ロックなアイドルと学ぶ【ヒップホップ講座】 (169)
※このSSはロックなアイドル【多田李衣菜】と【木村夏樹】と共にヒップホップについて学ぶSSです。
※これは私自身がネットに転がっている情報を拾い集めて作ったものなので、もしかしたら事実と違う部分があるかも知れません。その際は見逃さず、辛辣でもかまいませんので是非コメントをください。
※最後にヒップホップが好きな人もそうでない人もチラッとでも読んで頂ければ幸いです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1395662235
李衣菜「B-BOYってダサいですよね」
P「は?」
李衣菜「だってそうじゃないですか。ダボダボの服着て悪ぶったりして、YO!!ちぇけらっちょー!みたいな」
P「それただの偏見だろ…」
李衣菜「えーでもそうじゃないですかぁ?やっぱロックですよロック!それに…」
P「それに?」
李衣菜「ヒップホップなんてもう流行りじゃないですよ」
P「」
ブチンッ
P「ほお、それじゃあお前はアレか、流行ってるからロック聴いてんのか?」
李衣菜「え?違いますよー、だってロックは不滅ですよ?ヒップホップみたいなぽっと出とは違うんです!」
P「何だとぉ!?」
李衣菜「うわぁっ!?何ですか大きな声出して怒っちゃって…」
P「怒ってない!」
李衣菜「怒ってますよ!」
P「がるるるるる…」
李衣菜「な…何ですか…急に…」
ガチャ
夏樹「うぃーっす」
李衣菜「なつきち助けて!」
夏樹「おっと!何だ何だいったい…Pさんあんまりだりー苛めないでくれよ。その余波がアタシにもくるんだから…」
P「許せん…アイドル界のドクター・ドレーを目指しているこの俺を怒らせやがった…」
李衣菜「やっぱり怒ってるじゃないですか!……それに何か知りませんけど、それにだったらもうなってるじゃないですか…!」
P「え?マジでホントに?」
李衣菜「そうですよ。自覚無かったんですか?」
P「あーマジかぁ…俺もとうとうそんなレベルまで来ちゃったかー」
夏樹「(怒ったり喜んだり忙しいな)」
李衣菜「そうですよ。Pさんは立派なちひろさんの奴隷じゃないですか!」
P「」
李衣菜「うわっ、涙こらえてる。めっちゃ泣くの我慢してるよこの人」
夏樹「大の大人のそういう顔見ると流石に引くなー…」
~数日後~
李衣菜「ふわぁ~…今日仕事無いはずなんだけど…何で呼び出されなきゃならないのぉ…?」
夏樹「あー…アタシは一応聞いてるけど…まぁアンタのとばっちりだよ」
李衣菜「えっ…?」
ガチャ
P「Welcome To The Terrordome!!」
李衣菜「!?」
夏樹「うわぁー…」
P「どうした二人とも、そんな痛々しいオッサンを見るような目で俺のことを見て」
夏樹「いや、実際痛いからだよ…」
李衣菜「ダボダボのジーパンに野球のユニフォームみたいなの着て、キラッキラのアクセサリーにキャップ被ってって…キツ……」
P「ふふん」
李衣菜「にわかっぽい」
P「お前に言われたく無いわ!」
李衣菜「な!…何を言うんですかこんなロックな少女を捕まえて…」
夏樹「なぁ、コントは良いから早く本題に入ってくれないか?」
P「うむ今日はな、李衣菜にお勉強をしてもらう」
李衣菜「えっ?」
P「そうだ、今日はお前のためにこんな企画を用意した」
李衣菜・夏樹「「え…」」
『ロックなアイドルと学ぶヒップホップ講座 a.k.a お説教』
李衣菜「……えっ…とぉ…」
夏樹「わざわざ事務所に椅子並べて何やってんだよ…」
P「はい、と言う訳で着席」
李衣菜「いや、ちょっとPさん…」
P「Pさんでは無い。ティーチャーと呼べ。K.R.S-Pでも良いぞ」
李衣菜「何それ…」
P「いいから席につけ」
李衣菜「は…はぁ」
夏樹「アタシもいなきゃダメか?」
P「あぁ、李衣菜一人じゃ逃げかねないからな。今年こそロックフェス連れてってやるから」
夏樹「ヘイヘイ、付き合うよ」
P「という訳でだ。今日はヒップホップの成り立ちとその概要をざっくりと説明しよう」
李衣菜「はぁ…」
P「そして今回の講義で解きたい誤解と偏見が二つある。まず第一に『ヒップホップは音楽じゃない』」
李衣菜「え?どういう事?」
P「そのまんまの意味だよ。お前の好きな『ロックは魂だ』とか『パンクは音楽じゃない。アティチュードだ』みたいな思想論とかとは違うぞ。そのままの意味だ」
李衣菜「と言うと…?」
P「ヒップホップとは『ラップ』『DJ』『ダンス』『グラフィティアート』の4つを柱とした黒人文化の総称だ」
P「俺達が普段『ヒップホップ』と言っているのは、この内『ラップ』と『DJ』が織り成す音楽の部分だけであって、正しくは『ヒップホップミュージック』と呼ばれるべきものだ」
夏樹「あー、それは聞いたことあるかも」
P「ほほぅ、流石夏樹は勉強家だな」
夏樹「いやぁ、照れるな…」
李衣菜「むー…」
夏樹「どうした?だりー」
李衣菜「別にぃ~」
P「さて、その概要をザックリ説明してやろう。おーいホワイトボード持ってきてくれ」
みりあ「はーい☆」
李衣菜「みりあちゃん!?」
P「ははは、CDデビューに際して俺が直々に調きょ…教育したヒップホップサイボーグ・みりあだ」
みりあ「Yo!悪そうなお兄ちゃん大体友達!ゆのーせ~ん?」
李衣菜「信じて送り出したパッション少女が事務所のPの変態調教にドハマりしてカワイイ即興ラップを披露してくるなんて!?」
夏樹「直々の割りにはパチモン臭が…まぁ小学生なんてこんなもんか」
P「よぉ~しよしいい子だぞ~みりあ。後でご褒美あげるからなぁ~」
みりあ「ご褒美!?わぁいみりあご褒美大好き!」
李衣菜「なつきち…通報した方がいいかなぁ?」
夏樹「とりあえずご褒美が何なのかだなぁ…児ポ系かな…ハッパかなぁ…」
P「さて、そもそもヒップホップはニューヨークのサウスブロンクスってとこで生まれた。ここは元々ユダヤ人が多く住む地区だったんだけど、ブロンクス横断高速道ってのが出来たお陰で、道路の騒音を嫌ってユダヤ人が次々出て行くんだ」
李衣菜「ぐっすり寝れないのは辛いもんね」
P「そう、すると土地としての価値がドンドン下がっていって貧困層、特に被差別人種だった黒人が多く住むようになる」
P「貧困層が多いって地区はどの国でも、大体治安が悪くなる。若者達は徒党を組んでギャングになって盗みに暴力、レイプに麻薬の密売や殺人なんかの犯罪に手を染めていった。ビルにかけた火災保険を回収するためにビルの持ち主がギャングに放火させるなんて事が日常茶飯事だったんだ」
夏樹「まるで映画だな」
P「でも、これが現実なんだ」
李衣菜「ロックだねぇ…」
P「アメリカの黒人は西アフリカなんかから連れてこられた人達の末裔でもあるが、この辺の地区はジャマイカとか中南米からの移民も多かった。そしてジャマイカから移民して来た人達が『サウンドシステム』って文化を輸入する」
夏樹「サウンドシステム?」
P「レコードプレイヤーやスピーカーをトラックに積んでいつでもどこでもパーティーをするシステムだ。ジャマイカで1940年代後半に誕生したそれは、当時高価なオーディオを買えなかった島民が音楽に触れ合う機会だったんだな」
P「すると、そのサウンドシステムの周りでみんな踊りだしてパーティーを始める。そしたらこれは儲かると屋台が商売を始めて、そしたら何かやってるぞって言ってさらに人が集まる」
李衣菜「ホントにお祭り騒ぎになる訳ですね」
P「そういうこと。この文化はイギリスやアメリカに移民していったジャマイカ人によって世界に輸出される訳だ」
P「そしてもちろんサウスブロンクス地区にももちろんその文化が輸入されて、各ブロックで『ブロックパーティー』って呼ばれる屋外パーティーが盛んになっていく」
李衣菜「ブロックパーティー?」
P「まぁ、日本風に言うなら町内会とか近所の連中でやる宴会だと思ってくれ」
李衣菜「下町感あるなぁ…」
P「そんなブロックパーティーで重要な役割を担ったのが『DJ』なんだけど…」
李衣菜「はい、プロデューサー」
P「はい、多田さん」
李衣菜「そもそもDJって何する人なの?ラジオDJとかっても言うよね」
P「簡単に言うとパーティーの最中に音楽を流す人かな、合間合間にトークを挟んだりする事もあるけど、基本的には音楽を流すのがお仕事だ。ラジオのDJだってそうだろう?まぁ今はパーソナリティーって言うほうが多いかもしれないけど」
李衣菜「へぇ~」
P「で、DJがR&Bやファンクなんかを流して、そこにみんなが集まってダンスをしたり酒飲んだりしてた訳だ」
夏樹「ふむふむ」
P「そこでジャマイカから移民して来たDJクールハークがある事に気がつく。『曲の間奏の所が一番ダンス盛り上がってね?』」
李衣菜「そうなの?サビの方が盛り上がりそうだけど?」
伊吹「そこはアタシが答えるよ、プロデューサー」
P「おぉ伊吹、仕事は?」
伊吹「まだだいぶ時間があるから大丈夫。さて、だりーちゃん、アタシもストリートで踊ってたから分かるんだけど歌詞って踊るのに邪魔になる時あるのよ」
李衣菜「そうなんですか?」
伊吹「うん、例えば二人で交互に踊ったりみんなで順番に踊ってると、曲が盛り上がるところと静かなところで差がでちゃったりするでしょ。そうすると不公平が出るし、即興で踊りながら盛り上がりにあわせるのって結構難しいんだよね。何より最高に気持ちよく踊ってる時に次の曲言っちゃったら嫌だからね」
李衣菜「はぁ…」
伊吹「だからブレイクビーツの方が踊り易いんだよ。アタシ達アイドルが普段やっているダンスは曲に合わせて決められた振り付けを踊るけど、ストリートに定番はあっても課題曲なんてないから、流れてきた曲に合わせて自由に踊るの♪」
李衣菜「なるほどぉ」
P「まぁそこでだ、クールハークはこう考えた『延々間奏を続けたら盛り上がりっぱなしじゃん!』」
伊吹「そういうこと☆」
夏樹「単純だな」
P「で、彼はレコードを回していたターンテーブルを二つに増やして
A間奏⇒B間奏に切り替え⇒B間奏を流しながらAを巻き戻す⇒さっき巻き戻したAを再生。その間にBを巻き戻す⇒そしてまたA間奏へ…以下繰り返し
っていう演奏方法を思いつく。さて、李衣菜。英語で『休憩』や『間奏』は何ていう?」
李衣菜「え!?……バケーション…?」
夏樹「だりー…随分ゆっくりした間奏だなぁ…プログレかよ…ハァ…『break(ブレイク)』だろ?プロデューサー」
P「夏樹正解!」
夏樹「だりー、コーヒーブレイクとかっていうだろ?アレだよアレ」
李衣菜「あーっ!?なつきち頭いいー!」
P「よぉーし、次行くぞー。そしてクールハークはこれを『ブレイクビーツ』と名づけたんだ。これがもうブロックパーティーで大ウケ。そしてブレイクビーツで踊るダンスを何と呼んだか…?」
李衣菜「ん…?んーっ…あ!ブレイクダンスだ!」
伊吹「だりーちゃんせいかーい♪」
P「おおっ、李衣菜冴えてるじゃないか。そしてブレイクダンスをしている連中を人々はこう呼んだ…『B-BOY』と」
李衣菜「へーっ!へーっ!…へぇ~」
夏樹「ふぅん…それは流石に知らなかったなぁ…」
伊吹「ちなみに女の子は『B-GIRL』っていうよ☆」
P「(ドヤァ…)」
李衣菜「あ、何かウザイ」
P「…」
夏樹「だから凹むなよ…」
伊吹「よしよーし…」ナデナデ
P「はい、という訳で。気を取り直して…」
P「ヒップホップを語る上で外せない人たちがいる」
P「ブロックパーティーを仕切ってた人たち。彼らは司会者を意味するマスター・オブ・セレモニー、略してMCと呼ばれるようになったんだ。まぁ最近は専らマイクロフォン・コントローラーの略とされるけど、こっちは後付けで元々は前者の方だから、学校で自慢するときは気をつけよう」
李衣菜「し…しないよ…」
夏樹「(するなコイツは…)」
P「よし、MCの話題も出てきたし、ここで解きたい第二の誤解『ラップはホントのバカには出来ない』」
李衣菜「え?不良の音楽なのに?」
P「不良=馬鹿って考えもどうかと思うけどな…。李衣菜はラップってどういう歌い方だと思う?」
李衣菜「え…?YO!YO!みたいな…?」
P「……夏樹は?」
夏樹「んー…リズムに乗りながら韻を踏む歌い方…だろ?」
P「正解。夏樹にも後でご褒美だな」
夏樹「それ合法で健全なヤツだよな…?」
李衣菜「いん…?ふむ…?」
P「李衣菜、自分の名前の母音ってわかるか?」
李衣菜「ボイン?」
P「おっぱいちゃうわ!」
夏樹「『木村夏樹』だったら『いうああうい』だろ?」
李衣菜「あっなるほど、じゃあ私は『ああいいあ』だね」
P「そうそう、じゃあ同じ母音の言葉をいくつ思いつく?」
李衣菜「え…?えぇと…」
P「ちょっと長いか、じゃあ名前の『いいあ』だけでいいぞ」
李衣菜「いいあ……『良いな』『聞きな』とか…?」
P「語彙が乏しいなぁ」
李衣菜「そんな急に言われても…」
夏樹「Pさん試しにやってみてくれよ。いきなりは難しいだろ?」
P「まぁそれもそうだな。えぇと…『いいあ』だろ」
さぁいいか、聞きな
そこいらの地味な
君が嫌がる、この名は忌み名
リリカル、だけじゃ生まれぬ信者
Teacher,Teacher
もしくはPreacher
Kick out,Kick out
蹴り出せ識者
いいから、聞いとけ俺の説教
李衣菜「」
夏樹「…」
P「(ドヤァ)」
李衣菜「よく分かんない」
P「」
夏樹「まぁその…説明頼む」
P「はぁ…今のラップを全部母音にして『いいあ』で何回韻を踏んだか解説しよう」
ああ『いいあ』、『いいあ』
おおいあお『いいあ』
『いいあ』いああう、おおああ『いいあ』
『いいあ』う、あえあうあえう『いいあ』
『いいあ』、『いいあ』
おいうあ『いいあ』
『いっあ』『いっあ』
えいあえ『いいあ』
『いいああ』、いいおえおえおえっおう
李衣菜「えっと1,2,3…14個?」
夏樹「後半の『いっあ』とか『いいああ』とかもカウントか?」
P「そうだな『っ』とか『ん』とか「ー」とかは前と同じの音とされたり、『い』『う』『え』とかと同一と見なされたり単純に無視されたり…割りと便利な扱いなんだ」
P「きっと、インド、シードとか。すると、キュート、ずっととかね」
夏樹「へぇ…」
P「元々はパーティーの合間にDJが自作の詩を朗読したのが始まりだって話だ」
夏樹「海の向こうにもイタイ奴がいたんだな」
P「ロックスターでもギャングスタでも元を正せばみんなそういうイタイ連中さ。そういった連中はすべからくぶっ飛んでなきゃ」
夏樹「何だか耳の痛い話だなぁ」
李衣菜「プロデューサーもイタイの?」
P「うるさいよ!」
みりあ「りーなさん許してあげて!?プロデューサーさんはこういう人なの!」
P「」
夏樹「だから泣くなよ…」
P「ぐすん………で、だ。優れたMCはこれを即興で行うんだが、それを『フリースタイル』と呼んでコレを競い合う事を『フリースタイルバトル』と言って…」
李衣菜「ハイ、先生質問」
P「はい、李衣菜さん」
李衣菜「何でワザワザ競うの?だって」
P「ちなみにナンバーワンよりオンリーワン的なワード禁止な」
李衣菜「うっ……」
P「ふむ…よしここでヒップホップとギャングの関係についてちょっと説明しよう」
P「日本でもいわゆる的屋系みたいなのがいるように、ブロックパーティーにもギャングが絡んでいたんだな」
P「そのギャング達もブロックによって縄張りがあったりした訳だ、するとどうなるか?」
夏樹「縄張り争いか?」
P「そういう事。ブロックパーティーは金も動くしパーティー中に薬の密売もできるしな。当然縄張り争いがあった」
P「まだ説明していなかったヒップホップの四大要素の一つグラフィティアートが重要な役割を持つんだが…」
沙紀「そっからはアタシが説明するっす!」
李衣菜「うわっ!?沙紀さんイキナリ出てこないでよ…」
沙紀「えへへー、こっから先はアタシの領分かなーって思って」
P「そうだな、じゃあ説明頼んだぞ沙紀」
沙紀「はいっす!コホン…えー当時のギャング達は知らない人が見たら単なる落書きにしか見えないグラフィティアートを使って、仲間同士の連絡に用いたっす」
夏樹「へぇ…」
沙紀「例えばパーティーの場所だったり、薬の取引場所だったり…そういった仲間内だけの連絡の他にも、他のギャングの連中が書いた上に重ねて描く事で相手に挑戦したり意思表示にも使われてたんすよ」
李衣菜「今で言うネットの掲示板とか見たいな感じなのかな…?」
沙紀「そうっすね、平たく言えばそんな感じっす。ちなみに自分の名前やチーム名の事をタグと言ってアタシのタグは…」シャカシャカ
P「あー!待て待てホワイトボードにスプレー使おうとするな!!」
沙紀「あ…つい…」
P「まったく…よしじゃあ後は俺が引き継ごうか」
P「とまぁこんな感じで、ブロックじゅうの壁を掲示板にしながらギャング達は抗争を続けるんだが、その抗争の方法がちょっと違った」
夏樹「?」
李衣菜「?」
みりあ・伊吹「~♪」
P「『フリースタイルバトル』と『ブレイクダンス』で決着を付けたんだ」
夏樹「は?」
李衣菜「へ?…どういうこと?」
P「ギャング達は互いにラップやダンスのスキルを磨き、グラフィティアートで決闘場所を指定して仲間達とそこに乗り込み、持てるスキルの限りを尽くして戦い、観客を沸かせられた方が勝ち。そんな…」
夏樹「映画みたいだな…」
P「そう、まるで映画の中のワンシーンのような光景が当時のニューヨークでは日常で起きていたんだな」
李衣菜「………」
P「ん?どうした…?李衣菜」
李衣菜「…かっこいい」
P「…」
夏樹「あっ…」
李衣菜「ウッヒョー!かっこいい!B-BOYかっこいい!」
P「うっひょーって…」
夏樹「あちゃー…」
李衣菜「プロデューサー!私B-BOYになる!」
みりあ「りーなちゃんもB-GIRLやるの!?わぁい!一緒だね☆」
P「B-GIRLじゃねぇのかよ!?」
夏樹「てか、だりーロックなアイドルは?」
李衣菜「ロックもやる!ロックなB-GIRLに私はなる!」
伊吹「おっ♪いいねいいねぇ♪」
李衣菜「でしょでしょ!?よぉーっしプロデューサー!!何すればいい!?何すればB-GIRLになれるの!?」
P「…とりあえず、カンゴールハット被ってアディダス着てゴールドアクセサリーつければー(棒)」
李衣菜「かんごーるとアディダスとゴールドだね!?買ってくるーっ!!」
一同「…」
夏樹「…どうすんの?」
P「まぁ…しばらくあのままにしておこうか…しばらくしたらまた講義して矯正するさ…」
伊吹「ねーねー、今からみんなで遊びいこうよ!この近くにアタシのいたチームのたまり場があるんだ♪」
沙紀「いいっすね!グラフィティ出来る人いるっすか?」
みりあ「やったぁ☆みんなでお出かけだぁ!!」
P「よぉし!それじゃあ俺の愛車(ローライダー)で遊びに行くか!誰が俺のシフトレバーを握って…」
一同「「「「いや、あの車はちょっと」」」」
P「えー」
**********************************
1時限目おしまい。という事で
元々は過去のSSでヒップホップネタを散りばめて一人悦に入ってたけど、さすがに空しくなってきたので逆にみんなに布教しちゃおうって発想で書いた自己満SSです。なので本当に何言われてもしょうがないレベルの作品です。申し訳ない。
私自身のやる気と周りの反響あれば2時限目も書くつもりです。
1位)ボン・ジョヴィ 260億円 HRHM
2位)ビヨンセ 189億円 ポップス
3位)ピンク 171億円 ポップス
4位)ジャスティン・ビーバー 169億円 ポップス
5位)ブルース・スプリングスティーン 145億円 ロック
6位)リアーナ 142億円 ポップス
7位)シルク・ドゥ・ソレイユ「マイケル・ジャクソン:ザ・イモータル」 133億円
8位)テイラー・スウィフト 131億円 カントリー
9位)デペッシュ・モード 120億円 ロック
10位)ワン・ダイレクション 114億円 ポップス
http://snn.getnews.jp/archives/226610
HIPHOP一人も入ってないなww
ヒップホップはどうしてもアンダーグラウンド臭が抜けねぇよな
聞いてみれば言葉遊びとか韻の踏み方とか千差万別で面白いんだけどね。ま、俺もニトロとRHYMESTERくらいしか聞いたことないけど
てかこれマジなの? 凄いなヒップホップ。
もうオバマ大統領とプーチン大統領も歌とダンスで直接対決して決着つけりゃいいのに。
思いのほか反響があって困惑してます。プレッシャーで俺の毛根がマッハ
>>43
未だにジョンおじさんのバンドがトップなのか…
>>46
ヒップホップはアンダーグラウンドであるべきって思想も一部にはあるから…
ヒップホップって「リアル」を重要視するから、オーバーグラウンドに慣れすぎてリアリティを失う事を恐れてるのかも
>>48
あくまで「誕生当時は」だけど、そうらしい。
B-BOYが片脚だけ裾を捲り上げたりしてるときがあるんだけど、元々はナイフなんかを隠しやすい足首を露出させて、傷つける意思が無いことの示すためにやっていたって話もあるし、そもそもは『非暴力による闘争』が根っこにある。
今更ながらコテハン忘れてた。
けど、気にせず2時限目ー
*****************************
李衣菜「YO!YO!みんなおはよーっ!!」
夏樹「見事なまでに染まってるなー…」
伊吹「お、だりーちゃんオールドスクールだねぇ♪」
李衣菜「え…?何?…学校?」
沙紀「そういえばうちの事務所ってウェッサイ系を好んで聴くのプロデューサーくらいっすよね」
みりあ「私も聴くよ!」
伊吹「さすがプロデューサーの愛弟子ね…アタシは踊れりゃ何でも聴くけどなぁ、沙紀は?」
沙紀「アタシは絵を描きながらダラッと聴くのが好きっすから、ネイティブ・タン・ポッセの一派とか生音っぽいのが好きっすね」
伊吹「あー、好きそう♪」
李衣菜「………」
夏樹「どうした、だりー?」
李衣菜「ちょっとプロデューサーに会ってくる!」
夏樹「あっ、おい!…行っちゃったよ…」
~数日後~
P「今夜も貴女とLet Me RideでCallifornia Loveを育むプロデューサー界のDoggy Dog。こんにちわPです」
李衣菜「わー!ぱちぱちぱちっ!」
夏樹「結局こうなるのね…」
P「はい、今回は李衣菜さんのリクエストにお答えして、色々なヒップホップについて説明したいと思います」
夏樹「色々な?」
P「うむ、ロックには多すぎるほどのサブジャンルがあるが、ヒップホップにもロック程で無いにしろ様々なジャンルがある。今日はそれを紹介していこうと思う」
李衣菜「はーっい!」
P「まずは大きく分けると『1.時期の分類』『2.地方の分類』『3.音楽性の分類』がある」
P「まずは李衣菜が言われた『オールドスクール』はこのうち『1.時期の分類』だ。ヒップホップは大きく分けて2つの時期分かれる」
P「ヒップホップの誕生からRun-D.M.Cがアルバム『Raising Hell』でヒップホップ界初のゴールドディスクを獲った辺りまでを『オールドスクール』と呼ぶ」
李衣菜「へぇーじゃあ私がオールドスクールって言われたのは?」
P「今のお前の格好がRun-D.M.Cそのものだからだよ」
※参考動画※
http://www.youtube.com/watch?v=qXzWlPL_TKw
李衣菜「あーホントだー」
伊吹「知らずに着てたんだソレ…」
P「そしてそれ以降、Run-D.M.Cの成功で全米にヒップホップが知れ渡って以降を『ニュースクール』と呼ぶんだ」
夏樹「随分ザックリしてるな」
P「ついでに言えば、資料や論者によって若干前後するものの、1986前後~1993前後の名盤が量産され技術や表現力の革新が進んだこの時期を『ゴールデンエイジ』。同時期の日本限定の呼び方『ミドルスクール』とも呼んだりする」
http://www.youtube.com/watch?v=6nXdbB_tvNk
沙紀「全盛期ってヤツっすね」
P「さて、続いては『2.地方の分類だ』。ロック好きな2人ならアメリカが地方によって音楽性が変わる事は知ってるな?」
夏樹「あぁ」
李衣菜「…ぅ…うん!」
P「…」
李衣菜「…」
P「…木村さんみんなに説明してあげて」
夏樹「へいへい…仕方ないな…アタシだってそんなに詳しい訳じゃないが、分かり易いところだと西海岸は明るく爽やかで、南部は黒人文化の影響が強いから泥臭い音楽性のバンドが多いんだよ」
伊吹「へぇ…ロックもそうなんだ」
夏樹「あぁ極端な例を出せば…
西海岸:ビーチ・ボーイズ
http://www.youtube.com/watch?v=B0dWXyTa2Cw
南部:レオン・ラッセル
http://www.youtube.com/watch?v=np5SnrExMDM
みたいな感じだな」
沙紀「おぉ~分かり易いっすね」
P「流石だな夏樹は」
夏樹「やめてくれよプロデューサー、アタシあんまりこういうのは得意じゃないから後は頼むよ」
P「謙遜しなくてもいいのに」
夏樹「いいから」
P「はいはい…まぁヒップホップの地域性も似たようなもんなんだ。サンプリングネタの傾向が違ったりするけど」
李衣菜「サンプリングネタ?」
P「あぁ、前回の授業で教えて無かったか。MCがラップを乗せる曲、つまり伴奏を『トラック』って言うんだけど、そのトラックを作るときによく用いられる技法が『サンプリング』だ」
夏樹「具体的に教えてくれる?」
P「簡単に言えば既存の曲の一部を抜き出して使用する事だな、分かり易いところでいくと…
http://www.youtube.com/watch?v=7sx0g3eh2Jw
http://www.youtube.com/watch?v=PsO6ZnUZI0g
かな、最近だと」
李衣菜「うわ、そのまんまだ」
P「で、だ。
東海岸は都会的で冷たい感じか、逆にジャズとかをサンプリングネタに多様した温かみのある生音っぽい感じ
http://www.youtube.com/watch?v=y9lNbNGbo24
http://www.youtube.com/watch?v=RnL3rfBBrYE
対して西海岸(別名ウェッサイ)はP-ファンクなんかを用いた軽妙で爽やかなトラックに乗せてギャングの日常を歌ったラップが多いな
http://www.youtube.com/watch?v=FWOsbGP5Ox4
http://www.youtube.com/watch?v=-hIjgofcuWU
そして南部はチープな電子音と図太い低音で刻まれる泥臭いリズムが特徴だな
http://www.youtube.com/watch?v=xvM3YwmDfwE
http://www.youtube.com/watch?v=c7tOAGY59uQ
」
みりあ「改めて比べると結構違うんだね…」
P「アメリカって国土が広い上に、合衆国だから州によって法律からメディアから全然違うから、地方ごとの特色が出易いんだろうな。R&Bの世界にもサザンソウルとかフィリー(フィラデルフィア)・ソウルとかあったし」
夏樹「なるほど、ロックもヒップホップもそういうところは似てるんだな」
P「そういう事。もちろん、西海岸なのにそれっぽくないJurassic 5や、南部っぽくOutkastとかもいるから必ず上記に当てはまる訳じゃないって事は覚えておいてくれよ」
李衣菜「はーい」
P「あとこれは地域性の区分じゃないけど、メキシコ系のアーティストがスパニッシュ訛りの英語やスペイン語でラップする『チカーノ・ラップ』てのもある。西海岸出身の連中が多いからファン層も被ってたりするんだけどな」
http://www.youtube.com/watch?v=mMWBh0B9F0M
みりあ「サイプレス・ヒルさんカッコいいよね!ローライダーでぴょんぴょん跳ねるの楽しくて好きなんだぁ!…酔っちゃうけど…」
伊吹「みりあちゃん…葉っぱには手を出さないでね…」
P「地域性と言えば日本産のものはジャパニーズ・ラップとかJ-HIPHOPとか言われるな。日本語特有の響きがやっぱり特徴的だ」
李衣菜「日本語のラップと英語のラップって雰囲気違うよね」
P「お、いいところに気づくじゃないか。日本語ってのは母音が強い言語だからな、日本語をローマ字で表記すると必ず子音+母音なのに、英語ってtとかsとか子音で終わる単語多いだろ?」
李衣菜「あー確かに」
P「それがリズムの秘密だろうな。それに英語はアクセントを、日本語は抑揚に重きを置く言語という点で大きく違うし、やっぱりラップという歌唱法は英語圏ならではのモノとも言える訳だ。ちなみに日本語と似たような言語ってポリネシアの一部とかにしかないマイノリティーな言語だそうだ」
伊吹「なんかプロデューサーが賢く見える…」
沙紀「伊達に人生の先輩はやってない、と…」
夏樹「日本語って同音異義語が多いから伝わりにくいとも言うしね…」
P「さて、最後は『3.音楽性の分類』だ」
李衣菜「プログレ…みたいな?」
P「まぁそんなとこだな、プログレはないけど。まずは『ハードコア・ヒップホップ』」
P「オールドスクールのヒップホップってわりと仲間内でワイワイ盛り上がるためのパーティーラップが多かったんだけど、そういった能天気なモノを嫌って社会的な歌詞と攻撃的なトラックを打ち出したラップの事だ」
夏樹「何かロックと似てるよなぁ、そのへん」
李衣菜「え?そう?」
夏樹「ロックだってエルヴィスの時代はパーティーで騒ぐための音楽って側面が強かったけど、60年代にはボブ・ディランがプロテスト色強い曲歌ったりしてたじゃないか。ボブは元々フォーク畑の人だけどさ」
李衣菜「う…うん!そうだね!そうだよね!」
P「…お前なぁ」
夏樹「あぁ、そういえばパンクもハードコア・パンクになると音が強烈になって歌詞も政治色強くなるな」
P「おー、そうだな。どっちも貧困層から生まれたジャンルだからかな?しかも成立した年代はそんなに変わんないし」
夏樹「そう考えると少しは親近感沸くかな」
P「そうだと、嬉しいな。さて話を戻して、そのハードコアヒップホップの代表格パブリック・エネミーのMC、チャックDがこんな事を言っている『ヒップホップは黒人のCNNだ』と」
李衣菜「CNNって何だっけ?…アメリカのニュースだっけ?」
P「そうそう。例えば彼らの代表曲の一つに『911 Is Joke』ってのがある。911ってのはアメリカの救急の電話番号な。日本の119」
http://www.youtube.com/watch?v=CPNK0VspQ0M
李衣菜「えっと…つまり…?」
P「この曲は黒人が住んでいる地区が、白人が住んでいる地区に比べて救急隊の到着時間が遅い事をネタにした曲なんだ」
夏樹「酷い話だな」
P「白人警官による黒人容疑者への暴行事件とかもあったしな。そのレベルで根強い差別がある訳さ」
P「…ここに頭にバンダナを巻いてチェックのTシャツを着てリュックを背負ったメガネの青年がいます。彼の趣味は何でしょう?」
李衣菜「アニメ?」
P「話しかけてきました。どうする?」
李衣菜「え…無下にしない程度に逃げるかも…何か怖いし」
P「何で?」
李衣菜「え…いや…だって典型的なオタクスタイルだから……何かされたら嫌だなって…」
P「じゃあ特に根拠は特に無い訳だ」
李衣菜「…うん」
伊吹「こういう事だよねー…」
夏樹「難しいよなぁ…」
P「まぁとにかく共感される曲ってのは強いからな。だからこそ彼らの曲『Fight The Power』が専門誌で最も偉大なヒップホップソングに選ばれたりする訳だ」
http://www.youtube.com/watch?v=8PaoLy7PHwk
夏樹「戦う力か…」
P「さてお次は『ギャングスタ・ラップ』『G-Funk』について説明しよう」
李衣菜「ギャングスタ・ラップ?」
P「アメリカ西海岸発祥のスタイルで、ギャングでの経験やスラム街での荒んだ日常なんかを歌ったのが『ギャングスタ・ラップ』だ」
http://www.youtube.com/watch?v=GUb2qo5XF3U
夏樹「何か物騒な話だな」
P「前回の授業でもチラッと話したけど暴力と犯罪が日常の世界だからな。『RIZE』ってドキュメンタリー映画の中にロサンゼルスで一番治安が悪いと言われるサウスセントラルって地域が出てくるけど、ギャングが新しい銃の試し撃ちに小さな子供を射[ピーーー]るとかそんな世界だ」
伊吹「アタシもあの映画見たけど…あれは酷かったねー…」
P「で、このギャングスタラップの先駆者的グループN.W.Aの中心人物だったドクター・ドレーが生み出したのが『G-FUNK』。ゆったりとしたリズムとP-ファンクなんかをサンプリングしたトラックが特徴的だな」
http://www.youtube.com/watch?v=XfkDnsxc-zE
P「まぁちょっと乱暴だけど西海岸イコールG-FUNKと言ってもいいかもしれないな。それくらいポピュラーなスタイルだ」
夏樹「じゃあギャングスタラップ=西海岸なのか?」
P「いや、発祥こそ西海岸だけど結局東海岸の連中だってギャング出身者が多いからな、東海岸からもギャングスタラッパーが出てくるから必ずしもそうじゃない」
李衣菜「…」
夏樹「…どした?だりー?」
P「………さて、一方でギャングスタと真逆のスタイルが誕生する訳だが、その前に『ネイティブ・タン・ポッセ』について説明する必要がある」
李衣菜「あれ?それってさっき聞いた…」
P「ネイティブ・タン・ポッセとはア・トライブ・コールド・クエスト、ジャングル・ブラザーズ、デ・ラ・ソウルなんかを中心としたゆる~い集団だったんだが、彼らのアフリカ回帰主義的な歌詞やジャズを多用したトラックは当時とても新鮮だった」
http://www.youtube.com/watch?v=cxN4nKk2cfk
http://www.youtube.com/watch?v=FJEzEDMqXQQ
P「暴力的でも過激でもなく、かといって能天気なパーティーラップでもない。まるで語りかけてくるように有様を気づかせて、自分のあり方を教える」
P「彼らのようなラップを人はこう名づけた「コンシャス(=意識的な)」ラップと」
http://www.youtube.com/watch?v=MedYGL45DnE
李衣菜「なんか…優しい感じ」
P「そうだな。確かに貧乏は辛いし、犯罪も暴力もそこかしこに転がってるだろうさ。でもそれに染まる必要なんか無い。もっとマシな人生は自分の傍にあるものさ。問題はそれに気づけるか、だ」
李衣菜「うん…そうだね」
夏樹「元気出てきたじゃないか、さっきは深刻な顔してたくせに」
李衣菜「そ…そんな事ないもん!」
P「はいはい、じゃあ次な。次は『チルアウト系』」
李衣菜「ちるあうと…?」
P「『落ち着く』って意味。みんなでワイワイ踊ってたり騒いでても最初っから最後までそれじゃあ疲れるだろ?だから落ち着きたい時なんかに流すんだよ」
http://www.youtube.com/watch?v=wnL3aTVQS9k
伊吹「こういうの聞くと終わったぁー!って感じで気持ちいいよねぇ~…はぁ彼氏と一緒にゆっくりききたいな…」
みりあ「えぇっ!?伊吹さん彼氏いるんですか!?」
伊吹「いないいない♪いたらの話」
P「さて次はちょっと亜流の話をしよう」
夏樹「亜流?」
P「ヒップホップはその誕生以来色んなジャンルに影響を与えたり融合してきたからな、そんな話だ」
P「こほん、まずはロックだな。ロックとヒップホップの関係は深い。Led Zeppelinなんかがサンプリングネタとして超定番ネタとして使われたりもあったし、Run-D.M.Cはハードロックっぽいトラックも多かったしな」
李衣菜「あ、そう言えばそうだったね」
P「そしてエポックメイキングだったのはエアロスミスとRun-D.M.Cのコラボと、その数年後のアンスラックスとパブリック・エネミーのコラボだな」
http://www.youtube.com/watch?v=4B_UYYPb-Gk
http://www.youtube.com/watch?v=CEwKCu0P89c
夏樹「あーこの曲かー」
P「ちなみにアンスラックスとパブリック・エネミーのジョイントライブを見て感銘を受けた少年二人が、大人になってからリンキン・パークを結成するって裏話な」
http://www.youtube.com/watch?v=pmUTBDuUGz8
李衣菜「へー!」
P「いわゆるミクスチャーロック、ラップメタルとか言われる奴らだな」
http://www.youtube.com/watch?v=w211KOQ5BMI
http://www.youtube.com/watch?v=jRGrNDV2mKc
李衣菜「ロックだね!超ロックだね!」
夏樹「あ、復活した」
P「それともう一つ大きな影響を与えあったのがテクノ系のアーティストだ」
李衣菜「え?そなの?」
P「そなの。ヒップホップをヒップホップと名づけた伝説のDJ、アフリカ・バンバータは自分が好きなクラフトワークをサンプリングしてエレクトロ・ファンクというジャンルを作った」
http://www.youtube.com/watch?v=9lDCYjb8RHk
P「だから元々関係は強かったんだけど、何よりターンテーブルを楽器として使うというアイディアはテクノ界隈に大きな衝撃を与えたんだ」
P「それ以降テクノやハウスの業界でもサンプリングやブレイクビーツなんかが多く取り入れられていったんだが、それらがもう一度一つになったのは90年代前半にマッシヴ・アタックの手によってだった」
http://www.youtube.com/watch?v=u7K72X4eo_s
みりあ「何だか強そうな名前の人達ですね♪」
P「そうかもな~。そしてこのジャンルを『トリップホップ』という、が『アブストラクト・ヒップホップ』とか言われたりちょっと定義や名前は曖昧だな」
http://www.youtube.com/watch?v=aVjgRlto8PI
李衣菜「なんかヒップホップっぽくないね」
P「そうかもな、でもそんなもんだろ。ジミヘンが現代に遊びに来てポストロックとか聴いたら似たようなこと言うんじゃないか?」
夏樹「そりゃあな」
P「あとはレゲエとヒップホップを混ぜた『レゲトン』だな」
http://www.youtube.com/watch?v=qGKrc3A6HHM
伊吹「あーこれ先輩好きだったなー」
夏樹「あ、これもヒップホップの仲間だったのか」
P「いや、これはレゲエの仲間だけどヒップホップの影響が強いからな、一応紹介までに」
P「他にもカントリー/フォークと合体した『ヒックホップ』とか、あと最近のヒップホップの業界の流行は大麻の酩酊感を表したような『ストーナーラップ』が…」
http://www.youtube.com/watch?v=DsMikuC8dzs&list=AL94UKMTqg-9C_d5zjKBDlJbiU1XEgGda1
http://www.youtube.com/watch?v=9TpYnbx7iAQ
李衣菜「」
夏樹「おーい、プロデューサー。だりーがもうダメみたいだ」
P「俺としてはストーナーは…って、え?」
李衣菜「…………」
P「あちゃー…詰め込みすぎたかな…」
P「えー今日の講義はちょっと駆け足でかなりザックリ説明しました。もうちょっと歴史的背景とかも含めて説明できれば良かったんだけど、あくまでも表面をなぞるだけにしたので気になるものがあった人はYoutubeなんかで探してみてください。解散!!」
夏樹「あー…腹減ったぁー…何か食いにいくかー」
沙紀「お、いいっすね♪」
伊吹「ずっと後ろの方で寝てた人が何を…」
菜々「よいっしょ…よいっしょ……はぁぁ…最近階段が辛いなぁ…」
夏樹「あ、菜々さん。ちぃーっす」
菜々「うわわわっ!!??……きゃは☆やめてくださいよぉ~夏樹さん♪ナナは17歳ですよぉ?」
夏樹「ああ、そうっしたね。すんません」
菜々「いや、だから…というかみんな何してたの事務所で?」
伊吹「実は…」
菜々「ほうほう…そんな話を…」
沙紀「ちなみに菜々さんってヒップホップとか聞きます?」
菜々「えっ!?も…もちろん!ナナはピチピチのJKですから流行にはビンカンなんです!」
夏樹「(あっ…)」
伊吹「(沙紀もぶっこんでいくなぁ…)」
沙紀「へぇ~…じゃあ好きなラッパーは?」
菜々「ふぇっ!?え…えぇ~とぉ…」
菜々「(ど…どうしよう…確かに昔の彼氏の影響で色々聞いたけど…ナナのイメージを崩す訳には…)」
菜々「ナナが…ナナが好きなラッパーは…」
伊吹「(おっ?MCハマーかな?)」
沙紀「(吉幾三かな?)」
菜々「……………ヴァニラ・アイスさんです!!」
http://www.youtube.com/watch?v=rog8ou-ZepE
夏・伊・沙「「「…」」」
かな子「バ ニ ラ と 聞 い て 」
李衣菜「……?」
*************************
2時限目はこの辺で
自分の中でも何となくしか分けきれないジャンルを人に説明するのって難しいです。
というかブラックミュージックのジャンルって、ロックやメタルほどわかり易く無いし、言葉で説明し辛い!
さぁ3時限目はじめるよー
************************
李衣菜「エミエムやばいね!本物のギャングスタだよ!」
夏樹「だりーってホントにわか根性丸出しだよな」
李衣菜「なっ!?そんな事思ってたの!?」
夏樹「割と昔から」
李衣菜「ひっ、酷い!」
P「どした?二人とも」
李衣菜「プロデューサー!なつきちにディスられたぁ!」ギュ
P「あの…当たってるんだけど…」
李衣菜「うわわっ!?…プロデューサーさんのエッチ!」
P「いや、その無駄にゴツいネックレスが痛い」
李衣菜「…」
P「ていうか『ディスる』って教えてたっけ?自分で勉強したなら感心だ」
李衣菜「は?何言ってんの?」
P「え?だって今ディスるって?」
李衣菜「みんな普通に使ってるでしょ?」
P「?」
李衣菜「?」
夏樹「???」
P「はい、という訳でヒップホップ講座第3回です」
李衣菜「え?は?…えぇ?」
夏樹「今回は唐突だな…」
P「今回のテーマは『ディスる~ビーフの文化と闘争の歴史~』と題しましてお送りいたします」
李衣菜「びーふ?今日は牛肉のお話?」
P「違います。ところで李衣菜は『ディスる』がヒップホップ用語だって知ってるか?」
李衣菜「え?そうなの?みんな普通に使ってるから知らなかった…」
P「本来は「敬意、尊敬」を意味する『Respect(リスペクト)』の対義語、「無礼、貶す」という意味の『Disrespect』の略なんだ」
夏樹「へぇ」
P「そしてビーフってのはヒップホップ用語で「悪口を言うこと」「揉め事」なんかを指す言葉で、ディスるの類義語だな」
李衣菜「へ~…で、それがどうしたの?」
P「うむ、この『ビーフ』や『ディスる』という行為なんだが、これがヒップホップ、特にフリースタイルラップとは切っても切れない言葉なんだ」
李衣菜「悪口が?」
P「そう、それを説明する前にラップのルーツを2つ紹介しなければならない。『グリオ』と『ダズンズ』だ」
李衣菜「何それ?」
P「まずは『グリオ』を紹介しよう。グリオっていうのは西アフリカの伝統音楽を演奏しながら、その土地の伝説や家系、生活の教訓について歌う人達の事だ」
夏樹「琵琶法師みたいだな」
P「確かに、言わばアフリカの琵琶法師だな。このグリオは琴のような楽器コラや各種太鼓を使って伝説なんかを伝えていくのが仕事なんだが、文字のない文明にとっては重要な『生きる歴史書』だった。そして彼らは黒人奴隷としてアメリカ大陸へと連れてこられたんだ」
李衣菜「学校でも習ったけど酷いよね!奴隷なんて!」
P「まぁその奴隷制度が無けりゃロックも生まれないんだけどな…でも、そういったグリオという文化があるせいか黒人音楽てのは、割と生活に根付いた風刺的な要素が強い気がするな」
李衣菜「そうなの?」
P「だってブルースなんて日常の憂鬱な出来事や辛い出来事を歌った物だろ?R&Bやソウルも恋愛や人生、パーティーを歌ったものが殆どだし、それは今も昔も変わらない。それに対して白人的なロックの進化系であるヘヴィメタルにはファンタジーな歌詞が多いじゃないか。ヒップホップもヘヴィメタルも同じような時期に生まれた音楽だけど、ここまで違うんだから面白いよ」
夏樹「言われてみればそうだけど、メタルとヒップホップじゃ直接のルーツが違うからな。ヘヴィメタルはアメリカよりも発祥を考えればイギリスの音楽とも言えるし」
P「ふむ、さすが夏樹。呼んで良かったよ」
夏樹「そりゃどーも」
李衣菜「…それよりもう1つの奴は?なんか…あの…奥山さんの方言みたいなやつ」
P「『ダズンズ』だず!ってか?」
李衣菜「そう、それ!」
P「東北の皆様に怒られそうだな…」
------------------------------------------------------------
沙織「へくちっ!…あー…風邪だべか…」
里美「あら~、あったかぐしねどわがんねべした。来週ライブだべ?」
沙織「んだ…あど、里美さん訛り訛り」
里美「ほぇ…?あぁ~、ダメですねぇ~沙織さんといるとつい素に戻っちゃってぇ~」
------------------------------------------------------------
P「さて、話を戻して『ダズンズ』ってのはアメリカ黒人に伝わる一種のゲームだな。一対一でお互いの母親を貶しあう遊びだ」
李衣菜「はい?」
夏樹「何だソレ?」
P「『お前の母ちゃん、淫乱過ぎて家に受付があるそうじゃねぇか』みたいな感じでお互いの母親を貶しあうんだが、『バカ』とか『ブス』とか低劣な言葉では無く、皮肉や言葉遊びを用いて観客からの声援を受けた方が勝ち、言葉が出なくなったり怒ってしまった方が負けってルールの遊びなんだ」
李衣菜「何のためにそんな事を…」
P「これは語彙力と怒りを抑える自制心を鍛えるのがこのゲームの目的なんだけど、この『一対一の言葉遊び』『貶しあい』『即興』って言うのが後の『フリースタイルバトル』に繋がる」
夏樹「即興のラップを披露し合うヤツだっけ?」
P「そのとおり。『情報の伝達』『人生や社会について歌う』グリオと、『一対一で行う言葉遊び』『貶し合いの勝負』のダズンズこの二つが後のルーツな訳だ」
李衣菜「確かにギャングの人達はフリースタイルで戦って歓声が大きかった方が勝ちだったんだもんね」
P「そう、フリースタイルの歌詞の中身なんて、自分がいかに凄いかと相手がいかにバカでマヌケで格下かって話が基本だから、そういう意味ではもうこの時点で出来上がりつつある訳だ」
夏樹「そしてヒップホップにはグリオみたいな社会に関する歌詞や人生訓も多いし、確かにその2つの要素を受け継いでるな」
P「そういう事だ。だからヒップホップでは昔から互いに貶し合い、つまりディスり合いがよくあるんだ。そしてヒップホップがニューヨークのストリートから飛び出すとフリースタイルバトルだけで無く、楽曲上でもビーフを行うようになる」
李衣菜「曲で?」
P「うーん…俺が知ってる中で一番古いビーフ合戦は…あぁそうだブギ・ダウン・プロダクションズ対ジュース・クルーだな」
【ブギ・ダウン・プロダクションズ】
http://www.youtube.com/watch?v=vsrOy32nJdI
VS
【ジュース・クルー】
http://www.youtube.com/watch?v=VquMlMP6c3w
夏樹「喧嘩の原因は?」
P「この抗争は言わばブロンクス区対クイーンズ区とも言える抗争で、どちらもニューヨーク市の区でありヒップホップの歴史において重要な地区なんだ」
李衣菜「ブロンクスってヒップホップが生まれたところですよね?」
P「そう。事の発端はクイーンズ出身のジュース・クルーの一員であるMCシャンが、区の名所の1つであるクイーンズブリッジについて歌った「The Bridge」という曲でクイーンズのアーティストがヒップホップを作ったという風にもとれる発言をするんだ。それに怒ったブロンクス出身のKRS-ONEは、自らが率いるブギ・ダウン・プロダクションズの楽曲でこれに反論、これを気に両者は対立を深めていって、原因となった曲及びから『ブリッジ戦争』『ブリッジバトル』なんて言われた」
夏樹「どこにでもそういう問題あるんだな」
P「まぁ結局この抗争は、KRS-ONEの盟友でありブギ・ダウン・プロダクションズのメンバー、スコット・ラ・ロックが殺された事をキッカケにKRS-ONEが考えを変えたこと事で次第に収束、和解したんだ」
李衣菜「仲直りしたんだね♪」
P「ビーフ合戦て、結局和解か自然消滅が多いからな。明確に勝ち負けが付くことは多くない。その点珍しかったのがカニエ・ウェスト対50セントだな」
【カニエ・ウェスト】
http://www.youtube.com/watch?v=PsO6ZnUZI0g
VS
【50セント】
http://www.youtube.com/watch?v=GO22Z0T3qPE
P「カニエ・ウェストは小さい頃いじめられっ子で美大を卒業した異色の経歴のMC兼プロデューサー。対する50セントは物心つく前に父親を亡くし、ヤクの売人の母親に育てられて自らも売人となった筋金入りのギャングスタラッパーだな」
夏樹「ずいぶん対照的な2人だな」
P「誰にでも喧嘩を吹っかける50セントは『カニエ・ウェストと同じ日にアルバムを出して、発売一週目のセールスで負けたら引退する』何て言い出した」
李衣菜「結果は?」
P「カニエが100万枚弱、50セントが70万枚弱でカニエの勝ちだ」
李衣菜「あちゃー…それじゃあ…」
P「あ、50セント?今も引退せずに活動してるよ?」
李衣菜「え」
夏樹「え」
P「まぁ良かったんじゃない?カニエも50セントのファンだったらしいし」
李衣菜「は…はぁ…」
一旦休止。次回更新は21時頃の予定です
P「さて、ビーフの歴史を語る上で絶対に外せない話がある。俗に『ヒップホップ東西抗争』と言われる事件だ」
夏樹「東西抗争?」
P「あぁ、言わずもがなヒップホップはニューヨークで生まれた訳だが、Run-D.M.Cの全国的なヒットによって、アメリカ全土にヒップホップが伝わる。それに真っ先に返答したのがカリフォルニアを中心とした西海岸のシーンだ」
李衣菜「前回の授業で言ってた『ウェッサイ』ってやつだね」
P「そう、ただしN.W.Aのようなギャングスタラップはヒップホップの精神に反するというファンも少なからずいたし、ウェッサイ特有の陽気な雰囲気も好みが分かれた」
P「そして西海岸のアーティストもこれからは俺たちの時代だと息巻いていたこともあって、東西の間には小さな火種が燻り始めた」
夏樹「…」
P「そんな頃、東海岸から二人のアーティストがデビューする。トゥパック・シャクールとノートリアスBIGだ。さて、ここからは寸劇を交えて説明しよう。おーい二人ともー」
幸子・かな子「「はーい」」
李衣菜「え?」
幸子「ふふん、ボクが新世代のリーダー2パックです」
http://www.youtube.com/watch?v=mbg3rngwsCc
かな子「わ…私がビギー・スモールズことノートリアスBIGです」
http://www.youtube.com/watch?v=_JZom_gVfuw
夏樹「二人とも…お疲れ」
P「2パックはラップのスキルもあるしルックスもいい。しかも映画にも出演したことで若手の注目株として注目を浴びるようになった」
幸子「ボクはかしこくてかわいいから当然です!」
P「一方それから少し遅れてノートリアスBIG、以降ビギーと呼ばせてもらうが、ビギーがデビューする。ビギーはストリートで鍛えたラップスキルと、ヤクの売人時代からの飛びぬけたカリスマ性で存在感を示した」
かな子「プロデューサーさん…存在感て物理的にじゃないですよね?だから私を選んだなんて事ないですよね…?」
P「………さて、それでだな」
かな子「無視!?無視ですか!?」
P「当初二人の関係は良好だった。ファンもこの二人の才能が東海岸を背負っていくと思っていた」
幸子「かな子さん胸を張ってください!ボクたちの時代はこれからですよ!」
かな子「幸子ちゃんノリノリだね…」
P「2パックは元々素行が悪い事で有名でな。スタイルをパクったラッパーをバットで殴ったり、警官と銃撃戦を繰り広げたり、クラブで知り合った女性をホテル連れ込んでアナルセックスを強要して訴えられたりしてた」
幸子「アナ…ッ!?ちょっとボク極悪人じゃないですか!!」
P「真性のギャングスタだからね。しょうがないね。まぁそしてアナルセックス強要事件の裁判期間中に事件は起こった」
李衣菜「事件?」
かな子「幸子ちゃん、出番出番」
幸子「うー………」
P「1994年の11月30日、レコーディングの為にとあるスタジオに来た2パックは、同じビルの上の階でビギーとプロデューサーのショーン・コムズ(現パフ・ディディ)が来ている事を知る」
幸子「え?かな子さんもここに?しょうがないですね、かわいい後輩が来てるんですからかしこくてかわいいカリスマラッパーのボクが陣中見舞いに行きましょう!」
かな子「幸子さんも来てるみたいですよ。ショーン・コムズ役のちひろさん」
ちひろ「あら、そうなの」ニッコリ
夏樹「ちひろさん仕事は…」
P「だが、エレベーターホールで事件が起こる。2パックが銃撃されるんだ」
麗奈「ふははははははっ!覚悟しなさい!!」
仁奈「おいのちちょーだいでごぜーますー!」
幸子「え!?あ!?ぎゃあああああああ!?」
李衣菜「あの…銃撃っていうかイタズラされてるんだけど…」
P「そして体に数発の銃弾を受けながら2パックは逃げる事ができた。そして2パックはこう考えた」
幸子「酷い目にあいました…これはきっと誰かの罠に違い無い!誰かが可愛いボクを嵌めたんだ!」
P「そしてその後、2パックはさっきのレイプ事件で有罪判決を受けて1年~4年半もの懲役を言い渡される」
P「そしてそんな騒動の中ビギーが新曲をリリース。そのタイトルは『Who Shot Ya(誰がお前を撃ったのか)』」
http://www.youtube.com/watch?v=fsLjMc75DLw
李衣菜「え?…じゃあもしかして」
かな子「違う違う!違うんです!この曲は事件より前に作った曲だし、無関係なんです!」
ちひろ「そうですよ~」
P「と、まぁビギー側はこう言ってるが何せタイミングが悪かった。そしてもちろん2パックもこの事を知り、刑務所の中で事件の首謀者は二人でないかと思うようになる」
幸子「かな子さんめ…まさかボクがかわいいことに嫉妬して…」
P「獄中で憎悪の炎を燃やす2パックの元に、ある人物が訪れる」
亜子「幸子ちゃん…そんなにアイツらが憎いかい?」
幸子「アナタは…西海岸のデスロウ・レーベルの社長…シュグ・ナイトこと土屋亜子さん!?」
亜子「アタシのレーベルに来てくれるなら、保釈金も払うしCDも出してあげるよ?そしたらアイツらへの復讐と金儲けが出来て一石二鳥、一攫千金で大金持ちさ!」
幸子「ホントですね!?わかりました!契約しますとも!」
P「とまぁこんな感じで、2パックは保釈金を払って出所、デスロウレーベルから再デビューする」
http://www.youtube.com/watch?v=FWOsbGP5Ox4#aid=P-LAskrrujM
P「そしてドクター・ドレーと組んだ『California Love』などでヒットを飛ばして、ニューヨーク出身の彼が西海岸の急先鋒として東海岸に牙を向くんだ」
李衣菜「故郷を捨てたってこと?」
P「それほどまでに憎しみは深かったんだろうな。そして2パックは『Hit Em Up』で東海岸の連中を激しくディスる」
http://www.youtube.com/watch?v=_BxOhTUvb7c
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9680259 ←和訳付き
夏樹「完全に喧嘩売ってる歌詞だな」
P「そしてショーン・コムズ率いるバッドボーイ・レコードもこれに対抗して、次々とアンサーソングとして西海岸をディスる曲をリリースし始める。当然デスロウもこれに対抗、この抗争はどんどん大きくなって行き個人対個人だったこの抗争は、レーベル対レーベル、西海岸対東海岸へと大きくなっていった」
李衣菜「うわぁ…」
P「元々あった確執がこの事件を気に一気に表面化したんだな。しかもどちらの支持者にもギャングが大勢いたから、同時に東のギャング対西のギャングの抗争に発展していく、互いの支持者によるアーティストやファンへの襲撃や銃撃戦が相次ぐようになって、しまいにはギャングの裏にいるマフィアまで絡んできた」
夏樹「暴走族同士の喧嘩にヤクザが絡んでくるようなもんか」
P「分かり易くいうとそうだな。こうしてヒップホップの東西抗争はアメリカ裏社会の東西抗争へと発展していく」
李衣菜「泥沼だ…」
P「そして1996年9月7日、2パックがラスベガスで銃撃され、同月13日の金曜日25歳の若さで亡くなってしまう」
李衣菜「えっ…」
夏樹「…」
幸子「う~…ばたんっ」パタリ
P「当然様々な憶測が飛び交ったが、犯人は捕まらないまま翌年3月9日、ビギーことノートリアスBIGまでもがロサンゼルスでのパーティーの後、銃撃され死亡する」
かな子「え?…あっ…う、うぅ~ん…ばたんっ」ドスン
P「結局東西抗争の先頭にいた二人の天才を失ってしまうんだ」
李衣菜「酷い…」
P「こうして事態を重く見た東海岸側のJay-ZやKRS-ONE、西海岸側のスヌープ・ドッグやドクター・ドレーが事態の収拾に奔走。徐々にではあるがこの抗争は収束していく」
P「スヌープとドレーはデスロウを離れて新しいレーベルを作った。シュグ・ナイトはそんな二人を自分のレーベルの若手などを使ってディスらせるが看板ラッパー不在で求心力は乏しく、2006年には破産申請をしている」
亜子「何で…何でこんなことに…」
P「一方、ドクター・ドレーは北部デトロイト出身の白人エミネムのプロデュースなど数々のアーティストをプロデュースしてヒップホップを代表する名プロデューサーに。スヌープ・ドッグもJay-Zやナズといった東海岸のアーティストと積極的にコラボレーションをして、今も西海岸の重鎮として健在だ」
P「ショーン・コムズは盟友ビギーを失った後もその辣腕でヒップホップをメインストリームの音楽へのし上げた功労者になった。まぁおかげでヒップホップが薄っぺらくなったなんて批判も多いけどな」
ちひろ「うふふふ」
P「他にも2パックにディスられたナズが追悼ライブを行ったりもあったけど、この事件はヒップホップの黄金期の終焉を告げる事になってしまった。これにより東西抗争の時代からアメリカ南部シーンの台頭やプロデューサーの発言権の拡大へとシーンは移り変わっていく訳だ」
李衣菜「何でだろうね…ヒップホップってギャングの抗争の平和的手段だったはずなのに…」
P「何で、か。難しい問題だけど、そもそもヒップホップってのは競技と音楽の中間にあるものだ。サッカーでフーリガンが問題になるように、人間はまだそこまで理性的じゃないんだろうな」
夏樹「…かもな。ジョン・レノンだって誰だって、音楽で世界を変えた人は未だにいない訳だし」
P「音楽で世界は救えない。人を救うのはいつだって人自身なのさ」
ちひろ「うまい事言ったつもりですか?」
P「うまい事言ったつもり」
ちひろ「うふふ、そうですか」クスクス
李衣菜「…」
夏樹「だりー大丈夫か?」
李衣菜「うん…」
P「さて、今日はここまでだな。じゃあ解散!」
P「ちひろさん。すいませんこんな事に付き合わせちゃって」
ちひろ「あら、良いんですよ別に。日頃お世話になってますから」
P「それはこっちの台詞ですよ。いっつもちひろさんに世話になりっぱなしで…」
ちひろ「プロデューサーさん」
P「はい?」
ちひろ「私、プロデューサーさんに頑張って欲しいんです。二人で協力してこの事務所をもっともっと大きくしたいんです。ロッカフェラ・レコード(Jay-Zが設立した大手レーベル)みたいに!」
P「ちひろさん…」
ちひろ「…」
トットットッ…
ちひろ「うふっ♪」
P「どうしたんですか、こんな至近距離で…」
ちひろ「だからお礼は今夜、貴方のマイクロフォンで…ね♪」
P「…酷い下ネタですよ?ちひろさん」
ちひろ「あら、何のことでしょう?…ふふふっ、前回は私の圧勝でしたからね~♪」
P「今夜は負けませんよ」
ちひろ「アンコールは?」
P「Let Me Ride」
ちひろ「あらあら、じゃじゃ馬ローライダーのお出ましですね」
P「燃費悪いですけどね」
ちひろ「知ってます☆」
P「かなわないですよまったく…」
*********************
3時限目おしまい。
4時限目は告知通り、質疑応答スタイルで行く予定ですんで皆様のヒップホップに対するご質問をお待ちしています。
特に質問などが無くてもFAQ的なものはやるつもりです
鈴木健太 「今の世の中」
YO! 最近、悪い事件多いよね 皆、口をそろえて言う「怖い」とねって
いつ現れるか分からん通り魔 「なぜこの人を」と問えば
そして返ってくる言葉は 「ただ金が欲しかった 別に誰でもよかった」と顔色一つ変えずに言った
そんなやつらの考え理解できねえ そんなやつらがいたんじゃ良い未来できねえ
年々増える犯罪者を減らさなきゃ増えてしまう被害者 育った環境、時代が犯罪を生み
死亡率が増える世界の国々 ささいなことでケンカして いつの間に大惨事に発展して
今の世の中 頭おかしく魂腐ってる野郎をできるだけ減らすんだ
今の世の中 今の時代の現実を見ろって人ごとにしてられないんだ
今の世の中 本気で変えなきゃダメだろう 未来変えなきゃダメなんだ
まだ小学生のBOY & GIRL 近ごろ多い少年犯罪
きちんとした意味もなく人殺して 年関係なくそれはもう人殺しで
まだ幼いのに何してんだ 親や教師は何してたんだ 子どものことぐらい知っとけ
ゴメンじゃ済まないとちゃんと言っとけ 教えとけ 常識ぐらい覚えとけ
君も辛いだろう しかもテレビのニュースだと 被害者だけ公表される名前と顔
加害者は守られる その後の人生とか これからが困るだろうと使われるアルファベット
何も言えずおれらはずっとポツネンと どんなに悲しんでもしょうがない
もう戻ってくることはない そんなの情がない 被害者の人生台無し
これからが大事だし そんな運命に用はなし 年寄りになってからのほうが長いかもしれないと
悲しみ憎しみとかが計り知れない 幸せ奪いながら、おれにとっちゃ許せないことばかり
一生消えない思い出や怒り もう我慢できなくて この現状変えたくて 本気で変えてほしくて
お待たせしました(?)
今回のこの4時間目でラストになります。
今回はFAQ回ですが数日に分けてアップしていきますので、何か質問あればその都度答えさせてもらいます。
P「第1回!!おしえてP先生!!ヒップホップの傾向と対策~!」
みりあ「わ~♪ぱちぱちぱち~」
李衣菜「?」
沙紀「またやるんすね~」
夏樹「プロデューサー、アタシらは分かるけど何で他の連中まで?」
ザワザワ・・・
美世「そーだそーだー」
かな子「あははは…」
P「まぁまぁ、そう言うな。今回はヒップホップが好きな人嫌いな人問わず集めて色々聞いてみたいと思ってな」
夏樹「それにしたって呼びすぎだとは思うけどな…どうしただりー、元気ないぞ?」
李衣菜「え…そう?何言ってんの!今日も私はロックだよ!」
夏樹「…そっか」
P「と、言うわけで…何かヒップホップ関連で何か質問ないか?」
沙紀「そんな事言われてもッスねぇ…」
莉嘉「ハイハイハーイ!!P先生しつもーん!」
P「おっ、莉嘉か。はいどうぞー」
莉嘉「えっとねー、ラッパーの人ってなんでダボダボの服着てるのー?何か動きにくそうじゃん」
P「あーそれなー、いい質問だ。さて『何故ラッパーはダボダボの服を着るか』だな。それには二つの説がある。」
P「まずは『貧困』。ヒップホップが生まれたのはNYの貧民街って話はしたよな?だからそこに住む人達は、そうそう服を買い替えられない訳だ。そこで困るのは子供を持つ親。成長期の子供は1年でずいぶん体つきが変わるからな」
莉嘉「アタシもこの1年でセクシーになった?」
P「あぁ、もちろん。美嘉にも負けてないよ」
莉嘉「やったぁー!!P君大好きーっ!!」
\ヘンターイ/\ロリコーン/\ペドー/
P「えぇい!黙れ黙れ!続きやるぞ!…オホン…で、成長に合わせて服を買い与えられないから、予め大きめの服を買ってやるからみーんなダボダボの服着てるってわけなんだな」
夏樹「もうひとつは?」
P「もうひとつもヒップホップらしい理由なんだけどな。アメリカのドラマとか映画でさ、囚人の着てる服ってちょっとゆったりめだったりしないか?あれはわざと動き辛くさせて、脱走を防ぐために大きな服を着せてるんだってさ。その真似してるってだけ」
李衣菜「ダサいですね」
P・夏「(お前が言うのか…)」
P「ま・・・最近はトップアーティストほどそういう格好しないけど、デビューしたてだったりストリートに根ざしたタイプのアーティストはそのスタイルのまんまだな」
P「はい、じゃあ次な。次はだれか質問ないか?」
せっかくだから日本のHIPHOPの歴史もやらない?
P「はい、じゃあ次な。次はだれか質問ないか?」
美世「じゃあ、はいはーい」
P「はい、美世」
美世「あのね、あたしが働いてた店によくローライダーにしてくださいって依頼が来てたんだけどさ、そもそもローライダーって何なの?」
P「なるほどな、美世らしい質問だが知らなかったのか?ローライダー」
美世「どういうものかは分かってるんだけどね。何であんな車に悪い改造するのかなって」
P「まぁな~、さて全く知らない奴もいるだろうから一から説明しよう。ローライダーってのは古いアメ車を改造した車で、低い車高や油圧ポンプとシリンダーから作られた『ハイドロリクス』で車高を上下させたり出来る車やその運転手を指す言葉だな」
夏樹「前の授業でも『Lowrider』って曲紹介してたけど、その曲のPVで出てきた車か」
P「そういうこと。>>59であったやつだな。ヒップホップと関係の深い文化だからなんとなく黒人発祥だと思われてるけど、これを作ったのはメキシコ系アメリカ人『チカーノ』達だ」
李衣菜「確か西海岸の話で出てきた人たちだよね」
P「そうそう、この人たちはテキサスとかカリフォルニアみたいなメキシコ国境に近いところに多く在住してるんだけど、ローライダーを作ったのはこのうちカリフォルニア、ロサンゼルスに住んでいた人たちらしい」
P「チカーノの中には不法入国者とかも多かったから低所得者が多かった。だからなかなか車を買えなかったし、買えたとしても安価な中古車だったんだけど、彼らはこの安い中古車をどうにかデカクかっこよく見せたかった。そこで車高を低くしたり、タイヤをホイールの小さい物にしたんだ」
美世「相対的にデカく見せようとしたのね」
P「そういう事。そしたら今度は車高を低くしすぎて、ちょっとした段差でもバンパーをぶっ壊しちまう。そこで油圧システムを使って車体を持ち上げることを思いついたバカがそれを車に積み始めたってのが始まりだな」
P「あのぴょんぴょん跳ねたりしたり車体を傾けたりするのもその応用だ」
美世「あたしはホットロッドみたいなのの方がアホらしくて好きだけどなー」
P「…だから、俺の車を改造するのを渋ったのか」
美世「でもちゃんと塗装の方はやったんだから許して☆」
P「まぁもういいだけどさ…はい、じゃあ次ー」
沙紀「あ、そだ質問あるっすー」
P「お?どした沙紀?」
沙紀「アタシ、トリップホップに興味あるんすけど、もうちょっと詳しく聞きたいっす」
P「・・・・・・・・・・・・はい、次の人ー」
沙紀「えっ、ちょっと!何でっすか!?」
P「いや…その…」
夏樹「もしかして、知らないのか?」
P「~♪」
沙紀「図星なんすね…」
P「・・・・・・・・・・・・だって仕方ないじゃん!ずっとテクノ/エレクトロ系列の一種だと思ってたし!おのれマッシヴ・アタック!!」
夏樹「いや、人のせいにするなよ」
P「・・・」シュン
一同「「「(めんどくさいな…)」」」
P「まぁでもな、ひとつ思うことがあってな。ヒップホップってサンプリングなんかで同じフレーズを延々と続けるだろ?それってテクノやハウス、ファンクなんかにしてもダンスミュージックの基本なんだよ。そう考えるとテクノ/ハウス系とヒップホップって元々相性がいいんだよな」
沙紀「ヒップホップの名付け親のアフリカ・バンバータもクラフトワークをサンプリングしてましたし、元から繋がりは強いっすもんね」
http://www.youtube.com/watch?v=9lDCYjb8RHk
P「そういう事、ダンスミュージック的要素が強かったオールドスクールから、ニュースクールへと深化していくのとそう変わらない時期に生まれたのがトリップホップだったし、その誕生の意義の大きさはわかるんだけど…」
沙紀「よく知らない、と…」
P「すまん…」
沙紀「いやいや、知らないならしょうがないっすよ、ありがとうっす」
P「さて、次に行こうか。誰か質問あるか?」
かな子「あ、じゃあ…はい!」
P「はい、そこのビッグ・チュッパ」
かな子「何ですかそのあだ名!?」
P「いやなに、前回のノートリアスB.I.G役やってもらったし愛称をな」
かな子「何か悪意を感じます!」
P「『Hypnotize』ってエクササイズに似てない?」
かな子「・・・・・・・・・もういいです」プクー
P「ごめんごめん悪かったって、で?質問は?」
かな子「……あの、ちょっと気になるんですけどラッパーの人達って何であんなにギラギラのアクセサリー付けてるんですか?邪魔じゃないのかなーって」
P「ふむ…まぁそれはなー、やっぱりいつの時代も宝石類ってのは成功者の証だから、貧民街から生まれたヒップホップには大きな意味を持つのさ」
P「考えてみろよ、大して暮らしぶりの変わらなかったご近所さんが数年のうちにラップで金持ちになったら羨ましいだろ。特に子供は憧れを持ちやすいからな『俺は貧乏から金持ちに成り上がったぜアピール』と『お前らも俺に続きな』的なアピールなんだよ」
かな子「へぇ~…」
P「例えば、かな子がかわいい服でアイドル活動してて、そんなかな子に憧れてアイドル目指してます!って言われたらもっと可愛くなりたいだろ?そういうこと」
かな子「確かに…そうですね。私、もっと頑張ります!」
P「ははは、かな子は素直で可愛いぞ」
かな子「でもプロデューサーさんは許しません」
P「・・・うん、ごめん」
かな子「」プク-
P「じゃ…じゃあ次ー…」
アンダーグラウンドについてオナシャス
90年代はドープなのが多いけど情報も盤も少ないし高い
00年代は良作多いけど一時期スピリチュアルサウンドが増えすぎた
10年代はどうなんだろうね
nujabesはヒップホップをやっていた初期中期だけ好きです
マキノ「いいかしら?」
P「おう、マキノか。いいぞ」
マキノ「ありがとう。ちょっとこんなデータを見かけたんだけど見てもらえるかしら? >>43」
P「んん?…ははぁ~こりゃ面白いな」
夏樹「ヒップホップ勢全然いないな。ブラック・ミュージックって考えてもビヨンセとリアーナがギリギリか?」
P「まぁ二人ともR&Bだけどポップスみたいなもんだしなぁ…」
マキノ「それともうひとつ、こっちはビルボードなんだけど
まず、シングルね
1.Thrift Shop/Macklemore & Ryan Lewis featuring Wanz
2.Blurred Lines/Robin Thicke featuring T.I. & Pharrell
3.Radioactive/Imagine Dragons
4.Harlem Shake/Baauer
5.Can't Hold Us/Macklemore & Ryan Lewis featuring Ray Dalton
6.Mirrors/Justin Timberlake
7.Just Give Me A Reason/P!nk featuring Nate Ruess
8.When I Was Your Man/Bruno Mars
9.Cruise/Florida Georgia Line featuring Nelly
10.Roar/Katy Perry
http://the-musicbox.net/nenkansingle2013.html
次にアルバム
1.THE 20/20 EXPERIENCE/Justin Timberlake
2.RED/Taylor Swift
3.TAKE ME HOME/One Direction
4.UNORTHODOX JUKEBOX/Bruno Mars
5.BABEL/Mumfor & Sons
6.NIGHT VISION/Imagine Dragons
7.HERE'S TO THE GOOD TIMES/Florida Georgia Line
8.THE TRUTH ABOUT LOVE/P!nk
9.CRASH MY PARTY/Luke Bryan
10.UNAPOLOGETIC/Rihanna
http://the-musicbox.net/nenkanalbum2013.html
そしてさっきのランキング
1位)ボン・ジョヴィ 260億円 HRHM
2位)ビヨンセ 189億円 ポップス
3位)ピンク 171億円 ポップス
4位)ジャスティン・ビーバー 169億円 ポップス
5位)ブルース・スプリングスティーン 145億円 ロック
6位)リアーナ 142億円 ポップス
7位)シルク・ドゥ・ソレイユ「マイケル・ジャクソン:ザ・イモータル」 133億円
8位)テイラー・スウィフト 131億円 カントリー
9位)デペッシュ・モード 120億円 ロック
10位)ワン・ダイレクション 114億円 ポップス
ごめんなさい、今ザッと調べただけだからデータとしては不十分かも知れないけど、これを見てどう思う?」
P「さすがマキノ面白いな。まぁ日本にも言えることだが、やっぱりライブが盛り上がる連中は強いな。ボン・ジョヴィなんて代表曲の『Livin'on a Prayer』歌えなくなってるのにな~」
菜々「(懐かしいな~…カセットどこにやったっけ?)」
P「シングルに関しては何だかんだ純ヒップホップでないにしてもラップを用いた曲は多く入ってるな。今俺も別のサイトでさらっと見た感じ、フィーチャリングなんかでラッパーが参加してる曲はかなり多いし」
http://tnakao.main.jp/music/billboard/2013_20.htm
マキノ「曲の人気が興行収入に直結していないようね」
P「アメリカはもう音楽はダウンロードするのが主流だから単価も安くなってるしな。と言うかまだCDに固執する日本が変なだけだけど…それにいくら沢山のアーティストの曲に顔だしたところで人気が出るわけじゃないしな。やっぱりアリーナを毎回埋めるような人気は一朝一夕では出来んさ。それでも日本と違って本場アメリカではすっかりポップミュージックの仲間入りだな。精神性の有無はともかくとして」
夏樹「その辺はどのジャンルもそんなもんだろ。パンクがニューヨークの貧乏な不良の音楽だったのなんて大昔の話だし」
P「そういうこった」
李衣菜「……プロデューサー…」
P「ん?どうした?」
李衣菜「…ヒップホップってもうダメなのかな?」
P「???」
李衣菜「私ね、プロデューサーに教えてもらって、ヒップホップって凄いなカッコいいなって思ってたんだ。喧嘩の代わりに音楽で勝負なんてカッコいいじゃん、超ロックじゃん。でもさ、結局2パックとかビギーは殺されちゃったし、ヒップホップもポップス寄りになっちゃったんでしょ?だから思うんだ、ヒップホップは終わったのかなって…」
P「…難しい質問だな……李衣菜、全米の人口に対する黒人の割合って知ってるか?」
李衣菜「え…?知らない」
P「ある資料によると白人78%に対して黒人は13%くらいだそうだ」
夏樹「人種のサラダボウルって言われる割には白人の割合が多いな」
P「そうだな、ヒップホップの大衆化や黒人スポーツ選手の活躍なんかで差別は少なくなっているかも知れんが、黒人の大学進学率や平均年収は以前として低いままだ。結局ヒップホップを生んだ負の土壌は完全に取り除かれてはいないのが現状なんだよ」
李衣菜「そうかも知れないけどさ…」
P「まぁ聞けよ、確かにヒップホップは大衆化してその牙は衰えたかも知れない。でもヒップホップの攻撃性の源泉だった差別や貧困は無くなっていない以上、ヒップホップの役目は終わっちゃいないと俺は思う」
李衣菜「終わってない?」
P「ロックだってそうだろ?1969年にロックは終わったって言い出す親父が出てきてからいったい何年続いてる?享楽的で「若者の熱病」とまで言われたロックンロールは、時代を重ねるごとにプロテスト色を強めたり大仰になったり複雑になったかと思ったらシンプルになって、派手になったり地味になったりしながら、未だに李衣菜たちを熱狂させてるじゃないか」
夏樹「まぁな…」
P「ヒップホップだってその誕生から30年以上経ってるんだ、見捨てられるにしては遅すぎるさ」
李衣菜「そうかな…」
P「例えヒップホップが終わっても、根本的な問題が解決しない限りまた別の音楽が生まれてその役目を担うだろうさ」
沙紀「『私がやられても第二第三の私が~』みたいなもんっすかね」
P「そういう事だな」
李衣菜「…」
P「…さて、今回はこの変にしとくか。それじゃ、また機会があったらヒップホップ講座を開くからみんな来てくれよ。解散!」
李衣菜「おはよーございまーす」
夏樹「おう、だりー…元に戻したのか?その服」
李衣菜「うん?…まぁね、こっちの方が私らしいし」
夏樹「まぁな、こないだまでのだりーはにわか丸出しで見てられなかったし」
李衣菜「え!?ひどくない!!?」
夏樹「アハハッ、冗談冗談」
李衣菜「ちょっとなつきち~!」
夏樹「(それでもRUN-D.M.CのTシャツは着てるんだからちょろいよな~)」
李衣菜「さぁ~て今日もロックするぞー!!」
夏樹「やれやれ…まったく…」
P「ふふふ、李衣菜の奴、本調子になりましたね」
ガッチョンガッチョン
ちひろ「そーですねー」
P「まぁ別にヒップホップ好きになって欲しかった訳じゃなくて、ヒップホップについて知って欲しかっただけだし、あの染まりっぷりにはちょっと困ってたんですよねー…プロデュースの方針的にも」
ガッチョンガッチョン
ちひろ「そーですねー」
P「まぁうちは『らしさ』で勝負してますからね。いやーこれからも忙しくなりますよー」
ガッチョンガッチョン
ちひろ「そーですねー」
P「ところで…」
ガッチョンガッチョン
P「…このローライダー風の椅子止めてくれません?」
ちひろ「そーですねー」
P「あの…夕べ伊吹と帰ったことに他意は…」ガッチョンガッチョン
ちひろ「そーですねー」
P「そろそろお尻と腰がいたいんですけど…」ガッチョンガッチョン
ちひろ「はい、プロデューサーさん。あーん♪」
P「え?なんですかその白い粉…え?あっ、まさか、ちょっ……」ガッチョンガッチョン
ガシィッ!
ちひろ「……あーん♪」ギリギリ
P「ほげっ!?……ん、んぐっ……………………ン゛ぎも゛ち゛い゛ぃ゛!!!?」
おしまい。
他のSSもあるしリアルの方の仕事もあるから、フェードアウトするよりかはここで終わらせたいと思います。
このSSでヒップホップ好きが一人でも増えてくれたら嬉しいし、ヒップホップ好きがこのだらしないSSに憤慨して更なる布教をしてくれると嬉しいです。とっても
このSSまとめへのコメント
ラップは聞くんだけどヒップホップの歴史はなんとなくしか知らなかったから勉強になった