・・・」

P?「・・・いいだろう・・・じゃあとりあえず始めるか」

P「・・・」

貴音「え?」

――――――――

――――――――

~1日目~

春香『まさか・・・本当にこんなところにいるわけないよね・・・』

やよい『うぅー・・・貴音さーん、春香さーん・・・』


貴音「・・・これは」

P?「・・・あの2人の現状だよ」

貴音「これが・・・『裏側』ですか」

P「・・・」

P「なんというか・・・やっぱりこう見ると辛いな」

P?「・・・」

貴音「春香・・・やよい・・・」

貴音(金)「・・・」

貴音「それで・・・これから・・・これを見て私達はどうするというのです・・・?」

P?「いいか・・・さっきも言ったがやよいと春香はこの世界の対にあたる世界である『裏側』に閉じ込められている」

P「・・・」

P?「・・・だが対と言っても俺達も同じように5億年を経験する必要はない、精神が閉鎖されているのはあくまで『裏側』だけだからな」

P?「『表側』にいる俺達ができることは・・・『裏側』の世界の観測だ」

貴音「・・・観測?」

P?「あぁ・・・俺達はこの世界を通じて『裏側』の世界をデータとして吸収できるようになっている」

P?「5億年の間で情報の変異が著しいポイントを抽出してこうやって映像に反映しているわけだ」

貴音「・・・」

P?「ただしこちらからの干渉は基本的にできない・・・」

貴音(金)「・・・」

P?「貴音(金)は5億年かけて得られる膨大なデータを・・・この世界と向こうの世界、延いてはこのゲームの外の世界をもひっくり返すような英知に到達するだろうと踏んでいる」

貴音「・・・その英知を使って・・・」

P?「そう、はっきり言うとこの世界を掌握しようとしているわけだ・・・」

貴音「・・・しかし本当にそんなことが?この世界はいんぷっとされた情報しか扱えないはずでは・・・?」

P?「『作る』だけなら確かにそうだろう、しかし『創る』・・・つまり『創造する』ことは違う」

P「・・・近未来を舞台にした映画にもよくあるな」

P?「そう、ロボットが自我に目覚めたとき、そのロボットが考えることは全て人間が把握できる範囲のことと言い切れるか?」

貴音「・・・」

P?「俺達は確かに単にゲームのキャラクターに過ぎない・・・しかしこうやってこの世界では自我を持って活動できている」

貴音「でもこの自我は・・・」

P?「確かに・・・本当の意味での自我とは異なるだろうな、この世界が作られたものである以上はこの『自我』に見えるものも実は台本の一部なのかもしれない」

P「・・・」

P?「だが、もはやこの世界でイレギュラーな存在である俺達がその台本の一部に過ぎず、外の世界に影響を与えないと言い切るのは早計だろう」

P?「そもそもどの世界の住民だって自分が台本の中の存在ではないと証明することは無理だしな」

P?「・・・ならばこの『自我』をもって新しいものを『創る』ことだってできるはすだ」

貴音「しかし・・・そんな確実性のないものを・・・」

P?「賭けたんだよ」

P「・・・」

貴音「・・・賭けた?」

P?「確かに俺だって苦し紛れの策としてこの方法を提示したに過ぎない・・・そもそもかなり無茶なことをしようとしているわけだからな」

P?「しかしこの貴音(金)は少しでも可能性があるならち迷わずその策にのった・・・それほど貴音(金)の中の想いは強いってことだ」

貴音「・・・」

P「・・・それにそれほど無茶ってわけでもないような気もするしな」

貴音「あなた様・・・」

P「確かに5億年もの長期間、もし考えるためだけに費やすことができれば・・・それこそ何かしらの成果を得られると考える方が自然だろう」

貴音「・・・」

P「おそらく相当汎用性の高いものが・・・ならそこから目的達成のための方法を模索しても遅くはない」

貴音「・・・・・・」

P?「・・・まぁそれはなってみないとわからんってことだ」

――――――――

――――――――

~やよいサイド・1年目~

やよい『・・・うぅー』ポロポロ

やよい『いやだよぉ・・・帰りたいよぉ・・・』ポロポロ

やよい『・・・・・・お父さぁん・・・お母さぁん・・・』ポロポロ


貴音「・・・」

P?「・・・」

P「・・・ところで貴音(金)」

貴音(金)「・・・なんでしょう」

P「・・・なんでやよいをこの5億年ボタンの対象に選んだんだ?」

貴音(金)「・・・」

P「・・・やっぱりあの時の」

貴音(金)「プロデューサー」

P「・・・」

貴音(金)「もう始まってしまったのですからそんなことはどうでもいいでしょう、このポイントはもうこれ以上いいですね?」

P「・・・」

――――――――

――――――――

~やよいサイド・30年目~

やよい『・・・・・・あのボタンさえ無ければ・・・』ギリッ


P「ん?」

P?「お・・・」

貴音(金)「・・・」

貴音「・・・あのやよいが・・・」

P「これは・・・やよいの精神に大きな変化があったと・・・」

P?「この時初めて・・・やよいの心の中が『後悔』から『怨恨』に変化した、というところだな」

貴音(金)「(30年・・・?春香の方はもう・・・)」

――――――――

――――――――

~やよいサイド・2万6500年目~

やよい『あいたっ!』ステーン

やよい『うー・・・痛い・・・一体何・・・』

べろちょろ『』ポツーン

やよい『・・・』

やよい『・・・あ・・・』

やよい『そうか・・・ここは・・・』


P「・・・えらく時間がとんだな」

貴音(金)「・・・」

P?「・・・普通は何もないという状況では何かしようという気持ちが起きなくなるものだからな」

P?「それも情報を大きく変異させるレベルとなると・・・」

貴音「・・・それにしてもきっかけはやよいばかりですね・・・」

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「・・・それはつまり言い換えればこのやよいは『普通』の状態ではないということ・・・」

P「・・・」

貴音(金)「高々3万年では・・・この時点の春香のような情報のアウトプットができない状態が『普通』です」

貴音(金)「そもそもこの程度のことでなぜ映像が?どう向こうの世界の情報が変異したと?どうして・・・」

P?「・・・」

貴音(金)「・・・あなた方の企みですか?」

貴音「・・・」

P「・・言っただろ、ペンダントに細工するしかなかったって」

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「・・・しかしこのくらいで完全に阻止したとは・・・」

P「もちろん・・・何度も言うがこのままペンダントが見つからなければほとんど影響はないだろうな」

貴音「・・・それまでは私達は祈るのみ・・・ということですね」

貴音(金)「・・・」

――――――――

くっそつまらん上に意味不明な文書タラタラ書いて更新も遅い
初めは面白かったけど読んだことを後悔したSSだった
これだけは言わせてくれ 1氏ね

>>440
話広げすぎて収集つかなくなってるのは認める、期間も何度も伸ばして本当にすまん
だがさすがになんとか完結はさせる

~やよいサイド・5964万2903年目~

やよい『・・・お金はべろちょろの中にしまって・・・と・・・』゙ャラジャラジー


ビリッ

やよい『あ』


P「あ」

P?「お」

貴音(金)「・・・」


やよい『うー・・・チャックを引っ張りすぎてちょっとやぶけちゃいましたぁ・・・』

やよい『せっかく・・・・・・』

やよい『・・・・・・・・・あれ?』

やよい『・・・』

やよい『・・・・・・このべろちょろって誰に作ってもらったんだっけ・・・』


P「・・・べろちょろは確か春香がやよいに作ってあげたんだよな」

貴音「はい・・・そのはずですが・・・」

期間は何度も伸ばしてるから言いたくないけど次は2月の中頃に更新して本気で終わらしにかかる
ほんと中途半端でごめん

やよい『・・・そうだ』

やよい『・・・春香さん・・・』

やよい『・・・どうして今まで春香さんのこと忘れてたんだろ・・・』


やよい『春香さんだけ・・・どうして思い出せなかったんだろ・・・』

やよい『・・・』

やよい『・・・・・・べろちょろ・・・?・・・』スッ


べろちょろ『・・・』

べろちょろ『・・・』キィィィィィィィィィン


やよい『え!?なになに?べろちょろが光って・・・』


やよい『春香さん!?』

やよい『は、春香さんですよね!?私です!やよいです!』

春香『・・・・・・』

P「・・・どうやらこの時期がターニングポイント・・・といったところのようだな」

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「・・・物事を創造するには壮大な時間が必要です、それこそ数千年、数万年程度で革命的な現象を起こせるほどの創造ができるとは考えていません」

貴音「・・・」

貴音(金)「だから先ほど申しましたように、春香のような数百万年にも及ぶ心神喪失のような状況を私は想定していました」

貴音(金)「しかし・・・あのやよいの様子は明らかに異質・・・いくら5億年ボタンの性質、やよいの気丈な性格を加味してもここまで正気を保っていることは事実として容認しがたい」

P「・・・」

貴音(金)「・・・なるほど、ペンダントにはそのような状況を排除するような細工をしていた・・・ということですか」

P「・・・・・・」

貴音(金)「・・・まぁいいでしょう、それが必ずしも私にとって必要な現象とも思えません、ところで・・・」

P「・・・」

貴音(金)「あの光は・・・別の世界にいるはずのやよいと春香がどうしてこうやって出会うことになったのです?」

P?「・・・」

P「・・・そもそもの話、あの光はお前が響を取り込もうとした時のように俺達プロデューサーが介さない場所で情報を変異させるときに発生するファクターのようなものだ」

貴音(金)「・・・」

P「響の時は・・・状況から想定すると時限的に発動するようにしていたんだろう?・・・それ以外に方法はないしな」

P?「・・・」

P「根本的なところがわからなかったとはいえ5億年ボタンの世界に通常の時間の概念があてはまらないことは容易に想像できる」

P?「・・・それで今回のように感応的に発動するようにした・・・」

貴音「・・・」

貴音(金)「・・・ですが、今回春香もボタンを押したことはあなた方にとってもイレギュラーな事態だったはず・・・」

貴音(金)「2人の世界を繋げるような、このような変異を一体どうして・・・」

P「・・・」

P「・・・それは俺にもわからない」

貴音(金)「は?」

P?「・・・」

P「俺が細工したのは何かに反応して、それに応じた情報を噴出させる・・・それだけだ」

貴音(金)「・・・!」

貴音「・・・」

貴音(金)「・・・それでよくこの世界での勝負に持ち込もうと・・・」

P「・・・基本的に5億年ボタンには外部から干渉はできない・・・ならばその中での出来事をお前の思惑通りに進ませないことが1番重要なことだろ」

P?「それにどのような状況が起こるかをピンポイントで見極めて、それに応じた対処をするなんて不可能だしな」

貴音(金)「・・・」

貴音(金)「なんらかの細工を施していたとは気づいていましたが・・・そんな不確定な要素だったのですか・・・」

貴音(金)「ただ・・・そちらのプロデューサーとは違い・・・それこそ強引にでも私を拘束する、という方法もあったはずですが・・・」

P「・・・」

P「・・・そんなことをする意味はなかったからな」

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