やよい「それで、その人はその鰻どうしたの?」
伊織「喉元に包丁を刺して、そこからスーッと切れ目を……」
ヴー……ヴー……
伊織「あら?スマートフォンが……電話?」スッ
伊織「……あら?珍しい人からね」ピッ
伊織「やよい、ちょっと待っててね」
やよい「?」
伊織「もしもし?どうしたの?」
伊織「……え?じゃあ、お父様は来れないの?」
伊織「まぁ、忙しいから仕方ないわね……」
伊織「それじゃあ、誰が……え?兄さんが?」
伊織「そう、分かったわ、じゃあ当日はよろしくね」ピッ
伊織「お待たせ、やよい」
やよい「今の電話、誰からだったの?」
伊織「え?あぁ、お兄様からよ」
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伊織「もうすぐ三者面談があるんだけど」
伊織「お父様が来れないから、代わりにお兄様が来るって通達でね」
やよい「へぇ~、確かお兄ちゃん2人いるんだよね」
伊織「まぁね、どっちもお偉い様になっちゃってるけど」
やよい「頼りになるお兄ちゃん達がいて、よかったね!伊織ちゃん!」
伊織「た、頼りになるなんて……」
伊織「……ま、まぁ、相談事に乗ってくれたり、アイドルになる時には色々と援助してくれたけど……」
やよい「えへへ、仲良きことは……えーっと」
伊織「美しきかな、ね」
伊織「ま、まぁ、ちょーっとは良いところもあるし……」
伊織「仲違いは、あまり無いし……仲は良好っていえば、良好ね」
伊織「で、でも、ほーーーーんの、ちょーーーーっと、ね!///」
やよい「えへへ……」
やよい「そっかー……伊織ちゃん、お兄ちゃんと仲良しで……」
やよい「頼れる兄弟に、甘えられるんだー……」
やよい「………………」
やよい「そっかぁー……甘えん坊に……」
やよい「………………」
響「うぅ……静かにしてよぉ~……自分の体の一部だろ~?……」
グルルルル……グルルルル……
響「うんぎゃ~!言うこと聞いてー!」
響「うぅ……お腹の虫が……讃美歌奏でてるぞ……」
やよい「響さん?」
響「あっ……やよい」
やよい「お腹ペコペコなんですか?」
響「うっ……うん、ちょっとお金が底ついちゃって……」
響「家族(動物)みんなの食費代が、増えちゃって増えちゃって……」
やよい「みんな、育ち盛りなんですか?」
響「ううん、家族自体も増えちゃって増えちゃって……それで」
ヴー……ヴー……
響「あっ……電話だ」
響「えっ?にぃに?」ピッ
響「もしもし、どうしたヌ?」
響「……え!?ウリフントー!?」
響「やったぁ!ありがとう!にぃに!」ピッ
やよい「うり……ふんとー?」
響「朗報だぞ、やよい!」
響「にぃにが、家庭栽培で取れた、いっぱいのゴーヤ送ってくれるって!」
やよい「よかったですね!響さん!」
響「へへへ、やよいにもお裾分けしてあげるからな!」
やよい「……本当、いいですよね、響さん」
響「うん!自分ゴーヤ料理は大の得意だし……」
やよい「頼りになる、ステキなお兄ちゃんがいて……」
響「え?にぃにが?」
響「あははは!にぃにが頼れるなんて、思ってもないぞー!」
響「……でも、自分が困ったり、助けが欲しい時は」
響「迷わず駆けつけてくれたり、手伝ってくれたりしてくれて……」
響「そういう所は、頼もしくてカッコよく思っちゃったり……ね」
響「な、なんてなー!時々だけだぞ!時々!///」
やよい「……お兄ちゃんに、助けてもらったり……」
やよい「いっぱいいっぱい、お願い聞いてもらったり……」
やよい「…………」
やよい「………………」
P「ん?やよい?」
P「どうした?思いつめた表情して」
やよい「……あっ……プロデューサー……」
P「なにか、辛い事でもあったか?」
P「1人で抱え込まずに、俺に相談してほしいな」
やよい「……………」
やよい「あの……その……」
P「なんだ?」
やよい「………………///」モジモジ
やよい「また、甘えちゃうの……いいですか……?///」
P「………………」
P「なんだ、また前みたく甘えん坊を?」
やよい「………………///」こくっ
やよい「伊織ちゃんや、響さんがお兄ちゃんに甘えちゃう所を聞いて……その……」
やよい「また……私も同じ様な事、したくなっちゃって……///」
P「ははは、お安い御用さ」なでなで
P「そういう事なら、何なりといつでも言ってくれればするよ」なでなで
やよい「ワガママ言ってすみません……私、どうしても我慢出来なくって……///」
P「下の兄弟達を、いつもお世話してるやよいなんだ」
P「そりゃあ、欲求不満になっちゃうよな、無理ないよ」
P「今は何にも考えず、やよいがしたい事をすればいいさ」
やよい「えへへ……じゃ、じゃあ、早速……///」
P「あぁ、行くぞ?やよい?」
やよい「はい!いつでもどうぞ!」
P「みぅ~~~!やよいねぇたん、ひじゃまくらちて~!!」ジタバタ
やよい「は~い、どうぞ!ゆったりくつろいでいいよ~!」ポンポン
P「んわはぁ~い!!やよいねぇたんのひじゃまくらだぁ~!!」しゅりしゅりしゅり……
やよい「よしよし、もっともっと、お姉ちゃんに甘えていいからね~!」なでなで
P「やよねぇたん、お腹もにゃでにゃでちてぇ~」しゅりしゅりしゅり……
やよい「は~い」なでなで
やよい(……プロデューサー……ありがとうございます)なでなで
やよい(伊織ちゃんと響さんが、お兄ちゃんに頼りにしてる話を聞いて……)
やよい(兄弟に甘えられたい気持ちになって……『お姉ちゃん本能』が働いた時)
やよい(いつも弟の役回りになって、ストレスを発散させてくれて)
やよい(きっと、プロデューサーも、本心は抵抗があるはずなのに)
やよい(私のため、無理に付き合ってくれてるんだろうなぁ……)
P「んみょぉ~!おねぇたん!!手が止まってりゅ~!やんやん!」バタバタ!
やよい「あっ、ごめんね~?Pの助~?」なでなで
やよい(プロデューサー……ありがとうございます)なでなで
P「今日はやよいねぇたんと、いっちょにねたいぃ~!」
やよい「はいはい」ニコニコ
P「あっ、お風呂もいっちょに洗いっこちよ~ねぇ~!」
やよい「はいはい」
P「ご飯食べる時は、口移しでおねがいにぇ~!ぴゅふふ!」
やよい「はぁ~い!」ニコニコ
P(………………)
P(アイドル……日々鍛錬を怠らず、切磋琢磨し、人々から評価を得る役目)
P(この子達のストレスは、一般人の想像を遥かに凌駕する物であろう)
P(人には理解されぬ世界、仲間は時に商売敵と化す……厳しき舞台に立つ者よ)
P(我らはプロデューサーは、その者達を支え、人柱となるが役目)
P(彼女が望む事ならば、我が身に構わず、振り向かず、ただ叶えんとするだけの事)
完
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